JP2000284508A - 電子写真用感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体およびその製造方法

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JP2000284508A
JP2000284508A JP11301520A JP30152099A JP2000284508A JP 2000284508 A JP2000284508 A JP 2000284508A JP 11301520 A JP11301520 A JP 11301520A JP 30152099 A JP30152099 A JP 30152099A JP 2000284508 A JP2000284508 A JP 2000284508A
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charge
layer
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JP11301520A
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English (en)
Inventor
Kazushige Morita
和茂 森田
Satoshi Katayama
聡 片山
Arihiko Kawahara
在彦 川原
Tomoko Kanazawa
朋子 金澤
Tatsuhiro Morita
竜廣 森田
Mikio Kadoi
幹男 角井
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真特性、機械的強度、感光体の生産効
率の向上などに優れ、良好な耐摩耗性と帯電特性とを兼
ね備えた良質な電子写真用感光体を提供する。 【解決手段】 感光体10は、導電性支持体1上に、電
荷発生物質を含む電荷発生層2と電荷輸送物質を含む電
荷輸送層3とで形成された感光層4を有している。電荷
輸送層3の形成には、少なくとも二種類の樹脂を混合し
てなる結着樹脂を用いる。この二種類の樹脂のうち、一
方の第一樹脂は、粘度平均分子量が35,000以上8
0,000未満の範囲内である例えばポリカーボネート
樹脂からなり、他方の第二樹脂は、粘度平均分子量が
5,000以上25,000未満の範囲内である樹脂か
らなる。上記電荷輸送物質と結着樹脂との混合比は、質
量比で40:60ないし60:40の範囲内であること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やレーザー
プリンターに用いられる電子写真用感光体およびその製
造方法に関するものであり、より詳しくは、特定の構成
を有する結着樹脂により、電子写真特性、生産効率およ
び電位特性が向上された電子写真用感光体およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真技術は即時性や高画質性
などから複写機のみならず、各種プリンタやファクシミ
リなどにも広く利用されている。典型的な電子写真技術
であるカールソン法では、電子写真用感光体(以下、感
光体と略す)表面を帯電させた後、露光によって静電潜
像を形成すると共に、その静電潜像をトナーによって現
像し、次いでその可視像を紙などの記録媒体に転写、定
着させる。
【0003】上記感光体としては、従来、セレン、硫化
カドミウム、ヒ素−セレン合金、酸化亜鉛、アモルファ
スシリコンなどの無機系の光導電体が用いられてきた。
しかしながら最近では、上記無機系の光導電体に比べて
環境への悪影響が小さく(無公害)、成膜性や製造が容
易で、さらに400〜800nmの広範囲の光に対して
感度が良い有機系の光導電体を用いた感光体が、数多く
開発され利用されている。
【0004】上記有機系の光導電体を使用した感光体の
中でも、機能分離積層型感光体は、現在、開発の主流と
なっている。この機能分離積層型感光体は、電荷発生層
と電荷輸送層とをそれぞれ独立して積層することによっ
て積層構造の感光層を形成してなっている。電荷発生層
には有機系の電荷発生物質が含まれており、電荷輸送層
には有機系の電荷輸送物質(光導電体)が含まれてい
る。これら物質は、結着樹脂によって層状に形成される
ことにより、電荷発生層および電荷輸送層からなる感光
層を構成している。
【0005】上記電荷発生物質および電荷輸送物質とし
て効率の良いものを組み合わせることによって、非常に
高感度の機能分離積層型感光体を得ることができる。さ
らに、各機能を発揮する電荷発生物質および電荷輸送物
質を広範囲の物質から選択することができるので、任意
の特性(例えば安全性、塗布性)を有する感光体を比較
的容易に低コストで作製することが可能であるなどの利
点が多い。
【0006】しかしながら、現在実用化されている機能
分離積層型感光体は、従来の無機系の光導電体を用いた
感光体に比べて、耐久性に劣っている。特に、繰り返し
使用時における帯電電位の低下および残留電位の上昇な
どの電気的特性の悪化による感度劣化が生じ易い。
【0007】この感度劣化は、帯電、露光、現像、転
写、クリーニング、および除電に至るプロセスにおい
て、感光層中の不純物の存在、有機系の光導電体(有機
光導電性化合物)や結着樹脂の劣化或いは分解、さらに
は構造的なキャリヤトラップの形成などによって生じ
る。そのため、機能分離積層型感光体は、現状では実用
上の耐刷性に制限があるので不十分となっている。
【0008】通常、機能分離積層型感光体の表面は電荷
輸送層により形成されているが、この表面では、潜像の
形成、トナー(乾式現像粉)による潜像上への可視像の
形成、転写紙(記録媒体)への可視像の転写、該表面に
残存しているトナーのブレードなどによる除去といった
過程が何回も繰り返される。そのため、電荷輸送層に
は、強い機械的強度、および電気特性の劣化防止といっ
た性能が要求される。また、画像形成装置における汎用
性の向上のために、感光体には、あらゆる環境下におい
ても電気特性に変動の少ないことが要求されている。
【0009】さらに、有機系の光導電体を使用した感光
体では、支持体上に感光層(光導電体を含む層)を形成
するために、一般的に浸漬塗布法を行う。従って、必要
な材質を溶媒に溶解してなる塗布液を用いるが、該感光
体の生産効率を向上させるためには、この塗布液の性質
が物理的にも化学的にもより安定することが要求されて
いる。
【0010】上記各要求に対応するためには、電荷輸送
層中に含まれる結着樹脂の役割が非常に重要となる。こ
の結着樹脂としては、種々の天然樹脂、合成樹脂などが
挙げられるが、実用的に使用可能な種類の樹脂は少な
く、通常、ポリカーボネート樹脂が代表的に用いられて
いる。上記ポリカーボネート樹脂を結着樹脂として用い
た感光体の具体的な例としては、例えば、特許第26
92105号公報、或いは、特開平7−244388
号公報に開示されている感光体が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のポリ
カーボネート樹脂を感光体として用いた場合において
も、いくつかの問題点が招来されている。例えば、電荷
輸送物質とポリカーボネート樹脂とを溶媒に溶解して塗
布液を調製し、湿式成形にて電荷輸送層を形成する場合
には、溶媒の種類によっては塗布液の白化(ゲル化)が
生じて塗布が困難になったり、形成した電荷輸送層が不
均一になるという問題点を有している。
【0012】また、上述した機能分離積層型感光体で
は、結着樹脂として通常のポリカーボネート樹脂を用い
ると、感光層(光導電層)を構成する電荷輸送層と電荷
発生層との密着性が劣り、剥離や摩耗が起こり易くな
る。
【0013】さらに、分子量の大きいポリカーボネート
樹脂を用いた場合には、感光体の表面強度(機械的強
度)が高くなり耐摩耗性に優れる反面、感光体表面から
トナーが除去され難くなり、フィルミングが生じ易くな
る。
【0014】しかも、用いられるポリカーボネート樹脂
の数平均分子量が35,000以上になると、調製され
る塗布液の粘度が非常に高くなる。そのため、実際に感
光体を生産する場合には、一本当たりに要する塗布時間
が長くなって生産性が非常に低下する。また、塗布液を
塗布する際に、感光層の膜厚を制御することも非常に難
しくなる。
【0015】さらに、浸漬塗布を行うには塗布液の粘度
が高いことから、塗布液が気泡を噛み込んだ場合には、
該塗布液中の気泡抜けが非常に悪い。その上、感光層へ
の不純物の混入を防ぐために、塗布液を循環させてフィ
ルターで微結晶やダストを除去することがなされている
が、塗布液の粘度が高いために、塗布液を循環する際に
フィルターにかかる圧力が非常に高くなり、微結晶やダ
ストの除去が困難となる。
【0016】逆に低分子量のポリカーボネート樹脂を用
いると、上記フィルミングの防止には効果的であり、ま
た、塗布液の粘度も低くなるが、感光層の機械的強度が
低下し、十分な耐摩耗性が得られなくなるという問題点
を生じる。
【0017】加えて、結着樹脂には、製造したロットに
よる分子量のバラツキが必ず生じる。そのため、或るロ
ットの樹脂(一種類の樹脂)を結着樹脂として用いて塗
布液を調製すると、例え同一の樹脂であっても他のロッ
トのものを用いて調製した塗布液とは粘度が異なってし
まう。即ち、結着樹脂にはロット毎に分子量にバラツキ
が見られるため、塗布液の粘度がロット毎に変化する。
その結果、所定の膜厚の光導電体を得るにはロット毎に
形成条件の設定(いわゆる条件出し)を行わなければな
らず、生産性が悪いという問題点も招来する。
【0018】このように、従来のポリカーボネート樹脂
は、感光体に必要な透明性や機械的特性、電荷輸送物質
や電荷発生物質との相溶性などの性質は有しているもの
の、その他の物性が未だ不十分である。
【0019】これに対して、上述したおよびの各公
報に開示されている技術では、数平均分子量が互いに異
なる(高分子量および低分子量の)ポリカーボネート樹
脂を感光層に含有させている。これによって、更なる物
性の改良やハンドリングの改善を図り、上述した問題点
の抑制、特に感光体の表面硬度の改善を或る程度可能と
している。
【0020】しかしながら、上記各公報の技術でも、感
光層における結着樹脂の最適な構成については何ら言及
されていないため、上述した各問題点、特に塗布液の粘
度が高くなるという問題点を十分に改善できるものでは
ない。それゆえ、感光体を用いて得られる画像の品質も
不十分で、また、感光体の生産性の効率化も不十分であ
った。
【0021】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記問題点を解決すべく電子写真用感光体に適した種々
の結着樹脂について検討した結果、少なくとも、高分子
量の第一樹脂と低分子量の第二樹脂とを混合してなる結
着樹脂を用い、この結着樹脂と電荷輸送物質との混合比
を所定の範囲に調節するか、或いは、上記結着樹脂を含
む溶液の粘度を所定の範囲に調節することで、あらゆる
環境下においても電子写真特性に優れ、かつ強い機械的
強度を有し、さらには感光体の生産効率の向上に優れ、
良好な耐摩耗性と帯電特性と画像特性とを兼ね備えた良
質な電子写真用感光体を実現し得ることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0022】即ち、本発明にかかる電子写真用感光体
は、上記の課題を解決するために、電荷発生物質および
電荷輸送物質を含み、少なくとも二種類の樹脂を混合し
てなる結着樹脂を用いて形成される感光層を有する電子
写真用感光体において、上記二種類の樹脂のうち、一方
の樹脂は、粘度平均分子量が35,000以上80,0
00未満の範囲内である第一樹脂であり、他方の樹脂
は、粘度平均分子量が5,000以上25,000未満
の範囲内である第二樹脂であると共に、上記感光層にお
ける電荷輸送物質と結着樹脂との混合比が、質量比で4
0:60ないし60:40の範囲内であることを特徴と
している。
【0023】上記の構成によれば、少なくとも第一樹脂
および第二樹脂を混合してなる結着樹脂を用いるので、
得られる感光体は、高分子量の第一樹脂が有する特性
(例えば、機械的強度の向上など)と低分子量の第二樹
脂が有する特性(例えば、フィルミングの防止性など)
との両方を、同時に発現することができる。また、例え
ば、感光層を形成する際に調製する塗布液の粘度を容易
に調節することができる上に、結着樹脂の分散性も向上
させることができる。しかも、電荷輸送物質と結着樹脂
との混合比を上記範囲内とすることにより、電荷輸送物
質が良好な電荷輸送機能を発揮し、得られる感光体の繰
り返し使用時における電位安定性や耐摩耗性を向上させ
ることができる。その結果、より高品位の感光体をより
効率的な製造方法で得ることができる。
【0024】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記感光
層が、電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送物質を
含む電荷輸送層とを有しており、上記結着樹脂が電荷輸
送層の形成に用いられていることを特徴としている。
【0025】上記の構成によれば、非常に高感度の感光
体を得ることができる上に、電荷発生層に含まれる電荷
発生物質や電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質を、広範
囲の材質から選択することができる。そのため、任意の
特性(例えば安全性、塗布性)を有する感光体を比較的
容易に低コストで製造することが可能となる。
【0026】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、電荷発生物質および電荷輸送
物質を含み、少なくとも二種類の樹脂を混合してなる結
着樹脂を含む溶液を用いて形成される感光層を有する電
子写真用感光体において、上記二種類の樹脂のうち、一
方の樹脂は、粘度平均分子量が35,000以上80,
000未満の範囲内である第一樹脂であり、他方の樹脂
は、粘度平均分子量が5,000以上25,000未満
の範囲内である第二樹脂であると共に、上記溶液の粘度
が100mPa・s以上500mPa・s未満の範囲内
であることを特徴としている。
【0027】上記の構成によれば、少なくとも第一樹脂
および第二樹脂を混合してなる結着樹脂を用いるので、
得られる感光体は、高分子量の第一樹脂が有する特性
(例えば、機械的強度の向上など)と低分子量の第二樹
