JP2000282297A - 表面処理用治具、表面処理方法および該方法により得られるR−Fe−B系永久磁石 - Google Patents

表面処理用治具、表面処理方法および該方法により得られるR−Fe−B系永久磁石

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JP2000282297A JP11091585A JP9158599A JP2000282297A JP 2000282297 A JP2000282297 A JP 2000282297A JP 11091585 A JP11091585 A JP 11091585A JP 9158599 A JP9158599 A JP 9158599A JP 2000282297 A JP2000282297 A JP 2000282297A
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Masayuki Yoshimura
吉村  公志
Takeshi Nishiuchi
武司 西内
Fumiaki Kikui
文秋 菊井
Takahiro Isozaki
貴裕 磯崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボンド磁石のような強度が必ずしも高くない
被表面処理素材に対しても適用でき、均一に素材の表面
処理を行うことができる表面処理用治具、該治具を用い
た表面処理方法および該治具を用いて表面処理すること
により、耐食性皮膜が形成されたR−Fe−B系永久磁
石を提供すること。 【解決手段】 支持部材の被表面処理素材の支持位置
が、素材と部材との関係において相対的に変化すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、R−Fe−B系永
久磁石、とりわけ、リング状ボンド磁石や円柱状ボンド
磁石などの被表面処理素材に対して表面処理を施す際に
有用な表面処理用治具、該治具を用いた表面処理方法お
よび該治具を用いて表面処理することにより、耐食性皮
膜が形成されたR−Fe−B系永久磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】Nd−Fe−B系永久磁石に代表される
R−Fe−B系永久磁石は、資源的に豊富で安価な材料
が用いられ、かつ、高い磁気特性を有していることか
ら、今日様々な分野で使用されている。しかしながら、
R−Fe−B系永久磁石は大気中で酸化腐食されやすい
RとFeを含むため、何の表面処理をも行わずに使用し
た場合には、わずかな酸やアルカリや水分などの存在に
よって表面から腐食が進行して錆が発生し、それに伴っ
て、磁石特性の劣化やばらつきを生じるという問題点を
有している。
【0003】上記の問題点を解消すべく、従来から磁石
表面に耐酸化性皮膜として金属めっき皮膜や樹脂塗装を
施す方法などが採用されており、例えば、R−Fe−B
系永久磁石表面に電気めっきによって耐食性皮膜を形成
する方法として、網籠の中に被めっき素材を入れ、該網
籠を回転しながらめっきを行う方法(バレル方式)や、
被めっき素材を陰電極に接続した導電性支持部材に支持
させてめっきを行う方法(ラック方式)などが採用され
ている。また、ラック方式による電気めっきに用いられ
る治具における導電性支持部材の、被めっき素材を支持
する部分以外の部分は、該部分がめっきされるのを防ぐ
ため、ポリ塩化ビニルなどによる絶縁皮膜により被覆さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のバレル方式によ
る電気めっきやラック方式による電気めっきは汎用性に
すぐれているものの、前者の方法では、磁石自体の強度
が必ずしも高くないボンド磁石に適用した場合、磁石の
割れや欠けを生じることがあるという問題点を有してい
る。また、後者の方法では、磁石の、導電性支持部材と
接触している部分が接点跡として残り、めっき後にその
処理が必要であるという問題点を有している。一方、特
開昭61−52367号では、板状ワークの孔にシャフ
トを通して、該シャフトを回転させることによりワーク
自体が回転するめっき装置が提案されている。しかしな
がら、この装置において、ワークを回転させるために
