JP2000288619A - バフ研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
バフ研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP2000288619A JP2000288619A JP11100797A JP10079799A JP2000288619A JP 2000288619 A JP2000288619 A JP 2000288619A JP 11100797 A JP11100797 A JP 11100797A JP 10079799 A JP10079799 A JP 10079799A JP 2000288619 A JP2000288619 A JP 2000288619A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pickling
- grain boundary
- steel sheet
- stainless steel
- hot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】バフ研磨用として高い平滑性を有する表面性状
の優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を低コストで
製造する方法を提供する。 【解決手段】オーステナイト系ステンレス熱延鋼板を焼
鈍し、機械的脱スケールを施し、塩酸50〜250g/
リットル、硝酸50〜200g/リットル、およびふっ化水素酸
5〜50g/リットルを含むステンレス鋼用酸洗液で酸洗し
た後、冷間圧延する方法であって、予め前記熱延鋼板の
酸洗液への浸漬時間と総冷間圧下率および酸洗により生
じた粒界溝の冷間圧延後の残存面積率の関係を求めてお
き、熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間を、冷間圧延後の粒
界溝の残存面積率が3〜6%となる時間に制御する方
法。
の優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を低コストで
製造する方法を提供する。 【解決手段】オーステナイト系ステンレス熱延鋼板を焼
鈍し、機械的脱スケールを施し、塩酸50〜250g/
リットル、硝酸50〜200g/リットル、およびふっ化水素酸
5〜50g/リットルを含むステンレス鋼用酸洗液で酸洗し
た後、冷間圧延する方法であって、予め前記熱延鋼板の
酸洗液への浸漬時間と総冷間圧下率および酸洗により生
じた粒界溝の冷間圧延後の残存面積率の関係を求めてお
き、熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間を、冷間圧延後の粒
界溝の残存面積率が3〜6%となる時間に制御する方
法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間圧延後のバフ
研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造
方法に関する。
研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼の薄鋼板
は、一般に次のような製造プロセスにより製造される。
は、一般に次のような製造プロセスにより製造される。
【0003】すなわち、熱延鋼帯を焼鈍し、ショットブ
ラスト処理等の機械的手段でスケールを破壊した後酸洗
し、鋼帯表面に欠陥がある場合には、ベルト研削による
コイルグラインディング(以下、CGと略記する)で疵
取りをおこない、次いで冷間圧延し、さらに仕上の焼
鈍、酸洗を施し、必要に応じて調質圧延を施すことによ
り薄鋼板が製造される。
ラスト処理等の機械的手段でスケールを破壊した後酸洗
し、鋼帯表面に欠陥がある場合には、ベルト研削による
コイルグラインディング(以下、CGと略記する)で疵
取りをおこない、次いで冷間圧延し、さらに仕上の焼
鈍、酸洗を施し、必要に応じて調質圧延を施すことによ
り薄鋼板が製造される。
【0004】オーステナイト系ステンレス鋼板のなか
に、建材や装飾用鋼板としてバフ研磨により光輝度の高
い表面に仕上げた鋼板がある。
に、建材や装飾用鋼板としてバフ研磨により光輝度の高
い表面に仕上げた鋼板がある。
【0005】このような鋼板においては、バフ研磨を施
す前の板表面に微小な凹み欠陥があると、これを除去す
るのに長時間のバフ研磨が必要となったり、バフ研磨後
も前記欠陥が残存して、十分な高輝度が得られなかった
りする。したがって、バフ研磨性を良好にするために
は、バフ研磨前の鋼板の表面をできるだけ微小な凹み欠
陥のない平滑な状態に仕上げることが必要となる。
す前の板表面に微小な凹み欠陥があると、これを除去す
るのに長時間のバフ研磨が必要となったり、バフ研磨後
も前記欠陥が残存して、十分な高輝度が得られなかった
りする。したがって、バフ研磨性を良好にするために
は、バフ研磨前の鋼板の表面をできるだけ微小な凹み欠
陥のない平滑な状態に仕上げることが必要となる。
【0006】ところで、オーステナイト系ステンレス鋼
