JP3700610B2 - 空気圧制御式防振装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、防振連結される部材間に介装されて、それら両部材間における振動の伝達を受動的乃至は能動的に低減する防振連結体や、振動を抑制すべき制振対象に装着されて制振対象における振動を受動的乃至は能動的に低減する制振器等の防振装置とその制御方法に係り、特に、外部から及ぼされる空気圧によって防振特性を調節することの出来る空気圧制御式の防振装置とその空気圧制御方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、自動車のボデーやマフラ等のように振動(振動に起因する騒音等を含む)が問題とされる防振対象部材においては、その振動を低減するために、振動部材と防振対象部材の間に介装されて振動部材から防振対象部材への振動伝達を抑えるエンジンマウント等の防振連結体や、防振対象部材に直接に取り付けられて防振対象部材の振動を抑える制振器等といった防振装置が、用いられている。
【0003】
そして、このような防振装置の一種として、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧を制御することにより防振特性を調節するようにした空気圧制御式の防振装置が知られており、例えば、防振すべき振動の周波数が状況等によって変化する振動系等への適用が検討されている。
【0004】
具体的には、例えば特開平4−60231号公報等には、互いに離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された流体室を形成すると共に、該流体室の圧力を制御する作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を静的に調節することにより、第一の取付部材と第二の取付部材の間での振動伝達特性を調節するようにした受動型の防振連結体が、開示されている。また、特開2000−304085号公報等には、互いに離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された流体室を形成すると共に、該流体室の圧力を制御する作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を防振すべき振動周波数に対応した周期で動的に調節することにより、第一の取付部材と第二の取付部材の間での振動伝達力を相殺的に低減せしめるようにした能動型の防振連結体が、開示されている。更にまた、特開平10−169705号公報等には、防振対象部材に取り付けられる支持部材に対して、マス部材を、本体ゴム弾性体を介して相対変位可能に弾性支持せしめて防振対象部材に対する副振動系を構成すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を防振すべき振動周波数に対応した周期で動的に調節することにより、副振動系の共振作用を利用して加振力を生ぜしめて、防振対象部材の振動を相殺的に低減せしめるようにした能動型の制振器が、開示されている。
【0005】
しかしながら、このような従来構造の空気圧制御式の防振装置においては、何れも、特開平11−6540号公報に示されているように、三方切換弁を用いて作用空気室を大気中と負圧源に択一的に接続することにより、作用空気室の圧力を静的乃至は動的に調節するようにされていることから、作用空気室の圧力制御の自由度が制限されてしまうと共に、圧力制御精度を安定して確保することが難しいという問題があったのである。
【0006】
特に、負圧源における負圧の大きさが変動する場合には、作用空気室に及ぼされる負圧値が変化することによって、目的とする防振効果を安定して得ることが困難となる。また、前記特開平4−60231号公報等に記載の受動型防振装置においては、作用空気室の空気圧を、大気圧と負圧源の負圧以外の大きさに設定することが難しいことから、防振特性の設定範囲が極めて限定的となってしまうという問題があった。更にまた、前記特開2000−304085号公報や特開平10−169705号公報等に記載の能動型防振装置においては、三方切換弁の切換時に作用空気室に急激な圧力変動が惹起されることによって、発生加振力の波形が、防振すべき振動波形に対して大きく歪んでしまい、発生加振力における高調波成分が大きくなって、目的とする防振効果を安定して得ることが難しいという問題もあった。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、作用空気室の圧力を大きな自由度と良好な精度で制御することが可能とされて、優れた防振性能を安定して得ることが出来る、新規な構造の空気圧制御式防振装置とその制御方法を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
すなわち、空気圧制御式防振装置に関する本発明の第一の態様は、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧を制御することにより防振特性を調節するようにした空気圧制御式防振装置において、前記作用空気室に対して、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを並列的に接続せしめて、該第一の開閉バルブを通じて該作用空気室を大気中に接続すると共に、該第二の開閉バルブを通じて該作用空気室を負圧源に接続するようにしたことを、特徴とする。
【0009】
このような本態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、作用空気室の大気中への接続と負圧源への接続を、互いに独立して制御することが可能となるのであり、例えば、従来の三方切換弁による大気中と負圧源への択一的な連通/遮断によっては実現出来なかった、作用空気室の大気中と負圧源に対する両者同時の遮断や連通を含めて、作用空気室を大気中と負圧源に連通/遮断制御することが可能となる。それ故、本態様の空気圧制御式防振装置においては、作用空気室の圧力や圧力変動を、大きな自由度をもって制御することが可能となり、要求される防振性能に対して容易に且つ有利に対応することが可能となるのである。
【0010】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置であって、振動部材に取り付けられる第一の取付部材と防振対象に取り付けられる第二の取付部材を互いに離隔配置すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結することにより、該振動部材と該防振対象の間に介装されて該振動部材から該防振対象に伝達される振動を低減する防振連結体において、外部空間に対して遮断された前記作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を静的に調節することにより、前記本体ゴム弾性体によって弾性連結された前記第一の取付部材と第二の取付部材の間における振動伝達特性を変更調節するようにした空気圧制御式防振連結体を、特徴とする。
【0011】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式防振連結体においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して作用空気室を大気圧と負圧源の負圧の中間圧力に調節した状態で、それら第一及び第二の開閉バルブを共に遮断して作用空気室を密閉保持せしめることにより、作用空気室の圧力を大気圧と負圧源圧力の間の適当な値に設定保持せしめることが出来るのであり、それによって、防振装置における受動的な防振特性の設定自由度が有利に確保され得ることとなり、例えば、防振すべき振動周波数が変化する場合においても、受動的防振効果を有効に且つ安定して得ることが可能となるのである。そして、このような本態様は、例えば、自動車用エンジンマウントやボデーマウントに対して、特に有利に適用され得る。
【0012】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置乃至は防振連結体であって、振動部材に取り付けられる第一の取付部材と防振対象に取り付けられる第二の取付部材を互いに離隔配置すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結することにより、該振動部材と該防振対象の間に介装されて該振動部材から該防振対象に伝達される振動を低減する防振連結体において、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧変動に基づいて防振すべき振動周波数に対応した加振力を生ぜしめることにより、第一の取付部材から第二の取付部材への振動伝達を相殺的に低減せしめるようにした空気圧制御式防振連結体を、特徴とする。
【0013】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式防振連結体においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して、作用空気室の第一の開閉バルブを通じての大気中への接続状態と、作用空気室の第二の開閉バルブを通じての負圧源への接続状態とを切り換える際に、作用空気室をそれら大気中と負圧源の何れからも独立させることが出来るのであり、それによって、例えば作用空気室に及ぼされる圧力変動幅の大きさや、作用空気室における圧力変動の形態を、防振すべき振動に応じて適当に調節することにより、発生加振力による過度の加振や高調波成分による悪影響を防止せしめて、能動的な防振効果をより有効に得ることが可能となる。そして、このような本態様は、例えば、自動車用エンジンマウントやボデーマウントに対して、特に有利に適用され得る。
【0014】
また、本発明の第四の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置であって、防振対象に取り付けられる支持部材に対してマス部材を相対変位可能に離隔配置すると共に、該マス部材を該支持部材に対して支持ゴム弾性体によって弾性支持せしめることにより、該マス部材と該支持ゴム弾性体を含んで該防振対象に対する副振動系を構成し、かかる副振動系の共振作用に基づいて、防振対象の振動を低減せしめる制振器において、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を静的に調節することにより、前記副振動系においてマス部材の支持ばね特性を調節して固有振動数を変更調節するようにした空気圧制御式制振器を、特徴とする。
【0015】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式制振器においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して作用空気室を大気圧と負圧源の負圧の中間圧力に調節した状態で、それら第一及び第二の開閉バルブを共に遮断して作用空気室を密閉保持せしめることにより、作用空気室の圧力を大気圧と負圧源圧力の中間の適当な値に設定保持せしめることが出来るのであり、それによって、制振器における受動的な制振特性、即ち動的吸振器としての制振効果の設定自由度が有利に確保され得ることとなり、例えば、防振すべき振動周波数が変化する場合においても、受動的な制振効果を有効に且つ安定して得ることが可能となるのである。そして、このような本態様は、例えば、自動車のボデーや排気管に対する制振器等に有利に適用され得る。
【0016】
また、本発明の第五の態様は、前記第一又は第四の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置乃至は制振器であって、防振対象に取り付けられる支持部材に対してマス部材を相対変位可能に離隔配置すると共に、該マス部材を該支持部材に対して支持ゴム弾性体によって弾性支持せしめることにより、該マス部材と該支持ゴム弾性体を含んで該防振対象に対する副振動系を構成した制振器において、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧変動に基づいて、副振動系の共振作用を利用してマス部材を加振変位せしめて、それに伴う大きな加振力を防振対象に及ぼすことにより、防振対象における振動を相殺的に低減せしめるようにした空気圧制御式制振器を、特徴とする。
【0017】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式制振器においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して、作用空気室の第一の開閉バルブを通じての大気中への接続状態と、作用空気室の第二の開閉バルブを通じての負圧源への接続状態とを切り換える際に、作用空気室をそれら大気中と負圧源の何れからも独立させることが出来るのであり、それによって、例えば作用空気室に及ぼされる圧力変動幅の大きさや、作用空気室における圧力変動の形態を、防振すべき振動に応じて適当に調節することにより、発生加振力による過度の加振や高調波成分による悪影響が防止されて、能動的な制振効果をより有効に得ることが可能となる。そして、このような本態様は、例えば、自動車のボデーや排気管に対する制振器等に有利に適用され得る。
【0018】
また、上述の如き本発明の第一乃至第五の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置の何れにおいても、必須ではないが、非圧縮性流体が封入された流体室を採用し、該流体室に封入された非圧縮性流体の圧力変動や共振作用等を利用することにより、防振性能の向上を図ることも可能である。
【0019】
そこにおいて、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置であって、第一の部材と第二の部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて振動が入力される主液室と、弾性変位可能な可動部材で壁部の一部が構成されて該可動部材の変位に基づいて圧力変化が生ぜしめられる副液室を形成して、それら主液室と副液室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該可動部材を挟んで該副液室と反対側に前記作用空気室を形成したことを、特徴とする。
【0020】
