JP2000288374A - 撹拌翼、および同撹拌翼を装着した撹拌装置 - Google Patents

撹拌翼、および同撹拌翼を装着した撹拌装置

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JP2000288374A
JP2000288374A JP11101258A JP10125899A JP2000288374A JP 2000288374 A JP2000288374 A JP 2000288374A JP 11101258 A JP11101258 A JP 11101258A JP 10125899 A JP10125899 A JP 10125899A JP 2000288374 A JP2000288374 A JP 2000288374A
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carbon
composite material
silicon carbide
yarn
layer
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JP11101258A
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English (en)
Inventor
Shigeru Hanzawa
茂 半澤
Kenji Nakano
健治 中野
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属溶湯中で1年以上使用しても、撹拌力に
影響する水準である、撹拌翼の先端部分における撹拌翼
の面積の摩耗量が3%を超える摩耗性を示すことがな
く、かつ、高温下で、かつ、貧酸素条件下での重量減少
量が、実質的に零である撹拌翼、および、同撹拌翼を装
着した撹拌装置の提供。 【解決手段】 比重が約2g/cc、室温および高温時
に於ける摩耗量が実質的に零であり、少なくとも貧酸素
条件下、好ましくは大気中において、1000℃を超え
る高温に長期間暴露されるような使用環境下でも、5%
を超える重量減を示さない炭素繊維と炭素繊維以外の炭
素に、金属珪素を含浸して得られる、炭素と炭化珪素と
金属珪素、または炭素と炭化珪素とから構成される複合
材料、または、耐酸化性皮膜を有する複合材料からなる
撹拌翼、および同撹拌翼を装着した撹拌装置により達
成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、アルミニウム等
の各種金属の溶湯の撹拌に使用する撹拌装置に取り付け
る撹拌翼、および同撹拌翼を取り付けた撹拌装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】 各種鋼板等の表面処理に、アルミニウ
ム、銅、鉄、錫、亜鉛、銅ベリリウム合金等を溶融させ
たいわゆる金属溶湯が使用されている。溶湯中に含まれ
る各種不純物の除去や溶存する気体等の除去には、撹拌
が必須とされている。現在は、これらの用途の撹拌に
は、炭素繊維製のものが使用されているが、材質が炭素
のために、溶融した金属流体との摩擦に起因する摩耗が
激しく、金属溶湯の種類等により若干の変動があるが、
その寿命は、1週間〜1ヶ月程度と短く、頻繁に交換を
余儀なくされているのが現状である。なお、通常は、こ
れらの溶湯は、貧酸素雰囲気下に保持されている。しか
し、その量は微量とはいえ、水分が含まれているため
に、撹拌翼を構成する炭素と反応して、炭酸ガスとして
一部が失われるなど、翼の機械的強度に影響するという
問題も無視できない。従って、貧酸素条件下でも、実質
的に重量の減少を示さない、材料の出現が望まれてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 金属溶湯中で1年以
上使用しても、撹拌力に影響する水準である、撹拌翼の
先端部分における撹拌翼の面積の摩耗量が3%を超える
摩耗性を示すことがなく、かつ、高温下で、かつ、貧酸
素条件下での重量減少量が、実質的に零である撹拌翼、
および、同撹拌翼を使用した撹拌装置の提供することを
目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明者等は、上記の
様な現状に鑑みて種々検討した結果、本発明を完成させ
たものである。すなわち、本発明によれば、比重が約2
g/cc、室温および高温時に於ける摩耗量が実質的に
零であり、少なくとも貧酸素条件下、より好ましくは大
気中において、1000℃を超える高温に長期間暴露さ
れるような使用環境下でも、5%を超える重量減を示さ
ない炭素繊維と炭素繊維以外の炭素に、金属珪素を含浸
して得られる、炭素と炭化珪素と金属珪素、または炭素
と炭化珪素とから構成される複合材料、または、耐酸化
性皮膜を有する複合材料からなる撹拌翼、および同撹拌
翼を使用した撹拌装置により上記目的が達成されること
を見出して、本発明を完成させたものである。
【0005】 本発明に係る撹拌翼の場合には、比重が
約2g/ccと軽く、従来使用されている炭素繊維製の
ものと実質的に差異はないので、撹拌装置全体に及ぼす
影響は実質的にないといえる。すなわち、翼を本発明に
係る翼と交換しても装置そのものの設計を変更する必要
は全くない。また、室温および高温時に於ける摩耗量が
実質的に零であり、長時間、例えば、1年を超えて使用
しても、撹拌力に影響するような摩耗が生じない。さら
に、少なくとも貧酸素条件下では、実質的に酸化され
て、重量減少を示すことがないので、連続使用しても、
強度の低下を引き起こすことがない。従って、交換する
ことなく1年以上連続して使用することも可能である。
【0006】
【発明の実施の形態】 本発明に係る、比重が約2g/
cc、室温および高温時に於ける摩耗量が実質的に零で
あり、少なくとも貧酸素条件下、好ましくは、大気中に
おいて、1000℃を超える高温に長期間暴露されるよ
うな使用環境下でも、5%を超える重量減を示さない、
炭素繊維と炭素繊維以外の炭素に、金属珪素を含浸して
得られる、炭素と炭化珪素と金属珪素、または炭素と炭
化珪素とから構成される複合材料、または、耐酸化性皮
膜を有する複合部材からなる撹拌翼は、以下に詳述する
複合材料から製造する。なお、ここで、少なくとも貧酸
素条件下において、1000℃を超える高温に長期間暴
露されるような使用環境下でも、5%を超える重量減を
示さないとは、少なくとも90日以上1000℃を超え
る高温の金属溶湯中で使用しても、撹拌翼の表面が僅か
に存在する酸素と反応して炭酸ガスを生成し、撹拌翼部
