JP2000299387A - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents

半導体装置とその製造方法

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JP2000299387A JP11104568A JP10456899A JP2000299387A JP 2000299387 A JP2000299387 A JP 2000299387A JP 11104568 A JP11104568 A JP 11104568A JP 10456899 A JP10456899 A JP 10456899A JP 2000299387 A JP2000299387 A JP 2000299387A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MOS型トランジスタを用いたコンパレータ
ーにおいて、オフセット電圧を低減し小さい占有面積を
実現することを目的とする。 【解決手段】 MOS型トランジスタのチャネル領域に
不純物を導入し、負荷側のMOS型トランジスタの移動
度を差動側のMOS型トランジスタの移動度より小さく
し、負荷側のMOS型トランジスタのgmを差動側のト
ランジスタのgmより小さくしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置及びその
製造方法、特にMOS型トランジスタを用いたコンパレ
ーター回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、MOS型トランジスタを用いたコ
ンパレーターは広く利用されているが、オフセット電圧
の小さいコンパレーターを得るためにはMOS型トラン
ジスタのチャネル幅及びチャネル長を大きくしたものが
知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
MOS型トランジスタを用いたコンパレーターは、オフ
セット電圧を小さくする為にMOS型トランジスタのチ
ャネル幅、チャネル長を長くする手段を用いているた
め、コンパレーターの占有面積が大きくなってしまうと
言う問題点を有していた。
【0004】本発明は、従来のM0S型トランジスタを
用いたコンパレーターでは不可能であったオフセット電
圧の小さいコンパレーターを小さな占有面積で提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の手段を用いた。 (1)MOS型トランジスタで構成するコンパレーター
において、負荷側のMOS型トランジスタのgmを差動
側のMOS型トランジスタのgmより小さくした。
【0006】(2)そのコンパレーターにおいて、負荷
側のMOS型トランジスタの移動度を差動側の移動度よ
り小さくした。 (3)そのコンパレーターにおいて、負荷側のMOS型
トランジスタのチャネル領域の不純物濃度を差動側のM
OS型トランジスタの不純物濃度より濃くした。
【0007】(4)そのコンパレーターにおいて、負荷
側のMOS型トランジスタのしきい値電圧を差動側のM
OS型トランジスタのしきい値電圧より高くした。 (5)そのコンパレーターにおいて、負荷側のMOS型
トランジスタのゲ−ト酸化膜厚を差動側のMOS型トラ
ンジスタのゲ−ト酸化膜厚より厚くした。 (6)そのコンパレーターにおいて、負荷側のMOS型
トランジスタをP型トランジスタ、差動側のMOS型ト
ランジスタをN型トランジスタにした。
【0008】(7)そのコンパレーターにおいて、負荷
側のMOS型トランジスタをN型トランジスタ、差動側
のMOS型トランジスタをP型トランジスタにした。 (8)そのMOS型トランジスタのチャネル領域に導入
された不純物をリンにした。 (9)そのMOS型トランジスタのチャネル領域に導入
された不純物を砒素にした。
【0009】(10)そのMOS型トランジスタのチャ
ネル領域に導入された不純物をボロンにした。 (11)そのMOS型トランジスタのチャネル領域に導
入された不純物をBF 2にした。 (12)そのMOS型トランジスタのチャネル領域に導
入された不純物を二種類以上にした。
【0010】(13)そのコンパレーターにおいて、負
荷側のMOS型トランジスタのみゲ−ト電極と基板中に
形成されるソ−ス拡散およびドレイン拡散とがオ−バ−
ラップしないようにした。 (14)第一導電型のシリコン半導体基板中に第二導電
型のウェル領域を形成し、その第二導電型のウェル中に
その負荷側のMOS型トランジスタが、その第二導電型
のウェル領域外にその差動側のMOS型トランジスタを
形成した。
【0011】(15)第一導電型のシリコン半導体基板
中に第二導電型のウェル領域を形成し、その第二導電型
のウェル中にその差動側のMOS型トランジスタが、そ
の第二導電型のウェル領域外にその負荷側のMOS型ト
ランジスタを形成した。 (16) 第一導電型のシリコン半導体基板中に第二導
電型及び第三導電型のウェル領域を形成し、それぞれの
ウェル中に差動側及びの負荷側のMOS型トランジスタ
を形成した。
【0012】(17)半導体基板の表面に設けられたN
型半導体領域とP型半導体領域にそれぞれ負荷トランジ
スタとなるP型トランジスタと差動トランジスタとなるN
型トランジスタとを集積したCMOS半導体装置の製造方法
において、前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を形成
し、前記ゲート絶縁膜の上にシリコン薄膜を形成し、前
記半導体領域シリコン薄膜にN型の不純物を不純物拡散
炉により導入し、前記シリコン薄膜を選択エッチしてゲ
ート絶縁膜の上にゲート電極を形成し、前記ゲート電極
をマスクとした前記N型半導体領域表面にP型不純物をイ
オン注入することによりソース・ドレイン領域を形成
し、前記ゲート電極をマスクとして前記P型半導体領域
表面にN型不純物燐をイオン注入することによりソース
・ドレイン領域を形成し、前記ソース・ドレイン領域を
900から1050℃の温度で熱処理により活性化して
形成した。
【0013】(18)半導体基板の表面に設けられたN
型半導体領域とP型半導体領域にそれぞれ負荷トランジ
スタとなるP型トランジスタと差動トランジスタとなるN
型トランジスタとを集積したCMOS半導体装置の製造方法
において、前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を形成
