JP2000282167A - 靱性に優れた低降伏比型鋼材及び鋼管並びにそれらの製造方法 - Google Patents

靱性に優れた低降伏比型鋼材及び鋼管並びにそれらの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温で降伏比が低く、靱性に優れかつ高温で
の強度特性に優れる鋼材及び鋼管並びにこれらの製造方
法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.03% 以下、Si:1% 以下、
Mn:0.1〜2%、S:0.02% 以下、Al:0.01 〜0.1%、Nb:0.04
〜1%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、か
つNb含有量が下記(1)式を満足し、ミクロ組織がポリ
ゴナルフェライトとベイナイトを含む低温生成相との混
合組織であって、板厚方向平均のベイナイトを含む低温
生成相の面積率が5%超90% 未満であり、vTrsが -40℃以
下で、かつ0℃での吸収エネルギーが47J以上であるこ
とを特徴とする靭性に優れた低降伏 比型鋼材。Nb≧0.1+7.74C-1.94Ti+6.63N・・・(1)式

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築分野で使用さ
れる、常温で低降伏比を持ち、高温強度特性と靭性に優
れた低降伏比型鋼材と鋼管及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物の耐震性の観点から、常温
での降伏比を下げ、靱性を向上させることが強く望まれ
るようになってきた。この様な要求に対して、例えば特
開平9−41035号公報には、NbとTiの内1種ま
たは2種を(Ti+Nb/2)C≧4を満足して含有さ
せ、ミクロ組織をベイナイティックフェライトを含まな
い100%ポリゴナルフェライトとすることで、低YR
と高靱性を両立する鋼板を製造できるという発明が開示
されている。
【0003】また、昭和62年の建築基準法の改正等に
より、建築用鋼材に対して高温において十分な強度が確
保できれば、鋼材の温度上昇を抑えるために通常構造部
表面に実施されるロックウール等の耐火被覆を必ずしも
施す必要が無くなった。この様な状況に対応して、成分
を調整することによって高温強度を確保する鋼材に関す
る発明が提案されてきた。例えば、特開平2−2824
19号公報に開示されている発明では、高温強度を確保
するために炭化物形成元素であるNb,Mo等を添加
し、これらの元素の高温における微細炭化物の析出によ
る析出強化を利用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】建築物の耐震性の観点
からの常温での低降伏比化の要請に対して、前記特開平
2−282419号公報記載の発明では、Nb,Mo等
の添加物が熱間圧延後の巻取段階で析出して、常温での
降伏強度が、従って結果として降伏比が上昇するため
に、低降伏比の鋼板を得ることが困難であった。特に、
実際に建築構造物として使用されるまでに鋼材に冷間加
工が加えられる場合には、冷間加工によって導入される
歪みによって、鋼材の降伏強度が製造時よりも高くな
り、実際の使用環境での低降伏比が達成できなくなる。
したがって、実使用前に冷間加工(例えば円形や角形等
の閉断面への加工)が加わる場合には、製造完了段階で
より低い降伏強度、すなわち低い降伏比を達成する必要
がある。
【0005】また、前記特開平2−205625号公報
記載の発明では、高価なNiも同時に添加する必要があ
り、安価な建築構造部品用鋼材を提供することはできな
い。更に、前記特開平5−222484号公報記載の発
明による鋼板でも、造管時の降伏強度の上昇が大きく、
造管後に十分な低降伏比が得られないという問題があっ
た。
【0006】また、前記特開平9−41035号公報記
載の発明による鋼板は、ミクロ組織を100%ポリゴナ
ルフェライトとしているため、常温での低YRと高い靱
性の確保は達成しているものの、加工後の靱性や高温で
の強度が十分とはいえないという問題があった。このよ
うな技術の状況に鑑みて、本発明の具体的な目的は、v
Trsが−40℃以下で更に0℃での吸収エネルギーが
