JP2000282290A - 光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステンレス鋼板の製造方法

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JP2000282290A JP8958699A JP8958699A JP2000282290A JP 2000282290 A JP2000282290 A JP 2000282290A JP 8958699 A JP8958699 A JP 8958699A JP 8958699 A JP8958699 A JP 8958699A JP 2000282290 A JP2000282290 A JP 2000282290A
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政義 多々納
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勝 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な光沢を呈し、低接触抵抗で経時変化の
少ないNiめっきステンレス鋼板を得る。 【構成】 表面粗さがRa0.050μm以下のフェラ
イト系又はオーステナイト系ステンレス鋼板をめっき原
板として使用する。フェライト系ステンレス鋼板をめっ
き原板にする場合、陰極析出効率15〜30%のNiめ
っき浴を用いて膜厚0.02〜0.25μmのNiスト
ライクめっき層を鋼板表面に形成する。オーステナイト
系ステンレス鋼板をめっき原板にする場合、陰極析出効
率15〜65%のNiめっき浴を用いて膜厚0.02〜
0.25μmのNiストライクめっき層を鋼板表面に形
成する。次いで陰極析出効率90%以上のNiめっき浴
を用いて膜厚1〜5μmのNiめっき層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電池缶用,接点用バネ
材等に使用され、接触抵抗が低く光沢度の高いNiめっ
きステンレス鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電池缶,接点用バネ材等の素材として、
優れた耐食性及び低接触抵抗を活用して、ステンレス鋼
を原板としたNiめっき材が使用されている。この種の
用途では、見栄えを良くするため光沢のあるNiめっき
材が要求される。ステンレス鋼板は、表面に不動態皮膜
が形成されているため、陰極析出効率の高いめっき浴で
めっきしても密着性の良好なめっき層が形成されない。
そこで、Niめっき層の形成には、ストライクめっきし
た後で必要膜厚のめっき層を形成する方法が通常採用さ
れている。ストライクめっきには、塩化ニッケル及び塩
酸からなるpH1以下のウッド浴が使用され、低い陰極
析出効率でストライクめっき層が形成される。次いで、
陰極析出効率がほぼ100%のワット浴,スルファミン
酸浴等のめっき浴を用いてストライクめっき層の上に厚
膜のNiめっき層を形成している。上層のNiめっき層
に光沢を付与する方法としては、有機化合物からなる光
沢剤を添加しためっき浴の使用,無光沢Niめっきを施
した後でバフ研磨する方法等が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光沢剤を添加しためっ
き浴を用いて光沢Niめっき層を形成する方法を工業的
規模の連続めっきに適用すると、めっき浴中の光沢剤成
分が電解反応で早期に消耗するため、光沢剤の頻繁な補
給が必要になる。また、めっき浴に含まれている光沢剤
の濃度管理が非常に難しく、しかも高価な光沢剤を消費
するため製造コストが高くなる。また、電池缶,接点用
バネ材等の用途では、Niめっき層の接触抵抗が性能を
決定する重要な要因の一つである。光沢剤無添加のめっ
き浴から形成された無光沢Niめっき層の初期接触抵抗
は10mΩ以下であるが、光沢剤を添加しためっき浴で
得られる光沢Niめっき層は100mΩ以上の非常に高
い初期接触抵抗を示す。そのため、光沢Niめっきされ
たステンレス鋼板は、光沢性に優れているものの接触抵
抗の点で電池缶,接点用バネ材等の要求特性を十分に満
足していない。他方、無光沢Niめっき層をバフ研磨し
て光沢を付与する方法では、バフ研磨でNiめっき層が
削り取られることから、必要以上のNiめっきを施すこ
とが必要になる。しかも、バフ研磨中の加熱によりNi
めっき層の表面に不動態皮膜が形成され、初期接触抵抗
が約70mΩと高くなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、表面粗さを調整