し、前記N型半導体領域表面に不純物をイオン注入する
ことよりチャネルドープ領域を形成し、前記P型半導体
領域表面に不純物をイオン注入することよりチャネルド
ープ領域を形成し、前記ゲート絶縁膜の上にシリコン薄
膜を形成し、前記半導体領域シリコン薄膜にN型の不純
物を不純物拡散炉により導入し、前記シリコン薄膜を選
択エッチしてゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとした前記N型半導体領域表面
にP型不純物をイオン注入することによりソース・ドレ
イン領域を形成し、前記ゲート電極をマスクとして前記
P型半導体領域表面にN型不純物燐をイオン注入すること
によりソース・ドレイン領域を形成し、前記ソース・ド
レイン領域を900から1050℃の温度で熱処理によ
り活性化して形成した。
【0014】(19)1つのマスクを使用してN型ウェ
ル層とP型ウェル層とを半導体基板に形成する半導体製
造方法において、N型ウェル層を形成した後にP型ウェル
層を形成した。 (20)半導体基板上にシリコン酸化膜とシリコン窒化
巻くを順次形成し、フォトマスク処理により前記シリコ
ン窒化膜を選択的に除去して前記Nウェル層の領域を規
定し、N型不純物を前記半導体基板にイオン注入し、前
記シリコン窒化膜が除去されたNウェル領域にシリコン
酸化膜を形成し、前記シリコン窒化膜を除去してPウェ
ル層の領域を規定し、P型不純物を前記半導体基板にイ
オン注入し、前記半導体基板を熱処理して不純物を拡散
及び活性化した。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の半導体装置は、小さな占
有面積でオフセット電圧を小さくした高精度なコンパレ
ーターをMOS型トランジスタを用いて実現する事がで
きる。以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を説
明する。本発明にかかる半導体装置の第一実施例を示
す。図1の回路図に示したコンパレーターは2つのP型
トランジスタ102、103を負荷トランジスタとし、
2つのN型トランジスタ107、108を差動トランジ
スタとして構成され、電源端子101と出力端子104
と基準電圧端子105と入力端子106と接地端子10
9からなる。ある一定の電位を基準電圧端子105に印
加する。その時入力端子106に印加された電位が基準
電圧端子105に印加されている電位より小さいと電源
端子101に印加されている電位が出力端子104より
出力される。一方、入力端子106に印加された電位が
基準電圧端子105に印加されている電位より大きいと
接地端子109に印加されている電位が出力端子104
より出力される。この出力の変化を反転するという。負
荷トランジスタとしたP型トランジスタ102と103
のサイズが等しく、差動トランジスタとしたN型トラン
ジスタ107と108のサイズが等しい場合には、基準
電圧端子105に印加されている電位と入力端子106
に印加されている電位が等しい時、出力が反転する。し
かしながら、実際は加工精度その他の原因により基準電
圧端子105に印加されている電位と入力端子106に
印加されている電位が等しくないときに反転が起こって
しまう。この時の基準電圧端子105に印加されている
電位と入力端子106に印加されている電位の差をオフ
セット電圧と言う。オフセット電圧は次式で求められ
る。
【0016】 Voff=△Vtn+√(αKp/βKn)×|△Vtp|+(√(α/β)-1)(Vref-Vb-Vtn) − 式においてVoffはオフセット電圧、△Vtnは差動トラ
ンジスタであるN型トランジスタ107と108のしき
い値電圧(以下、Vthと略す。)の差、△Vtpは負荷
トランジスタであるP型トランジスタ102と103の
Vthの差、Knは差動トランジスタであるN型トラン
ジスタ107、108のgm、Kpは負荷トランジスタで
あるP型トランジスタ102、103のgm、αは負荷
トランジスタであるP型トランジスタ102と103の
gmの比、βは差動トランジスタであるN型トランジス
タ107と108のgmの比、Vrefは基準電圧端子10
5に印加された電位(以下Vrefと略す)、Vaは電源電圧
端子101に印加された電位、Vbは接地端子109に印
加された電位、Vtnは差動トランジスタであるN型トラ
ンジスタ107、108のVth、Vtpは負荷トランジ
スタであるP型トランジスタ102、103のVthを
示している。
【0017】式は以下の様に求められる。図1におけ
る負荷トランジスタであるP型トランジスタ102、1
03のチャネル幅、チャネル長、Vthを互いに同じ
く、差動トランジスタであるN型トランジスタ107、
108のチャネル幅、チャネル長、Vthを互いに同じ
くしておく。負荷トランジスタであるP型トランジスタ
102と差動トランジスタであるN型トランジスタ10
7を経由する電流をI1とし、負荷トランジスタである
P型トランジスタ103と差動トランジスタであるN型
トランジスタ108を経由する電流をI2とすると次式
の様に表される。
【0018】 I1=Kp(Va−Vref−|Vtp|)2=Kn(Vref−Vb−Vtn)2 − I2=αKp{Va−Vdd−|Vtp−△Vtp|}2 =βKn{Vin−Vb−(Vtn−△Vtn)}2 − Vin=Vref−Voff − 但し、Vinは入力端子106に印加される電位(以下Vin
と略す。) 本来、負荷トランジスタであるP型トランジスタ102
と103のチャネル幅、チャネル長、Vth、gmが互
いに等しく、差動トランジスタであるN型トランジスタ
107と108のチャネル幅、チャネル長、Vth、g
mが互いに等しければVin=Vrefで反転する。しかしな
がら、オフセット電圧が生じると式の状態の時に反転
する。反転するとき、I1=I2となるので式=式
となり、オフセット電圧が生じていると仮定して式を
代入する。上式を解くと式が得られる。式からオフ
セット電圧を小さくするには、負荷トランジスタのgm
を小さくし、差動トランジスタのgmを大きくすれば良
いことが分かる。
【0019】P型トランジスタの移動度は動作するキャ
リアが正孔のため、電子をキャリアとするN型トランジ
スタより1/2〜1/3になる。gmは移動度に比例するこ
とより、負荷側にP型トランジスタ、差動側にN型トラ
ンジスタにすることで、負荷側にN型トランジスタ、差
動側にP型トランジスタで構成するコンパレータよりオ
フセット電圧を小さくできる。
【0020】図3は、本発明にかかる半導体装置の第一
