JP2000298152A - 故障検出装置 - Google Patents

故障検出装置

Info

Publication number
JP2000298152A
JP2000298152A JP2000031963A JP2000031963A JP2000298152A JP 2000298152 A JP2000298152 A JP 2000298152A JP 2000031963 A JP2000031963 A JP 2000031963A JP 2000031963 A JP2000031963 A JP 2000031963A JP 2000298152 A JP2000298152 A JP 2000298152A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current
fet
circuit
main control
load
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000031963A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshikazu Nagashima
良和 長嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yazaki Corp filed Critical Yazaki Corp
Priority to JP2000031963A priority Critical patent/JP2000298152A/ja
Publication of JP2000298152A publication Critical patent/JP2000298152A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力の供給経路に直列接続されるシャント抵
抗を不要にするとともに、完全短絡と完全断線の検出だ
けでなく不完全断線の検出も可能とする故障検出装置を
提供することにある。 【解決手段】 本発明に係る故障検出装置100は、電
源101から負荷102に流れる負荷電流に異常が発生
したときにはスイッチング手段をオン/オフ制御して電
流振動を生成することにより負荷電流を遮断する電流振
動型遮断機能付きスイッチング回路であって、負荷電流
と基準電流とを比較して検出値を生成し、この検出値を
増幅して出力する電流検出手段200と、検出値から負
荷電流の値を算出して故障の判定を行う判定手段300
と、判定結果を表示する表示手段400とを含み、電流
検出手段200において基準電流と増幅率を変更可能に
したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負荷のショートや
断線などの故障を検出する故障検出装置に関し、特に負
荷に流れる電流の検出感度を変更可能にしたことによ
り、回路のショートや完全な断線だけでなく、不完全な
断線の場合にも検出できる故障検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の故障検出装置としては、例えば図
22に示すようなものがある。
【0003】同図において、従来の故障検出装置は、電
源101の出力電圧VBをヘッドライトやパワーウィン
ドウの駆動モータ等々の負荷102に供給する経路にシ
ャント抵抗RSおよび温度センサー内蔵FETQFのド
レインD−ソースSを直列接続した構成である。また、
シャント抵抗RSを流れる電流を検出してハードウェア
回路により温度センサー内蔵FETQFの駆動を制御す
るドライバ901と、ドライバ901でモニタした電流
値に基づいて温度センサー内蔵FETQFの駆動信号を
オン/オフ制御するA/D変換器902およびマイコン
(CPU)903と、マイコン903で故障を検出した
場合に外部に知らせるための表示手段904とを備えて
いる。
【0004】半導体スイッチとしての温度センサー内蔵
FETQFは、図示しない温度センサを内蔵してFET
QFが規定以上の温度まで上昇した場合には、内蔵する
ゲート遮断回路によって温度センサー内蔵FETQFを
強制的にオフ制御する過熱遮断機能を備えている。ま
た、図中のRGは内蔵抵抗であり、ZD1はゲートG−
ソースS間を12[V]に保ってゲートGに過電圧が印
加されようとした場合にこれをバイパスさせるツェナー
ダイオードである。
【0005】また、本従来例の故障検出装置では、負荷
102または温度センサー内蔵FETQFのドレインD
−ソースS間における過電流に対する保護機能をも備え
ている。即ち、ドライバ901は、電流モニタ回路とし
ての差動増幅器911,913と、電流制御回路として
の差動増幅器912と、チャージポンプ回路915と、
マイコン903からのオン/オフ制御信号および電流制
限回路からの過電流判定結果に基づき、内部抵抗RGを
介して温度センサー内蔵FETQFのゲートGを駆動す
る駆動回路914とを備えて構成されている。
【0006】シャント抵抗RSの電圧降下に基づき差動
増幅器912を介して、電流が判定値(上限)を超えた
として過電流が検出された場合には、駆動回路914に
よって温度センサー内蔵FETQFをオフ動作とし、そ
の後電流が低下して判定値(下限)を下回ったら温度セ
ンサー内蔵FETQFをオン動作させる。
【0007】一方、マイコン903は、電流モニタ回路
(差動増幅器911,913)を介して電流を常時モニ
タしており、正常値を上回る異常電流が流れていれば、
温度センサー内蔵FETQFの駆動信号をオフすること
により温度センサー内蔵FETQFをオフ動作させ、表
示手段904に異常電流が流れていることを表示する。
なお、マイコン903からオフ制御の駆動信号が出力さ
れる前に、温度センサー内蔵FETQFの温度が規定値
を超えていれば、過熱遮断機能によって温度センサー内
蔵FETQFはオフ動作となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の故障検出装置にあっては、電流検出を行うために電
力の供給経路に直列接続されるシャント抵抗RSを必要
とした構成であり、近年の温度センサー内蔵FETQF
のオン抵抗の低減に伴う負荷の大電流化により、シャン
ト抵抗の熱損失が無視できないという問題点がある。
【0009】また、上述の過熱遮断機能や過電流制御回
路は、負荷102や配線にほぼ完全な短絡状態が発生し
て大電流が流れる場合には機能するが、ある程度の短絡
抵抗を持つ不完全短絡などのレアショートを発生して小
さい短絡電流が流れた場合には機能せず、電流のモニタ
回路を介してマイコン903により異常電流を検出して
温度センサー内蔵FETQFをオフ制御するしかなく、
このような異常電流に対するマイコン制御による応答性
が悪いという事情もあった。
【0010】さらに、従来の故障検出装置では、シャン
ト抵抗RSの両端にかかる電位差から負荷電流値を算出
していたので検出範囲と分解能を変更することができな
かった。従って、短絡時に流れる過電流を検出するとき
のように比較的分解能が大きくても良い場合には機能す
るが、並列に接続されている複数のランプのうちの1灯
が断線した場合のような不完全断線のときには小さな分
解能が要求されるので、断線が起きても検出することが
できなかった。
【0011】本発明の目的は、上記従来の問題点や事情
を解決することにあり、電流検出を行うために電力の供
給経路に直接接続されるシャント抵抗を不要として装置
の熱損失を抑えるとともに、負荷電流の検出範囲と分解
能を変更可能にすることにより、完全短絡と完全断線の
検出だけでなく不完全短絡と不完全断線の検出も可能と
する故障検出装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明である故障検出装置は、電源から負荷に
流れる負荷電流をスイッチングするスイッチング手段を
備え、前記負荷電流に異常が発生したときには前記スイ
ッチング手段をオン/オフ制御して電流振動を生成する
ことにより前記負荷電流を遮断する電流振動型遮断機能
付きスイッチング手段であって、前記負荷電流と変更可
能な基準電流とに基づいて検出値を生成し、この検出値
を変更可能な倍率で増幅して出力する電流検出手段と、
この電流検出手段により出力された前記検出値から前記
負荷電流の値を算出して故障の判定を行う判定手段と、
この判定手段により故障と判定されたときには判定結果
を表示する表示手段とを含むことを特徴とする。
【0013】この第1の発明によれば、基準電流と増幅
率を変更可能にしたことにより、完全短絡と完全断線の
検出だけでなく不完全断線の検出も可能になった。
【0014】また、電流振動型遮断機能付きスイッチン
グ手段を利用したことにより、完全短絡による過電流の
みならず、ある程度の短絡抵抗を持つ不完全短絡などの
レアショートが発生した場合の異常電流をも検出するこ
とができ、さらに電流検出を行うために電力の供給経路
に直列接続されるシャント抵抗を不要としたので、装置
の熱損失を抑えることもできる。
【0015】第2の発明である故障検出装置の電流検出
手段は、電源から負荷に流れる負荷電流をスイッチング
するスイッチング手段と、このスイッチング手段と並列
接続された基準電圧生成手段と、この基準電圧生成手段
の出力電圧と前記スイッチング手段の出力電圧とを比較
する比較手段と、この比較手段の出力に応じて前記基準
電圧生成手段と前記スイッチング手段とを制御するため
の制御信号を生成する制御信号生成手段と、この制御信
号生成手段により生成された前記制御信号にしたがっ
て、基準電流を生成する基準電流生成手段と、この基準
電流生成手段によって生成された前記基準電流を変更す
る基準電流変更手段と、この基準電流変更手段によって
変更された基準電流と前記負荷電流とを比較して検出値
を生成し、この検出値を増幅して出力する検出値生成手
段と、この検出値生成手段の増幅率を変更する増幅率変
更手段とを含むことを特徴とする。
【0016】この第2の発明によれば、基準電流と増幅
率を変更可能にしたことにより、完全短絡と完全断線の
検出だけでなく不完全断線の検出も可能になった。
【0017】また、スイッチング手段と基準電圧生成手
段と比較手段と制御信号を生成する制御信号生成手段と
を含むことにより、完全短絡による過電流のみならず、
ある程度の短絡抵抗を持つ不完全短絡などのレアショー
トが発生した場合の異常電流をも検出することができ、
さらに電流検出を行うために電力の供給経路に直列接続
されるシャント抵抗を不要としたので、装置の熱損失を
抑えることもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る故障検出装置
の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形
態の故障検出装置の構成を示すブロック図である。図1
に示すように、本実施形態の故障検出装置は、バッテリ
ー101から負荷102へ流れる電流を検出し、過電流
などの異常を感知した場合には電流を遮断する電流検出
手段200と、電流検出手段200で検出された電流を
モニタリングし、故障の判定をする判定手段300と、
判定手段300で故障と判定したときに外部に知らせる
表示手段400とを含んでいる。以下の説明では、故障
検出装置は、例えば自動車においてバッテリからの電源
を選択的にランプ等の各負荷に供給して、負荷へ電力供
給する装置に適用した実施の形態例について説明する
が、本発明はこのような形態に限定されるものではな
く、負荷の故障を検出する故障検出装置であればどのよ
うな形態であっても適用可能である。
【0019】ここで、まず本発明に係る故障検出装置の
電流検出手段200に適用する電流振動型遮断機能付き
スイッチング回路について説明し、本発明に係る故障検
出装置については後述する。
【0020】[電流振動型遮断機能付きスイッチング回
路]本発明に係る故障検出装置の電流検出手段200に
適用する電流振動型遮断機能付きスイッチング回路につ
いて、図2は電流振動型遮断機能付きスイッチング回路
の第1の実施形態の回路構成図、図3は電流振動型遮断
機能付きスイッチング回路で使用する半導体スイッチ
(主制御FET)の詳細な回路構成図、図4、図5およ
び図6は電流振動型遮断機能付きスイッチング回路が利
用する原理を説明する説明図、図7は短絡故障時および
通常動作時の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路
における半導体スイッチの電流と電圧を例示する波形
図、図8は電流振動型遮断機能付きスイッチング回路の
第2の実施形態の回路構成図、図9は電流振動型遮断機
能付きスイッチング回路の第3の実施形態の回路構成
図、図10および図11は電流振動型遮断機能付きスイ
ッチング回路の第4の実施形態の回路構成図、図12お
よび図13は電流振動型遮断機能付きスイッチング回路
の第5の実施形態の回路構成図、図14および図15は
電流振動型遮断機能付きスイッチング回路の第6の実施
形態の回路構成図、図16は変形例の電流振動型遮断機
能付きスイッチング回路における第2負荷(抵抗)の構
成を説明する回路図、図16および図17は電流振動型
遮断機能付きスイッチング回路の第7の実施形態の回路
構成図、図18は電流振動型遮断機能付きスイッチング
回路の第8の実施形態の回路構成図である。
