JP2000296541A - 可動盤の案内装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 案内面の偏摩耗やカジリを防いで可動盤を円
滑に移動させる。 【解決手段】 可動盤６が型閉じ、型開き移動時に揺動
して前倒れ、或いは後倒れ状態になると、スライドプレ
ート３は、可動盤６と一緒に傾斜することなく可動盤６
に対し軸部材３の偏心部１ｃを中心に回動して案内面と
の面接触を維持する。したがって、可動盤６は案内面や
スライドプレート３を偏摩耗させることなく円滑に移動
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、固定盤との間で金
型を型締めする、射出成形機の可動盤等を案内する案内
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】射出成形機の可動盤の案内装置として、
図１２と図１３、及び図１４に示すものが知られてい
る。図１２の可動盤の案内装置は、可動盤６の下面にス
ライドプレート３１がボルト３２で直接取り付けられて
おり、基台２０の案内面２０ａを摺動して可動盤６を案
内する構造となっている。

【０００３】また、図１３の可動盤の案内装置は、基台
２０の案内面２０ａを摺動するスライドプレート３４
が、可動盤６の下面に傾斜台３５と楔部材３６とを介し
て取り付けられ、傾斜台３５のスタッドボルト３７に螺
着されたナット３８の調節で楔部材３６を可動盤６の移
動方向（図で左右）に動かして可動盤６の高さを調節す
ることができるようになっている。

【０００４】図１４の案内装置は、基台２０の案内面２
０ａを転がって可動盤６を案内するローラ（ベアリン
グ）４１が、可動盤６に取付ボルト４２で周方向に調節
自在に取り付けられた軸部材４３の偏心部４３ａに回転
自在に嵌合され、軸部材４３を周方向に動かして可動盤
６の高さを調節することができるようにされている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、射出成形機
の可動盤６は、固定盤とエンドプレートとの間に架設さ
れた複数本のタイバー２１を透孔６ｃに嵌挿して設けら
れており、型閉じと型開きの際に、基台２０の案内面２
０ａとタイバー２１に沿って移動させられるようになっ
ている。なお、可動盤６の透孔６ｃの内周面とタイバー
２１の間には、タイバー２１相互の平行度の狂いなどを
吸収するために小さい隙間が形成されている。

【０００６】上記で可動盤６は一見円滑に型閉じ、型開
き移動しているように見えるが、子細に観察してみる
と、複数本の各ダイバー２１と基台２０の案内面２０ａ
の摺動抵抗がその全長にわたって同一ということはなく
局部的に差があるとともに、可動盤６の透孔６ｃとタイ
バー２１の間に前述のように僅かながら隙間が形成され
ていることから、前後、上下に微妙に揺動しながら移動
していることが分る。

【０００７】したがって、図１２及び図１３の案内装置
の場合、スライドプレート３１，３４は可動盤６に固定
されているために移動時の影響を受け、可動盤６が前倒
れ或いは後倒れとなった際に、一瞬、基台２０の案内面
２０ａとの接触が線接触となる。このため、スライドプ
レート３１，３４の偏摩耗と場合によっては線接触によ
りＰＶ値が増大しスライドプレート３１，３４の許容値
を超えてカジリを発生させるという問題点がある。

【０００８】また、図１２の案内装置は、可動盤６の高
さ調節は外部からシムを挟み込んで行わなければなら
ず、手間と時間がかかる不都合がある。

【０００９】図１３の案内装置の場合は、図１２の案内
装置と違って、可動盤６の高さを楔部材３６で比較的簡
単に調節することができる。しかし、傾斜台３５と楔部
材３６の加工時にそれらの傾斜角度に誤差を生じてスラ
イドプレート３４の水平度が損われ易く、したがって、
基台２０の案内面２０ａに対するスライドプレート３４
の接触が片当りとなって偏摩耗等の支障を生じるという
問題点がある。

【００１０】図１４のローラ式の案内装置には、スライ
ドプレートを用いた図１２及び図１３の案内装置のよう
な問題点はない。しかし、基台２０の案内面２０ａに対
するローラ４１の接触が、常時線接触となるため、可動
盤６（金型）が重いと高面圧となり、基台２０の案内面
２０ａが部分的に陥没して案内機能を低下させるという
問題点がある。

【００１１】本発明は、基台の案内面にスライドプレー
トが可動盤の揺動に関係なく常時面接触して可動盤を案
内する可動盤の案内装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、可動盤の高さ調節が容易な可動盤
の案内装置を提供することである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の少なくとも１つの
目的を達成するために、請求項１記載の発明は、基台の
案内面に沿って可動盤をスライドプレートで案内する可
動盤の案内装置において、スライドプレートを、可動盤
の移動方向の垂直面内において取付軸を中心に回動自在
に可動盤に設けた構成とした。