脂が有する特性(例えば、フィルミングの防止性など)
との両方を、同時に発現することができる。しかも、感
光層を形成する際に調製する塗布液(溶液)の粘度を容
易に調節することができるため、粘度を上記範囲内とす
ることにより、結着樹脂の分散性を向上させることがで
きる。その上、電荷輸送物質が良好な電荷輸送機能を発
揮し、得られる感光体の繰り返し使用時における電位安
定性や耐摩耗性を向上させることができる。その結果、
より高品位の感光体をより効率的な製造方法で得ること
ができる。
【0028】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、電荷発生物質を含む電荷発生
層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層とで形成される感光
層を有する電子写真用感光体において、上記電荷輸送層
は、少なくとも二種類の樹脂を混合してなる結着樹脂を
含む溶液を用いて形成されており、上記二種類の樹脂の
うち、一方の樹脂は、粘度平均分子量が35,000以
上80,000未満の範囲内である第一樹脂であり、他
方の樹脂は、粘度平均分子量が5,000以上25,0
00未満の範囲内である第二樹脂であると共に、上記溶
液の粘度が100mPa・s以上500mPa・s未満
の範囲内であることを特徴としている。
【0029】上記の構成によれば、少なくとも第一樹脂
および第二樹脂を混合してなる結着樹脂を用いるので、
得られる感光体は、高分子量の第一樹脂が有する特性
(例えば、機械的強度の向上など)と低分子量の第二樹
脂が有する特性(例えば、フィルミングの防止性など)
との両方を、同時に発現することができる。しかも、電
荷輸送層を形成する際に調製する塗布液(溶液)の粘度
を容易に調節することができるため、粘度を上記範囲内
とすることにより、結着樹脂の分散性を向上させること
ができる。その上、電荷輸送物質が良好な電荷輸送機能
を発揮し、得られる感光体の繰り返し使用時における電
位安定性や耐摩耗性を向上させることができる。その結
果、より高品位の感光体をより効率的な製造方法で得る
ことができる。
【0030】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記感光
層における電荷輸送物質と結着樹脂との混合比が、質量
比で40:60ないし60:40の範囲内であることを
特徴としている。
【0031】上記の構成によれば、得られる感光体の繰
り返し使用時における電位安定性や耐摩耗性、画像特性
を良好なものとすることができる。その結果、画像ボケ
や画像ノイズなどの欠陥のない良好な画像を形成するこ
とができる感光体を得ることができる。
【0032】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記第一
樹脂が、ポリカーボネート樹脂を含むことを特徴として
いる。
【0033】上記の構成によれば、感光体の電気特性お
よび機械的強度をより一層安定化させることができる。
【0034】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記感光
層の膜厚が10μmないし50μmの範囲内であること
を特徴としている。
【0035】上記の構成によれば、得られる感光体の繰
り返し使用時における電位安定性や帯電特性、画像特性
を良好なものとすることができる。その結果、画像ボケ
や画像ノイズなどの欠陥のない良好な画像を形成するこ
とができる感光体を得ることができる。
【0036】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記第二
樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、
およびポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なく
とも一種の樹脂を含むことを特徴としている。
【0037】上記の構成によれば、上記群より選ばれる
少なくとも一種の樹脂を第二樹脂が含むことによって、
例えば、感光層を形成する際に調製する塗布液(溶液)
に、粘度調節の容易性および樹脂の高溶解(相溶性の向
上)・高分散性などの性能を付与することができる。ま
た、得られる感光体に、フィルミング防止性および機械
的強度の向上などの性能を付与することができる。ま
た、第二樹脂がポリエステル樹脂を含む場合は、さら
に、感光層或いは電荷輸送層の接着性を向上させること
ができ、第二樹脂がポリアリレート樹脂を含む場合は、
さらに、感光層或いは電荷輸送層の接着性および耐候性
を向上させることができる。
【0038】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記第一
樹脂と第二樹脂との混合比が、質量比で60:40ない
し95:5の範囲内であることを特徴としている。
【0039】上記の構成によれば、感光層の機械的強度
を低下させることなく、例えば、浸漬塗布し易いレベル
にまで粘度を低下させた塗布液(溶液)を得ることがで
きる。また、この塗布液は、第一樹脂および第二樹脂の
相溶性に優れており、特に第一樹脂を均一に溶解または
分散させた状態とすることができる。その結果、得られ
る感光体のフィルミング防止性を、より一層向上させる
ことができる。
【0040】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記第一
樹脂がポリカーボネート樹脂を含み、上記第二樹脂がポ
リカーボネート樹脂を含み、かつ、第一樹脂と第二樹脂
との混合比が、質量比で70:30ないし95:5の範
囲内であることを特徴としている。また、本発明にかか
る電子写真用感光体は、上記の課題を解決するために、
上記構成に加えて、上記第一樹脂がポリカーボネート樹
脂を含み、上記第二樹脂がポリアリレート樹脂を含み、
かつ、第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質量比で6
0:40ないし95:5の範囲内であることを特徴とし
ている。また、本発明にかかる電子写真用感光体は、上
記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記第
一樹脂がポリカーボネート樹脂を含み、上記第二樹脂が
ポリエステル樹脂を含み、かつ、第一樹脂と第二樹脂と
の混合比が、質量比で70:30ないし95:5の範囲
内であることを特徴としている。
【0041】上記の各構成によれば、感光体の電気特性
および機械的強度をより一層安定化させることができる
と共に、例えば、感光層を形成する際に調製する塗布液
(溶液)に、粘度調節の容易性および樹脂の高溶解(相
溶性の向上)・高分散性などの性能を付与することがで
きる。また、得られる感光体に、フィルミング防止性お
よび機械的強度の向上などの性能を付与することができ
る。また、第二樹脂がポリエステル樹脂を含む場合は、
さらに、感光層或いは電荷輸送層の接着性を向上させる
ことができ、第二樹脂がポリアリレート樹脂を含む場合
は、さらに、感光層或いは電荷輸送層の接着性および耐
候性を向上させることができる。そして、上記の各構成
によれば、感光層の機械的強度を低下させることなく、
例えば、浸漬塗布し易いレベルにまで粘度を低下させた
塗布液(溶液)を得ることができる。また、この塗布液
は、第一樹脂および第二樹脂の相溶性に優れており、特
に第一樹脂を均一に溶解または分散させた状態とするこ
とができる。
【0042】本発明にかかる電子写真用感光体は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記電
荷輸送物質が、チタニルフタロシアニンであることを特
徴としている。
【0043】上記の構成によれば、電荷輸送物質として
チタニルフタロシアニンを用いることにより、得られる
感光体の初期の帯電特性と、繰り返し使用時における電
位安定性とを良好なものとすることができる。その結
果、画像ボケや画像ノイズなどの欠陥のない良好な画像
を形成することができ、より高品位の感光体を得ること
ができる。
【0044】本発明にかかる電子写真用感光体の製造方
法は、上記の課題を解決するために、少なくとも結着樹
脂と電荷輸送物質とを溶媒に溶解または分散して塗布液
を調製する工程と、導電性支持体上に該塗布液を塗布し
て感光層を形成する工程とを有する電子写真用感光体の
製造方法において、上記結着樹脂として、少なくとも、
粘度平均分子量が35,000以上80,000未満の
範囲内である第一樹脂と、粘度平均分子量が5,000
以上25,000未満の範囲内である第二樹脂とを用い
ると共に、上記塗布液の調製に際して、溶媒に第一樹脂
および第二樹脂を溶解または分散させた後に、電荷輸送
物質を溶解または分散させることを特徴としている。
【0045】上記の方法によれば、溶媒に先に、第一樹
脂および第二樹脂を溶解または分散させることによっ
て、高分子量の第一樹脂を含む結着樹脂を完全に溶解ま
たは分散させることができる。そのため、塗布液中に、
結着樹脂から不溶物などが発生することを回避すること
ができるので、形成される感光層に上記不溶物が残存す
ることはない。その結果、得られる感光体を用いた画像
形成において、上記不溶物に起因する画像ムラや白点、
黒点といった画像欠陥の発生を防止することができる。
従って、より高品位の感光体を得ることができる。ま
た、上記感光体の生産に際して不良品の発生率を低下す
ることができるため、生産性の向上を図ることができ
る。
【0046】本発明にかかる電子写真用感光体の製造方
法は、上記の課題を解決するために、上記方法に加え
て、導電性支持体への塗布液の塗布を浸漬塗布法により
行うことを特徴としている。
【0047】上記の方法によれば、第一樹脂および第二
樹脂を混合することによって粘度や溶解性・分散性が調
節された塗布液を用いて、浸漬塗布法を行うので、第一
・第二樹脂の製造ロットに関わらず、毎回ほぼ同一の条
件の塗布液で感光層を形成することができる。また、浸
漬塗布法では、塗布液に導電性支持体を浸漬した後、所
定の速度で該導電性支持体を引き揚げることによって、
均一な膜厚の感光層を容易に連続的に形成することがで
きる。そのため、感光層形成の生産性を向上することが
できると共に、感光層を安価に形成することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0049】本発明にかかる電子写真用感光体(以下、
適宜、感光体と略す)は、図1に示すように、導電性支
持体1上に電荷発生層2、電荷輸送層3がこの順で積層
されてなっている。また、電荷発生層2および電荷輸送
層3で以て感光層4が形成されている。つまり、図1に
示す電子写真用感光体(以下、感光体10とする)は、
感光層4が電荷発生層2および電荷輸送層3の二層から
なる機能分離積層型感光体である。
【0050】また、本発明にかかる電子写真用感光体
(以下、感光体20とする)は、図2に示すように、上
記感光体10における導電性支持体1と感光層4との間
に、下引き層5を有する構成であってもよい。即ち、感
光体20は、導電性支持体1上に下引き層5が形成さ
れ、さらにその上に、電荷発生層2および電荷輸送層3
からなる感光層4が形成されている構成である。
【0051】上記の構成により、非常に高感度の機能分
離積層型感光体を得ることができる上に、電荷発生層2
に含まれる電荷発生物質や電荷輸送層3に含まれる電荷
輸送物質を広範囲の材質から選択することができる。そ
のため、任意の特性(例えば安全性、塗布性)を有する
感光体を比較的容易に低コストで作製することができ
る。
【0052】さらに、本発明にかかる電子写真用感光体
は、図3に示すように、単層型感光体(以下、感光体3
0とする)であってもよい。この感光体30は、導電性
支持体1上に、電荷輸送層3が形成されてなっており、
この電荷輸送層3中には粒状の電荷発生物質6…が分散
されている。即ち、感光体30においては、この電荷発
生物質6…を含む電荷輸送層3が感光層7となってい
る。
【0053】上記何れの感光体10・20・30も、導
電性支持体1上に感光層4または感光層7を積層してな
っている構成である。ここで、本発明においては、感光
層4または感光層7の形成に、少なくとも二種類の樹脂
を混合してなる結着樹脂を用いている。この二種類の樹
脂のうち、一方の樹脂は、後述するように、粘度平均分
子量Mvが35,000以上80,000未満の範囲内
である第一樹脂であり、他方の樹脂は、粘度平均分子量
Mvが5,000以上25,000未満の範囲内である
第二樹脂である。
【0054】電荷発生層2および電荷輸送層3を有する
感光層4を備えている感光体(機能分離積層型感光体)
10・20では、電荷輸送層3の形成に上記第一・第二
樹脂を含む結着樹脂を用いる。一方、電荷発生物質6…
を含む電荷輸送層3のみからなる感光層7を備えている
感光体(単層型感光体)30では、電荷輸送層3の形成
に上記第一・第二樹脂を含む結着樹脂を用いる。
【0055】尚、感光体10・20において、電荷発生
層2の形成にも結着樹脂を用いることが好ましいが、上
記第一・第二樹脂を含む結着樹脂は、電荷輸送層3の形
成に用いることが非常に好ましい。そこで、以下の説明
では、電荷発生層2の形成に用いる結着樹脂を電荷発生
層用結着樹脂とし、電荷輸送層3の形成に用いる結着樹
脂を電荷輸送層用結着樹脂として、両者を区別する。
【0056】上記導電性支持体1は、感光層4・7をそ
の上層に積層して支持可能な、導電性の材質からなって
いればよく、特に限定されるものではない。導電性支持
体1としては、具体的には、例えば、アルミニウム、ス
テンレス鋼、銅、ニッケルなどの金属材料;表面にアル
ミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム
などの導電性層を設けたポリエステルフィルム、フェノ
ール樹脂パイプ、或いは紙管などの絶縁性材料;などが
好適に用いられる。また、導電性支持体1の形状は、シ
ート状またはドラム状(管状)の何れであってもよい
が、ドラム状の方がより好ましい。
【0057】感光体20においては、導電性支持体1と
感光層4との間に下引き層5が設けられている。この下
引き層5は、導電性支持体1と感光層4とを十分な強度
で接着し得る材質からなっていればよく、特に限定され
るものではない。該材質としては、具体的には、例え
ば、ポリアミド、ポリウレタン、セルロース、ニトロセ
ルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリルアミド、アルミニウム陽極酸化被膜、