【0021】[第1の実施形態]本発明の故障検出装置
の電流検出手段200に適用する第1の実施形態の電流
振動型遮断機能付きスイッチング回路について、図2を
参照して説明すると、本実施形態の電流振動型遮断機能
付きスイッチング回路は、電源101の出力電圧VBを
負荷102に供給する経路に、半導体スイッチとしての
主制御FETQAのドレインD−ソースSAを直列接続
した構成である。ここで、主制御FETQAにはDMO
S構造のNMOS型を使用しているがPMOS型でも実
現可能である。
【0022】また同図において、主制御FETQAを駆
動制御する部分については、リファレンスFETQB、
抵抗R1、R2、R5、R8、R10、RG、Rr、R
V、ツェナーダイオードZD1、ダイオードD1、コン
パレータCMP1、駆動回路111およびスイッチSW
1を備えた構成である。なお、参照符号として抵抗には
“R”とそれに続く数字および文字を使用しているが、
以下の説明では参照符号として使用すると共に、それぞ
れ該抵抗の抵抗値をも表すものとする。また、図2中の
点線で囲った部分110aはアナログ集積化されるチッ
プ部分を示す。
【0023】負荷102は例えばヘッドライトやパワー
ウィンドウの駆動モータ等々であり、ユーザ等がスイッ
チSW1をオンさせることにより機能する。駆動回路1
11には、コレクタ側が電位VPに接続されたソースト
ランジスタQ5と、エミッタ側が接地電位(GND)に
接続されたシンクトランジスタQ6とを直列接続して備
え、スイッチSW1のオン/オフ切換えによる切換え信
号に基づき、ソーストランジスタQ5およびシンクトラ
ンジスタQ6をオン/オフ制御して、主制御FETQA
を駆動制御する信号を出力する。なお図中、VBは電源
101の出力電圧であり、例えば12[V]である。ま
た、VPはチャージポンプの出力電圧であり、例えばV
B+10[V]である。
【0024】半導体スイッチとしての主制御FETQA
は、より詳しくは図3に示すような構成を備えている。
図3において、主制御FETQAは、内蔵抵抗RG、温
度センサ121、ラッチ回路122及び過熱遮断用FE
TQSを備えている。なお、ZD1はゲートG−ソース
SA間を12[V]に保ってゲートGに過電圧が印加さ
れようとした場合にこれをバイパスさせるツェナーダイ
オードである。
【0025】つまり、この実施形態で使用する主制御F
ETQAは、主制御FETQAが規定以上の温度まで上
昇したことが温度センサ121によって検出された場合
には、その旨の検出情報がラッチ回路122に保持さ
れ、ゲート遮断回路としての過熱遮断用FETQSがオ
ン動作となることによって、主制御FETQAを強制的
にオフ制御する過熱遮断機能を備えている。
【0026】温度センサ121は4個のダイオードが縦
続接続されてなり、実装上、温度センサ121は主制御
FETQAの近傍に配置形成されている。主制御FET
QAの温度が上昇するにつれて温度センサ121の各ダ
イオードの抵抗値が減少するので、FETQ51のゲー
ト電位が“L”レベルとされる電位まで下がると、FE
TQ51がオン状態からオフ状態に遷移する。これによ
り、FETQ54のゲート電位が主制御FETQAのゲ
ート制御端子(G)の電位にプルアップされ、FETQ
54がオフ状態からオン状態に遷移して、ラッチ回路1
22に“1”がラッチされることとなる。このとき、ラ
ッチ回路122の出力が“H”レベルとなって過熱遮断
用FETQSがオフ状態からオン状態に遷移するので、
主制御FETQAの真のゲート(TG)と主制御FET
QAのソース(SA)が同電位になって、主制御FET
QAがオン状態からオフ状態に遷移して、過熱遮断され
ることとなる。
【0027】また、本実施形態の電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路では、負荷102または主制御FE
TQAのソース(SA)と負荷102間において発生す
る短絡故障による過電流、或いは不完全短絡故障による
異常電流に対する保護機能をも備えている。以下、図2
を参照して、この保護機能を実現する構成について説明
する。
【0028】リファレンスFETQBのドレインおよび
ゲートはそれぞれ主制御FETQAのドレイン(D)お
よび真のゲート(TG)に接続され、リファレンスFE
TQBのソース(SB)は抵抗Rrの一方の端子に接続
され、抵抗Rrの他の端子は接地電位(GND)に接続
されている。このように、リファレンスFETQBおよ
び主制御FETQAのドレイン(D)およびゲート(T
G)を共通化することにより同一チップ(110a)へ
の集積化を容易にすることができる。
【0029】また、リファレンスFETQBおよび主制
御FETQAは同一プロセスで同一チップ(110a)
上に形成されたものを使用している。本実施形態におけ
る電流検出手法は、コンパレータCMP1による主制御
FETQAのドレイン−ソース間電圧VDSAと基準電圧
との差の検出によって行われることから、同一チップ上
にリファレンスFETQBおよび主制御FETQAを形
成することにより、電流検出における同相的誤差要因、
即ち電源電圧、温度ドリフトやロット間のバラツキによ
る影響を除去(削減)することができる。さらに、抵抗
Rr(第2負荷)をチップ110aの外部に設置してい
るので、基準電圧へのチップ110aの温度変化の影響
を受け難くすることができ、高精度の電流検出を実現す
ることが可能となる。
【0030】また、リファレンスFETQBの電流容量
が主制御FETQAの電流容量よりも小さくなるよう
に、それぞれのFETを構成する並列接続のトランジス
タ数の比を(リファレンスFETQBのトランジスタ
数:1個)<(主制御FETQAのトランジスタ数:1
000個)となるように構成している。
【0031】さらに、抵抗Rrの抵抗値は、後述のよう
に負荷102の抵抗値×(主制御FETQAのトランジ
スタ数:1000個/リファレンスFETQBのトラン
ジスタ数:1個)の値となるように設定される。この抵
抗Rrの設定により、主制御FETQAに負荷電流(5
[A])が流れたときに抵抗Rrに5[mA]の電流が
流れると、主制御FETQAと同じドレイン−ソース間
電圧VDSをリファレンスFETQBに発生させることが
できる。また、以上のような回路規定により、リファレ
ンスFETQBおよび抵抗Rrで構成される基準電圧発
生手段の構成を極力小型化することができ、実装スペー
スを縮小して装置コストを低減することができる。
【0032】可変抵抗RVはチップ外部に設置され、抵
抗R2に並列に接続される。可変抵抗RVの抵抗値を変
えることにより抵抗R2の抵抗値を等価的に可変設定す
る。すなわち、抵抗R1,R2,RVは、主制御FET
QAのドレイン−ソース間電圧VDSAを抵抗値の比に基
づく分圧比で分圧してコンパレータCMP1に供給する
分圧手段に該当しており、該分圧比を抵抗RVの可変設
定により調整する。これにより、基準電圧生成手段の固
定された設定値(基準)に対してコンパレータCMP1
の出力を“H”レベルから“L”レベルに切替えるドレ
イン−ソース間電圧VDSのしきい値を変えることが可能
となる。これにより、アナログ集積化する場合でも1種
類のチップ110aで複数の仕様をカバーすることが可
能となる。
【0033】コンパレータCMP1の“+”入力端子に
は、主制御FETQAのドレインD−ソースSA間電圧
VDSAを抵抗R1と抵抗R2および可変抵抗RVの並列
抵抗(R2‖RV)とで分圧した電圧が抵抗R5を介し
て供給されている。また、コンパレータCMP1の
“−”入力端子には、リファレンスFETQBのドレイ
ン−ソース間電圧VDSBが供給されている。つまり、
“−”入力端子に供給される電位より“+”入力端子に
供給される電位が大きいときに出力は有効(“H”レベ
ル)となり、“−”入力端子に供給される電位より
“+”入力端子に供給される電位が小さいときに無効
(“L”レベル)となる。なお、後述のように、コンパ
レータCMP1は一定のヒステリシスを持っている。
【0034】次に、以上説明した本実施形態の電流振動
型遮断機能付きスイッチング回路の動作を説明をする。
具体的な動作説明を行う前に、図4、図5および図6を
参照して、本実施形態の電流振動型遮断機能付きスイッ
チング回路が利用する原理について説明する。ここで、
図4はオフ状態からオン状態への遷移時のドレイン−ソ
ース間電圧の立ち下がり特性の説明図、図5は概念的回
路図、図6は主制御FETのドレイン電流とゲート−ソ
ース間電圧との特性を説明する説明図である。
【0035】半導体スイッチとして主制御FETQAを
使用した場合、電源101から負荷102への電力供給
経路は、概念的に図5に示すような回路として表され
る。負荷102には電力供給経路の配線インダクタンス
L0と配線抵抗R0とを含む。なお、経路または負荷1
02において短絡故障が発生した場合にはR0には短絡
抵抗も含まれることとなる。ここで短絡抵抗は、本実施
形態が適用対象としている自動車において負荷102を
ヘッドライトと仮定した場合には、上述の完全短絡(デ
ッドショート)の場合に約40[mΩ]以下であり、不
完全短絡の場合は約40〜500[mΩ]である。
【0036】このような電力供給経路の一部を成す主制
御FETQAのドレイン−ソース間電圧VDSは、主制御
FETQAがオフ状態からオン状態へ遷移する際の立ち
下がり電圧特性として、図4に示す如くなる。即ち、短
絡の場合、基準負荷(通常動作)の場合、負荷102が
抵抗1[KΩ]の場合についての立ち下がり電圧特性で
ある。このように、立ち下がり特性は、電力供給経路お
よび負荷の状態、即ち、経路が持つ配線インダクタンス
並びに配線抵抗および短絡抵抗に基づく時定数に応じて
変化する。
【0037】このようなドレイン−ソース間電圧VDSの
特性の変化を利用して過電流検出を行う手法として、以
下で説明する手法の他に、所定タイミングで所定しきい
値との比較を行って過電流検出を行う手法が考えられる
が、所定タイミングを規定する手段および所定しきい値
との比較手段を構成するために、コンデンサや複数の抵
抗といった部品を必要とし、これらの部品がばらつくと
検出誤差となってしまうという問題がある。また、コン
デンサが必要であり、該コンデンサはチップ内に搭載で
きないことから、外付け部品が必要となり、装置コスト
のアップ要因となってしまうという問題もあった。
【0038】図4において、主制御FETQAがオン状
態に遷移してドレイン−ソース間電圧VDSが飽和するま
での期間は、主制御FETQAはピンチオフ領域で動作
する。
【0039】また、負荷102の抵抗が1[KΩ]のと
きのドレイン−ソース間電圧VDSの変化について、次の
ように考察できる。つまり、第1に、例えば、主制御F
ETQAに日立製の「HAF2001]を使用した場
合、電源電圧12[V]のとき、ドレイン電流ID=1
2[mA]だから、ゲート−ソース間電圧VTGSは、ほ
ぼしきい値電圧1.6[V]に維持される。第2に、駆
動回路111によるゲート(G)への充電は継続される
から、このまま行くとゲート−ソース間電圧VTGSは上
昇して行ってしまう が、ドレイン−ソース間電圧VDS
が低下して、ゲート−ドレイン間の容量CGDの電荷を放
電させるので、ゲート−ソース間電圧VTGSに達する電
荷を吸収してしまうことになる。即ち、ドレイン−ソー
ス間電圧VDSはゲート−ソース間電圧VTGS に達した電
荷が電位上昇を生じさせないだけの電荷をゲート−ドレ
イン間の容量CGDから放電させるような速度で降下する
ことになる。これにより、ゲート−ソース間電圧VTGS
は約1.6[V] に維持される。そして、ゲート−ド
レイン間電圧VTGDの低下につられてドレイン−ソース
間電圧VDSも低下する。なお、この時、電荷を吸収する
要因は2つあり、第1はゲート−ドレイン間電圧VTGD
の低下によるゲート−ドレイン間容量CGDの放電(ミラ
ー容量)であり、第2はn領域の空乏層減少によるゲー
ト−ドレイン間容量CGDの容量増大である。
【0040】また、負荷抵抗=1[KΩ]時のドレイン
−ソース間電圧VDSの変化について、次のような解釈も
可能である。つまり、主制御FETQAがオン状態に遷
移した後の各経過時点で、駆動回路111によってゲー
ト(G)の送られる充電電荷を吸収し、真のゲート(T
G)の電圧VTGSを一定に保つうようなドレイン−ソー
ス間電圧VDSの値を表わしている。したがって、ある経
過時間の後にドレイン−ソース間電圧VDSが図4の負荷
抵抗=1[KG]時の曲線より上側にあれば、ゲート−
ソース間電圧VTGSは1.6[V]よりも高くなってい
ることを意味する。なお、ドレイン−ソース間電圧VDS
は図4の負荷抵抗=1[KΩ]時の曲線より下側に来る
ことはない。
【0041】さらに、同一経過時間における図4の負荷
抵抗=1[KΩ]時の曲線からの距離をΔVDSGAPとす
る と、ΔVDSGAP×CGD分の電荷をゲート−ソース間電
圧VTGSから引き去れば、ゲート−ソース間電圧電圧VT
GSは1.6[V]になることを意味する。換言すれば、
ゲート−ソース間電圧VTGSは1.6[V]からこの電
荷分だけ電位が上昇していることを意味する。このこと
を式で示せば次式となる。
【0042】 VTGS−1.6=ΔVDSGAP×2CGD/(CGS×2CGD) 即ち、ΔVDSGAPは(ゲート−ソース間電圧VTGS−1.