分の重量が減少しないことをことをいう。大気中におい
て、1000℃を超える高温に長期間暴露されるような
使用環境下でも、5%を超える重量減を示さないとは、
少なくとも一定時間定期的に、大気中で1000℃を超
える高温に曝されるような条件下で使用されても、撹拌
翼部分の重量が減少しないことをことをいう。また、室
温および高温時に於ける摩耗性が実質的に零であると
は、室温、および700℃で摩耗量を試験するとき、測
定しうる重量の増減を示さないことをいう。
【0007】 本発明に係る撹拌翼を製造するための原
材料のうち、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素に、金属珪
素を含浸して得られる、炭素と炭化珪素と金属珪素、ま
たは炭素と炭化珪素とから構成される複合材料として
は、C/Cコンポジットを基本骨格とし、その基本骨格
を取り巻く状態で、Si−SiC系材料からなるマトリ
ックスが形成されているSi−SiC系複合材料と、S
iC系材料からなるマトリックスが形成されているSi
C系複合材料が挙げられる。また、耐酸化性皮膜を有す
る複合部材としては、C/Cコンポジットそのもの、あ
るいは、C/Cコンポジットを基本骨格とし、その基本
骨格を取り巻く状態で、Si−SiC系材料からなるマ
トリックスが形成されているSi−SiC系複合材料
と、SiC系材料からなるマトリックスが形成されてい
るSiC系複合材料の表面に耐酸化性皮膜が形成された
複合材料が挙げられる。以下にこれらの材料について詳
述することとする。
【0008】 炭素繊維と炭素繊維以外の炭素に、金属
珪素を含浸して得られる、炭素と炭化珪素と金属珪素か
ら構成される複合材料としては、より具体的には、55
重量%〜75重量%の炭素と、1重量%〜10重量%の
珪素と、10重量%〜50重量%の炭化珪素とから構成
され、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成
分とを含有するヤーンが層方向に配向しつつ三次元的に
組み合わされ、互いに分離しないように一体化されてい
るヤーン集合体と、このヤーン集合体中で隣り合う前記
ヤーンの間に充填されているSi−SiC系材料からな
るマトリックスとを備え、0.05〜0.6の動摩擦係
数と、0.5%〜10%に制御された気孔率とを有する
複合材料が挙げられる。
【0009】 また、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素
に、金属珪素を含浸して得られる、炭化珪素と炭素から
構成される複合材料としては、骨格部と骨格部の周囲に
形成されマトリックスとからなる構造を有するSiC−
C/Cコンポジット複合材料であって、炭化珪素の少な
くとも50%はβ型で、骨格部は、炭素繊維と炭素繊維
以外の炭素成分により形成されており、その骨格部の一
部分には炭化珪素が存在していてもよく、マトリックス
は、炭化珪素により形成され、前記マトリックスと前記
骨格部とは一体的に形成されており、かつ、前記複合材
料は0.5%〜5%の気孔率と二山型の平均気孔径の分
布を有する複合材料が挙げられる。
【0010】 実質的に酸化されることがない耐酸化性
被膜を有する複合材料とは、C/Cコンポジット、炭素
繊維と炭素繊維以外の炭素に、金属珪素を含浸して得ら
れる、炭素と炭化珪素と金属珪素、または、炭素と炭化
珪素とから構成される複合材料の表面に、耐酸性被膜と
して炭化ホウ素層と、耐熱・耐アルカリ性ガラス、釉
薬、およびスポンジ様酸化物から選らればれた少なくと
も1層からなる層が形成されているものをいう。なお、
複数層からなる耐酸性被膜としては、これを例挙すれ
ば、炭化ホウ素層と耐熱・耐アルカリ性ガラス、炭化ホ
ウ素層と釉薬、炭化ホウ素層とスポンジ様酸化物、炭化
ホウ素層とスポンジ様酸化物と耐熱・耐アルカリ性ガラ
ス、炭化ホウ素層とスポンジ様酸化物と釉薬との組み合
わせが挙げられる。
【0011】 本明細書において、炭素繊維と炭素繊維
以外の炭素に、金属珪素を含浸して得られる、炭素と炭
化珪素と金属珪素、または炭素と炭化珪素とから構成さ
れる複合材料、または、耐酸化性皮膜を有する複合材料
の製造用の主要素材であるC/Cコンポジットとは、炭
素繊維の束のマトリックスとして作用する粉末状のバイ
ンダーであって、焼成後には炭素繊維の束に対して遊離
炭素となるピッチ、コークス類を包含させ、さらに必要
に応じてフェノール樹脂粉末等を含有させることによっ
て、炭素繊維束を調製し、この炭素繊維束の周囲に、熱
可塑性樹脂等のプラスチックからなる柔軟な被膜を形成
し、柔軟性中間材としてのプレフォームドヤーンを得
る。このプレフォームドヤーンを、特開平2−8063
9号公報に記載されている方法によりシート状または織
布状にし、必要量を積層した後、ホットプレスで成形し
得られた成形体、または、この成形体を焼成して得られ
る焼成体をいう。
【0012】 基本素材として使用するC/Cコンポジ
ットとしては、直径が10μm前後の炭素繊維を、通
常、数百本〜数万本束ねて繊維束(ヤーン)を形成し、
この繊維束を熱可塑性樹脂で被覆して調製した柔軟性糸
状中間材を得、これを特開平2−80639号公報に記
載されている方法によりシート状にし、このシート状と
したものを二次元または三次元方向に配列して一方向シ
ート(UDシート)や各種クロスとしたり、また上記シ
ートやクロスを積層したりすることにより、所定形状の
予備成形体(繊維プリフォーム)を形成し、該予備成形
体の繊維束の外周に形成されている有機物からなる熱可
塑性樹脂等の被膜を焼成し、上記の同皮膜を炭化除去し
たものを使用すればよい。なお、本明細書に於いて、参
考のために特開平2−80639号公報の記載を引用す
る。本発明に於いて使用するC/Cコンポジットは、上
記のヤーン中の炭素繊維以外の炭素成分は、好ましくは
炭素粉末であり、特に好ましくは黒鉛化した炭素粉末で
ある。
【0013】 本発明において、炭素と炭化珪素と金属
珪素とから構成される複合材料とは、Si−SiC系複
合材料の名称で呼ばれることもある、55重量%〜75
重量%の炭素と、1重量%〜10重量%の珪素と、10
重量%〜50重量%の炭化珪素とから構成され、少なく
とも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成分とを含有す
るヤーンが層方向に配向しつつ三次元的に組み合わさ
れ、互いに分離しないように一体化されているヤーン集
合体と、このヤーン集合体中で隣り合う前記ヤーンの間
に充填されているSi−SiC系材料からなるマトリッ
クスとを備え、0.05〜0.6の動摩擦係数と、0.
