JP3962502B2 - 光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステンレス鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電池缶用,接点用バネ材等に使用され、接触抵抗が低く光沢度の高いNiめっきステンレス鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池缶,接点用バネ材等の素材として、優れた耐食性及び低接触抵抗を活用して、ステンレス鋼を原板としたNiめっき材が使用されている。この種の用途では、見栄えを良くするため光沢のあるNiめっき材が要求される。
ステンレス鋼板は、表面に不動態皮膜が形成されているため、陰極析出効率の高いめっき浴でめっきしても密着性の良好なめっき層が形成されない。そこで、Niめっき層の形成には、ストライクめっきした後で必要膜厚のめっき層を形成する方法が通常採用されている。ストライクめっきには、塩化ニッケル及び塩酸からなるpH1以下のウッド浴が使用され、低い陰極析出効率でストライクめっき層が形成される。次いで、陰極析出効率がほぼ100%のワット浴,スルファミン酸浴等のめっき浴を用いてストライクめっき層の上に厚膜のNiめっき層を形成している。
上層のNiめっき層に光沢を付与する方法としては、有機化合物からなる光沢剤を添加しためっき浴の使用,無光沢Niめっきを施した後でバフ研磨する方法等が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
光沢剤を添加しためっき浴を用いて光沢Niめっき層を形成する方法を工業的規模の連続めっきに適用すると、めっき浴中の光沢剤成分が電解反応で早期に消耗するため、光沢剤の頻繁な補給が必要になる。また、めっき浴に含まれている光沢剤の濃度管理が非常に難しく、しかも高価な光沢剤を消費するため製造コストが高くなる。
また、電池缶,接点用バネ材等の用途では、Niめっき層の接触抵抗が性能を決定する重要な要因の一つである。光沢剤無添加のめっき浴から形成された無光沢Niめっき層の初期接触抵抗は10mΩ以下であるが、光沢剤を添加しためっき浴で得られる光沢Niめっき層は100mΩ以上の非常に高い初期接触抵抗を示す。そのため、光沢Niめっきされたステンレス鋼板は、光沢性に優れているものの接触抵抗の点で電池缶,接点用バネ材等の要求特性を十分に満足していない。
他方、無光沢Niめっき層をバフ研磨して光沢を付与する方法では、バフ研磨でNiめっき層が削り取られることから、必要以上のNiめっきを施すことが必要になる。しかも、バフ研磨中の加熱によりNiめっき層の表面に不動態皮膜が形成され、初期接触抵抗が約70mΩと高くなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、表面粗さを調整したステンレス鋼をめっき原板とし、その上に特定条件下でストライクめっき及び本めっきを施して得られた光沢度400以上のNiめっきステンレス鋼板をブライト調質圧延することにより、光沢剤の添加を必要とすることなく、光沢度に優れ接触抵抗が低く電池缶,バネ用接点材として好適なNiめっきステンレス鋼板を製造することを目的とする。
本発明の製造方法は、その目的を達成するため、表面粗さがRa0.050μm以下のフェライト系ステンレス鋼板又はオーステナイト系ステンレス鋼板をめっき原板として使用する。
【0005】
フェライト系ステンレス鋼板をめっき原板にする場合、陰極析出効率15〜30%のNiめっき浴を用いて膜厚0.02〜0.25μmのNiストライクめっき層を鋼板表面に形成する。オーステナイト系ステンレス鋼板をめっき原板にする場合、陰極析出効率15〜65%のNiめっき浴を用いて膜厚0.02〜0.25μmのNiストライクめっき層を鋼板表面に形成する。次いでフェライト系,オーステナイト系共に陰極析出効率90%以上のNiめっき浴を用いて膜厚1〜5μmのNiめっき層を形成することで表面光沢度400以上のNiめっきステンレス鋼板が得られる。このNiめっきステンレス鋼板に伸び率0.2〜1%のブライト調質圧延を施すと、光沢性が付与される。