の酸洗には、従来から硝酸とふっ化水素酸の混合水溶液
(以下、硝ふっ酸と記す)が多用されている。硝ふっ酸
によって酸洗された熱延鋼板の表面、特に焼鈍、酸洗後
の表面には、結晶粒界(以下、単に粒界と記す)近傍が
選択的に溝状に浸食された、いわゆる粒界溝が発生す
る。
の酸洗には、従来から硝酸とふっ化水素酸の混合水溶液
(以下、硝ふっ酸と記す)が多用されている。硝ふっ酸
によって酸洗された熱延鋼板の表面、特に焼鈍、酸洗後
の表面には、結晶粒界(以下、単に粒界と記す)近傍が
選択的に溝状に浸食された、いわゆる粒界溝が発生す
る。
【0007】この粒界溝は冷間圧延において、総圧下率
の増加にともない次第に消失するが、製品化後の表面品
質に悪影響を及ぼさないところまで消失させるには、非
常に大きな総圧下率が必要となる。
の増加にともない次第に消失するが、製品化後の表面品
質に悪影響を及ぼさないところまで消失させるには、非
常に大きな総圧下率が必要となる。
【0008】前述のように、バフ研磨製品の主な用途は
建材であるため、製品板厚は1.2mm以上と厚いもの
が大半である。したがって、冷間圧延での総圧下率を大
きくすることができないため、粒界溝を消失させること
が困難であった。
建材であるため、製品板厚は1.2mm以上と厚いもの
が大半である。したがって、冷間圧延での総圧下率を大
きくすることができないため、粒界溝を消失させること
が困難であった。
【0009】冷間圧延後に残存した粒界溝は、仕上焼
鈍、酸洗、調質圧延後も微小な凹み欠陥として残存する
ため、通常の方法で製造したオーステナイト系ステンレ
ス鋼板はバフ研磨性が著しく劣る。そのためバフ研磨仕
上用の素材となる熱延鋼板には、焼鈍、酸洗後に表面欠
陥がない場合でも粒界溝の除去を目的として前記CGが
施されているが、CGを施すことにより、工程が増える
とともに、歩留も大きく低下する。
鈍、酸洗、調質圧延後も微小な凹み欠陥として残存する
ため、通常の方法で製造したオーステナイト系ステンレ
ス鋼板はバフ研磨性が著しく劣る。そのためバフ研磨仕
上用の素材となる熱延鋼板には、焼鈍、酸洗後に表面欠
陥がない場合でも粒界溝の除去を目的として前記CGが
施されているが、CGを施すことにより、工程が増える
とともに、歩留も大きく低下する。
【0010】バフ研磨性が良好な鋼板表面を低コストで
かつ効率よく得ることは容易ではなく、これまでにも高
い平滑性を有する鋼板表面を得るための方法が種々検討
されてきた。
かつ効率よく得ることは容易ではなく、これまでにも高
い平滑性を有する鋼板表面を得るための方法が種々検討
されてきた。
【0011】例えば、特開平7−1001号公報には、
鏡面材用ステンレス鋼板およびその製造方法が開示され
ている。このステンレス鋼板は、鏡面(バフ)研磨前の
素材表面において、深さが0.05μm以上の表面凹の
数が、長さ10mm当たり60個以下である鏡面材用ス
テンレス鋼板である。また、その製造方法は、冷間圧延
において、ロール表面粗さ、圧下率および圧延速度を所
定の条件に規定したことを特徴としている。
鏡面材用ステンレス鋼板およびその製造方法が開示され
ている。このステンレス鋼板は、鏡面(バフ)研磨前の
素材表面において、深さが0.05μm以上の表面凹の
数が、長さ10mm当たり60個以下である鏡面材用ス
テンレス鋼板である。また、その製造方法は、冷間圧延
において、ロール表面粗さ、圧下率および圧延速度を所
定の条件に規定したことを特徴としている。
【0012】オーステナイト系ステンレス鋼板におい
て、バフ研磨回数を増加させる表面凹凸の発生原因に
は、冷間圧延前の熱延鋼板の表面凹凸、さらに熱延鋼板
の酸洗時に発生する粒界溝等がある。したがって、上記
公報に開示されている発明で規定されている鏡面研磨前
の素材表面を得るためには、酸洗後の熱延鋼帯に前記C
Gを施して上記したような表面凹凸を除去しなければな
らない。
て、バフ研磨回数を増加させる表面凹凸の発生原因に
は、冷間圧延前の熱延鋼板の表面凹凸、さらに熱延鋼板
の酸洗時に発生する粒界溝等がある。したがって、上記
公報に開示されている発明で規定されている鏡面研磨前
の素材表面を得るためには、酸洗後の熱延鋼帯に前記C
Gを施して上記したような表面凹凸を除去しなければな
らない。
【0013】また、特開平6−65765号公報には、
ステンレス鋼帯の高速酸洗方法が開示されている。この
方法は、50〜400g/リットルのふっ化水素酸、50〜
400g/リットルの硝酸、0.5〜50g/リットルの塩酸を
含み、必要によりPt、Pd等の貴金属イオンの一種あ
るいは二種以上を含有する酸洗液で酸洗することによ
り、酸洗効率を上げると共に、鋼板の表面性状を平滑化
する酸洗方法である。
ステンレス鋼帯の高速酸洗方法が開示されている。この
方法は、50〜400g/リットルのふっ化水素酸、50〜
400g/リットルの硝酸、0.5〜50g/リットルの塩酸を
含み、必要によりPt、Pd等の貴金属イオンの一種あ
るいは二種以上を含有する酸洗液で酸洗することによ
り、酸洗効率を上げると共に、鋼板の表面性状を平滑化
する酸洗方法である。
【0014】しかしながら、この方法では、原単価の高
