JP2004301248A - 空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウント - Google Patents

空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウント Download PDF

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Hiroyuki Ichikawa
浩幸 市川
Shoji Akasa
彰治 赤佐
Masaaki Hamada
真彰 濱田
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Abstract

【課題】壁部の一部が第一の加振ゴム板で構成した加振室を受圧室から独立形成して、第一の加振ゴム板を挟んで加振室と反対側に第一の作用空気室を形成すると共に、受圧室の壁部の一部を第二の加振ゴム板で構成して、該第二の加振ゴム板を挟んで受圧室と反対側に第二の作用空気室を形成し、更に、第一の作用空気室に空気圧変動を及ぼす第一の空気圧制御手段と第二の作用空気室に空気圧変動を及ぼす第二の空気圧制御手段を備えてなる能動型流体封入式防振マウントにおいて、高次成分による振動状態の悪化を回避しつつ、防振すべき振動に対して能動的防振効果を有効に発揮せしめ得る新規な構造の能動型流体封入式防振マウントを提供すること。
【解決手段】第一の空気圧制御手段92,93による圧力変動と第二の空気圧制御手段96,97による圧力変動を受圧室40に対して同時に及ぼすことによって受圧室40の圧力を制御するようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、非圧縮性流体が封入された受圧室の圧力を、外部から及ぼされる空気圧を利用して能動的に制御することにより防振効果を得るようにした流体封入式の能動型防振マウントに係り、例えば自動車用のエンジンマウント等として好適に用いられる能動型防振マウントに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、例えば自動車においては、ボデーや各種部材における振動(振動に起因する騒音等を含む)が大きな問題となる場合が多く、その振動を低減するために、振動発生源の一つであるパワーユニットからボデーへの振動伝達を抑えるエンジンマウントが採用されている。
【0003】
かかるエンジンマウントの一種として、従来から、内部に非圧縮性流体を封入して、振動入力時に流動せしめられる非圧縮性流体の共振作用を利用することにより受動的な防振効果を得るようにした流体封入式エンジンマウントが知られている。また、近年では、防振性能の更なる向上を目的として、非圧縮性流体が封入された流体室の壁部の一部を加振ゴム板で構成すると共に、この加振ゴム板を外部から及ぼされる空気圧変動で加振することにより、防振すべき振動に対応した周波数で流体室の圧力を制御せしめて、能動的な防振効果を得るようにした能動型のエンジンマウントが提案されている。例えば、特許文献1に記載のものが、それである。
【0004】
また、かかる能動的な流体封入式エンジンマウントでは、目的とする周波数域の振動に対して有効な防振効果を得るために、特許文献1にも記載されているように、一般に、壁部の一部が加振ゴム板で構成されて該加振ゴム板が空気圧加振されることで圧力変動が生ぜしめられる加振室を、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室から独立形成すると共に、それら加振室と受圧室をオリフィス通路を通じて連通し、加振室に生ぜしめられる圧力変動をオリフィス通路を通じて受圧室に及ぼすようにされる。このようにオリフィス通路を通じて加振室から受圧室に圧力伝達する場合には、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用を利用することにより、加振室の圧力変動を受圧室に対して一層効率的に及ぼして、受圧室の圧力制御に基づく能動的な防振効果をより効果的に得ることが可能となるのである。
【0005】
ところが、このような従来構造の空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントについて、本発明者が検討を加えたところ、未だ、充分に満足できる防振性能を得ることが難しいことが判った。その一つの問題は、防振すべき振動周波数域で受圧室を圧力制御すると、その高次成分の加振力が発生して振動が悪化する場合があることであり、別のもう一つの問題は、複数の周波数域の振動が同時に問題となる場合に、それら複数の振動に対して有効な防振効果を得ることが難しいことである。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−184771号公報
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、高次成分による振動状態の悪化を回避しつつ、防振すべき振動に対して能動的防振効果を有効に発揮せしめ得る、新規な構造を有する空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントを提供することにある。
【0008】
また、本発明がもう一つの解決課題とするところは、複数の周波数域の振動に対しても、能動的防振効果を同時に且つ有効に発揮せしめ得る、新規な構造を有する空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントを提供することにある。