ゼラチン、でんぷん、カゼイン、N−メトキシメチル化
ナイロンなどが挙げられる。これら材質は、一種類のみ
を用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
上記材質には、さらに、酸化チタンや酸化スズ、酸化ア
ルミニウムなどの粒子が分散された状態で含まれていて
もよい。
【0058】上記下引き層5は、導電性支持体1と感光
層4とを接着する接着層として機能する他に、後述する
感光体20の帯電において、正帯電された導電性支持体
1から感光層4へ電荷が流れ込むことを抑制するバリア
層としても機能する。それゆえ、下引き層5を設けるこ
とによって感光体20の帯電特性を長期間にわたって維
持することが可能となるため、感光体20の寿命を延ば
すことができる。下引き層5の膜厚は、約0.1〜約1
0μmの範囲内であることが好ましい。
【0059】感光体10・20に形成されている電荷発
生層2は、電荷発生層用結着樹脂(バインダー樹脂)に
公知の電荷発生物質を含んでなっている。上記電荷発生
物質としては、可視光を吸収してフリー電荷を発生する
ものであればよく、特に限定されるものではないが、例
えば、セレンおよびその合金、ヒ素−セレン合金、硫化
カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、その他
の無機光導電体などの無機顔料;フタロシアニン、アゾ
化合物、キナクリドン、多環キノン、ペリレンなどの有
機顔料;チアピリリウム塩、スクアリリウム塩などの有
機染料;などが好適に用いられる。これら電荷発生物質
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。また、感光体30に形成されている感光
層7を構成する電荷輸送層3に含まれている電荷発生物
質6…としては、例えば、上記例示の無機顔料、有機顔
料、有機染料などが好適に用いられる。
【0060】上記電荷発生物質の中でも、本発明では、
有機顔料または有機染料などの有機系光導電性化合物が
より好ましく、後段の実施例で挙げるように、ペリレン
顔料、ビスアゾ系顔料、フタロシアニンなどの有機顔料
がさらに好ましい。さらに、これら有機顔料の中でも、
環状構造のフタロシアニンの中央部で、窒素原子に結合
している水素原子をチタン原子で置換した無電荷の錯体
であるチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
【0061】上記チタニルフタロシアニンは、得られる
感光体10・20・30において、初期の帯電特性と、
繰り返し使用時の電位安定性とを良好なものとすること
ができる。それゆえ、チタニルフタロシアニンを電荷発
生物質として使用することによって、より高品位の感光
体10・20・30を得ることができる。
【0062】電荷発生層用結着樹脂としては、特に限定
されるものではないが、例えば、ポリアリレート樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹
脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、
ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ウレ
タン樹脂、セルロースエーテル樹脂、および、これら樹
脂を得る(合成する)際に用いるモノマー(単量体)の
共重合体などが好適に用いられる。これら電荷発生層用
結着樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類
以上を併用してもよい。上記例示の樹脂のうち、フェノ
キシ樹脂やポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
尚、電荷発生層用結着樹脂の合成方法は、特に限定され
るものではない。
【0063】電荷発生層2には、上述した電荷発生物質
の他に増感剤を添加してもよい。この増感剤としては、
例えば、電子受容性材料などの化学増感剤や、色素など
の光学増感剤などを好適に用いることができる。
【0064】電子受容性材料としては、テトラシアノエ
チレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンな
どのシアノ化合物;アントラキノン、p−ベンゾキノン
などのキノン類;2,4,7−トリニトロフルオレノ
ン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの
ニトロ化合物;などが挙げられる。また、色素として
は、キサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメ
タン系色素などが挙げられる。これら増感剤は、一種類
のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。
【0065】電荷発生層2の形成方法としては、例え
ば、電荷発生物質を、真空蒸着法、スパッタリング
法、CVD法などの気相堆積法で導電性支持体1上に成
膜する方法;電荷発生物質を電荷発生層用結着樹脂
(必要に応じて)と共に適当な溶媒中に分散させた後、
得られた分散液を導電性支持体1に塗布し、乾燥或いは
硬化させて成膜する方法;などが挙げられる。電荷発生
層2の膜厚は、約0.05〜約5μmの範囲内であるこ
とが好ましく、約0.1〜約1μmの範囲内であること
がより好ましい。
【0066】上記の形成方法は、一般的には、電荷発
生物質をボールミルやサンドグラインダ、ペイントシェ
イカー、超音波分散機などによって粉砕し、溶媒に分散
させ、必要に応じて電荷発生層用結着樹脂を加えた後、
得られた分散液を導電性支持体1に塗布する方法であ
る。
【0067】上記の形成方法において分散液を導電性
支持体1に塗布する方法としては、例えば、導電性支持
体1がシート状である場合には、ベーカアプリケータに
よる塗布法、バーコータによる塗布法、キャスト法(キ
ャスティング)、スピンコート法などが挙げられる。ま
た、導電性支持体1がドラム状である場合には、スプレ
ー法、垂直型リング法、浸漬塗布法などの塗布法が挙げ
られる。
【0068】上記の形成方法において用いる溶媒とし
ては、電荷発生物質や電荷発生層用結着樹脂などを変性
させないものであればよく、特に限定されるものではな
いが、具体的には、例えば、ジクロロメタン、1,2−
ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラ
ヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,
N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなど
の非プロトン性極性溶媒;などが挙げられる。これら溶
媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を
併用してもよい。上記例示の溶媒のうち、ハロゲン化炭
化水素がより好ましい。
【0069】感光体10・20・30に形成されている
電荷輸送層3は、電荷輸送層用結着樹脂(本発明におけ
る結着樹脂)に公知の電荷輸送物質を含んでなってい
る。上記電荷輸送物質としては、電荷発生層2で発生し
たフリー電荷を輸送することができる有機系の光導電体
(有機光導電化合物)であればよく、特に限定されるも
のではないが、具体的には、例えば、ポリ(N−ビニル
カルバゾール)、ポリシランなどの高分子化合物;ヒド
ラゾン系化合物;ピラゾリン;オキサジアゾール;スチ
リル系化合物;トリフェニルメタン;トリフェニルアミ
ン;エナミン系化合物;などが挙げられる。これら電荷
輸送物質は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類
以上を併用してもよい。上記例示の電荷輸送物質のう
ち、電荷輸送能により秀でたヒドラゾン系化合物、スチ
リル系化合物、およびトリフェニルメタンがより好まし
く、後段の実施例で用いているヒドラゾン系化合物やス
チリル系化合物が特に好ましい。
【0070】電荷輸送層3の形成方法としては、電荷発
生層2の形成方法と同様に、感光体10・20に形成さ
れる電荷輸送層3においては、例えば、電荷輸送物質を
電荷輸送層用結着樹脂と共に適当な溶媒中に溶解或いは
分散させた後、得られた溶液或いは分散液を、導電性支
持体1上に形成された電荷発生層2に塗布し、乾燥或い
は硬化させて成膜する方法が挙げられる。感光体10・
20における電荷輸送層3の膜厚は、約10〜約50μ
mの範囲内であることが好ましく、約15〜約35μm
の範囲内であることがより好ましい。
【0071】一方、感光体30に形成される電荷輸送層
3においては、例えば、電荷発生物質6と電荷輸送物質
とを結着樹脂(電荷輸送層用結着樹脂)と共に適当な溶
媒中に溶解或いは分散させた後、得られた溶液或いは分
散液を、導電性支持体1に塗布し、乾燥或いは硬化させ
て成膜する方法が挙げられる。感光体30における電荷
輸送層3、即ち、感光層7の膜厚は、5〜50μmの範
囲内であることが好ましく、15μm〜35μmの範囲
内であることがより好ましい。
【0072】上記形成方法において溶液或いは分散液を
電荷発生層2(または導電性支持体1)に塗布する方法
としては、例えば、導電性支持体1がシート状である場
合には、ベーカアプリケータによる塗布法、バーコータ
による塗布法、キャスト法(キャスティング)、スピン
コート法などが挙げられる。また、導電性支持体1がド
ラム状である場合には、スプレー法、垂直型リング法、
浸漬塗布法などの塗布法が挙げられる。上記例示の塗布
法のうち、生産性や製造コストの観点、さらには均質な
電荷輸送層3を形成できる点から、浸漬塗布法が特に好
ましい。
【0073】上記形成方法において用いる溶媒として
は、電荷輸送物質や電荷輸送層用結着樹脂、電荷発生物
質6などを変性させないものであればよく、特に限定さ
れるものではないが、具体的には、例えば、前記電荷発
生層2の形成に用いる溶媒が挙げられ、このうち、ハロ
ゲン化炭化水素がより好ましい。
【0074】電荷輸送層3における電荷輸送物質と電荷
輸送層用結着樹脂との混合比は、質量比で40:60な
いし60:40の範囲内であることが好ましい。電荷輸
送物質と電荷輸送層用結着樹脂との混合比が上記の範囲
内であれば、電荷輸送物質が非常に良好な電荷輸送機能
を発揮することができるため、得られる感光体10・2
0・30の繰り返し使用時の電位安定性や耐摩耗性を向
上させることができる。その結果、より高品位の感光体
10・20・30を得ることができる。
【0075】電荷輸送層3に用いられる電荷輸送層用結
着樹脂は、少なくとも第一・第二樹脂を混合してなって
いるが、本発明にかかる条件(粘度平均分子量など)を
満たしていれば、電荷発生層2に用いられる電荷発生層
用結着樹脂と実質的に同じ樹脂を用いることもできる。
【0076】第一樹脂としては、その粘度平均分子量が
35,000以上80,000未満の範囲内にある樹脂
であればよく、特に限定されるものではないが、例え
ば、ポリアリレート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、エポキ
シ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリ
エーテルケトン樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエーテ
ル樹脂、および、これら樹脂を得る際に用いるモノマー
(単量体)の共重合体などが好適に用いられる。これら
樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上
を併用してもよい。上記例示の樹脂のうち、安定した電
気特性および機械的強度を有すると共に、感光体10・
20・30の製造コストの観点から、ポリカーボネート
樹脂が非常に好ましい。尚、第一樹脂の合成方法は、特
に限定されるものではない。
【0077】本発明におけるポリカーボネート樹脂に
は、芳香族炭酸エステル構造を繰り返し単位(単位構
造)とする重合体、並びに、芳香族炭酸エステル構造と
それ以外の構造とを繰り返し単位とする共重合体を含む
こととする。即ち、モノマーとして二価フェノールを用
い、該二価フェノールと、炭酸エステル結合(−O−C
O−)を供給し得る化合物(ホスゲンやジフェニルカー
ボネートなど)とを重縮合することによって、芳香族炭
酸エステル構造を繰り返し単位とするポリカーボネート
樹脂が得られるが、この芳香族炭酸エステル構造に加え
て、二価フェノール以外の(他の)モノマーを由来とす
る構造を繰り返し単位として有する共重合体も、本発明
にかかるポリカーボネート樹脂の範疇に含まれることと
する。
【0078】上記ポリカーボネート樹脂として最も典型
的なものは、二価フェノールとホスゲンとを重縮合し、
官能基を一つ有する化合物で以て主鎖末端を封止する公
知の方法に従って合成された重合体である。
【0079】上記二価フェノールとしては、特に限定さ
れるものではないが、具体的には、例えば、ビスフェノ
ールA、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェ
ノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス〔2
−メチルフェノール〕、4,4’−シクロヘキシリデン
ビスフェノール、4,4’−エチリデンビスフェノー
ル、4,4’−プロピリデンビスフェノール、4,4’
−ブチリデンビスフェノール、4,4’−(1,3−ジ
メチルブチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−
メチルエチリデン)ビス〔2,6−ジメチルフェノー
ル〕、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェ
ノール、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ビスフ
ェノール、5,5’−(1−メチルエチリデン)〔1,
1’−ビフェニル〕−2−オール、〔1,1’−ビフェ
ニル〕−4,4’−ジオール、4,4’−メチリデンビ
スフェノール、4,4’−メチレンビス〔2−(2−プ
ロペニル)フェノール〕、4,4’−メチレンビス〔2
−メチルフェノール〕、4,4’−プロパンジイルビス
フェノール、4,4’−(1−メチルプロピリデン)ビ