は、直径が大きなシャフトを用いなければならないの
で、ワークとシャフトとの接点近傍へのめっき液のまわ
り込みが悪くなり、内側表面に対するめっき効率が悪い
という問題点を有している。
【0005】そこで、本発明においては、ボンド磁石の
ような強度が必ずしも高くない被表面処理素材に対して
も適用でき、均一に素材の表面処理を行うことができる
表面処理用治具、該治具を用いた表面処理方法および該
治具を用いて表面処理することにより、耐食性皮膜が形
成されたR−Fe−B系永久磁石を提供することを課題
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するべく鋭意検討を行った結果、支持部材の被
表面処理素材の支持位置を、素材と部材との関係におい
て相対的に変化させることにより、素材と部材との接点
位置を変えれば、均一に素材の表面処理を行うことがで
きることを知見した。また、ラック方式に用いられる電
気めっき用治具において、被めっき素材の支持位置以外
の部分は、先に述べた理由から絶縁皮膜により被覆され
ているが、本発明者らは、この絶縁皮膜が、被めっき素
材に対する電位の均一分布を阻害し、その結果、被めっ
き素材の先端部分に電流が集中してしまい、該部分のめ
っき膜厚が他の部分に比べて大きくなることを知見し
た。さらに、この現象は、絶縁皮膜により被覆されてい
る部分の中に、絶縁皮膜を除去して導電性を付与した部
分を設けることにより解消できることを知見した。
【0007】本発明は、かかる知見に基づき成されたも
ので、本発明の表面処理用治具は、請求項1記載の通
り、支持部材の被表面処理素材の支持位置が、素材と部
材との関係において相対的に変化することを特徴とす
る。また、請求項2記載の表面処理用治具は、請求項1
記載の表面処理用治具において、被表面処理素材を支持
している部材の少なくとも1つの部材が移動することに
より、素材の支持位置が変化するように、被表面処理素
材を支持する部材を配置したことを特徴とする。また、
請求項3記載の表面処理用治具は、請求項1記載の表面
処理用治具において、被表面処理素材を支持している部
材の少なくとも1つの部材を一定周期で他の部材に交替
させ、交替した部材が素材を支持することにより、素材
の支持位置が変化するように、被表面処理素材を支持す
る部材を配置したことを特徴とする。また、請求項4記
載の表面処理用治具は、請求項1記載の表面処理用治具
において、被表面処理素材の支持位置を変化させるため
の回動部材を有することを特徴とする。また、請求項5
記載の表面処理用治具は、請求項1記載の表面処理用治
具において、被表面処理素材の支持位置が変化すること
により、素材がその過程において、回転するように、被
表面処理素材を支持する部材を配置したことを特徴とす
る。また、本発明の電気めっき用治具は、請求項6記載
の通り、被めっき素材を支持するとともにめっき電流を
供給する導電性支持部材の被めっき素材の支持位置が、
素材と部材との関係において相対的に変化することを特
徴とする。また、請求項7記載の電気めっき用治具は、
請求項6記載の電気めっき用治具において、被めっき素
材を支持している導電性支持部材にのみめっき電流が供
給されるようにするための切換装置を有することを特徴
とする。また、本発明の電気めっき用治具は、請求項8
記載の通り、被めっき素材を支持するとともにめっき電
流を供給する部分以外の少なくとも一箇所に導電性部分
を設け、残りの部分は絶縁皮膜により被覆されている導
電性支持部材を有することを特徴とする。また、請求項
9記載の電気めっき用治具は、請求項8記載の電気めっ
き用治具において、被めっき素材を支持するとともにめ
っき電流を供給する導電性支持部材の被めっき素材の支
持位置が、素材と部材との関係において相対的に変化す
ることを特徴とする。また、本発明の被表面処理素材の
表面処理方法は、請求項10記載の通り、請求項1記載
の表面処理用治具を用いることを特徴とする。また、本
発明の被めっき素材の電気めっき方法は、請求項11記
載の通り、請求項6記載の電気めっき用治具を用いるこ
とを特徴とする。また、請求項12記載の被めっき素材
の電気めっき方法は、請求項11記載の被めっき素材の
電気めっき方法において、導電性支持部材の長軸方向
が、陽電極板に対して垂直方向になるように電気めっき
