JP2000289024A - 成形用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents
成形用二軸延伸ポリエステルフィルムInfo
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Abstract
でき、密着性、耐衝撃性、長期保存性さらには味特性に
も優れた成形用ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】フィルムの20cm四方の範囲における面
配向係数の最大値と最小値の差が0.007以下であ
り、かつ該範囲での平均面配向係数が0.11〜0.1
5である成形用二軸延伸ポリエステルフィルム。
Description
ルフィルムに関するものである。詳しくは包装材料とし
て使用される際の成形性、耐衝撃性、保存性に優れるだ
けでなく、ラミネート成形する用途、特に金属、紙、プ
ラスチックを基材としたラミネート成形用途、容器に好
適な成形用二軸延伸ポリエステルフィルムに関するもの
である。
ルフィルムは、軟包装の場合にはポリエチレン、ポリプ
ロピレンと接着剤を用いて、または接着剤を使用するこ
となくラミネートされ、シーラント層が直接内容物と接
するために、ポリエステルフィルムと内容物の接触を考
慮することは少なかった。
化、進化するにつれポリエステルフィルムと内容物が直
接接触する用途が増加し、さらにシェルフライフの増加
に伴いポリエステルフィルムの品質、特に成形性、低溶
出性および非吸着性などの特性を改良することが考えら
れてきている。
ポリエステルフィルムとの接触により品質の変化が認め
られるケース、たとえば飲料や食品の味の変化などは内
容物の商品としての価値を下げることから問題となる場
合がある。
ある容器の内面にポリエステルフィルムを使用するケー
スでは、金属とポリエステルフィルムを接着剤を用いて
または接着剤を使用せずにラミネートし、成形を行い缶
を得ている。
止を目的として、エポキシ系、フェノール系などの各種
熱硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗布
し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しか
しながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法では塗料
の乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有
機溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
属缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属
板にメッキなど各種の表面処理を施した金属板にフィル
ムをラミネートする方法がある。そして、フィルムのラ
ミネート金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶
を製造する場合、フィルムには次のような特性が要求さ
れる。 (1) 金属板へのラミネート性に優れていること。 (2) 金属板との密着性に優れていること。 (3) 成形性に優れ、成形後にピンホールなどの欠陥を生
じないこと。 (4) 金属缶に対する衝撃によって、ポリエステルフィル
ムが剥離したり、クラック、ピンホールが発生したりし
ないこと。 (5) 缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フ
ィルムからの溶出物によって内容物の風味がそこなわれ
ないこと(以下味特性と記載する)。
がなされており、たとえば、特公昭64−22530号
公報には特定の密度、面配向係数を有するポリエステル
フィルムが開示され、またたとえば、特開平2−573
39号公報には特定の結晶性を有する共重合ポリエステ
ルフィルムなどが開示されている。しかしながら、これ
らの提案は上述のような多岐にわたる要求特性を必ずし
も総合的に満足できるものではなく、特に優れた味特性
と著しいひずみが発生するような厳しい加工条件下で使
用される用途での成形性を両立することは困難であっ
た。
た従来技術の問題点を解消することにあり、包装材料と
しての成形性、耐熱性、味特性に優れるだけでなく、絞
り成形やしごき成形などの厳しい成形加工に対応でき、
密着性、耐衝撃性、さらには長期保存性にも優れた成形
用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにあ
る。
20cm四方の範囲における面配向係数の最大値と最小
値の差が0.007以下であり、かつ該範囲での平均面
配向係数が0.11〜0.15である成形用二軸延伸ポ
リエステルフィルムによって達成することができる。
構成するポリエステルとは、主鎖中の結合にエステル結
合を有する高分子の総称であって、通常ジカルボン酸成
分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得
ることができる。ここでジカルボン酸成分としては、た
とえばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボ
ン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸
などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル
酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸な
どのオキシカルボン酸などを挙げることができる。ま
た、グリコール成分としては、たとえばエチレングリコ
ール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジ
オール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールな
どの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポ
リオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタ
ノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビ
スフェノールSなどの芳香族グリコールなどが挙げられ
る。
けではないが、耐衝撃性、味特性の点から、エチレンテ
レフタレート単位および/もしくはエチレン2,6−ナ
フタレート単位が構成成分の95モル%以上含有するこ
とが好ましい。97モル%以上であれば、味特性がさら
に向上するのでより好ましい。
ネート基材との密着性を損ねない範囲で他のジカルボン
酸成分および/もしくはグリコール成分を共重合しても
よく、ジカルボン酸成分、グリコール成分としては上述
のものなどが挙げられる。なお、これらのジカルボン酸
成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。味
特性の点ではジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウム
スルホンジカルボン酸が好ましい。
いて、ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、
トリメチロールプロパンなどの多官能化合物を共重合し
てもよい。
性、耐熱性の点から融点が246〜280℃であること
が好ましい。さらに好ましくは250〜275℃であ
る。
性、ラミネート性、耐衝撃性、長期安定性の観点から、
20cm四方の範囲における面配向係数の最大値と最小
値の差(以下、ばらつきと表記)が0.007以下であ
ることが必要である。ここで、フィルムの面配向係数と
は、フィルムの長手方向屈折率をnMD、フィルムの幅方
向屈折率をnTD、そしてフィルムの厚さ方向屈折率をn
ZDとした際に、面配向係数fn=(nMD+nTD)/2−
nZDで算出される値である。
を20cm四方の範囲に限定する理由を説明すると、ポ
リエステルフィルムを金属板にラミネート後に絞り成形
を施し金属缶を製造する際に、金属缶1個に成形される
フィルムの大きさが該範囲に相当し、かかる成形の際に
発生する削れの抑制に、成形に用いるフィルムの該範囲
での面配向係数のばらつき低減が必要であることを見出
したことに基づくものである。
0cm四方という限られた範囲内でのフィルムの面配向
係数のばらつきがかかる値を超えると、成形時、特に絞
り成形によるDR缶の製缶時などに、ラミネートされて
いるフィルムと絞り成形に用いるパンチとの間に生じる
摩擦力によりフィルム削れが発生する場合がある。さら
に、該面配向係数のばらつきが起因で金属板などの基材
とフィルムが剥離するデラミが発生することがあるなど
実用上問題が生じる。一方、成形性、ラミネート性、特
にラミネート後の密着性の観点からは、かかる面配向係
数のばらつきが0.005以下であるとさらに好まし
く、0.003以下であると成形がより均一にされるこ
とから長期保存性の観点でより一層好ましい。
を0.007以下とする手法は、特に限定されるもので
はないが、製膜に使用するモーターの駆動斑を抑制する
方法、溶融押出したポリマーのキャスティングドラムへ
の密着時の斑および延伸時の斑を抑制する方法などが挙
げられる。たとえば、キャスト時の斑を抑制し均一な未
延伸シートを得る方法としては、静電印加によりポリマ
ーをドラムに密着する際の電極としてテープ状の電極を
用いる方法が好ましい。従来より一般的に用いられてい
るワイヤー電極に比較してテープ電極ではドラムとフィ
ルムの密着点への電荷の集中が起こり斑の抑制に効果が
あるのみならず、電極自体のバタツキによる斑の発生の
抑制の観点からもテープ電極が好ましい。一方、延伸時
の斑発生を抑制する方法としては延伸条件や延伸方式、
さらに詳しくは延伸にロールを用いる場合には、ロール
の真円性、ロール表面の均一性、また、フィルムの温度
均一性などを挙げることができる。これらの手法の中で
も、フィルムが加熱ロールに接触していないロール間で
の空中において延伸する方法が好ましく、さらには空中
で延伸する際のフィルムのバタツキを抑制することが好
ましい。また、フィルムの温度を均一化する方法として
は、延伸前の予熱区間において十分に加熱する方法、延
伸温度より高温で予熱を行う方法が好ましく、詳しくは
予熱ロールを使用する場合には同一温度に設定したロー
ルを少なくとも2本以上用いてフィルムを加熱すること
が好ましい。
ルムは、その用途である成形加工して用いる場合の成形
性さらには、ラミネート性、耐衝撃性などの観点から上
記20cm四方の範囲における平均の面配向係数が0.