このような本態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、振動入力に際して惹起される主液室と副液室の間での相対的な圧力変動に基づいてオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等を利用することにより、一層優れた防振効果を得ることが出来るのであり、例えば、前記第二又は第四の態様を本態様に組み合わせて採用して、作用空気室における静的な圧力値を、複数段階に調節設定することにより、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振周波数を複数段階に変更設定することが可能となり、それによって、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して、何れも、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される受動的な防振効果を得ることが可能となるのである。また、例えば、前記第三又は第五の態様を本態様に組合せて採用して、作用空気室における動的な圧力変動の幅や形態を適当に調節設定することにより、作用空気室の圧力変動を、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて一層効率的に伝達させることにより、一層有効な防振効果を得ることが可能となるのである。
【0021】
また、本発明の第七の態様は、前記第六の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記主液室および前記副液室の何れからも独立して、壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成されて該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室を形成すると共に、該平衡室を主液室に接続せしめる第二のオリフィス通路を形成し、該第二のオリフィス通路を、前記主液室と前記副液室を連通するオリフィス通路よりも低周波側にチューニングしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用を利用することにより、オリフィス通路のチューニング周波数とは異なる周波数域の振動に対して受動的な防振効果を得ることが出来るのであり、それによって、より一層広い周波数域の振動に対して、流体の共振作用を利用した防振効果を得ることが可能となるのである。
【0022】
また、空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法に関する本発明の第一の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブを何れも閉状態に保持せしめることにより、前記作用空気室の圧力を、前記負圧源における負圧と前記大気中の大気圧の中間値に調節して保持せしめることを、特徴とする。
【0023】
このような本態様に従う空気圧制御方法は、特に、受動型の防振装置において好適に採用される。即ち、受動型の防振装置において、本態様に従えば、防振特性の細かな調節やチューニングが可能となり、それによって、防振すべき振動が変化する場合においても、有効な防振効果が発揮される周波数域を防振すべき振動周波数の変化に追従的に変化させることにより、要求される防振効果を安定して得ることが可能となるのである。
【0024】
また、空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブをそれぞれ防振すべき振動の周波数に対応した周波数で略交互に開閉作動せしめることにより、前記作用空気室に対して防振すべき振動の周波数に対応した空気圧変動を生ぜしめるに際して、前記第一の開閉バルブを閉じて前記第二の開閉バルブを開く負圧切換時と、該第二の開閉バルブを閉じて該第一の開閉バルブを開く大気圧切換時の少なくとも一方の圧力切換時において、それら第一の開閉バルブと第二の開閉バルブの両方を所定時間だけ閉状態とすることを、特徴とする。
【0025】
このような本態様に従う空気圧制御方法は、特に、能動型の防振装置に好適に採用される。即ち、能動型防振装置において、本態様に従えば、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブの開閉作動時における作用空気室の急激な空気圧変動を抑えることが可能となり、それによって、発生加振力の歪みが抑えられて高調波成分の発生が軽減されることから、防振対象に対する能動的な防振効果の向上と安定化が達成され得るのである。
【0026】
また、空気圧制御式制振器に関する本発明の第三の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブを何れも防振すべき振動の周波数に対応した周波数で略交互に開閉作動せしめることにより、前記作用空気室に対して防振すべき振動の周波数に対応した空気圧変動を生ぜしめるに際して、前記第一の開閉バルブを閉じて前記第二の開閉バルブを開く負圧切換時と、該第二の開閉バルブを閉じて該第一の開閉バルブを開く大気圧切換時の少なくとも一方の圧力切換時において、作用空気室が該第二の開閉バルブを通じて及ぼされる負圧または該第一の開閉バルブを通じて及ぼされる大気圧の何れかに一定化するまでの途上で該第二の開閉バルブまたは該第一の開閉バルブを閉状態とすることを、特徴とする。
【0027】
このような本態様に従う空気圧制御方法は、特に、能動型の防振装置に好適に採用される。即ち、能動型防振装置において、本態様に従えば、作用空気室の圧力変動の幅を適宜に調節することが可能となって、負圧源の大きさや変動等に係らず、安定した空気圧変動を作用空気室に及ぼすことが可能となるのであり、それによって、目的とする能動的な防振効果を安定して得ることが出来るのである。また、本態様に従えば、作用空気室の圧力変動の幅や最大/最小値を適宜に調節することが出来ることから、作用空気室の圧力変動の中央値乃至は平均値も調節することが可能となる。
【0028】
また、空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法に関する本発明の第四の態様は、前記第三の態様に従う空気圧制御方法であって、前記作用空気室が前記第二の開閉バルブを通じて及ぼされる負圧または前記第一の開閉バルブを通じて及ぼされる大気圧の何れかに一定化するまでの途上で該第二の開閉バルブまたは該第一の開閉バルブを閉状態とした後、それら第二の開閉バルブと第一の開閉バルブの両方を所定時間だけ閉状態とすることを、特徴とする。このような本態様に従えば、バルブ切換時における作用空気室の急激な空気圧変動を抑えることが可能となり、それによって、発生加振力の歪みが抑えられて高調波成分の発生が軽減されることから、防振対象に対する能動的な防振効果の向上と安定化が達成され得るのである。
【0029】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0030】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、パワーユニットに取り付けられる第一の取付部材としての第一の取付金具12とボデーに取り付けられる第二の取付部材としての第二の取付金具14が、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されており、パワーユニットとボデーの間に介装されて、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、本実施形態のエンジンマウント10においては、その装着状態下で、図1中の略上下方向にパワーユニット荷重が入力されると共に、図1中の略上下方向の振動に対して、有効な防振効果を発揮し得るようになっている。
【0031】
より詳細には、第一の取付金具12は、略逆円錐台形状を有している。また、第一の取付金具12の大径側端部には、径方向外方に向って広がる略円環板形状のストッパ部17が一体形成されていると共に、軸方向上方に向かって突出する取付ねじ部18が一体形成されている。そして、この取付ねじ部18によって、第一の取付金具12が、パワーユニット側に取り付けられるようになっている。また、本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有しており、その大径側端部には、大径側端面に開口する凹所22が設けられている。そして、本体ゴム弾性体16の小径側端部に対して、第一の取付金具12が軸方向に埋め込まれた状態で加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面に対して、円筒形状の連結金具20が加硫接着されている。また、第一の取付金具12のストッパ部17には、軸方向上方に突出する緩衝ゴム21が、本体ゴム弾性体16と一体的に設けられている。
【0032】
一方、第二の取付金具14は、全体として大径の円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部24を挟んで、軸方向上側が大径部26とされていると共に、軸方向下側が小径部28とされている。そして、この第二の取付金具14は、大径部26に外嵌固定される図示しないブラケットを介して、ボデー側に取り付けられるようになっている。また、大径部26の内周面には、薄肉のシールゴム層30が設けられていると共に、小径部28側の開口部には、薄肉円板形状のゴム膜からなる可撓性膜としてのダイヤフラム32が配設されており、このダイヤフラム32の外周縁部が小径部28の内周面に加硫接着されることによって、小径部28側の開口部がダイヤフラム32によって流体密に閉塞されている。なお、小径部28の内周面には、全体に亘ってダイヤフラム32と一体形成されたシールゴム層33が被着されている。
【0033】
そして、かかる第二の取付金具14は、大径部26が連結金具20に外挿されて流体密に外嵌固定されることにより、本体ゴム弾性体16の大径側端部に取り付けられている。それによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16を介して、弾性的に連結されていると共に、第二の取付金具14における大径部26側の開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に覆蓋されており、以て、第二の取付金具14の内部には、本体ゴム弾性体16に設けられた凹所22の内部を含んで、密閉領域が形成されている。
【0034】
また、第二の取付金具14には、小径部28内に仕切部材34が収容配置されている。この仕切部材34は、全体として円形ブロック形状を有しており、小径部28の内周面に対して流体密に嵌着固定されている。そして、この仕切部材34によって、第二の取付金具14の内部に形成された密閉領域が、軸方向両側(本体ゴム弾性体16とダイヤフラム32側)に仕切られている。それによって、仕切部材34よりも軸方向上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変化が惹起される主液室36が形成されている。一方、仕切部材34よりも軸方向下方には、壁部の一部がダイヤフラム32にて構成されて、該ダイヤフラム32の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室38が形成されている。また、これら主液室36と平衡室38には、何れも、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。
【0035】
さらに、仕切部材34は、軸方向上方に開口する中央凹部40が設けられた略厚肉の有底円筒形状を有する仕切部材本体42を備えており、この仕切部材本体42の開口側端部に一体形成された外フランジ部44が第二の取付金具14の段差部24に重ね合せられて本体ゴム弾性体16との間で挟持されることにより、仕切部材34が第二の取付金具14に対して固定的に組み付けられている。また、仕切部材本体42の周壁部46には、外周面に開口して周方向に延びる凹溝48が形成されており、該凹溝48が第二の取付金具14における小径部28で覆蓋されることによって、主液室36と平衡室38を相互に連通して、それら両室36,38間での流体流動を許容する第一のオリフィス通路50が形成されている。なお、本実施形態では、この第一のオリフィス通路50を通じて流動せしめられる流体の共振作用等に基づいて、低周波振動に対して有効な制振効果が発揮されるように、第一のオリフィス通路50の長さや断面積等が設定されている。
【0036】
また、仕切部材本体42の中央凹部40には、可動部材としてのゴム弾性板52と蓋部材54が、順次、軸方向に嵌め込まれて、仕切部材本体42に対して固定的に組み付けられている。このゴム弾性板52は、所定厚さの略円板形状を有しており、外周縁部の所定幅に亘る部分が、外周側に行くに従って軸方向下方に向かって略テーパ状に傾斜せしめられていると共に、その外周面には、嵌着リング56が加硫接着されている。そして、金属製の嵌着リング56が、仕切部材本体42の中央凹部40に圧入されて嵌着固定されることにより、ゴム弾性板52が、中央凹部40の底部において軸直角方向に広がり、その中央部分が中央凹部40の底面から上方に離隔して位置せしめられて、弾性変形乃至は弾性変位が許容された状態で配設されている。また、蓋部材54は、薄肉の円板形状を有しており、軸方向下方に向かって厚肉化された外周縁部が仕切部材本体42の中央凹部40に圧入されて嵌着固定されることにより、該中央凹部40の開口部を覆蓋して配設されている。
【0037】
そして、このようにゴム弾性板52と蓋部材54が中央凹部40に配設されることにより、中央凹部40には、ゴム弾性板52と蓋部材54の間に位置して、内部に主液室36と同じ非圧縮性流体が封入された副液室58が形成されている。また、蓋部材54における厚肉の外周縁部には、外周面に開口して周方向に延びる周溝60が形成されており、該周溝60が仕切部材本体42の周壁部で覆蓋されることによって、主液室36と副液室58を相互に連通して、それら両室36,58間での流体流動を許容する第二のオリフィス通路62が形成されている。なお、本実施形態では、この第二のオリフィス通路62を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、主液室36と平衡室38を繋ぐ第一のオリフィス通路50を通じて流動せしめられる流体の共振周波数よりも高く設定されている。具体的には、例えば、第一のオリフィス通路50がシェイク等の低周波振動域に、第二のオリフィス通路62がアイドリング振動等の中周波振動域に、それぞれチューニングされ、或いは、第一のオリフィス通路50がアイドリング振動等の中周波振動域に、第二のオリフィス通路62がこもり音等の高周波振動域に、それぞれチューニングされている。なお、各オリフィス通路50,62のチューニングは、例えば相互に連通せしめられる液室の壁ばね特性を考慮しつつ、オリフィス通路50,62の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能である。
【0038】