実施例の製造方法を示す工程順断面図である。まず、工
程aにおいて、P型シリコン半導体基板201の表面にN
ウェル層202を形成する。基板表面にマスクとして所
定の形状にパターニングされた酸化膜203を形成した
後、N型の不純物例えば燐を100〜180Kevの加速エ
ネルギーで1〜9E12atom/cm2のドーズ量でイオ
ン注入する。この後、1150℃で6時間加熱処理を施
し、注入された不純物燐の拡散及び活性化を行い図示す
るようにNウェル層202を形成する。このNウェル層2
02に負荷トランジスタとなるPチャネルMOSトランジス
タが形成され、隣接部分に差動トランジスタとなるNチ
ャネルMOSトランジスタが形成される事になる。尚、必
ずともP型シリコン半導体基板を用いる必要はなく、N
型シリコン半導体基板を用いて、P型ウェル領域を作
り、N型シリコン半導体基板中に負荷トランジスタとな
るP型トランジスタを作り、P型ウェル領域中に差動ト
ランジスタとなるN型トランジスタを作ってもよい。
【0021】工程bにおいてフィールドドープを行う。
この為に、まずトランジスタ素子の形成される活性領域
を被覆するようにシリコン窒化膜204をパターニング
形成する。とくにNウェルの上にはシリコン窒化膜20
4に重ねてフォトレジスト205も形成する。この状態
で不純物ボロンを30KeVの加速エネルギーおよび1〜
9E13atom/cm2のドーズ量でイオン注入しフィール
ドドープを行う。図示するように、素子領域を含む部分
にフィールドドープ領域が形成される。
【0022】続いて工程cにおいて所謂LOCOS処理を行
い素子領域を囲むようにフィールド酸化膜206を形成
する。この後、犠牲酸化およびその除去処理を行い、基
板の表面に残された異物を除去し清浄化する。工程dに
おいて基板表面の熱酸化処理はH2O雰囲気中で酸化膜2
07を成膜する。本発明では熱酸化処理をO2雰囲気中で
950℃の温度で行い約300Å程度に酸化膜を成膜し
た。通常、半導体装置の信頼性を保証するために熱酸化
膜で形成されるゲート絶縁膜の膜厚は3MV/cm程度の膜
厚に設定する必要がある。例えば、電源電圧が30Vの
MOS型トランジスタである時、1000Å以上の酸化膜
厚を必要とする。
【0023】次に、ゲート酸化膜207上にポリシリコ
ン208をCVD法により堆積させる。本発明品では40
00Åのポリシリコンを形成している。MOSトランジス
タ用のゲート電極210を形成するため、ポリシリコン
208をN型化する。このポリシリコン208にイオン
注入ないし不純物核酸炉により不純物元素である燐を高
濃度注入する。注入濃度はイオン注入/ポリシリコン膜
厚=2E19atom/cm3以上にする。尚、MOSトランジスタ
用のゲート電極は必ずしもN型化する必要はなく、イオ
ン注入ないし不純物核酸炉により不純物元素であるボロ
ンを高濃度注入し、P型化してもよい。
【0024】次に工程fにおいて前工程で形成されたフ
ォトレジスト205を除去した後、NチャネルMOSトラン
ジスタのソース/ドレイン領域を形成する。この際、P
チャネルMOSトランジスタの形成されるNウェル層202
の上はフォトレジスト205でマスクしておく。この状
態でゲート電極210をマスクに利用したセルファアラ
イメントによりN型不純物砒素をドーズ量3×1015〜5×
1019atom/cm2イオン注入する。その後イオン注入した不
純物を活性化及び拡散を行うために900℃〜1050
℃の熱拡散処理を行う。本発明では950℃で30分程
度の熱拡散処理を行った。
【0025】工程gにおいてPチャネルMOSトランジスタ
のソース/ドレイン領域を形成する。この際には先に形
成されたNチャネルMOSトランジスタの部分をフォトレジ
スト205でマスクしておく。この状態でゲート電極2
08をマスクに利用したセルファアライメントによりP
型不純物BF2をドーズ量3×1015〜5×1016atom/cm2イオ
ン注入する。
【0026】続いて図4を参照してメタル配線等の工程
を説明する。なお図4はCMOSトランジスタの完成状態を
示している。図示するように、PチャネルMOSトランジス
タのソース/ドレイン領域を形成した後フォトレジスト
205を除去し前面にBPSG層間膜211を成膜する。こ
の層間膜は例えばCVD法等により形成され引き続き92
0℃で75分程度の熱処理により平坦化される。続いて
層間膜を選択的にエッチングしソース/ドレイン領域及
びゲート電極に連通するコンタクトホールを形成する。
この後コンタクトリフロー処理を行う。本発明では、8
80℃30分程の熱処理で行う。続いて真空蒸着あるい
はスパッタリング等により金属材料等を全面的に成膜し
た後フォトリソグラフィ及びエッチングを行いパターニ
ングされたメタル配線212を形成する。最後に基板の
全体を表面保護膜213で被覆する。
【0027】本発明にかかる半導体装置の第二実施例を
詳細に説明する。図5は本発明の半導体装置の負荷トラ
ンジスタであるP型トランジスタと差動トランジスタで
あるN型トランジスタの模式的断面図である。N型トラ
ンジスタは、P型シリコン半導体基板301上に形成す
るゲート酸化膜311及び多結晶シリコンゲート電極3
05と、ゲート電極両端のシリコン基板表面に形成する
ソース・ドレインと呼ばれる高濃度のN+型拡散層30
4及びその間のチャネル領域307から成っている。ま
たP型トランジスタは、 シリコン基板上に形成するゲ
ート酸化膜311及び多結晶シリコンゲート電極305
と、ゲート電極両端のN−−型ウェル層302表面に形
成するソース・ドレインと呼ばれる高濃度のP+型拡散
層303及びその間のチャネル領域306から成ってい
る。両素子の間に分離を目的としてフィールド酸化膜3
08が形成される。
【0028】MOSトランジスタのチャネル領域にはボ
ロンやBF2などのP型の不純物または、Asや燐など
のN型の不純物を導入する。多結晶シリコンゲ−ト電極
がN型のとき、エンハンス型及びディプレッション型P
チャネルMOSトランジスタのチャネル領域にはボロン
やBF2などのP型の不純物を導入する。NチャネルM
OSトランジスタのチャネル領域には、エンハンス型の
場合ボロンやBF2などのP型の不純物を、ディプレッ
ション型の場合Asや燐などのN型の不純物を導入す
る。多結晶シリコンゲ−ト電極がP型のとき、Pチャネ
ルMOSトランジスタのチャネル領域には、エンハンス
型の場合Asや燐などのN型の不純物を、ディプレッシ
ョン型の場合ボロンやBF2などのP型の不純物を導入
する。エンハンス型及びディプレッション型Nチャネル