【0009】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、(a)互いに離隔配置されて、自動車の内燃機関を含むパワーユニット側とボデー側の各一方に取り付けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、(b)該第一の取付部材と該第二の取付部材を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、(c)該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、(d)該受圧室から独立して形成されて壁部の一部が第一の加振ゴム板で構成された、非圧縮性流体が封入された加振室と、(e)該加振室を前記受圧室に連通せしめる加振室用オリフィス通路と、(f)前記第一の加振ゴム板を挟んで前記加振室と反対側に形成された第一の作用空気室と、(g)該第一の作用空気室に空気圧変動を及ぼすことにより、かかる空気圧変動を前記第一の加振ゴム板に作用せしめて弾性加振させ、前記加振室から前記加振室用オリフィス通路を通じて前記受圧室に圧力変動を及ぼす第一の空気圧制御手段と、(h)前記受圧室の壁部の別の一部を構成する第二の加振ゴム板と、(i)該第二の加振ゴム板を挟んで前記受圧室と反対側に形成された第二の作用空気室と、(j)該第二の作用空気室に空気圧変動を及ぼすことにより、かかる空気圧変動を前記第二の加振ゴム板に作用せしめて弾性加振させ、前記受圧室に圧力変動を及ぼす第二の空気圧制御手段とを、含んで構成されて、前記第一及び第二の空気圧制御手段において、該第一の空気圧制御手段による圧力変動と該第二の空気圧制御手段による圧力変動を前記受圧室に対して同時に及ぼすことによって該受圧室の圧力を制御するようにした空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントにある。
【0011】
このような本態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振マウントにおいては、受圧室に対して加振室用オリフィス通路を通じて圧力変動を及ぼし得る第一の作用空気室および第一の加振ゴム板と、受圧室に対して直接的に圧力変動を及ぼし得る第二の作用空気室および第二の加振ゴム板を備えており、第一の作用空気室と第二の作用空気室に対して、第一の空気圧制御手段と第二の空気圧制御手段によって、各別に且つ同時に空気圧変動を及ぼし得るようになっている。
【0012】
従って、例えば第一の空気圧制御手段で第一の作用空気室に空気圧変動を及ぼすことにより加振室から受圧室に及ぼされる圧力変動が、防振すべき振動の高調波成分などの不必要な周波数成分を有する場合には、かかる不必要な周波数成分に対応した圧力変動を、第二の空気圧制御手段で第二の作用空気室に及ぼして受圧室に生ぜしめて相殺的乃至は能動的に抑えることが可能となる。それによって、防振すべき振動に対する能動的な防振効果が有効に発揮され得ると共に、防振すべき振動よりも高次の周波数成分による振動状態の悪化も回避されて、全体として良好な防振特性が実現され得るのである。
【0013】
或いはまた、例えば複数の周波数域の振動に対して同時に防振効果が要求される場合には、低周波数域の振動に対応した周波数の空気圧変動を第一の空気圧制御手段で第一の作用空気室に生ぜしめて、それを内圧変動として加振室から受圧室に伝達すると同時に、高周波数域の振動に対応した周波数の空気圧変動を第二の空気圧制御手段で第二の作用空気室に生ぜしめて、それを内圧変動として受圧室に伝達することにより、受圧室において、低周波数域の振動と高周波数域の振動との各振動に対応した圧力変動を重ね合わせて生ぜしめることが出来る。それ故、それら二つの互いに異なる周波数域の振動に対して、何れも、能動的な防振効果を有利に得ることが可能となるのである。そこにおいて、特に第二の作用空気室の圧力変動は第二の加振ゴム板で直接的に受圧室に及ぼされることから、充分に高周波数域まで、受圧室の圧力制御に対応することが出来る。
【0014】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントであって、前記第一の空気圧制御手段において、前記加振室用オリフィス通路のチューニング周波数に対してそれ以下の周波数域で少なくとも二つの異なる周波数域の空気圧変動を選択的に前記第一の作用空気室に及ぼすようにすると共に、前記第二の空気圧制御手段において、該第一の作用空気室から該加振室用オリフィス通路を通じて前記加振室に及ぼされる圧力変動の高調波成分に対応した周波数の空気圧変動を前記第二の作用空気室に及ぼすことを、特徴とする。
【0015】
本態様においては、第一の作用空気室に及ぼされる空気圧変動に基づく受圧室の圧力制御によって、互いに異なる複数の周波数域の振動に対してそれぞれ能動的な防振効果を有効に得ることが出来る。そこにおいて、加振室用オリフィス通路は、防振すべきそれら複数の周波数域の振動と同じかそれより高周波数域にチューニングされていることから、加振室用オリフィス通路の反共振による流通抵抗の著しい増大が問題となることもなく、何れの周波数域でも、加振室に生ぜしめられる圧力変動が加振室用オリフィス通路を通じて効率的に受圧室に及ぼされて、目的とする能動的防振効果が有効に発揮され得る。
【0016】
また、加振室用オリフィス通路のチューニング周波数よりも低周波数域では、加振室から受圧室に対して、防振すべき振動の高調波成分等の高次成分が伝達されて高周波数域の振動が悪化するおそれがある。即ち、第一の作用空気室に空気圧変動を生ぜしめるに際しては、一般に、切換バルブを切り換えて第一の作用空気室を大気圧と負圧源に交互に切換接続することによって行われることが多いが、そうすると発生する空気圧変動が矩形波状となってしまい、防振すべき振動が略 sin波形状の加振力を有していることから、それらの力の差によって高調波成分が発生し易い傾向にある。しかし、第一の作用空気室において生ぜしめられて加振室から加振室用オリフィス通路を通じて受圧室に伝達される圧力変動の高次成分に対応する圧力変動を、第二の作用空気室により直接的に受圧室に生ぜしめることにより、受圧室に伝達される高次成分を積極的に抑えることが出来るのであり、高周波数域の防振性能の向上が図られるのである。