6[V]に比例する。
【0043】また、ゲート−ソース間電圧VTGSとドレ
イン電流IDとの間には、図6の特性に示すように、比
例に近い1対1の関係がある。ここで、図6の特性は日
立製の「HAF2001」のものであり、図中のVGSは
ここではゲート−ソース間電圧VTGSに相当する。した
がって、ΔVDSGAPは図6の特性に示されるような対応
関係に基づいてドレイン電流IDを表すということがで
きる。図6において、ドレイン電流ID=10[A]近
辺の分解能は約60[mV/A]である。即ち、1
[A]のドレイン電流IDの変化が60[mV]のゲー
ト−ソース間電圧VTGSの変化に対応し、±5[A]の
ドレイン電流IDの変化に対して±0.3[V]のゲー
ト−ソース間電圧VTGSの変化が対応する。なお、この
分解能は従来例においてシャ ント抵抗RS=60[m
Ω]相当の分解能に相当する。
【0044】なお、ドレイン電流IDがゼロの時はゲー
トを充電する回路およびミラー容量だけでドレイン−ソ
ース間電圧VDSの曲線は決まるが、ドレイン電流IDが
流れると、回路のインダクタンスLcおよび回路全体の
抵抗Rcの影響を受けることになる。ドレイン電流ID
が増大するに連れてドレイン−ソース間電圧VDSの曲線
は浮き上がって行くが、完全短絡(デッドショート)の
ようにドレイン電流IDが大きくなると、ドレイン電流
IDの立ち上り勾配はゲートを充電する回路による充電
速度で決まる一定値に収れんし、したがってゲート−ソ
ース間電圧VTGSの曲線も収れんすることとなる。な
お、ゲート−ドレイン間電圧VTGDが変化ゼロであると
きのゲート−ソース間電圧VTGSの曲線の立ち上りで決
まるドレイン電流IDの立ち上り勾配が極限勾配であ
る。
【0045】次に、再び図5に示す概念的回路図を参照
しながら、駆動回路111がオフ制御を行う時の主制御
FETQAにおける動作(ドレイン−ソース間電圧VDS
およびドレイン電流IDの力関係)について詳細に説明
する。
【0046】駆動回路111のソーストランジスタQ5
がオフ状態に遷移してシンクトランジスタQ6がオン状
態に遷移すると、真のゲート(TG)に蓄積された電荷
は抵抗RGおよびR8並びにシンクトランジスタQ6を
介して放電する。
【0047】この時、主制御FETQAがオーミック領
域にある間は、ゲート電荷が放電し、ゲート−ソース間
電圧VTGSが低下してもドレイン電流IDには殆ど影響
を受けない。またドレイン−ソース間電圧VDSも殆ど変
化しない。
【0048】主制御FETQAがピンチオフ領域に入る
と、ゲート電荷の放電はゲート−ソース間電圧VTGSを
低下させてドレイン電流IDを減少させようとするが、
ドレイン電流IDは外部回路で決まる条件で動作を続け
ようとするので、ドレイン−ソース間電圧VDSが増加し
てゲート−ドレイン間容量CGDを充電することにより、
ゲートの放電電荷量をキャンセルしてドレイン電流ID
への影響を無くす働きをする。なお、ドレイン−ソース
間電圧VDSが変化できる範囲でこのようなカバー動作が
続くことになる。また、この現象は、ドレイン電流ID
を変化させる力とドレイン−ソース間電圧VDSを変化さ
せる力の大小関係から生じるものであり、ドレイン電流
IDを変化させる力に比べてドレイン−ソース間電圧V
DSを変化させる力が圧倒的に弱いことによるものであ
る。
【0049】ドレイン電流IDの増加過程で駆動回路1
11がオフ制御を行うようになっても、ドレイン電流I
Dはドレイン−ソース間電圧VDSが変化(増加)できる
間は、該ドレイン−ソース間電圧VDSの変化によってカ
バーされ、ドレイン電流IDは増加し続ける。ドレイン
−ソース間電圧VDSが増加できなくなった時点で、ドレ
イン電流IDはゲート電荷の放電のみで決まる電位(ゲ
ート−ソース間電圧VTGS)に従って減少する。すなわ
ち、駆動回路111がオフ制御を行うようになっても、
ドレイン電流IDはドレイン−ソース間電圧VDSの変化
が終わるまではあまり影響を受けないことになる。以上
のメカニズムが主制御FETQAのオン/オフ動作の根
源になっている。
【0050】最後に、ゲートを充電する回路が異なる
と、同じ負荷電流に対してドレイン−ソース間電圧VDS
の曲線は変わってくる。したがって、ゲート充電電流は
常に同じ条件を保つ必要がある。なお、ゲート充電電流
を減らせばドレイン−ソース間電圧VDSの曲線は上方に
シフトすることになる。この性質を利用して、同じドレ
イン電流IDに対してドレイン−ソース間電圧VDSを増
大させるようにすれば、過熱遮断保護機能による過熱遮
断を促進させることができる。後述の過熱遮断促進回路
(過熱遮断促進回路)はこれを利用したものである。
【0051】次に、以上の考察を踏まえて、本実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路の動作を説
明する。先ず、主制御EFTQAおよび基準電圧生成手
段(リファレンスFETQB、抵抗Rr)について説明
する。主制御FETQAとリファレンスFETQBは1
000:1のカレントミラー(Current mirror)回路が
構成し、両者のソース電位が等しいときはドレイン電流
IDQA=1000×ドレイン電流IDQBとなる。
【0052】したがって、主制御FETQAのドレイン
電流としてIDQA=5[A]、リファレンスFETQB
のドレイン電流としてIDQB=5[mA]がそれぞれ流
れているときは、主制御FETQAおよびリファレンス
FETQBのそれぞれのドレイン−ソース間電圧VDSと
ゲート−ソース間電圧VTGSは一致する。即ち、VDSA=
VDSB ,VTGSA= VTGSBとなる。ここで、VDSA =VD
SB はそれぞれ主制御FETQA、リファレンスFET
QBのドレイン−ソース間電圧であり、VTGSA=VTGSB
はそれぞれ主制御FETQA、リファレンスFETQB
のゲート−ソース間電圧である。
【0053】したがって、リファレンスFETQBが完
全にオン状態に遷移しているときは、抵抗Rrの両端に
ほぼ電源電圧VBが印加されるから、主制御FETQA
に接続する5[A]負荷に等価なリファレンスFETQ
Bの負荷として、抵抗Rrの抵抗値は、Rr=12
[V]/5[mA]−1.4[KΩ]として決定され
る。
【0054】このように、ここでは、主制御FETQA
に5[A]の負荷電流が流れたときのドレイン−ソース
間電圧VDSの値(曲線)を基準とするが、主制御FET
QAに対してトランジスタ数比(=電流容量比)の小さ
いリファレンスFETQBを用いて基準電圧生成手段を
構成することにより、基準電圧生成手段をより小型化し
て、小さなチップ占有面積で要求機能を実現できるわけ
である。さらに、上述のように、リファレンスFETQ
Bと主制御FETQAと同一プロセスで、同一チップ上
に構成することにより、ロット間ばらつき、温度ドリフ
トの影響を除去することができて、検出精度を大幅に改
善できる。
【0055】次に、ピンチオフ領域における動作につい
て説明する。主制御FETQAがオフ状態からオン状態
になると、ドレイン電流はIDQAは回路抵抗で決まる最
終負荷電流値を目指して立ち上がっていく。また、主制
御FETQAのゲート−ソース間電圧VTGSAは、ドレイ
ン電流IDQAで決まる値を取り、ドレイン−ソース間電
圧VDSAの低下によるコンデンサ容量CGDのミラー効果
でブレーキをかけられなが ら、これも立ち上がってい
く。さらに、リファレンスFETQBのゲート−ソース
間電圧VTGSBは、リファレンスFETQBが抵抗Rr=
1.4[KΩ]を負荷とするソースフォロアとして動作
することにより決まる。
【0056】また、主制御FETQAのゲート−ソース
間電圧VTGSAは、ドレイン電流IDQAの増加に応じて大
きくなっていくので、ゲート−ソース間電圧はVTGSB<
VTGSAとなる。また、VDSA =VTGSB+VTGD ,VDSB
=VTGSB+VTGD の関係があるから、VDSA −VDSB =
VTGSA−VTGSBとなる。ここで、ゲート−ソース間電圧
の差VTGSA−VTGSBは、ドレイン電流IDQA−IDQBを
表わすから、VTGSA−VTGSBを検出することにより、I
DQAと基準電圧発生手段を流れる電流IDQBとの差を得
ることができる。基準電圧発生手段を流れる電流IDQB
は、VDSBが小さくなるにつれて(このときはVDSAも小
さくなっている)IDQA=5[A]に相当する5[m
A]に近づく。
【0057】リファレンスFETQBのドレイン−ソー
ス間電圧VDSBはコンパレータCMP1に直接入力さ
れ、主制御FETQAのドレイン−ソース間電圧VDSA
はR1と抵抗R2で分圧した値(ここでは可変抵抗RV
について考慮に入れないものとする)がコンパレータC
MP1に入力される。即ち、 VDSA×R1/(R1+R2)………(1) がコンパレータCMP1に入力されることになる。主制
御FETQAがオン状態に遷移した直後は、リファレン
スFETQBのドレイン−ソース間電圧VDSB>(1)
であるが、主制御FETQAのドレイン電流IDQAが増
加するに連れて(1)は増加し、ついにはリファレンス
FETQBのドレイン−ソース間電圧VDSBより大きく
なり、この時、コンパレータCMP1の出力は“H”レ
ベルから“L”レベルに変化して、駆動回路111のオ
フ制御により、主制御FETQAをオフ状態に遷移させ
る。
【0058】なお、コンパレータCMP1では、ダイオ
ードD1と抵抗R5でヒステリシスが形成されている。
主制御FETQAがオフ状態に遷移したとき、駆動回路