5%〜10%に制御された気孔率とを有する複合材料を
いう。この材料は、平成10年9月4日付の出願に係る
特願平10−267402号に開示された方法により製
造することができる。従って、特願平10−26740
2号の内容をここに引用する。
【0014】 なお、ここで、Si−SiC系材料と
は、未反応の状態で残存する珪素からなる珪素相からほ
ぼ純粋な炭化珪素に至るまでの、いくつかの相異なる相
を含む、典型的には珪素相と炭化珪素相からなるが、炭
化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的に変化しているS
iC共存相を含みうるものをいう。従って、Si−Si
C系材料とは、このようにSi−SiC系列において、
炭素の濃度として、0mol%から50mol%までの
範囲以内で含まれてる材料の総称である。本発明に係る
Si−SiC系複合材料においては、マトリックス部が
Si−SiC系材料により形成されていることとなる。
【0015】 また、このSi−SiC系複合材料は、
好ましくは、ヤーンの表面から離れるのに従って珪素の
含有比率が上昇する傾斜組成を有するマトリックスを有
している。また、このSi−SiC系複合材料において
は、好ましくは、炭素繊維からなるヤーン集合体は、複
数のヤーン配列体から構成されており、各ヤーン配列体
はそれぞれ特定本数の炭素繊維を束ねて構成したヤーン
をほぼ平行に二次元的に配列することによって形成され
ており、各ヤーン配列体が積層されることによってヤー
ン集合体が構成されている。これによって、Si−Si
C系複合材料は、複数層のヤーン配列体を特定方向に積
層した積層構造を有することになる。
【0016】 図1は、ヤーン集合体の概念を説明する
ための概略斜視図であり、図2(a)は図1のIIa−
IIa線断面図であり、図2(b)は図1のIIb−I
Ib線断面図である。Si−SiC系複合材料7の骨格
は、ヤーン集合体6によって構成されている。ヤーン集
合体6は、ヤーン配列体1A、1B、1C、1D、1
E、1Fを上下方向に積層してなる。各ヤーン配列体に
おいては、各ヤーン3が二次元的に配列されており、各
ヤーンの長手方向がほぼ平行である。上下方向に隣り合
う各ヤーン配列体における各ヤーンの長手方向は、直交
している。すなわち、各ヤーン配列体1A、1C、1E
の各ヤーン2Aの長手方向は、互いに平行であり、かつ
各ヤーン配列体1B、1D、1Fの各ヤーン2Bの長手
方向に対して直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、
炭素繊維以外の炭素成分とからなる繊維束3からなる。
ヤーン配列体が積層されることによって、三次元格子形
状のヤーン集合体6が構成される。各ヤーンは、後述す
るような加圧成形工程の間に押しつぶされ、略楕円形に
なっている。
【0017】 各ヤーン配列体1A、1C、1Eにおい
ては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリックス8A
が充填されており、各マトリックス8Aはヤーン2Aの
表面に沿ってそれと平行に延びている。各ヤーン配列体
1B、1D、1Fにおいては、隣り合う各ヤーンの間隙
には、マトリックス8Bが充填されており、各マトリッ
クス8Bは、ヤーン2Bの表面に沿ってそれと平行に延
びている。本例では、マトリックス8A、8Bは、それ
ぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相4A、4B
と、炭化珪素相4A、4Bよりも炭素の含有割合が少な
いSi−SiC系材料相5A、5Bからなっている。炭
化珪素相中にも珪素を一部含有していてよい。また、本
例では、上下方向に隣接するヤーン2Aと2Bとの間に
も、炭化珪素相4A、4Bが生成している。
【0018】 各マトリックス8Aと8Bとは、それぞ
れヤーンの表面に沿って細長く、好ましくは直線状に延
びており、各マトリックス8Aと8Bとは互いに直交し
ている。そして、ヤーン配列体1A、1C、1Eにおけ
るマトリックス8Aと、これに直交するヤーン配列体1
B、1D、1Fにおけるマトリックス8Bとは、それぞ
れヤーン2Aと2Bとの間隙部分で連続している。この
結果、マトリックス8A、8Bは、全体として、三次元
格子を形成している。
【0019】 本発明において、炭素と炭化珪素とから
構成される複合材料とは、SiC系複合材料の名称で呼
ばれることもある、炭化珪素と炭素繊維と炭素繊維以外
の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部の周囲に形
成されマトリックスとからなる構造を有するSiC−C
/Cコンポジット複合材料であって、炭化珪素の少なく
とも50%はβ型で、骨格部は、炭素繊維と炭素繊維以
外の炭素成分により形成されており、その骨格部の一部
分には炭化珪素が存在していてもよく、マトリックス
は、炭化珪素により形成され、前記マトリックスと前記
骨格部とは一体的に形成されており、かつ、前記複合材
料は0.5%〜5%の気孔率と二山型の平均気孔径の分
布を有する複合材料をいう。
【0020】 従って、このSiC系複合材料は、骨格
部として、各炭素繊維が炭素繊維束から構成されている
C/Cコンポジットを用いており、そのため、その一部