【0006】
【作用】
本発明者等は、Niめっき層の光沢性が維持される条件下で、電池缶,接点用バネ材等に要求される接触抵抗に及ぼす素材,めっき条件,ブライト調質圧延等の影響を調査検討した。その結果、めっき原板として使用されるステンレス鋼板の表面粗さ,陰極析出効率及びブライト調質圧延時の伸び率等でNiめっき層の光沢度,接触抵抗及びプレス成形性が変わり、本発明で規定する条件を満足するとき光沢性,接触抵抗及びプレス成形性の全てが満足されるNiめっきステンレス鋼板が得られることを見出した。
【0007】
[めっき原板の表面粗さ]
Niめっき用原板として使用されるステンレス鋼板の表面粗さが大きいと、Niストライクめっきを施しても十分に平滑化されず、Niストライクめっき層の上に形成されるNiめっき層の電析粒が大きくなる。その結果、光沢性のあるNiめっき層が得られない。Niストライクめっきによる平滑化作用は、フェライト系及びオーステナイト系ステンレス鋼板共に表面粗さがRa0.050μm以下にすることにより達成される。Ra0.050μmを超える表面粗さでは、ストライクめっき及び本めっきの膜厚や陰極析出効率を如何に変化させても良好な光沢が得られない。
【0008】
[Niストライクめっき]
フェライト系ステンレス鋼板でNiめっき層の表面に光沢性を付与するためには、ストライクめっき浴の陰極析出効率を15〜30%に調整することが必要である。15%未満の陰極析出効率では、ステンレス鋼板表面における水素の還元反応が激しくなり、角状結晶としてNiストライクめっき層が電解析出し、めっき膜厚,電流密度等のめっき条件を変化させても十分な平滑化作用が得られない。そのため、Niストライクめっき層の上に形成される厚膜Niめっき層は、Niストライクめっき層の電析形態に影響され、光沢性に劣る白味がかった表面を呈する。逆に陰極析出効率が30%を超えると、ステンレス鋼板表面における水素の還元反応による活性化が弱まり、鋼板に対するNiストライクめっき層の密着性が低下する。
【0009】
また、オーステナイト系ステンレス鋼板でNiめっき層の表面に光沢性を付与するためには、ストライクめっき浴の陰極析出効率を15〜65%の範囲に調整する。この場合、陰極析出効率が15%未満では、フェライト系ステンレス鋼と同様に十分な平滑化作用が得られない。しかし、65%を超える陰極析出効率では、鋼板に対するNiストライクめっき層の密着性が低下する。
Niストライクめっき層は、0.02〜0.25μm(好ましくは0.05〜0.15μm)の膜厚でステンレス鋼板表面に形成される。膜厚が0.02μmに達しないNiストライクめっき層では、均一なめっきを施すことが困難になり、良好なめっき密着性が得られない。しかし、Niストライクめっき層は陰極析出効率の低いめっき浴で形成されるため、0.25μmを超える膜厚になるとNiストライクめっき面の角状電析物が粗大化し易い。粗大化した角状電析物は、Niストライクめっき層の上に形成されるNiめっき層に悪影響を及ぼし、白味を帯び光沢度の低いめっき面が形成される原因となる。
【0010】
[Niめっき]
Niストライクめっき層の上に形成されるNiめっき層は、全硫酸塩からなるめっき浴を用い、90%以上の陰極析出効率で形成される。陰極析出効率が90%を下回ると電析粒が角状結晶になり、めっき面の光沢度が400未満となって本発明で規定した範囲を外れ、その後のブライト調質圧延でプレス成形品の表面形状に影響を与える高伸び率でなければ光沢を付与できなくなる。また、陰極析出効率の低いめっき浴を用いたNiめっき層の形成は、工業的規模で連続めっきする際の生産性を低下させることにもなる。