47J以上で、同時に常温でのYRが75%以下でかつ
相当歪みで5%の冷間加工後のYRが90%以下である
という極めて高い靱性と低いYR及び高い高温強度を持
った鋼材及び、造管後常温でのYRが90%以下であ
り、同時にvTrsが−40℃以下で更に−40℃での
吸収エネルギーが47J以上という極めて高い靱性と低
いYRを有する鋼管及び、必要に応じて、600℃での
降伏応力が197MPa以上という高い高温強度を兼ね
備えた鋼管、並びにこれらの製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の実
験、研究を重ねた結果、鋼材に含有されるCを低減し、
Nbを固溶の状態で存在させ、更に鋼材のミクロ組織を
適切に制御することによって、常温で降伏比が低く、靱
性に優れかつ高温での強度特性に優れる鋼材が得られる
ことを見いだした。すなわち、本発明の要旨とするとこ
ろは下記の通りである。 (1) 重量%で、 C :0.03%以下、 Si:1%以下、 Mn:0.1〜2%、 S:0.02%以下、 Al:0.01〜0.1%、 Nb:0.04〜1% を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつ
Nb含有量が下記(1)式を満足し、ミクロ組織がポリ
ゴナルフェライトとベイナイトを含む低温生成相との混
合組織であって、板厚方向平均のベイナイトを含む低温
生成相の面積率が5%超90%未満であり、vTrsが
−40℃以下で、かつ0℃での吸収エネルギーが47J
以上であることを特徴とする靭性に優れた低降伏比型鋼
材。 Nb≧0.1+7.74C-1.94Ti+6.63N・・・(1)式 (2) 重量%で、 C :0.03%以下、 Si:1%以下、 Mn:0.1〜2%、 S:0.02%以下、 Al:0.01〜0.1%、 Nb:0.04〜1% を含み、さらに、 Ti:0.25%以下、 B :0.0001〜0.01% の1種又は2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純
物からなり、かつNb含有量が下記(2)式を満足し、
ミクロ組織がポリゴナルフェライトとベイナイトを含む
低温生成相との混合組織であって、板厚方向平均のベイ
ナイトを含む低温生成相の面積率が5%超90%未満で
あり、vTrsが−40℃以下で、かつ0℃での吸収エ
ネルギーが47J以上であることを特徴とする靭性に優
れた低降伏比型鋼材。 Nb≧0.1+7.74C-1.94Ti+6.63(N-1.30B)・・・(2)式 (3) 鋼成分として、さらに重量%で、 Cu:2%以下、 Ni:1.5%以下、 Mo:1%以下、 V :0.25%以下、 Cr:1%以下 の1種若しくは2種以上を合計で2.5重量%以下含む
ことを特徴とする前記(1)又は(2)記載の靭性に優
れた低降伏比型鋼材。 (4) 鋼成分として、さらに重量%で、 Ca:0.0005〜0.005%、Rem:0.001〜0.02% の1種若しくは2種を含むことを特徴とする前記(1)
〜(3)のいずれかに記載の靭性に優れた低降伏比型鋼
材。 (5) ポリゴナルフェライトの平均粒径が10μm以
下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれ
かに記載の靭性に優れた低降伏比型鋼材。 (6) 常温でのYRが75%以下で、更に相当歪みで
5%の冷間加工後における常温でのYRが90%以下で
あることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに
記載の靭性に優れた低降伏比型鋼材。 (7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載の鋼材を
製造する方法であって、鋳造後の鋼片を鋳造まま若しく
は一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱し熱
間加工により所定の形状に加工するに際して、加工終了
温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/sec以
上80℃/sec以下の冷却速度で770℃以下まで冷却す
ることを特徴とする靭性に優れた低降伏比型鋼材の製造