にSiCが形成されていても、各炭素繊維としては炭素
繊維としての構造が、破壊されることなく保持されてい
るために炭素繊維が炭化珪素化により短繊維化すること
がないので、原料であるC/Cコンポジットの有する機
械的強度がほぼ保持されるか、炭化珪素化により増大す
るという大きな特徴を有している。しかも、ヤーン集合
体中で隣り合うヤーンの間に、SiC系材料からなるマ
トリックスが形成された複合構造を有している。この点
で、上記のSi−SiC系複合材料とは異なる。なお、
この材料は、平成11年2月9日付の出願に係る特願平
11−31979号に開示された方法により製造するこ
とができる。従って、特願平11−31979号の内容
をここに引用する。
【0021】 本発明において、SiC系材料とは、炭
素との結合度を異にする炭化珪素を含有する材料をい
い、このSiC系材料は以下のようにして製造されるも
のをいう。本発明では、C/Cコンポジットに対して、
金属珪素を含浸させるが、その際、金属珪素はコンポジ
ット内の炭素繊維を構成する炭素原子および/または炭
素繊維の表面に残存している遊離炭素原子と反応し、一
部が炭化されるために、C/Cコンポジットの最表面や
炭素繊維からなるヤーンとヤーンとの間には、一部炭化
された珪素が生成し、かくして上記のヤーンとヤーンと
の間には炭化珪素からなるマトリックスが形成される。
【0022】 このマトリックスにおいては、極微量の
珪素と炭素とが結合したが炭化珪素質の相から、純粋な
炭化珪素結晶相に至るまで、いくつかの相異なる相を含
みうる。しかし、このマトリックスには、X線による検
出限界(0.3重量%)以下の金属珪素しか含まれな
い。つまり、このマトリックスは、典型的には炭化珪素
相からなるが、炭化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的
に変化しているSiC質相を含みうる。従って、SiC
系材料とは、このようなSiC系列において、炭素の濃
度として、少なくとも0.01mol%以上から50m
ol%までの範囲以内で含まれてる材料の総称である。
なお、炭素濃度が、0.01mol%未満に制御するに
は、C/Cコンポジット中の遊離炭素の量とに関係で、
添加する金属珪素の量の厳密な計量が要求されること
と、最終工程での温度管理が複雑になるので実質的でな
い。従って、理論的には、炭素濃度を0.001mol
%程度まで制御することは可能である。
【0023】 このSi系複合材料について、図面を使
用してさらに説明することとする。このSiC系複合材
料の骨格部も、基本的には図1に示したものと同じであ
る。本発明に係るSiC系複合材料を、図1においての
IIa−IIa線で切断した場合の断面図は、図3
(a)、同じく図1においてのIIb−IIb線で切断
した場合の断面図は、図3(b)として示す。SiC系
複合材料17の骨格は、Si−SiC系複合材料7の骨
格と同様に、ヤーン集合体16によって構成されてい
る。ヤーン集合体16は、ヤーン配列体11A、11
B、11C、11D、11E、11Fを上下方向に積層
してなる。各ヤーン配列体においては、各ヤーン13が
二次元的に配列されており、各ヤーンの長手方向がほぼ
平行である。上下方向に隣り合う各ヤーン配列体におけ
る各ヤーンの長手方向は、直交している。すなわち、各
ヤーン配列体11A、11C、11Eの各ヤーン12A
の長手方向は、互いに平行であり、かつ各ヤーン配列体
11B、11D、11Fの各ヤーン12Bの長手方向に
対して直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、炭素繊
維以外の炭素成分とからなる繊維束13からなる。ヤー
ン配列体が積層されることによって、三次元格子形状の
ヤーン集合体16が構成される。各ヤーンは、後述する
ような加圧成形工程の間に押しつぶされ、やや楕円形に
なっている。
【0024】 各ヤーン配列体11A、11C、11E
においては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリック
ス18Aが充填されており、各マトリックス18Aはヤ
ーン12Aの表面に沿ってそれと平行に延びている。各
ヤーン配列体11B、11D、11Fにおいては、隣り
合う各ヤーンの間隙には、マトリックス18Bが充填さ
れており、各マトリックス18Bは、ヤーン12Bの表
面に沿ってそれと平行に延びている。図3(a)および
図3(b)に示したように、マトリックス18A、18
Bは、それぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相
14からなっている。炭化珪素相の一部は、小突起部1
9として表面に突出するか、あるいは、複合部材の内部
においては、炭素繊維層に突出していてもよい。この様
な小突起部の内部には、中央値が約100μmの孔径を
有する気孔(空隙:15)が形成されている。なお、こ
の小突起部19は、殆どが原料のC/Cコンポジットの
炭素繊維以外の炭素成分からなるマトリックスの跡に沿
って形成されるので、ヤーンとヤーンとの間隔および/
またはヤーン配列体とヤーン配列体との間隔を適宜選択
することにより、単位面積当たりの小突起部19の密度
を調整することが可能である。隣接するヤーン12Aと