用治具を配置することを特徴とする。また、本発明のR
−Fe−B系永久磁石は、請求項13記載の通り、請求
項1乃至5のいずれかに記載の表面処理用治具を用いて
表面処理することにより、耐食性皮膜が成膜されている
ことを特徴とする。また、本発明のR−Fe−B系永久
磁石は、請求項14記載の通り、請求項6乃至9のいず
れかに記載の電気めっき用治具を用いて電気めっき処理
することにより、耐食性皮膜が成膜されていることを特
徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理用治具は、支持
部材の被表面処理素材の支持位置が、素材と部材との関
係において相対的に変化する。よって、素材と部材の接
点位置が固定化されないので、均一に素材の表面処理を
行うことができる。支持部材の被表面処理素材の支持位
置を、素材と部材との関係において相対的に変化させる
ための手段は特段限定されるものではないが、以下に、
その主な手段を、本発明の表面処理用治具を電気めっき
処理に用いて、R−Fe−B系リング状ボンド磁石を処
理する場合を例にとって説明する。なお、本発明の表面
処理用治具は、電気めっき処理に限られず、無電解めっ
き処理、化成処理、エッチング処理などに使用すること
もできる。また、本発明の表面処理用治具により効果的
に表面処理される被表面処理素材としては、R−Fe−
B系リング状ボンド磁石やR−Fe−B系円柱状ボンド
磁石などのようなリング状素材や円柱状素材などが挙げ
られる。なお、本発明の表面処理に先立ち、素材に対し
て所望する下地処理を行ってもよいことは言うまでもな
い。代表的に知られているR−Fe−B系永久磁石とし
ては、例えば、特公平4−20975号公報などに記載
の磁石が挙げられる。
【0009】(1)被表面処理素材を支持している部材
の少なくとも1つの部材が移動することにより、素材の
支持位置が変化するように、被表面処理素材を支持する
部材を配置したことを特徴とする表面処理用治具:図1
は、本発明の表面処理用治具を用いた電気めっき処理装
置の一実施形態の概念図である。めっき槽1の電解めっ
き液中には、陽電極板5と、被表面処理素材としてリン
グ状ボンド磁石(以下、単に素材という)3をセットし
た表面処理用治具2が配置されている。治具2の素材支
持部材(以下、単に部材という)4−a、4−bは金属
製であり、それぞれ陰電極に接続された部材支持金属棒
7−a、7−bに取り付けられているが、部材4−a
は、部材4−bよりも上方で部材支持金属棒7−aに取
り付けられている。部材支持金属棒7−aには、部材4
−aが素材3を支持しうる範囲内において一定周期で左
右に移動するための電動式アクチュエーター6が絶縁体
9を介して取り付けられている。部材および部材支持金
属棒には必要に応じて絶縁皮膜を被覆してもよい。
【0010】図2は、素材と部材を正面、即ち、素材の
リング端面から見た両者の動きを表す機構図である。図
2(a)は初期位置を示す。まず、部材4−aを矢示A
の方向に移動させると、部材4−a、4−b間の間隔が
大きくなり、素材3は矢示Xの方向に回転し、部材4−
aが素材3を支持していた支持位置が変化する。変化後
の位置関係を図2(b)に示す。次に、部材4−aを矢
示Bの方向に移動させ、初期位置に戻すことにより、素
材3は矢示Yの方向に回転し、部材4−bが素材3を支
持していた支持位置が変化する。変化後の位置関係を図
2(c)に示す。このように、部材4−aを一定周期で
左右に移動させることにより、部材4−aと部材4−b
の素材3の支持位置が変化するので、素材3に支持部材
との接点跡を残すことなく、極めて均一なめっき皮膜を
形成することができる。
【0011】なお、めっき槽への治具の配置方法として
は、図1に示したように、部材4−a、4−bの長軸方
向が、陽電極板に対して垂直方向になるように配置する
のが望ましい。かかる配置によって、リング状ボンド磁
石の開口部が陽電極板に臨む配置となるので、磁石の円
筒壁に遮断されることなく磁石の内側表面にも均一なめ
っき皮膜を形成するための十分な電流密度を確保するこ
とができるからである。
【0012】また、陰電極への接続は部材4−aまたは
部材4−bのいずれか一方にのみ行うものであってもよ
い。また、部材4−bは固定されていなければならない
ものではなく、素材3を支持しうる範囲内において、部