【0017】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様1又は2に係る空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントであって、防振すべき振動が周波数の互いに異なる第一の振動と第二の振動を含む場合において、前記第一の空気圧制御手段によって、防振すべき第一の振動の周波数に対応した周波数で前記第一の加振ゴム板を弾性加振すると同時に、前記第二の空気圧制御手段によって、該第一の振動よりも高周波の防振すべき第二の振動の周波数に対応した周波数で前記第二の加振ゴム板を弾性加振するようにしたことを、特徴とする。
【0018】
本態様においては、第一の空気圧制御手段によって第一の作用空気室に生ぜしめられる圧力変動と、第二の空気圧制御手段によって第二の作用空気室に生ぜしめられる圧力変動とを、互いに重ね合わせることにより、同時に及ぼされる複数の周波数域の振動に対してそれぞれ能動的な防振効果を有効に得ることが可能となる。
【0019】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに係る空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントであって、(k)変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が容易に許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、(l)該平衡室を前記受圧室に連通せしめると共に、内部を流動せしめられる流体の共振周波数が前記加振室用オリフィス通路よりも低周波数域にチューニングされた平衡室用オリフィス通路とを、設けたことを、特徴とする。
【0020】
本態様においては、振動入力に際して、受圧室に圧力変動が生ぜしめられることにより、受圧室と平衡室の間で平衡室用オリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。それ故、平衡室用オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、受動的な防振効果が発揮されるのである。しかも、平衡室用オリフィス通路は、第一の作用空気室や第二の作用空気室の圧力制御に基づく能動的な防振効果が発揮される振動周波数域に比して低周波数域にチューニングされていることから、平衡室用オリフィス通路が常時開口状態とされていても、第一の作用空気室や第二の作用空気室の圧力制御によって受圧室に及ぼされる圧力変動に対しては実質的に目詰まり状態となり、能動的な防振効果を得るための受圧室における制御圧力が平衡室用オリフィス通路を通じて逃げてしまうようなこともないのである。なお、平衡室を画成する可撓性膜は、平衡室用オリフィス通路を通じての流体流動量を有利に得るために、壁ばね剛性が出来るだけ小さく設定されることとなり、少なくとも第一及び第二の加振ゴム板よりは充分に柔らかく形成される。
【0021】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様4に係る空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウントにおいて、前記第二の取付部材を略円筒形状として、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置すると共に、該第一の取付部材と該第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結することによって該第二の取付部材の該一方の開口部を流体密に覆蓋する一方、該第二の取付部材の他方の開口部をゴム弾性膜で覆蓋すると共に、該第二の取付部材に仕切部材を嵌め込んで該本体ゴム弾性体と該ゴム弾性膜の対向面間に配設し、該仕切部材と該本体ゴム弾性体の間に前記受圧室を形成すると共に、該仕切部材の該受圧室に面する側に前記第二の加振ゴム板を組み付けて該第二の加振ゴム板の背後に前記第二の作用空気室を形成する一方、該第二の取付部材の該他方の開口部側から略有底円筒形状の蓋部材を外嵌固定して、該蓋部材によって該ゴム弾性膜の径方向中間部分を周方向に連続して環状に該仕切部材に対して押圧拘束することにより、該ゴム弾性膜の中央部分によって前記第一の加振ゴム板を構成して該第一の加振ゴム板と該仕切部材の間に前記加振室を形成すると共に、該第一の加振ゴム板と該蓋部材の間に前記第一の作用空気室を形成し、更に該ゴム弾性膜の外周部分によって前記可撓性膜を構成して該可撓性膜と該仕切部材の間に前記平衡室を形成すると共に、該可撓性膜と該蓋部材の間に形成された空間領域で該可撓性膜の変形を許容するようにしたことを、特徴とする。
【0022】
本態様においては、受圧室や加振室,平衡室,第一及び第二の作用空気室を、少ない部品点数と優れたスペース効率をもって形成することが可能であり、前述の如き自動車の走行状態に応じて自動的に防振特性が切り換えられる流体封入式防振装置がコンパクトに実現可能となる。
【0023】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0024】
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が離隔配置されていると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性連結された構造を有しており、第一の取付金具12が自動車のパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が自動車のボデー側に取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