Niめっき層は、過酷な環境においても低い接触抵抗を維持するために1μm以上の膜厚で形成することが好ましい。1μm未満の膜厚では酸化による影響が大きくなり、過酷な環境に曝される雰囲気で長時間使用すると接触抵抗が上昇する。しかし、5μmを超える厚めっきは、高価なNiを多量に消費することから経済的でない。
【0011】
[ブライト調質圧延]
本発明で規定する条件でNiストライクめっき層を鋼板表面に形成し、その上にNiめっき層を形成した鋼板のめっき層表面は、400以上の光沢度を呈する。このNiめっきステンレス鋼板に320番手以上の仕上げロールを用いた軽伸び率0.2〜1%のブライト調質圧延を施すと、光沢剤を添加しためっき浴で得られる光沢Niめっきステンレス鋼板の表面光沢度である1000以上のレベルのNiめっきステンレス鋼板が製造可能になる。めっき層表面の光沢度が400未満のNiめっきステンレス鋼をブライト調質圧延して光沢Niめっきレベルの光沢度を得ようとすると、鋼板の機械的特性の0.2%耐力や伸びに影響を及ぼすほどの高伸び率でブライト調質圧延することが必要になる。ブライト調質圧延時の伸び率が0.2%未満では、Niめっき層の表面光沢度が400以上であっても十分な光沢が得られない。また、伸び率が1%を超えると、光沢Niめっきレベル以上の光沢度が得られるものの、0.2%耐力,伸び等の機械的特性に悪影響が現れ、良好なプレス成形性が得られない。
【0012】
【実施例1】
表面粗さRa0.046μmのSUS430ステンレス鋼板及びRa0.043μmのSUS304ステンレス鋼板をめっき原板とし、陰極析出効率がSUS430では約30%,SUS304では約60%の全硫酸塩めっき浴で電流密度0.5kA/m2 ,めっき膜厚0.2μmのストライクめっきを施した。同じく全硫酸塩からなる析出効率90%以上のめっき浴を用い、ストライクめっき層上に電流密度1.0kA/m2 で膜厚3μmのNiめっき層を形成した。得られたNiめっき材の表面光沢度を測定すると520であった。しかし、同じめっき原板,電流密度及びめっき膜厚の条件下でウッド浴を用いてNiストライクめっき層を形成した後、その上層に光沢剤を添加していないワット浴で無光沢Niめっきを施しためっき材の表面光沢度を測定すると250程度であった。
【0013】
Niめっき材の表面光沢度に差が現れた原因を調査するため、めっき材の表面を電子顕微鏡で観察した。観察結果を図1に示す。
全硫酸塩浴から得られたNiめっき層の表面は微細な球状電析形態を呈していたが、ウッド浴とワット浴との組合せで得られたNiめっき層の表面には粗大化した角状電析物が生成していた。電析粒の形態が異なる理由は不明であるが、何れにしろ電析形態の相違がめっき面の平滑性に影響を及ぼし、光沢度に差が生じたものと推察される。また、得られためっき材を用いて初期接触抵抗を測定したところ、何れも光沢剤を添加していないめっき浴から得られたNiめっき層であるため10mΩ以下の低い値を示した。
これらNiめっき材のめっき層表面に光沢性を付与するため320番手仕上げロールを用いてブライト調質圧延した。ブライト調質圧延では、圧延後のめっき層表面の光沢度の目標レベルを光沢剤を添加したワット浴から得られた光沢Niめっき層の光沢度1000以上に設定した。
【0014】
全硫酸塩浴から得られたNiめっき材は、光沢Niめっきレベルの光沢度を得るためにはブライト調質圧延時の伸び率が0.2%であったが、ウッド浴とワット浴との組合せから得られたNiめっき材は伸び率を3%にする必要があった。また、ブライト調質圧延前後でめっき材の機械的性質を調査したところ、全硫酸塩浴から得られたNiめっき材ではブライト調質圧延後に0.2%耐力及び伸びに大きな変化がなかったのに対し、ウッド浴とワット浴との組合せから得られたNiめっき材ではブライト調質圧延後に0.2%耐力及び伸びが著しく劣化していた。高伸び率の調質圧延で機械的特性が劣化した鋼板をプレス成形すると、成形品の平坦部に面状の形状欠陥であるペコと称される面歪みが発生し、意匠性に劣ったものとなる。したがって、調質圧延は、機械的性質に影響を及ぼさない程度の軽伸び率0.2〜1%に設定する必要があることが判った。