方法。 (8) 冷却した後、さらに熱間加工鋼材を冷間にて加
工することを特徴とする前記(7)記載の靭性に優れた
低降伏比型鋼材の製造方法。 (9) 冷間加工後、さらに450℃以上950℃以下
の温度で熱処理を行うことを特徴とする前記(8)記載
の靭性に優れた低降伏比型鋼材の製造方法。 (10) 前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の
鋼材が鋼管であることを特徴とする靭性に優れた低降伏
比型鋼管。 (11) 常温でのYRが90%以下で、vTrsが−
40℃以下でかつ−40℃での吸収エネルギーが47J
以上であることを特徴とする前記(10)記載の靭性に
優れた低降伏比型耐火用鋼管。 (12) 前記(10)又は(11)記載の鋼管を製造
する方法であって、鋳造後の鋼片を、鋳造まま若しくは
一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱してか
ら、加工終了温度がAr3−50℃以上の熱間加工によ
って造管し、その後0.1℃/sec以上80℃/sec以下の
冷却速度で770℃以下まで冷却することを特徴とする
靭性に優れた低降伏比型鋼管の製造方法。 (13) 前記(10)又は(11)記載の鋼管を製造
する方法であって、鋳造後の鋼片を、鋳造まま若しくは
一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱してか
ら、加工終了温度がAr3−50℃以上の熱間加工で所
定の形状とし、その後0.1℃/sec以上80℃/sec以下
の冷却速度で770℃以下まで冷却することを特徴とす
る靭性に優れた低降伏比型鋼管の製造方法。 (14) 前記(10)又は(11)記載の鋼管を製造
する方法であって、鋳造後の鋼片を鋳造まま若しくは一
旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱してか
ら、加工終了温度がAr3−50℃以上の熱間加工を施
し、その後0.1℃/sec以上80℃/sec以下の冷却速度
で770℃以下まで冷却し、得られた熱間圧延鋼板を溶
接して造管することを特徴とする靭性に優れた低降伏比
型鋼管の製造方法。 (15) 溶接により造管した後、さらに成形のための
冷間加工を施すことを特徴とする前記(14)記載の靭
性に優れた低降伏比型鋼管の製造方法。 (16) 溶接により円形断面の鋼管に造管した後、さ
らにロール成形によって角形断面に成形することを特徴
とする前記(14)記載の靭性に優れた低降伏比型鋼管
の製造方法。 (17) 常温におけるYRが90%以下で、600℃
における降伏強度が197MPa以上であることを特徴
とする前記(10)記載の靭性に優れた低降伏比型耐火
用鋼管。 (18) 得られた鋼管の600℃における降伏強度が
197MPa以上であることを特徴とする前記(12)
〜(16)のいずれかに記載の靱性に優れた低降伏比型
耐火用鋼管の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の鋼材及び鋼管は、固溶Nbによって高温
での転位との相互作用により高温強度を上昇させると同
時に、適正な成分添加によって常温での固溶Cや固溶N
を低減させ、製造プロセスで導入されている初期可動転
位の固着を回避することによって、常温での低い降伏強
度すなわち低いYRを達成し、同時にミクロ組織に鉄炭
化物をほとんど含まないベイナイトを適量導入すること
で、良好な靱性を達成したものである。
【0009】まず、鋼材の化学成分の限定理由について
述べる。Cは他の添加元素と結合して析出することで常
温及び高温での鋼材の強度を高めることができるが、C
が0.03重量%を超えると、後述する様に、固溶Nb
を確保するための添加元素量が不必要に多くなり、鋼材
の常温強度を必要以上に高めるのみならず、常温でのY
R(YR=引張り試験の降伏強度YS/最大強度TS×
100)を75%以下に保つことが困難となり、更には
経済的な不利益も生じる。また、Cが0.03重量%を
超えると、靱性向上のために重要な役割を果たすベイナ
イト中に鉄炭化物であるセメンタイトが析出し、靭性を
劣化させることから、Cの添加量を0.03重量%以下
とした。特に、製造完了後実使用の前に冷間加工が加え