いふっ化水素酸を高濃度に含有させるため、酸コストが
高騰したり、ふっ化水素ガスの発生が増加して作業環境
が悪化する等の問題がある。
いふっ化水素酸を高濃度に含有させるため、酸コストが
高騰したり、ふっ化水素ガスの発生が増加して作業環境
が悪化する等の問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するためになされたものであり、バフ研磨用として
高い平滑性を有する表面性状の優れたオーステナイト系
ステンレス鋼板を低コストで製造する方法を提供するこ
とを課題とする。
解決するためになされたものであり、バフ研磨用として
高い平滑性を有する表面性状の優れたオーステナイト系
ステンレス鋼板を低コストで製造する方法を提供するこ
とを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、「オー
ステナイト系ステンレス熱延鋼板を焼鈍し、機械的脱ス
ケールを施し、塩酸50〜250g/リットル、硝酸50〜
200g/リットル、およびふっ化水素酸5〜50g/リットル
を含む水溶液で酸洗した後冷間圧延する方法であって、
予め前記熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間と総冷間圧下率
および酸洗時の浸食により生じた粒界溝の冷間圧延後の
残存面積率との関係を求めておき、熱延鋼板の酸洗液へ
の浸漬時間を、前記関係から求めた冷間圧延後の粒界溝
の残存面積率が3〜6%の範囲内となる浸漬時間に制御
することを特徴とするバフ研磨性が良好なオーステナイ
ト系ステンレス鋼板の製造方法」にある。
ステナイト系ステンレス熱延鋼板を焼鈍し、機械的脱ス
ケールを施し、塩酸50〜250g/リットル、硝酸50〜
200g/リットル、およびふっ化水素酸5〜50g/リットル
を含む水溶液で酸洗した後冷間圧延する方法であって、
予め前記熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間と総冷間圧下率
および酸洗時の浸食により生じた粒界溝の冷間圧延後の
残存面積率との関係を求めておき、熱延鋼板の酸洗液へ
の浸漬時間を、前記関係から求めた冷間圧延後の粒界溝
の残存面積率が3〜6%の範囲内となる浸漬時間に制御
することを特徴とするバフ研磨性が良好なオーステナイ
ト系ステンレス鋼板の製造方法」にある。
【0017】なお、粒界溝の残存面積率は、画像解析装
置により100倍の視野において粒界溝の占める面積比
率とする。
置により100倍の視野において粒界溝の占める面積比
率とする。
【0018】本発明者らは、オーステナイト系ステンレ
ス熱延鋼板の酸洗時に粒界溝が発生しにくい酸洗液を開
発することにより、粒界溝を除去するためのCGを省略
することのできる製造方法を確立するために種々の実験
を実施した。
ス熱延鋼板の酸洗時に粒界溝が発生しにくい酸洗液を開
発することにより、粒界溝を除去するためのCGを省略
することのできる製造方法を確立するために種々の実験
を実施した。
【0019】先ず、オーステナイト系ステンレス鋼の代
表鋼種であるSUS304の熱延鋼板を用い、従来から
使用されている硝ふっ酸による酸洗が、冷間圧延後に残
存する粒界溝に及ぼす影響について詳細に調査すると共
に、新しい酸洗液を開発するため酸洗試験を繰り返した
結果、以下の知見を得て本発明を完成させるに至った。
表鋼種であるSUS304の熱延鋼板を用い、従来から
使用されている硝ふっ酸による酸洗が、冷間圧延後に残
存する粒界溝に及ぼす影響について詳細に調査すると共
に、新しい酸洗液を開発するため酸洗試験を繰り返した
結果、以下の知見を得て本発明を完成させるに至った。
【0020】a)従来から使用されている硝ふっ酸によ
る酸洗では、地金の溶解力が小さく溶解減量は少ない
が、粒界が選択的に浸食されて粒界溝の発生が顕著とな
る。また、この場合の粒界溝は幅が狭く、深さが深いの
で冷間圧延において総圧下率の増加とともに減少はする
が、80%程度の高い総圧下率まで圧延しても粒界溝の
痕跡が残存し、調質圧延後もほぼそのまま微小凹み欠陥
として残存し、バフ研磨性を劣化させている。
る酸洗では、地金の溶解力が小さく溶解減量は少ない
が、粒界が選択的に浸食されて粒界溝の発生が顕著とな
る。また、この場合の粒界溝は幅が狭く、深さが深いの
で冷間圧延において総圧下率の増加とともに減少はする
が、80%程度の高い総圧下率まで圧延しても粒界溝の
痕跡が残存し、調質圧延後もほぼそのまま微小凹み欠陥
として残存し、バフ研磨性を劣化させている。
【0021】b)酸洗液として、塩酸、硝酸およびふっ
化水素酸を適切な濃度にした水溶液(以下、塩硝ふっ酸
と記す)を用いると、発生する粒界溝は幅が広く、深さ
が浅くなり冷間圧延で消失し易いが、浸漬時間が短い場
合は比較的高圧下率での圧延が必要となる。
化水素酸を適切な濃度にした水溶液(以下、塩硝ふっ酸
と記す)を用いると、発生する粒界溝は幅が広く、深さ
が浅くなり冷間圧延で消失し易いが、浸漬時間が短い場
合は比較的高圧下率での圧延が必要となる。
【0022】c)塩硝ふっ酸による酸洗では、硝ふっ酸