したステンレス鋼をめっき原板とし、その上に特定条件
下でストライクめっき及び本めっきを施して得られた光
沢度400以上のNiめっきステンレス鋼板をブライト
調質圧延することにより、光沢剤の添加を必要とするこ
となく、光沢度に優れ接触抵抗が低く電池缶,バネ用接
点材として好適なNiめっきステンレス鋼板を製造する
ことを目的とする。本発明の製造方法は、その目的を達
成するため、表面粗さがRa0.050μm以下のフェ
ライト系ステンレス鋼板又はオーステナイト系ステンレ
ス鋼板をめっき原板として使用する。
【0005】フェライト系ステンレス鋼板をめっき原板
にする場合、陰極析出効率15〜30%のNiめっき浴
を用いて膜厚0.02〜0.25μmのNiストライク
めっき層を鋼板表面に形成する。オーステナイト系ステ
ンレス鋼板をめっき原板にする場合、陰極析出効率15
〜65%のNiめっき浴を用いて膜厚0.02〜0.2
5μmのNiストライクめっき層を鋼板表面に形成す
る。次いでフェライト系,オーステナイト系共に陰極析
出効率90%以上のNiめっき浴を用いて膜厚1〜5μ
mのNiめっき層を形成することで表面光沢度400以
上のNiめっきステンレス鋼板が得られる。このNiめ
っきステンレス鋼板に伸び率0.2〜1%のブライト調
質圧延を施すと、光沢性が付与される。
【0006】
【作用】本発明者等は、Niめっき層の光沢性が維持さ
れる条件下で、電池缶,接点用バネ材等に要求される接
触抵抗に及ぼす素材,めっき条件,ブライト調質圧延等
の影響を調査検討した。その結果、めっき原板として使
用されるステンレス鋼板の表面粗さ,陰極析出効率及び
ブライト調質圧延時の伸び率等でNiめっき層の光沢
度,接触抵抗及びプレス成形性が変わり、本発明で規定
する条件を満足するとき光沢性,接触抵抗及びプレス成
形性の全てが満足されるNiめっきステンレス鋼板が得
られることを見出した。
【0007】[めっき原板の表面粗さ]Niめっき用原
板として使用されるステンレス鋼板の表面粗さが大きい
と、Niストライクめっきを施しても十分に平滑化され
ず、Niストライクめっき層の上に形成されるNiめっ
き層の電析粒が大きくなる。その結果、光沢性のあるN
iめっき層が得られない。Niストライクめっきによる
平滑化作用は、フェライト系及びオーステナイト系ステ
ンレス鋼板共に表面粗さがRa0.050μm以下にす
ることにより達成される。Ra0.050μmを超える
表面粗さでは、ストライクめっき及び本めっきの膜厚や
陰極析出効率を如何に変化させても良好な光沢が得られ
ない。
【0008】[Niストライクめっき]フェライト系ス
テンレス鋼板でNiめっき層の表面に光沢性を付与する
ためには、ストライクめっき浴の陰極析出効率を15〜
30%に調整することが必要である。15%未満の陰極
析出効率では、ステンレス鋼板表面における水素の還元
反応が激しくなり、角状結晶としてNiストライクめっ
き層が電解析出し、めっき膜厚,電流密度等のめっき条
件を変化させても十分な平滑化作用が得られない。その
ため、Niストライクめっき層の上に形成される厚膜N
iめっき層は、Niストライクめっき層の電析形態に影
響され、光沢性に劣る白味がかった表面を呈する。逆に
陰極析出効率が30%を超えると、ステンレス鋼板表面
における水素の還元反応による活性化が弱まり、鋼板に
対するNiストライクめっき層の密着性が低下する。
【0009】また、オーステナイト系ステンレス鋼板で
Niめっき層の表面に光沢性を付与するためには、スト
ライクめっき浴の陰極析出効率を15〜65%の範囲に
調整する。この場合、陰極析出効率が15%未満では、
フェライト系ステンレス鋼と同様に十分な平滑化作用が
得られない。しかし、65%を超える陰極析出効率で
は、鋼板に対するNiストライクめっき層の密着性が低
下する。Niストライクめっき層は、0.02〜0.2
5μm(好ましくは0.05〜0.15μm)の膜厚で
ステンレス鋼板表面に形成される。膜厚が0.02μm
に達しないNiストライクめっき層では、均一なめっき
を施すことが困難になり、良好なめっき密着性が得られ
ない。しかし、Niストライクめっき層は陰極析出効率
の低いめっき浴で形成されるため、0.25μmを超え
る膜厚になるとNiストライクめっき面の角状電析物が
粗大化し易い。粗大化した角状電析物は、Niストライ
クめっき層の上に形成されるNiめっき層に悪影響を及
ぼし、白味を帯び光沢度の低いめっき面が形成される原
因となる。
【0010】[Niめっき]Niストライクめっき層の
上に形成されるNiめっき層は、全硫酸塩からなるめっ
き浴を用い、90%以上の陰極析出効率で形成される。