られる場合には、冷間加工後のYRを下げる為にCを
0.015重量%以下とすることが望ましい。また、C
の下限については特に限定しないが、Cを0.0005
重量%以下にすることは、製鋼での脱ガス等の工程に大
きな負荷をかけることとなり、製造コスト上昇を招くこ
とから、Cは0.0005重量%超とすることが望まし
い。
【0010】Siは脱酸剤として利用されると共に、固
溶強化元素であり、比較的安価に鋼材の強度を上昇させ
ることができるが、多量の添加は常温での降伏強度を上
昇させ、YRを高くする。Si添加量が1重量%を超え
ると、常温でのYRを75%以下に保ち、相当歪みで5
%の冷間加工後のYRを90%以下に保つことが困難に
なることから、添加量を1重量%以下とする。また、特
に高い表面品位や、溶融めっき時のめっき割れ回避等が
強く要求される場合には、Si添加量を0.02重量%
以下とすることが望ましい。
【0011】MnはSiと同様に比較的安価な固溶強化
元素である。Mn添加量を0.1重量%未満とすること
はプロセス上コスト上昇につながることから、0.1重
量%をMn添加量の下限とした。また、Mn添加量が2
重量%を超えると、鋼の焼き入れ性が必要以上に高くな
り、所定のミクロ組織が得られなくなり、常温でのYR
を高めるために、その添加量の上限を2重量%とする。
【0012】Sは不可避的に含まれる元素であり、加工
性劣化や靱性の劣化の要因となるため、極力低減するこ
とが望ましい。しかしながら、その添加量を0.02重
量%以下とすることで、上記の材質劣化の傾向が飽和す
るために、その添加量の上限を0.02重量%とする。
なお、特に厳しい冷間での加工性が要求される場合に
は、Sの添加量を0.01重量%以下とすることが望ま
しい。
【0013】AlはSiと共に脱酸剤として使用される
が、この効果を発揮させるためには鋼中に0.01重量
%以上含有させることが必要である。−方、Alの添加
量が0.1重量%を超えると、鋼中におけるAl系の酸
化物の量が増加し、特に靱性を劣化させることから、そ
の添加量の上限を0.1重量%とする。
【0014】Nbは本発明において最も重要な添加元素
である。Nbは通常析出強化元素として添加される場合
が多く、この際にはCやNと結合することでほぼすべて
のNb元素が析出物の形態をとるように成分設計がなさ
れるのが一般的である。しかしながら、この様な鋼の強
度を上昇させる析出物は、同時に常温での降伏強度を上
昇させ、低いYRを得ることが困難となる。
【0015】−方、本発明者らの研究によると、固溶の
状態で存在するNbは、常温での靱性を著しく向上させ
るのみでなく、冷間加工後の靭性の劣化を抑制すること
が判明した。更に、高温での変形の際に転位と有効に相
互作用し、転位の移動や、粒界の移動を効果的に抑制す
ることで、高い高温強度を達成する。従って、添加した
NbをCやNとの結合で消費してしまわないよう、その
添加量を調整する必要がある。高温での強度上昇のため
にはNb添加量を増加することが望ましいが、その添加
量が1重量%を超えると、靱性向上や高温強度上昇の効
果が飽和すると共に、製造コストの上昇を招くことか
ら、Nbの添加量を1重量%以下とした。Nb添加量が
0.04重量%未満となった場合には、他の添加元素の
調整を行っても、高い靱性や高温強度が得られないため
に、添加量の下限を0.04重量%とした。
【0016】選択的に添加するTiは、Nbと結合する
可能性のあるCやNと結合し、靱性の向上と高温での強
度上昇に有効な固溶Nbの浪費を少なくすることで、靱
性を向上させたり高温強度を上げる働きがあるので、
0.002重量%以上添加することが望ましい。−方、
その添加量が0.25重量%を超えると、加工性の劣化
や、鋼材強度の不必要な上昇及び、常温でのYRの上昇
を招くことから、その添加量の上限を0.25重量%と
した。
【0017】選択的に添加するBは、Nbと結合する可
能性のあるNと結合し、靱性や高温での強度上昇に有効
な固溶Nbの浪費を少なくするばかりでなく、Nbとの
複合添加により、ミクロ組織の最適化や転位の移動度を
低下させることによって靱性や高温強度に対する固溶N
bの効果を助長する。Bの添加量が0.0001重量%
未満ではその効果は認められず、また、添加量が0.0
1重量%超では効果が飽和することから、添加量を0.