材4−aの移動に連動して移動するものであってもよい
し、連動せずに移動するものであってもよい。
【0013】(2)被表面処理素材を支持している部材
の少なくとも1つの部材を一定周期で他の部材に交替さ
せ、交替した部材が素材を支持することにより、素材の
支持位置が変化するように、被表面処理素材を支持する
部材を配置したことを特徴とする表面処理用治具:図3
に、本発明の表面処理用治具の他の実施形態の概略図を
示す。この治具は内側素材支持部材14−a、14−b
と外側素材支持部材15−a、15−bを有している。
両部材は金属製であり、内側素材支持部材14−a、1
4−bは金属製の支持枠11に、外側素材支持部材15
−a、15−bは金属製の支持枠12に取り付けられて
いる。部材および支持枠には必要に応じて絶縁皮膜を被
覆してもよい。支持枠11と支持枠12は素材を支持し
ている部材にのみめっき電流が供給されるようにするた
めの切換装置18に接続されている。かかる切換装置1
8により、部材の不必要なめっき太りを抑制することが
できる。支持枠12には、絶縁体19を介して電動式ア
クチュエーター16が取り付けられており、外側素材支
持部材15−a、15−bが一定周期で矢示のように上
下移動するようになっている。電動式アクチュエーター
16と切換装置18の作動は制御部20にて制御されて
いる。
【0014】図3は、素材13を外側素材支持部材15
−a、15−bが支持し、切換装置18によって、該部
材にのみめっき電流が供給されている状態を示してい
る。電動式アクチュエーター16によって外側素材支持
部材15−a、15−bを下降させると、素材13は、
内側素材支持部材14−a、14−bに交替して支持さ
れ、切換装置18によって、該部材にのみめっき電流が
供給されるようになる。このように、素材13を支持す
る部材を一定周期で内側素材支持部材14−a、14−
bと外側素材支持部材15−a、15−bとで交替させ
ることにより、部材が支持する素材13の支持位置が固
定化されないので、均一なめっき皮膜を形成することが
できる。
【0015】図4に、本発明の表面処理用治具の更なる
実施形態の正面図を示す。この治具は素材を同時に2個
処理できる治具である。この治具においては、外側素材
支持部材の一方25−aは他方25−bよりも上方で支
持枠22に取り付けられている。内側素材支持部材24
−a、24−b、支持枠21、切換装置28、絶縁体2
9、電動式アクチュエータ26に関する配置や接続は、
図3に示した治具と同様である。図4は、素材23を内
側素材支持部材24−a、24−bが支持し、切換装置
28によって、該部材にのみめっき電流が供給されてい
る状態を示している。
【0016】図5は、素材と部材を正面、即ち、素材の
リング端面から見た両者の動きを表す機構図である。図
5(a)は、内側素材支持部材24−a、24−bが素
材23を支持している初期位置を示す。外側素材支持部
材25−a、25−bを矢示Aの如く上昇させると、図
5(b)のように、まず、部材25−bよりも高い位置
に取り付けられた部材25−aが素材23に接触する。
続いて、図5(c)のように、部材25−aは素材23
を矢示X1の方向に回転させながら、素材23を持ち上
げ、部材24−bとで素材23を支持するようになる。
さらに上昇を続けると、図5(d)のように、素材23
を矢示X2の方向に回転させ、部材25−bが素材23
と接触するようになり、最後は、図5(e)のように、
外側素材支持部材25−a、25−bで素材23を支持
する。該部材を下降させて初期位置に戻し、同様の動き
を一定周期で繰り返すことにより、素材23が回転し、
部材の素材23の支持位置が連続的に変化するため、素
材23に支持部材との接点跡を残すことなく、極めて均
一なめっき皮膜を形成することができる。
【0017】(3)被表面処理素材の支持位置を変化さ
せるための回動部材を有することを特徴とする表面処理
用治具:図6に、本発明の表面処理用治具の更なる実施
形態における、素材と支持部材と回動部材を正面、即
ち、素材のリング端面から見た図を示す。回動部材35
には、素材33との摩擦係数が、金属製の支持部材34
−a、34−bと素材33との摩擦係数よりも大きくす
るために、ポリ塩化ビニルなどが被覆されている。回動