MOSトランジスタのチャネル領域には、Asや燐など
のN型の不純物を導入する。この時負荷側のチャネル領
域の不純物濃度は、差動側のチャネル領域よりも濃度を
濃くして移動度を小さくする。
【0029】更に負荷側のMOSトランジスタのチャネ
ル領域には二種類以上の不純物を導入することで移動度
を小さくすることもできる。この場合必ずP型の不純物
とN型の不純物を混合させる。例えば若干のN型不純物
を入れた後にP型不純物を導入する。P型とN型は電気
的には相殺するため、不純物量(P型)を多く導入して
も同じ特性(しきい値電圧)にすることができる。図6
にVTPvsボロンチャネルド−ズ量を示す。例えばV
TP0.5vを作るには、チャネル不純物(ボロン)を
従来(標準)では7.47×1011 [atmos/cm2]、 燐を1×
1011[atmos/cm2]混在させると8.84×1011[atmos/cm2]、
燐を2×1011[atmos/cm2]混在させると9.57×1011[atmos
/cm2]、注入することになる。つまり異極の不純物を混
在させると同じVTPでも不純物を多く導入することが
できる。図7はVTNvsボロンチャネルド−ズ量を示
す。これも同様に燐などのN型の不純物が混在させると
同じVTNでもP型不純物は多く導入することができ
る。例えばVTN0.5vを作るには、チャネル不純物
(ボロン)を従来(標準)では2.52×1011[atmos/c
m2]、燐を1×1011[atmos/cm2]混在させると2.87×10
11[atmos/cm2]、燐を2×1011[atmos/cm2]混在させると
3.40×1011[atmos/cm2]、注入することになる。
【0030】次にMOS型トランジスタのチャネル領域
に不純物を導入したときの、移動度の変化について説明
する。図8にP型半導体基板のチャネル領域に、基板と
同導電型の不純物であるボロン及び逆導電型の不純物で
ある砒素を導入したときのドーズ量と移動度の関係を示
す。チャネルド−ズ量が増えると共に移動度が小さくな
っている。これよりチャネル領域に不純物を導入するこ
とにより、容易に移動度が変えられる事が分かる。この
ように負荷側のチャネル不純物濃度を差動側のチャネル
不純物濃度より濃くすることより、負荷側のMOS型ト
ランジスタのgmが差動側のMOS型トランジスタのg
mより小さくなり、オフセット電圧を小さくできる。
【0031】図9は本発明にかかる半導体装置の第二実
施例の製造方法を示す工程順断面図である。図9を参照
してコンパレーターを構成するCMOSトランジスタのチャ
ネルドープ層の形成工程を説明する。工程Iまでに至る
工程は図3(d)と同じである。工程Iにおいて負荷ト
ランジスタとなるPチャネルMOSトランジスタの移動度
(gm)調整のためのチャネルドープを行う。Pチャネ
ルMOSトランジスタが形成されるNウェル層202の上以
外にフォトレジスト205をパターニングして形成す
る。そして、不純物を注入する。例えば、N型の不純物
砒素や燐を注入する。
【0032】尚、P型の不純物を注入してもよくまた、N
型の不純物及びP型の不純物を共に注入してもよい。Nチ
ャネルMOSトランジスタが形成される予定の隣接領域に
はフォトレジスト205がマスクとなり不純物は注入さ
れない。そして、前工程で形成されたフォトレジストを
除去する。その後の工程は図3(e)〜図3(g)、図4
と同じである。尚、NチャネルMOSトランジスタが負荷ト
ランジスタとなるときは、PチャネルMOSトランジスタが
形成されるNウェル層の上にフォトレジストをパターニ
ングして形成する。そして、不純物を注入する。例え
ば、P型の不純物ボロンやBF2を注入する。尚、N型の不
純物を注入してもよくまた、N型の不純物及びP型の不純
物を共に注入してもよい。PチャネルMOSトランジスタが
形成される予定の隣接領域にはフォトレジストがマスク
となり不純物は注入されない。
【0033】また、負荷トランジスタ及び差動トランジ
スタの移動度(gm)調節を共に行っても良い。その時
の差動トランジスタとなるNチャネルMOSトランジスタの
チャネルドープ層の形成工程を説明する。工程(II)ま
でに至る工程は図9工程(I)と同じである。工程IIに
おいて差動トランジスタとなるNチャネルMOSトランジス
タの移動度(gm)調整のためのチャネルドープを行
う。前工程で形成されたフォトレジスト205を除去し
た後NチャネルMOSトランジスタが形成される領域以外は
フォトレジスト205でマスクしておき、不純物を注入
する。例えば、P型の不純物ボロンやBF2を注入する。そ
の後、前工程で形成されたフォトレジスト205を除去
する。その後の工程は図3(e)〜図3(g)、図4と同
じである。尚、負荷トランジスタの移動度(gm)は必
ず差動トランジスタの移動度(gm)よりも大きくなる
ように不純物を注入する。また、必ずしもNチャネルMOS
トランジスタを差動トランジスタとする必要はない。
【0034】また、MOSトランジスタの移動度(gm)
調整のために注入する不純物が砒素の場合、ゲート酸化
膜を形成する前に不純物の注入を行ったほうがよい。そ
の形成工程を説明する。図3(c)までの工程は同じで
その後、200Å〜400Å程度の酸化膜を形成し、砒
素を注入するMOSトランジスタが形成されるウェル層の
上以外にフォトレジストをパターニングして形成する。
そして、N型の不純物砒素を注入する。不純物を注入し
ないMOSトランジスタが形成される予定の隣接領域には
フォトレジストがマスクとなり不純物は注入されない。
そして、前工程で形成されたフォトレジストを除去す
る。その後の工程は図図3(d)〜図3(g)→図4と同
じである。尚、MOSトランジスタにボロン、BF2、燐を注
入するならば、その後の工程は図3(d)→図9(I)
〜図9(II)→図3(e)〜図3(g)→図4となる。
【0035】また、必ずしもチャネルドープはMOSトラ
ンジスタの移動度調整のために行う必要はない。しきい
値電圧の調整のために行ってもよい。本発明にかかる半
導体装置の第三実施例を詳細に説明する。負荷トランジ
スタであるP型トランジスタのしきい値電圧は、差動ト
ランジスタであるN型トランジスタのしきい値電圧より
高くする。図10にP型トランジスタvsチャネル不純
物量、図11にN型トランジスタvsチャネル不純物量
を示す。 P型トランジスタのしきい値電圧を例えば
0.6vにする場合チャネル不純物は6.62×1011[atmos
/cm2]、N型トランジスタのしきい値電圧を例えば0.