12Bとの間にも、炭化珪素相14が形成されていても
よい。
【0025】 各マトリックス18Aと18Bとは、そ
れぞれヤーンの表面に沿って細長く、好ましくは直線状
に延びており、各マトリックス18Aと18Bとは互い
に直交している。そして、ヤーン配列体11A、11
C、11Eにおけるマトリックス18Aと、これに直交
するヤーン配列体11B、11D、11Fにおけるマト
リックス18Bとは、それぞれヤーン12Aと12Bと
の間隙部分で連続している。この結果、マトリックス1
8A、18Bは、全体として、三次元格子を形成してい
る。
【0026】 次に、本発明に係るも一つの複合材料で
ある耐酸化性皮膜が形成されている複合材料について説
明する。この複合材料は、所定の形状を有するC/Cコ
ンポジット、または、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素
に、金属珪素を含浸して得られる、炭素と炭化珪素と金
属珪素、または炭素と炭化珪素とから構成される複合材
料(以下、簡便に表記するために、この炭化珪素を含む
2種類の複合材料を炭素繊維系複合材料と称する)に、
大気中でも800℃を超える高温下でも、実質的に酸化
されることがない耐酸化性保護膜が形成されている材料
をいう。ここで、実質的に酸化されないとは、大気中
で、所定の高温、例えば、800℃の条件下で、試料を
少なくとも5分間、好ましくは、24時間保持したとき
に、重量の増減が0.01%以下のことをいう。
【0027】 実質的に酸化されることがない耐酸化性
保護層としては、炭化ホウ素層と、耐熱・耐アルカリ性
ガラス、釉薬、およびスポンジ様酸化物から選らればれ
た少なくとも1層からなる層をいう。組み合わせとして
は、炭化ホウ素層と耐熱・耐アルカリ性ガラス、炭化ホ
ウ素層と釉薬、炭化ホウ素層とスポンジ様酸化物、炭化
ホウ素層とスポンジ様酸化物と耐熱・耐アルカリ性ガラ
ス、炭化ホウ素層とスポンジ様酸化物と釉薬との組み合
わせが挙げられる。
【0028】 炭化ホウ素層は、耐酸化保護膜として
は、最内層、すなわち、所定の形状をした炭素繊維から
構成された基体の表面に最も近い層として、形成されて
いることが好ましい。このように構成することにより、
最表面に形成された耐酸化性保護層が何かの原因で、剥
離しても、炭化ホウ素の有する耐酸化特性により炭素繊
維が保護されることとなるからである。炭化ホウ素層の
層の厚さは、10μm〜500μmである。10μm未
満では、均一に層を形成することが困難であることと、
最表層層の一部が機械的衝撃などにより剥離したとき、
直ちに、所定の形状保持原料として使用されている炭素
繊維が高温に曝されることとなり、充分な耐酸化性を示
さない恐れがあるので好ましくない。500μmを超え
て炭化ホウ素層を形成させても、耐酸化性の向上は期待
できず、炭化ホウ素そのものが高価であることから経済
的でない。炭化ホウ素層は、アルゴンなどの不活性ガス
と共に炭化ホウ素を炭素繊維上に溶射することにより形
成することができる。
【0029】 スポンジ様酸化物層とは、アルミナ、お
よび/またはジルコニアからなる層をいう。スポンジ様
酸化物層は、炭化ホウ素が酸化条件下に曝されとき、酸
化ホウ素が生成し、生成した酸化ホウ素は、炭素に吸着
されないので、系外に流出してしまい、保護層としての
用をなさなくなるのを防止する作用を示す。アルミナ、
および/またはジルコニアからなる層は、炭素繊維と炭
素繊維との間隙に”無数の微細な孔が形成されたスポン
ジ”様構造体を形成しており、この構造体に酸化により
生成した酸化ホウ素が吸着されて、酸化ホウ素とアルミ
ナ、および/またはジルコニアからなる、いわゆる耐酸
化性のガラス層が形成されて、炭素繊維からなる原料を
保護することができるという作用を示すものである。ス
ポンジ様の酸化物層の上に、耐熱・耐アルカリ性ガラ
ス、または釉薬、耐酸化保護層をさらに形成してもよ
い。これにより、一層の耐酸化性が発揮させることとな
る。なお、炭化ホウ素層の熱膨張係数とスポンジ様酸化
物の熱膨張係数の比は、剥離防止の観点から、1:2ま
たはそれ以下であることが好ましい。
【0030】 耐熱・耐アルカリ性ガラスからなる耐酸
化性保護層は、高温での耐酸化性を高めるので好まし
い。耐熱・耐アルカリ性ガラスとしては、高融点ガラ
ス、例えば、コーニング社製のパイレックスガラス(登
録商標)が挙げられる。このものも、炭化ホウ素同様に
溶射により、層形成を行えばよい。この層の厚さは、炭
化ホウ素の層の厚さと同じ、10μm〜500μmであ
る。10μm未満では、800℃を超す高温、例えば、
1000℃を超す高温に曝されたときに、充分な耐酸化
性を示さないことがあるので好ましくない。500μm
を超えてこのガラス層を形成させても、特に、耐酸化性
の向上は認められず、折角の所定形状保持材として使用
されている炭素繊維の有する軽量性を損なうことにもな
りかねないので好ましくない。
【0031】 釉薬層も耐熱・耐アルカリ性ガラスから
なる耐酸化性保護層と比較して若干低いものの、800
℃を超す高温での耐酸化性をより確実にすることができ
るので好ましい。釉薬としては、ガラス製の釉薬、およ
び琺瑯製の釉薬が好適に使用される。ガラス製の釉薬と
しては、例えば、池袋琺瑯社製の琺瑯である、GL−4
00およびGL−700系のものが好適に使用される。