部材35を図示されていないモーターなどにより矢示A
の方向に回転させると、部材33は矢示Xの方向に回転
するので、支持部材34−a、34−bが支持する素材
33の支持位置が固定化されないので、素材33に支持
部材との接点跡を残すことなく、極めて均一なめっき皮
膜を形成することができる。
【0018】支持部材の被表面処理素材の支持位置を、
素材と部材との関係において相対的に変化させるための
手段としては、上記(1)〜(3)の各表面処理用治具
によって説明した手段の他にも、例えば、被表面処理素
材を支持している部材を、その中心軸線方向を中心に回
転させることにより、被表面処理素材自体を回転させる
手段などがある。
【0019】以下には、被めっき素材を支持するととも
にめっき電流を供給する部分以外の少なくとも一箇所に
導電性部分を設け、残りの部分は絶縁皮膜により被覆さ
れている導電性支持部材を有することを特徴とする電気
めっき用治具の実施の形態について説明する。
【0020】本発明者らの検討の過程において、従来か
ら存在する、被めっき素材の支持位置以外の部分が絶縁
皮膜により被覆されている導電性支持部材を有する電気
めっき用治具を用いて、R−Fe−B系リング状ボンド
磁石に電気めっき処理を施した場合、磁石の先端部分、
即ち、リング端面のめっき膜厚が他の部分に比べて大き
くなることを知見した。そこで、直方体の磁石をサンプ
ルとして用いて、磁石の先端近傍における電位分布を測
定したところ、上記の現象は、絶縁皮膜が磁石に対する
電位の均一分布を阻害することに起因していることがわ
かった。電位分布の測定結果の模式図を図7(a)に示
す。陰電極に接続された、磁石41を支持する導電性支
持部材の、磁石支持位置部分42より先端部分43は、
該部分がめっきされるのを防ぐために絶縁皮膜により被
覆されている。この場合、磁石41の先端近傍における
等電位線の間隔が密になることによって(矢示A)、電
位の勾配に比例して電流密度が高くなり、その結果とし
て、磁石のリング端面のめっき膜厚が他の部分に比べて
大きくなることがわかった(図7(b)参照)。
【0021】次に、絶縁皮膜により被覆された先端部分
43の最先端の絶縁皮膜を除去し、電位分布を測定した
ところ、図8(a)に示す模式図から明らかなように、
絶縁皮膜を除去することによって、該部分44に導電性
が付与された結果、その近傍における等電位線の間隔が
密になった(矢示B)。その一方で、磁石41の先端近
傍における等電位線の間隔は粗になり(矢示C)、該部
分における電流密度の集中を緩和できたことにより、磁
石の先端部分のめっき膜厚を均一化できることがわかっ
た(図8(b)参照)。
【0022】以上の経緯から、被めっき素材に対して、
均一な膜厚のめっき皮膜の形成を行うためには、被めっ
き素材の先端部分における等電位線の間隔を粗にし、電
流密度の集中を緩和するために、被めっき素材の支持位
置以外の少なくとも一箇所に導電性部分を設ければよい
ことがわかった。導電性を付与する部分としては、絶縁
皮膜を除去する場合の容易性などの観点から、被めっき
素材を支持する導電性支持部材の先端部分が望ましい
が、導電性を付与することによって、被めっき素材の先
端部分への電流密度の集中を緩和することができる部分
であれば、その位置は特段限定されるものではない。
【0023】図9は、図3に示した電気めっき用治具に
本発明の一態様を適用した場合の、該治具の要部左側面
図である。金属製の内側素材支持部材14−aおよび外
側素材支持部材15−aの、素材13の支持位置L以外
の部分には、ポリ塩化ビニルなどによる絶縁皮膜が被覆
されているが、その最先端Lは絶縁皮膜が除去されて
いる。これにより、該部分に導電性が付与され、素材1
3の先端部分への電流密度の集中を緩和することが可能
となり、均一な膜厚のめっき皮膜の形成を行うことがで
きる。なお、両部材の内側(支持枠側)の絶縁皮膜につ
いては、例えば、外側に存置したLと同じ長さ
(L)部分の内側の絶縁皮膜を一部または全部除去し
てもよい。
【0024】
【実施例】(実施例1)急冷合金法で作製した、Nd1
2原子%、Fe77原子%、B6原子%、Co5原子%
の組成からなる平均粒径150μmの合金粉末にエポキ
シ樹脂を2wt%加えて混練し、7ton/cmの圧
力で圧縮成形した後、170℃で1時間キュアすること