111のシンクトランジスタQ6によりゲート電位は接
地され、ダイオードD1のカソード側と主制御FETQ
AのドレインD間の電位差は、VDSA+0.7[V]
(ツェナーダイオードZD1の順方向 電圧)になるの
で、抵抗R1→抵抗R5→ダイオードD1の経路で電流
が流れ、コンパレータCMP1の“+”入力端子の電位
は、駆動回路111がオン制御しているときより低下す
る。したがって、オフ状態に遷移したときより小さいド
レイン−ソース間電圧の差VDSA−VDSBまで主制御FE
TQAはオフ状態を維持し、その後オン状態に遷移する
こととなる。なお、ヒステリシス特性の付け方にはいろ
いろな方法があるが、これはその一例である。
【0059】主制御FETQAがオフ状態に遷移すると
きのドレイン−ソース間電圧VDSAをしきい値VDSAthと
すると、次式が成立する。
【0060】 VDSAth−VDSA=R2/R1×VDSB(at 5[mA])………(2) 過電流判定値は(2)式で決まることになる。なお、過
電流判定値を変更するには、チップ110a外部に接地
されている抵抗R2に並列接続の可変抵抗RVを調整す
る。可変抵抗RVの抵抗値を小さくすることにより過電
流判定値を下方にシフトさせることができる。
【0061】次に、オーミック領域における動作につい
て説明する。配線が正常な状態で、主制御FETQAが
オン状態に遷移すると、主制御FETQAは連続的にオ
ン状態を維持することとなるので、ゲート−ソース間電
圧VTGSA、VTGSBは10[V]近くまで達し、主制御F
ETQA,リファレンスFETQBともオーミック領域
で動作する。
【0062】この領域ではゲート−ソース間電圧VGSと
ドレイン電流IDの間には1対1の関係は無くなる。日
立製の「HAF2001」の場合、オン抵抗はゲート−
ソース間電圧VGS=10[V]のとき、RDS(ON)=3
0[mΩ]であるので、次式となる。
【0063】 VDSB=5[A]×30[mΩ]=0.15[V] VDSA=IDQA×30[mΩ] VDSA−VDSB=30[mΩ]×(IDQA−5[A])……(3) また、配線の短絡等でドレイン電流IDQAが増加すると
式(3)の値が大きくなり、過電流判定値を超えると主
制御FETQAをオフ状態に遷移させる。この後は上記
ピンチオフ領域の状態に移り、主制御FETQAはオン
状態およびオフ状態への遷移を繰り返して、最終的に過
熱遮断に至る。なお、過熱遮断に至る前に、配線が正常
に復帰すれば、(間欠的短絡故障の例)、主制御FET
QAは連続的にオン状態を維持するようになり、オーミ
ック領域の動作に戻る。
【0064】図7には、本実施形態の電流振動型遮断機
能付きスイッチング回路における主制御FETQAの電
流と電圧の波形図を例示している。ここで、図7(a)
はドレイン電流ID(A)を、図7(b)はドレイン−
ソース間電圧VDSをそれぞれ示し、図中、は正常動作
の場合、は過負荷(ソース〜負荷間の配線短絡抵抗を
含む)の場合である。
【0065】過負荷状態の場合(図中)は、上述のよ
うに主制御FETQAのオン/オフ制御を繰り返して行
って、主制御FETQAの周期的な発熱作用によって、
過熱遮断保護機能を働かせている。
【0066】以上説明したように、本実施形態の電流振
動型遮断機能付きスイッチング回路では、電流検出を行
うために電力の供給経路に直列接続される従来のような
シャント抵抗を不要とし、シャント抵抗を用いずに高精
度の過電流検出が可能であり、装置全体としての熱損失
を抑えることができ、また、完全短絡による過電流検出
のみならず、ある程度の短絡抵抗を持つ不完全短絡など
のレアショートが発生した場合の異常電流をもハードウ
ェア回路によって連続的に検出可能である。
【0067】また、マイコンを用いないハードウェア回
路のみで構成して半導体スイッチのオン/オフ制御を行
えるため、装置の実装スペースを縮小でき、装置コスト
を大幅に削減することができる。
【0068】また、本実施形態と同様に、ドレイン−ソ
ース間電圧VDSの特性の変化を利用するものの所定タイ
ミングで所定しきい値との比較を行って過電流検出を行
う他の手法と比較して、コンデンサや複数の抵抗といっ
た部品が不要になるので、該部品のバラツキによる検出
誤差がより低減できるとともに、チップ110aに対す
る外付けコンデンサも不要であることから、実装スペー
スおよび装置コストをより削減することができる。
【0069】さらに、可変抵抗RVの調整により、負荷
102の種別(ヘッドランプ、駆動モータ等)に応じた
完全短絡、不完全短絡の切り分けを確実に検出すること
が可能となり、短絡故障に対する保護を精度良く行うこ
とができる。
【0070】〔第2の実施形態〕次に、第2の実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路について、
図8を参照して説明する。本実施形態の電流振動型遮断
機能付きスイッチング回路の構成は、図2の第1の実施
形態の構成に対して、抵抗R3,R4,R6,R9、F
ETQl,Q2およびツェナーダイオードZD2を付加
した構成である。なお、図8中の点線で囲った部分11
0bはアナログ集積化されるチップ部分を示す。
【0071】即ち、ゲート−ソース間を抵抗R9で接続
したFETQlのゲートに、ツェナーダイオードZD2
および抵抗R6を介して主制御FETQAの真のゲート
TGを接続し、FETQlのドレインを抵抗R4を介し
てVB+5〔V]に接続し、FETQlのソースを主制
御FETQAのソースSAに接続している。また、抵抗
Rlに対して並列に、抵抗R3とFETQ2のドレイン
とを接続した回路を接続し、FETQ2のオン/オフ制
御によって主制御FETQAのドレイン−ソース間電圧
VDSAの分圧を変えるように構成している。
【0072】次に、本実施形態の電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の動作を説明する。先ず、ピンチオ
フ領域における動作について説明する。第1の実施形態
と同様に、リファレンスFETQBのドレイン−ソース
間電圧VDSB はコンパレータCMPlに直接入力され、
主制御FETQAのドレイン−ソース間電圧VDSA は抵
抗Rl,R3の並列抵抗(Rl‖R3)と抵抗R2で分
圧した値(ここでは可変抵抗RVについて考慮に入れな
いものとする)がコンパレータCMPlに入力される。
【0073】即ち、次式の値がコンパレー夕CMPlに
入力されることになる。
【0074】 VDSA ×(R1‖R3)/((R1‖R3)+R2)‥‥‥(1′) 主制御FETQAがオン状態に遷移した直後は、リファ
レンスFETQBのドレイン−ソース間電圧VDSB >
(1′)であるが、主制御FETQAのドレイン電流I
DQAが増加するに連れて(1′)は増加し、ついにはリ
ファレンスFETQBのドレイン−ソース間電圧VDSB
より大きくなり、この時、コンパレータCMPlの出力
は“H”レベルから“L”レベルに変化して、主制御F
ETQAをオフ状態に遷移させる。
【0075】主制御FETQAがオフ状態に遷移すると
きのドレイン−ソース間電圧VDSAをしきい値VDSAth
とすると、次式が成立する。
【0076】 VDSAth −VDSB =R2/(R1‖R3)×VDSB ……(2′) 過電流判定値は(2′)式で決まることになる。なお、
過電流判定値を変更するには、第1の実施形態と同様
に、チップ110a外部に接地されている抵抗R2に並
列接続の可変抵抗RVを調整する。可変抵抗RVの抵抗
値を小さくすることにより過電流判定値を下方にシフト
させることができる。
【0077】オーミック領域における動作や図7を参照
して説明した動作等については第1の実施形態と同様で
あるので省略する。
【0078】次に、過電流判定値について考察する。こ
こでは、過電流判定値はピンチオフ領域、オーミック領
域とも同一の値を用いるとする。
【0079】先ず、ピンチオフ領域における△(VDSA
−VDSB )/△IDを求める。HAF2001の特性曲
線より、次式が得られる。
【0080】 △VTGSA/△IDQA=60[mV/A] ……(4) △VTGSA=△(VDSA −VDSB )×2CGD /(CGS +2CGD ) =△(VDSA −VDSB ) ×2×1200pF/(1800pF+2×1200pF) =△(VDSA −VDSB )×0.57 ……(5) 式(4),(5)より、 △(VDSA −VDSB )/△ID=105[mV/A〕……(6) となる。
【0081】また、オーミック領域における△(VDSA
−VDSB )/△IDは、式(3)より、 △(VDSA −VDSB )/△ID=30[mV/A〕……(7) となる。
【0082】式(6),(7)を比較すると、ピンチオ
フ領域ではオーミック領域より電流感度が敏感になり、
オーミック領域で適切な過電流判定値でも、ピンチオフ
領域では低すぎて引っ掛かり過ぎる恐れがある。この対
策としては、ピンチオフ領域とオーミック領域で過電流
判定値を変える方法がある。第1の実施形態の構成に対
して本実施形態で付加された回路がこの対策回路であ
る。
【0083】ピンチオフ領域かオーミック領域かの判定
は、ゲート−ソース間電圧VTGSAの大きさで行う。ドレ
イン電流IDが増えるに連れてピンチオフ領域のゲート
−ソース間電圧VTGSAは大きくなるが、完全短絡(デッ
ドショート)の場合でも5[V]を超えることはない。
したがって、ゲート−ソース間電圧VTGSA>5〔V]で
あればオーミック領域にあると判定できる。