陰極析出効率が90%を下回ると電析粒が角状結晶にな
り、めっき面の光沢度が400未満となって本発明で規
定した範囲を外れ、その後のブライト調質圧延でプレス
成形品の表面形状に影響を与える高伸び率でなければ光
沢を付与できなくなる。また、陰極析出効率の低いめっ
き浴を用いたNiめっき層の形成は、工業的規模で連続
めっきする際の生産性を低下させることにもなる。Ni
めっき層は、過酷な環境においても低い接触抵抗を維持
するために1μm以上の膜厚で形成することが好まし
い。1μm未満の膜厚では酸化による影響が大きくな
り、過酷な環境に曝される雰囲気で長時間使用すると接
触抵抗が上昇する。しかし、5μmを超える厚めっき
は、高価なNiを多量に消費することから経済的でな
い。
【0011】[ブライト調質圧延]本発明で規定する条
件でNiストライクめっき層を鋼板表面に形成し、その
上にNiめっき層を形成した鋼板のめっき層表面は、4
00以上の光沢度を呈する。このNiめっきステンレス
鋼板に320番手以上の仕上げロールを用いた軽伸び率
0.2〜1%のブライト調質圧延を施すと、光沢剤を添
加しためっき浴で得られる光沢Niめっきステンレス鋼
板の表面光沢度である1000以上のレベルのNiめっ
きステンレス鋼板が製造可能になる。めっき層表面の光
沢度が400未満のNiめっきステンレス鋼をブライト
調質圧延して光沢Niめっきレベルの光沢度を得ようと
すると、鋼板の機械的特性の0.2%耐力や伸びに影響
を及ぼすほどの高伸び率でブライト調質圧延することが
必要になる。ブライト調質圧延時の伸び率が0.2%未
満では、Niめっき層の表面光沢度が400以上であっ
ても十分な光沢が得られない。また、伸び率が1%を超
えると、光沢Niめっきレベル以上の光沢度が得られる
ものの、0.2%耐力,伸び等の機械的特性に悪影響が
現れ、良好なプレス成形性が得られない。
【0012】
【実施例1】表面粗さRa0.046μmのSUS43
0ステンレス鋼板及びRa0.043μmのSUS30
4ステンレス鋼板をめっき原板とし、陰極析出効率がS
US430では約30%,SUS304では約60%の
全硫酸塩めっき浴で電流密度0.5kA/m2 ,めっき
膜厚0.2μmのストライクめっきを施した。同じく全
硫酸塩からなる析出効率90%以上のめっき浴を用い、
ストライクめっき層上に電流密度1.0kA/m2 で膜
厚3μmのNiめっき層を形成した。得られたNiめっ
き材の表面光沢度を測定すると520であった。しか
し、同じめっき原板,電流密度及びめっき膜厚の条件下
でウッド浴を用いてNiストライクめっき層を形成した
後、その上層に光沢剤を添加していないワット浴で無光
沢Niめっきを施しためっき材の表面光沢度を測定する
と250程度であった。
【0013】Niめっき材の表面光沢度に差が現れた原
因を調査するため、めっき材の表面を電子顕微鏡で観察
した。観察結果を図1に示す。全硫酸塩浴から得られた
Niめっき層の表面は微細な球状電析形態を呈していた
が、ウッド浴とワット浴との組合せで得られたNiめっ
き層の表面には粗大化した角状電析物が生成していた。
電析粒の形態が異なる理由は不明であるが、何れにしろ
電析形態の相違がめっき面の平滑性に影響を及ぼし、光
沢度に差が生じたものと推察される。また、得られため
っき材を用いて初期接触抵抗を測定したところ、何れも
光沢剤を添加していないめっき浴から得られたNiめっ
き層であるため10mΩ以下の低い値を示した。これら
Niめっき材のめっき層表面に光沢性を付与するため3
20番手仕上げロールを用いてブライト調質圧延した。
ブライト調質圧延では、圧延後のめっき層表面の光沢度
の目標レベルを光沢剤を添加したワット浴から得られた
光沢Niめっき層の光沢度1000以上に設定した。
【0014】全硫酸塩浴から得られたNiめっき材は、
光沢Niめっきレベルの光沢度を得るためにはブライト
調質圧延時の伸び率が0.2%であったが、ウッド浴と
ワット浴との組合せから得られたNiめっき材は伸び率
を3%にする必要があった。また、ブライト調質圧延前
後でめっき材の機械的性質を調査したところ、全硫酸塩
浴から得られたNiめっき材ではブライト調質圧延後に
0.2%耐力及び伸びに大きな変化がなかったのに対
し、ウッド浴とワット浴との組合せから得られたNiめ
っき材ではブライト調質圧延後に0.2%耐力及び伸び
が著しく劣化していた。高伸び率の調質圧延で機械的特
性が劣化した鋼板をプレス成形すると、成形品の平坦部
に面状の形状欠陥であるペコと称される面歪みが発生
し、意匠性に劣ったものとなる。したがって、調質圧延
は、機械的性質に影響を及ぼさない程度の軽伸び率0.