また、中央凹部40には、ゴム弾性板52を挟んで副液室58と反対側に位置して、外部空間に対して密閉された作用空気室64が形成されている。更にまた、仕切部材本体42には、作用空気室64と平衡室38の間を径方向に延びるエア連通路66が形成されており、このエア連通路66の内側端部が、中央凹部40の底面に開口せしめられて、作用空気室64に連通されている一方、エア連通路66の外側端部が、仕切部材本体42の周壁部に形成されて、第二の取付金具14を貫通して外周面に開口せしめられたポート68に連通されている。そして、ポート68に対して、外部管路70が接続されており、かかる外部管路70を通じて、作用空気室64が大気中と負圧源72に対して接続され得るようになっている。即ち、ポート68に接続された外部管路70には、第一の開閉バルブとしての大気側バルブ74と第二の開閉バルブとしての負圧側バルブ76が並列的に接続されている。そして、大気側バルブ74が、コントローラ78で作動制御されて、切換作動せしめられることによって、作用空気室64が大気中に接続/遮断されるようになっていると共に、負圧側バルブ76が、コントローラ78で作動制御されて、切換作動せしめられることによって、作用空気室64が負圧源72に接続/遮断されるようになっている。なお、本実施形態では、負圧源72として、自動車の内燃機関におけるエアインテーク部分に発生する負圧を利用した負圧タンクや、内燃機関によって駆動される負圧力発生ポンプ等が好適に採用され得る。
【0039】
このような構造とされた本実施形態のエンジンマウント10においては、コントローラ78による二つのバルブ74,76の切換作動の制御形態を切り換えることによって、(a)受動的な防振効果を発揮する「受動型マウント」として機能させることが可能であり、或いは(b)能動的な防振効果を発揮する「能動型マウント」として機能させることが可能である。以下に、(a)「受動型マウント」および(b)「能動型マウント」の各態様について説明する。
【0040】
(a)「受動型マウント」として機能させる場合
受動型マウントにおける受動的防振効果は、図1に示されたエンジンマウント10において、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にマウント軸方向(図中の上下方向)の振動が及ぼされた際に、第一のオリフィス通路50を流動せしめられる流体の共振作用や、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される高減衰作用や低動ばね作用に基づくものである。即ち、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されると、主液室36と平衡室38の間、および主液室36と副液室58の間で、それぞれ相対的な圧力変動が惹起されて、第一のオリフィス通路50および第二のオリフィス通路62を通じての流体流動が生ぜしめられるのであり、それら各オリフィス通路50,62を流動せしめられる流体の共振現象を利用することによって、それら各オリフィス通路50,62がチューニングされた各特定の周波数域でエンジンマウント10の防振効果を向上させることによって、受動的防振効果が発揮されることとなる。
【0041】
そこにおいて、受動的防振効果が有効に発揮される振動周波数は、各オリフィス通路50,62を流動せしめられる流体の共振周波数に対応することから、例えば防振すべき振動の周波数が変化する場合に、かかる振動に対して有効な受動的防振効果を得るためには、オリフィス通路50,62のチューニング周波数を変更することが必要となる。そして、本実施形態のエンジンマウント10においては、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を変化させることによって、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される受動的防振効果が発揮される振動周波数域を、変化させることが可能とされているのである。
【0042】
すなわち、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数、即ち第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振周波数は、主液室36と副液室58の各壁ばね特性と、封入流体の密度,第二のオリフィス通路62の通路断面積および通路長さなどによって決定されることとなる。なお、壁ばね特性は、液室36,58の容積を単位量だけ変化させるために必要とされる液室の圧力変化量に対応する値として認識される。そして、本実施形態のエンジンマウント10においては、副液室58の内圧を変更設定して副液室58の壁部の一部を構成するゴム弾性板52のばね特性を変更し、副液室58の壁ばね特性を調節することにより、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を、防振すべき振動の周波数に応じて調節することが出来るようになっているのである。
【0043】
具体的には、ゴム弾性板52のばね特性の変更は、コントローラ78によって大気側バルブ74と負圧側バルブ76を適当に開閉作動制御せしめて、作用空気室64の圧力を調節することによって行われる。即ち、作用空気室64の大気中と負圧源72への接続形態としては、作用空気室64を大気中に接続する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続する負圧側バルブが、作用空気室64に対して互いに並列的に接続されていると共に、互いに独立して開閉可能とされていることから、▲1▼大気側バルブ74を開き、負圧側バルブ76を閉じることによって発現される大気連通状態と、▲2▼大気側バルブ74を閉じ、負圧側バルブ76を開くことによって発現される負圧源連通状態と、▲3▼大気側バルブ74と負圧側バルブ76を何れも閉じることによって発現される密閉状態との、三つの形態が選択的に採用され得るようになっている。
【0044】
ここにおいて、▲1▼大気連通状態では、作用空気室64が大気中への連通状態に維持されることにより、ゴム弾性板52の下面に及ぼされる空気圧が大気圧とされて、作用空気室64によってゴム弾性板52に及ぼされる拘束力が十分に小さくされる結果、ゴム弾性板52のばね特性、延いては副液室58の壁ばね特性が低ばね化されるのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が低周波側に移行して調節設定され得るのである。
【0045】
また、▲2▼負圧源連通状態では、作用空気室64が負圧源72への連通状態に維持されることにより、ゴム弾性板52の下面に及ぼされる空気圧が大きな負圧とされて、作用空気室64によってゴム弾性板52に及ぼされる拘束力が十分に大きくされる結果、ゴム弾性板52のばね特性、延いては副液室58の壁ばね特性が高ばね化されるのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が高周波側に移行して調節設定され得るのである。
【0046】
更にまた、▲3▼密閉状態では、作用空気室64が外部に対する遮断状態に維持されることとなるが、遮断状態の直前に大気側バルブ74と負圧側バルブ76に対する作用空気室64の接続状態をコントローラ78によって適当に制御することにより、作用空気室64に対して、負圧源72における負圧値と大気圧との間の適当なレベルに調節設定することが出来る。それ故、ゴム弾性板52の下面に及ぼされる空気圧を適宜に設定して、作用空気室64によってゴム弾性板52に及ぼされる拘束力を適当に調節することにより、ゴム弾性板52のばね特性、延いては副液室58の壁ばね特性を、▲1▼大気連通状態と▲2▼負圧源連通状態の中間段階に設定することが出来るのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が、上記▲1▼大気連通状態で発現される低周波側チューニング周波数と▲2▼負圧源連通状態で発現される高周波側チューニング周波数との中間の周波数域に移行して調節設定され得るのである。また、密閉状態とされた作用空気室64における負圧の大きさを変更設定することにより、ゴム弾性板52のばね特性を多段階乃至は連続的に変更設定することも可能であり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を、複数の乃至は広い周波数域の振動に対応して調節することも可能となる。
【0047】
なお、作用空気室64を負圧源72の負圧と大気圧との中間圧力に設定するに際しては、例えば、図2に示されているように、作用空気室64を大気圧として大気側バルブ74と負圧側バルブ76の両方を閉じた初期状態から、負圧側バルブ76だけを開いて作用空気室64に負圧を導くと共に、該負圧側バルブ76の開時間を調節して、作用空気室64が最大負圧(負圧源72の負圧値):P0まで至らないだけの短時間:t1で、負圧側バルブ76を閉じるようにする。これによって、作用空気室64が、大気圧と負圧源72の負圧値:P0との間の中間負圧値:P1に設定され得ることとなる。また、この中間負圧値:P1で作用空気室64を密閉せしめた状態から、図2に示されているように、大気側バルブ74だけを開いて作用空気室64を大気中に連通せしめると共に、該大気側バルブ74の開時間を調節して、作用空気室64が大気圧まで至らないだけの短時間:t2で、大気側バルブ74を閉じるようにする。これによって、作用空気室64が、大気圧と負圧源72の負圧値:P0との間であって、前記中間負圧値:P1よりは大気圧に近い中間負圧値:P2に設定され得ることとなる。
【0048】
そして、このように作用空気室64に対して互いに異なる空気圧(P1とP2)を及ぼすことによって、ゴム弾性板52のばね特性を、作用空気室64を大気中に接続せしめた状態下で発現される低ばね特性と作用空気室を負圧源72に接続せしめた状態下で発現される高ばね特性との間の中間域で、複数段階に設定することが出来るのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が、前記▲1▼大気連通状態下で発現される低周波側のチューニング周波数と、前記▲2▼負圧源連通状態下で発現される高周波側のチューニング周波数との間の中間周波数域において、適当に調節設定され得るのである。
【0049】
従って、本実施形態のエンジンマウント10においては、作用空気室64を大気中に接続/遮断する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続/遮断する負圧側バルブ76が、互いに独立して開閉可能とされていることから、それら大気側バルブ74と負圧側バルブ76をコントローラ78で適当に開閉制御することによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を、防振すべき振動の周波数域の変化に応じて、三段階以上に変更設定することが出来るのであり、それによって、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して、それぞれ、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用に基づく受動的な防振効果が有効に発揮され得ることとなるのである。
【0050】
(b)「能動型マウント」として機能させる場合
能動型マウントにおける能動的防振効果は、図1に示されたエンジンマウント10において、コントローラ78の作動制御に基づいて大気側バルブ74と負圧側バルブ76を切換制御せしめて、防振すべき振動の周波数に対応した周期の空気圧変動を作用空気室64に及ぼしてゴム弾性板52を加振駆動することにより、副液室58に積極的な圧力変動を生ぜしめると共に、該副液室58の圧力変動を第二のオリフィス通路62を通じて主液室36に伝達せしめて主液室36の圧力変動を積極的に制御し、以て、例えば第一の取付金具12から第二の取付金具14に伝達せしめられる振動を相殺的に低減せしめることによって、発揮されるものである。また、副液室58に生ぜしめられる圧力変動を、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用を利用して、主液室36に伝達することにより、ゴム弾性板52の加振によって副液室58に生ぜしめられる圧力変動を、より効率的に主液室36に伝達せしめて、能動的な防振効果をより有効に得ることが出来るのである。
【0051】
そこにおいて、能動的防振効果を有利に得るためには、発生加振力を防振すべき振動レベル(振動の大きさ)に対応した大きさに設定すると共に、発生加振力の波形を防振すべき振動の波形に近似させることが有効であり、振動波形は一般的にサイン波形に近いものと考えられることから、副液室58および主液室36に圧力変動を生ぜしめるゴム弾性板52の加振源である作用空気室64に対して、出来るだけサイン波形に近く、且つ高調波成分の少ない圧力変動を及ぼすことが必要となる。そして、本実施形態のエンジンマウント10においては、コントローラ78によって大気側バルブ74と負圧側バルブ76を、防振すべき振動に応じて適当に切換制御することにより、作用空気室64に対して、防振すべき振動レベルに対応した大きさで、且つ高調波成分が抑えられてサイン波形に近い圧力変動を効果的に及ぼすことが可能となるのである。
【0052】
すなわち、作用空気室64における空気圧変動は、例えば大気側バルブ74と負圧側バルブ76を交互に開いて、作用空気室64を大気中と負圧源72に交互に接続することによって、それら大気中と負圧源72とに対する作用空気室64の接続の切換周期に対応した周波数で生ぜしめられ得る。
【0053】
そこにおいて、本実施形態のエンジンマウント10においては、作用空気室64を大気中に接続する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続する負圧側バルブ76が、作用空気室64に対して互いに並列的に接続されていると共に、互いに独立して開閉可能とされていることから、作用空気室64の負圧源72と大気中への接続を、何れかに交互に択一的に切り換えるだけでなく、かかる切換時に、作用空気室64を負圧源72と大気中の何れにも連通されていない密閉状態に保持せしめることが出来るのであり、それによって、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の大きさ(両振幅)を調節すると共に、空気圧変動の形態を調節することが可能とされているのである。
【0054】
先ず、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の大きさの調節は、作用空気室64を負圧源72や大気中に接続せしめるに際して、負圧側バルブ76や大気側バルブ74の開時間を調節することによって行うことが可能である。具体的には、図3に示されているように、作用空気室64を大気圧として大気側バルブ74と負圧側バルブ76の両方を閉じた初期状態から、負圧側バルブ76だけを開いて作用空気室64に負圧を導くと共に、該負圧側バルブ76の開時間を調節して、作用空気室64が最大負圧(負圧源72の負圧値):Pまで至らないだけの時間:taで、負圧側バルブ76を閉じるようにする。これによって、作用空気室64が、時間:taをもって大気圧から所定負圧値:P′(但し、P′<P)にまで圧力変化せしめられることとなり、その後、所定時間:tbだけ大気側バルブ74を開いて作用空気室64を再び大気中に接続して、かくの如き作用空気室64の負圧源72への接続と大気中への接続を交互に所定周期:Tで繰り返すことによって、作用空気室64に対して、周波数:1/Tで両振幅:P′の空気圧変動を生ぜしめることが出来るのである。