による酸洗と比較して、Cr濃度の高い母材部を溶解す
る能力が高い。したがって、浸漬時間を長くして地金の
溶解量を多くすれば粒界近傍だけでなく結晶粒内を含む
鋼板の全面が浸食されて粒界溝がほとんど消失し、冷間
圧延において圧下率が非常に小さい段階で微小凹み欠陥
のないバフ研磨性に優れた鋼板が得られ、CGの省略が
可能となる。ただし、鋼板の溶解量が増大して歩留が低
下するとともに、酸消費量が増加して酸コストも大幅に
増加する。
による酸洗と比較して、Cr濃度の高い母材部を溶解す
る能力が高い。したがって、浸漬時間を長くして地金の
溶解量を多くすれば粒界近傍だけでなく結晶粒内を含む
鋼板の全面が浸食されて粒界溝がほとんど消失し、冷間
圧延において圧下率が非常に小さい段階で微小凹み欠陥
のないバフ研磨性に優れた鋼板が得られ、CGの省略が
可能となる。ただし、鋼板の溶解量が増大して歩留が低
下するとともに、酸消費量が増加して酸コストも大幅に
増加する。
【0023】d)しかし、浸漬時間を短くして粒界溝の
発生を許容しても、冷間圧延後の粒界溝残存面積率が3
〜6%になるような浸漬時間にすれば、冷間圧延後のバ
フ研磨性は良好となる。したがって、製品板厚が厚くて
高圧下率で冷間圧延ができない場合でも短時間浸漬の酸
洗が可能となる。 e)塩硝ふっ酸液中のふっ化水素酸の含有量を低減する
と酸洗速度が低下するが、塩酸を多量に含有させること
により酸洗速度の低下を防止することができると共に、
粒界溝が生じ難くなる。
発生を許容しても、冷間圧延後の粒界溝残存面積率が3
〜6%になるような浸漬時間にすれば、冷間圧延後のバ
フ研磨性は良好となる。したがって、製品板厚が厚くて
高圧下率で冷間圧延ができない場合でも短時間浸漬の酸
洗が可能となる。 e)塩硝ふっ酸液中のふっ化水素酸の含有量を低減する
と酸洗速度が低下するが、塩酸を多量に含有させること
により酸洗速度の低下を防止することができると共に、
粒界溝が生じ難くなる。
【0024】f)塩硝ふっ酸による酸洗では、調質圧延
後の粒界溝残存量と冷間圧延後の粒界溝残存量には、ほ
とんど差異が認められない。
後の粒界溝残存量と冷間圧延後の粒界溝残存量には、ほ
とんど差異が認められない。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明で規定した製造条件
について詳細に説明する。
について詳細に説明する。
【0026】オーステナイト系ステンレス熱延鋼板、焼
鈍 熱延鋼板は、一般のオーステナイト系ステンレス鋼であ
れば、化学組成に関係なく本発明の製造方法に適用でき
る。バフ研磨用として一般に用いられるのは、SUS3
04、SUS316等である。熱延鋼板には、冷間圧延
する前に焼鈍を施すが、この焼鈍は一般におこなわれる
処理であり、通常の温度 1050〜1150℃程度で
おこなえばよい。
鈍 熱延鋼板は、一般のオーステナイト系ステンレス鋼であ
れば、化学組成に関係なく本発明の製造方法に適用でき
る。バフ研磨用として一般に用いられるのは、SUS3
04、SUS316等である。熱延鋼板には、冷間圧延
する前に焼鈍を施すが、この焼鈍は一般におこなわれる
処理であり、通常の温度 1050〜1150℃程度で
おこなえばよい。
【0027】機械的脱スケール 熱延鋼板の酸化スケールが厚い場合や強固である場合、
機械的脱スケールを施す。機械的脱スケールは一般に知
られているショットブラスト、繰り返し曲げ加工、ワイ
ヤブラシによるブラッシング、およびこれらを組み合わ
せる方法等がある。酸洗前にこのような処理を施すこと
により、酸洗時間を短縮することができる。
機械的脱スケールを施す。機械的脱スケールは一般に知
られているショットブラスト、繰り返し曲げ加工、ワイ
ヤブラシによるブラッシング、およびこれらを組み合わ
せる方法等がある。酸洗前にこのような処理を施すこと
により、酸洗時間を短縮することができる。
【0028】酸洗液 1)塩酸 塩酸は、ステンレス鋼、特にCr濃度の高い母材部を溶
解する能力が高いため重要な成分であり、濃度が高いほ
ど溶解速度は増加する。また、従来の塩酸を含有してい
ない硝ふっ酸では、粒界が選択的に腐食され粒界溝にな
るが、塩酸を含有させると鋼板の全面が腐食されて粒界
溝になりにくい。しかし、200g/リットルを超えると肌
荒れが顕著になるので上限を200g/リットルとした。ま
た、50g/リットル未満では全面腐食効果が得られないの
で、下限を50g/リットルとした。
解する能力が高いため重要な成分であり、濃度が高いほ
ど溶解速度は増加する。また、従来の塩酸を含有してい
ない硝ふっ酸では、粒界が選択的に腐食され粒界溝にな
るが、塩酸を含有させると鋼板の全面が腐食されて粒界
溝になりにくい。しかし、200g/リットルを超えると肌
荒れが顕著になるので上限を200g/リットルとした。ま
た、50g/リットル未満では全面腐食効果が得られないの
で、下限を50g/リットルとした。
【0029】2)硝酸 硝酸は、ステンレス鋼の溶解を促進すると共に、スマッ
トの付着を防止する働きもする。しかし、200g/リッ
トルを超えるとステンレス鋼を不動態化する作用が強ま
り、かえって溶解速度が遅くなる。また、塩酸濃度が低