【0084】主制御FETQAがオン状態に遷移した直
後は、FETQlはオフ状態で、FETQ2はオン状態
にある。FETQ2をオン状態に遷移させるためには、
電源電圧VB以上の電圧、例えばVB+5[V]が必要
となる。
【0085】ツェナーダイオードZD2のツェナー降伏
電圧を5[V〕−1.6[V](FETQlのしきい値
電圧)に設定すれば、ゲート−ソース間電圧VTGSA>5
〔V]になるとFETQlがオン状態に遷移し、FET
Q2がオフ状態に遷移するので、抵抗R2に並列に入っ
ていた抵抗R3が回路的に除去されることとなる。
【0086】ドレイン−ソース間電圧VDSA の圧縮率が
小さくなるので、過電流と判定されるドレイン−ソース
間電圧の差VDSA −VDSB がより小さくなる。これによ
りオーミック領域では対策前より少ない電流値で過電流
判定されるようになる。
【0087】しかし、本実施形態における付加回路によ
る対策を行わなくても、実用的には問題ない可能性があ
る。つまり、ピンチオフ領域では最終負荷電流値が小さ
いときは、ピンチオフ領域内で完全に立ち上がってしま
う。即ち、ピンチオフ領域内で最終負荷電流値に達する
が、最終負荷電流値が大きい場合には、ピンチオフ領域
内ではまだ立ち上がり途上にあり、ピンチオフ領域の電
流値は、完全短絡(デッドショート)の場合でも最大4
0[A]位に制限される。
【0088】つまり、最終負荷電流値が大きくなるに連
れて、ある一定の勾配を持った電流立ち上がり特性に収
れんし、最終負荷電流値の差ほどドレイン−ソース間電
圧VDSA の差がつかなくなる。この現象があるため、ピ
ンチオフ領域の電流感度が大きくても、ドレイン−ソー
ス間電圧の差VDSA −VDSB が大きくならず、基準電圧
生成回路における電流値の選択しだいで本実施形態のよ
うな付加回路による対策を用いなくても、第1の実施形
態の構成によって、実用的な過電流検出保護を実現でき
る。
【0089】本実施形態の電流振動型遮断機能付きスイ
ッチング回路では、第1の実施形態で詳述したものと同
等の効果を奏することができる。
【0090】ここで最後に、過電流制御の考え方につい
て整理しておく。基本構想としては次の通りである。先
ず、配線が正常なときは主制御FETQAがオン状態に
遷移するとオーミック領域に入り、配線が正常である限
り、オーミック領域に留まり、主制御FETQAはオン
状態を維持し続ける。次に、配線に異常が発生して、電
流が増えドレイン−ソース間電圧の差VDSA −VDSB が
過電流判定値を超えると、主制御FETQAはオフ状態
に遷移し、ピンチオフ領域に入る。配線異常が続く限
り、主制御FETQAはオン状態/オフ状態の遷移を繰
り返し続けて、ピンチオフ領域に留まり、最終的に過熱
遮断に至る。
【0091】上記基本構想を実現し、かつ制御を最適化
するために、過電流判定値は次の2つの条件を満足しな
ければならない。第1に、正常電流範囲では主制御FE
TQAを絶対にオフさせないことである。第2に、オー
ミック領域で過電流と判定した後は、配線異常が改善さ
れない限り、ピンチオフ領域で主制御FETQAはオン
状態/オフ状態への遷移を繰り返し行い続けることであ
る。これはオン/オフ制御の周期を安定させるために必
要である。オン/オフ制御の周期を安定させることは制
御の安定性につながるし、オン/オフ制御の周期を用い
てタイマを設定する(後述の第6の実施形態を参照)の
で、そのためにも周期の安定化は必要である。
【0092】上記第1および第2の条件を満足させるた
めには、オーミック領域の過電流判定値を「正常電流最
大値+α」の電流値(相当するVDSA −VDSB )に設定
し、ピンチオフ領域の過電流判定値を「正常電流最大値
+β」に設定する必要がある。このときα>βとする。
つまり、α−βがピンチオフ領域に留まらせるために必
要なオフセット量である。
【0093】〔第3の実施形態〕次に、第3の実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路について、
図9を参照して説明する。第2の実施形態の電源供給制
御装置における回路構成(図8)との違いは、リファレ
ンスFETQBのゲートを主制御FETQAの真のゲー
トTGに接続せず、リファレンスFETQBのゲート抵
抗としてR41を追加し、該抵抗R41の他端を主制御
FETQAのゲートGに接続している。それ以外は第2
の実施形態の回路構成と同じである。なお、図9中の点
線で囲った部分110cはアナログ集積化されるチッブ
部分を示す。
【0094】また、抵抗R41の抵抗値は、R41=1
000×RGに設定する必要がある。例えば、RG=1
0〔KΩ]とした場合にはR41=10[MΩ]とな
る。非常に高い抵抗値になるので、コスト、生産性を考
慮するトランジスタ数比を1:100位にして、R41
=1〔MΩ]位になるようにすることが望ましい。
【0095】なお、本実施形態の電源供給制御装置の動
作は第2の実施形態と同等であり、第1の実施形態と同
等の効果を奏する。
【0096】〔第4の実施形態〕次に、第4の実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路について、
図10および図11を参照して説明する。本実施形態の
電流振動型遮断機能付きスイッチング回路は、第1の実
施形態の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路にお
ける回路構成(図2)において、主制御FETQAのド
レイン−ソース間電圧VDSAを抵抗値の比に基づく分圧
比で分圧してコンパレータCMP1に供給する分圧手段
(抵抗R1,R2,RV)を改良したものである。な
お、図10中の点線で囲った部分110a’および図1
1中の点線で囲った部分110a”は、それぞれアナロ
グ集積化されるチップ部分を示す。
【0097】すなわち、図10において、本実施形態の
電流振動型遮断機能付きスイッチング回路は、電源10
1の出力電圧VBを負荷102に供給する経路に、半導
体スイッチとしての主制御FETQAのドレインD−ソ
ースSAを直列接続した構成であり、主制御FETQA
を駆動制御する部分について、リファレンスFETQ
B、トランジスタQ7、抵抗R1〜R6,R8〜R1
0,RG,Rr、ツェナーダイオードZD1、ダイオー
ドD1〜D3、コンパレータCMP1、駆動回路111
およびスイッチSW1を備えた構成である。なお、半導
体スイッチとしての主制御FETQAは、より詳しくは
第1の実施形態と同様に図3に示すような構成を備えた
ものであり、コンパレータCMP1、駆動回路111お
よびスイッチSW1等の機能や作用、並びにリファレン
スFETQBおよび抵抗Rrによる基準電圧の生成等々
についても第1の実施形態と同様である。
【0098】ここでは、第1の実施形態の電流振動型遮
断機能付きスイッチング回路(図2)と異なる回路構成
部分(トランジスタQ7、抵抗R1〜R6、ダイオード
D2,D3)について、該回路の機能や作用について説
明する。
【0099】先ず、電源101と抵抗R1との間に接続
されているPNPトランジスタQ7は、暗電流に対処す
るためのものである。第1の実施形態の電流振動型遮断
機能付きスイッチング回路(図2)では、負荷102へ
の電源供給指示がなされていない時、即ち主制御FET
QAの駆動制御がなされていない時であっても、分圧手
段の抵抗R1,R2を経由して電源101から負荷10
2に至る暗電流の径路が存在しており、スイッチSW1
がオフであっても僅かながら電源101の電力が消費さ
れている。
【0100】このような暗電流による電源101の電力
消費を低減するために、トランジスタQ7を構成し、ス
イッチSW1がオンされた(負荷102への電源供給指
示がなされた)時にのみトランジスタQ7をオン状態に
遷移させ、そうでない時はオフ状態として、暗電流の経
路を削減している。つまり、トランジスタQ7がオフ状
態にある時は、抵抗R1→抵抗R3→抵抗R2→GND
(接地電位)、抵抗R1→ダイオードD3→抵抗R5→
負荷102→GND、並びに、抵抗R1→抵抗R3→ダ
イオードD2→抵抗R6→抵抗Rr→GND(接地電
位)の経路を流れる電流がカットされ、暗電流を低減で
きることとなる。
【0101】次に、抵抗R1〜R6、ダイオードD2,
D3はダイオードクランプ回路を構成している。抵抗R
1と抵抗R3の接続点の電位をVC、抵抗R3と抵抗R
2の接続点の電位をVEとすると、トランジスタQ7が
オン状態にある時はVC>VEである。
【0102】主制御FETQAのソース電位VSA≧VC
−0.7[V]であれば、ソース電圧VSAがコンパレー
タCMP1の“+”入力端子に入力されるが、VSA<V
C−0.7[V]であれば、コンパレータCMP1の
“+”入力端子にはソース電圧VSAに関係なくVC−
0.7[V]の電位が入力される。すなわち、ソース電
圧VSAが低下してもコンパレータCMP1の“+”入力
端子はVC−0.7[V]の電位にクランプされ、該電
位以下にはならない。
【0103】また、コンパレータCMP1の“−”入力
端子についても同様に、リファレンスFETQBのソー
ス電圧VSBがVE−0.7[V]未満に低下してもVE
−0.7[V]の電位にクランプされる。
【0104】このようなダイオードクランプ回路によ
り、主制御FETQAおよびリファレンスFETQBが
オフ状態に遷移して、ソース電圧VSAおよびソース電圧
VSBが低下した時でも、コンパレータCMP1の“+”
入力端子および“−”入力端子は、それぞれVC−0.