0001〜0.01重量%とする。
【0018】以上の成分に加えて、選択的に添加するC
u,Ni,Mo,V,Crは、それぞれ有効な鋼材の強
化元素であり、同時に靱性や疲労強度、高温強度を高め
る働きもあることから、それぞれ、0.005重量%、
0.005重量%、0.005重量%、0.002重量
%、0.005重量%以上添加することが望ましい。し
かしながら、これらの元素の添加量で、Cu添加量が2
重量%超、Ni添加量が1.5重量%超、Mo添加量が
1重量%超、V添加量が0.25重量%超、及びCr添
加量が1重量%超となった場合には、常温での降伏強度
の上昇量が大きくなり、常温でのYRを75%以下に保
ち、相当歪みで5%の冷間加工後のYRを90%以下に
保つことが困難になることから、これらを各元素の添加
量の上限とした。
【0019】また、この範囲であっても、これらの1種
若しくは2種以上の添加量合計が2.5重量%を超える
と、常温での降伏強度の上昇量が大きくなり、常温での
YRを75%以下に保ち、相当歪みで5%の冷間加工後
のYRを90%以下に保つことが困難になることから、
これを上記元素の1種または2種以上の添加量合計の上
限とした。これらの元素は積極的な添加を行っても良
く、また、スクラップ等からの混入を有効に利用しても
良い。
【0020】選択的に添加されるCa,Remは、いず
れも硫化物の形態を制御することで、耐サワー特性や靱
性、溶接性等を向上させる元素である。しかしながら、
Caが0.0005重量%未満、Remが0.001重
量%未満の場合にはその効果が発揮されず、また、Ca
が0.005重量%超、Remが0.02重量%超では
これらの効果が飽和するばかりでなく逆に酸化物起因で
靱性を劣化させるために、これらを各々の添加量の上
限、下限とした。
【0021】以上の限定範囲で成分が調整されるに際し
て、上記のごとく、靱性や高温での強度を上昇させる機
能は固溶Nbにあるために、固溶Nbを一定量以上確保
することが必要である。冷間での加工(相当歪みで5%
の冷間加工に相当)の有無に関わらず、Nbの含有量が
下記(2)式を満足する場合に常温での低いYRと高い
靱性が両立する。 Nb≧0.1+7.74C-1.94Ti+6.63(N-1.30B)・・・(2)式 但し、Ti含有量、B含有量が0の場合には上式でTi
=0,B=0とする。結果として、Nb含有量が上式を
満足する場合に、相当歪みで5%の冷間加工後のYRが
図1に示すように90%以下となる。
【0022】図1は、表1に鋼6として示される成分か
らなる鋼を鋳造後、本発明の範囲内の製造条件で熱延鋼
板とし、熱延まま及び、5%の冷間圧延(角形鋼管への
造管によって鋼管平坦部に導入される歪みの代表値とし
て選択した。)後の常温でのYRを測定し、5%冷間圧
延後のYRを図1の縦軸にし、計算固溶Nb量=上式の
左辺−右辺=Nb−{0.1+7.74C−1.94T
i+6.63(N−1.30B)}の値を横軸にしてプ
ロットした。また、Nb添加量が(2)式を満足する場
合には、図2に示すように、5%の冷間加工の有無に関
わらず、常温と600度での降伏応力(0.2%耐力)
の比が0.6以上という高い値となり、高温での強度に
も優れることが分かる。
【0023】この様な材質の鋼材を得るためには鋼材の
ミクロ組織を適切に制御することが不可欠である。本発
明の鋼のミクロ組織は、ポリゴナルフェライト(熱間圧
延のL断面相当位置での観察で、明瞭な粒界を有し、L
方向の粒径と板厚方向の粒径の比である軸比が2.5以
下の粒をポリゴナルフェライトと定義する。)以外にベ
イナイトを含む低温生成相(ここで、ポリゴナルフェラ
イト以外の低温生成相は、ベイナイト、マッシブフェラ
イト及びマルテンサイト等が含まれる。)の混合組織で
ある。これらのミクロ組織写真の例を図3に示す。
【0024】Nb等の炭化物形成元素によって、ほとん
どのCが析出物の形で固定された鋼ではベイナイト、マ
ッシブフェライト及びマルテンサイトは良く似た組織形