【0055】
また、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の形態の調節は、上述の如き作用空気室64の負圧源72への接続と大気中への接続を交互に繰り返すに際して、図3に示されているように、負圧側バルブ76を閉じて作用空気室64の負圧源72への接続を遮断してから、大気側バルブ74を開いて作用空気室64を大気中に接続するまでの間に、所定量の空き時間:tcを設定し、かかる空き時間:tcの間だけ負圧側バルブ76と大気側バルブ74の両方を閉じて作用空気室64を所定負圧値:P′で保持せしめるようにする。これによって、作用空気室64が、大気圧から所定負圧値:P′まで圧力低下せしめられた後に所定負圧値:P′から大気圧まで圧力増大せしめられる圧力増減方向の切換時において、所定負圧値:P′で所定時間:tcの間だけ保持されることとなる。
【0056】
その結果、図3に示されているように、作用空気室64の圧力変動形態が、負圧側ピーク点において頭を潰されたように、略一定圧力値への保持時間:tcが与えられるのであり、このように圧力増減ピーク点における圧力変動の急激な変化が軽減乃至は回避されることにより、作用空気室64の圧力変動がサイン波形に近づけられて、高調波成分の発生が抑えられるのである。因みに、作用空気室64を負圧源72への接続状態から空き時間無しで直ちに大気中への接続状態に切り換えることによって発現される作用空気室64の圧力変動形態を、図3中に破線で併せ示すが、かかる圧力変動形態においては、負圧側のピーク点で、作用空気室64の圧力増減方向が急激に変化せしめられているのに対して、上述の如き本発明に従い空き時間:tcを設定することによって、負圧側のピーク点での作用空気室64の圧力増減方向の急激な変化が抑えられることが明らかに認められる。
【0057】
なお、図3に示されているように、本実施形態では、作用空気室64を大気中への接続状態から負圧源72への接続状態に切り換えるに際しても、大気側バルブ74を閉じて作用空気室64の大気圧への接続を遮断してから、負圧側バルブ76を開いて作用空気室64を負圧源72に接続するまでの間に、所定量の空き時間:tdを設定し、かかる空き時間:tdの間だけ大気側バルブ74と負圧側バルブ76の両方を閉じて作用空気室64を大気圧で保持せしめるようにする。これによって、作用空気室64が、所定負圧値:P′から大気圧まで圧力低下せしめられた後に、再び大気圧から作用負圧値:P′まで圧力増大せしめられる圧力増減方向の切換時においても、大気圧で所定時間:tdの間だけ保持されることとなり、以て、急激な圧力増減方向の変化が軽減乃至は回避されることによって、作用空気室64の圧力変動が一層サイン波形に近づけられて、高調波成分の発生がより効果的に抑えられるのである。
【0058】
従って、本実施形態のエンジンマウント10においては、作用空気室64を大気中に接続/遮断する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続/遮断する負圧側バルブ76が、互いに独立して開閉可能とされていることから、それら大気側バルブ74と負圧側バルブ76をコントローラ78で交互に周期的に開閉制御せしめて作用空気室64に圧力変動を及ぼすに際して、作用空気室64の大気圧への接続状態と負圧源72への接続状態の切換時に所定時間(tc,td)の空き時間をとり両バルブ74,76を閉鎖せしめて作用空気室64を密閉状態とすることによって、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の大きさや形態を調節すること出来るのであり、以て、防振すべき振動振幅に高度に対応した圧力変動を副液室58や主液室36に生ぜしめることにより、目的とする能動的防振効果を一層高度に発揮させることが出来るのである。
【0059】
また、図4には、本発明の第二の実施形態としての制振器80が示されている。この制振器80は、自動車のボデー等の振動体82に取り付けられる取付部材としての取付金具84に対して、マス部材としてのマス金具86が支持ゴム弾性体としての本体ゴム弾性体88を介して弾性的に連結支持せしめられている。なお、本実施形態の制振器80においては、図4中の上下方向に対して、有効な制振効果を発揮し得るようになっている。なお、本実施形態において、空気圧の制御系としては、第一の実施形態と同様なものが採用されていることから、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0060】
より詳細には、本実施形態の制振器80において、取付金具84は、全体として平板形状を有しており、振動体86に対して、取付ボルト90にて取り付けられるようになっている。また、取付金具84の下面には、浅底の有底円筒形状を有する仕切金具92が重ね合わされ、連結ボルト94で固着されており、それによって、仕切金具92の開口部が取付金具84で流体密に覆蓋されて、仕切金具92と取付金具84の間に密閉室が形成されている。更に、この密閉室には、円板形状のゴム弾性板96が軸直角方向に広がって配設されており、該ゴム弾性板96の外周面に加硫接着された金属リング98が仕切金具92の筒壁内面に嵌着固定されることにより、密閉室がゴム弾性板96で流体密に二分されるようになっている。そして、このように密閉室がゴム弾性板96で流体密に二分されることによって、ゴム弾性板96と取付金具84の間には、外部空間に対して密閉された作用空気室100が形成されていると共に、ゴム弾性板96と仕切金具92の底壁の間には、非圧縮性流体が封入された作用液室102が形成されている。また、取付金具84には、作用空気室100に連通されたエア連通路104が穿孔されており、このエア連通路104の開口部に嵌合されたポート部106に対して、第一の実施形態と同様な空気圧制御系が接続されている。
【0061】
また、仕切金具92の軸方向下方には、円形ブロック形状のマス金具86が離隔配置されている。そして、これら仕切金具92とマス金具86の間には、本体ゴム弾性体88が介装されており、それによって、マス金具86が本体ゴム弾性体88によって弾性支持されている。この本体ゴム弾性体88は、略逆円錐台形状を有しており、その大径側端部外周面に対して、円環形状の第一の連結金具118が加硫接着されていると共に、小径側端面に対して、厚肉円板形状の第二の連結金具120が加硫接着されている。そして、第一の連結金具118が仕切金具92の下面の外周縁部に重ね合せられて、連結ボルト94で仕切金具92に固着されている一方、第二の連結金具120がマス金具86の上面の中央部分に重ね合わされ、連結ボルト122でマス金具86に固着されている。それによって、仕切金具92とマス金具86が、本体ゴム弾性体88で弾性的に連結されており、以て、マス金具86と第二の連結金具120をマス系とし、本体ゴム弾性体88をばね系とする一振動系が構成されている。
【0062】
さらに、仕切金具92とマス金具86の間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体88で構成されて、内部に非圧縮性流体が封入された加振液室124が形成されている。また、作用液室102と加振液室124を仕切る仕切金具92の底壁には、外周部分を周方向に所定の長さで延びると共に、一方の端部が作用液室102に、他方の端部が加振液室124に、それぞれ開口,連通せしめられるオリフィス通路126が形成されており、かかるオリフィス通路126を通じて、作用液室102と加振液室124の間での流体流動が許容されるようになっている。
【0063】
このような構造とされた制振器80においては、作用空気室100に静的な圧力を及ぼした状態下で、主振動系である振動体82から及ぼされる振動に対してマス金具86と本体ゴム弾性体88を含んで構成された一振動系が副振動系として機能することにより、動的吸振器(ダイナミックダンパ)として受動的な制振効果を発揮し得る一方、作用空気室100に動的な圧力変動を及ぼしてゴム弾性板52に加振力を及ぼし、作用液室102からオリフィス通路126を通じて加振液室124に圧力変動を作用せしめてマス金具86を加振変位せしめることにより、加振力を生ぜしめて振動体82に伝達し、以て、振動体82の振動を相殺的に低減せしめる動的な制振効果を発揮し得ることとなる。また、オリフィス通路126を流動せしめられる流体の共振作用を利用することによって振動体82の変位が一層効率的に生ぜしめられることから、オリフィス通路126のチューニング周波数域において、上述の如き受動的な制振効果が一層効率的に発揮されると共に、上述の如き能動的な制振効果もより効率的に発揮されるのである。
【0064】
そこにおいて、本実施形態の制振器80においては、第一の実施形態と同様に、コントローラ78による二つのバルブ74,76の切換作動の制御形態を切り換えることによって、(a)「受動型制振器」として機能させるに際して、作用空気室100において、▲1▼大気連通状態と、▲2▼負圧源連通状態と、▲3▼密閉状態との、三つの形態が選択的に採用され得ることとなり、それによって、オリフィス通路126のチューニング周波数域を三つ以上の複数段階に調節設定することが出来るのであり、以て、振動体82における複数の乃至は広い周波数域の振動に対して有効な制振効果を得ることが可能となるのである。
【0065】
更にまた、かかる制振器80においては、第一の実施形態と同様に、大気側バルブ74と負圧側バルブ76をコントローラ78で交互に周期的に開閉制御せしめて作用空気室100に圧力変動を及ぼし、(b)「能動型制振器」として機能させるに際して、作用空気室100の大気圧への接続状態と負圧源72への接続状態の切換時に所定時間(tc,td)の空き時間をとり両バルブ74,76を閉鎖せしめて作用空気室100を密閉状態とすることによって、作用空気室100に及ぼされる空気圧変動の大きさや形態を調節すること出来るのであり、以て、防振すべき振動振幅に高度に対応した圧力変動を作用液室102や加振液室124に生ぜしめることにより、目的とする能動的防振効果を一層高度に発揮することが出来るのである。
【0066】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何ら限定的に解釈されるものではない。
【0067】
例えば、前記実施形態において、作用空気室64,100には、一つのエア連通路66,104が開口せしめられており、この一つのエア通路66,104に対して大気側バルブ74と負圧側バルブ76が並列的に接続されていたが、大気側バルブ74が接続されるエア通路と負圧側バルブ76が接続されるエア通路を、互いに独立して作用空気室64,100に開口させても良い。
【0068】
また、作用空気室64,100の圧力を静的乃至は動的に制御せしめて受動型マウント乃至は受動型制振器や能動型マウント乃至は能動型制振器として機能せしめるに際して、作用空気室64,100の圧力を検出する圧力センサを設けて、作用空気室64,100の圧力をフィードバック制御することも可能である。なお、作用空気室64,100の圧力制御は、例えば、自動車のアクセル開度信号や、車速信号,シフトポジション信号等に基づいて車両の走行状態を把握し、内燃機関の点火信号を参照信号として車両の走行状態に応じたモードで適応制御等のフィードバック制御することによって、或いはマップ制御することによって、有利に為され得る。
【0069】
更にまた、前記実施形態のエンジンマウント10および制振器80においては、何れも、受動的防振作動と能動的防振作動の両方が実現されるようになっていたが、それら受動的防振作動と能動的防振作動の何れか一方だけの作動形態を採用することも、勿論、可能である。
【0070】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントや制振器に対して適用したものの具体例を示したが、その他、本発明は、振動の低減が要求される各種振動体における各種の防振装置や制振装置に対して、何れも、有利に適用可能である。
【0071】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0072】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、作用空気室の圧力設定の自由度が大幅に向上され得るのであり、その結果、例えば受動的防振作動に際して一つのオリフィス通路のチューニング周波数を複数段階に変化させたり、能動的防振作動に際して発生加振力の大きさを複数段階に調節したりすることが可能となって、防振すべき振動に対してより有効な防振効果を得ることが出来るのである。
【0073】
また、本発明に従う空気圧制御式防振装置における制御方法に従えば、本発明に従う構造とされた空気圧制御式防振装置の作用空気室の圧力や圧力変動を、防振すべき振動に対応して効果的に制御することが出来るのであり、それによって、本発明に係る空気圧制御式防振装置において、要求される防振効果を一層有効に発揮せしめることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの空気圧制御系における受動的制御態様を説明するためのグラフである。
【図3】図1に示されたエンジンマウントの空気圧制御系における能動的制御態様を説明するためのグラフである。
【図4】本発明の第二の実施形態としての制振器を示す断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
64 作用空気室
74 大気側バルブ
76 負圧側バルブ
80 制振器
100 作用空気室
【技術分野】
本発明は、防振連結される部材間に介装されて、それら両部材間における振動の伝達を受動的乃至は能動的に低減する防振連結体や、振動を抑制すべき制振対象に装着されて制振対象における振動を受動的乃至は能動的に低減する制振器等の防振装置とその制御方法に係り、特に、外部から及ぼされる空気圧によって防振特性を調節することの出来る空気圧制御式の防振装置とその空気圧制御方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、自動車のボデーやマフラ等のように振動(振動に起因する騒音等を含む)が問題とされる防振対象部材においては、その振動を低減するために、振動部材と防振対象部材の間に介装されて振動部材から防振対象部材への振動伝達を抑えるエンジンマウント等の防振連結体や、防振対象部材に直接に取り付けられて防振対象部材の振動を抑える制振器等といった防振装置が、用いられている。
【0003】
そして、このような防振装置の一種として、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧を制御することにより防振特性を調節するようにした空気圧制御式の防振装置が知られており、例えば、防振すべき振動の周波数が状況等によって変化する振動系等への適用が検討されている。
【0004】