以上のことから、接触抵抗が低く、良好なプレス成形性が得られ、ブライト調質圧延でNiめっき面に光沢性を付与するためには、全硫酸塩からなるNiめっき浴を用いストライクめっき及び本めっきを施すことが有効なことが確認される。
【0015】
【実施例2】
表面粗さがRa0.038〜0.064μmに調整された板厚0.25mmのSUS430ステンレス鋼板をめっき原板として使用した。オルトケイ酸ソーダ50g/l,浴温60℃のアルカリ電解浴にめっき原板を浸漬し、電流密度0.5kA/m2 で10秒間陰極電解することにより電解脱脂した。次いで、硫酸10g/l,浴温30℃の全硫酸塩浴に10秒間浸漬することにより、めっき原板を硫酸酸洗した。
酸洗されためっき原板をNiストライクめっき浴に浸漬し、膜厚0.01〜0.5μmのNiストライクめっき層を形成した。使用したNiストライクめっき浴は以下に掲げる組成をもち、硫酸ニッケル濃度及びめっき浴のpHを調整することにより、陰極析出効率を10〜40%の範囲に変化させた。
Figure 0003962502
【0016】
Niストライクめっきされたステンレス鋼板を水洗した後、次の条件下で膜厚0.5〜5μmのNiめっき層を形成した。
Figure 0003962502
得られたNiめっきステンレス鋼板を180度密着曲げテープ剥離試験に供し、めっき密着性を調査した。めっき密着性は、テープ剥離試験でめっき剥離が検出されなかったものを○,部分剥離を含めめっき層の剥離が検出されたものを×と評価した。
【0017】
良好なめっき密着性を示したNiめっきステンレス鋼板について、めっき面の光沢度及び初期接触抵抗を測定した。
光沢度は、ポータブル表面光沢度計(株式会社村上色彩研究所製)を用い測定角度20度で測定し、その数値を示した。
初期接触抵抗は、接触抵抗分布測定器(株式会社山崎精機研究所製)を用い印加電流10mA,接触荷重100gfの条件下で測定した。ステンレス鋼板に対するNiめっきとして一般に使用されているウッド浴でNiストライクめっきした後、ワット浴でNiめっきしためっき材の初期接触抵抗は10mΩ以下である。そこで、この接触抵抗値を基準とし、10mΩ未満の接触抵抗を示したものを○,10mΩ以上のものを×と評価した。なお、ウッド浴で膜厚0.2μmのNiストライクめっきをした後、光沢剤を添加したワット浴で膜厚3μmの光沢Niめっきを施しためっき材(試験番号16)及び光沢剤を添加しないめっき浴で膜厚3μmの無光沢Niめっきを施しためっき材(試験番号17)を比較例として使用した。
【0018】
表1の調査結果にみられるように、本発明に従った試験番号1〜10では、何れも光沢度は400以上で、めっき密着性が良好で、初期接触抵抗は低い値を示した。これに対し、めっき原板の表面粗さが大きな試験番号11,厚膜のNiストライクめっき層を形成した試験番号12,低い陰極析出効率でNiストライクめっき層を形成した試験番号14で,無光沢めっき浴を用いてNiめっき層を形成した試験番号17は、形成されためっき面の光沢度が400未満であった。陰極析出効率が高い試験番号13,薄いNiめっき層を形成した試験番号15では、めっき密着性が劣っていた。また、光沢剤を添加しためっき浴を用いて光沢Niめっき層を形成した試験番号16は、初期接触抵抗が高い値を示した。
【0019】
Figure 0003962502
【0020】
【実施例3】
表面粗さをRa0.035〜0.066μmに調整した板厚0.25mmのSUS304ステンレス鋼板をめっき原板に使用した。実施例2と同様に前処理した後、膜厚0.01〜0.50μmのNiストライクめっき層を形成した。このとき、ストライクめっき浴の硫酸ニッケル濃度及びpHの調整により、陰極析出効率を10〜70%の範囲で変化させた。次いで、膜厚1〜5μmのNiめっき層を実施例2と同じ条件で形成した。