5vにする場合チャネル不純物は2.87×1011[atmos/c
m2]必要になる。しきい値電圧が高い方がチャネル不純
物量は多くなっている。つまり負荷側のMOS型トラン
ジスタのしきい値電圧が差動側のMOS型トランジスタ
のしきい値電圧より高くすると、オフセット電圧を小さ
くできる。更にP型トランジスタのしきい値電圧は高い
ほど良い。図12にP型トランジスタvs移動度を示
す。しきい値電圧が高いほど移動小さくなっているのが
分かる。
【0036】負荷トランジスタであるP型トランジスタ
のチャネル領域の不純物濃度を差動トランジスタである
N型トランジスタのチャネル領域の不純物濃度より更に
濃くするために、濃いN型ウェル領域中に負荷トランジ
スタであるP型トランジスタを作るのが効果的である。
図10に各Nウェル濃度ごとのVTPvsチャネル不純
物量を示す。例えばVTP0.5vを作るには、チャネ
ル不純物(ボロン)はNウェル2×1012[atmos/cm2]では
6.44×1011[atmos/cm2]、3×1012[atmos/cm2]では7.47
×1011[atmos/cm2]、6×1012[atmos/cm2]では9.57×10
11[atmos/cm2]、必要になる。Nウェル濃度が濃いほど
チャネル不純物量が多くなっている。
【0037】負荷トランジスタであるP型トランジスタ
の移動度が差動トランジスタであるN型トランジスタの
移動度より小さければ、負荷トランジスタであるP型ト
ランジスタと差動トランジスタであるN型トランジスタ
は共にウェル領域に作成することも可能である。この時
N型トランジスタのチャネル領域の不純物濃度をP型ト
ランジスタのチャネル領域の不純物濃度と大きく差をつ
けることができる。図8に各Pウェル濃度ごとのVTN
vsチャネル不純物量を示す。例えばVTN0.45v
を作るときチャネル不純物量は、Pウェル4×1012[atmo
s/cm2]では2.34×1011[atmos/cm2]、6×1012[atmos/c
m2]では1.99×1011[atmos/cm2]、必要になる。この様に
Pウェル濃度が濃いほどチャネル不純物量を薄くするこ
とができ差が大きくなる。
【0038】また、必ずしも負荷側のMOS型トランジ
スタをウェル領域に作る必要はない。N型基板を用い
て、P型ウェルを作り、N型シリコン半導体基板中に負
荷トランジスタとなるP型トランジスタを、P型ウェル
内に差動トランジスタとなるN型トランジスタを作って
も良い。その際も必ず負荷トランジスタとなるP型トラ
ンジスタのチャネル領域の不純物濃度を差動トランジス
タとなるN型トランジスタのチャネル領域より濃くす
る。
【0039】本発明にかかる半導体装置の第四実施例を
詳細に説明する。負荷側のMOS型トランジスタのゲ−
ト酸化膜厚は差動側のMOS型トランジスタより厚くし
てオフセット電圧を小さくする。gmはゲ−ト酸化膜厚
に反比例する為、厚くするとgmは小さくなる。半導体
基板全面に酸化膜、例えば150Åを形成した後、差動
側のMOS型トランジスタができる領域の酸化膜のみを
選択エッチングし、再び基板全面酸化、例えば200Å
の酸化膜を形成する。こうすると差動側のMOS型トラ
ンジスタのゲ−ト酸化膜厚は最後に酸化した200Åの
膜厚となり、負荷側のMOS型トランジスタは150+
200Åとで300Å程度のゲ−ト酸化膜厚が形成さ
れ、負荷側のMOS型トランジスタのgmを差動側より
も小さくすることができる。
【0040】図13は本発明にかかる半導体装置の第四
実施例の製造方法を示す工程順断面図である。図13を
参照してコンパレーターを構成するCMOSトランジスタの
酸化膜の形成工程を説明する。工程αまでに至る工程は
図3(c)と同じである。工程αにおいて基板表面の熱
酸化処理はH2O雰囲気中で酸化膜207を成膜する。
【0041】その後、工程Βにおいて負荷トランジスタ
となるPチャネルMOSトランジスタが形成されるNウェル
層202の上にCVD法により堆積されたフォトレジスト
205をパターニングし、差動トランジスタとなるNチ
ャネルMOSトランジスタ上の酸化膜401をエッチング
する。次に工程Γにおいて前工程で形成されたフォトレ
ジスト205を除去した後、熱酸化処理で酸化膜を成膜
する。 本発明ではO2/H2雰囲気中800℃で酸化膜を1
50Å成膜し、エッチングを行い、O2雰囲気中950℃
で酸化膜を200Å成膜した。 その結果、PチャネルMO
Sトランジスタのゲート酸化膜402は300Å、Nチャ
ネルMOSトランジスタのゲート酸化膜401は200Å
となった。
【0042】尚、必ずしもPチャネルMOSトランジスタを
形成するNウェル上のゲート酸化膜を厚くする必要はな
い。NチャネルMOSトランジスタを負荷トランジスタとす
るときはNチャネルMOSトランジスタが形成される基板あ
るいはウェル層上にフォトレジストをパターニングし、
差動トランジスタとなるPチャネルMOSトランジスタ上の
酸化膜をエッチングする。
【0043】本発明にかかる半導体装置の第五実施例を
詳細に説明する。図14は電源ICやLCDコントロー
ラICなどの内部にあるコンパレ−タ回路401を構成
するMOS型トランジスタとコンパレ−タ回路以外の回
路402のMOS型トランジスタの模式的断面図であ
る。このコンパレータ回路401は差動側がN型MOS
トランジスタ、負荷側がP型MOSトランジスタで構成
している。差動側のN型MOSトランジスタ404はゲ
ート電極305の両端にサイドスペーサ412が形成さ
れ、シリコン基板中にはサイドスペーサ下に低濃度拡散
層(N−LDD)409、その横にソース・ドレインと
呼ばれる高濃度拡散層(N+拡散層)304が形成され
ている。所謂N型LDDトランジスタである。コンパレ
ータ回路以外の回路のN型MOSトランジスタ406も
同じLDDトランジスタとなっている。
【0044】負荷側のP型MOSトランジスタ403
は、同様にゲート電極の両端にサイドスペーサ412が
形成されているが、シリコン基板中にはサイドスペーサ
下の低濃度拡散層(LDD)がなく、ソース・ドレイン
と呼ばれる高濃度拡散層(P+拡散層)303がゲ−ト
電極とオ−バ−ラップせずに形成されている。この様に
するとP型MOSトランジスタを動作させた時、LDD
の部分が抵抗として働き、トランジスタサイズを大きく
することなくgmを小さくできる。これに対しコンパレ
ータ回路以外のP型MOSトランジスタ405は、LD
D408を形成していて動作スピード(gm)は小さく
なることはない。このようにIC中のコンパレ−タ回路
の負荷側のMOS型トランジスタのみgmを小さくし、
他の回路の特性を低下させることなくオフセット電圧を
低減することができる。
【0045】図15〜図17は、図14のような半導体
装置の製造方法を示す工程順断面図である。まず、工程
Aにおいて、P型シリコン半導体基板201の表面にNウ
ェル層202を形成する。基板表面にマスクとして所定
の形状にパターニングされたシリコン窒化膜204を形
成した後、N型の不純物例えば燐を100〜180KeVの
加速エネルギー及び1〜9E12atom/cm2のドーズ
量でイオン注入する。
【0046】この後、工程Bにおいて所謂Locos処
理を行い、前工程で形成されたシリコン窒化膜204を
除去する。次に、P型の不純物例えばボロンを30KeVの
加速エネルギー及び1〜9E13atom/cm2のドーズ