11〜0.15であることが必要である。面配向係数が
0.11未満であるとばらつきが大きくなり成形性に問
題が生じ、また面配向係数が0.15を越えると熱によ
るフィルムを溶融させ面配向係数を特定の範囲に制御す
るラミネート性に劣る。ラミネート性の観点からは平均
面配向係数は0.127〜0.145の範囲であるとさ
らに好ましい。平均の面配向係数をかかる範囲内とする
方法としては特に限定されるものではないが、たとえば
延伸条件や熱処理条件を適正な範囲とすることにより達
成することができる。生産性の点からは延伸温度を高く
して高倍率に延伸することが好ましいが、高温で延伸す
ることは延伸張力のばらつきが生じやすく、配向斑の点
からは好ましくない。そこで、延伸にロールを用いる場
合には、好ましいロール表面としてシリコーンやセラミ
ックがあげられるが、特に非粘着性シリコーンをロール
表面素材に用いることが好ましい。さらに、同時二軸延
伸であると延伸張力が均一になりやすく配向斑の観点か
らも好ましい。また、輻射熱を利用して短時間で高温に
かつ均一にフィルム温度を上昇させて延伸してもよい。
は、従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することが
でき、反応触媒としてはたとえばアルカリ金属化合物、
アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マン
ガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、ア
ンチモン化合物、チタン化合物など、着色防止剤として
は、たとえばリン化合物などを挙げることができるが、
特にこれらに限定されるものではない。通常ポリエステ
ルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触
媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、
チタン化合物を添加することが好ましい。
ウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそ
のまま添加する方法や、あるいは特公昭54−2223
4号公報に記載されているように、ポリエステルの出発
原料であるグリコール成分中にゲルマニウム化合物を溶
解させて添加する方法を挙げることができる。ゲルマニ
ウム化合物としては、たとえば二酸化ゲルマニウム、水
酸化ゲルマニウム水和物、あるいはゲルマニウムテトラ
メトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニ
ウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキ
シドなどのゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニ
ウムフェノレート、ゲルマニウムβ−ナフタレートなど
のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウ
ム、亜リン酸ゲルマニウムなどのリン酸含有ゲルマニウ
ム化合物、酢酸ゲルマニウムなどを挙げることができ
る。なかでも二酸化ゲルマニウムが好ましい。アンチモ
ン化合物としては特に限定されないが、たとえば三酸化
アンチモンなどの酸化物、酢酸アンチモンなどが挙げら
れる。チタン化合物としては特に限定されないが、テト
ラエチルチタネート、テトラブチルチタネートなどのア
ルキルチタネートが好ましく使用される。
造する際に、ゲルマニウム化合物として二酸化ゲルマニ
ウムを添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレン
グリコール成分をエステル交換またはエステル化反応さ
せ、次に二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引
き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有
量になるまで重縮合反応させ、ゲルマニウム元素含有重
合体を得る方法が好ましく採用される。さらに好ましい
方法としては、得た重合体をその融点以下の温度におい