2〜1%に設定する必要があることが判った。以上のこ
とから、接触抵抗が低く、良好なプレス成形性が得ら
れ、ブライト調質圧延でNiめっき面に光沢性を付与す
るためには、全硫酸塩からなるNiめっき浴を用いスト
ライクめっき及び本めっきを施すことが有効なことが確
認される。
【0015】
【実施例2】表面粗さがRa0.038〜0.064μ
mに調整された板厚0.25mmのSUS430ステン
レス鋼板をめっき原板として使用した。オルトケイ酸ソ
ーダ50g/l,浴温60℃のアルカリ電解浴にめっき
原板を浸漬し、電流密度0.5kA/m2 で10秒間陰
極電解することにより電解脱脂した。次いで、硫酸10
g/l,浴温30℃の全硫酸塩浴に10秒間浸漬するこ
とにより、めっき原板を硫酸酸洗した。酸洗されためっ
き原板をNiストライクめっき浴に浸漬し、膜厚0.0
1〜0.5μmのNiストライクめっき層を形成した。
使用したNiストライクめっき浴は以下に掲げる組成を
もち、硫酸ニッケル濃度及びめっき浴のpHを調整する
ことにより、陰極析出効率を10〜40%の範囲に変化
させた。 Niストライクめっきの条件 浴組成:硫酸ニッケル 200〜450g/l 硫酸ソーダ 80g/l 浴温度: 60℃ pH:1.0〜2.6 電流密度:0.5kA/m2
【0016】Niストライクめっきされたステンレス鋼
板を水洗した後、次の条件下で膜厚0.5〜5μmのN
iめっき層を形成した。 Niめっきの条件 浴組成:硫酸ニッケル 300g/l 硫酸ソーダ 80g/l 浴温度: 60℃ pH:3.0〜3.5 電流密度:1.0kA/m2 得られたNiめっきステンレス鋼板を180度密着曲げ
テープ剥離試験に供し、めっき密着性を調査した。めっ
き密着性は、テープ剥離試験でめっき剥離が検出されな
かったものを○,部分剥離を含めめっき層の剥離が検出
されたものを×と評価した。
【0017】良好なめっき密着性を示したNiめっきス
テンレス鋼板について、めっき面の光沢度及び初期接触
抵抗を測定した。光沢度は、ポータブル表面光沢度計
(株式会社村上色彩研究所製)を用い測定角度20度で
測定し、その数値を示した。初期接触抵抗は、接触抵抗
分布測定器(株式会社山崎精機研究所製)を用い印加電
流10mA,接触荷重100gfの条件下で測定した。
ステンレス鋼板に対するNiめっきとして一般に使用さ
れているウッド浴でNiストライクめっきした後、ワッ
ト浴でNiめっきしためっき材の初期接触抵抗は10m
Ω以下である。そこで、この接触抵抗値を基準とし、1
0mΩ未満の接触抵抗を示したものを○,10mΩ以上
のものを×と評価した。なお、ウッド浴で膜厚0.2μ
mのNiストライクめっきをした後、光沢剤を添加した
ワット浴で膜厚3μmの光沢Niめっきを施しためっき
材(試験番号16)及び光沢剤を添加しないめっき浴で
膜厚3μmの無光沢Niめっきを施しためっき材(試験
番号17)を比較例として使用した。
【0018】表1の調査結果にみられるように、本発明
に従った試験番号1〜10では、何れも光沢度は400
以上で、めっき密着性が良好で、初期接触抵抗は低い値
を示した。これに対し、めっき原板の表面粗さが大きな
試験番号11,厚膜のNiストライクめっき層を形成し
た試験番号12,低い陰極析出効率でNiストライクめ
っき層を形成した試験番号14で,無光沢めっき浴を用
いてNiめっき層を形成した試験番号17は、形成され
ためっき面の光沢度が400未満であった。陰極析出効
率が高い試験番号13,薄いNiめっき層を形成した試
験番号15では、めっき密着性が劣っていた。また、光
沢剤を添加しためっき浴を用いて光沢Niめっき層を形
成した試験番号16は、初期接触抵抗が高い値を示し
た。
【0019】
【0020】
【実施例3】表面粗さをRa0.035〜0.066μ
mに調整した板厚0.25mmのSUS304ステンレ
ス鋼板をめっき原板に使用した。実施例2と同様に前処
理した後、膜厚0.01〜0.50μmのNiストライ
クめっき層を形成した。このとき、ストライクめっき浴
の硫酸ニッケル濃度及びpHの調整により、陰極析出効
率を10〜70%の範囲で変化させた。次いで、膜厚1
〜5μmのNiめっき層を実施例2と同じ条件で形成し
た。得られためっき材について、実施例2と同様にめっ
き密着性,めっき面の光沢度及び初期接触抵抗を調査し
た。なお、実施例2と同様の条件下で得られた膜厚3μ