量でイオン注入し、1150℃で6時間加熱処理を施
し、注入された不純物燐及びボロンの拡散及び活性化を
行い図示するようにNウェル層202及びPウェル層50
7を形成する。このNウェル層202に負荷トランジス
タとなるPチャネルMOSトランジスタ及びコンパレーター
回路以外を構成するPチャネルMOSトランジスタが形成さ
れ、Pウェル層507に差動トランジスタとなるNチャネ
ルMOSトランジスタ及びコンパレーター回路以外を構成
するNチャネルMOSトランジスタが形成される事になる。
【0047】工程Cにおいてフィールドドープを行う。
この為に、まずトランジスタ素子の形成される活性領域
を被覆するようにシリコン窒化膜204をパターニング
形成する。その上にはシリコン窒化膜204に重ねてフ
ォトレジスト205も形成する。この状態で不純物燐を
90KeVの加速エネルギー及び1〜9E12atom/cm 2
のドーズ量でイオン注入し、フィールドドープを行う。
【0048】次に、工程DにおいてNウェル層202の上
にフォトレジスト205をパターニング形成する。この
状態でボロンを30KeVの加速エネルギーおよび1〜9E
13atom/cm2のドーズ量でイオン注入しフィールド
ドープを行う。図示するように、素子領域を含む部分に
フィールドドープ領域が形成される。続いて工程Eにお
いて前工程で形成されたフォトレジストを除去した後、
所謂LOCOS処理を行い素子領域を囲むようにフィールド
酸化膜206を形成する。この後、シリコン窒化膜20
4を除去し、犠牲酸化およびその除去処理を行い、基板
の表面に残された異物を除去し清浄化する。そして、基
板表面の熱酸化処理はO2雰囲気中で酸化膜207を成膜
する。本発明では熱酸化処理をO2雰囲気中で950℃の
温度で行い約300Å程度に酸化膜を成膜した。通常、
半導体装置の信頼性を保証するために熱酸化膜で形成さ
れるゲート絶縁膜の膜厚は3MV/cm程度の膜厚に設定す
る必要がある。例えば、電源電圧が30VのMOS型トラ
ンジスタである時、1000Å以上の酸化膜厚を必要と
する。 次に、前工程で形成されたフォトレジストを除
去した後、ゲート酸化膜207上にポリシリコン208
をCVD法により積させる。本発明品では4000Åのポ
リシリコンを形成している。MOSトランジスタ用のゲー
ト電極210を形成するため、ポリシリコン208をN
型化する。このポリシリコン208にイオン注入ないし
不純物核酸炉により不純物元素である燐を高濃度注入す
る。注入濃度はイオン注入/ポリシリコン膜厚=2E19at
om/cm3以上にする。
【0049】次に工程Fにおいて前工程で形成されたフ
ォトレジスト205を除去した後、NチャネルMOSトラン
ジスタの低濃度拡散層(N−LDD)409を形成す
る。この際、PチャネルMOSトランジスタの形成されるN
ウェル層202の上はフォトレジスト205でマスクし
ておく。この状態でゲート電極210をマスクに利用し
たセルファアライメントによりN型不純物燐をドーズ量
1×1013〜1×1014atom/cm2イオン注入する。本実験で
は不純物燐に50KeVの加速エネルギー及びドーズ量5E
13atom/cm2をイオン注入した。
【0050】そして、工程Gにおいて前工程で形成され
たフォトレジスト205を除去し、コンパレーター回路
以外を構成するPチャネルMOSトランジスタの低濃度拡散
層(P−LDD)508を形成する。この際、NチャネルMOS
トランジスタの形成されるPウェル層507及びコンパ
レーター回路を構成するPチャネルMOSトランジスタの上
はフォトレジスト205でマスクしておく。この状態で
ゲート電極210をマスクに利用したセルファアライメ
ントによりP型不純物BF2をドーズ量1×1014〜1×1015
atom/cm2イオン注入する。本実験では不純物BF2に70K
eVの加速エネルギー及びドーズ量5E14atom/cm2をイ
オン注入した。その後イオン注入した不純物を活性化及
び拡散を行うために熱拡散処理を行う。本発明では95
0℃で30分程度の熱拡散処理を行った。
【0051】工程Hにおいて、前工程で形成されたフォ
トレジスト205を除去した後、サイドスペーサ412
を形成する。まず、基板表面にTEOS酸化膜207を成膜
する。本実験品では5000Åの酸化膜を形成した。そ
の後、ドライエッチング法によりサイドスペーサを形成
し、膜厚が100Å〜300Åの膜厚となるように酸化
膜を基板表面に形成する。
【0052】次に工程IにおいてNチャネルMOSトランジ
スタのソース/ドレイン領域を形成する。この際、Pチ
ャネルMOSトランジスタの形成されるNウェル層202の
上はフォトレジスト205でマスクしておく。この状態
でゲート電極210をマスクに利用したセルファアライ
メントによりN型不純物砒素をドーズ量3×1015〜5×10
19atom/cm2イオン注入する。その後イオン注入した不純
物を活性化及び拡散を行うために熱拡散処理を行う。本
発明では950℃で30分程度の熱拡散処理を行った。
【0053】工程JにおいてPチャネルMOSトランジスタ
のソース/ドレイン領域を形成する。この際には先に形
成されたNチャネルMOSトランジスタの部分をフォトレジ
スト205でマスクしておく。この状態でゲート電極2
08をマスクに利用したセルファアライメントによりP
型不純物BF2をドーズ量3×1015〜5×1016atom/cm2イオ
ン注入する。
【0054】続いて図18を参照してメタル配線等の工
程を説明する。なお図18はCMOSトランジスタの完成状
態を示している。図示するように、PチャネルMOSトラン
ジスタのソース/ドレイン領域を形成した後フォトレジ
スト205を除去し前面にBPSG層間膜211を成膜す
る。この層間膜は例えばCVD法等により形成され引き続
き920℃で75分程度の熱処理により平坦化される。
続いて層間膜を選択的にエッチングしソース/ドレイン
領域及びゲート電極に連通するコンタクトホールを形成
する。この後コンタクトリフロー処理を行う。本発明で
は、880℃30分程の熱処理で行う。続いて真空蒸着
あるいはスパッタリング等により金属材料等を全面的に
成膜した後フォトリソグラフィ及びエッチングを行いパ
ターニングされたメタル配線212を形成する。最後に
基板の全体を表面保護膜213で被覆する。尚、必ずと
もP型シリコン半導体基板を用いる必要はなく、N型シ
リコン半導体基板を用いて、P型ウェル領域及びN型ウ
ェル領域を作り、N型シリコン半導体基板中に負荷トラ
ンジスタとなるP型トランジスタ及びコンパレーター回
路以外を構成するP型トランジスタを作り、P型ウェル
領域中に差動トランジスタとなるN型トランジスタ及び
コンパレーター回路以外を構成するN型トランジスタを
作ってもよい。
【0055】本発明にかかる半導体装置の第六実施例を
詳細に説明する。これまでは負荷側をP型トランジス
タ、差動側をN型トランジスタで述べてきたが、以下に
P型トランジスタを差動トランジスタ、N型トランジス
タを負荷トランジスタとしたコンパレーター回路の例を
示す。図2に示したコンパレーターは2つのN型トラン
ジスタ203、204を負荷トランジスタとし、2つの
P型トランジスタ201、202を差動トランジスタと
して構成され、その他の部分に対する説明は、図1と同
一の符号を添記することで省略する。図2も図1同様に