得られためっき材について、実施例2と同様にめっき密着性,めっき面の光沢度及び初期接触抵抗を調査した。なお、実施例2と同様の条件下で得られた膜厚3μmの光沢Niめっき材(試験番号33)及び膜厚3μmの無光沢Niめっき材(試験番号34)を比較例として使用した。
【0021】
表2の調査結果にみられるように、本発明に従った試験番号18〜27では、何れも全ての試験で良好な結果を示した。これに対し、めっき原板の表面粗さが大きな試験番号28,厚膜のNiストライクめっき層を形成した試験番号29,低い陰極析出効率でNiストライクめっき層を形成した試験番号31,無光沢めっき浴でNiめっき層を形成した試験番号34は、形成されためっき面の光沢度が400未満となった。陰極析出効率が高い試験番号30,薄いNiストライクめっき層を形成した試験番号32では、めっき密着性が劣っていた。また、光沢剤を添加しためっき浴で光沢Niめっき層を形成した試験番号33は、初期接触電気抵抗が高い値を示した。
【0022】
Figure 0003962502
【0023】
【実施例4】
表面粗さをRa0.046μmに調整した板厚0.25mmのSUS430ステンレス鋼板をめっき原板に使用した。実施例2と同様にめっき原板を前処理した後、ストライクめっき浴の陰極析出効率及びストライクめっき膜厚を変化させた。次いで、Niストライクめっき層の上に膜厚0.5〜5μmのNiめっき層を実施例2と同様に形成し、めっき面の光沢度を変化させた。
得られたNiめっきステンレス鋼板に320番手仕上げロールを用いたブライト調質圧延を施した。ブライト調質圧延では伸び率を変化させた。ブライト調質圧延後、光沢度,プレス成形性及び促進劣化試験後の接触抵抗を測定した。
光沢度は、実施例2と同様に光沢剤を添加しためっき浴で光沢Niめっき層を形成しためっき材の光沢度を基準として評価した。プレス成形性は、外径40mm,成形高さ30mmに100個カップ絞りし、成形品頭部の表面形状を調査し、不良発生の有無を非接触高さ計で測定し評価した。評価方法は、成形品100個中、形状不良発生率が0%のものを○,1〜10%を△,10%以上を×と評価した。
【0024】
促進劣化試験では、温度60℃,相対湿度90%の恒温恒湿槽に試験片を80日間放置し、促進劣化試験後の接触抵抗を測定した。ステンレス鋼板に対するNiめっきとして一般的に使用されているウッド浴でNiストライクめっきを施した後、ワット浴でNiめっきしたNiめっき材を同じ促進劣化試験に供した場合、接触抵抗が40〜50mΩであった。そこで、この接触抵抗を基準とし、50mΩ未満の接触抵抗を示した試験片を○,50mΩ以上のものを×と評価した。本実施例では、ワット浴から得られた無光沢Niめっき材(試験番号49,50)を比較例として使用した。
【0025】
表3の調査結果にみられるように、本発明に従った試験番号35〜44は、何れも全ての試験で良好な結果を示した。他方、ブライト調質圧延前のめっき面の光沢度が400未満のNiめっき材(試験番号45),ブライト調質圧延の伸び率が0.1%のNiめっき材(試験番号48),ワット浴から得られたNiめっき材(試験番号49)では、ブライト調質圧延後の光沢性が劣っていた。また、ブライト調質圧延前の光沢度が400未満の全硫酸塩めっき浴から得られたNiめっき材(試験番号47),ワット浴から得られたNiめっき材(試験番号50)に高伸び率のブライト調質圧延で光沢を付与した試験材では、プレス成形性が劣っていた。上層Niめっき層の膜厚が0.5μmのNiめっき材(試験番号46)は、促進劣化試験後の接触抵抗が高い値を示した。
【0026】
Figure 0003962502
【0027】
【実施例5】