い場合に硝酸濃度が200g/リットルを超えるとマクロ的
な局部腐食を生じるため、上限を200g/リットルとし
た。また、50g/リットル未満では孔食が発生するため、
下限を50g/リットルとした。
トの付着を防止する働きもする。しかし、200g/リッ
トルを超えるとステンレス鋼を不動態化する作用が強ま
り、かえって溶解速度が遅くなる。また、塩酸濃度が低
い場合に硝酸濃度が200g/リットルを超えるとマクロ的
な局部腐食を生じるため、上限を200g/リットルとし
た。また、50g/リットル未満では孔食が発生するため、
下限を50g/リットルとした。
【0030】3)ふっ化水素酸 ふっ化水素酸は、塩酸と同様にステンレス鋼を溶解する
のに必要であり、濃度が高いほど溶解速度は速いが高価
な酸洗液となる。50g/リットルを超えると、ふっ化水素
ガスの発生が多くなるのみならず、設備の耐久性に問題
が生じるため上限を50g/リットルとした。また、5g/
リットル未満では溶解速度が遅くなるため下限を5g/リットル
とした。
のに必要であり、濃度が高いほど溶解速度は速いが高価
な酸洗液となる。50g/リットルを超えると、ふっ化水素
ガスの発生が多くなるのみならず、設備の耐久性に問題
が生じるため上限を50g/リットルとした。また、5g/
リットル未満では溶解速度が遅くなるため下限を5g/リットル
とした。
【0031】熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間と総冷間圧
下率および冷間圧延後の粒界溝の残存面積率との関係 熱延鋼板を焼鈍、ショットブラスト処理後、前記塩硝ふ
っ酸で酸洗するに際して、酸洗液への浸漬時間が十分に
長いと粒界溝は生成しないが、酸洗による地金の溶解減
量が多くなるとともに酸消費量が多くなって酸コストが
増加する。一方、浸漬時間を短くすると、地金の溶解減
量は少なくすることができるが、粒界溝が発生する。し
かしながら、粒界溝は次の冷間圧延で総圧下率の増加と
ともに減少する。
下率および冷間圧延後の粒界溝の残存面積率との関係 熱延鋼板を焼鈍、ショットブラスト処理後、前記塩硝ふ
っ酸で酸洗するに際して、酸洗液への浸漬時間が十分に
長いと粒界溝は生成しないが、酸洗による地金の溶解減
量が多くなるとともに酸消費量が多くなって酸コストが
増加する。一方、浸漬時間を短くすると、地金の溶解減
量は少なくすることができるが、粒界溝が発生する。し
かしながら、粒界溝は次の冷間圧延で総圧下率の増加と
ともに減少する。
【0032】したがって、酸洗時間は、鋼板の溶解減量
および粒界溝の発生ができるだけ少なくなるように制御
する必要がある。
および粒界溝の発生ができるだけ少なくなるように制御
する必要がある。
【0033】そこで、酸洗に先立ち、熱延鋼板の酸洗液
への浸漬時間と総冷間圧下率および冷間圧延後の酸洗に
より生じた粒界溝の残存面積率との関係を求めておく。
への浸漬時間と総冷間圧下率および冷間圧延後の酸洗に
より生じた粒界溝の残存面積率との関係を求めておく。
【0034】すなわち、酸洗浸漬時間を種々変えて酸洗
した鋼板について冷間圧延をおこない、総圧下率を変化
させた場合に粒界溝残存量がどのように変化するかを求
めておく。
した鋼板について冷間圧延をおこない、総圧下率を変化
させた場合に粒界溝残存量がどのように変化するかを求
めておく。
【0035】図1は、酸洗浸漬時間を25〜90秒と種
々変えた場合の総冷間圧下率と粒界溝残存面積率との関
係を示す図であり、このような図を求めておくことによ
り、以下に説明するように適切な酸洗浸漬時間を容易に
得ることができる。
々変えた場合の総冷間圧下率と粒界溝残存面積率との関
係を示す図であり、このような図を求めておくことによ
り、以下に説明するように適切な酸洗浸漬時間を容易に
得ることができる。
【0036】熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間を、粒界溝
の残存面積率が3〜6%の範囲となる時間に制御 冷間圧延後の粒界溝残存面積率が3〜6%の範囲内であ
れば、バフ研磨性が良好となり、比較的研磨量が少なく
なり、研磨効率がよくなる。3%未満では浸漬時間が長
くなり過ぎ、鋼板の溶解減量が増加する。また6%を超
えるとバフ研磨性が劣化する。したがって、冷間圧延後
の粒界溝残存面積率は3〜6%とする必要がある。
の残存面積率が3〜6%の範囲となる時間に制御 冷間圧延後の粒界溝残存面積率が3〜6%の範囲内であ
れば、バフ研磨性が良好となり、比較的研磨量が少なく
なり、研磨効率がよくなる。3%未満では浸漬時間が長
くなり過ぎ、鋼板の溶解減量が増加する。また6%を超
えるとバフ研磨性が劣化する。したがって、冷間圧延後
の粒界溝残存面積率は3〜6%とする必要がある。
【0037】冷間圧延後の粒界溝残存面積率を3〜6%
の範囲内にするための酸洗時間は、下記のようにして予
め求めることができる。
の範囲内にするための酸洗時間は、下記のようにして予
め求めることができる。
【0038】すなわち、図1で示したような図から、目
標総圧下率における粒界溝残存面積率が3〜6%の範囲
になる酸洗浸漬時間を求めればよい。例えば、図1の場