状を呈する。本発明範囲内の鋼においては、光学顕微鏡
で判断されるポリゴナルフェライト以外の組織のほとん
どはベイナイトとマッシブフェライトであり、図3に示
すように、軸比が2.5超の場合や、軸比がこれ以下で
あっても粒界が直線的でなかったり、粒内の欠陥起因と
思われる濃く腐食される場合がある。また、少なくとも
光学顕微鏡500倍以下のレベルでは、ピクリン酸腐食
した後でもセメンタイトと認識される粒は観察されな
い。電子顕微鏡レベルの倍率で観察すると、ベイナイト
粒の内部に非常に微細な炭化物を含む場合もあり、更
に、マルテンサイトと一部オーステナイトを含むような
島状の組織が観察されることもある。
【0025】鋼の成分が上記のすべての要件を満たす場
合で、熱間圧延のL断面相当位置での観察で、板厚方向
の平均でベイナイトを含む低温生成相の面積率が5%以
下の場合には、十分に高い高温強度を得ることができ
ず、特に冷間加工が行われる場合には、600℃でのY
Sと常温でのYSの比が低くなり、常温での低YRと高
温での高い降伏強度の両立が困難となるために、これを
板厚方向の平均でのベイナイトを含む低温生成相面積率
の下限とした。
【0026】また、ベイナイトを含む低温生成相の面積
率が増加すると、鋼の強度は上昇するが、同時に常温で
の降伏強度が上昇する。特に板厚方向の平均でのベイナ
イトを含む低温生成相面積率が90%以上の場合には、
常温での降伏強度の上昇量が大きくなり、常温でのYR
を75%以下に保ち、相当歪みで5%の冷間加工後のY
Rを90%以下に保つことが困難になることから、これ
を板厚方向平均でのベイナイトを含む低温生成相面積率
の上限とした。
【0027】この様な範囲のミクロ組織を得るために
は、適正な成分と製造条件の組み合わせが必要となる。
特にNb,Mn,Bはベイナイトを含む低温生成相を得
るのに有効な元素であり、それぞれが本発明の範囲であ
れば、以下に示す様な広い製造条件の範囲で、ベイナイ
トを含む低温生成相の面積率を5%超、95%未満に制
限することができる。
【0028】この様な面積率のベイナイトを含む低温生
成相が存在するときに優れた靱性を示す理由については
現在のところ明確にはなっていないが、固溶Nbによっ
て転位の移動が妨げられることや、従来の鋼で良く観察
される粒界炭化物が減少したこと、更にはポリゴナルフ
ェライトとベイナイトを含む低温生成相の複合組織化が
有効に働いているものと考えている。また、高温強度、
特に冷間加工後の高温強度が高くなる理由については、
現在のところ明確では無いが、固溶Nb若しくはクラス
ター状のNb及びNbとCの集合体がベイナイトを含む
低温生成相の粒内、及びこれらの低温生成相生成に伴っ
てその周囲のフェライト粒内に導入された変態に伴う転
位と相互作用することにより、冷間加工によって導入さ
れる転位を高温でも回復しにくくしていると考えてい
る。
【0029】また、本発明の鋼は、初期から適量のベイ
ナイトを含む低温生成相を含むと同時に、鋼中の固溶
C,Nを低減していることから、溶接によって導入され
る急速な熱履歴を受けても溶接部、HAZ部の硬度変化
が少なく、結果として溶接部の種々の材質劣化(靱性、
疲労特性、加工性等)が抑制される。
【0030】ミクロ組織の定量は熱間圧延鋼材のL断面
相当の位置で、板厚表面から板厚中心方向に向かって、
板厚の0.1倍、0.25倍、板厚中心の3カ所を光学
顕微鏡で観察し、写真撮影後にポイントカウント法を用
いて各位置での各組織の面積率を測定し、平均した。こ
の時、組織の面積率の測定は画像処理等の他の方法を用
いて行っても良い。
【0031】この様な鋼材を製造する場合には、上記成
分の鋼を鋳造し、得られた鋼片を直接若しくは一旦室温
を含むAr3変態点以下まで冷却した後に再加熱し熱間
加工を行う。また、この時の再加熱温度は特に制限しな
いが、生産性及び製造コストを考慮すると、1000℃
〜1300℃の範囲が望ましい。
【0032】熱間加工が板状で行われる場合には、厚板
の様な板状圧延でも、また連続熱延でも良く、更に、連