7[V]の電位およびVE−0.7[V]の電位にクラ
ンプされ、VC>VEであるのでコンパレータCMP1
の出力を“H”レベルとすることができ、ソース電圧V
SAおよびソース電圧VSBの大小関係に関らず、主制御F
ETQAを確実にオン制御することができる。また、コ
ンパレータCMP1の“+”入力端子および“−”入力
端子を一定値以下の電位に低下させることが無いので、
“+”入力端子および“−”入力端子の耐圧性を改善す
ることができる。
【0105】また、図11の電流振動型遮断機能付きス
イッチング回路は、図10において、リファレンスFE
TQBのゲートを主制御FETQAの真のゲートTGに
接続せず、リファレンスFETQBのゲート抵抗として
R41を追加し、該抵抗R41の他端を主制御FETQ
AのゲートGに接続して構成したものである。抵抗R4
1の設定等については第3の実施形態と同様である。
【0106】〔第5の実施形態〕次に、第5の実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路について、
図12および図13を参照して説明する。本実施形態の
電流振動型遮断機能付きスイッチング回路は、第1の実
施形態における回路構成(図2)に対して、突入電流マ
スク回路105および過熱遮断回路106を付加した構
成である。なお、図12中の点線で囲った部分110d
および図13中の点線で囲った部分110d’は、それ
ぞれアナログ集積化されるチップ部分を示す。
【0107】負荷102(例えばヘッドライト)をオン
させると、安定状態の数倍から数十倍の突入電流が流れ
る。その突入電流が流れる期間は負荷102の種類や容
量(大きさ)によって異なり、だいたい3[msec]から
20〔msec〕である。この突入電流が流れる期間に、上
記第1、第2または第3の実施形態で説明したような過
電流制御が行われると、負荷102が定常状態に至るま
でに時間を要してしまい、ライトの点灯が遅れるなどの
負荷自身の応答が悪くなる場合がある。本実施形態で
は、突入電流マスク回路105を図2の構成に付加する
ことによってこのような問題を解消する。
【0108】また、上記第1,第2または第3または第
4の実施形態では、完全短絡による過電流が検出された
場合には、すぐに過熱遮断による保護が機能して主制御
FETQAを過熱遮断(オフ制御)することが可能であ
るが、不完全短絡の場合には、主制御FETQAのオン
/オフ制御を繰り返し行って、主制御FETQAの周期
的な発熱作用によって過熱遮断を機能させるので、過熱
遮断までの時間が相対的に長くなることが考えられる。
本実施形態では、過熱遮断促進回路(過熱遮断促進手
段)106によって不完全短絡の場合でも主制御FET
QAの遮断を速めるようにしている。
【0109】図12において、突入電流マスク回路10
5は、FETQ11,Q12、ダイオードDll、抵抗
Rll〜R13およびコンデンサC11を備えて構成さ
れている。
【0110】次に、突入電流マスク回路105の動作に
ついて説明する。主制御FETQAがオン状態に遷移す
ると、ゲート−ソース間電圧VGSA がダイオードD1
1および抵抗R12を介してFETQ12のゲートに供
給され、また同じくゲート−ソース間電圧VGSA がダ
イオードD11および抵抗R11を介してFETQ11
のゲートに供給される。
【0111】FETQ12のゲートはコンデンサC11
を介して主制御FETQAのソースSAに接続されてお
り、主制御FETQAがオン状態に遷移した直後はコン
デンサC11が未充電であるため、FETQ12のゲー
ト電位が十分に上がらずFETQl2はオン状態に遷移
できない。また、FETQ11はFETQ12がオフ状
態にある間はオン状態にあり、コンパレータCMPlの
+端子に供給される分圧点を主制御FETQAのソース
SAに結合させる。そのため、コンパレータCMP1の
出力は“H”レベルに保たれて、大きな突入電流が流れ
ても主制御FETQAはオフ状態に遷移しないことにな
る。
【0112】時間の経過により、コンデンサC11は抵
抗R12を介して充電されていき、ついにはFETQ1
2がオン状態に遷移する。これに伴ってFETQ11が
オフ状態に遷移し上記マスク状態が終了して、過電流検
出制御が機能することとなる。
【0113】なお、抵抗R13は主制御FETQAがオ
フ状態に遷移した後、コンデンサC11をリセットする
ための放電抵抗である。R12≪R13となるように設
定してマスク時間に影響しないようにするのが望まし
い。また、マスク時間はRl2×C11の時定数で決定
されるので、1チップ化する場合には外付けのコンデン
サC11の容量値を任意に変更することにより、マスク
時間の調整が可能となる。
【0114】次に、過熱遮断促進回路106は、FET
Q21〜Q24、ダイオードD21、D22、ツェナー
ダイオードZD21、抵抗R21〜R27およびコンデ
ンサC21を備えて構成されている。
【0115】次に、過熱遮断促進回路106の動作につ
いて鋭明する。過電流制御に入り、ゲート駆動回路が周
期的にオフ制御して主制御FETQAのゲート電位が周
期的に“L”レベルになるが、その間、ソース電位VSA
が“L”レベルになっている間にコンデンサC21はト
ランジスタQ22、Q24および抵抗R21を介して充
電される。FETQ21のゲート電位は最初はしきい値
以下なのでオフ状態にあるが、コンデンサC21の充電
に伴ってゲート電位が上昇するとFETQ21はオン状
態に遷移する。
【0116】抵抗R21を介して端子TG(主制御FE
TQAの真のゲート)から接地電位(GND)に電流が
流れ、端子TGに蓄積される電荷量が減少する。このた
め、同じ負荷抵抗に対してもドレイン−ソース間電圧V
DSAが大きくなり、主制御FETQAの電力消費が増大
して過熱遮断が早まることとなる。なお、抵抗R21が
小さいほど過熱遮断は早まる。また、抵抗R23はコン
デンサC21の放電抵抗であり、R22≪R23となる
ように設定するのが望ましい。
【0117】さらに、図13は、第4の実施形態の電流
振動型遮断機能付きスイッチング回路における回路構成
(図10)に対して、突入電流マスク回路105’およ
び過熱遮断促進回路106’を付加した構成である。突
入電流マスク回路105’および過熱遮断促進回路10
6’の回路構成および作用については、図12のものと
同等である。
【0118】〔第6の実施形態〕次に、第6の実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路について、
図14および図15を参照して説明する。本実施形態の
電流振動型遮断機能付きスイッチング回路は、第1の実
施形態における回路構成(図2)に対して、オン/オフ
回数積算回路107を付加した構成である。なお、図1
4中の点線で囲った部分110eおよび図15中の点線
で囲った部分110e’はそれぞれアナログ集積化され
るチップ部分を示す。
【0119】上記第1、第2、第3または第4の実施形
態において、不完全短絡の場合に、主制御FETQAの
オン/オフ制御を繰り返し行って、主制御FETQAの
周期的な発熱作用によって過熱遮断を機能させることか
ら、過熱遮断までの時間が相対的に長くなるという問題
点を、本実施形態では次のようにして解消する。即ち、
主制御FETQAのオン/オフ制御回数が所定回数に達
したときにオフ制御させるオン/オフ回数積算回路(回
数制御手段)107を付加することにより、主制御FE
TQAの遮断を速める。
【0120】図13において、オン/オフ回数積算回路
107は、トランジスタQ31〜Q34、ダイオードD
31〜D33、ツェナーダイオードZD31、抵抗R3
1〜R37およびコンデンサC31を備えて構成されて
いる。
【0121】次に、オン/オフ回数積算回路107の動
作について説明する。過電流制御に入り、主制御FET
QAのオン/オフ動作中にオフ制御される(ゲート電位
が“L”レベルになる)度に、コンデンサC31はトラ
ンジスタQ32,Q34および抵抗R31を介して充電
される。なお、コンデンサC31が充電されるのは、オ
フ制御(ゲート電位が“L”レベル)の間にドレイン−
ソース間電圧VDSAが“H”レベルになる時のみであ
り、連続的にオン制御またはオフ制御される時には充電
されない。FETQ31のゲート電位は最初はしきい値
以下なのでオフ状態にあるが、コンデンサC31の充電
に伴ってゲート電位が上昇するとFETQ31はオン状
態に遷移する。この時、温度センサ121(4個のダイ
オード)のアノード側が引き下げられるので、高温状態
と同じ条件となって過熱遮断用FETQSがオン状態に
遷移して、主制御FETQAを遮断(オフ制御)する。
【0122】なお、回数積算による遮断時間は約1[se
c ]程度が望ましい。また、オン/オフ回数積算回路1
07を安定に動作させるためには、さらに、主制御FE
TQAのオン/オフ制御の周期を安定させることが必要
である。本実施形態においては、負荷電流の変化に対す
る主制御FETQAのドレイン−ソース間電圧VDSAの
変化はピンチオフ領域の方がオーミック領域より大きい
ので、主制御FETQAがオン/オフ制御の間はピンチ
オフ領域でオフ状態に遷移する(ピンチオフ領域をパス
してオーミック領域でオフ状態に遷移することはない)
こととなり、したがって、主制御FETQAのオン/オ
フ制御の周期が安定したものとなる。
【0123】また、本実施形態の電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路では、オン/オフ回数積算回路10
7において、主制御FETQAのオン/オフ制御回数を
コンデンサC31に蓄えられる電荷量で判断したが、駆
動回路111の出力をそのまま計数するカウンタによっ
てオン/オフ回数積算回路を構成してもよい。この場
合、駆動回路111の出力を計数するカウンタの計数値
が所定値に達した時に、過熱遮断用FETQSをオン状
態に遷移させて、主制御FETQAを遮断(オフ制御)
することとなる。
【0124】さらに、図15は、第4の実施形態の電流
振動型遮断機能付きスイッチング回路における回路構成
(図10)に対して、オン/オフ回数積算回路107’
を付加した構成である。オン/オフ回数積算回路10
7’の回路構成および作用については、図14のものと
同等である。
【0125】なお、以上説明した第6の実施形態の電流
振動型遮断機能付きスイッチング回路(図14および図
15)においては、オン/オフ回数積算回路107によ
る回数積算の後、過熱遮断機能即ち、温度センサ12
1、ラッチ回路122および過熱遮断用FETQS(図
3参照)を用いて主制御FETQAを遮断(オフ制御)
する構成としたが、以下のように変形した構成を用いる
ことも可能である。
【0126】すなわち、第1の変形は、FETQ31の
ドレインを主制御FETQAの真のゲート(TG)に接
続した構成であり、また第2の変形は、コンパレータC
MP1の出力に禁止ゲート(2入力ANDゲート)を設
け、その禁止制御信号にFETQ31のドレイン電位を
用いる(FETQ31のドレイン電位を2入力ANDゲ
ートの他方の入力に供給する)構成であり、さらに第3
の変形は、FETQ31のドレインを抵抗を介してコン
パレータCMP1の“+”入力端子に接続した構成であ
る。但し、これらの変形構成においては、抵抗R31は
不要となり、また、オン/オフ回数積算回路107によ
り主制御FETQAの遮断を行ったことを情報として保
持するためには、ゲートをFETQ31のドレインに、
ソースを電源電圧VBまたはトランジスタQ7のコレク
タに、ドレインを抵抗を介してFETQ31のゲートに
それぞれ接続し、さらにソース−ゲート間に抵抗を接続
したFETを設けて、ラッチを構成する必要がある。こ
こで、追加するFETはFETQ31とは逆の導電型、
即ちNMOS型FETQ31に対してPMOS型FET
を使用する。
【0127】〔変形例〕次に、上記第1、第2、第3、
第4、第5および第6の実施形態の電流振動型遮断機能
付きスイッチング回路の変形例について、図16を参照
して説明する。以上の各実施形態の説明では、基準電圧
生成手段を固定(上述の説明では、5[A]負荷相当に
固定)しておき、第2負荷(抵抗Rr)の変更には過電
流判定値を変化させて対応していた。即ち、使用最大負
荷に合わせて抵抗Rl,R2,R3を設定してチップを
作成し、負荷102が小さい場合はチップ外部に抵抗R
2に並列に可変抵抗RVを追加して、過電流判定値を下
げていた。
【0128】この方法では次のような問題点がある。第
1に、過電流判定値が大きくなるほど制御精度は低下す
る。第2に、ピンチオフ領域とオーミック領域では過電
流判定値を変える必要がある。この場合ピンチオフ領域
の過電流判定値は、厳密にはドレイン電流IDの立ち上
がり勾配に合わせて設定する必要があるが、ドレイン電
流ID立ち上がり勾配は、配線インダクタンスおよび配
線抵抗が変わると変化するので、ぴったりに設定するこ
とは難しい。
【0129】この対策として、基準電圧生成手段を負荷
102に合わせて設定することが有効である。即ち、先
ず、負荷102の最大電流値に相当する基準電圧生成手
段を設定する。次に、基準電圧生成手段におけるドレイ
ン−ソース間電圧VDS(即ち、リファレンスFETQB
のドレイン−ソース間電圧VDSB)を、負荷駆動トラン
ジスタ(即ち、主制御FETQAのドレイン−ソース間
電圧VDSA )が少しでも越えれば過電流値と判定する。
【0130】この手法では、過電流判定値をピンチオフ
領域とオーミック領域で変える必要はない。基準電圧生
成手段のドレイン−ソース間電圧VDSを越えたか杏かで