【0025】
より詳細には、第一の取付金具12は、上下方向に延びる大径ロッド形のブロック形状を有しており、下端部分が略逆円錐台形状とされいると共に、上端面に開口してねじ穴18が形成されている。そして、かかるねじ穴18に螺着される図示しないボルトにより、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
【0026】
また、第一の取付金具12には、本体ゴム弾性体16が加硫接着されている。かかる本体ゴム弾性体16は、下方に向かって拡径する全体として大径の略円錐台形状を呈していると共に、大径側端面に開口する逆すり鉢形状の凹部20を有している。そして、本体ゴム弾性体16の小径側端面から第一の取付金具12の下端部分が軸方向に差し入れられた状態で加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、略大径円筒形状の金属スリーブ22が重ね合わされて加硫接着されている。
【0027】
一方、第二の取付金具14は、大径の略段付き円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部24を挟んで、軸方向上部が大径部26とされていると共に、軸方向下部が小径部28とされている。また、これら大径部26および小径部28の内周面には、それぞれ、略全面を覆う薄肉のシールゴム層30が設けられて加硫接着されていると共に、小径部28側の開口部には、ゴム弾性膜32が配されており、このゴム弾性膜32の外周縁部が第二の取付金具14の開口周縁部に加硫接着されることによって、第二の取付金具14の下側開口部が流体密に閉塞されている。なお、本実施形態では、ゴム弾性膜32が、シールゴム層30と一体成形されている。
【0028】
また、ゴム弾性膜32は、その中央部分が、所定の肉厚寸法をもって広がる円板形状の第一の加振ゴム板34とされている。また、ゴム弾性膜32の外周部分は、第一の加振ゴム板34の外周縁部から外周側に延び出して、軸方向に湾曲乃至は屈曲しながら弛みをもって広がる、充分に薄肉で変形容易とされた可撓性膜としてのダイヤフラム36とされている。
【0029】
そして、第二の取付金具14は、その大径部26が金属スリーブ22に外挿されて、絞り加工で嵌着固定されることによって、本体ゴム弾性体16の外周面に固着されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、防振すべき振動の主たる入力方向となる略同一の中心軸上に位置するようにして、相互に離隔して配設されており、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。また、第二の取付金具14の大径部26が本体ゴム弾性体16に固着されることにより、第二の取付金具14の上側開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。
【0030】
なお、第二の取付金具14は、図面上に明示はされていないが、適当なブラケットを介して、自動車のボデーに対して固定的に取り付けられるようになっている。
【0031】
また、第二の取付金具14には、その小径部28に仕切部材38が収容されており、本体ゴム弾性体16とゴム弾性膜32の対向面間に配されている。この仕切部材38は、金属や合成樹脂等の硬質材で形成されており、略円形ブロック形状を有している。そして、かかる仕切部材38は、第二の取付金具14の小径部28に嵌め込まれて、該小径部28への圧入組付けや、該小径部28の絞り加工等によって、その円筒状外周面が、小径部28に対して、シールゴム層30を挟んで流体密に密着固定されている。
【0032】
このように仕切部材38が第二の取付金具14内に組み付けられることによって、本体ゴム弾性体16とゴム弾性膜32の間に形成されて、外部空間に対して密閉された領域が、該仕切部材38によって流体密に二分されている。そして、仕切部材38の上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された受圧室40が形成されている。更に、受圧室40には、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。なお、かかる封入流体としては、後述する流体の共振作用に基づく防振効果が有効に発揮されるように、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
【0033】
さらに、仕切部材38の下面中央部分には、下側ポケット部42が形成されており、この下側ポケット部42の開口部に対して、第一の加振ゴム板34が重ね合わされている。また、第二の取付金具14には、軸方向下方から蓋部材としての蓋金具44が組み付けられている。この蓋金具44は、全体として略有底円筒形状を有しており、その筒壁部において第二の取付金具14の小径部28に外嵌固定されている。また、蓋金具44の底壁部には、中央部分か軸方向上方に突出せしめられて円形の中央突部46が形成されていると共に、かかる中央突部46の上底部には、上方に向かって開口する凹所48が設けられている。
【0034】
そして、かかる蓋金具44の底壁部は、中央突部46の外周縁部がゴム弾性膜32に形成された第一の加振ゴム板34の外周縁部に当接せしめられて、該第一の加振ゴム板34の外周縁部を仕切部材38の下面に押し付けて流体密に挟圧固定している。これにより、第一の加振ゴム板34は、仕切部材38の下面中央に設けられた下側ポケット部42と中央突部46の凹所48との間で、自由に変形可能な状態で軸直角方向に広がって配設されている。