により、外径22mm×内径20mm×高さ3mmのリ
ング状ボンド磁石を得た。このリング状ボンド磁石50
個(見かけ容積0.15l、重量100g)と直径1m
m、長さ1mmの短円柱状Cu微粉生成物質(ワイヤー
をカットしたもの)10kg(見かけ容積2l)を容積
3.5lの振動バレル装置に投入し(合計投入量は装置
内容積の60vol%)、振動数70Hz、振動振幅3
mmの条件にて乾式処理を3時間行って、磁石表面にC
u微粉からなる導電層を形成させた。磁石表面にCu微
粉からなる導電層を有するリング状ボンド磁石を洗浄し
た後、該磁石を、被めっき素材の支持位置以外の部分が
ポリ塩化ビニルによる絶縁皮膜により被覆されている金
属製支持部材を有し、図4に示す機構を備えた治具にセ
ットした。めっき槽内において、治具を、金属製支持部
材の長軸方向が、陽電極板に対して垂直方向になるよう
に配置し、電流密度2A/dm、めっき時間60分、
pH4.2、浴温55℃、めっき液組成(硫酸ニッケル
240g/l、塩化ニッケル45g/l、炭酸ニッケル
適量(pH調整)、ほう酸30g/l)の条件にて電気
Niめっきを行った。得られた磁石の外周面のめっき皮
膜には、支持部材との接点跡が認められず、極めて均一
にめっき皮膜が形成されていた。次に、1個の磁石につ
き、外周面、内周面、リング端面それぞれ1箇所ずつ選
定し、該部分のめっき膜厚を蛍光X線膜厚計にて測定
し、50個の磁石の平均値を求めた。その結果、外周面
の膜厚平均値は21.5μm、内周面の膜厚平均値は1
3.4μm、リング端面の膜厚平均値は32.3μmで
あり、いずれの部分においても十分な耐食性を示す膜厚
のめっき皮膜を形成できたが、端面のめっき膜厚が外周
面および内周面に比べて大きかった。
【0025】(実施例2)実施例1で用いた治具の金属
製支持部材の先端部分の絶縁皮膜を除去し、実施例1と
同様の条件にて電気Niめっきを行った。得られた磁石
の外周面のめっき皮膜には、支持部材との接点跡が認め
られず、極めて均一にめっき皮膜が形成されていた。ま
た、50個の磁石の、外周面の膜厚平均値は20.2μ
m、内周面の膜厚平均値は15.3μm、リング端面の
膜厚平均値は21.0μmであり、金属製支持部材の先
端部分の絶縁皮膜を除去したことで、めっき膜厚の均一
化を図ることができた。
【0026】
【発明の効果】本発明の表面処理用治具は、支持部材の
被表面処理素材の支持位置が、素材と部材との関係にお
いて相対的に変化するので、均一に素材の表面処理を行
うことができる。また、本発明の電気めっき用治具は、
被めっき素材を支持するとともにめっき電流を供給する
部分以外の少なくとも一箇所に導電性部分を設け、残り
の部分は絶縁皮膜により被覆されている導電性支持部材
を有しているので、被めっき素材の先端近傍における等
電位線の間隔を粗にし、電流密度の集中が緩和されてお
り、めっき膜厚の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理用治具を用いた電気めっき処
理装置の一実施形態の概念図である。
【図2】図1に示す表面処理用治具を用いた場合の素材
と部材の動きを正面から見た機構図である。
【図3】本発明の表面処理用治具の他の実施形態の概略
図である。
【図4】本発明の表面処理用治具の更なる実施形態の正
面図である。
【図5】図4に示す表面処理用治具を用いた場合の素材
と部材の動きを正面から見た機構図である。
【図6】本発明の表面処理用治具の更なる実施形態にお
ける素材と支持部材と回動部材を正面から見た機構図で
ある。
【図7】被めっき素材の先端近傍における電位分布とめ
っき膜厚との関係を示す模式図である。
【図8】被めっき素材の先端近傍におけるその他の電位
分布とめっき膜厚との関係を示す模式図である。
【図9】図3に示した電気めっき用治具に本発明の一態
様を適用した場合の該治具の要部左側面図である。
【符号の説明】
3、13、23、33 被表面処理素材 4−a、4−b、34−a、34−b 素材支持部材 14−a、14−b、24−a、24−b 内側素材支
持部材 15−a、15−b、25−a、25−b 外側素材支