スフェノール、4,4’−(2−メチルプロピリデン)
ビスフェノール、4,4’−(3−メチルブチリデン)
ビスフェノール、4,4’−シクロペンチリデンビスフ
ェノール、4,4’−(フェニルメチリデン)ビスフェ
ノール、4,4’−(1−メチルヘプチリデン)ビスフ
ェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビス〔3−メ
チルフェノール〕、4,4’−(1−メチルエチリデ
ン)ビス〔2−(2−プロペニル)フェノール〕、4,
4’−(1−メチルエチリデン)ビス〔2−(1−メチ
ルエチル)フェノール〕、4,4’−(1−メチルオク
チリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−フェニル
エチリデン)ビス〔2−メチルフェノール〕、4,4’
−シクロヘキシリデンビス〔2,6−ジメチルフェノー
ル〕、4,4’−(1−メチル)ノニリデンビスフェノ
ール、4,4’−デシリデンビスフェノール、4,4’
−(1−メチルエチリデン)ビス〔2−(1,1−ジメ
チルプロピル)フェノール〕、4,4’−(1−メチル
エチリデン)ビス〔2−(1,1−ジメチルエチル)フ
ェノール〕、4,4’−(ジフェニルメチリデン)ビス
フェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビス〔2−
(1,1−ジメチルエチル)フェノール〕、4,4’−
(2−メチルプロピリデン)ビス〔3−メチル−6−
(1,1−ジメチルエチル)フェノール〕、4,4’−
(1−メチルエチリデン)ビス〔2−シクロヘキシルフ
ェノール〕、4,4’−メチレンビス〔2,6−ビス
(1,1−ジメチルエチル)フェノール〕、4,4’−
メチレンビス〔2,6−ジ−sec −ブチルフェノー
ル〕、5,5’−(1,1−シクロヘキシリデン)ビス
−(1,1’−ビフェニル)−2−オール、4,4’−
シクロヘキシリデンビス〔2−シクロヘキシルフェノー
ル〕、2,2’−メチレンビス〔4−ノニルフェノー
ル〕、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス〔2,
6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノール〕、
5,5’−(1−フェノールエチリデン)〔1,1’−
ビフェニル〕−2−オール、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタノン、4,4’−メチレンビス〔2−フルオ
ロフェノール〕、4,4’−〔2,2,2−トリフルオ
ロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン〕ビスフェ
ノール、4,4’−イソプロピリデンビス〔2−フルオ
ロフェノール〕、4,4’−〔(4−フルオロフェニ
ル)メチレン〕ビス〔2−フルオロフェノール〕、4,
4’−(フェニルメチレン)ビス〔2−フルオロフェノ
ール〕、4,4’−〔(4−フルオロフェニル)メチレ
ン〕ビスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデ
ン)ビス〔2−クロロ−6−メチルフェノール〕、4,
4’−(1−メチルエチリデン)ビス〔2,6−ジクロ
ロフェノール〕、4,4’−(1−メチルエチリデン)
ビス〔2−クロロフェノール〕、4,4’−メチレンビ
ス〔2,6−ジブロモフェノール〕、4,4’−(1−
メチルエチリデン)ビス〔2,6−ジブロモフェノー
ル〕、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス〔2−
ニトロフェノール〕、3,3’−ジメチル−〔1,1’
−ビフェニル〕−4,4’−ジオール、3,3’,5,
5’−テトラメチル−〔1,1’−ビフェニル〕−4,
4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブ
チル−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジオー
ル、3,3’−ジフルオロ−〔1,1’−ビフェニル〕
−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラフ
ルオロ−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジオー
ルなどが挙げられる。これら二価フェノールは、一種類
のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。上記例示の二価フェノールのうち、ビスフェノール
A、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノー
ル、および4,4’−(1−シクロヘキシリデン)ビス
フェノールがより好ましい。即ち、これらモノマーを用
いて合成されたポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
【0080】上記二価フェノール以外のモノマーとして
は、特に限定されるものではないが、上記第一樹脂の例
として挙げた各樹脂を得る(合成する)際に用いるモノ
マーを好適に用いることができる。上記共重合体は、統
計共重合体やランダム共重合体、ブロック共重合体、グ
ラフト共重合体などであってもよいが、芳香族炭酸エス
テル構造とそれ以外の構造とが交互に並ぶ交互共重合体
であることが、特に好ましい。
【0081】第二樹脂としては、その粘度平均分子量が
5,000以上25,000未満の範囲内にある樹脂で
あればよく、特に限定されるものではないが、具体的に
は、例えば、上記ポリカーボネート樹脂や、ポリアリレ
ート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂
などのポリエステル樹脂が特に好ましい。これら樹脂
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。尚、第二樹脂の合成方法は、特に限定さ
れるものではない。
【0082】第一樹脂と第二樹脂とを混合して電荷輸送
層用結着樹脂を得ることで、得られる感光体10・20
・30の繰り返し使用時の電気特性や画像特性、耐摩耗
性の低下を回避することができる。そして、第二樹脂を
混合することにより、後述する塗布液(溶液)の粘度を
容易に調節することができ、電荷輸送物質の分散性を向
上させることができる上に、製造コストの増加を抑制す
ることができる。
【0083】本発明におけるポリアリレート樹脂および
ポリエステル樹脂には、前記ポリカーボネート樹脂と同
様に、共重合体も含まれることとする。即ち、例えば、
カルボキシル基を有するモノマー(例えば芳香族ジカル
ボン酸等のジカルボン酸など)と、ヒドロキシル基を有
するモノマー(例えばグリコール類など)とを重縮合す
ることによって、エステル構造を繰り返し単位とするポ
リエステル樹脂が得られるが、このエステル構造に加え
て、上記モノマー以外の(他の)モノマーを由来とする
構造を繰り返し単位として有する共重合体も、本発明に
かかるポリエステル樹脂の範疇に含まれることとする。
【0084】電荷輸送層用結着樹脂として用いる上記第
一樹脂は、高分子量であるので、得られる感光体10・
20・30における電荷輸送層3(感光層4・7)の機
械的強度を向上させることができる。一方、上記第二樹
脂は、低分子量であるので、得られる感光体10・20
・30にフィルミング防止性を付与することができる。
従って、第一樹脂および第二樹脂を混合してなる電荷輸
送層用結着樹脂を用いることで、得られる感光体10・
20・30は、高分子量の樹脂が有する特性と低分子量
の樹脂が有する特性との両方を、同時に発現することが
できる。
【0085】上記感光体10・20における、電荷発生
層2および電荷輸送層3からなる感光層4の膜厚は、1
0〜50μmの範囲内であることが好ましく、15〜3
5μmの範囲内であることがより好ましい。実質的に
は、電荷発生層2の膜厚が約0.05〜約5μmの範囲
内であるのに対し、電荷輸送層3の膜厚が約10〜約5
0μmの範囲内であるので、感光層4の膜厚は、その大
部分が電荷輸送層3の膜厚によって占められることにな
る。それゆえ、感光体10・20では、感光層4の膜厚
は電荷輸送層3の膜厚に左右される。一方、感光体30
における電荷輸送層3、即ち、感光層7の膜厚は、5〜
50μmの範囲内であることが好ましく、15μm〜3
5μmの範囲内であることがより好ましい。
【0086】感光層4・7の膜厚が上記の範囲内であれ
ば、得られる感光体10・20・30の繰り返し使用時
における電位安定性と帯電特性とを良好なものとするこ
とができる。その結果、画像ボケや画像ノイズなどの欠
陥のない良好な画像を形成することができる感光体10
・20・30を得ることができる。
【0087】次に、本発明にかかる電子写真用感光体の
製造方法について、以下に説明する。本発明にかかる感
光体の製造方法は、少なくとも結着樹脂と電荷輸送物質
とを溶媒に溶解または分散して塗布液(溶液)を調製す
る工程と、導電性支持体上に該塗布液を塗布して感光層
を形成する工程とを有するものである。そして、感光体
10は、導電性支持体1上に電荷発生層2、電荷輸送層
3をこの順で積層することにより形成され、感光体20
は、導電性支持体1上に下引き層5、電荷発生層2、電
荷輸送層3をこの順で積層することにより形成され、感
光体30は、導電性支持体1上に電荷輸送層3を積層す
ることにより形成されている。
【0088】本実施の形態では、説明のために上記三種
類の感光体10・20・30を例に挙げているが、何れ
の感光体の製造方法においても、導電性支持体1の形状
は、ドラム状であることが特に好ましい。感光体10・
20において、このドラム状の導電性支持体1上に電荷
発生層2を形成した後、電荷輸送層3を形成する方法と
しては、電荷輸送物質と電荷輸送層用結着樹脂とを含む
塗布液を調製して、この塗布液に導電性支持体1を浸漬
した後に引き揚げる浸漬塗布法を行うことが非常に好ま
しい。電荷発生層2の形成方法については後述する。ま
た、感光体30において、上記ドラム状の導電性支持体
1上に電荷輸送層3(つまり、感光層7)を形成する方
法としては、電荷発生物質6…と電荷輸送物質と電荷輸
送層用結着樹脂とを含む塗布液を調製して、上記浸漬塗
布法を行うことが非常に好ましい。
【0089】上記塗布液中の電荷輸送層用結着樹脂の濃
度は、約7〜約15質量%の範囲内であることが好まし
く、約7〜約13質量%の範囲内であることがより好ま
しく、約9〜約13質量%の範囲内であることがさらに
好ましく、約9〜約11質量%の範囲内であることが特
に好ましい。
【0090】電荷輸送層用結着樹脂の濃度が約9質量%
未満であると、塗布液の粘度が低くなるおそれがあるた
め、均一な膜厚の電荷輸送層3や感光層7を得るために
は、導電性支持体1の引き揚げ速度を速くしなければな
らない場合がある。そして、電荷輸送層用結着樹脂の濃
度が約7質量%未満であると、塗布液の粘度がより一層
低くなるため、均一な膜厚の電荷輸送層3や感光層7を
得ることが困難となる。一方、電荷輸送層用結着樹脂の
濃度が約13質量%を超えると、塗布液の粘度が高くな
るおそれがあるため、均一な膜厚の電荷輸送層3や感光
層7を得るためには、導電性支持体1の引き揚げ速度を
遅くしなければならない場合がある。そして、電荷輸送
層用結着樹脂の濃度が約15質量%を超えると、塗布液
の粘度が非常に高くなるため、均一な膜厚の電荷輸送層
3や感光層7を得るには、長時間を要することとなる。
従って、製造工程が実用的でないので、感光体10・2
0・30の製造方法として不適である。
【0091】そして、上記塗布液(溶液)の粘度は、常
温・常圧で100mPa・s以上500mPa・s未満
の範囲内であることが好ましく、200mPa・s以上
400mPa・s未満の範囲内であることがさらに好ま
しい。塗布液の粘度が上記の範囲を外れると、上記と同
様の問題が生じるので、好ましくない。塗布液の粘度を
上記の範囲内に調節することにより、得られる感光体1
0・20・30の繰り返し使用時における耐摩耗性を低
下させることなしに、帯電特性を向上させることができ
る。
【0092】上記塗布液には、上述した第一樹脂(例え
ば、ポリカーボネート樹脂)と第二樹脂とを少なくとも
含む電荷輸送層用結着樹脂を用いるが、塗布液の調製に
際しては、溶媒に電荷輸送層用結着樹脂(第一樹脂およ
び第二樹脂)を溶解または分散させた後に、電荷輸送物
質を溶解または分散させることが特に好ましい。
【0093】溶媒に先に、電荷輸送層用結着樹脂を溶解
または分散させることによって、高分子量の第一樹脂を
含む該電荷輸送層用結着樹脂を完全に溶解または分散さ
せることができる。そのため、塗布液中に、電荷輸送層
用結着樹脂から不溶物などが発生することを回避するこ
とができるので、形成される電荷輸送層3に上記不溶物
が残存することはない。その結果、感光体10・20・
30を用いた画像形成において、上記不溶物に起因する
画像ムラや白点、黒点といった画像欠陥の発生を防止す
ることができる。従って、より高品位の感光体10・2
0・30を得ることができる。また、感光体10・20
・30の生産に際して不良品の発生率を低下することが
できるため、生産性の向上を図ることができる。
【0094】また、単層型感光体である感光体30で
は、感光層7である電荷輸送層3に電荷発生物質6…が
分散されている必要がある。従って、先ず、溶媒に電荷
輸送層用結着樹脂(第一樹脂および第二樹脂)を溶解ま
たは分散させた後に、電荷輸送物質を溶解または分散さ
せてなる樹脂液と、上記と同じ溶媒に電荷発生物質6…
をペイントシェイカーなどで混合・分散させてなる分散
液とを調製する。その後、上記樹脂液に分散液を加えて
攪拌・混合することによって、感光層7を形成するため
の塗布液を調製する。この方法を用いれば、電荷発生物
質6…の分散性が向上された塗布液を得ることができ
る。
【0095】ここで、仮に高分子量の第一樹脂のみを電
荷輸送層用結着樹脂として用いると、塗布液の粘度が高
くなり過ぎる上に、塗布液における第一樹脂の溶解性ま
たは分散性が低下する。しかしながら、低分子量で粘度
の低い第二樹脂を併用することで、上記第一樹脂と第二
樹脂との混合比を適宜変化させれば、塗布液の粘度を容
易に調節することができる。同時に、塗布液の粘度を調
節することができれば、塗布液における第一樹脂の溶解
性または分散性を向上させることができるので、上述し