て減圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応し、
アセトアルデヒドの含有量を減少させ、所定の固有粘
度、カルボキシ末端基を得る方法などが挙げられる。
はジエチレングリコール成分量が0.01〜3.5重量
%、さらに好ましくは0.01〜2.5重量%、特に好
ましくは0.01〜2.0重量%であることが製缶工程
での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの熱履歴
を受けても優れた味特性を維持する上で望ましい。この
ことは200℃以上での耐酸化分解性が向上するためで
あると考えられ、さらに公知の酸化防止剤を0.000
1〜1重量%添加してもよい。また、特性を損ねない範
囲でジエチレングリコールをポリマー製造時に添加して
もよい。
中のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは25ppm
以下、さらに好ましくは20ppm以下とすることが望
ましい。アセトアルデヒドの含有量が25ppmを越え
ると味特性に劣ることがある。フィルム中のアセトアル
デヒドの含有量を25ppm以下にする方法は特に限定
されるものではないが、たとえばポリエステルを重縮合
反応などで製造する際の熱分解によって生じるアセトア
ルデヒドを除去するため、ポリエステルを減圧下もしく
は不活性ガス雰囲気下でポリエステルの融点以下の温度
で熱処理する方法、好ましくはポリエステルを減圧下あ
るいは不活性ガス雰囲気下において155℃以上融点以
下の温度で固相重合する方法、ベント式押出機を使用し
て溶融押出する方法、高分子を溶融押出する際に押出温
度を融点+30℃以内、好ましくは融点+25℃以内で
短時間、好ましくは平均滞留時間1時間以内で押し出す
方法を挙げることができる。
造方法としては、特に限定されないが、たとえばポリエ
ステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に
供給、溶融しスリット状のダイからシート状またはチュ
ーブ状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティ
ングドラムに密着させ冷却固化し未延伸シートを得る。
製膜方法としてはチューブラー方式、テンター方式など
があるがフィルムの品質の面でテンター方式によるもの
が好ましく、長手方向に延伸した後幅方向に延伸する、
あるいは幅方向に延伸した後長手方向に延伸する逐次二
軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸してい
く同時二軸延伸方式が望ましい。
〜4.2倍、好ましくは1.7〜4.0倍である。長手
方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、
同一としてもよい。また、延伸速度は1000〜200
000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエ
ステルのガラス転移点以上ガラス転移点+100℃以下
であれば任意の温度とすることができるが、通常は80
〜170℃が好ましい。特に好ましくは、長手方向延伸
温度が100〜150℃、幅方向延伸温度が80〜15
0℃である。
行うが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上
など従来公知の任意の方法で行うことができる。熱処理
温度は120℃以上ポリエステルの融点以下の任意の温
度とすることができるが、好ましくは150℃以上ポリ
エステルの融点−5℃以下である。また、熱処理時間は
任意とすることができるが、通常1〜60秒間行うのが
好ましい。熱処理はフィルムをその長手方向および/ま
たは幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに再延伸を
各方向に対して1回以上行ってもよい。
ート性、成形加工性の観点から固体高分解能核磁気共鳴
分光法(NMR)において測定される緩和時間T1ρに
おいて、カルボニルの緩和時間(τ1)とフェニル基4
級炭素の緩和時間(τ2)の関係が式(1)を満たすこ
とが好ましい。 1.8 ≦τ1/τ2≦ 50 ・・・(1) (τ1/τ2)がかかる範囲内にあれば、ポリエステル