【００１３】この手段では、可動盤が移動時に前後に揺
動して前倒れ、或いは後倒れとなった場合、スライドプ
レートは可動盤に対して取付軸を中心に回動して基台の
案内面との面接触を保つ。スライドプレートは１個とは
限らず、前後に２個設けてもよい。

【００１４】請求項１記載の可動盤の案内装置におい
て、スライドプレートを、可動盤の移動方向の垂直面内
で回動自在に取付軸で可動盤に取り付けられた回動部材
の下面に着脱自在に固定することが好ましい（請求項
２）。この構成では、スライドプレートが長年月の使用
で摩耗したり、損傷したりした場合、回動部材から取り
外して新しいスライドプレートと交換する。回動部材に
は、案内面からごみ類を排除するワイパ等を取り付ける
ことができる。

【００１５】請求項２記載の可動盤の案内装置におい
て、回動部材を、周方向に調節自在に取付軸で固定され
た軸部材の偏心部に回動自在に嵌合することが好ましい
（請求項３）。この構成では、軸部材を周方向に取付軸
に対して回動させると、取付軸とスライドプレートとの
間隔が軸部材の偏心部の回動によって変わり、その結
果、可動盤の高さが変化する。

【００１６】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を添付図面を参
照して説明する。図１ないし図１１は本発明に係る可動
盤の案内装置の実施の形態を示す。この案内装置は、軸
部材１と、回動部材２と、スライドプレート３を備えて
いる。

【００１７】軸部材１は、両端の円形の軸部１ａ，１ｂ
の間に円形の偏心部１ｃを有し、可動盤６の軸孔６ａと
軸受部材７とに軸部１ａ，１ｂを嵌め入れた状態で、中
心孔１ｄに挿通された、ボルトより成る取付軸８によっ
て可動盤６の前後左右にその軸方向を可動盤６の移動方
向（図２で左右、図１と図３で紙面に垂直な方向）に直
交させて水平に固定されている。取付軸８は、軸部材１
を周方向に回動させてその位置で固定することができる
ように可動盤６のねじ孔６ｂに螺着されている。軸受部
材７は可動盤６に嵌着されている。

【００１８】回動部材２は、嵌合孔２ａを各軸部材１の
偏心部１ｃに嵌合させて、可動盤６の移動方向の垂直面
内において回動自在に軸部材１にそれぞれ着脱自在に取
り付けられている。またスライドプレート３は、鋼材等
によって長形状に形成され、小孔３ａに挿通されて回動
部材２のねじ孔２ｂに螺着された固定ねじ９で各回動部
材２の下面にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。

【００１９】そして、軸部材１には、グリースニップル
１１（図３）が螺着孔１ｅに螺着して取り付けられてお
り、そのグリースニップル１１からグリース等の潤滑油
を油孔１ｆを通じて軸部材１と回動部材２の間に供給
し、またその潤滑油を、偏心部１ｃの外周面に形成され
た周溝１ｇと、回動部材２に形成された油孔２ｃ（図
３）、及びスライドプレート３に形成された油孔３ｂを
介してスライドプレート３の底面に送り出すことができ
るようになっている。

【００２０】また、対称に配置された前後２個の回動部
材２，２の外側の端面には、ねじ孔２ｄ，２ｅが形成さ
れ、カバー１２（図１）とワイパー１３をねじ１４，１
５で取り付けることができるようにされている。

【００２１】このようにスライドプレート３を前後左
右、合計４個備えた可動盤６は、各スライドプレート３
を基台２０の左右の案内面２０ａ，２０ａの上に載せる
とともに、周知のように、固定盤とエンドプレートの間
に架設された４本のタイバー２１を四隅の透孔６ｃに挿
通させて、案内面２０ａとタイバー２１にそれらに沿っ
て前後に移動自在に支持されている。

【００２２】次に上記の構成とされた可動盤の案内装置
の作用を説明する。可動盤６を型締装置により、基台２
０の案内面２０ａとタイバー２１に沿って型閉じ又は型
開き移動させると、可動盤６は、各タイバー２１と案内
面２０ａの局部的な摺動抵抗の差などによって揺動しな
がら移動する。この点は従来と同じである。