mの光沢Niめっき材(試験番号33)及び膜厚3μm
の無光沢Niめっき材(試験番号34)を比較例として
使用した。
【0021】表2の調査結果にみられるように、本発明
に従った試験番号18〜27では、何れも全ての試験で
良好な結果を示した。これに対し、めっき原板の表面粗
さが大きな試験番号28,厚膜のNiストライクめっき
層を形成した試験番号29,低い陰極析出効率でNiス
トライクめっき層を形成した試験番号31,無光沢めっ
き浴でNiめっき層を形成した試験番号34は、形成さ
れためっき面の光沢度が400未満となった。陰極析出
効率が高い試験番号30,薄いNiストライクめっき層
を形成した試験番号32では、めっき密着性が劣ってい
た。また、光沢剤を添加しためっき浴で光沢Niめっき
層を形成した試験番号33は、初期接触電気抵抗が高い
値を示した。
【0022】
【0023】
【実施例4】表面粗さをRa0.046μmに調整した
板厚0.25mmのSUS430ステンレス鋼板をめっ
き原板に使用した。実施例2と同様にめっき原板を前処
理した後、ストライクめっき浴の陰極析出効率及びスト
ライクめっき膜厚を変化させた。次いで、Niストライ
クめっき層の上に膜厚0.5〜5μmのNiめっき層を
実施例2と同様に形成し、めっき面の光沢度を変化させ
た。得られたNiめっきステンレス鋼板に320番手仕
上げロールを用いたブライト調質圧延を施した。ブライ
ト調質圧延では伸び率を変化させた。ブライト調質圧延
後、光沢度,プレス成形性及び促進劣化試験後の接触抵
抗を測定した。光沢度は、実施例2と同様に光沢剤を添
加しためっき浴で光沢Niめっき層を形成しためっき材
の光沢度を基準として評価した。プレス成形性は、外径
40mm,成形高さ30mmに100個カップ絞りし、
成形品頭部の表面形状を調査し、不良発生の有無を非接
触高さ計で測定し評価した。評価方法は、成形品100
個中、形状不良発生率が0%のものを○,1〜10%を
△,10%以上を×と評価した。
【0024】促進劣化試験では、温度60℃,相対湿度
90%の恒温恒湿槽に試験片を80日間放置し、促進劣
化試験後の接触抵抗を測定した。ステンレス鋼板に対す
るNiめっきとして一般的に使用されているウッド浴で
Niストライクめっきを施した後、ワット浴でNiめっ
きしたNiめっき材を同じ促進劣化試験に供した場合、
接触抵抗が40〜50mΩであった。そこで、この接触
抵抗を基準とし、50mΩ未満の接触抵抗を示した試験
片を○,50mΩ以上のものを×と評価した。本実施例
では、ワット浴から得られた無光沢Niめっき材(試験
番号49,50)を比較例として使用した。
【0025】表3の調査結果にみられるように、本発明
に従った試験番号35〜44は、何れも全ての試験で良
好な結果を示した。他方、ブライト調質圧延前のめっき
面の光沢度が400未満のNiめっき材(試験番号4
5),ブライト調質圧延の伸び率が0.1%のNiめっ
き材(試験番号48),ワット浴から得られたNiめっ
き材(試験番号49)では、ブライト調質圧延後の光沢
性が劣っていた。また、ブライト調質圧延前の光沢度が
400未満の全硫酸塩めっき浴から得られたNiめっき
材(試験番号47),ワット浴から得られたNiめっき
材(試験番号50)に高伸び率のブライト調質圧延で光
沢を付与した試験材では、プレス成形性が劣っていた。
上層Niめっき層の膜厚が0.5μmのNiめっき材
(試験番号46)は、促進劣化試験後の接触抵抗が高い
値を示した。
【0026】
【0027】
【実施例5】表面粗さをRa0.043μmに調整した
板厚0.25mmのSUS304ステンレス鋼板をめっ
き原板に使用した。実施例2と同様にめっき原板を前処
理した後、ストライクめっき浴の陰極析出効率及びスト
ライクめっき膜厚を変化させた。次いで、Niストライ
クめっき層の上に膜厚0.5〜5μmのNiめっき層を
実施例2と同様に形成し、めっき面の光沢度を変化させ
た。得られたNiめっきステンレス鋼板に320番手仕
上げロールを用いたブライト調質圧延を施した。ブライ
ト調質圧延では伸び率を変化させた。ブライト調質圧延
後、実施例4と同様に光沢度,プレス成形性及び促進劣
化試験後の接触電気抵抗を測定した。なお、全硫酸塩の
めっき浴から得られたNiめっき材は、ブライト調質圧
延前に308N/mm2 の0.2%耐力を示した。ま
た、実施例2及びワット浴から得られた無光沢Niめっ