具体的には、例えば特開平4−60231号公報等には、互いに離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された流体室を形成すると共に、該流体室の圧力を制御する作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を静的に調節することにより、第一の取付部材と第二の取付部材の間での振動伝達特性を調節するようにした受動型の防振連結体が、開示されている。また、特開2000−304085号公報等には、互いに離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された流体室を形成すると共に、該流体室の圧力を制御する作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を防振すべき振動周波数に対応した周期で動的に調節することにより、第一の取付部材と第二の取付部材の間での振動伝達力を相殺的に低減せしめるようにした能動型の防振連結体が、開示されている。更にまた、特開平10−169705号公報等には、防振対象部材に取り付けられる支持部材に対して、マス部材を、本体ゴム弾性体を介して相対変位可能に弾性支持せしめて防振対象部材に対する副振動系を構成すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を防振すべき振動周波数に対応した周期で動的に調節することにより、副振動系の共振作用を利用して加振力を生ぜしめて、防振対象部材の振動を相殺的に低減せしめるようにした能動型の制振器が、開示されている。
【0005】
しかしながら、このような従来構造の空気圧制御式の防振装置においては、何れも、特開平11−6540号公報に示されているように、三方切換弁を用いて作用空気室を大気中と負圧源に択一的に接続することにより、作用空気室の圧力を静的乃至は動的に調節するようにされていることから、作用空気室の圧力制御の自由度が制限されてしまうと共に、圧力制御精度を安定して確保することが難しいという問題があったのである。
【0006】
特に、負圧源における負圧の大きさが変動する場合には、作用空気室に及ぼされる負圧値が変化することによって、目的とする防振効果を安定して得ることが困難となる。また、前記特開平4−60231号公報等に記載の受動型防振装置においては、作用空気室の空気圧を、大気圧と負圧源の負圧以外の大きさに設定することが難しいことから、防振特性の設定範囲が極めて限定的となってしまうという問題があった。更にまた、前記特開2000−304085号公報や特開平10−169705号公報等に記載の能動型防振装置においては、三方切換弁の切換時に作用空気室に急激な圧力変動が惹起されることによって、発生加振力の波形が、防振すべき振動波形に対して大きく歪んでしまい、発生加振力における高調波成分が大きくなって、目的とする防振効果を安定して得ることが難しいという問題もあった。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、作用空気室の圧力を大きな自由度と良好な精度で制御することが可能とされて、優れた防振性能を安定して得ることが出来る、新規な構造の空気圧制御式防振装置とその制御方法を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
すなわち、空気圧制御式防振装置に関する本発明の第一の態様は、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧を制御することにより防振特性を調節するようにした空気圧制御式防振装置において、前記作用空気室に対して、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを並列的に接続せしめて、該第一の開閉バルブを通じて該作用空気室を大気中に接続すると共に、該第二の開閉バルブを通じて該作用空気室を負圧源に接続するようにしたことを、特徴とする。
【0009】
このような本態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、作用空気室の大気中への接続と負圧源への接続を、互いに独立して制御することが可能となるのであり、例えば、従来の三方切換弁による大気中と負圧源への択一的な連通/遮断によっては実現出来なかった、作用空気室の大気中と負圧源に対する両者同時の遮断や連通を含めて、作用空気室を大気中と負圧源に連通/遮断制御することが可能となる。それ故、本態様の空気圧制御式防振装置においては、作用空気室の圧力や圧力変動を、大きな自由度をもって制御することが可能となり、要求される防振性能に対して容易に且つ有利に対応することが可能となるのである。
【0010】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置であって、振動部材に取り付けられる第一の取付部材と防振対象に取り付けられる第二の取付部材を互いに離隔配置すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結することにより、該振動部材と該防振対象の間に介装されて該振動部材から該防振対象に伝達される振動を低減する防振連結体において、外部空間に対して遮断された前記作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を静的に調節することにより、前記本体ゴム弾性体によって弾性連結された前記第一の取付部材と第二の取付部材の間における振動伝達特性を変更調節するようにした空気圧制御式防振連結体を、特徴とする。
【0011】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式防振連結体においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して作用空気室を大気圧と負圧源の負圧の中間圧力に調節した状態で、それら第一及び第二の開閉バルブを共に遮断して作用空気室を密閉保持せしめることにより、作用空気室の圧力を大気圧と負圧源圧力の間の適当な値に設定保持せしめることが出来るのであり、それによって、防振装置における受動的な防振特性の設定自由度が有利に確保され得ることとなり、例えば、防振すべき振動周波数が変化する場合においても、受動的防振効果を有効に且つ安定して得ることが可能となるのである。そして、このような本態様は、例えば、自動車用エンジンマウントやボデーマウントに対して、特に有利に適用され得る。
【0012】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置乃至は防振連結体であって、振動部材に取り付けられる第一の取付部材と防振対象に取り付けられる第二の取付部材を互いに離隔配置すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結することにより、該振動部材と該防振対象の間に介装されて該振動部材から該防振対象に伝達される振動を低減する防振連結体において、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧変動に基づいて防振すべき振動周波数に対応した加振力を生ぜしめることにより、第一の取付部材から第二の取付部材への振動伝達を相殺的に低減せしめるようにした空気圧制御式防振連結体を、特徴とする。
【0013】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式防振連結体においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して、作用空気室の第一の開閉バルブを通じての大気中への接続状態と、作用空気室の第二の開閉バルブを通じての負圧源への接続状態とを切り換える際に、作用空気室をそれら大気中と負圧源の何れからも独立させることが出来るのであり、それによって、例えば作用空気室に及ぼされる圧力変動幅の大きさや、作用空気室における圧力変動の形態を、防振すべき振動に応じて適当に調節することにより、発生加振力による過度の加振や高調波成分による悪影響を防止せしめて、能動的な防振効果をより有効に得ることが可能となる。そして、このような本態様は、例えば、自動車用エンジンマウントやボデーマウントに対して、特に有利に適用され得る。
【0014】
また、本発明の第四の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置であって、防振対象に取り付けられる支持部材に対してマス部材を相対変位可能に離隔配置すると共に、該マス部材を該支持部材に対して支持ゴム弾性体によって弾性支持せしめることにより、該マス部材と該支持ゴム弾性体を含んで該防振対象に対する副振動系を構成し、かかる副振動系の共振作用に基づいて、防振対象の振動を低減せしめる制振器において、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の圧力を静的に調節することにより、前記副振動系においてマス部材の支持ばね特性を調節して固有振動数を変更調節するようにした空気圧制御式制振器を、特徴とする。
【0015】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式制振器においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して作用空気室を大気圧と負圧源の負圧の中間圧力に調節した状態で、それら第一及び第二の開閉バルブを共に遮断して作用空気室を密閉保持せしめることにより、作用空気室の圧力を大気圧と負圧源圧力の中間の適当な値に設定保持せしめることが出来るのであり、それによって、制振器における受動的な制振特性、即ち動的吸振器としての制振効果の設定自由度が有利に確保され得ることとなり、例えば、防振すべき振動周波数が変化する場合においても、受動的な制振効果を有効に且つ安定して得ることが可能となるのである。そして、このような本態様は、例えば、自動車のボデーや排気管に対する制振器等に有利に適用され得る。
【0016】
また、本発明の第五の態様は、前記第一又は第四の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置乃至は制振器であって、防振対象に取り付けられる支持部材に対してマス部材を相対変位可能に離隔配置すると共に、該マス部材を該支持部材に対して支持ゴム弾性体によって弾性支持せしめることにより、該マス部材と該支持ゴム弾性体を含んで該防振対象に対する副振動系を構成した制振器において、外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧変動に基づいて、副振動系の共振作用を利用してマス部材を加振変位せしめて、それに伴う大きな加振力を防振対象に及ぼすことにより、防振対象における振動を相殺的に低減せしめるようにした空気圧制御式制振器を、特徴とする。
【0017】
このような本態様に係る空気圧制御式防振装置の一種としての空気圧制御式制振器においては、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを適当に開閉調節して、作用空気室の第一の開閉バルブを通じての大気中への接続状態と、作用空気室の第二の開閉バルブを通じての負圧源への接続状態とを切り換える際に、作用空気室をそれら大気中と負圧源の何れからも独立させることが出来るのであり、それによって、例えば作用空気室に及ぼされる圧力変動幅の大きさや、作用空気室における圧力変動の形態を、防振すべき振動に応じて適当に調節することにより、発生加振力による過度の加振や高調波成分による悪影響が防止されて、能動的な制振効果をより有効に得ることが可能となる。そして、このような本態様は、例えば、自動車のボデーや排気管に対する制振器等に有利に適用され得る。
【0018】
また、上述の如き本発明の第一乃至第五の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置の何れにおいても、必須ではないが、非圧縮性流体が封入された流体室を採用し、該流体室に封入された非圧縮性流体の圧力変動や共振作用等を利用することにより、防振性能の向上を図ることも可能である。
【0019】
そこにおいて、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置であって、第一の部材と第二の部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて振動が入力される主液室と、弾性変位可能な可動部材で壁部の一部が構成されて該可動部材の変位に基づいて圧力変化が生ぜしめられる副液室を形成して、それら主液室と副液室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該可動部材を挟んで該副液室と反対側に前記作用空気室を形成したことを、特徴とする。
【0020】
このような本態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、振動入力に際して惹起される主液室と副液室の間での相対的な圧力変動に基づいてオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等を利用することにより、一層優れた防振効果を得ることが出来るのであり、例えば、前記第二又は第四の態様を本態様に組み合わせて採用して、作用空気室における静的な圧力値を、複数段階に調節設定することにより、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振周波数を複数段階に変更設定することが可能となり、それによって、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して、何れも、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される受動的な防振効果を得ることが可能となるのである。また、例えば、前記第三又は第五の態様を本態様に組合せて採用して、作用空気室における動的な圧力変動の幅や形態を適当に調節設定することにより、作用空気室の圧力変動を、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて一層効率的に伝達させることにより、一層有効な防振効果を得ることが可能となるのである。
【0021】
また、本発明の第七の態様は、前記第六の態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記主液室および前記副液室の何れからも独立して、壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成されて該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室を形成すると共に、該平衡室を主液室に接続せしめる第二のオリフィス通路を形成し、該第二のオリフィス通路を、前記主液室と前記副液室を連通するオリフィス通路よりも低周波側にチューニングしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用を利用することにより、オリフィス通路のチューニング周波数とは異なる周波数域の振動に対して受動的な防振効果を得ることが出来るのであり、それによって、より一層広い周波数域の振動に対して、流体の共振作用を利用した防振効果を得ることが可能となるのである。