判定すれば良いから、検出精度はコンパレータCMPl
の分解能だけで決まることになる。
【0131】また、温度ドリフト、ICロット間ばらつ
き、配線インダクタンスおよび配線抵抗の影響を除去で
き、電源電圧の変動に対してもコンパレータCMPlが
正常に作動する限り影響を受けない。したがって、誤差
要素の少ない(ほとんど無い)電流振動型遮断機能付き
スイッチング回路を実現することができる。
【0132】なお、基準電圧生成手段の設定変更方法を
まとめて列挙すれば、次のようなものが考えられる。
【0133】(a)抵抗Rrに並列に外部可変抵抗RV
を追加接続する。
【0134】(b)抵抗Rrをチップ外部に設置して、
仕様に合わせて選択・設定する。
【0135】(c)チップ内部の抵抗Rrの抵抗値を変
える。
【0136】例えば図16に示すように、チップ内部に
数種類の抵抗Rr1〜Rr4を並列に配置しておき、チ
ップをパッケージするとき、またはべアチップ実装する
ときに、抵抗Rrl〜Rr4の中からスイッチSW2に
より選択接続することにより、基準電圧生成手段の設定
値(基準)を目標の仕様に設定することが可能となる。
これにより、電流振動型遮断機能付きスイッチング回路
を集積化する場合でも1種類のチップで複数の仕様をカ
バーすることが可能となる。また抵抗の可変設定によ
り、負荷の種別(ヘッドランプ、駆動モータ等)に応じ
た完全短絡、不完全短絡の切り分けを確実に検出するこ
とが可能となり、短絡故障に対する保護を精度良く行う
ことができる。
【0137】〔第7の実施形態〕次に、第7の実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路について、
図17および図18を参照して説明する。
【0138】図17の電流振動型遮断機能付きスイッチ
ング回路は、第4の実施形態の電流振動型遮断機能付き
スイッチング回路における回路構成(図10)におい
て、主制御FETQA、リファレンスFETQBにpチ
ャネル型素子を用いて構成したものであり、また、図1
8の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路は、第4
の実施形態の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路
における回路構成(図10)において、主制御FETQ
A、リファレンスFETQBにIGBT(Insulated Ga
te Bipolar Transistor)を用いて構成したものであ
る。なお、図17中の点線で囲った部分110apおよ
び図18中の点線で囲った部分110aiはそれぞれア
ナログ集積化されるチップ部分を示す。
【0139】〔第8の実施形態〕次に、第8の実施形態
の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路について、
図19を参照して説明する。本実施形態の電流振動型遮
断機能付きスイッチング回路は、第1、第5および第6
の実施形態の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路
を合成した回路構成(図2、図12および図14)に対
して、過小電流検出の機能を付加したものである。
【0140】すなわち、電源101の出力電圧VBを負
荷102に供給する経路に、半導体スイッチとしての主
制御FETQAのドレインD−ソースSAを直列接続し
た構成の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路であ
り、図19において、主制御FETQAを駆動制御する
部分には、リファレンスFETQB,第2リファレンス
QC、抵抗R1,R2,R5,R10,RG,Rr1,
Rr2、ツェナーダイオードZD1、ダイオードD1、
コンパレータCMP1,CMP2、駆動回路111およ
びスイッチSW1を備えている。なお、図19中の点線
で囲った部分110fはアナログ集積化されるチップ部
分を示す。
【0141】なお、半導体スイッチとしての主制御FE
TQAは、より詳しくは第1の実施形態と同様に図3に
示すような構成を備えたものであり、チャージポンプ3
05、遮断ラッチ回路306、コンパレータCMP1、
駆動回路111およびスイッチSW1等の機能や作用、
並びにリファレンスFETQBおよび抵抗Rrによる基
準電圧の生成等々についても第1の実施形態と同様であ
る。また、突入電流の過電流判定を回避するマスキング
303は第5の実施形態の突入電流マスク回路105と
同等であり、オン/オフ回数の積算による遮断制御を行
なうON/OFF計数積算回路304は第6の実施形態
のON/OFF計数積算回路107と同等である。
【0142】ここでは、付加された過小電流検出機能を
実現する回路構成部分(第2リファレンスFETQC、
抵抗Rr2、コンパレータCMP2)について、該回路
の機能や作用について説明する。
【0143】先ず、第2リファレンスFET(第3半導
体スイッチ)QCおよび抵抗(第3負荷)Rr2は、特
許請求の範囲にいう第2基準電圧発生手段に該当する。
第2リファレンスFETQCのドレインおよびゲートは
それぞれ主制御FETQAのドレイン(D)および真の
ゲート(TG)に接続され、第2リファレンスFETQ
Cのソース(SC)は抵抗Rr2の一方の端子に接続さ
れ、抵抗Rr2の他の端子は接地電位(GND)に接続
されている。このように、第2リファレンスFETQC
および主制御FETQAのドレイン(D)およびゲート
(TG)を共通化することにより同一チップ100fへ
の集積化を容易にしている。
【0144】また、第2リファレンスFETQCは、第
1実施形態(リファレンスFETQB)と同様に、主制
御FETQAと同一プロセスで同一チップ110f上に
形成されたものを使用している。本実施形態における電
流検出手法は、第1の実施形態と同様に、コンパレータ
CMP1およびCMP2における主制御FETQAのド
レイン−ソース間電圧VDSAと基準電圧および第2基準
電圧との差の検出によって行われることから、同一チッ
プ上にリファレンスFETQB,第2リファレンスQC
および主制御FETQAを形成することにより、電流検
出における同相的誤差要因、即ち電源電圧、温度ドリフ
トやロット間のバラツキによる影響を除去(削減)する
ことができる。さらに、抵抗Rr1(第2負荷)および
Rr2(第3負荷)をチップ110fの外部に設置して
いるので、基準電圧および第2基準電圧へのチップ11
0fの温度変化の影響を受け難くすることができ、高精
度の電流検出を実現することが可能となる。
【0145】また、第2リファレンスFETQCの電流
容量が主制御FETQAの電流容量よりも小さくなるよ
うに、それぞれのFETを構成する並列接続のトランジ
スタ数の比を(第2リファレンスFETQCのトランジ
スタ数:1個)<(主制御FETQAのトランジスタ
数:1000個)となるように構成している。さらに、
抵抗Rr2の抵抗値は、負荷102に過小電流が流れる
ときの抵抗値×(主制御FETQAのトランジスタ数:
1000個/第2リファレンスFETQCのトランジス
タ数:1個)の値となるように設定される。
【0146】コンパレータCMP2の“+”入力端子に
は、主制御FETQAのソース電圧VSAが供給され、
“−”入力端子には、第2リファレンスFETQCのソ
ース電圧VSCが供給されている。つまり、“−”入力
端子に供給される電位より“+”入力端子に供給される
電位が大きいときに出力は有効(“H”レベル)とな
り、“−”入力端子に供給される電位より“+”入力端
子に供給される電位が小さいときに無効(“L”レベ
ル)となる。
【0147】最後に、第8の実施形態の電流振動型遮断
機能付きスイッチング回路における特徴および効果をま
とめれば、第1に、電流検出用のシャント抵抗を不要と
して電源供給経路の電力消費を抑制できることから大電
流回路に有利である点、第2に、半導体スイッチ(主制
御FETQA)のピンチオフ領域におけるダイナミック
検出方式であることから、電流感度が高く(約105
[mV/A])、電流検出精度が高い点、第3に、シン
プルな駆動制御で半導体スイッチ(主制御FETQA)
をオン/オフ制御することができ、過熱遮断機能やON
/OFF計数積算回路304によりマイコン等のプログ
ラム処理に比して高速処理が可能である点、第4に、ワ
ンチップ化が容易で、該チップ化により装置の回路構成
を小型化でき、実装スペースを縮小できるとともに、装
置コストを削減できる点、第5に、電流検出が主制御F
ETQAのドレイン−ソース間電圧VDSAと基準電圧お
よび第2基準電圧との差の検出によって行われることか
ら、同一チップ上にリファレンスFETQB,第2リフ
ァレンスQCおよび主制御FETQAを形成することに
より、電流検出における同相的誤差要因、即ち電源電
圧、温度ドリフトやロット間のバラツキによる影響を排
除することができる点、等々を挙げることができる。
【0148】[故障検出装置100]次に本発明に係る
故障検出装置について説明する。まず、本実施形態に係
る電流検出手段200について図20に基づいて説明す
る。図20は本実施形態に係る電流検出手段200の回
路図であり、上述した図2の電流振動型遮断機能付きス
イッチング回路を変更し、簡単化して示したものであ
る。
【0149】図20に示す本実施形態の電流検出手段2
00は、電源101の出力電圧VBを負荷102に供給
する経路に、半導体スイッチとしての主制御FETQA
のドレインD−ソースSを直列接続した構成である。こ
こで、主制御FETQAにはDMOS構造のNMOS型
を使用しているがPMOS型でも実現可能である。
【0150】また同図において、主制御FETQAを駆
動制御する部分については、リファレンスFETQB、
QC、ツェナーダイオード、コンパレータCMP1、C
MP2、駆動回路111、チャージポンプ112を備え
た構成である。また、図20中の線で囲った部分はアナ
ログ集積化されるチップ部分を示す。
【0151】負荷102は例えばヘッドライトやパワー
ウィンドウの駆動モータ等々であり、駆動回路111
は、省略されているが図2と同様にコレクタ側が電位V
Pに接続されたソーストランジスタQ5と、エミッタ側
が接地電位(GND)に接続されたシンクトランジスタ
Q6とを直列接続して備え、判定手段300からの切換
え信号に基づき、ソーストランジスタQ5およびシンク
トランジスタQ6をオン/オフ制御して、主制御FET
QAを駆動制御する信号を出力する。なお図中、VBは
電源101の出力電圧であり、例えば12[V]であ
る。また、チャージポンプ112の出力電圧は、例えば
VB+10[V]である。
【0152】この図20に示す電流検出手段200と図
2の電流振動型遮断機能付きスイッチング回路との主な
相違点は、基準電圧を生成するためのFETQCと、F
ETQCの基準電圧を決定するリファレンス抵抗Rr2
と、FETQAのソース電圧とFETQCのソース電圧
とを比較して増幅する差動アンプCMP2と、差動アン
プCMP2のゲインを調節するための抵抗Rr3とを設
けたことにあり、その他の構成については図20では省
略されているが図2の電流振動型遮断機能付きスイッチ
ング回路の構成と同じものである。
【0153】次に判定手段300について説明する。判
定手段300は、電流検出手段200からの信号をA/
D変換するA/DコンバータとそのA/D変換された信
号を処理するためのマイコン(CPU)などの処理手段
とから構成されている。
【0154】次に表示手段400について説明する。表
示手段400は、判定手段300で故障が検出された場
合に、判定手段300からの信号により故障の内容を表
示するためのものであり、通常のディスプレイ装置上に
表示してもよく、LEDなどの発光素子によって表示し
てもよい。
【0155】次に本実施形態の故障検出装置の動作を説
明する。
【0156】図20において、電流検出手段200で
は、駆動回路111によって主制御FETQAがONさ
れると、電源101から負荷102へ負荷電流が流れ
る。
【0157】ここで、分流手段としてのFETQCによ
って主制御FETQAのドレイン電流が分流され、リフ
ァレンス抵抗Rr2へと流れる。そして、差動アンプC
MP2は主制御FETQAのソース電圧とFETQCの
ソース電圧との電位差を増幅して判定手段300へモニ
タ出力として出力する。
【0158】このとき、リファレンス抵抗Rr2の値を
変更することによって負荷電流値のオフセット量を設定
することができる。このオフセット量は、図21に示す
モニタ出力と負荷電流値との関係を示すグラフでは、横
軸とモニタ出力のグラフが交差する点に相当する。例え
ば、図21(a)では横軸とグラフが交差している点は
1[A]のところであり、図21(b)では4[A]の
ところである。
【0159】また、抵抗Rr3の値を変更することによ
って差動アンプCMP2のゲインを変更することができ
る。このゲインは、図21に示すモニタ出力と負荷電流
値との関係を示すグラフでは、グラフの傾きに相当す
る。例えば、図21(a)では抵抗値Rr3を調節して
ゲインを小さくした場合のグラフなので傾きも小さくな
っており、図21(b)ではゲインを大きくした場合で
傾きも大きくなっている。
【0160】このように、抵抗値Rr2と抵抗値Rr3
とを可変にしたことによって、微弱電流からFETの許
容電流の間で検出できる電流範囲を自由に設定すること
ができ、さまざまな故障の検出が可能になった。
【0161】例えば、電線のショートの検出では負荷電
流値は∞[A]となり、電線のオープン(完全な断線)
のときには負荷電流値は0[A]となるので、広い検出