た画像欠陥の発生をより効果的に防止することができ
る。
【0096】また、上記第一樹脂のような高分子量の樹
脂では、一般的に、製造ロット毎に分子量にバラツキ
(振れ)が見られるため、該樹脂を用いて塗布液を調製
すると、塗布液の粘度がロット毎に変化してしまう。し
かしながら、上記第二樹脂を併用すれば、製造ロットの
異なる樹脂を用いても、第一樹脂と第二樹脂との混合比
を適宜変化させることで、塗布液の粘度や固形分をほぼ
同一に調節することが可能となる。その結果、製造ロッ
ト毎に電荷輸送層3の形成条件の設定(いわゆる条件出
し)を行う必要が無くなるので、毎回ほぼ同一の条件で
電荷輸送層3を形成することが容易となる。そのため、
得られる感光体10・20・30の品質を安定化させる
ことができると共に、生産性も向上させることができる
ので、製造コストを低減することができる。
【0097】上記第一樹脂と第二樹脂との混合比は、質
量比で60:40ないし95:5の範囲内であることが
好ましい。そして、第二樹脂として、ポリカーボネート
樹脂またはポリエステル樹脂を用いる場合には、第一樹
脂と第二樹脂との混合比は、質量比で70:30ないし
95:5の範囲内であることがより好ましい。
【0098】第一樹脂と第二樹脂との混合比が上記の範
囲内であれば、電荷輸送層3の機械的強度を低下させる
ことなく、浸漬塗布し易いレベルにまで粘度を低下させ
た塗布液を得ることができる。また、この塗布液は、第
一樹脂および第二樹脂の相溶性に優れており、特に第一
樹脂を均一に溶解または分散させた状態とすることがで
きる。その結果、得られる感光体10・20・30のフ
ィルミング防止性を、より一層向上させることができ
る。
【0099】上記第二樹脂としてポリカーボネート樹脂
を用いた場合は、塗布液並びに得られる感光体10・2
0・30に上述した効果(塗布液の粘度調節の容易性お
よび樹脂の高溶解(相溶性の向上)・高分散性、感光体
10・20・30のフィルミング防止性および機械的強
度の向上など)を付与することができる。また、第二樹
脂としてポリエステル樹脂を用いた場合は、さらに、電
荷輸送層3の接着性を向上させることができ、ポリアリ
レート樹脂を用いた場合には、さらに、電荷輸送層3の
接着性および耐候性を向上させることができる。
【0100】本発明において、導電性支持体1上(また
は電荷発生層2上)に塗布液を塗布して電荷輸送層3を
形成する方法としては、上述したように浸漬塗布法を行
うことが非常に好ましい。浸漬塗布法は、塗布液に導電
性支持体1を浸漬した後、所定の速度で該導電性支持体
1を引き揚げる方法であるため、均一な膜厚の電荷輸送
層3を容易に連続的に形成することができる。そのた
め、電荷輸送層3(感光層4・7)形成の生産性を向上
することができると共に、感光層4・7を安価に形成す
ることができる。上記引き揚げ速度は、特に限定される
ものではなく、塗布液の粘度に応じて適宜設定すればよ
い。
【0101】尚、電荷輸送層3の形成方法としては、第
一樹脂および第二樹脂を混合することによって、粘度や
溶解性・分散性を調節した塗布液を用いることができる
ため、上記浸漬塗布法が特に好ましい。しかしながら、
電荷輸送層3の形成方法は、上記塗布液を用いることが
でき、かつ、高品質の電荷輸送層3を容易にかつ均質に
形成することができる方法であればよく、特に限定され
るものではない。
【0102】電荷発生層2の形成方法としては、上記電
荷輸送層3の形成方法と同様に、浸漬塗布法が特に好ま
しいが、特に限定されるものではない。電荷発生層2を
形成するための塗布液中の電荷発生層用結着樹脂の濃度
は、約0.1〜約5質量%の範囲内であることが好まし
い。電荷発生層用結着樹脂の濃度が上記の範囲を外れる
と、上記電荷輸送層3の形成方法で述べた問題と同様の
問題が生じるので、好ましくない。
【0103】また、感光体20においては、電荷発生層
2の形成に先立って、導電性支持体1上に下引き層5を
形成する。該下引き層5の形成方法は、特に限定される
ものではない。
【0104】上記電荷発生層2や電荷輸送層3、つまり
感光層4・7を形成するための塗布液には、必要に応じ
て酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、ビタミ
ンE、ハイドロキノン、各種ヒンダードアミン、各種ヒ
ンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリー
ルアルカン、およびこれらの誘導体;各種有機硫黄化合
物;各種有機リン化合物;などが挙げられる。これら酸
化防止剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類
以上を併用してもよい。
【0105】上記電荷発生層2や電荷輸送層3、つまり
感光層4・7の形成工程においては、塗布液を塗布して
各層を形成する塗布工程の後に、各層を乾燥させる乾燥
工程を含んでいることが非常に好ましい。乾燥工程にお
ける乾燥温度は、約30〜約120℃の範囲内であるこ
とが好ましく、約80〜約100℃の範囲内であること
がより好ましい。乾燥温度が約80℃未満では、乾燥に
時間がかかり過ぎる場合がある。そして、約30℃未満
では、十分な乾燥を行うことが困難となるため、好まし
くない。乾燥温度が約100℃を超えると、得られる感
光体10・20・30における繰り返し使用時の電気的
特性が低下する傾向がある。そして、約120℃を超え
ると、感光体10・20・30を使用して得られる画像
の画質が劣化するため、好ましくない。
【0106】本発明にかかる製造方法によって得られる
感光体10・20では、電荷発生層2および電荷輸送層
3からなる感光層4の表面をチャージャーなどで負帯電
させた後、電荷発生層2に吸収波長を有する光を照射す
ると、電荷発生層2に含まれる電荷発生物質によって該
電荷発生層2中に電子や正孔の電荷キャリアが発生す
る。これら電荷キャリアのうち、正孔は、電荷輸送層3
に含まれる電荷輸送物質によって感光層4表面に移動
し、感光層4表面の負電荷を中和する。一方、上記電荷
キャリアのうち、電子は、正帯電した導電性支持体1側
に移動し、該導電性支持体1の正電荷を中和する。
【0107】同様に、本発明にかかる製造方法によって
得られる感光体30では、電荷輸送層3からなる感光層
7の表面をチャージャーなどで負帯電させた後、感光層
7に吸収波長を有する光を照射すると、感光層7に含ま
れる電荷発生物質6…によって該感光層7中に電子や正
孔の電荷キャリアが発生する。正孔は、感光層7に含ま
れる電荷輸送物質によって感光層7表面に移動し、感光
層7表面の負電荷を中和する。一方、電子は、正帯電し
た導電性支持体1側に移動し、該導電性支持体1の正電
荷を中和する。
【0108】このように、本発明にかかる感光体10・
20・30は、負帯電の状況下で使用することが好まし
いが、逆の帯電モード、即ち、正帯電の状況下でも十分
機能するようになっている。
【0109】以上のように、本発明にかかる電子写真用
感光体は、電荷輸送層を形成するために、少なくとも、
粘度平均分子量が35,000以上80,000未満の
範囲内である第一樹脂(例えば、ポリカーボネート樹
脂)と、粘度平均分子量が5,000以上25,000
未満の範囲内である第二樹脂とを混合してなる結着樹脂
を用いている。そのため、第一樹脂が有する機械的強度
と第二樹脂が有するフィルミング防止性などの性能と
を、同時に発現することが可能となる。
【0110】また、電荷輸送物質と、第一樹脂および第
二樹脂を含む結着樹脂との混合比が、質量比で40:6
0ないし60:40の範囲内であるので、電荷輸送物質
が良好な電荷輸送機能を発揮し、得られる感光体の繰り
返し使用時における電位安定性や耐摩耗性を向上させる
ことができる。
【0111】また、上記結着樹脂を含む溶液の粘度が1
00mPa・s以上500mPa・s未満の範囲内であ
るので、結着樹脂の分散性を向上させることができる上
に、電荷輸送物質が良好な電荷輸送機能を発揮し、得ら
れる感光体の繰り返し使用時における電位安定性や耐摩
耗性を向上させることができる。
【0112】その結果、帯電特性や画像特性を良好なも
のとすることができるので、良好な画像を安定して形成
することができる高品位の電子写真用感光体を提供する
ことができる。
【0113】また、以上のように、本発明にかかる電子
写真用感光体の製造方法は、感光層(電荷輸送層)を形
成するための塗布液の調製に際して、溶媒に第一樹脂お
よび第二樹脂を溶解または分散させた後に、電荷輸送物
質を溶解または分散させる方法である。そのため、塗布
液に、粘度調節の容易性および樹脂の高溶解(相溶性の
向上)・高分散性を付与することができる。その結果、
高品位の電子写真用感光体を安定にかつ安価に製造する
ことができる。
【0114】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明に
かかる電子写真用感光体およびその製造方法について、
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載
の「部」は「質量部」を示す。
【0115】先ず、単層型感光体である感光体30(図
3)にかかる実施例および比較例を、実施例1および比
較例1として挙げて説明する。
【0116】〔実施例1〕電荷発生物質としての化学構
造式(1)で示されるペリレン顔料2部を、1,2−ジ
クロロエタン98部に加えた後、ペイントシェイカーで
混合・分散して分散液を調製した。
【0117】
【化1】
【0118】次に、電荷輸送物質としての化学構造式
(2)で示されるヒドラゾン系化合物100部と、電荷
輸送層用結着樹脂としての、粘度平均分子量Mvが約6
0,000のポリカーボネート樹脂(第一樹脂;モノマ
ー:ビスフェノールA)80部および粘度平均分子量M
vが約22,000のフェノキシ樹脂(第二樹脂;商品
番号PKHH:ユニオンカーバイド社製)20部とを、
ジクロロメタン1,000部に溶解して樹脂液を調製し
た。
【0119】
【化2】
【0120】この樹脂液を分散液に加えて攪拌・混合す
ることによって、感光層形成用(塗工用)の塗布液を調
製した。この塗布液の粘度は325mPa・sであっ
た。
【0121】そして、直径80mm、長さ348mmの
アルミニウム製円筒状(ドラム状)物を導電性支持体1
として用い、上記塗布液を満たしたタンクに導電性支持
体1を浸漬することにより、該導電性支持体1に塗布液
を浸漬塗布した。このとき、導電性支持体1の引き揚げ
速度は2.5mm/sとした。その後、80℃で1時間
乾燥を行うことにより、膜厚約15μmの電荷輸送層
3、即ち、感光層7を形成した。これにより、本発明に
かかる単層型の感光体〔1〕を得た。
【0122】〔比較例1〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約60,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
100部のみを用いた以外は、前記実施例1と同様にし
て比較感光体〔1〕を得た。尚、このときの塗布液の粘
度は450mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚
げ速度は0.9mm/sとした。
【0123】次に、上記感光体〔1〕および比較感光体
〔1〕を、市販のアナログ型複写機(商品番号SF−8
875:シャープ株式会社製)を正帯電用に改造した実
験機に搭載し、A4サイズの用紙を用いて複写テストを
行った。初期および40,000枚複写後(耐刷試験
後)に、現像部での感光体表面電位、具体的には帯電電
位を調べるために、露光プロセスを除いた暗中での感光
体表面電位(帯電電位)V0 、除電後の感光体表面電位
(残留電位)VR を測定した。
【0124】また、上記各感光体の、初期および40,
000枚複写後における画像特性を調べると共に、膜減
り量を測定した。さらに、上記各感光体について、ドラ
ム長手方向の膜厚の平均値aと立ち上がりの膜厚b(端
部から20mm内側の位置での膜厚)との差(b−a)
を測定した。上記各測定結果のうち、帯電電位V0 、残
留電位VR 、膜減り量、および膜厚差を表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】また、画像特性を調べた結果、感光体
〔1〕については、初期および40,000枚複写後の
どちらも良好な画像が得られたが、比較感光体〔1〕に
ついては、初期では良好な画像が得られたものの、4
0,000枚複写後ではフィルミングによる画像ノイズ
および微小な黒点の欠陥が発生し、良好な画像が得られ
なかった。
【0127】上記表1および画像特性の結果から明らか
なように、本発明にかかる感光体〔1〕は、比較感光体
〔1〕と比べて、低分子量である第二樹脂が有するフィ
ルミングの防止性と、高分子量である第一樹脂が有する
耐摩耗性とが低下することなく、両立していることがわ
かる。また、高分子量である第一樹脂のみを電荷輸送層
用結着樹脂として用いた場合と比べて、塗布液の粘度を
低くすることができるため、該粘度の調節が容易である
と共に、塗布液においては良好な分散性が得られる。そ
れゆえ、塗膜である電荷輸送層3、即ち、感光層7の均
一性および電位安定性を確保することができると共に、
良好な画像を得ることができる。
【0128】次に、機能分離積層型感光体である感光体
10(図1)にかかる実施例および比較例を、実施例2
〜5および比較例2〜9として挙げて説明する。但し、
比較例3・9は、対応する実施例2に対する比較例であ
り、該実施例2の効果を説明するためのものであって、
本発明に対する比較例ではない。
【0129】〔実施例2〕電荷発生物質としての化学構
造式(3)で示されるビスアゾ系顔料2部と、電荷発生
層用結着樹脂としてのフェノキシ樹脂(PKHH)1部
とを、1,4−ジオキサン97部に加え、ボールミル分
散機で12時間分散することにより、電荷発生層形成用
の塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液の粘度は
3.5mPa・sであった。
【0130】
【化3】
【0131】そして、直径65mm、長さ348mmの
アルミニウム製円筒状(ドラム状)物を導電性支持体1
として用い、上記電荷発生層用塗布液を満たしたタンク
に導電性支持体1を浸漬することにより、該導電性支持
体1に該塗布液を浸漬塗布した。このとき、導電性支持
体1の引き揚げ速度は8.0mm/sとした。その後、
100℃で10分間乾燥を行うことにより、膜厚約0.