【0022】
また、空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法に関する本発明の第一の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブを何れも閉状態に保持せしめることにより、前記作用空気室の圧力を、前記負圧源における負圧と前記大気中の大気圧の中間値に調節して保持せしめることを、特徴とする。
【0023】
このような本態様に従う空気圧制御方法は、特に、受動型の防振装置において好適に採用される。即ち、受動型の防振装置において、本態様に従えば、防振特性の細かな調節やチューニングが可能となり、それによって、防振すべき振動が変化する場合においても、有効な防振効果が発揮される周波数域を防振すべき振動周波数の変化に追従的に変化させることにより、要求される防振効果を安定して得ることが可能となるのである。
【0024】
また、空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブをそれぞれ防振すべき振動の周波数に対応した周波数で略交互に開閉作動せしめることにより、前記作用空気室に対して防振すべき振動の周波数に対応した空気圧変動を生ぜしめるに際して、前記第一の開閉バルブを閉じて前記第二の開閉バルブを開く負圧切換時と、該第二の開閉バルブを閉じて該第一の開閉バルブを開く大気圧切換時の少なくとも一方の圧力切換時において、それら第一の開閉バルブと第二の開閉バルブの両方を所定時間だけ閉状態とすることを、特徴とする。
【0025】
このような本態様に従う空気圧制御方法は、特に、能動型の防振装置に好適に採用される。即ち、能動型防振装置において、本態様に従えば、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブの開閉作動時における作用空気室の急激な空気圧変動を抑えることが可能となり、それによって、発生加振力の歪みが抑えられて高調波成分の発生が軽減されることから、防振対象に対する能動的な防振効果の向上と安定化が達成され得るのである。
【0026】
また、空気圧制御式制振器に関する本発明の第三の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブを何れも防振すべき振動の周波数に対応した周波数で略交互に開閉作動せしめることにより、前記作用空気室に対して防振すべき振動の周波数に対応した空気圧変動を生ぜしめるに際して、前記第一の開閉バルブを閉じて前記第二の開閉バルブを開く負圧切換時と、該第二の開閉バルブを閉じて該第一の開閉バルブを開く大気圧切換時の少なくとも一方の圧力切換時において、作用空気室が該第二の開閉バルブを通じて及ぼされる負圧または該第一の開閉バルブを通じて及ぼされる大気圧の何れかに一定化するまでの途上で該第二の開閉バルブまたは該第一の開閉バルブを閉状態とすることを、特徴とする。
【0027】
このような本態様に従う空気圧制御方法は、特に、能動型の防振装置に好適に採用される。即ち、能動型防振装置において、本態様に従えば、作用空気室の圧力変動の幅を適宜に調節することが可能となって、負圧源の大きさや変動等に係らず、安定した空気圧変動を作用空気室に及ぼすことが可能となるのであり、それによって、目的とする能動的な防振効果を安定して得ることが出来るのである。また、本態様に従えば、作用空気室の圧力変動の幅や最大/最小値を適宜に調節することが出来ることから、作用空気室の圧力変動の中央値乃至は平均値も調節することが可能となる。
【0028】
また、空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法に関する本発明の第四の態様は、前記第三の態様に従う空気圧制御方法であって、前記作用空気室が前記第二の開閉バルブを通じて及ぼされる負圧または前記第一の開閉バルブを通じて及ぼされる大気圧の何れかに一定化するまでの途上で該第二の開閉バルブまたは該第一の開閉バルブを閉状態とした後、それら第二の開閉バルブと第一の開閉バルブの両方を所定時間だけ閉状態とすることを、特徴とする。このような本態様に従えば、バルブ切換時における作用空気室の急激な空気圧変動を抑えることが可能となり、それによって、発生加振力の歪みが抑えられて高調波成分の発生が軽減されることから、防振対象に対する能動的な防振効果の向上と安定化が達成され得るのである。
【0029】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0030】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、パワーユニットに取り付けられる第一の取付部材としての第一の取付金具12とボデーに取り付けられる第二の取付部材としての第二の取付金具14が、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されており、パワーユニットとボデーの間に介装されて、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、本実施形態のエンジンマウント10においては、その装着状態下で、図1中の略上下方向にパワーユニット荷重が入力されると共に、図1中の略上下方向の振動に対して、有効な防振効果を発揮し得るようになっている。
【0031】
より詳細には、第一の取付金具12は、略逆円錐台形状を有している。また、第一の取付金具12の大径側端部には、径方向外方に向って広がる略円環板形状のストッパ部17が一体形成されていると共に、軸方向上方に向かって突出する取付ねじ部18が一体形成されている。そして、この取付ねじ部18によって、第一の取付金具12が、パワーユニット側に取り付けられるようになっている。また、本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有しており、その大径側端部には、大径側端面に開口する凹所22が設けられている。そして、本体ゴム弾性体16の小径側端部に対して、第一の取付金具12が軸方向に埋め込まれた状態で加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面に対して、円筒形状の連結金具20が加硫接着されている。また、第一の取付金具12のストッパ部17には、軸方向上方に突出する緩衝ゴム21が、本体ゴム弾性体16と一体的に設けられている。
【0032】
一方、第二の取付金具14は、全体として大径の円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部24を挟んで、軸方向上側が大径部26とされていると共に、軸方向下側が小径部28とされている。そして、この第二の取付金具14は、大径部26に外嵌固定される図示しないブラケットを介して、ボデー側に取り付けられるようになっている。また、大径部26の内周面には、薄肉のシールゴム層30が設けられていると共に、小径部28側の開口部には、薄肉円板形状のゴム膜からなる可撓性膜としてのダイヤフラム32が配設されており、このダイヤフラム32の外周縁部が小径部28の内周面に加硫接着されることによって、小径部28側の開口部がダイヤフラム32によって流体密に閉塞されている。なお、小径部28の内周面には、全体に亘ってダイヤフラム32と一体形成されたシールゴム層33が被着されている。
【0033】
そして、かかる第二の取付金具14は、大径部26が連結金具20に外挿されて流体密に外嵌固定されることにより、本体ゴム弾性体16の大径側端部に取り付けられている。それによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16を介して、弾性的に連結されていると共に、第二の取付金具14における大径部26側の開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に覆蓋されており、以て、第二の取付金具14の内部には、本体ゴム弾性体16に設けられた凹所22の内部を含んで、密閉領域が形成されている。
【0034】
また、第二の取付金具14には、小径部28内に仕切部材34が収容配置されている。この仕切部材34は、全体として円形ブロック形状を有しており、小径部28の内周面に対して流体密に嵌着固定されている。そして、この仕切部材34によって、第二の取付金具14の内部に形成された密閉領域が、軸方向両側(本体ゴム弾性体16とダイヤフラム32側)に仕切られている。それによって、仕切部材34よりも軸方向上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変化が惹起される主液室36が形成されている。一方、仕切部材34よりも軸方向下方には、壁部の一部がダイヤフラム32にて構成されて、該ダイヤフラム32の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室38が形成されている。また、これら主液室36と平衡室38には、何れも、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。
【0035】
さらに、仕切部材34は、軸方向上方に開口する中央凹部40が設けられた略厚肉の有底円筒形状を有する仕切部材本体42を備えており、この仕切部材本体42の開口側端部に一体形成された外フランジ部44が第二の取付金具14の段差部24に重ね合せられて本体ゴム弾性体16との間で挟持されることにより、仕切部材34が第二の取付金具14に対して固定的に組み付けられている。また、仕切部材本体42の周壁部46には、外周面に開口して周方向に延びる凹溝48が形成されており、該凹溝48が第二の取付金具14における小径部28で覆蓋されることによって、主液室36と平衡室38を相互に連通して、それら両室36,38間での流体流動を許容する第一のオリフィス通路50が形成されている。なお、本実施形態では、この第一のオリフィス通路50を通じて流動せしめられる流体の共振作用等に基づいて、低周波振動に対して有効な制振効果が発揮されるように、第一のオリフィス通路50の長さや断面積等が設定されている。
【0036】
また、仕切部材本体42の中央凹部40には、可動部材としてのゴム弾性板52と蓋部材54が、順次、軸方向に嵌め込まれて、仕切部材本体42に対して固定的に組み付けられている。このゴム弾性板52は、所定厚さの略円板形状を有しており、外周縁部の所定幅に亘る部分が、外周側に行くに従って軸方向下方に向かって略テーパ状に傾斜せしめられていると共に、その外周面には、嵌着リング56が加硫接着されている。そして、金属製の嵌着リング56が、仕切部材本体42の中央凹部40に圧入されて嵌着固定されることにより、ゴム弾性板52が、中央凹部40の底部において軸直角方向に広がり、その中央部分が中央凹部40の底面から上方に離隔して位置せしめられて、弾性変形乃至は弾性変位が許容された状態で配設されている。また、蓋部材54は、薄肉の円板形状を有しており、軸方向下方に向かって厚肉化された外周縁部が仕切部材本体42の中央凹部40に圧入されて嵌着固定されることにより、該中央凹部40の開口部を覆蓋して配設されている。
【0037】
そして、このようにゴム弾性板52と蓋部材54が中央凹部40に配設されることにより、中央凹部40には、ゴム弾性板52と蓋部材54の間に位置して、内部に主液室36と同じ非圧縮性流体が封入された副液室58が形成されている。また、蓋部材54における厚肉の外周縁部には、外周面に開口して周方向に延びる周溝60が形成されており、該周溝60が仕切部材本体42の周壁部で覆蓋されることによって、主液室36と副液室58を相互に連通して、それら両室36,58間での流体流動を許容する第二のオリフィス通路62が形成されている。なお、本実施形態では、この第二のオリフィス通路62を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、主液室36と平衡室38を繋ぐ第一のオリフィス通路50を通じて流動せしめられる流体の共振周波数よりも高く設定されている。具体的には、例えば、第一のオリフィス通路50がシェイク等の低周波振動域に、第二のオリフィス通路62がアイドリング振動等の中周波振動域に、それぞれチューニングされ、或いは、第一のオリフィス通路50がアイドリング振動等の中周波振動域に、第二のオリフィス通路62がこもり音等の高周波振動域に、それぞれチューニングされている。なお、各オリフィス通路50,62のチューニングは、例えば相互に連通せしめられる液室の壁ばね特性を考慮しつつ、オリフィス通路50,62の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能である。
【0038】
また、中央凹部40には、ゴム弾性板52を挟んで副液室58と反対側に位置して、外部空間に対して密閉された作用空気室64が形成されている。更にまた、仕切部材本体42には、作用空気室64と平衡室38の間を径方向に延びるエア連通路66が形成されており、このエア連通路66の内側端部が、中央凹部40の底面に開口せしめられて、作用空気室64に連通されている一方、エア連通路66の外側端部が、仕切部材本体42の周壁部に形成されて、第二の取付金具14を貫通して外周面に開口せしめられたポート68に連通されている。そして、ポート68に対して、外部管路70が接続されており、かかる外部管路70を通じて、作用空気室64が大気中と負圧源72に対して接続され得るようになっている。即ち、ポート68に接続された外部管路70には、第一の開閉バルブとしての大気側バルブ74と第二の開閉バルブとしての負圧側バルブ76が並列的に接続されている。そして、大気側バルブ74が、コントローラ78で作動制御されて、切換作動せしめられることによって、作用空気室64が大気中に接続/遮断されるようになっていると共に、負圧側バルブ76が、コントローラ78で作動制御されて、切換作動せしめられることによって、作用空気室64が負圧源72に接続/遮断されるようになっている。なお、本実施形態では、負圧源72として、自動車の内燃機関におけるエアインテーク部分に発生する負圧を利用した負圧タンクや、内燃機関によって駆動される負圧力発生ポンプ等が好適に採用され得る。
【0039】
このような構造とされた本実施形態のエンジンマウント10においては、コントローラ78による二つのバルブ74,76の切換作動の制御形態を切り換えることによって、(a)受動的な防振効果を発揮する「受動型マウント」として機能させることが可能であり、或いは(b)能動的な防振効果を発揮する「能動型マウント」として機能させることが可能である。以下に、(a)「受動型マウント」および(b)「能動型マウント」の各態様について説明する。
【0040】
(a)「受動型マウント」として機能させる場合