【0035】
以て、仕切部材38の下側ポケット部42が第一の加振ゴム板34で流体密に覆蓋されることにより、前述の受圧室40と同じ非圧縮性流体が封入された加振室50が形成されている。また、第一の加振ゴム板34を挟んで、加振室50と反対側には、蓋金具44の凹所48の開口が第一の加振ゴム板34で流体密に覆蓋されることによって第一の作用空気室52が形成されている。
【0036】
さらに、加振室50を画成する蓋金具44における中央突部46の上底部中央には、ポート部54が形成されている。而して、自動車への装着状態下では、このポート部54に対して第一の空気管路56が接続されており、以て、第一の空気管路56を通じて外部から第一の作用空気室52に空気圧が及ぼされるようになっている。そして、第一の空気管路56を通じて第一の作用空気室52に空気圧変動が及ぼされると、第一の加振ゴム板34が加振駆動されて、加振室50に対して圧力変動が生ぜしめられるようになっている。
【0037】
また、仕切部材38には、下側ポケット部42の底部から軸方向上方に延びて受圧室40にまで至る形態をもって、加振室用オリフィス通路としての第一のオリフィス通路58が形成されている。これにより、受圧室40と加振室50は、第一のオリフィス通路58を通じて、常時、相互に連通せしめられており、加振室50に圧力変動が生ぜしめられると、かかる圧力変動が、第一のオリフィス通路58を通じて受圧室40に伝達されて、受圧室40の圧力が制御されるようになっている。
【0038】
なお、本実施形態では、第一のオリフィス通路58が、20〜40≡程度の中周波中振幅であるアイドリング振動よりも高周波数域にチューニングされており、例えば50〜80≡程度のやや高周波小振幅である低速走行時のこもり音等に相当する周波数域にチューニングされている。そして、第一の加振ゴム板34を、そのチューニング周波数以下の周波数である、アイドリング振動や低速走行時のこもり音等に相当する周波数域で空気圧加振して加振室50に圧力変動を生ぜしめることにより、かかる加振室50の圧力変動が、第一のオリフィス通路58を通じて効率的に受圧室40に伝達されるようになっている。
【0039】
更にまた、ゴム弾性膜32のダイヤフラム36は、仕切部材38の下面との間に平衡室60を形成しており、かかる平衡室60には、前記受圧室40や加振室50と同じ非圧縮性流体が封入されている。また、ダイヤフラム36を挟んで、平衡室60と反対側には、ダイヤフラム36と蓋金具44との間に、空間領域としての所定容積の空気室62が形成されている。この空気室62は、外部空間に連通されていても良いが、ダイヤフラム36の自由な変形を容易に許容し得るだけの容積をもって形成されている。
【0040】
また、仕切部材38には、軸方向下端部の近くを周方向に一周弱の長さで延びる周溝64が、外周面に開口して形成されており、この周溝64が、第二の取付金具14の小径部28で覆蓋されることにより、平衡室用オリフィス通路としての第二のオリフィス通路66が形成されている。そして、この第二のオリフィス通路66は、その周方向の一方の端部が、仕切部材38を軸方向上方に延びる通孔68によって受圧室40に接続されていると共に、他方の端部が、仕切部材38を軸方向下方に延びる通孔70を通じて平衡室60に接続されている。
【0041】
これにより、受圧室40と平衡室60は、第二のオリフィス通路66を通じて、常時、相互に連通せしめられており、振動入力に際しての本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って受圧室40に圧力変動が生ぜしめられると、受圧室40と平衡室60の相対的な圧力変動に基づいて第二のオリフィス通路66を通じての流体流動が生ぜしめられるようになっている。なお、本実施形態では、かかる第二のオリフィス通路66が、エンジンシェイクに相当する10≡程度の低周波大振幅の周波数域にチューニングされており、エンジンシェイク振動の入力時に第二のオリフィス通路66を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて受動的な防振効果(高減衰効果)が有効に発揮されるようになっている。
【0042】
また一方、受圧室40に面する仕切部材38の上面中央には、略ボウル形状の上側ポケット部72が形成されていると共に、この上側ポケット部72の開口部に対して第二の加振ゴム板74が組み付けられている。第二の加振ゴム板74は、所定厚さの円板形状を有しており、外周縁部には嵌着リング76が加硫接着されている。そして、この嵌着リング76が上側ポケット部72の開口部に圧入固定されることにより、上側ポケット部72が第二の加振ゴム板74で流体密に覆蓋されて、第二の作用空気室78が形成されている。要するに、第二の加振ゴム板74を挟んで、一方の側に受圧室40が形成されていると共に、他方の側には第二の作用空気室78が形成されている。
【0043】
なお、仕切部材38の上面には、薄肉円板形状の蓋板金具80が重ね合わされて、第二の加振ゴム板74の上方を、該第二の加振ゴム板74との間に、第二の加振ゴム板74の弾性変形を許容し得るだけの隙間を有する状態で覆うようにして配設されており、第二の加振ゴム板74の蓋板金具80への当接によって該第二の加振ゴム板74の弾性変形量が制限されるようになっている。また、蓋板金具80の第二の加振ゴム板74に対向位置する部分には、充分な大きさの透孔82が形成されて、受圧室40の圧力が透孔82を通じて第二の加振ゴム板74の上面に直接的に作用せしめられるようになっており、第二の加振ゴム板74が実質的に受圧室40の壁部の一部を構成している。
【0044】
更にまた、仕切部材38の内部には空気通路84が形成されており、この空気通路84の一方の端部が上側ポケット部72の底面に開口せしめられていると共に、空気通路84の他方の端部が、仕切部材38の外周面に形成されたポート部86に開口せしめられている。なお、かかるポート部86は、第二の取付金具14の小径部28に設けられた開口窓88を通じて外部に露呈されている。