き材(試験番号65,66)を比較例として使用した。
【0028】表4の調査結果にみられるように、本発明
に従った試験番号51〜60は、何れも全ての試験で良
好な結果を示した。他方、ブライト調質圧延前のめっき
面の光沢度が400未満のNiめっき材(試験番号6
1),ブライト調質圧延の伸び率が0.1%のNiめっ
き材(試験番号64),ワット浴から得られたNiめっ
き材(試験番号65)では、ブライト調質圧延後の光沢
性が劣っていた。また、ブライト調質圧延前の光沢度が
400未満の全硫酸塩めっき浴から得られたNiめっき
材(試験番号63),ワット浴から得られたNiめっき
材(試験番号66)に高伸び率のブライト調質圧延で光
沢を付与した試験材では、プレス成形性が劣っていた。
上層Niめっき層の膜厚が0.5μmのNiめっき材
(試験番号62)は、促進劣化試験後の接触抵抗が高い
値を示した。
【0029】
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に従って
製造されたNiめっきステンレス鋼板は、良好な光沢の
あるめっき面を呈し、接触抵抗の経時変化も小さく、プ
レス成形性に優れている。そのため、高光沢Niめっき
及び低接触抵抗が要求される電池缶材料,接点用バネ材
を始めとして各種分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従って光沢性を付与したNiめっき
ステンレス鋼板を電子顕微鏡で観察した表面形態の写真
を無光沢Niめっき材の表面形態の写真と比較した図表
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月31日(1999.3.3
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 勝 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 和泉 圭二 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K023 AA01 AA12 BA06 DA02 DA07 DA08 4K024 AA03 AB01 AB02 BA04 BB18 DA09 DB07 GA02 GA16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面粗さがRa0.050μm以下のフ
    ェライト系ステンレス鋼板をめっき原板とし、陰極析出
    効率15〜30%のNiめっき浴を用いて膜厚0.02
    〜0.25μmのNiストライクめっき層を鋼板表面に
    形成し、次いで陰極析出効率90%以上のNiめっき浴
    を用いて膜厚1〜5μmのNiめっき層を形成し、得ら
    れた表面光沢度400以上のNiめっきステンレス鋼板
    を伸び率0.2〜1%でブライト調質圧延することを特
    徴とする光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステン
    レス鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 表面粗さがRa0.050μm以下のオ
    ーステナイト系ステンレス鋼板をめっき原板とし、陰極
    析出効率15〜65%のNiめっき浴を用いて膜厚0.
    02〜0.25μmのNiストライクめっき層を鋼板表
    面に形成し、次いで陰極析出効率90%以上のNiめっ
    き浴を用いて膜厚1〜5μmのNiめっき層を形成し、
    得られた表面光沢度400以上のNiめっきステンレス
    鋼板を伸び率0.2〜1%でブライト調質圧延すること
    を特徴とする光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきス
    テンレス鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 全硫酸塩浴を用いてNiめっきする請求
    項1又は2記載の光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっ
    きステンレス鋼板の製造方法。
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