受動型マウントにおける受動的防振効果は、図1に示されたエンジンマウント10において、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にマウント軸方向(図中の上下方向)の振動が及ぼされた際に、第一のオリフィス通路50を流動せしめられる流体の共振作用や、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される高減衰作用や低動ばね作用に基づくものである。即ち、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されると、主液室36と平衡室38の間、および主液室36と副液室58の間で、それぞれ相対的な圧力変動が惹起されて、第一のオリフィス通路50および第二のオリフィス通路62を通じての流体流動が生ぜしめられるのであり、それら各オリフィス通路50,62を流動せしめられる流体の共振現象を利用することによって、それら各オリフィス通路50,62がチューニングされた各特定の周波数域でエンジンマウント10の防振効果を向上させることによって、受動的防振効果が発揮されることとなる。
【0041】
そこにおいて、受動的防振効果が有効に発揮される振動周波数は、各オリフィス通路50,62を流動せしめられる流体の共振周波数に対応することから、例えば防振すべき振動の周波数が変化する場合に、かかる振動に対して有効な受動的防振効果を得るためには、オリフィス通路50,62のチューニング周波数を変更することが必要となる。そして、本実施形態のエンジンマウント10においては、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を変化させることによって、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される受動的防振効果が発揮される振動周波数域を、変化させることが可能とされているのである。
【0042】
すなわち、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数、即ち第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振周波数は、主液室36と副液室58の各壁ばね特性と、封入流体の密度,第二のオリフィス通路62の通路断面積および通路長さなどによって決定されることとなる。なお、壁ばね特性は、液室36,58の容積を単位量だけ変化させるために必要とされる液室の圧力変化量に対応する値として認識される。そして、本実施形態のエンジンマウント10においては、副液室58の内圧を変更設定して副液室58の壁部の一部を構成するゴム弾性板52のばね特性を変更し、副液室58の壁ばね特性を調節することにより、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を、防振すべき振動の周波数に応じて調節することが出来るようになっているのである。
【0043】
具体的には、ゴム弾性板52のばね特性の変更は、コントローラ78によって大気側バルブ74と負圧側バルブ76を適当に開閉作動制御せしめて、作用空気室64の圧力を調節することによって行われる。即ち、作用空気室64の大気中と負圧源72への接続形態としては、作用空気室64を大気中に接続する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続する負圧側バルブが、作用空気室64に対して互いに並列的に接続されていると共に、互いに独立して開閉可能とされていることから、▲1▼大気側バルブ74を開き、負圧側バルブ76を閉じることによって発現される大気連通状態と、▲2▼大気側バルブ74を閉じ、負圧側バルブ76を開くことによって発現される負圧源連通状態と、▲3▼大気側バルブ74と負圧側バルブ76を何れも閉じることによって発現される密閉状態との、三つの形態が選択的に採用され得るようになっている。
【0044】
ここにおいて、▲1▼大気連通状態では、作用空気室64が大気中への連通状態に維持されることにより、ゴム弾性板52の下面に及ぼされる空気圧が大気圧とされて、作用空気室64によってゴム弾性板52に及ぼされる拘束力が十分に小さくされる結果、ゴム弾性板52のばね特性、延いては副液室58の壁ばね特性が低ばね化されるのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が低周波側に移行して調節設定され得るのである。
【0045】
また、▲2▼負圧源連通状態では、作用空気室64が負圧源72への連通状態に維持されることにより、ゴム弾性板52の下面に及ぼされる空気圧が大きな負圧とされて、作用空気室64によってゴム弾性板52に及ぼされる拘束力が十分に大きくされる結果、ゴム弾性板52のばね特性、延いては副液室58の壁ばね特性が高ばね化されるのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が高周波側に移行して調節設定され得るのである。
【0046】
更にまた、▲3▼密閉状態では、作用空気室64が外部に対する遮断状態に維持されることとなるが、遮断状態の直前に大気側バルブ74と負圧側バルブ76に対する作用空気室64の接続状態をコントローラ78によって適当に制御することにより、作用空気室64に対して、負圧源72における負圧値と大気圧との間の適当なレベルに調節設定することが出来る。それ故、ゴム弾性板52の下面に及ぼされる空気圧を適宜に設定して、作用空気室64によってゴム弾性板52に及ぼされる拘束力を適当に調節することにより、ゴム弾性板52のばね特性、延いては副液室58の壁ばね特性を、▲1▼大気連通状態と▲2▼負圧源連通状態の中間段階に設定することが出来るのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が、上記▲1▼大気連通状態で発現される低周波側チューニング周波数と▲2▼負圧源連通状態で発現される高周波側チューニング周波数との中間の周波数域に移行して調節設定され得るのである。また、密閉状態とされた作用空気室64における負圧の大きさを変更設定することにより、ゴム弾性板52のばね特性を多段階乃至は連続的に変更設定することも可能であり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を、複数の乃至は広い周波数域の振動に対応して調節することも可能となる。
【0047】
なお、作用空気室64を負圧源72の負圧と大気圧との中間圧力に設定するに際しては、例えば、図2に示されているように、作用空気室64を大気圧として大気側バルブ74と負圧側バルブ76の両方を閉じた初期状態から、負圧側バルブ76だけを開いて作用空気室64に負圧を導くと共に、該負圧側バルブ76の開時間を調節して、作用空気室64が最大負圧(負圧源72の負圧値):P0まで至らないだけの短時間:t1で、負圧側バルブ76を閉じるようにする。これによって、作用空気室64が、大気圧と負圧源72の負圧値:P0との間の中間負圧値:P1に設定され得ることとなる。また、この中間負圧値:P1で作用空気室64を密閉せしめた状態から、図2に示されているように、大気側バルブ74だけを開いて作用空気室64を大気中に連通せしめると共に、該大気側バルブ74の開時間を調節して、作用空気室64が大気圧まで至らないだけの短時間:t2で、大気側バルブ74を閉じるようにする。これによって、作用空気室64が、大気圧と負圧源72の負圧値:P0との間であって、前記中間負圧値:P1よりは大気圧に近い中間負圧値:P2に設定され得ることとなる。
【0048】
そして、このように作用空気室64に対して互いに異なる空気圧(P1とP2)を及ぼすことによって、ゴム弾性板52のばね特性を、作用空気室64を大気中に接続せしめた状態下で発現される低ばね特性と作用空気室を負圧源72に接続せしめた状態下で発現される高ばね特性との間の中間域で、複数段階に設定することが出来るのであり、それによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数が、前記▲1▼大気連通状態下で発現される低周波側のチューニング周波数と、前記▲2▼負圧源連通状態下で発現される高周波側のチューニング周波数との間の中間周波数域において、適当に調節設定され得るのである。
【0049】
従って、本実施形態のエンジンマウント10においては、作用空気室64を大気中に接続/遮断する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続/遮断する負圧側バルブ76が、互いに独立して開閉可能とされていることから、それら大気側バルブ74と負圧側バルブ76をコントローラ78で適当に開閉制御することによって、第二のオリフィス通路62のチューニング周波数を、防振すべき振動の周波数域の変化に応じて、三段階以上に変更設定することが出来るのであり、それによって、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して、それぞれ、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用に基づく受動的な防振効果が有効に発揮され得ることとなるのである。
【0050】
(b)「能動型マウント」として機能させる場合
能動型マウントにおける能動的防振効果は、図1に示されたエンジンマウント10において、コントローラ78の作動制御に基づいて大気側バルブ74と負圧側バルブ76を切換制御せしめて、防振すべき振動の周波数に対応した周期の空気圧変動を作用空気室64に及ぼしてゴム弾性板52を加振駆動することにより、副液室58に積極的な圧力変動を生ぜしめると共に、該副液室58の圧力変動を第二のオリフィス通路62を通じて主液室36に伝達せしめて主液室36の圧力変動を積極的に制御し、以て、例えば第一の取付金具12から第二の取付金具14に伝達せしめられる振動を相殺的に低減せしめることによって、発揮されるものである。また、副液室58に生ぜしめられる圧力変動を、第二のオリフィス通路62を流動せしめられる流体の共振作用を利用して、主液室36に伝達することにより、ゴム弾性板52の加振によって副液室58に生ぜしめられる圧力変動を、より効率的に主液室36に伝達せしめて、能動的な防振効果をより有効に得ることが出来るのである。
【0051】
そこにおいて、能動的防振効果を有利に得るためには、発生加振力を防振すべき振動レベル(振動の大きさ)に対応した大きさに設定すると共に、発生加振力の波形を防振すべき振動の波形に近似させることが有効であり、振動波形は一般的にサイン波形に近いものと考えられることから、副液室58および主液室36に圧力変動を生ぜしめるゴム弾性板52の加振源である作用空気室64に対して、出来るだけサイン波形に近く、且つ高調波成分の少ない圧力変動を及ぼすことが必要となる。そして、本実施形態のエンジンマウント10においては、コントローラ78によって大気側バルブ74と負圧側バルブ76を、防振すべき振動に応じて適当に切換制御することにより、作用空気室64に対して、防振すべき振動レベルに対応した大きさで、且つ高調波成分が抑えられてサイン波形に近い圧力変動を効果的に及ぼすことが可能となるのである。
【0052】
すなわち、作用空気室64における空気圧変動は、例えば大気側バルブ74と負圧側バルブ76を交互に開いて、作用空気室64を大気中と負圧源72に交互に接続することによって、それら大気中と負圧源72とに対する作用空気室64の接続の切換周期に対応した周波数で生ぜしめられ得る。
【0053】
そこにおいて、本実施形態のエンジンマウント10においては、作用空気室64を大気中に接続する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続する負圧側バルブ76が、作用空気室64に対して互いに並列的に接続されていると共に、互いに独立して開閉可能とされていることから、作用空気室64の負圧源72と大気中への接続を、何れかに交互に択一的に切り換えるだけでなく、かかる切換時に、作用空気室64を負圧源72と大気中の何れにも連通されていない密閉状態に保持せしめることが出来るのであり、それによって、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の大きさ(両振幅)を調節すると共に、空気圧変動の形態を調節することが可能とされているのである。
【0054】
先ず、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の大きさの調節は、作用空気室64を負圧源72や大気中に接続せしめるに際して、負圧側バルブ76や大気側バルブ74の開時間を調節することによって行うことが可能である。具体的には、図3に示されているように、作用空気室64を大気圧として大気側バルブ74と負圧側バルブ76の両方を閉じた初期状態から、負圧側バルブ76だけを開いて作用空気室64に負圧を導くと共に、該負圧側バルブ76の開時間を調節して、作用空気室64が最大負圧(負圧源72の負圧値):Pまで至らないだけの時間:taで、負圧側バルブ76を閉じるようにする。これによって、作用空気室64が、時間:taをもって大気圧から所定負圧値:P′(但し、P′<P)にまで圧力変化せしめられることとなり、その後、所定時間:tbだけ大気側バルブ74を開いて作用空気室64を再び大気中に接続して、かくの如き作用空気室64の負圧源72への接続と大気中への接続を交互に所定周期:Tで繰り返すことによって、作用空気室64に対して、周波数:1/Tで両振幅:P′の空気圧変動を生ぜしめることが出来るのである。
【0055】
また、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の形態の調節は、上述の如き作用空気室64の負圧源72への接続と大気中への接続を交互に繰り返すに際して、図3に示されているように、負圧側バルブ76を閉じて作用空気室64の負圧源72への接続を遮断してから、大気側バルブ74を開いて作用空気室64を大気中に接続するまでの間に、所定量の空き時間:tcを設定し、かかる空き時間:tcの間だけ負圧側バルブ76と大気側バルブ74の両方を閉じて作用空気室64を所定負圧値:P′で保持せしめるようにする。これによって、作用空気室64が、大気圧から所定負圧値:P′まで圧力低下せしめられた後に所定負圧値:P′から大気圧まで圧力増大せしめられる圧力増減方向の切換時において、所定負圧値:P′で所定時間:tcの間だけ保持されることとなる。
【0056】
その結果、図3に示されているように、作用空気室64の圧力変動形態が、負圧側ピーク点において頭を潰されたように、略一定圧力値への保持時間:tcが与えられるのであり、このように圧力増減ピーク点における圧力変動の急激な変化が軽減乃至は回避されることにより、作用空気室64の圧力変動がサイン波形に近づけられて、高調波成分の発生が抑えられるのである。因みに、作用空気室64を負圧源72への接続状態から空き時間無しで直ちに大気中への接続状態に切り換えることによって発現される作用空気室64の圧力変動形態を、図3中に破線で併せ示すが、かかる圧力変動形態においては、負圧側のピーク点で、作用空気室64の圧力増減方向が急激に変化せしめられているのに対して、上述の如き本発明に従い空き時間:tcを設定することによって、負圧側のピーク点での作用空気室64の圧力増減方向の急激な変化が抑えられることが明らかに認められる。
【0057】