琺瑯製の釉薬としては、通常、鉄板などの琺瑯処理に使
用される、琺瑯が好適に使用される。すなわち、酸化珪
素が45ないし55%、酸化ホウ素が10ないし20
%、酸化アルミが5ないし10%、酸化アルカリが15
ないし30%、酸化アルカリ土類が0ないし10%、そ
の他の酸化物が5ないし15%からなる釉薬が好適に使
用される。このものは、常法に従い、フリットコート
し、そのコートを大気中で、約10分程度1000℃程
度に加熱し、いわゆるセルフグレージングを行い、釉薬
からなる耐酸化保護層を形成すればよい。この層の厚さ
も、炭化ホウ素の層の厚さと同じ、10μm〜500μ
m程度でよい。10μm未満では、ほぼ800℃の高温
に長時間曝されたときに、充分な耐酸化性を示さないこ
とがあるので好ましくない。500μmを超えてこの琺
瑯層を形成させても、特に、耐酸化性の向上は期待でき
ず、折角の所定形状保持材として使用されている炭素繊
維が有する軽量性を損なうことにもなりかねないので好
ましくない。
【0032】 以下に本発明に係る撹拌翼を製造する際
に使用する、耐酸性皮膜を有する複合材料の製造方法に
ついて詳述することとする。所定形状保持材であるC/
Cコンポジット、あるいは炭素繊維系複合材料を最終用
途に応じた所望の形状に加工し、このものの表面に炭化
ホウ素を不活性ガス、例えば、アルゴンと共に溶射す
る。溶射は、所定形状保持材の各表面ごとに行ってもよ
く、また、全表面を同時に行ってもよいが、均一性の確
保や溶射用器具の制約上、各表面ごとに行うか、あるい
は所定形状保持材を一定の速度で回転させながら行うこ
とが好ましい。溶射炭化ホウ素の厚さは、上述したよう
に、通常は10μm〜500μm程度である。
【0033】 かくして、所定形状保持材であるC/C
コンポジットあるいは炭素繊維系複合材料の表面に炭化
ホウ素の保護層を形成した後、その炭化ホウ素層の上に
耐熱・耐アルカリ性ガラスからなる耐酸化性保護層を形
成するか、あるいは琺瑯層を形成する。耐熱・耐アルカ
リ性ガラス層は、パイレックスガラス等の微粉末を炭化
ホウ素と同様に溶射して、形成する。この層の厚さは、
炭化ホウ素の層の厚さと同じ、10μm〜500μmで
ある。琺瑯層は、常法に従い、上述した琺瑯材をフリッ
トコートし、そのコートを大気中で、約10分程度10
00℃程度に加熱し、いわゆるセルフグレージングを行
い、琺瑯層を形成すればよい。
【0034】 上記の耐熱・耐アルカリ性ガラス層ある
いは琺瑯層と炭化ホウ素層との間に、アルミナ、および
/またはジルコニアからなるスポンジ様酸化物層を設け
てもよい。スポンジ様酸化物層の場合も、溶射により行
えばよい。このスポンジ様酸化物層とは、上述したよう
に、炭化ホウ素が酸化条件下に曝されとき、酸化ホウ素
が生成し、生成した酸化ホウ素は、炭素に吸着されない
ので、系外に流出してしまい、保護層としての用をなさ
なくなるのを防止する作用を示す。
【0035】 かくして製造される耐酸化性被膜を有す
る複合材料は、所定形状保持材として使用する、C/C
コンポジット、あるいは、炭素繊維系複合材料が、耐衝
撃性が強く、熱伝導度も高く、軽量であることから、そ
の性質をそのまま保持しつつ、堅牢な耐酸化保護層がそ
の表面に形成されているので、大気中でも高い耐酸化性
を示すと共に、摩耗などの機械的作用に起因する微粉末
の発生も極めて少なく、さらに、耐熱衝撃性の強い炭化
ホウ素層が該保護層の一部として形成されているので、
極めて高い耐熱衝撃性を合わせ示す。なお、本発明にお
いて使用される複合材料は、いずれもC/Cコンポジッ
トをその構成材料の主要部として使用しているので、比
重も約2g/ccと軽く、従来の撹拌装置の要求性能を
変更することなく使用することが可能である。さらに、
炭化珪素と金属珪素、または、炭化珪素、あるいは、耐
酸化性被膜がその表面部に形成されているので、耐摩耗
性に優れ、また、耐酸化性にも優れている。すなわち、
室温および高温時、例えば、700℃に於ける摩耗量は
ともに実質的に零であり、少なくとも貧酸素条件下、好
ましくは大気中において、1000℃を超える高温に長
期間暴露されるような使用環境下でも、5%を超える重
量減を示さない。特に、耐酸化性被膜が形成された複合
部材の場合には、大気中で、1000℃を超える高温に
長期間暴露されるような使用環境下でも、実質的に、重
量の減少を示さない。
【0036】 本発明に係る撹拌翼は、図4として示し
た様にいわゆる翼部(21)と、その翼部を固定し、撹
拌用の軸を挿入するための挿入穴(23)を有する中心
部材(22)とから構成されている。各撹拌翼は、図5
に模式的に示した様に、中心部材にネジ、例えば、皿ネ
ジ止め(25)等で固定する。中心部材と撹拌翼とは、
必ずしも、同一の材料でなくともよい。すなわち、撹拌
翼の翼部(21)は、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素
に、金属珪素を含浸して得られる、炭素と炭化珪素と金
属珪素、または炭素と炭化珪素とから構成される複合材
料、または、耐酸化性皮膜を有する複合材料から製造さ
れることが必須であるが、中心部材(22)は、炭素繊
維と炭素繊維以外の炭素に、金属珪素を含浸して得られ
る、炭素と炭化珪素と金属珪素、または炭素と炭化珪素