表面粗さをRa0.043μmに調整した板厚0.25mmのSUS304ステンレス鋼板をめっき原板に使用した。実施例2と同様にめっき原板を前処理した後、ストライクめっき浴の陰極析出効率及びストライクめっき膜厚を変化させた。次いで、Niストライクめっき層の上に膜厚0.5〜5μmのNiめっき層を実施例2と同様に形成し、めっき面の光沢度を変化させた。
得られたNiめっきステンレス鋼板に320番手仕上げロールを用いたブライト調質圧延を施した。ブライト調質圧延では伸び率を変化させた。ブライト調質圧延後、実施例4と同様に光沢度,プレス成形性及び促進劣化試験後の接触電気抵抗を測定した。なお、全硫酸塩のめっき浴から得られたNiめっき材は、ブライト調質圧延前に308N/mm2 の0.2%耐力を示した。また、実施例2及びワット浴から得られた無光沢Niめっき材(試験番号65,66)を比較例として使用した。
【0028】
表4の調査結果にみられるように、本発明に従った試験番号51〜60は、何れも全ての試験で良好な結果を示した。他方、ブライト調質圧延前のめっき面の光沢度が400未満のNiめっき材(試験番号61),ブライト調質圧延の伸び率が0.1%のNiめっき材(試験番号64),ワット浴から得られたNiめっき材(試験番号65)では、ブライト調質圧延後の光沢性が劣っていた。また、ブライト調質圧延前の光沢度が400未満の全硫酸塩めっき浴から得られたNiめっき材(試験番号63),ワット浴から得られたNiめっき材(試験番号66)に高伸び率のブライト調質圧延で光沢を付与した試験材では、プレス成形性が劣っていた。上層Niめっき層の膜厚が0.5μmのNiめっき材(試験番号62)は、促進劣化試験後の接触抵抗が高い値を示した。
【0029】
Figure 0003962502
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に従って製造されたNiめっきステンレス鋼板は、良好な光沢のあるめっき面を呈し、接触抵抗の経時変化も小さく、プレス成形性に優れている。そのため、高光沢Niめっき及び低接触抵抗が要求される電池缶材料,接点用バネ材を始めとして各種分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従って光沢性を付与したNiめっきステンレス鋼板を電子顕微鏡で観察した表面形態の写真を無光沢Niめっき材の表面形態の写真と比較した図表

Claims (3)

  1. 表面粗さがRa0.050μm以下のフェライト系ステンレス鋼板をめっき原板とし、陰極析出効率15〜30%のNiめっき浴を用いて膜厚0.02〜0.25μmのNiストライクめっき層を鋼板表面に形成し、次いで陰極析出効率90%以上のNiめっき浴を用いて膜厚1〜5μmのNiめっき層を形成し、得られた表面光沢度400以上のNiめっきステンレス鋼板を伸び率0.2〜1%でブライト調質圧延することを特徴とする光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステンレス鋼板の製造方法。
  2. 表面粗さがRa0.050μm以下のオーステナイト系ステンレス鋼板をめっき原板とし、陰極析出効率15〜65%のNiめっき浴を用いて膜厚0.02〜0.25μmのNiストライクめっき層を鋼板表面に形成し、次いで陰極析出効率90%以上のNiめっき浴を用いて膜厚1〜5μmのNiめっき層を形成し、得られた表面光沢度400以上のNiめっきステンレス鋼板を伸び率0.2〜1%でブライト調質圧延することを特徴とする光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステンレス鋼板の製造方法。
  3. 全硫酸塩浴を用いてNiめっきする請求項1又は2記載の光沢度に優れ接触抵抗が低いNiめっきステンレス鋼板の製造方法。
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