分子鎖中の運動性が抑制された結晶と非晶の中間相が形
成され、かつ金属板にラミネートされた後も該構造が維
持されることにより成形加工による結晶化を抑制し、そ
の結果優れた耐衝撃性を発現することが可能になる。し
たがって、(τ1/τ2)が1.8未満であると、分子
鎖の運動性抑制が弱くラミネート性が悪化することがあ
り、さらに成形加工後の耐衝撃性に劣ることがある。逆
に(τ1/τ2)が50を越えるようであれば、運動性
が抑制されすぎてラミネート性、成形加工性の劣化を招
くことがある。
る方法としては特に限定されるものではないが、ポリエ
ステルの固有粘度、触媒、ジエチレングリコール量やフ
ィルム製造時の延伸条件および熱処理条件などの適正化
により達成することができる。
ために、平均粒子径0.01〜10μmの公知の内部粒
子、無機粒子、有機粒子などの外部粒子のなかから任意
に選定される粒子を0.01〜5重量%含有させること
が好ましい。粒子濃度が0.01重量%未満であるとフ
ィルムの走行性、巻き性が悪くなることがあり生産性の
点から好ましくない。
採用できるが、たとえば特開昭48−61556号公
報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41
355号公報、特開昭54−90397号公報などに記
載の技術が挙げられる。さらに特開昭55−20496
号公報、特開昭59−204617号公報などの他の粒
子との併用も行うことができる。10μmを越える平均
粒子径を有する粒子を使用するとフィルムの欠陥が生じ
ることがある。
式シリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイ
カ、カオリン、クレーなど、有機粒子としてはスチレ
ン、シリコーン、アクリル酸類などを構成成分とする有
機粒子を挙げることができる。なかでも湿式および乾式
シリカ、などの無機粒子およびスチレン、シリコーン、
アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベ
ンゼンなどを構成成分とする粒子を挙げることができ
る。これらの内部粒子、無機粒子、有機粒子は二種以上
を併用してもよい。
ートした後の成形性、基材に対する被覆性、耐衝撃性さ
らには長期安定性などの点でフィルム厚みt(単位μ
m)と、フィルム両面の面配向係数の差の絶対値Δfの
関係が式(2)を満足することが好ましい。 0.001≦Δf・t≦0.120 ・・・(2) Δf・tが0.120を越える場合、成形時にフィルム
の表裏で変形度が大きく異なることがあり、その結果ク
ラックの発生による耐衝撃性の悪化や、長期保存性の悪
化に繋がることがあるので好ましくない。また、Δf・
tが0.001未満である場合は基材に対する被覆性が
悪化し、ひいては成形性に対しても悪影響を及ぼす可能
性があるので好ましくない。被覆性、成形性の観点から
はtとΔfの関係が式(3)を満たすとさらに好まし
い。 0.001≦Δf・t≦0.080 ・・・(3) さらに、本発明のポリエステルフィルムの厚みtは成形
性、基材に対する被覆性の観点から5〜40μmである
ことが好ましく、8〜35μmであるとより好ましい。
Δf・tをかかる範囲内とする方法は、他の特性を劣化
させない範囲において特に限定されるものではないが、
フィルム厚みtを一定とした場合、製膜時の熱処理を熱
風を吹き付ける形で行う場合を例に挙げると、フィルム
の表裏で吹き付ける熱風の温度、風量を調節する方法な
どを挙げることができる。
の表面処理を施すことにより、接着性をさらに向上させ
ることは特性を向上させる上で好ましい。その際、E値
としては5〜50、好ましくは10〜45である。ここ
で、E値とはコロナ放電処理強度であり、印可電圧(V
p)、印可電流(Ip)、処理速度(S)、処理幅(W
t)の関数であり、E=Vp×Ip/S×Wtで表され
る。
施してもよく、その塗布化合物、方法、厚みは本発明の
効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
成形用途に用いられるものであり、その用途は成形用途
であれば特に限定されないが、たとえば折り曲げ成形、
絞り成形、しごき成形などの成形加工用途に使用される