持部材 35 回動部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊井 文秋 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内 (72)発明者 磯崎 貴裕 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持部材の被表面処理素材の支持位置
    が、素材と部材との関係において相対的に変化すること
    を特徴とする表面処理用治具。
  2. 【請求項2】 被表面処理素材を支持している部材の少
    なくとも1つの部材が移動することにより、素材の支持
    位置が変化するように、被表面処理素材を支持する部材
    を配置したことを特徴とする請求項1記載の表面処理用
    治具。
  3. 【請求項3】 被表面処理素材を支持している部材の少
    なくとも1つの部材を一定周期で他の部材に交替させ、
    交替した部材が素材を支持することにより、素材の支持
    位置が変化するように、被表面処理素材を支持する部材
    を配置したことを特徴とする請求項1記載の表面処理用
    治具。
  4. 【請求項4】 被表面処理素材の支持位置を変化させる
    ための回動部材を有することを特徴とする請求項1記載
    の表面処理用治具。
  5. 【請求項5】 被表面処理素材の支持位置が変化するこ
    とにより、素材がその過程において、回転するように、
    被表面処理素材を支持する部材を配置したことを特徴と
    する請求項1記載の表面処理用治具。
  6. 【請求項6】 被めっき素材を支持するとともにめっき
    電流を供給する導電性支持部材の被めっき素材の支持位
    置が、素材と部材との関係において相対的に変化するこ
    とを特徴とする電気めっき用治具。
  7. 【請求項7】 被めっき素材を支持している導電性支持
    部材にのみめっき電流が供給されるようにするための切
    換装置を有することを特徴とする請求項6記載の電気め
    っき用治具。
  8. 【請求項8】 被めっき素材を支持するとともにめっき
    電流を供給する部分以外の少なくとも一箇所に導電性部
    分を設け、残りの部分は絶縁皮膜により被覆されている
    導電性支持部材を有することを特徴とする電気めっき用
    治具。
  9. 【請求項9】 被めっき素材を支持するとともにめっき
    電流を供給する導電性支持部材の被めっき素材の支持位
    置が、素材と部材との関係において相対的に変化するこ
    とを特徴とする請求項8記載の電気めっき用治具。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の表面処理用治具を用い
    ることを特徴とする被表面処理素材の表面処理方法。
  11. 【請求項11】 請求項6記載の電気めっき用治具を用
    いることを特徴とする被めっき素材の電気めっき方法。
  12. 【請求項12】 導電性支持部材の長軸方向が、陽電極
    板に対して垂直方向になるように電気めっき用治具を配
    置することを特徴とする請求項11記載の被めっき素材
    の電気めっき方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至5のいずれかに記載の表
    面処理用治具を用いて表面処理することにより、耐食性
    皮膜が形成されていることを特徴とするR−Fe−B系
    永久磁石。
  14. 【請求項14】 請求項6乃至9のいずれかに記載の電
    気めっき用治具を用いて電気めっき処理することによ
    り、耐食性皮膜が形成されていることを特徴とするR−
    Fe−B系永久磁石。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004068107A (ja) * 2002-08-08 2004-03-04 Seiko Epson Corp めっき方法
JP2018141191A (ja) * 2017-02-27 2018-09-13 株式会社村田製作所 通電方法、通電治具、化成処理方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法

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