オフセット電圧を求めると次式の様に表せる、 Voff=|△Vtp|+√(βKn/αKp)*△Vtn+(√(β/α)-1)(Va−Vref-|Vtp|) − 但し、Vtpは差動トランジスタであるP型トランジスタ
201のVth、Vtnは負荷トランジスタであるN型トラン
ジスタ203のVth、△Vtpは差動トランジスタであるP
型トランジスタ201と202のVthの差、△Vtnは負荷
トランジスタであるN型トランジスタ203と204の
Vthの差、Kpは差動トランジスタであるP型トランジス
タ201のgm、Knは負荷トランジスタであるN型トラ
ンジスタ203のgm、αは差動トランジスタであるP
型トランジスタ201、202のgmの比、βは負荷ト
ランジスタであるN型トランジスタ203、204のg
mの比を示している。式からオフセット電圧を小さく
するには、負荷トランジスタのgmを小さくし、差動ト
ランジスタのgmを大きくすれば良いことが分かる。従
ってこの様な回路でもオフセット電圧を小さくするに
は、上記で述べた負荷トランジスタであるN型トランジ
スタのgmを小さくする手段を取れば良い。
【0056】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、MOS
型トランジスタを用いたコンパレーターにおいて、差動
側のMOS型トランジスタのgmより負荷側のMOS型
トランジスタのgmを小さくすると、トランジスタサイ
ズを大きくすることなくオフセット電圧を小さくするこ
とができる。これより従来のコンパレーターでは不可能
であったオフセット電圧の小さいコンパレーターを小さ
な占有面積で提供することが可能となる。更にコストダ
ウンが可能となる他、チップサイズに制約のあるICに
も適用できるなど、多くのICにおいて多大な効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の半導体装置の第一実施例を示
すN型トランジスタを差動トランジスタとし、P型トラ
ンジスタを負荷トランジスタとしたコンパレーターの回
路図である。
【図2】図2は、本発明の半導体装置の第六実施例を示
すP型トランジスタを負荷トランジスタとし、N型トラ
ンジスタを差動トランジスタとしたコンパレーターの回
路図である。
【図3】図3は、本発明の半導体装置の第一実施例で示
したコンパレータ回路のMOSトランジスタの製造方法
を示す工程図である。
【図4】図4は、本発明の半導体装置の第一実施例で示
したコンパレータ回路のMOSトランジスタの完成品状
態を示す工程図である。
【図5】図5は、本発明の半導体装置の第一実施例で示
したコンパレータ回路のMOSトランジスタの模式的断
面図である。
【図6】図6は、チャネル不純物が二種類以上のVTP
とボロンチャネルドーズ量の関係を示す図である。
【図7】図7は、チャネル不純物が二種類以上のVTN
とボロンチャネルドーズ量の関係を示す図である。
【図8】図8は、チャネルドーズ量と移動度の関係を示
す図である。
【図9】図9は、本発明の半導体装置の第二実施例の製
造方法を示す工程図である。
【図10】図10は、各Nウェル濃度ごとのVTPとB
2チャネルドーズ量の関係を示す図である。
【図11】図11は、各Pウェル濃度ごとのVTNとB
2チャネルドーズ量の関係を示す図である。
【図12】図12は、各温度ごとの非飽和VTPと移動
度の関係を示す図である。
【図13】図13は、本発明の半導体装置の第四実施例
の製造方法を示す工程図である。
【図14】図14は、本発明の半導体装置の第五実施例
を示すコンパレータ回路とコンパレータ回路以外の回路
のMOSトランジスタの模式的断面図である。
【図15】図15は、本発明の半導体装置の第五実施例
で示した工程図である。
【図16】図16は、図15に引続く工程図である。
【図17】図17は、図15及び図16に引続く工程図
である。
【図18】図18は、本発明の半導体装置の第五実施例
で示した回路の完成品状態を示す工程図である。
【符号の説明】
101 電源端子 102 負荷トランジスタであるP型トランジスタ 103 負荷トランジスタであるP型トランジスタ 104 出力端子 105 基準電圧端子 106 入力端子 107 差動トランジスタであるN型トランジスタ 108 差動トランジスタであるN型トランジスタ 109 接地端子 110 負荷トランジスタであるN型トランジスタ 111 負荷トランジスタであるN型トランジスタ 112 差動トランジスタであるP型トランジスタ 113 差動トランジスタであるP型トランジスタ 201 P−−型シリコン半導体基板 202 N−−型ウェル層 203 酸化膜 204 シリコン窒化膜 205 フォトレジスト 206 フィールド酸化膜 207 ゲート酸化膜 208 ポリシリコン 209 CVD酸化膜 210 多結晶シリコンゲート電極 211 BPSG層間膜 212 メタル配線 213 表面保護膜 301 P型MOSトランジスタ 302 N型MOSトランジスタ 303 N−−型ウェル層とは逆導電型であるチャネル
領域 304 P−−型シリコン半導体基板と同導電型である
チャネル領域 305 P+型拡散層 306 N+型拡散層 401 NチャネルMOSトランジスタを構成するゲート酸
化膜 402 PチャネルMOSトランジスタを構成するゲート酸
化膜 501 コンパレータ回路の一部の模式的断面図 402 コンパレータ回路以外の模式的断面図 503 コンパレータ回路を構成するP型MOSトラン
ジスタ 504 コンパレータ回路を構成するN型MOSトラン
ジスタ 505 コンパレータ回路以外を構成するP型MOSト
ランジスタ 506 コンパレータ回路以外を構成するN型MOSト
ランジスタ 507 P−−型ウェル層 508 P−LDD層 509 N−LDD層 510 N±チャネルストッパ層 511 P±チャネルストッパ層 512 サイドスペーサ
フロントページの続き Fターム(参考) 2G032 AA10 2G035 AD02 AD23 5F048 AA00 AA01 AB10 AC03 BA01 BB06 BB07 BB15 BB16 BC03 BC06 BC18 BC20 BD04 BE03 BE09 BG12 DA10 DA25 DB04 DB06 5J066 AA01 AA12 CA13 CA92 FA16 HA10 HA17 KA09 MA21 ND01 ND14 ND22 PD01 QA02 TA02 9A001 BB05 JJ48 KK31 KK54

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MOS型トランジスタで構成するコンパ
    レーターにおいて、負荷側のMOS型トランジスタのg
    mが差動側のMOS型トランジスタのgmより小さいこ
    とを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記コンパレーターにおいて、前記負荷
    側のMOS型トランジスタの移動度が前記差動側の移動
    度より小さいことを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記コンパレーターにおいて、前記負荷
    側のMOS型トランジスタのチャネル領域の不純物濃度
    が前記差動側のMOS型トランジスタの不純物濃度より
    濃いことを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記コンパレーターにおいて、前記負荷