用途が挙げられる。また、基材とのラミネート後に成形
加工される用途であることが好ましく、特にラミネート
後に絞り加工により成形加工される用途が好ましい。
から選択される基材であることが望ましく、金属、紙、
プラスチックとの界面には特性を大きく損ねない範囲で
接着剤などが用いられていても良いが、接着剤を介さず
に熱により直接ポリエステルフィルムを接着させること
が好ましい。金属−ポリエステルフィルム、紙−ポリエ
ステルフィルムおよびプラスチック−ポリエステルフィ
ルムから形成される包装材料、例えば容器の中でポリエ
ステルフィルムを薄膜化することができるので味特性の
点でも好ましい。その場合、特にラミネート基材が金属
であることが、バリア性、十分な加熱を施せるという点
で好ましく、内容物の保護性が一段と向上するので好ま
しい。
内容物とする成形容器に使用することが好ましい。
限定されないが、成形性の点で鉄、アルミニウムから選
択される材料を主体とする金属板が好ましい。
の表面に接着性や耐腐食性を改良する無機酸化物被膜
層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン
酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理、クロムク
ロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けて
もよい。特に金属クロム換算値でクロムとして5〜20
0mg/m2 のクロム水和酸化物が好ましく、さらに、
展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜鉛、ア
ルミニウム、砲金、真ちゅうなどを設けてもよい。スズ
メッキの場合1〜20mg/m2 、ニッケルまたはアル
ミニウムの場合1〜25g/m2 のメッキ量を有するも
のが好ましい。
が、パルプの含有率が90%以上であることが好まし
く、再生紙を使用しても良い。
絞り成形やしごき成形によって製造するツーピース金属
缶の内面被膜用および外面被覆用に好適に使用すること
ができる。また、ツーピース缶の蓋部分、あるいはスリ
ーピース缶の胴、ふた、底の被膜用としても良好な金属
接着性、成形性を有するため好ましく使用することがで
きる。
る。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
℃において測定した。
・エルマー社製DSC7型)により、10℃/分の昇温
速度で測定し融解のピーク温度を融点とした。
MR)による緩和時間T1ρ 固体高分解能NMRの測定装置として、日本電子製スペ
クトロメーターJNM−GX270、日本電子製固体ア
ンプ、MASコントローラーMN−GSH27MU、日
本電子製プローブNM−GSH27T、VT,Wを用い
た。測定は13C核のT1ρ(回転座標における縦緩
和)測定を実施した。
%、静磁場強度6.34T(テスラ)下で1H、13C
の共鳴周波数はそれぞれ270.2MHz、67.94
MHzである。化学シフトの異方性の影響を消すために
MAS(マジック角度回転)法を採用した。回転数は
3.5〜3.7kHzで行った。パルス系列の条件は、
1Hに対して90℃、パルス幅4μsec、ロッキング
磁場強度62.5kHzとした。1Hの分極を13Cに
移すCP(クロスポーラリゼーション)の接触時間は
1.5msecである。また保持時間Τとしては、0.
001、0.5、0.7、1、3、7、10、20、3
0、40、50msecを用いた。保持時間Τ後の13
Cの磁化スペクトルの自由誘導減衰(FID)を測定し
た。(FID測定中1Hによる双極子相互作用の影響を
除去するために高出力デカップリングを行った。なお、
S/N比を向上させるため、512回の積算を行っ
た。)また、パルス繰り返し時間としては5〜15se
cの間で行った。なお、測定データ中でカルボニル炭素
(164ppm)およびフェニル基4級炭素(134p
pm)(どちらも、内部標準シリコーンゴム1.56p
pm)について下記解析を行った。
でき、各保持時間に対して観測されたピーク強度を片対
数プロットすることにより、その傾きからT1ρを求め
ることができる。ここでは2成分系(T1ρ1:非晶成
分、T1ρ2:結晶成分)で解析し、下記式を用いて最