合で、総圧下率を70%とする冷間圧延をおこなう場
合、適切な酸洗浸漬時間は、33〜60秒であり、好ま
しいのは酸洗時間が最も短い33秒となる。
標総圧下率における粒界溝残存面積率が3〜6%の範囲
になる酸洗浸漬時間を求めればよい。例えば、図1の場
合で、総圧下率を70%とする冷間圧延をおこなう場
合、適切な酸洗浸漬時間は、33〜60秒であり、好ま
しいのは酸洗時間が最も短い33秒となる。
【0039】このように、酸洗浸漬時間を段階的に変化
させて酸洗した材料を冷間圧延して、各浸漬時間別に冷
間圧下率と粒界溝残存率の関係を、求めておくことによ
り、最適な浸漬時間を容易に求めることができる。
させて酸洗した材料を冷間圧延して、各浸漬時間別に冷
間圧下率と粒界溝残存率の関係を、求めておくことによ
り、最適な浸漬時間を容易に求めることができる。
【0040】なお、前記熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間
の制御は、通板速度を変更することによって容易に行う
ことができる。ただし、一般にオーステナイト系ステン
レス鋼の酸洗は、連続焼鈍酸洗(AP)ラインで、焼鈍
と連続しておこなわれ、通板速度は焼鈍時間によって決
まるため、大幅に変更することができない。
の制御は、通板速度を変更することによって容易に行う
ことができる。ただし、一般にオーステナイト系ステン
レス鋼の酸洗は、連続焼鈍酸洗(AP)ラインで、焼鈍
と連続しておこなわれ、通板速度は焼鈍時間によって決
まるため、大幅に変更することができない。
【0041】図2は、鋼板の酸洗浸漬時間を制御する方
法を説明するための図である。前記APラインでの酸洗
には、図2に示すように、酸洗槽1内の片側の浸漬ロー
ル2を上下動できるようにしておき、このロールの位置
を調節することによって、鋼板3の酸洗液4へ浸漬して
いる部分の長さを制御する方法を採用すればよい。
法を説明するための図である。前記APラインでの酸洗
には、図2に示すように、酸洗槽1内の片側の浸漬ロー
ル2を上下動できるようにしておき、このロールの位置
を調節することによって、鋼板3の酸洗液4へ浸漬して
いる部分の長さを制御する方法を採用すればよい。
【0042】冷間圧延に用いるワークロールとしては、
直径250mm以下、表面粗さRa0.15μm以下の
ものが望ましい。ワークロールの直径が250mmを超
えるとワークロールと圧延材との間(ロールバイト内)
に導入される圧延油量が増加して油膜厚が厚くなるた
め、高い総圧下率まで粒界溝が残存するようになる。ま
た、ワークロールの表面粗さがRa0.15μmを超え
るような粗く研削されたロールでは、鋼板材表面への研
削肌の転写痕が調質圧延後も残存してバフ研磨性を阻害
するため、好ましくない。
直径250mm以下、表面粗さRa0.15μm以下の
ものが望ましい。ワークロールの直径が250mmを超
えるとワークロールと圧延材との間(ロールバイト内)
に導入される圧延油量が増加して油膜厚が厚くなるた
め、高い総圧下率まで粒界溝が残存するようになる。ま
た、ワークロールの表面粗さがRa0.15μmを超え
るような粗く研削されたロールでは、鋼板材表面への研
削肌の転写痕が調質圧延後も残存してバフ研磨性を阻害
するため、好ましくない。
【0043】
【実施例】以下、実施例により、本発明の効果をさらに
詳しく説明する。
詳しく説明する。
【0044】表1に示す化学組成のオーステナイト系ス
テンレス鋼(SUS304)の厚さ4.5mmの熱延鋼
板を焼鈍し、ショットブラスト処理を施した後、この鋼
板から幅70mm、長さ100mmの酸洗試験片を切出
した。
テンレス鋼(SUS304)の厚さ4.5mmの熱延鋼
板を焼鈍し、ショットブラスト処理を施した後、この鋼
板から幅70mm、長さ100mmの酸洗試験片を切出
した。
【0045】
【表1】
【0046】酸洗試験片を表2に示す酸No.1(塩硝
ふっ酸)の酸洗液で浸漬時間を30秒、45秒、60秒
および75秒と種々に変えて酸洗をおこなった。
ふっ酸)の酸洗液で浸漬時間を30秒、45秒、60秒
および75秒と種々に変えて酸洗をおこなった。
【0047】
【表2】
【0048】次いで、直径が100mm、表面粗さがR
a0.10μmのワークロールの圧延機で、総圧下率を
40〜80%と変えて冷間圧延をおこなった後、試験片
表面の粒界溝残存面積率を測定して、酸洗浸漬時間別に
総冷間圧下率と粒界溝残存面積率の関係を求めた。
a0.10μmのワークロールの圧延機で、総圧下率を
40〜80%と変えて冷間圧延をおこなった後、試験片
表面の粒界溝残存面積率を測定して、酸洗浸漬時間別に
総冷間圧下率と粒界溝残存面積率の関係を求めた。
【0049】なお、粒界溝残存面積率は、画像解析装置
を用いて測定した。100倍の視野に占める凹み部(粒
界溝残存部)の面積比率である。
を用いて測定した。100倍の視野に占める凹み部(粒
界溝残存部)の面積比率である。
【0050】図3は、求めた酸洗浸漬時間別の総冷間圧
下率と粒界溝残存面積率との関係を示す図である。
下率と粒界溝残存面積率との関係を示す図である。
【0051】上記のショットブラスト処理を施した4.