    側のMOS型トランジスタのしきい値電圧が前記差動側
    のMOS型トランジスタのしきい値電圧より高いことを
    特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記コンパレーターにおいて、前記負荷
    側のMOS型トランジスタのゲ−ト酸化膜厚が前記差動
    側のMOS型トランジスタのゲ−ト酸化膜厚より厚いこ
    とを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記コンパレーターにおいて、前記負荷
    側のMOS型トランジスタがP型トランジスタで、前記
    差動側のMOS型トランジスタがN型トランジスタであ
    ることを特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】 前記コンパレーターにおいて、前記負荷
    側のMOS型トランジスタがN型トランジスタで、前記
    差動側のMOS型トランジスタがP型トランジスタであ
    ることを特徴とする半導体装置。
  8. 【請求項8】 前記MOS型トランジスタのチャネル領
    域に導入された前記不純物がリンであることを特徴とす
    る請求項3記載の半導体装置。
  9. 【請求項9】 前記MOS型トランジスタのチャネル領
    域に導入された前記不純物が砒素であることを特徴とす
    る請求項3記載の半導体装置。
  10. 【請求項10】 前記MOS型トランジスタのチャネル
    領域に導入された前記不純物がボロンであることを特徴
    とする請求項3記載の半導体装置。
  11. 【請求項11】 前記MOS型トランジスタのチャネル
    領域に導入された前記不純物がBF2であることを特徴
    とする請求項3記載の半導体装置。
  12. 【請求項12】 前記MOS型トランジスタのチャネル
    領域に導入された前記不純物は二種類以上であることを
    特徴とする請求項3記載の半導体装置。
  13. 【請求項13】 前記コンパレーターにおいて、前記負
    荷側のMOS型トランジスタのみゲ−ト電極と基板中に
    形成されるソ−ス拡散およびドレイン拡散とがオ−バ−
    ラップしていないことを特徴とする請求項1記載の半導
    体装置。
  14. 【請求項14】 第一導電型のシリコン半導体基板中に
    第二導電型のウェル領域を形成し、前記第二導電型のウ
    ェル中に前記負荷側のMOS型トランジスタが、前記第
    二導電型のウェル領域外に前記差動側のMOS型トラン
    ジスタを形成されていることを特徴とする半導体装置。
  15. 【請求項15】 第一導電型のシリコン半導体基板中に
    第二導電型のウェル領域を形成し、前記第二導電型のウ
    ェル中に前記差動側のMOS型トランジスタが、前記第
    二導電型のウェル領域外に前記負荷側のMOS型トラン
    ジスタを形成されていることを特徴とする半導体装置。
  16. 【請求項16】 第一導電型のシリコン半導体基板中に
    第二導電型及び第三導電型のウェル領域を形成し、それ
    ぞれのウェル中に前記差動側及びの前記負荷側のMOS
    型トランジスタを形成されていることを特徴とする半導
    体装置。
  17. 【請求項17】 半導体基板の表面に設けられたN型半
    導体領域とP型半導体領域にそれぞれ負荷トランジスタ
    となるP型トランジスタと差動トランジスタとなるN型ト
    ランジスタとを集積したCMOS半導体装置の製造方法にお
    いて、前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を形成する
    工程と、前記ゲート絶縁膜の上にシリコン薄膜を形成す
    る工程と、前記半導体領域シリコン薄膜にN型の不純物
    を不純物拡散炉により導入する工程と、前記シリコン薄
    膜を選択エッチしてゲート絶縁膜の上にゲート電極を形
    成する工程と、前記ゲート電極をマスクとした前記N型
    半導体領域表面にP型不純物をイオン注入することによ
    りソース・ドレイン領域を形成する工程と、前記ゲート
    電極をマスクとして前記P型半導体領域表面にN型不純物
    燐をイオン注入することによりソース・ドレイン領域を
    形成する工程と、前記ソース・ドレイン領域を900か
    ら1050℃の温度で熱処理により活性化して形成する
    工程とからなる半導体装置の製造方法。
  18. 【請求項18】 半導体基板の表面に設けられたN型半
    導体領域とP型半導体領域にそれぞれ負荷トランジスタ
    となるP型トランジスタと差動トランジスタとなるN型ト
    ランジスタとを集積したCMOS半導体装置の製造方法にお
    いて、前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を形成する
    工程と、前記N型半導体領域表面に不純物をイオン注入
    することよりチャネルドープ領域を形成する工程と、前
    記P型半導体領域表面に不純物をイオン注入することよ
    りチャネルドープ領域を形成する工程と、前記ゲート絶
    縁膜の上にシリコン薄膜を形成する工程と、前記半導体
    領域シリコン薄膜にN型の不純物を不純物拡散炉により
    導入する工程と、前記シリコン薄膜を選択エッチしてゲ
    ート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲ
    ート電極をマスクとした前記N型半導体領域表面にP型不
    純物をイオン注入することによりソース・ドレイン領域
    を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして前記
    P型半導体領域表面にN型不純物燐をイオン注入すること
    によりソース・ドレイン領域を形成する工程と、前記ソ
    ース・ドレイン領域を900から1050℃の温度で熱
    処理により活性化して形成する工程とからなる半導体装
    置の製造方法。
  19. 【請求項19】 1つのマスクを使用してN型ウェル層
    とP型ウェル層とを半導体基板に形成する半導体製造方
    法において、N型ウェル層を形成した後にP型ウェル層を
    形成する事を特徴とする半導体製造方法。
  20. 【請求項20】 半導体基板上にシリコン酸化膜とシリ
    コン窒化巻くを順次形成する工程と、フォトマスク処理
    により前記シリコン窒化膜を選択的に除去して前記Nウ
    ェル層の領域を規定する工程と、N型不純物を前記半導
    体基板にイオン注入する工程と、前記シリコン窒化膜が
    除去されたNウェル領域にシリコン酸化膜を形成する工
    程と、前記シリコン窒化膜を除去してPウェル層の領域
    を規定する工程と、Pが多雨不純物を前記半導体基板に
    イオン注入する工程と、前記半導体基板を熱処理して不
    純物を拡散及び活性化する工程とを含むことを特徴とす
    る請求項19記載の半導体製造方法。
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