小自乗法によりその値を求めた。 I(t)=fa1・exp(-t/T1ρ1)+fa2・exp(-t/T1ρ2) fa1:T1ρ1に対する成分の割合 fa2:T1ρ2に対する成分の割合 fa1+fa2=1 このようにして、カルボニル炭素およびフェニル基4級
炭素のT1ρを求め、それぞれτ1、τ2とした。
ト液としてヨウ化メチレンを用いアッベ屈折計にて長手
方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれn X、nY、
nZ)を求めた。面配向係数fnはfn=(nX+nY)
/2−nZを計算して求めた。
配向係数の最大値および最小値は、フィルムの測定面を
一定として、フィルム20cm四方を2cm四方に碁盤
の目状に裁断し、100片のサンプルを作成し、その1
00サンプルについて上記方法で面配向係数を測定、算
出し、面配向係数の最大値と最小値の差であるばらつき
を求めた。同一のフィルムに対して幅方向の位置を一定
にして、該測定を3回行い、最大値と最小値の差の平均
を求めて、面配向係数のばらつきとした。本実施例に際
しては、サンプルの測定面は製膜の際にキャスティング
ドラムに密着させた面の反対側のフィルム面の面配向係
数を測定した。
絶対値の算出、測定に際しては、フィルム上の任意の場
所より2cm四方のサンプル片を10サンプル採取し、
ダイヤルゲージにて厚みを測定し、屈折率の測定をフィ
ルム両面に対して行った。
ルムの融点−5〜+50℃の温度に加熱しておいて、6
0m/分の速さでフィルムを貼り合わせた後、急冷し
た。なお、ラミネート金属板はフィルムの非ラミネート
面の面配向係数が0.03〜0.04の範囲のものを使
用した。
DR缶を作成した。得た金属缶の缶口部の状態を観察し
評価を行った。○級を合格とした。 ○級:フィルム削れ物の堆積は認められなかった。 △級:缶口部の一部に削れ物の堆積が認められた。 ×級:缶口部全体に削れ物の堆積が認められた。
製タイル床面に落下させた。その後、水中の電極と金属
缶に6Vの電圧をかけ3秒後の電流値を読み取り、10
缶測定しその平均を求めた。○級以上を合格とした。 ◎級:0.001mA未満。 ○級:0.001mA以上、0.01mA未満。 △級:0.01mA以上、0.1mA未満。 ×級:0.1mA以上。
10分熱処理後に40℃で150日間保存し、開封後、
缶内面の状態を目視にて評価した。△級以上を合格とし
た。 ◎級:錆の発生は見られず缶内面はきれいだった、また
味に変化はなかった。 ○級:一部に錆のような黒点が認められたが、味に変化
はなかった。 △級:錆の発生は見られなかったが、内容物の味に若干
変化が見られた。 ×級:全面に錆が発生し、内容物に濁りが認められた。
に真空乾燥後、280℃で溶融押出をし、キャスティン
グドラムに密着させ未延伸シートを得た。その際、静電
印加電極としてテープ状の電極を使用した。次に未延伸
シートに逐次二軸延伸を施して二軸延伸フィルムを得
た。その際、延伸条件は長手方向延伸前予熱温度を11
5℃(5秒)とし、延伸温度113℃、倍率3.1倍を
フィルムが空中にある状態で、延伸速度65000%/
分で行った。一旦フィルム温度を35℃に冷却後、延伸
前予熱温度95℃(5秒)とし、延伸温度120℃、倍
率3.2倍の幅方向延伸を行った。延伸後熱処理を温度
190℃(6秒)で行った。その結果、得られたフィル
ムは表1に示す物性を有しており。特性を評価したとこ
ろ表2に示した通り優れた特性を有するフィルムであっ
た。
向延伸方式を除く製膜条件およびポリエステル原料を変
更して表1に示す物性を有するフィルムを得た。また、
実施例4については同時二軸延伸を行った。その結果、
これらフィルムは表2に示すように良好な特性を示し
た。
テル原料、製膜条件を変更して製膜を行った。比較例1
および3については長手方向延伸方式を周速差のある加
熱ロールと冷却ロール間に襷掛けして延伸を行った。な
お、比較例2においては実施例と同様の長手方向延伸方
式を用いた。また、比較例1〜3とも溶融ポリマーのキ
ャスティングドラムへの密着のための静電印加に際して
はワイヤー電極を用いて行った。その結果、表1に示す
物性のフィルムを得たが、その特性は表2の通り全ての
点において劣っていた。
タレート(*は共重合率(モル%)) PET/N*:2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合