【0045】
而して、自動車への装着状態下では、開口窓88を通じて差し入れられる第二の空気管路90がポート部86に固着されて空気通路84に接続されており、以て、第二の空気管路90を通じて外部から第二の作用空気室78に空気圧が及ぼされるようになっている。そして、第二の空気管路90を通じて第二の作用空気室78に空気圧変動が及ぼされると、第二の加振ゴム板74が加振駆動されて、受圧室40に対して圧力変動が直接的に生ぜしめられるようになっている。
【0046】
このような構造とされたエンジンマウント10は、自動車への装着状態下において、第一の作用空気室52に接続された第一の空気管路56が、第一の電磁切換弁92に接続されており、該第一の切換弁92が第一の制御装置93で切換作動せしめられることにより、第一の作用空気室52が大気中と負圧源94とに交互に切換接続されるようになっている。これにより、第一の作用空気室52には、第一の切換弁92の切換作動に対応した周波数と位相をもって、空気圧変動が及ぼされるようになっている。
【0047】
また一方、第二の作用空気室78に接続された第二の空気管路90が、第二の電磁切換弁96に接続されており、該第二の切換弁96が第二の制御装置97で切換作動せしめられることにより、第二の作用空気室78が大気中と負圧源94とに交互に切換接続されるようになっている。これにより、第二の作用空気室78には、第二の切換弁96の切換作動に対応した周波数と位相をもって、空気圧変動が及ぼされるようになっている。
【0048】
なお、負圧源94としては、例えば負圧ポンプ等の他、自動車の内燃機関におけるインテーク側マニホールドに生ぜしめられる負圧を採用することも可能である。そこにおいて、負圧源94や負圧の伝達管路上においては、例えば微小な空気圧変動を解消させるためのアキュムレータや、油分の第一及び第二の作用空気室52,78への流入を防振するためのフィルタ等を採用しても良い。本実施形態では、第一及び第二の空気管路56,90上において、第一及び第二の切換弁92,96と負圧源94の間に、例えば油分の第一及び第二の作用空気室52,78への侵入を防止するための第一及び第二の逆止弁98,100がそれぞれ配設されている。
【0049】
また、これらの説明からも明らかなように、本実施形態では、第一の作用空気室52に空気圧変動を及ぼすことにより、かかる空気圧変動を第一の加振ゴム板34に作用せしめて弾性加振させ、加振室50から第一のオリフィス通路58を通じて受圧室40に圧力変動を及ぼす第一の空気圧制御手段が、第一の切換弁92や第一の制御装置93を含んで構成されていると共に、第二の作用空気室78に空気圧変動を及ぼすことにより、かかる空気圧変動を第二の加振ゴム板74に作用せしめて弾性加振させ、受圧室40に圧力変動を及ぼす第二の空気圧制御手段が、第二の切換弁96や第二の制御装置97を含んで構成されている。
【0050】
上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、第一及び第二の制御装置93, 97において、例えば自動車のエンジン回転数やエンジン点火パルス信号,トランスミッション信号,走行速度信号,スロットル開度信号等を考慮して、第一及び第二の切換弁92,96を、防振すべき振動に対応した周期と位相で切換作動せしめることによって、自動車における各種の走行条件下で、それぞれ要求される異なる防振特性を実現することが可能となる。なお、第一及び第二の制御装置93, 97において、防振を目的とする振動の周波数や位相に対応して第一及び第二の切換弁92,96を切換作動せしめる制御方法は、従来から公知のものが採用可能であり、ここでは詳述しない。
【0051】
具体的には、例えば、自動車の停車状態であるアイドリング状態と、自動車の走行状態との間で、第一及び第二の切換弁92,96の作動態様を変更制御することによって、停車状態で要求されるアイドリング振動に対して有効な能動的防振効果を得ることが出来ると共に、走行状態で要求される走行時のこもり音とエンジンシェイクの二つの振動に対して何れも有効な能動的防振効果を得ることが可能となるのである。
【0052】
すなわち、アイドリング状態においては、第一の制御装置93により、第一の切換弁92を、アイドリング振動に対応した周波数(例えば、30≡)と位相で切換作動せしめる。これにより、第一の作用空気室52に対してアイドリング振動に対応した空気圧変動が生ぜしめられ、かかる空気圧変動で第一の加振ゴム板34が加振されることにより加振室50に惹起される圧力変動が、第一のオリフィス通路58を通じて受圧室40に及ぼされることとなる。そして、このように受圧室40の圧力変動をアイドリング振動に対応して制御することにより、アイドリング振動に対して能動的な防振効果を得ることが出来るのである。
【0053】
また、それと同時に、第二の制御装置97により、第二の切換弁96を、アイドリング振動の高調波成分に対応した周波数と位相で切換作動せしめる。これにより、第一の作用空気室52の空気圧変動に基づいて加振室50に生ぜしめられて、第一のオリフィス通路58から受圧室40に伝達される高調波成分を、相殺的乃至は積極的に抑えることが可能となるのである。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、防振すべき振動がアイドリング振動とされていると共に、その高調波成分による振動の悪化が抑えられるようになっている。
【0054】