範囲が必要となるが分解能は大きくても良い。従って、
図21(a)に示すようにオフセット量を小さくし、グ
ラフの傾きも小さくして低い電流値から高い電流値まで
広い範囲で検出できるようにする。
【0162】一方、ランプの断線検出では、複数個並列
に接続されているランプのうちの1灯が断線しているこ
とを検出する必要があり、さらにランプ自体の内部抵抗
値にはランプごとに誤差があるので、狭い検出範囲で分
解能を小さくしなければならない。そこで、図21
(b)に示すように、オフセット量を大きくし、グラフ
の傾きも大きくして狭い検出範囲で分解能を小さくして
いる。このようにして電流検出手段200はモニタ出力
を出力する。
【0163】そして、判定手段300では、出力された
モニタ出力をA/D変換して負荷電流値を算出して故障
の判定を行い、故障を検出した場合には表示手段400
に信号を送り、故障を表示する。
【0164】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る故障
検出装置によれば、負荷電流の検出範囲と分解能を変更
可能にしたことにより、完全短絡と完全断線の検出だけ
でなく不完全断線の検出も可能になった。
【0165】また、電流振動型遮断機能付きスイッチン
グ回路を利用したことにより、完全短絡による過電流の
みならず、ある程度の短絡抵抗を持つ不完全短絡などの
レアショートが発生した場合の異常電流をも検出するこ
とができ、さらに電流検出を行うために電力の供給経路
に直列接続されるシャント抵抗を不要としたので、装置
の熱損失を抑えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の故障検出装置の構成を示すブロック図
である。
【図2】第1の実施形態に係る電流振動型遮断機能付き
スイッチング回路の回路構成図である。
【図3】実施形態で使用する半導体スイッチ(主制御F
ETQA)の詳細な回路構成図である。
【図4】実施形態の電流振動型遮断機能付きスイッチン
グ回路が利用する原理を説明する説明図(その1)であ
り、オフ状態からオン状態への遷移時のドレイン−ソス
間電圧の立ち下がり特性の説明図である。
【図5】実施形態の電流振動型遮断機能付きスイッチン
グ回路が利用する原理を説明する説明図(その2)であ
り、概念的回路図である。
【図6】実施形態の電流振動型遮断機能付きスイッチン
グ回路が利用する原理を説明する説明図(その3)であ
り、主制御FETのドレイン電流とゲート−ソース間電
圧との特性を説明する説明図である。
【図7】短絡故障時および通常動作時の実施形態の電流
振動型遮断機能付きスイッチング回路における半導体ス
イッチの電流(a)と電圧(b)を例示する波形図であ
る。
【図8】第2の実施形態に係る電流振動型遮断機能付き
スイッチング回路の回路構成図である。
【図9】第3の実施形態に係る電流振動型遮断機能付き
スイッチング回路の回路構成図である。
【図10】第4の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その1)である。
【図11】第4の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その2)である。
【図12】第5の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その1)である。
【図13】第5の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その2)である。
【図14】第6の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その1)である。
【図15】第6の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その2)である。
【図16】変形例の電流振動型遮断機能付きスイッチン
グ回路における第2負荷(抵抗)の構成を説明する回路
図である。
【図17】第7の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その1)である。
【図18】第7の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図(その2)である。
【図19】第8の実施形態に係る電流振動型遮断機能付
きスイッチング回路の回路構成図である。
【図20】本発明に係る故障検出装置の電流検出手段2
00の構成を示す回路図である。
【図21】図20の電流検出手段200のモニタ出力と
負荷電流との関係の一例を示す図である。
【図22】従来の故障検出装置の回路構成図である。
【符号の説明】
100 故障検出装置 101 電源 102 負荷 105、303 突入電流マスク回路(禁止手段) 106 過熱遮断促進回路(過熱遮断促進手段) 107、304 オン/オフ回数積算回路(同数制御手
段) 110a〜110f チップ構成部分 111、914 駆動回路(制御手段) 112、915 チャージポンプ QA,QF 主制御FET(半導体スイッチ) RG 内部抵抗 QB リファレンスFET(第2半導体スイッチ) QC 第2リファレンスFET(第3半導体スイッチ) Rr,Rrl〜Rr4 抵抗(第2負荷、第3負荷) Q5,Q6、Q7 トランジスタ Qll〜Q54 FET CMPl、911、912 コンパレータ(検出手段) CMP2、913 コンパレータ(第2検出手段) Rl〜R55 拡抗 RV 可変抵抗 ZDl,ZD2 ツェナーダイオード Dl〜D51 ダイオード Cll〜C31 コンデンサ 121 温度センサ 122 ラッチ回路 QS 過熱遮断用FET SWl,SW2 スイッチ VB 電源電圧 VP チャージポンプ出力電圧 200 電流検出手段 300 判定手段 305 チャージポンプ 400、904 表示手段 901 ドライバ 902 A/D変換 903 マイコン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電源から負荷に流れる負荷電流をスイッ
    チングするスイッチング手段を備え、前記負荷電流に異
    常が発生したときには前記スイッチング手段をオン/オ
    フ制御して電流振動を生成することにより前記負荷電流
    を遮断する電流振動型遮断機能付きスイッチング手段で
    あって、前記負荷電流と変更可能な基準電流とに基づい
    て検出値を生成し、この検出値を変更可能な倍率で増幅
    して出力する電流検出手段と、 この電流検出手段により出力された前記検出値から前記
    負荷電流の値を算出して故障の判定を行う判定手段と、 この判定手段により故障と判定されたときには判定結果
    を表示する表示手段とを含むことを特徴とする故障検出
    装置。
  2. 【請求項2】 前記電流検出手段は、 電源から負荷に流れる負荷電流をスイッチングするスイ
    ッチング手段と、 このスイッチング手段と並列接続された基準電圧生成手
    段と、 この基準電圧生成手段の出力電圧と前記スイッチング手
    段の出力電圧とを比較する比較手段と、 この比較手段の出力に応じて前記基準電圧生成手段と前
    記スイッチング手段とを制御するための制御信号を生成
    する制御信号生成手段と、 この制御信号生成手段により生成された前記制御信号に
    したがって、基準電流を生成する基準電流生成手段と、 この基準電流生成手段によって生成された前記基準電流
    を変更する基準電流変更手段と、 この基準電流変更手段によって変更された基準電流と前
    記負荷電流とを比較して検出値を生成し、この検出値を
    増幅して出力する検出値生成手段と、 この検出値生成手段の増幅率を変更する増幅率変更手段
    とを含むことを特徴とする請求項1に記載の故障検出装
    置。
JP2000031963A 1999-02-14 2000-02-09 故障検出装置 Pending JP2000298152A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000031963A JP2000298152A (ja) 1999-02-14 2000-02-09 故障検出装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7425599 1999-02-14
JP11-74255 1999-02-14
JP2000031963A JP2000298152A (ja) 1999-02-14 2000-02-09 故障検出装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000298152A true JP2000298152A (ja) 2000-10-24

Family

ID=26415379

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000031963A Pending JP2000298152A (ja) 1999-02-14 2000-02-09 故障検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000298152A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011243263A (ja) * 2010-05-20 2011-12-01 Renesas Electronics Corp 故障検出方法、半導体装置、マイクロコンピュータ応用システム
JP2012527585A (ja) * 2009-05-20 2012-11-08 イートン コーポレーション アンダーダッシュ制御システムを有する電子制御式ロッキングデファレンシャル
CN105939896A (zh) * 2014-02-06 2016-09-14 日立汽车系统株式会社 负载驱动电路
CN114609989A (zh) * 2021-11-25 2022-06-10 浙江中控技术股份有限公司 一种断短路检测及保护的大功率数字量输出装置和方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012527585A (ja) * 2009-05-20 2012-11-08 イートン コーポレーション アンダーダッシュ制御システムを有する電子制御式ロッキングデファレンシャル
JP2011243263A (ja) * 2010-05-20 2011-12-01 Renesas Electronics Corp 故障検出方法、半導体装置、マイクロコンピュータ応用システム
CN105939896A (zh) * 2014-02-06 2016-09-14 日立汽车系统株式会社 负载驱动电路
JPWO2015118772A1 (ja) * 2014-02-06 2017-03-23 日立オートモティブシステムズ株式会社 負荷駆動回路
US10078104B2 (en) 2014-02-06 2018-09-18 Hitachi Automotive Systems, Ltd. Load drive circuit
CN114609989A (zh) * 2021-11-25 2022-06-10 浙江中控技术股份有限公司 一种断短路检测及保护的大功率数字量输出装置和方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3706515B2 (ja) 電源供給制御装置および電源供給制御方法
JP2000299922A (ja) 電源供給制御装置および電源供給制御方法
US7579880B2 (en) Circuit for driving a semiconductor element
EP1122871B1 (en) Power supply control device and method
JPWO2006129548A1 (ja) 電力供給制御装置及び半導体装置
JP3808265B2 (ja) 電源供給制御装置及び電源供給制御方法
TWI571031B (zh) 保護裝置、系統及維持閘極驅動器端子上的穩定輸出的方法
JP2001160747A (ja) 半導体スイッチング装置
US7612550B2 (en) Dropper type regulator
JP2000298152A (ja) 故障検出装置
JP3631933B2 (ja) スイッチングデバイス
JP2000235424A (ja) カレントミラー回路、電流センサ及びこれを具備したスイッチング回路並びにスイッチングデバイス
JP3589392B2 (ja) 過電流検出回路及び過電流検出・保護回路
JP2000236621A (ja) 電源供給制御回路
JP2000298522A (ja) 電源供給制御装置及び電源供給制御方法
JP2000299926A (ja) 電源供給制御装置および電源供給制御方法
JP2000236245A (ja) 電源供給制御装置及び電源供給制御方法
JP2001320264A (ja) 電源供給制御装置
JP2001160746A (ja) 半導体スイッチング装置
JP2011053981A (ja) 電源装置および車載用電子機器
JP2000299923A (ja) 過電流動作点を自動変更できる電流振動型遮断機能付きスイッチング回路
JP2000236246A (ja) 電源供給制御装置
JP2000193692A (ja) 過電流検出回路及び過電流検出・保護回路
JP3609637B2 (ja) 扇風機
JP2000236247A (ja) 電源供給制御装置