とから構成される複合材料、または、耐酸化性皮膜を有
する複合材料から構成してもよいが、必ずしも必須では
なく、場合によっては、炭素繊維から構成してもよい。
これは、優れた摩耗性が要求されるのが、主として翼部
であることによる。
【0037】 翼部(21)は、その表面に、Si−S
iC系材料層、SiC系材料層、あるいは、耐酸化性皮
膜層が形成されていることが必要である。従って、翼部
の製造の際には、充分注意する必要がある。これらの層
を表面に形成するように、製造条件を設定するか、ある
いは、仕上げ加工の際に、表面に露出してくるようにす
ればよい。通常は、翼部をC/Cコンポジットを用いて
成形し、この表面にSi−SiC系材料層、SiC系材
料層、あるいは、耐酸化性皮膜層を形成させればよい。
すなわち、Si−SiC系材料層、または、SiC系材
料層の場合には、焼成体または成形体の表面に、金属珪
素を含浸させ、このものを上述した条件で加熱処理する
ことにより生成させればよい。また、耐酸化性皮膜層を
形成させるには、上述の方法によればよい。かくして、
製造された撹拌翼には、図6に模式的に示すように、撹
拌棒(24)を嵌合させ、撹拌装置に装着し、使用すれ
ばよい。
【0038】
【実施例】 以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明
するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるも
のではない。なお、得られた複合材料は、以下に示す方
法よりその特性を評価した。
【0039】(磨耗量の測定方法)室温(22℃)にお
ける摩耗量の測定は、テストピースをジグにセットして
100rpmで10分間回転させ、相手材(SUJ、1
0mm球)を2kgの荷重Pでテストピースに押し付
け、試験前の重量Wa(mg)と試験後の重量Wb(m
g)を測定した。テストピースの密度ρ(g/cm3
より、磨耗量V(mm3)を下式により算出した。ま
た、700℃における摩耗量の測定は、700℃に保持
されたアルミ溶湯中に浸漬したジグにテストピースをセ
ットして200rpmで50時間回転させ、相手材(S
UJ、10mm球)を50kgの荷重Pでテストピース
に押し付け、試験前の重量Wa(mg)と試験後の重量
Wb(mg)を測定した。この場合にも、テストピース
の密度ρ(g/cm3)より、磨耗量V(mm3)を下式
により算出した。 V=(Wa−Wb)/ρ
【0040】(耐酸化性の測定試験)試験試料を100
0℃に昇温した貧酸素条件下(2%水蒸気含有アルゴン
雰囲気下)に100時間試料を保持した後、重量を測定
し、試験前の重量と比較して、その重量の増減率W2'
下記式により求めた。 W2'=(W0−W1)/W0×100 但し、式中W0は、耐酸化性試験前の重量を、W1は耐酸
化性試験後の重量を、W2'は重量の増減率を表す(減少
は、数字の前に−記号を付け区別した)。
【0041】(プレートの製造例)炭素繊維を一方向に
引き揃えたものにフェノール樹脂を含浸させ、直径10
μmの炭素長繊維を約1万本束ね、繊維束(ヤーン)を
得、このヤーンを簾状にしたヤーン配列体(プレプリグ
シート)を作り、これを図1のように配列し、プリプレ
グシート積層体を得た。かくして得たプリプレグシート
積層体を積層して、この上から炭素系接着剤を塗布し、
ヤーン同士を固着した。固着後、型から固着体を離型
し、離型したプリプレグシート積層体をオーブン中に入
れ、含浸させたフェノール樹脂を180℃、常圧で硬化
させた後、窒素雰囲気中で2000℃で焼成した。得ら
れた焼成体を切断、外周加工して、外周部の丸味の半径
が250mmで、最長の長さが30mm、中心部材との
連結箇所の長さが10mm、厚さが4mmの撹拌翼の翼
部を4個製造した。このものの表面に、純度99.9
%、平均粒径1mmのSi粉末を添加し、このものを炉
内温度1300℃、炉内圧1hPaの焼成炉内に入れ、
炉内に毎分アルゴンガスを20NLの割合で流しなが
ら、4時間保持した。次いで、炉内圧はそのままとし、
炉内温度を1600℃に昇温させて、Siを含浸させ
た。かくして、Si、Si−C、炭素繊維からなるSi
−SiC系複合材料製の翼部(21)を得た。このもの
を、図5に示した様に炭素繊維製の中心部材(22)に
取り付けて、図4に示すような撹拌翼を製造した。
【0042】 この撹拌翼を使用して、アルミ溶湯の撹
拌に使用したが、90日後にも、全く歪み摩耗は認めら
れなかった。また、同一の材料から切り出した試験片を
使用して、摩耗量と耐酸化性の試験を行ったが、摩耗量
は、室温、700℃ともに、実質的に零であり、また、
耐酸化試験後の、試験片の重量変動は、僅かに0.2%
減であった。
【0043】
【発明の効果】 本発明に係る撹拌翼は、比重が従来か
ら使用されている炭素繊維製のものにほぼ等しく、約2
g/ccと軽いので、撹拌装置そのものの設計変更を必
要としない。また、室温および高温時に於ける摩耗量は
実質的に零であり、また、少なくとも貧酸素条件下にお
いて、1000℃を超える高温に長期間暴露されるよう
な使用環境下でも、5%を超える重量減を示さないの
で、700℃を超える高温環境である金属溶湯中で使用
しても、摩耗量が少なく、かつ、高温に於ける耐酸化性
に優れているので、金属溶湯用の撹拌翼として、極めて