8μmの電荷発生層2を形成した。
【0132】次に、電荷輸送物質としての化学構造式
(4)で示されるヒドラゾン系化合物100部と、電荷
輸送層用結着樹脂としての、粘度平均分子量が約39,
000のポリカーボネート樹脂(第一樹脂;商品番号Z
−400:三菱瓦斯化学株式会社製)95部および粘度
平均分子量が約22,000のポリカーボネート樹脂
(第二樹脂;モノマー:ビスフェノールA)5部とを、
ジクロロメタン800部に同時に溶解して電荷輸送層形
成用の塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液の粘
度は180mPa・sであった。
【0133】
【化4】
【0134】電荷発生層2が形成された上記導電性支持
体1を、上記電荷輸送層用塗布液を満たしたタンクに浸
漬することにより、電荷発生層2上に該塗布液を浸漬塗
布した。このとき、導電性支持体1の引き揚げ速度は
5.4mm/sとした。その後、80℃で1時間乾燥を
行うことにより、膜厚約23μmの電荷輸送層3、即
ち、電荷発生層2および電荷輸送層3からなる感光層4
を形成した。これにより、本発明にかかる機能分離積層
型の感光体〔2〕を得た。
【0135】〔実施例3〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約75,000のポリカーボ
ネート樹脂〔第一樹脂;4,4’−(1−メチルエチリ
デン)ビスフェノールと4,4’−(1−シクロヘキシ
リデン)ビスフェノールとを6:4の比率(モル比)で
共重合してなる共重合体〕70部、および、粘度平均分
子量が約5,000のポリカーボネート樹脂(第二樹
脂;モノマー:ビスフェノールA)30部を用いた以外
は、前記実施例2と同様にして本発明にかかる感光体
〔3〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘
度は355mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚
げ速度は2.2mm/sとした。
【0136】〔実施例4〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約49,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
95部、および、粘度平均分子量が約15,000のポ
リカーボネート樹脂(第二樹脂;モノマー:ビスフェノ
ールA)5部を用いた以外は、前記実施例2と同様にし
て本発明にかかる感光体〔4〕を得た。尚、このときの
電荷輸送層用塗布液の粘度は320mPa・sであり、
導電性支持体1の引き揚げ速度は2.5mm/sとし
た。
【0137】〔実施例5〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約42,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
95部、および、粘度平均分子量が約25,000のポ
リアリレート樹脂(第二樹脂;商品番号U−100:ユ
ニチカ株式会社製)5部を用いた以外は、前記実施例2
と同様にして本発明にかかる感光体〔5〕を得た。尚、
このときの電荷輸送層用塗布液の粘度は235mPa・
sであり、導電性支持体1の引き揚げ速度は4.7mm
/sとした。
【0138】〔比較例2〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約39,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;Z−400)100部のみを用
いた以外は、前記実施例2と同様にして比較感光体
〔2〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘
度は225mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚
げ速度は4.9mm/sとした。
【0139】〔比較例3〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約39,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;Z−400)60部、および、
粘度平均分子量が約22,000のポリカーボネート樹
脂(第二樹脂;モノマー:ビスフェノールA)40部を
用いた以外は、前記実施例2と同様にして比較感光体
〔3〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘
度は86mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚げ
速度は10.9mm/sとした。
【0140】〔比較例4〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約49,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
95部、および、粘度平均分子量が約3,500のポリ
カーボネート樹脂(モノマー:ビスフェノールA)5部
を用いた以外は、前記実施例2と同様にして比較感光体
〔4〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘
度は275mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚
げ速度は3.7mm/sとした。
【0141】〔比較例5〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約49,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
95部、および、粘度平均分子量が約30,000のポ
リカーボネート樹脂(モノマー:ビスフェノールA)5
部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして比較感光
体〔5〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の
粘度は350mPa・sであり、導電性支持体1の引き
揚げ速度は2.2mm/sとした。
【0142】〔比較例6〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約30,000のポリカーボ
ネート樹脂(モノマー:ビスフェノールA)95部、お
よび、粘度平均分子量が約15,000のポリカーボネ
ート樹脂(第二樹脂;モノマー:ビスフェノールA)5
部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして比較感光
体〔6〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の
粘度は75mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚
げ速度は12.4mm/sとした。
【0143】〔比較例7〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約100,000のポリカー
ボネート樹脂(モノマー:ビスフェノールA)95部、
および、粘度平均分子量が約15,000のポリカーボ
ネート樹脂(第二樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
5部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして比較感
光体〔7〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液
には不溶物が認められ、この状態では該塗布液を浸漬塗
布することができないため、ジクロロメタンをさらに5
00部加えることにより、不溶物を溶解させると共に粘
度を175mPa・sに調節した。また、導電性支持体
1の引き揚げ速度は5.3mm/sとした。
【0144】〔比較例8〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約42,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
100部のみを用いた以外は、前記実施例2と同様にし
て比較感光体〔8〕を得た。尚、このときの電荷輸送層
用塗布液の粘度は260mPa・sであり、導電性支持
体1の引き揚げ速度は3.6mm/sとした。
【0145】〔比較例9〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約42,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
50部、および、粘度平均分子量が約22,000のポ
リアリレート樹脂(第二樹脂;U−100)50部を用
いた以外は、前記実施例2と同様にして比較感光体
〔9〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘
度は92mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚げ
速度は10.7mm/sとした。
【0146】次に、上記感光体〔2〕〜〔5〕および比
較感光体〔2〕〜
〔9〕を、市販のアナログ型複写機
(商品番号SF−2027:シャープ株式会社製)を正
帯電用に改造した実験機に搭載した。そして、前記感光
体〔1〕および比較感光体〔1〕の場合と同様にして、
各測定を行った。即ち、露光プロセスを除いた暗中での
感光体表面電位(帯電電位)V0 、除電後の感光体表面
電位(残留電位)VR 、膜減り量、膜厚の差を測定する
と共に、画像特性を調べた。上記各測定結果を表2に示
す。
【0147】尚、以下の表(表2・3・4)において、
画像特性の試験結果を示す欄には、濃度ムラや白ヌケ、
スジ、カブリなどの画像劣化現象が全く認められない画
像が得られた場合には「優」と記載し、若干の画像劣化
現象が認められるものの実用上殆ど問題にならない程度
の画像が得られた場合には「良」と記載し、何らかの画
像劣化現象が顕著に認められた画像が得られた場合に
は、その画像劣化現象を具体的に記載した。
【0148】
【表2】
【0149】上記表2の結果から明らかなように、本発
明にかかる感光体〔2〕〜〔5〕は、比較感光体〔2〕
〔9〕と比べて、低分子量である第二樹脂が有するフ
ィルミングの防止性と、高分子量である第一樹脂が有す
る耐摩耗性とが低下することなく、両立していることが
わかる。また、高分子量である第一樹脂のみを電荷輸送
層用結着樹脂として用いた場合と比べて、塗布液の粘度
を低くすることができるため、該粘度の調節が容易であ
ると共に、塗布液においては良好な分散性が得られる。
それゆえ、塗膜である電荷発生層2および電荷輸送層
3、即ち、感光層4の均一性および電位安定性を確保す
ることができると共に、良好な画像を得ることができ
る。
【0150】そして、上記結果から、第二樹脂がポリカ
ーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂である電荷輸
送層用結着樹脂を用いることが、特に好ましいことがわ
かる。また、このときの第一樹脂と第二樹脂との混合比
が、質量比で70:30ないし95:5の範囲内である
ことが、好ましいことがわかる。
【0151】次に、下引き層5を備える機能分離積層型
感光体である感光体20(図2)にかかる実施例および
比較例を、実施例6〜8および比較例10〜15として
挙げて説明する。但し、比較例11・13は、対応する
実施例6に対する比較例であり、該実施例6の効果を説
明するためのものであって、本発明に対する比較例では
ない。
【0152】〔実施例6〕共重合ナイロン(商品名アミ
ランCM8000:東レ株式会社製)6部を、メチルア
ルコール47部とクロロホルム53部との混合溶媒に溶
解し、この溶液をタンクに満たした。そして、直径65
mm、長さ348mmのアルミニウム製円筒状(ドラム
状)物を導電性支持体1として用い、上記タンクに導電
性支持体1を浸漬することにより、該導電性支持体1に
溶液を浸漬塗布した。その後、110℃で10分間乾燥
を行うことにより、膜厚約1μmの下引き層5を形成し
た。
【0153】次いで、下引き層5が形成された上記導電
性支持体1に対して、前記実施例2と同様の操作を行う
ことによって、膜厚約0.8μmの電荷発生層2を、下
引き層5上に形成した。
【0154】次に、電荷輸送物質としての化学構造式
(5)で示されるスチリル系化合物100部と、電荷輸
送層用結着樹脂としての、粘度平均分子量が約60,0
00のポリカーボネート樹脂〔第一樹脂;4,4’−
(1−メチルエチリデン)ビスフェノールと4,4’−
(1−シクロヘキシリデン)ビスフェノールとを6:4
の比率(モル比)で共重合してなる共重合体〕60部お
よび粘度平均分子量が約10,000のポリアリレート
樹脂(第二樹脂;U−100)40部とを、ジクロロメ
タン900部に同時に溶解して電荷輸送層形成用の塗布
液を調製した。この電荷輸送層用塗布液の粘度は300
mPa・sであった。
【0155】
【化5】
【0156】下引き層5および電荷発生層2が形成され
た上記導電性支持体1を、上記電荷輸送層用塗布液を満
たしたタンクに浸漬することにより、電荷発生層2上に
該塗布液を浸漬塗布した。このとき、導電性支持体1の
引き揚げ速度は3.0mm/sとした。その後、80℃
で1時間乾燥を行うことにより、膜厚約23μmの電荷
輸送層3、即ち、電荷発生層2および電荷輸送層3から
なる感光層4を形成した。これにより、本発明にかかる
機能分離積層型の感光体〔6〕を得た。
【0157】〔実施例7〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約65,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:4,4’−(1−メ
チルエチリデン)ビスフェノール)95部、および、粘
度平均分子量が約6,000のポリエステル樹脂(第二
樹脂;ビスフェノールAとポリエチレンテレフタレート
とアジピン酸とをランダム共重合してなる共重合体)5
部を用いた以外は、前記実施例6と同様にして本発明に
かかる感光体〔7〕を得た。尚、このときの電荷輸送層
用塗布液の粘度は460mPa・sであり、導電性支持
体1の引き揚げ速度は0.9mm/sとした。
【0158】〔実施例8〕上記の電荷輸送層用結着樹脂
として、粘度平均分子量が約37,000のポリカーボ
ネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノールA)
95部、および、粘度平均分子量が約22,000のポ
リエステル樹脂(第二樹脂;商品番号V−290:東洋
紡株式会社製)5部を用いた以外は、前記実施例6と同
様にして本発明にかかる感光体〔8〕を得た。尚、この
ときの電荷輸送層用塗布液の粘度は150mPa・sで
あり、導電性支持体1の引き揚げ速度は6.8mm/s
とした。
【0159】〔比較例10〕上記の電荷輸送層用結着樹
脂として、粘度平均分子量が約60,000のポリカー
ボネート樹脂〔第一樹脂;4,4’−(1−メチルエチ
リデン)ビスフェノールと4,4’−(1−シクロヘキ
シリデン)ビスフェノールとを6:4の比率(モル比)
で共重合してなる共重合体〕100部のみを用いた以外
は、前記実施例6と同様にして比較感光体〔10〕を得
た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘度は475
mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚げ速度は
0.7mm/sとした。
【0160】〔比較例11〕上記の電荷輸送層用結着樹
脂として、粘度平均分子量が約60,000のポリカー
ボネート樹脂〔第一樹脂;4,4’−(1−メチルエチ
リデン)ビスフェノールと4,4’−(1−シクロヘキ
シリデン)ビスフェノールとを6:4の比率(モル比)
で共重合してなる共重合体〕50部、および、粘度平均
分子量が約10,000のポリアリレート樹脂(第二樹
脂;U−100)50部を用いた以外は、前記実施例6
と同様にして比較感光体〔11〕を得た。尚、このとき
の電荷輸送層用塗布液の粘度は250mPa・sであ
り、導電性支持体1の引き揚げ速度は3.7mm/sと
した。
【0161】〔比較例12〕上記の電荷輸送層用結着樹
脂として、粘度平均分子量が約65,000のポリカー
ボネート樹脂(第一樹脂;モノマー:4,4’−(1−
メチルエチリデン)ビスフェノール)100部のみを用
いた以外は、前記実施例6と同様にして比較感光体〔1
2〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘度
は530mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚げ
速度は0.4mm/sとした。
【0162】〔比較例13〕上記の電荷輸送層用結着樹
脂として、粘度平均分子量が約65,000のポリカー
ボネート樹脂(第一樹脂;モノマー:4,4’−(1−
メチルエチリデン)ビスフェノール)60部、および、
粘度平均分子量が約6,000のポリエステル樹脂(第
二樹脂;ビスフェノールAとポリエチレンテレフタレー
トとアジピン酸とをランダム共重合してなる共重合体)
40部を用いた以外は、前記実施例6と同様にして比較
感光体〔13〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗
布液の粘度は245mPa・sであり、導電性支持体1
の引き揚げ速度は3.8mm/sとした。
【0163】〔比較例14〕上記の電荷輸送層用結着樹
脂として、粘度平均分子量が約37,000のポリカー
ボネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノール
A)100部のみを用いた以外は、前記実施例6と同様
にして比較感光体〔14〕を得た。尚、このときの電荷
輸送層用塗布液の粘度は180mPa・sであり、導電
性支持体1の引き揚げ速度は6.4mm/sとした。
【0164】〔比較例15〕上記の電荷輸送層用結着樹
脂として、粘度平均分子量が約37,000のポリカー
ボネート樹脂(第一樹脂;モノマー:ビスフェノール
A)60部、および、粘度平均分子量が約22,000
のポリエステル樹脂(第二樹脂;V−290)40部を
用いた以外は、前記実施例6と同様にして比較感光体
〔15〕を得た。尚、このときの電荷輸送層用塗布液の
粘度は78mPa・sであり、導電性支持体1の引き揚
げ速度は11.1mm/sとした。
【0165】次に、上記感光体〔6〕〜〔8〕および比
較感光体〔10〕〜〔15〕を、市販のアナログ型複写
機(商品番号SF−2027:シャープ株式会社製)を
正帯電用に改造した実験機に搭載した。そして、前記感
光体〔1〕および比較感光体〔1〕の場合と同様にし
て、各測定を行った。即ち、露光プロセスを除いた暗中
での感光体表面電位(帯電電位)V0 、除電後の感光体
表面電位(残留電位)V R 、膜減り量、膜厚の差を測定
すると共に、画像特性を調べた。上記各測定結果を表3
に示す。
【0166】
【表3】
【0167】上記表3の結果から明らかなように、本発
明にかかる感光体〔6〕〜〔8〕は、比較感光体〔1
0〕〜〔15〕と比べて、低分子量である第二樹脂が有
するフィルミングの防止性と、高分子量である第一樹脂
が有する耐摩耗性とが低下することなく、両立している
ことがわかる。また、高分子量である第一樹脂のみを電
荷輸送層用結着樹脂として用いた場合と比べて、塗布液
の粘度を低くすることができるため、該粘度の調節が容
易であると共に、塗布液においては良好な分散性が得ら
れる。それゆえ、塗膜である電荷発生層2および電荷輸
送層3、即ち、感光層4の均一性および電位安定性を確
保することができると共に、良好な画像を得ることがで
きる。
【0168】そして、上記結果から、第二樹脂がポリア
リレート樹脂またはポリエステル樹脂である電荷輸送層
用結着樹脂を用いることが、特に好ましいことがわか
る。また、このときの第一樹脂と第二樹脂との混合比
が、質量比で60:40ないし95:5の範囲内である
ことが、好ましいことがわかる。
【0169】次に、下引き層5を備える機能分離積層型
感光体である感光体20(図2)にかかる他の実施例お
よび比較例を、実施例9・10および比較例16〜21
として挙げて説明する。但し、比較例16〜20は、対
応する実施例9に対する比較例であり、該実施例9の効
果を説明するためのものであって、本発明に対する比較
例ではない。また、比較例21は、対応する実施例10
に対する比較例であり、該実施例10の効果を説明する
ためのものであって、本発明に対する比較例ではない。
【0170】〔実施例9〕共重合ナイロン(アミランC
M8000)6部を、メチルアルコール47部とクロロ
ホルム53部との混合溶媒に溶解し、この溶液をタンク
に満たした。そして、直径65mm、長さ332mmの
アルミニウム製円筒状(ドラム状)物を導電性支持体1
として用い、上記タンクに導電性支持体1を浸漬するこ
とにより、該導電性支持体1に溶液を浸漬塗布した。そ
の後、110℃で10分間乾燥を行うことにより、膜厚
約2μmの下引き層5を形成した。
【0171】次に、電荷発生物質としての化学構造式
(6)で示されるチタニルフタロシアニン2部と、電荷
発生層用結着樹脂としてのポリビニルブチラール樹脂
(商品名エスレックBMS:積水化学工業株式会社製)
1部とを、1,2−ジクロロエタン97部に加え、ボー
ルミル分散機で12時間分散することにより、電荷発生
層形成用の塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液
の粘度は1.5mPa・sであった。
【0172】
【化6】
【0173】そして、下引き層5が形成された上記導電
性支持体1を、上記電荷発生層用塗布液を満たしたタン
クに浸漬することにより、該導電性支持体1に該塗布液
を浸漬塗布した。このとき、導電性支持体1の引き揚げ
速度は7.0mm/sとした。その後、110℃で10
分間乾燥を行うことにより、膜厚約0.2μmの電荷発
生層2を形成した。
【0174】次に、電荷輸送物質としての前記化学構造
式(5)で示されるスチリル系化合物90部と、電荷輸
送層用結着樹脂としての、粘度平均分子量が約38,0
00のポリカーボネート樹脂(第一樹脂;商品番号C−
1400:帝人化成株式会社製)90部および粘度平均
分子量が約22,000のポリエステル樹脂(第二樹
脂;V−290)30部とを、クロロホルム650部に
同時に溶解して電荷輸送層形成用の塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液の粘度は295mPa・sであ
った。
【0175】そして、電荷発生層2が形成された上記導
電性支持体1を、上記電荷輸送層用塗布液を満たしたタ
ンクに浸漬することにより、電荷発生層2上に該塗布液
を浸漬塗布した。このとき、導電性支持体1の引き揚げ
速度は3.5mm/sとした。その後、80℃で1時間
乾燥を行うことにより、膜厚約32μmの電荷輸送層
3、即ち、電荷発生層2および電荷輸送層3からなる感
光層4を形成した。これにより、本発明にかかる機能分
離積層型の感光体
〔9〕を得た。
【0176】〔実施例10〕前記化学構造式(5)で示
されるスチリル系化合物の使用量を120部に変更する
と共に、電荷輸送層用結着樹脂の組成を、粘度平均分子
量が約38,000のポリカーボネート樹脂(第一樹
脂;モノマー:ビスフェノールA)70部および粘度平
均分子量が約22,000のポリエステル樹脂(第二樹
脂;V−290)10部に変更した以外は、前記実施例
9と同様にして本発明にかかる感光体〔10〕を得た。
尚、このときの電荷輸送層用塗布液の粘度は204mP
a・sであり、導電性支持体1の引き揚げ速度は4.9
mm/sとした。
【0177】〔比較例16〕前記化学構造式(5)で示
されるスチリル系化合物の使用量を70部に変更すると
共に、電荷輸送層用結着樹脂の組成を、粘度平均分子量
が約38,000のポリカーボネート樹脂(第一樹脂;
モノマー:ビスフェノールA)100部および粘度平均
分子量が約22,000のポリエステル樹脂(第二樹
脂;V−290)40部に変更した以外は、前記実施例
9と同様にして比較感光体〔16〕を得た。尚、このと
きの電荷輸送層用塗布液の粘度は355mPa・sであ
り、導電性支持体1の引き揚げ速度は3.1mm/sと
した。
【0178】〔比較例17〕前記化学構造式(5)で示
されるスチリル系化合物の使用量を130部に変更する
と共に、電荷輸送層用結着樹脂の組成を、粘度平均分子
量が約38,000のポリカーボネート樹脂(第一樹
脂;モノマー:ビスフェノールA)60部および粘度平
均分子量が約22,000のポリエステル樹脂(第二樹
脂;V−290)5部に変更した以外は、前記実施例9
と同様にして比較感光体〔17〕を得た。尚、このとき
の電荷輸送層用塗布液の粘度は175mPa・sであ
り、導電性支持体1の引き揚げ速度は5.5mm/sと
した。
【0179】〔比較例18〕上記電荷輸送層3の膜厚を
13μmに変更した以外は、前記実施例9と同様にして
比較感光体〔18〕を得た。尚、このときの導電性支持
体1の引き揚げ速度は0.7mm/sとした。
【0180】〔比較例19〕上記電荷輸送層3の膜厚を
40μmに変更した以外は、前記実施例9と同様にして
比較感光体〔19〕を得た。尚、このときの導電性支持
体1の引き揚げ速度は3.9mm/sとした。
【0181】〔比較例20〕チタニルフタロシアニンの
代わりに、電荷発生物質としての化学構造式(7)で示
されるフタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)2
部を用いた以外は、前記実施例9と同様にして比較感光
体〔20〕を得た。
【0182】
【化7】
【0183】〔比較例21〕チタニルフタロシアニンの
代わりに、上記化学構造式(7)で示されるフタロシア
ニン(X型無金属フタロシアニン)2部を用いた以外
は、前記実施例10と同様にして比較感光体〔21〕を
得た。
【0184】次に、上記感光体
〔9〕・〔10〕および
比較感光体〔16〕〜〔21〕を、市販のデジタル型複
写機(商品番号AR−5130:シャープ株式会社製)
を正帯電用に改造した実験機に搭載し、A4サイズの用
紙を用いて複写テストを行った。初期および80,00
0枚複写後(耐刷試験後)に、現像部での感光体表面電
位、具体的には帯電電位を調べるために、露光プロセス
を除いた暗中での感光体表面電位(帯電電位)V0 、感
度を調べるために露光後の感光体表面電位(明部電位)
L を測定した。
【0185】また、上記各感光体の、初期および80,
000枚複写後における画像特性を調べると共に、膜減
り量を測定した。さらに、上記各感光体について、ドラ
ム長手方向の膜厚の平均値aと立ち上がりの膜厚b(端
部から20mm内側の位置での膜厚)との差(b−a)
を測定すると共に、画像特性を調べた。上記各測定結果
を表4に示す。
【0186】
【表4】
【0187】上記表4の結果から明らかなように、本発
明にかかる感光体
〔9〕・〔10〕は、比較感光体〔1
6〕〜〔21〕と比べて、低分子量である第二樹脂が有
するフィルミングの防止性と、高分子量である第一樹脂
が有する耐摩耗性とが低下することなく、両立している
ことがわかる。また、高分子量である第一樹脂のみを電
荷輸送層用結着樹脂として用いた場合と比べて、塗布液
の粘度を低くすることができるため、該粘度の調節が容
易であると共に、塗布液においては良好な分散性が得ら
れる。それゆえ、塗膜である電荷発生層2および電荷輸
送層3、即ち、感光層4の均一性および電位安定性を確
保することができると共に、良好な画像を得ることがで
きる。
【0188】そして、上記結果から、感光層における電
荷輸送物質と電荷輸送層用結着樹脂との混合比が、質量
比で40:60ないし60:40の範囲内であること
が、特に好ましいことがわかる。また、感光層の膜厚
が、10μmないし50μmの範囲内であることが好ま
しく、15μmないし35μmの範囲内であることがよ
り好ましいことがわかる。さらに、電荷発生物質とし
て、中心に金属を有しない無金属のフタロシアニンでは
なく、チタンが結合したチタニルフタロシアニンを用い
ることで、帯電性がよく、電位安定性も良好で、画像欠
陥のない高品位の感光体を得ることができることがわか
る。
【0189】尚、上述した実施例9・10では、下引き
層5、電荷発生層2および電荷輸送層3を備える機能分
離積層型感光体である感光体20を例として挙げたが、
感光層7を備える単層型感光体である感光体30であっ
ても、上記実施例と同様の結果が得られた。
【0190】〔実施例11〕電荷輸送層用結着樹脂とし
ての、粘度平均分子量が約38,000のポリカーボネ
ート樹脂(第一樹脂;C−1400)70部および粘度
平均分子量が約22,000のポリエステル樹脂(第二
樹脂;V−290)10部を、クロロホルム650部に
十分に溶解させた。その後、このクロロホルム溶液に、
電荷輸送物質としての前記化学構造式(5)で示される
スチリル系化合物120部を投入・混合することによ
り、電荷輸送層形成用の塗布液を調製した。そして、該
電荷輸送層用塗布液を用いる以外は、前記実施例9と同
様にして本発明にかかる感光体〔11〕を得た。
【0191】次に、前記感光体〔2〕・〔3〕および上
記感光体〔11〕を、市販のデジタル型複写機(商品番
号AR−5130:シャープ株式会社製)を正帯電用に
改造した実験機に搭載し、A4サイズの用紙を用いて複
写テストを行った。初期および80,000枚複写後
(耐刷試験後)に、高温高湿(35℃、85%RH)の
条件下で得られる画像の評価を行った。その結果を表5
に示す。
【0192】
【表5】
【0193】上記表5の結果から明らかなように、前記
感光体〔2〕・〔3〕では、80,000枚複写後の画
像に微小な白点(即ち白抜け)が認められたが、上記感
光体〔11〕では、殆ど白点が認められなかった(上記
結果では1つのみ)。それゆえ、本発明にかかる感光体
の製造方法では、電荷輸送層用結着樹脂(第一樹脂およ
び第二樹脂)を溶媒に十分に溶解させた後に、電荷輸送
物質を分散させる方法が、より一層好ましいことがわか
る。
【0194】
【発明の効果】本発明にかかる電子写真用感光体は、以
上のように、結着樹脂として用いる少なくとも二種類の
樹脂のうち、一方の樹脂は、粘度平均分子量が35,0
00以上80,000未満の範囲内である第一樹脂であ
り、他方の樹脂は、粘度平均分子量が5,000以上2
5,000未満の範囲内である第二樹脂であると共に、
上記感光層における電荷輸送物質と結着樹脂との混合比
が、質量比で40:60ないし60:40の範囲内であ
る構成である。
【0195】それゆえ、上記の構成によれば、高分子量
の第一樹脂が有する特性(例えば、機械的強度の向上な
ど)と低分子量の第二樹脂が有する特性(例えば、フィ
ルミングの防止性など)との両方を、同時に発現するこ
とができる。また、例えば、感光層を形成する際に調製
する塗布液の粘度を容易に調節することができる上に、
結着樹脂の分散性も向上させることができる。しかも、
電荷輸送物質が良好な電荷輸送機能を発揮し、得られる
感光体の繰り返し使用時における電位安定性や耐摩耗性
を向上させることができる。その結果、より高品位の感
光体をより効率的な製造方法で得ることができるという
効果を奏する。
【0196】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記感光層が、電荷発生物質を含む電荷発生
層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを有しており、上
記結着樹脂が電荷輸送層の形成に用いられている構成で
ある。
【0197】それゆえ、上記の構成によれば、任意の特
性(例えば安全性、塗布性)を有する感光体を比較的容
易に低コストで製造することが可能となるという効果を
奏する。
【0198】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、結着樹脂として用いる少なくとも二種類の樹
脂のうち、一方の樹脂は、粘度平均分子量が35,00
0以上80,000未満の範囲内である第一樹脂であ
り、他方の樹脂は、粘度平均分子量が5,000以上2
5,000未満の範囲内である第二樹脂であると共に、
上記溶液の粘度が100mPa・s以上500mPa・
s未満の範囲内である構成である。
【0199】それゆえ、上記の構成によれば、高分子量
の第一樹脂が有する特性(例えば、機械的強度の向上な
ど)と低分子量の第二樹脂が有する特性(例えば、フィ
ルミングの防止性など)との両方を、同時に発現するこ
とができる。また、例えば、感光層を形成する際に調製
する塗布液(溶液)の粘度を容易に調節することができ
るため、粘度を上記範囲内とすることにより、結着樹脂
の分散性を向上させることができる。その上、電荷輸送
物質が良好な電荷輸送機能を発揮し、得られる感光体の
繰り返し使用時における電位安定性や耐摩耗性を向上さ
せることができる。その結果、より高品位の感光体をよ
り効率的な製造方法で得ることができるという効果を奏
する。
【0200】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、結着樹脂として用いる少なくとも二種類の樹
脂のうち、一方の樹脂は、粘度平均分子量が35,00