一方、自動車の走行状態においては、第一の制御装置93により、第一の切換弁92を、走行時のこもり音のうちの低周波成分に対応した周波数(例えば60≡程度)と位相で切換作動せしめる。これにより、第一の作用空気室52に対して走行時のこもり音の低周波成分に対応した空気圧変動が生ぜしめられ、かかる空気圧変動で第一の加振ゴム板34が加振されることにより加振室50に惹起される圧力変動が、第一のオリフィス通路58を通じて受圧室40に及ぼされることとなる。そして、このように受圧室40の圧力変動を走行時のこもり音のうちの低周波成分に対応して制御することにより、走行時のこもり音の低周波成分に対して能動的な防振効果を得ることが出来るのである。
【0055】
また、それと同時に、第二の制御装置97により、第二の切換弁96を、走行時のこもり音のうちの高周波成分に対応した周波数(例えば100≡程度)と位相で切換作動せしめる。これにより、第二の作用空気室78に対して走行時のこもり音の高周波成分に対応した空気圧変動が生ぜしめられ、かかる空気圧変動で第二の加振ゴム板74が加振されることにより受圧室40に対して、走行時のこもり音のうちの高周波成分の圧力制御が及ぼされることとなり、以て、走行時のこもり音の高周波成分に対して能動的な防振効果を得ることが出来るのである。
【0056】
なお、本実施形態では、受圧室40と平衡室60が第二のオリフィス通路66によって常時、連通状態とされていることにより、走行状態下で第一及び第二の加振ゴム板34,74の加振周波数よりも充分に低い振動であるエンジンシェイク振動(例えば10≡程度)が入力された場合に、受圧室40と平衡室60の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動として、この第二のオリフィス通路66を通じて受圧室40と平衡室60の間での流体流動が生ぜしめられる。これにより、かかる流体の共振作用に基づいて、低周波振動に対して受動的な防振効果が、上述の如き能動的な防振効果と併せて有効に発揮され得る。
【0057】
また、第二のオリフィス通路66は、前述の如き、第一及び第二の加振ゴム板34,74の加振に基づく能動的な防振効果が発揮される周波数域に比して、充分に低い周波数域にチューニングされていることから、能動的な圧力制御周波数域による反共振作用に起因して実質的に第二のオリフィス通路66が目詰まり状態となる。それ故、第一及び第二の加振ゴム板34,74の加振に基づく受圧室40の積極的な圧力制御による上述の如き能動的防振効果において、かかる第二のオリフィス通路66を通じての圧力吸収等に起因する能動的防振効果の低下が問題となるようなこともない。
【0058】
また、アイドリング振動や走行時のこもり音に対応した周波数や位相に基づく第一及び第二の切換弁92,96の制御は、前述したように従来からの能動型防振装置において周知であることからここでは詳述しないが、例えば、第一及び第二の制御装置93, 97において、内燃機関であるエンジンの点火パルス信号に基づいて、マップ制御や適応制御,フィードバック制御等の手法を用いることにより、行うようにされる。
【0059】
従って、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、自動車の停車状態であるアイドリング状態下で、受圧室40における高調波成分の発生が第二の加振ゴム板74の加振制御で相殺的乃至は積極的に抑えられることにより、第一の加振ゴム板34の加振制御に基づくアイドリング振動に対する能動的な防振効果が、より有効に発揮され得る。
【0060】
また、自動車の走行状態下では、防振すべき走行こもり音の振動周波数が複数乃至は広い場合でも、第一の加振ゴム板34の加振制御による受圧室40の圧力制御と、第二の加振ゴム板74の加振制御による受圧室40の圧力制御が、相互に重ね合わせられて受圧室40の圧力制御が実現されることから、それら複数の乃至は広い周波数域の走行こもり音に対して、何れも、受圧室40の圧力制御に基づく能動的な防振効果が有効に発揮され得るのである。
【0061】
また、それに加えて本実施形態では、第二のオリフィス通路66を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される受動的な防振効果によって、上述の如き走行こもり音に対する能動的な防振効果と同時に、エンジンシェイク振動に相当する低周波数域の振動に対しても優れた防振性能が発揮されることとなる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0063】
例えば、第一のオリフィス通路58や第二のオリフィス通路66の形状や構造は、何等限定されるものでなく、マウント本体の構造やマウントサイズ等を考慮して、適宜に変更可能である。また、第二のオリフィス通路66は、必ずしも設けられる必要はない。
【0064】
また、前記実施形態では、走行状態や要求される防振性能に応じて、状況によっては、第一の作用空気室52及び/又は第二の作用空気室78に対する空気圧制御を一時的に中止する態様も採用可能であることは、言うまでもない。その他、状況によっては、第一の作用空気室52及び/又は第二の作用空気室78に対して、静的な負圧を及ぼして、第一の加振ゴム板34及び/又は第二の加振ゴム板74を高ばね化させたり、変形拘束したりすることで、防振特性を調節することも可能である。
【0065】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、その他、本発明は、特に複数の乃至は広い周波数域に亘る振動に対して防振効果が要求される各種振動部材における防振装置に対して、何れも、有効に適用され得る。
【0066】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた能動型流体封入式防振マウントにおいては、第一の空気圧制御手段による圧力変動と第二の空気圧制御手段による圧力変動を同時に及ぼすことによって受圧室の圧力が制御されることにより、複数の乃至は広い周波数域の振動の防振に対して有利に対応することが出来、従来の防振装置では実現出来なかった程に有効な防振効果を発揮し得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