【００２３】しかし、本案内装置の場合は、可動盤６が
前倒れ状態になると、前側のスライドプレート３は、可
動盤６に固定された従来のスライドプレートと違って、
可動盤６と一緒に傾斜することなく、可動盤６に対して
回動して案内面２０ａとの面接触を維持する。換言すれ
ば、可動盤６は、前側のスライドプレート３を支点に前
倒れ状態となる。この結果、後側のスライドプレート３
は理論上案内面２０ａから浮くことになるが、前記のよ
うに前側のスライドプレート３がその全面を案内面２０
ａに正しく接して可動盤６を支えているので、可動盤６
は案内面２０ａやスライドプレート３を偏摩耗させるこ
となく円滑に移動する。

【００２４】可動盤６が後倒れ状態となった場合は、後
側のスライドプレート３が面接触を保って前側のスライ
ドプレート３が案内面２０ａから浮くようになる。な
お、可動盤６の移動時には、先行するワイパー１３が案
内面２０ａからごみ類を除去する。

【００２５】可動盤６の高さを微調整するときは、取付
軸８の締付けを緩るめて軸部材１をその中心Ｏ（取付軸
８）を中心に回動させる。軸部材１の回動により偏心部
１ｃも回動し、回動部材２を上又は下に変位させるた
め、可動盤６の高さが変化する。可動盤高さの調節後、
取付軸８を締め付けて軸部材１を可動盤６に固定するこ
とは言うまでもない。

【００２６】図の案内装置は、軸部材１の偏心部１ｃに
よって可動盤６の高さを調節することができるようにな
っているが、軸部材１を省くこともある。この場合、ス
ライドプレート３を、取付軸８を中心に可動盤６に対し
て回動する構造とする。取付軸８はボルトを使用しない
こともあり得る。また、スライドプレート３は、前後に
２個設けられているが、１個しか設けない場合もある。
スライドプレート３等をオイルレスメタルとすることも
ある。可動盤６は、金型を取り付けた射出成形機の可動
盤６に限られるものではない。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の発
明によれば、可動盤がその移動時に前倒れ或いは後倒れ
状態となった場合、スライドプレートは可動盤に対して
回動して案内面との面接触を維持する。このため、案内
面とスライドプレートの偏摩耗やカジリが防止されて可
動盤が長年月にわたって円滑に型閉じ、型開き移動する
ようになる。

【００２８】請求項１記載の可動盤の案内装置におい
て、スライドプレートを、可動盤の移動方向の垂直面内
で回動自在に取付軸で可動盤に取り付けられた回動部材
の下面に着脱自在に固定した場合は、摩耗したり損傷し
たりしたスライドプレートの交換が容易になる。

【００２９】請求項２記載の可動盤の案内装置におい
て、回動部材を、周方向に調節自在に取付軸で固定され
た軸部材の偏心部に回動自在に嵌合嵌合した構成とする
と、可動盤の高さ調節が容易になる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る可動盤の案内装置の実施の形態
を示す正面図である。

【図２】 図１の案内装置の一部分を破断した側面図で
ある。

【図３】 図１の案内装置の要部の断面図である。

【図４】 一部分を破断した軸部材の図である。

【図５】 図４の軸部材の左側面図である。

【図６】 同じく、右側側面図である。

【図７】 回動部材の図である。

【図８】 図７の回動部材の底面図である。

【図９】 同じく、右側面図である。

【図１０】 スライドプレートの平面図である。

【図１１】 図１０のスライドプレートの断面図であ
る。

【図１２】 従来の可動盤の案内装置の一部分を破断し
た図である。

【図１３】 従来の他の可動盤の案内装置の断面図であ
る。

【図１４】 従来の別の可動盤の案内装置の断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 軸部材 １ｃ 偏心部 ２ 回動部材 ３ スライドプレー
ト ６ 可動盤 ６ｃ 透孔 ８ 取付軸 ２０ 基台 ２０ａ 案内面 ２１ タイバー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台の案内面に沿って可動盤をスライド
   プレートで案内する可動盤の案内装置において、 スライドプレートは、可動盤の移動方向の垂直面内にお
   いて取付軸を中心に回動自在に可動盤に設けられたこと
   を特徴とする可動盤の案内装置。
2. 【請求項２】 スライドプレートは、可動盤の移動方向
   の垂直面内で回動自在に取付軸で可動盤に取り付けられ
   た回動部材の下面に着脱自在に固定されたことを特徴と
   する請求項１記載の可動盤の案内装置。
3. 【請求項３】 回動部材は、周方向に調節自在に取付軸
   で固定された軸部材の偏心部に回動自在に嵌合されたこ
   とを特徴とする請求項２記載の可動盤の案内装置。