0以上80,000未満の範囲内である第一樹脂であ
り、他方の樹脂は、粘度平均分子量が5,000以上2
5,000未満の範囲内である第二樹脂であると共に、
上記溶液の粘度が100mPa・s以上500mPa・
s未満の範囲内である構成である。
【0201】それゆえ、上記の構成によれば、高分子量
の第一樹脂が有する特性(例えば、機械的強度の向上な
ど)と低分子量の第二樹脂が有する特性(例えば、フィ
ルミングの防止性など)との両方を、同時に発現するこ
とができる。また、例えば、電荷輸送層を形成する際に
調製する塗布液(溶液)の粘度を容易に調節することが
できるため、粘度を上記範囲内とすることにより、結着
樹脂の分散性を向上させることができる。その上、電荷
輸送物質が良好な電荷輸送機能を発揮し、得られる感光
体の繰り返し使用時における電位安定性や耐摩耗性を向
上させることができる。その結果、より高品位の感光体
をより効率的な製造方法で得ることができるという効果
を奏する。
【0202】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記感光層における電荷輸送物質と結着樹脂
との混合比が、質量比で40:60ないし60:40の
範囲内である構成である。
【0203】それゆえ、上記の構成によれば、得られる
感光体の繰り返し使用時における電位安定性や耐摩耗
性、画像特性を良好なものとすることができる。その結
果、画像ボケや画像ノイズなどの欠陥のない良好な画像
を形成することができる感光体を得ることができるとい
う効果を奏する。
【0204】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記第一樹脂が、ポリカーボネート樹脂を含
む構成である。
【0205】それゆえ、上記の構成によれば、感光体の
電気特性および機械的強度をより一層安定化させること
ができるという効果を奏する。
【0206】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記感光層の膜厚が10μmないし50μm
の範囲内である構成である。
【0207】それゆえ、上記の構成によれば、得られる
感光体の繰り返し使用時における電位安定性や帯電特
性、画像特性を良好なものとすることができる。その結
果、画像ボケや画像ノイズなどの欠陥のない良好な画像
を形成することができる感光体を得ることができるとい
う効果を奏する。
【0208】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記第二樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポ
リアリレート樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群
より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む構成である。
【0209】それゆえ、上記の構成によれば、例えば、
感光層を形成する際に調製する塗布液(溶液)に、粘度
調節の容易性および樹脂の高溶解(相溶性の向上)・高
分散性などの性能を付与することができる。また、得ら
れる感光体に、フィルミング防止性および機械的強度の
向上などの性能を付与することができるという効果を奏
する。また、第二樹脂がポリエステル樹脂を含む場合
は、さらに、感光層或いは電荷輸送層の接着性を向上さ
せることができ、第二樹脂がポリアリレート樹脂を含む
場合は、さらに、感光層或いは電荷輸送層の接着性およ
び耐候性を向上させることができるという効果も併せて
奏する。
【0210】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質量
比で60:40ないし95:5の範囲内である構成であ
る。
【0211】それゆえ、上記の構成によれば、感光層の
機械的強度を低下させることなく、例えば、浸漬塗布し
易いレベルにまで粘度を低下させた塗布液(溶液)を得
ることができる。また、この塗布液は、第一樹脂および
第二樹脂の相溶性に優れており、特に第一樹脂を均一に
溶解または分散させた状態とすることができる。その結
果、得られる感光体のフィルミング防止性を、より一層
向上させることができるという効果を奏する。
【0212】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記第一樹脂がポリカーボネート樹脂を含
み、上記第二樹脂がポリカーボネート樹脂を含み、か
つ、第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質量比で70:
30ないし95:5の範囲内である構成である。また、
本発明にかかる電子写真用感光体は、以上のように、上
記第一樹脂がポリカーボネート樹脂を含み、上記第二樹
脂がポリアリレート樹脂を含み、かつ、第一樹脂と第二
樹脂との混合比が、質量比で60:40ないし95:5
の範囲内である構成である。また、本発明にかかる電子
写真用感光体は、以上のように、上記第一樹脂がポリカ
ーボネート樹脂を含み、上記第二樹脂がポリエステル樹
脂を含み、かつ、第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質
量比で70:30ないし95:5の範囲内である構成で
ある。
【0213】それゆえ、上記の各構成によれば、感光体
の電気特性および機械的強度をより一層安定化させるこ
とができると共に、例えば、感光層を形成する際に調製
する塗布液(溶液)に、粘度調節の容易性および樹脂の
高溶解(相溶性の向上)・高分散性などの性能を付与す
ることができる。また、得られる感光体に、フィルミン
グ防止性および機械的強度の向上などの性能を付与する
ことができるという効果を奏する。また、第二樹脂がポ
リエステル樹脂を含む場合は、さらに、感光層或いは電
荷輸送層の接着性を向上させることができ、第二樹脂が
ポリアリレート樹脂を含む場合は、さらに、感光層或い
は電荷輸送層の接着性および耐候性を向上させることが
できる。そして、上記の各構成によれば、感光層の機械
的強度を低下させることなく、例えば、浸漬塗布し易い
レベルにまで粘度を低下させた塗布液(溶液)を得るこ
とができる。また、この塗布液は、第一樹脂および第二
樹脂の相溶性に優れており、特に第一樹脂を均一に溶解
または分散させた状態とすることができるという種々の
効果も併せて奏する。
【0214】本発明にかかる電子写真用感光体は、以上
のように、上記電荷輸送物質が、チタニルフタロシアニ
ンである構成である。
【0215】それゆえ、上記の構成によれば、得られる
感光体の初期の帯電特性と、繰り返し使用時における電
位安定性とを良好なものとすることができる。その結
果、画像ボケや画像ノイズなどの欠陥のない良好な画像
を形成することができ、より高品位の感光体を得ること
ができるという効果を奏する。
【0216】本発明にかかる電子写真用感光体の製造方
法は、以上のように、結着樹脂として、少なくとも、粘
度平均分子量が35,000以上80,000未満の範
囲内である第一樹脂と、粘度平均分子量が5,000以
上25,000未満の範囲内である第二樹脂とを用いる
と共に、上記塗布液の調製に際して、溶媒に第一樹脂お
よび第二樹脂を溶解または分散させた後に、電荷輸送物
質を溶解または分散させる方法である。
【0217】それゆえ、上記の方法によれば、得られる
感光体を用いた画像形成において、上記不溶物に起因す
る画像ムラや白点、黒点といった画像欠陥の発生を防止
することができる。従って、より高品位の感光体を得る
ことができるという効果を奏する。また、上記感光体の
生産に際して不良品の発生率を低下することができるた
め、生産性の向上を図ることができるという効果も併せ
て奏する。
【0218】本発明にかかる電子写真用感光体の製造方
法は、以上のように、上記方法に加えて、導電性支持体
への塗布液の塗布を浸漬塗布法により行う方法である。
【0219】それゆえ、上記の方法によれば、第一・第
二樹脂の製造ロットに関わらず、毎回ほぼ同一の条件の
塗布液で感光層を形成することができる。また、均一な
膜厚の感光層を容易に連続的に形成することができる。
そのため、感光層形成の生産性を向上することができる
と共に、感光層を安価に形成することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる電子写真用感光
体の一例(機能分離積層型感光体)を示す模式的断面図
である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる電子写真用感光
体の他の例(機能分離積層型感光体)を示す模式的断面
図である。
【図3】本発明の実施の一形態にかかる電子写真用感光
体のさらに他の例(単層型感光体)を示す模式的断面図
である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生層 3 電荷輸送層 4 感光層 5 下引き層 6 電荷発生物質 7 感光層 10 感光体(電子写真用感光体) 20 感光体(電子写真用感光体) 30 感光体(電子写真用感光体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川原 在彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 金澤 朋子 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 森田 竜廣 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 角井 幹男 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA20 AA35 BA39 BB23 BB25 BB27 BB52 BB54 EA16 FA08

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電荷発生物質および電荷輸送物質を含み、
    少なくとも二種類の樹脂を混合してなる結着樹脂を用い
    て形成される感光層を有する電子写真用感光体におい
    て、 上記二種類の樹脂のうち、一方の樹脂は、粘度平均分子
    量が35,000以上80,000未満の範囲内である
    第一樹脂であり、他方の樹脂は、粘度平均分子量が5,
    000以上25,000未満の範囲内である第二樹脂で
    あると共に、 上記感光層における電荷輸送物質と結着樹脂との混合比
    が、質量比で40:60ないし60:40の範囲内であ
    ることを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】上記感光層が、電荷発生物質を含む電荷発
    生層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを有しており、 上記結着樹脂が電荷輸送層の形成に用いられていること
    を特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】電荷発生物質および電荷輸送物質を含み、
    少なくとも二種類の樹脂を混合してなる結着樹脂を含む
    溶液を用いて形成される感光層を有する電子写真用感光
    体において、 上記二種類の樹脂のうち、一方の樹脂は、粘度平均分子
    量が35,000以上80,000未満の範囲内である
    第一樹脂であり、他方の樹脂は、粘度平均分子量が5,
    000以上25,000未満の範囲内である第二樹脂で
    あると共に、 上記溶液の粘度が100mPa・s以上500mPa・
    s未満の範囲内であることを特徴とする電子写真用感光
    体。
  4. 【請求項4】電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送
    物質を含む電荷輸送層とで形成される感光層を有する電
    子写真用感光体において、 上記電荷輸送層は、少なくとも二種類の樹脂を混合して
    なる結着樹脂を含む溶液を用いて形成されており、 上記二種類の樹脂のうち、一方の樹脂は、粘度平均分子
    量が35,000以上80,000未満の範囲内である
    第一樹脂であり、他方の樹脂は、粘度平均分子量が5,
    000以上25,000未満の範囲内である第二樹脂で
    あると共に、 上記溶液の粘度が100mPa・s以上500mPa・
    s未満の範囲内であることを特徴とする電子写真用感光
    体。
  5. 【請求項5】上記感光層における電荷輸送物質と結着樹
    脂との混合比が、質量比で40:60ないし60:40
    の範囲内であることを特徴とする請求項3または4記載
    の電子写真用感光体。
  6. 【請求項6】上記第一樹脂が、ポリカーボネート樹脂を
    含むことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に
    記載の電子写真用感光体。
  7. 【請求項7】上記感光層の膜厚が10μmないし50μ
    mの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし6の
    何れか1項に記載の電子写真用感光体。
  8. 【請求項8】上記第二樹脂が、ポリカーボネート樹脂、
    ポリアリレート樹脂、およびポリエステル樹脂からなる
    群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことを特徴
    とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の電子写真
    用感光体。
  9. 【請求項9】上記第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質
    量比で60:40ないし95:5の範囲内であることを
    特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の電子
    写真用感光体。
  10. 【請求項10】上記第一樹脂がポリカーボネート樹脂を
    含み、上記第二樹脂がポリカーボネート樹脂を含み、か
    つ、第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質量比で70:
    30ないし95:5の範囲内であることを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5または7記載の電子写真用感光
    体。
  11. 【請求項11】上記第一樹脂がポリカーボネート樹脂を
    含み、上記第二樹脂がポリアリレート樹脂を含み、か
    つ、第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質量比で60:
    40ないし95:5の範囲内であることを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5または7記載の電子写真用感光
    体。
  12. 【請求項12】上記第一樹脂がポリカーボネート樹脂を
    含み、上記第二樹脂がポリエステル樹脂を含み、かつ、
    第一樹脂と第二樹脂との混合比が、質量比で70:30
    ないし95:5の範囲内であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5または7記載の電子写真用感光体。
  13. 【請求項13】上記電荷輸送物質が、チタニルフタロシ
    アニンであることを特徴とする請求項1ないし12の何
    れか1項に記載の電子写真用感光体。
  14. 【請求項14】少なくとも結着樹脂と電荷輸送物質とを
    溶媒に溶解または分散して塗布液を調製する工程と、導
    電性支持体上に該塗布液を塗布して感光層を形成する工
    程とを有する電子写真用感光体の製造方法において、 上記結着樹脂として、少なくとも、粘度平均分子量が3
    5,000以上80,000未満の範囲内である第一樹
    脂と、粘度平均分子量が5,000以上25,000未
    満の範囲内である第二樹脂とを用いると共に、 上記塗布液の調製に際して、溶媒に第一樹脂および第二
    樹脂を溶解または分散させた後に、電荷輸送物質を溶解
    または分散させることを特徴とする電子写真用感光体の
    製造方法。
  15. 【請求項15】導電性支持体への塗布液の塗布を浸漬塗
    布法により行うことを特徴とする請求項14記載の電子
    写真用感光体の製造方法。
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