34 第一の加振ゴム板
40 受圧室
50 加振室
52 第一の作用空気室
58 第一のオリフィス通路
74 第二の加振ゴム板
78 第二の作用空気室
92 第一の切換弁
93 第一の制御装置
94 負圧源
96 第二の切換弁
97 第二の制御装置

Claims (5)

  1. 互いに離隔配置されて、自動車の内燃機関を含むパワーユニット側とボデー側の各一方に取り付けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、
    該第一の取付部材と該第二の取付部材を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、
    該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、
    該受圧室から独立して形成されて壁部の一部が第一の加振ゴム板で構成された、非圧縮性流体が封入された加振室と、
    該加振室を前記受圧室に連通せしめる加振室用オリフィス通路と、
    前記第一の加振ゴム板を挟んで前記加振室と反対側に形成された第一の作用空気室と、
    該第一の作用空気室に空気圧変動を及ぼすことにより、かかる空気圧変動を前記第一の加振ゴム板に作用せしめて弾性加振させ、前記加振室から前記加振室用オリフィス通路を通じて前記受圧室に圧力変動を及ぼす第一の空気圧制御手段と、
    前記受圧室の壁部の別の一部を構成する第二の加振ゴム板と、
    該第二の加振ゴム板を挟んで前記受圧室と反対側に形成された第二の作用空気室と、
    該第二の作用空気室に空気圧変動を及ぼすことにより、かかる空気圧変動を前記第二の加振ゴム板に作用せしめて弾性加振させ、前記受圧室に圧力変動を及ぼす第二の空気圧制御手段とを、
    含んで構成されて、前記第一及び第二の空気圧制御手段において、該第一の空気圧制御手段による圧力変動と該第二の空気圧制御手段による圧力変動を前記受圧室に対して同時に及ぼすことによって該受圧室の圧力を制御するようにしたことを特徴とする空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウント。
  2. 前記第一の空気圧制御手段において、前記加振室用オリフィス通路のチューニング周波数に対してそれ以下の周波数域で少なくとも二つの異なる周波数域の空気圧変動を選択的に前記第一の作用空気室に及ぼすようにすると共に、前記第二の空気圧制御手段において、該第一の作用空気室から該加振室用オリフィス通路を通じて前記加振室に及ぼされる圧力変動の高調波成分に対応した周波数の空気圧変動を前記第二の作用空気室に及ぼす請求項1に記載の空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウント。
  3. 防振すべき振動が周波数の互いに異なる第一の振動と第二の振動を含む場合において、前記第一の空気圧制御手段によって、防振すべき第一の振動の周波数に対応した周波数で前記第一の加振ゴム板を弾性加振すると同時に、前記第二の空気圧制御手段によって、該第一の振動よりも高周波の防振すべき第二の振動の周波数に対応した周波数で前記第二の加振ゴム板を弾性加振するようにした請求項1又は2に記載の空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウント。
  4. 変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が容易に許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、
    該平衡室を前記受圧室に連通せしめると共に、内部を流動せしめられる流体の共振周波数が前記加振室用オリフィス通路よりも低周波数域にチューニングされた平衡室用オリフィス通路とを、
    設けた請求項1乃至3の何れかに記載の空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウント。
  5. 前記第二の取付部材を略円筒形状として、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置すると共に、該第一の取付部材と該第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結することによって該第二の取付部材の該一方の開口部を流体密に覆蓋する一方、該第二の取付部材の他方の開口部をゴム弾性膜で覆蓋すると共に、該第二の取付部材に仕切部材を嵌め込んで該本体ゴム弾性体と該ゴム弾性膜の対向面間に配設し、該仕切部材と該本体ゴム弾性体の間に前記受圧室を形成すると共に、該仕切部材の該受圧室に面する側に前記第二の加振ゴム板を組み付けて該第二の加振ゴム板の背後に前記第二の作用空気室を形成する一方、該第二の取付部材の該他方の開口部側から略有底円筒形状の蓋部材を外嵌固定して、該蓋部材によって該ゴム弾性膜の径方向中間部分を周方向に連続して環状に該仕切部材に対して押圧拘束することにより、該ゴム弾性膜の中央部分によって前記第一の加振ゴム板を構成して該第一の加振ゴム板と該仕切部材の間に前記加振室を形成すると共に、該第一の加振ゴム板と該蓋部材の間に前記第一の作用空気室を形成し、更に該ゴム弾性膜の外周部分によって前記可撓性膜を構成して該可撓性膜と該仕切部材の間に前記平衡室を形成すると共に、該可撓性膜と該蓋部材の間に形成された空間領域で該可撓性膜の変形を許容するようにした請求項4に記載の空気圧制御式の能動型流体封入式防振マウント。
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