5mm厚の熱延鋼板を重量測定した後、表2に示す2種
の酸洗液によって、表3に示す条件で酸洗し、酸洗後の
重量を測定して、酸洗による溶解減量を求めた。
5mm厚の熱延鋼板を重量測定した後、表2に示す2種
の酸洗液によって、表3に示す条件で酸洗し、酸洗後の
重量を測定して、酸洗による溶解減量を求めた。
【0052】
【表3】
【0053】その後、直径が90mm、表面粗さがRa
0.13μmのワークロールの圧延機で目標仕上板厚が
1.5mm(目標総圧下率=66.7%)および1.2
mm(目標総圧下率=73.3%)の冷間圧延をおこな
った。
0.13μmのワークロールの圧延機で目標仕上板厚が
1.5mm(目標総圧下率=66.7%)および1.2
mm(目標総圧下率=73.3%)の冷間圧延をおこな
った。
【0054】表3に示した酸洗条件のうち、No.1お
よびNo.2の浸漬時間は、前記冷間圧延での総圧下率
が66.7%および73.3%の時、冷間圧延後の粒界
溝残存面積率を目標の6%以下とするために必要な最短
の時間であって、図3から求めたものである。
よびNo.2の浸漬時間は、前記冷間圧延での総圧下率
が66.7%および73.3%の時、冷間圧延後の粒界
溝残存面積率を目標の6%以下とするために必要な最短
の時間であって、図3から求めたものである。
【0055】また、前記酸洗での浸漬時間は、図2に示
したように、片側の浸漬ロールを上下に移動させる方法
で制御した。冷間圧延に用いた圧延油は、市販のステン
レス鋼用鉱油系ニート油である。
したように、片側の浸漬ロールを上下に移動させる方法
で制御した。冷間圧延に用いた圧延油は、市販のステン
レス鋼用鉱油系ニート油である。
【0056】次に、大気焼鈍炉にて、1100℃の温度
で仕上焼鈍を施し、続いて中性塩電解処理した後、硝ふ
っ酸浸漬により仕上酸洗をおこなった。中性塩電解処理
は20%硫酸ナトリウム水溶液(80℃)中で2秒間陽
極電解後、1秒間陰極電解(電流密度80mA/c
m2)することを30回繰り返す方法でおこない、その
後の酸洗は8%硝酸+0.7%ふっ化水素酸(50℃)
中に30秒間浸漬する方法でおこなった。
で仕上焼鈍を施し、続いて中性塩電解処理した後、硝ふ
っ酸浸漬により仕上酸洗をおこなった。中性塩電解処理
は20%硫酸ナトリウム水溶液(80℃)中で2秒間陽
極電解後、1秒間陰極電解(電流密度80mA/c
m2)することを30回繰り返す方法でおこない、その
後の酸洗は8%硝酸+0.7%ふっ化水素酸(50℃)
中に30秒間浸漬する方法でおこなった。
【0057】さらに、直径350mmのブライトロール
の2段圧延機により、無潤滑で圧下率0.5%の条件で
調質圧延した。
の2段圧延機により、無潤滑で圧下率0.5%の条件で
調質圧延した。
【0058】以上のようにして得られた調質圧延後の鋼
帯から採取した幅、長さとも100mmの鋼板を用いて
バフ研磨試験を行った。バフ研磨試験はバフ研磨装置を
小型化した試験機でおこなった。研磨ブラシ目は#12
00番を用い、湿式で一定圧力に調整して3パスまで研
磨した。この際、各パス毎に試験材表面の光沢と写像性
を目視観察して、下記の基準で評価した。
帯から採取した幅、長さとも100mmの鋼板を用いて
バフ研磨試験を行った。バフ研磨試験はバフ研磨装置を
小型化した試験機でおこなった。研磨ブラシ目は#12
00番を用い、湿式で一定圧力に調整して3パスまで研
磨した。この際、各パス毎に試験材表面の光沢と写像性
を目視観察して、下記の基準で評価した。
【0059】○:バフ研磨後、光沢、写像性ともに優れ
る。
る。
【0060】△:バフ研磨後、光沢、写像性ともやや劣
る。
る。
【0061】×:バフ研磨後、光沢、写像性とも劣る。
【0062】その結果を表3に併せて示す。
【0063】ここで、表3中の「酸洗での溶解減量率」
は、焼鈍、酸洗前の熱延鋼帯重量に対する酸洗での溶解
減量(焼鈍、酸洗前の熱延鋼帯重量−焼鈍、酸洗後の熱
延鋼帯重量)の比率である。
は、焼鈍、酸洗前の熱延鋼帯重量に対する酸洗での溶解
減量(焼鈍、酸洗前の熱延鋼帯重量−焼鈍、酸洗後の熱
延鋼帯重量)の比率である。
【0064】また、「酸コスト比率」は、通常の硝ふっ
酸による酸洗での酸コストを1.0とした時の、各条件
で消費される酸コストの比率である。
酸による酸洗での酸コストを1.0とした時の、各条件
で消費される酸コストの比率である。
【0065】表3から明らかのように、比較例の塩硝ふ
っ酸による酸洗で浸漬時間を制御しないで、従来の酸洗
時間と同じ66秒としたNo.4およびNo.5では、
調質圧延後のバフ研磨性は良好であるが、溶解減量率が
大きく、酸コストも高かった。これに対し、塩硝ふっ酸
による酸洗で浸漬時間を冷間圧延後の粒界溝残存面積率
が約6%となる浸漬時間に制御したNo.1およびN
o.2では、調質圧延後のバフ研磨性が良好であるとと
もに、溶解減量率が小さく、酸コストも低く抑えられる
ことが判る。なお、通常の硝ふっ酸による酸洗No.6
およびNo.7では、バフ研磨性が非常に劣ることが改
めて確認された。
っ酸による酸洗で浸漬時間を制御しないで、従来の酸洗
時間と同じ66秒としたNo.4およびNo.5では、
調質圧延後のバフ研磨性は良好であるが、溶解減量率が
大きく、酸コストも高かった。これに対し、塩硝ふっ酸
による酸洗で浸漬時間を冷間圧延後の粒界溝残存面積率
が約6%となる浸漬時間に制御したNo.1およびN
o.2では、調質圧延後のバフ研磨性が良好であるとと
もに、溶解減量率が小さく、酸コストも低く抑えられる
ことが判る。なお、通常の硝ふっ酸による酸洗No.6
およびNo.7では、バフ研磨性が非常に劣ることが改
めて確認された。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、熱延鋼帯の焼鈍後の酸
洗における溶解減量と酸消費量を低減しつつ、粒界溝の
発生を抑制することができ、酸洗後のCGを省略してバ
フ研磨性の良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製
造が可能となる。
洗における溶解減量と酸消費量を低減しつつ、粒界溝の
発生を抑制することができ、酸洗後のCGを省略してバ
フ研磨性の良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製
造が可能となる。
【図1】塩硝ふっ酸による酸洗浸漬時間と総冷間圧下率
および粒界溝残存面積率の関係を示す図である。
および粒界溝残存面積率の関係を示す図である。
【図2】酸洗浸漬時間を制御する方法を説明するための
図である。
図である。
【図3】塩硝ふっ酸による酸洗浸漬時間毎の総冷間圧下
率と粒界溝残存面積率の関係を示す図である。
率と粒界溝残存面積率の関係を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】オーステナイト系ステンレス熱延鋼板を焼
鈍し、機械的脱スケールを施し、塩酸50〜250g/
リットル、硝酸50〜200g/リットル、およびふっ化水素酸
5〜50g/リットルを含む水溶液で酸洗した後冷間圧延す