なお、図3に示されているように、本実施形態では、作用空気室64を大気中への接続状態から負圧源72への接続状態に切り換えるに際しても、大気側バルブ74を閉じて作用空気室64の大気圧への接続を遮断してから、負圧側バルブ76を開いて作用空気室64を負圧源72に接続するまでの間に、所定量の空き時間:tdを設定し、かかる空き時間:tdの間だけ大気側バルブ74と負圧側バルブ76の両方を閉じて作用空気室64を大気圧で保持せしめるようにする。これによって、作用空気室64が、所定負圧値:P′から大気圧まで圧力低下せしめられた後に、再び大気圧から作用負圧値:P′まで圧力増大せしめられる圧力増減方向の切換時においても、大気圧で所定時間:tdの間だけ保持されることとなり、以て、急激な圧力増減方向の変化が軽減乃至は回避されることによって、作用空気室64の圧力変動が一層サイン波形に近づけられて、高調波成分の発生がより効果的に抑えられるのである。
【0058】
従って、本実施形態のエンジンマウント10においては、作用空気室64を大気中に接続/遮断する大気側バルブ74と、作用空気室64を負圧源72に接続/遮断する負圧側バルブ76が、互いに独立して開閉可能とされていることから、それら大気側バルブ74と負圧側バルブ76をコントローラ78で交互に周期的に開閉制御せしめて作用空気室64に圧力変動を及ぼすに際して、作用空気室64の大気圧への接続状態と負圧源72への接続状態の切換時に所定時間(tc,td)の空き時間をとり両バルブ74,76を閉鎖せしめて作用空気室64を密閉状態とすることによって、作用空気室64に及ぼされる空気圧変動の大きさや形態を調節すること出来るのであり、以て、防振すべき振動振幅に高度に対応した圧力変動を副液室58や主液室36に生ぜしめることにより、目的とする能動的防振効果を一層高度に発揮させることが出来るのである。
【0059】
また、図4には、本発明の第二の実施形態としての制振器80が示されている。この制振器80は、自動車のボデー等の振動体82に取り付けられる取付部材としての取付金具84に対して、マス部材としてのマス金具86が支持ゴム弾性体としての本体ゴム弾性体88を介して弾性的に連結支持せしめられている。なお、本実施形態の制振器80においては、図4中の上下方向に対して、有効な制振効果を発揮し得るようになっている。なお、本実施形態において、空気圧の制御系としては、第一の実施形態と同様なものが採用されていることから、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0060】
より詳細には、本実施形態の制振器80において、取付金具84は、全体として平板形状を有しており、振動体86に対して、取付ボルト90にて取り付けられるようになっている。また、取付金具84の下面には、浅底の有底円筒形状を有する仕切金具92が重ね合わされ、連結ボルト94で固着されており、それによって、仕切金具92の開口部が取付金具84で流体密に覆蓋されて、仕切金具92と取付金具84の間に密閉室が形成されている。更に、この密閉室には、円板形状のゴム弾性板96が軸直角方向に広がって配設されており、該ゴム弾性板96の外周面に加硫接着された金属リング98が仕切金具92の筒壁内面に嵌着固定されることにより、密閉室がゴム弾性板96で流体密に二分されるようになっている。そして、このように密閉室がゴム弾性板96で流体密に二分されることによって、ゴム弾性板96と取付金具84の間には、外部空間に対して密閉された作用空気室100が形成されていると共に、ゴム弾性板96と仕切金具92の底壁の間には、非圧縮性流体が封入された作用液室102が形成されている。また、取付金具84には、作用空気室100に連通されたエア連通路104が穿孔されており、このエア連通路104の開口部に嵌合されたポート部106に対して、第一の実施形態と同様な空気圧制御系が接続されている。
【0061】
また、仕切金具92の軸方向下方には、円形ブロック形状のマス金具86が離隔配置されている。そして、これら仕切金具92とマス金具86の間には、本体ゴム弾性体88が介装されており、それによって、マス金具86が本体ゴム弾性体88によって弾性支持されている。この本体ゴム弾性体88は、略逆円錐台形状を有しており、その大径側端部外周面に対して、円環形状の第一の連結金具118が加硫接着されていると共に、小径側端面に対して、厚肉円板形状の第二の連結金具120が加硫接着されている。そして、第一の連結金具118が仕切金具92の下面の外周縁部に重ね合せられて、連結ボルト94で仕切金具92に固着されている一方、第二の連結金具120がマス金具86の上面の中央部分に重ね合わされ、連結ボルト122でマス金具86に固着されている。それによって、仕切金具92とマス金具86が、本体ゴム弾性体88で弾性的に連結されており、以て、マス金具86と第二の連結金具120をマス系とし、本体ゴム弾性体88をばね系とする一振動系が構成されている。
【0062】
さらに、仕切金具92とマス金具86の間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体88で構成されて、内部に非圧縮性流体が封入された加振液室124が形成されている。また、作用液室102と加振液室124を仕切る仕切金具92の底壁には、外周部分を周方向に所定の長さで延びると共に、一方の端部が作用液室102に、他方の端部が加振液室124に、それぞれ開口,連通せしめられるオリフィス通路126が形成されており、かかるオリフィス通路126を通じて、作用液室102と加振液室124の間での流体流動が許容されるようになっている。
【0063】
このような構造とされた制振器80においては、作用空気室100に静的な圧力を及ぼした状態下で、主振動系である振動体82から及ぼされる振動に対してマス金具86と本体ゴム弾性体88を含んで構成された一振動系が副振動系として機能することにより、動的吸振器(ダイナミックダンパ)として受動的な制振効果を発揮し得る一方、作用空気室100に動的な圧力変動を及ぼしてゴム弾性板52に加振力を及ぼし、作用液室102からオリフィス通路126を通じて加振液室124に圧力変動を作用せしめてマス金具86を加振変位せしめることにより、加振力を生ぜしめて振動体82に伝達し、以て、振動体82の振動を相殺的に低減せしめる動的な制振効果を発揮し得ることとなる。また、オリフィス通路126を流動せしめられる流体の共振作用を利用することによって振動体82の変位が一層効率的に生ぜしめられることから、オリフィス通路126のチューニング周波数域において、上述の如き受動的な制振効果が一層効率的に発揮されると共に、上述の如き能動的な制振効果もより効率的に発揮されるのである。
【0064】
そこにおいて、本実施形態の制振器80においては、第一の実施形態と同様に、コントローラ78による二つのバルブ74,76の切換作動の制御形態を切り換えることによって、(a)「受動型制振器」として機能させるに際して、作用空気室100において、▲1▼大気連通状態と、▲2▼負圧源連通状態と、▲3▼密閉状態との、三つの形態が選択的に採用され得ることとなり、それによって、オリフィス通路126のチューニング周波数域を三つ以上の複数段階に調節設定することが出来るのであり、以て、振動体82における複数の乃至は広い周波数域の振動に対して有効な制振効果を得ることが可能となるのである。
【0065】
更にまた、かかる制振器80においては、第一の実施形態と同様に、大気側バルブ74と負圧側バルブ76をコントローラ78で交互に周期的に開閉制御せしめて作用空気室100に圧力変動を及ぼし、(b)「能動型制振器」として機能させるに際して、作用空気室100の大気圧への接続状態と負圧源72への接続状態の切換時に所定時間(tc,td)の空き時間をとり両バルブ74,76を閉鎖せしめて作用空気室100を密閉状態とすることによって、作用空気室100に及ぼされる空気圧変動の大きさや形態を調節すること出来るのであり、以て、防振すべき振動振幅に高度に対応した圧力変動を作用液室102や加振液室124に生ぜしめることにより、目的とする能動的防振効果を一層高度に発揮することが出来るのである。
【0066】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何ら限定的に解釈されるものではない。
【0067】
例えば、前記実施形態において、作用空気室64,100には、一つのエア連通路66,104が開口せしめられており、この一つのエア通路66,104に対して大気側バルブ74と負圧側バルブ76が並列的に接続されていたが、大気側バルブ74が接続されるエア通路と負圧側バルブ76が接続されるエア通路を、互いに独立して作用空気室64,100に開口させても良い。
【0068】
また、作用空気室64,100の圧力を静的乃至は動的に制御せしめて受動型マウント乃至は受動型制振器や能動型マウント乃至は能動型制振器として機能せしめるに際して、作用空気室64,100の圧力を検出する圧力センサを設けて、作用空気室64,100の圧力をフィードバック制御することも可能である。なお、作用空気室64,100の圧力制御は、例えば、自動車のアクセル開度信号や、車速信号,シフトポジション信号等に基づいて車両の走行状態を把握し、内燃機関の点火信号を参照信号として車両の走行状態に応じたモードで適応制御等のフィードバック制御することによって、或いはマップ制御することによって、有利に為され得る。
【0069】
更にまた、前記実施形態のエンジンマウント10および制振器80においては、何れも、受動的防振作動と能動的防振作動の両方が実現されるようになっていたが、それら受動的防振作動と能動的防振作動の何れか一方だけの作動形態を採用することも、勿論、可能である。
【0070】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントや制振器に対して適用したものの具体例を示したが、その他、本発明は、振動の低減が要求される各種振動体における各種の防振装置や制振装置に対して、何れも、有利に適用可能である。
【0071】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0072】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた空気圧制御式防振装置においては、作用空気室の圧力設定の自由度が大幅に向上され得るのであり、その結果、例えば受動的防振作動に際して一つのオリフィス通路のチューニング周波数を複数段階に変化させたり、能動的防振作動に際して発生加振力の大きさを複数段階に調節したりすることが可能となって、防振すべき振動に対してより有効な防振効果を得ることが出来るのである。
【0073】
また、本発明に従う空気圧制御式防振装置における制御方法に従えば、本発明に従う構造とされた空気圧制御式防振装置の作用空気室の圧力や圧力変動を、防振すべき振動に対応して効果的に制御することが出来るのであり、それによって、本発明に係る空気圧制御式防振装置において、要求される防振効果を一層有効に発揮せしめることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの空気圧制御系における受動的制御態様を説明するためのグラフである。
【図3】図1に示されたエンジンマウントの空気圧制御系における能動的制御態様を説明するためのグラフである。
【図4】本発明の第二の実施形態としての制振器を示す断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
64 作用空気室
74 大気側バルブ
76 負圧側バルブ
80 制振器
100 作用空気室
Claims (6)
- 外部空間に対して遮断された作用空気室を設けて、該作用空気室の空気圧を制御することにより防振特性を調節するようにした空気圧制御式防振装置において、
前記作用空気室に対して、第一の開閉バルブと第二の開閉バルブを並列的に接続せしめて、該第一の開閉バルブを通じて該作用空気室を大気中に接続すると共に、該第二の開閉バルブを通じて該作用空気室を負圧源に接続するようにしたことを特徴とする空気圧制御式防振装置。 - 第一の部材と第二の部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて振動が入力される主液室と、弾性変位可能な可動部材で壁部の一部が構成されて該可動部材の変位に基づいて圧力変化が生ぜしめられる副液室を形成して、それら主液室と副液室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該可動部材を挟んで該副液室と反対側に前記作用空気室を形成した請求項1に記載の空気圧制御式防振装置。
- 請求項1又は2に記載の空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブを何れも閉状態に保持せしめることにより、前記作用空気室の圧力を、前記負圧源における負圧と前記大気中の大気圧の中間値に調節して保持せしめることを特徴とする空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法。
- 請求項1又は2に記載の空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブをそれぞれ防振すべき振動の周波数に対応した周波数で略交互に開閉作動せしめることにより、前記作用空気室に対して防振すべき振動の周波数に対応した空気圧変動を生ぜしめるに際して、
前記第一の開閉バルブを閉じて前記第二の開閉バルブを開く負圧切換時と、該第二の開閉バルブを閉じて該第一の開閉バルブを開く大気圧切換時の少なくとも一方の圧力切換時において、それら第一の開閉バルブと第二の開閉バルブの両方を所定時間だけ閉状態とすることを特徴とする空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法。 - 請求項1又は2に記載の空気圧制御式防振装置において、前記第一の開閉バルブと前記第二の開閉バルブをそれぞれ防振すべき振動の周波数に対応した周波数で略交互に開閉作動せしめることにより、前記作用空気室に対して防振すべき振動の周波数に対応した空気圧変動を生ぜしめるに際して、
前記第一の開閉バルブを閉じて前記第二の開閉バルブを開く負圧切換時と、該第二の開閉バルブを閉じて該第一の開閉バルブを開く大気圧切換時の少なくとも一方の圧力切換時において、作用空気室が該第二の開閉バルブを通じて及ぼされる負圧または該第一の開閉バルブを通じて及ぼされる大気圧の何れかに一定化するまでの途上で該第二の開閉バルブまたは該第一の開閉バルブを閉状態とすることを特徴とする空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法。 - 前記作用空気室が前記第二の開閉バルブを通じて及ぼされる負圧または前記第一の開閉バルブを通じて及ぼされる大気圧の何れかに一定化するまでの途上で該第二の開閉バルブまたは該第一の開閉バルブを閉状態とした後、それら第二の開閉バルブと第一の開閉バルブの両方を所定時間だけ閉状態とする請求項5に記載の空気圧制御式防振装置における空気圧制御方法。
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