ポリエチレンテレフタレート(*は共重合率(モル
%)) IV:固有粘度 fn:面配向係数 τ1/τ2:固体高分解能核磁気共鳴分光法(NMR)
において測定される緩和時間T1ρにおいて、カルボニ
ルの緩和時間(τ1)とフェニル基4級炭素の緩和時間
(τ2)の比 Δf:フィルム両面の面配向係数の差の絶対値 t:フィルム厚み
フィルムの構造を制御することにより、成形性、耐衝撃
性、さらには長期保存性にも優れたものである。
Claims (11)
- 【請求項1】 フィルムの20cm四方の範囲における
面配向係数の最大値と最小値の差が0.007以下であ
り、かつ該範囲での平均面配向係数が0.11〜0.1
5である成形用二軸延伸ポリエステルフィルム。 - 【請求項2】 融点が246〜280℃である請求項1
に記載の成形用二軸延伸ポリエステルフィルム。 - 【請求項3】 ポリエステルの構成成分の95モル%以
上がエチレンテレフタレート単位および/もしくは2,
6−エチレンナフタレート単位である請求項1または2
に記載の成形用二軸延伸ポリエステルフィルム。 - 【請求項4】 固体高分解能核磁気共鳴分光法(NM
R)において測定される緩和時間T1ρにおいて、カル
ボニル炭素の緩和時間(τ1)とフェニル基4級炭素の
緩和時間(τ2)の関係が式(1)を満たす請求項1〜
3のいずれかに記載の成形用二軸延伸ポリエステルフィ
ルム。 1.8 ≦τ1/τ2≦ 50 ・・・(1) ただし、τ1、τ2の単位はmsec。 - 【請求項5】 フィルムの20cm四方の範囲における
平均面配向係数が0.127〜0.145である請求項
1〜4のいずれかに記載の成形用二軸延伸ポリエステル
フィルム。 - 【請求項6】 フィルムの20cm四方の範囲における
面配向係数の最大値と最小値の差が0.005以下であ
る請求項1〜5のいずれかに記載の成形用二軸延伸ポリ
エステルフィルム。 - 【請求項7】 フィルム厚みをt(単位μm)、フィル
ム両面の面配向係数の差の絶対値をΔfとしたときに、
式(2)の関係を満足する請求項1〜6のいずれかに記
載の成形用二軸延伸ポリエステルフィルム。 0.001≦Δf・t≦0.120 ・・・(2) - 【請求項8】 ラミネート後に成形加工して用いられる
請求項1〜7のいずれかに記載の成形用二軸延伸ポリエ
ステルフィルム。 - 【請求項9】 ラミネート基材が金属、紙、合成樹脂か
ら選択される請求項8に記載の成形用二軸延伸ポリエス
テルフィルム。 - 【請求項10】 成形後に容器として使用される請求項
1〜9のいずれかに記載の成形用二軸延伸ポリエステル
フィルム。 - 【請求項11】 絞り成形により容器に成形されて使用
される請求項1〜10のいずれかに記載の成形用二軸延
伸ポリエステルフィルム。
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---|---|---|---|---|
JP2001219464A (ja) * | 1999-12-03 | 2001-08-14 | Toray Ind Inc | 容器用ポリエステルフィルム |
JP2006503963A (ja) * | 2002-10-24 | 2006-02-02 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | スルホン化脂肪族芳香族ポリエーテルエステルフィルム、コーティング、およびラミネート |
JP2006213012A (ja) * | 2005-02-07 | 2006-08-17 | Toray Ind Inc | 転写用ポリエステルフィルム |
JP2012214760A (ja) * | 2011-03-28 | 2012-11-08 | Fujifilm Corp | ポリエステルフィルムおよびこれを用いた太陽電池用バックシートならびにポリエステルフィルムの製造方法 |
-
1999
- 1999-04-07 JP JP9958999A patent/JP4120089B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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