る方法であって、予め前記熱延鋼板の酸洗液への浸漬時
間と総冷間圧下率および酸洗時の浸食により生じた粒界
溝の冷間圧延後の残存面積率との関係を求めておき、熱
延鋼板の酸洗液への浸漬時間を、前記関係から求めた冷
間圧延後の粒界溝の残存面積率が3〜6%の範囲内とな
る浸漬時間に制御することを特徴とするバフ研磨性が良
好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11100797A JP2000288619A (ja) | 1999-04-08 | 1999-04-08 | バフ研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11100797A JP2000288619A (ja) | 1999-04-08 | 1999-04-08 | バフ研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000288619A true JP2000288619A (ja) | 2000-10-17 |
Family
ID=14283410
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11100797A Withdrawn JP2000288619A (ja) | 1999-04-08 | 1999-04-08 | バフ研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000288619A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002173786A (ja) * | 2000-12-01 | 2002-06-21 | Sumitomo Metal Ind Ltd | オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
CN111118510A (zh) * | 2019-12-20 | 2020-05-08 | 唐山钢铁集团高强汽车板有限公司 | 一种含硼酸洗钢带的制造方法 |
-
1999
- 1999-04-08 JP JP11100797A patent/JP2000288619A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002173786A (ja) * | 2000-12-01 | 2002-06-21 | Sumitomo Metal Ind Ltd | オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
JP4562901B2 (ja) * | 2000-12-01 | 2010-10-13 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
CN111118510A (zh) * | 2019-12-20 | 2020-05-08 | 唐山钢铁集团高强汽车板有限公司 | 一种含硼酸洗钢带的制造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN108155281B (zh) | 一种小规格led铜带生产工艺 | |
KR100262732B1 (ko) | 광택성 및 내식성이 우수한 오스테나이트계 스테인레스 강판의 제조방법 | |
JP2007046118A (ja) | 表面品質に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP2000288619A (ja) | バフ研磨性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP2003286592A (ja) | ステンレス鋼帯の酸洗方法 | |
JP4316029B2 (ja) | ステンレス鋼の酸洗方法および酸洗液 | |
JP3878024B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JP3520840B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法 | |
JPS61117291A (ja) | Cr系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JPH0360920B2 (ja) | ||
JP4221984B2 (ja) | 極めて良好な表面光沢度を有するマルテンサイト系ステンレス鋼冷間圧延‐焼鈍‐酸洗鋼帯 | |
JPH0810823A (ja) | ステンレス冷延鋼帯の焼鈍・脱スケール方法 | |
JPH0716605A (ja) | ステンレス冷延鋼帯の製造方法 | |
JPH09176809A (ja) | マクロ模様のないチタンまたはチタン合金板の製造方法 | |
JP4562901B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP3253288B2 (ja) | 表面の美麗なチタン板またはチタン合金板の製造方法 | |
JP2002256472A (ja) | フェライト系ステンレス鋼板及びその製造法 | |
JP6938342B2 (ja) | ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP7031515B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP3190163B2 (ja) | バフ研磨性に優れたステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JP3562084B2 (ja) | 熱延鋼板の製造方法 | |
JPH09296257A (ja) | 耐食性及び光沢性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 | |
JP3059376B2 (ja) | 光沢性および耐食性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JPS61199084A (ja) | Cr系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JPH08269549A (ja) | 冷間圧延後の表面性状が良好なオーステナイト系ステンレス熱延鋼板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20050131 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050304 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050513 |
|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060704 |