優れている。特に、表面に耐酸化性被膜が形成された複
合材料の場合には、大気中でも1000℃を超える高温
条件下でも実質的に、酸化されることなく使用できると
いう優れた特性を有するものである。従って、長期間、
例えば、1年以上の連続使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の撹拌翼に使用する複合材料の基本構
造をなすヤーン集合体の構造を模式的に示す斜視図であ
る。
【図2】 (a)は、撹拌翼に使用するSi−SiC系
複合材料を図1のIIa−IIa線で切断した場合の断
面図であり、(b)は、同材料を図1のIIb−IIb
線で切断した場合の断面図である。
【図3】 (a)は、撹拌翼に使用するSiC系複合材
料を図1のIIa−IIa線で切断した場合の断面図で
あり、(b)は、同材料を図1のIIb−IIb線で切
断した場合の断面図である。
【図4】 本発明に係る撹拌翼の平面図である。
【図5】 本発明に係る撹拌翼の翼部の中心部材への取
付状態を示す模式図である。
【図6】 本発明に係る撹拌翼の使用時に於ける撹拌翼
との装着状態を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D、1Eおよび1F…ヤーン配列
体、2A…ヤーン、2B…ヤーン、3…繊維束(ヤー
ン)、4A…炭化珪素相、4B…炭化珪素相、4C…炭
化珪素相、5A…Si−SiC系材料相、5B…Si−
SiC系材料相、5C…Si−SiC系材料相、6…ヤ
ーン集合体、7…繊維複合材料、8A…マトリックス、
8B…マトリックス、11A、11B、11C、11
D、11Eおよび11F…ヤーン配列体、12A…ヤー
ン、12B…ヤーン、13…繊維束(ヤーン)、14…
炭化珪素相、15…空隙、16…ヤーン集合体、17…
繊維複合材料、18A…マトリックス、18B…マトリ
ックス、19…小突起部、21…翼部、22…中心部
材、23…穴、24…撹拌棒、25…皿ネジ止め。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比重が約2g/cc、室温および高温時
    に於ける摩耗量が実質的に零であり、少なくとも貧酸素
    条件下において、1000℃を超える高温に長期間暴露
    されるような使用環境下でも、5%を超える重量減を示
    さない、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素に、金属珪素を
    含浸して得られる、炭素と炭化珪素と金属珪素、または
    炭素と炭化珪素とから構成される複合材料、または、耐
    酸化性皮膜を有する複合材料からなる撹拌翼。
  2. 【請求項2】 該複合材料が、55重量%〜75重量%
    の炭素と、1重量%〜10重量%の珪素と、10重量%
    〜50重量%の炭化珪素とから構成され、少なくとも炭
    素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成分とを含有するヤー
    ンが層方向に配向しつつ三次元的に組み合わされ、互い
    に分離しないように一体化されているヤーン集合体と、
    このヤーン集合体中で隣り合う前記ヤーンの間に充填さ
    れているSi−SiC系材料からなるマトリックスとを
    備え、0.05〜0.6の動摩擦係数と、0.5%〜1
    0%に制御された気孔率とを有する複合材料、または炭
    化珪素と炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分とから構成
    され、骨格部と骨格部の周囲に形成されマトリックスと
    からなる構造を有するSiC−C/Cコンポジット複合
    材料であって、炭化珪素の少なくとも50%はβ型で、
    骨格部は、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分により形
    成されており、その骨格部の一部分には炭化珪素が存在
    していてもよく、マトリックスは、炭化珪素により形成
    され、前記マトリックスと前記骨格部とは一体的に形成
    されており、かつ、前記複合材料は0.5%〜5%の気
    孔率と二山型の平均気孔径の分布を有する複合材料であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の撹拌翼。
  3. 【請求項3】 耐酸化性皮膜を有する複合材料が、複数
    層から形成されており、最内層が炭化ホウ素層であり、
    該最内層の上に耐熱・耐アルカリ性ガラス、釉薬、およ
    びスポンジ様酸化物から選らればれた少なくとも1層が
    形成されている耐酸化皮膜を有する複合部材であること
    を特徴とする請求項1に記載の撹拌翼。
  4. 【請求項4】 耐酸化性皮膜が、耐熱・耐アルカリ性ガ
    ラスが高融点ガラスであることを特徴とする請求項1ま
    たは3に記載の撹拌翼。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の撹
    拌翼を装着したことを特徴とする撹拌装置。
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