続熱延の仕上げ熱延入り口で複数のスラブを接続して連
続的に熱延しても良い。
【0033】また、熱間加工は型鋼や、棒鋼、線材若し
くは鋼管等の製造工程でも良く、また、継ぎ目無しの鋼
管製造や熱間押し出し等でも良い。
【0034】この時の熱間加工の終了温度は、鋼の成分
で決まるAr3変態点−50℃以上とする。熱間加工完
了温度がこれ未満となった場合には、鋼材にフェライト
の加工組織が残留し、冷間での加工性が劣化するばかり
でなく、常温でのYRが上昇するので、これを熱間加工
終了温度の下限値とする。熱間加工開始温度の上、下限
及び終了温度の上限に関しては特に制限しないが、生産
性の観点とスケール起因の表面品位の観点からは、熱間
加工終了温度は1000℃以下が望ましい。
【0035】熱間加工後、鋼材は室温まで冷却される
が、この時、熱間加工後冷却終了温度までの平均冷却速
度が0.1℃/sec未満の場合には冷却中にミクロ組織の
粗大化が進み、鋼材の強度を不必要に低下させると共
に、鋼材の靱性を劣化させるため、これを冷却速度の下
限とした。また、冷却終了温度までの平均冷却速度が8
0℃/sec超では、ベイナイト等の低温生成相の面積率の
増大を招き、適正なミクロ組織が得られないことから、
これを平均冷却速度の上限とした。この冷却の終了温度
が770℃超の場合にはミクロ組織が粗大化し、靱性を
劣化させるために、これを上限とした。最終的な鋼材表
面のスケールを薄くして、表面品位を高める目的から
は、冷却終了温度を650℃以下に限定することが望ま
しい。冷却終了温度の下限は特に定める必要は無いが、
冷却終了温度が100℃以下となる場合には、限られた
製造工程長さの中で必要以上に高い冷却速度を必要と
し、経済的なデメリットを生じるために、100℃超が
望ましい。
【0036】また、冷却終了後、連続熱延の場合には巻
取処理、その他の場合には空冷されるが、鋼材内での材
質バラツキを小さくしたい場合には、冷却停止温度を4
00℃以上とすることが望ましい。
【0037】また、この様な鋼材を熱間加工後冷間加工
によって所定の形状とする際には、上記方法によって製
造された熱間加工鋼材に所定の冷間加工(冷間圧延、冷
間曲げ、冷間プレス、冷間鍛造、冷間での拡管等)を施
し、そのまま若しくはその後熱処理を行って製品とす
る、この時、熱処理温度は450℃未満では常温でのY
R低下が十分でなく、950℃超では製造コストの上昇
を招くためにこれらを上、下限とした。
【0038】この様な鋼材を用いて鋼管を製造する場合
には、熱間での加工(高温での圧延、ロール成形、鍛
造、曲げ加工、拡管等を含む)によって所定の断面形状
の鋼管とする際に、上記の熱間加工の条件に従う方法で
良い。また、上記製造方法で製造された鋼板を冷間加工
後、溶接によって鋼管とする場合も、また、溶接によっ
て一旦鋼管の形状とした後、更に冷間加工によって所定
の断面形状に加工する場合も、また、溶接によって円形
鋼管とした後、ロール成形で角形の鋼管とする場合も含
まれる。ここで冷間加工とは、冷間でのロール成形、冷
間でのプレス成形、冷間での鍛造や冷間での拡管等を含
む。また、これらの鋼材、鋼管はそのままの使用でも、
溶融亜鉛めっき等の表面処理を施した後の使用でも良
い。
【0039】
【実施例】表1に示す各成分の鋼を鋳造し、表2に示し
た条件で熱延を完了した鋼板の、常温及び600℃での
機械的特性を調査した結果を同表に示した。相当歪みで
5%の冷間加工は、鋼板を角形鋼管に製造する際に鋼管
の平坦部に導入される歪みの代表として選択した。実際
に導入される歪みは相当歪みで2.5%〜6%程度と考
えられるが、鋼材の特性を代表させるためには5%程度
の相当歪み量での評価が適当であることが判明したため
に、ここでは5%の冷間加工を選択した。冷間加工の付
与方法は、実際の角形鋼管製造に近い、曲げ加工、プレ
ス加工、冷間圧延を比較したが、常温でのYR、靱性、
600℃での降伏強度共に、これらの加工形態で差が無
かったことから、ここでは5%の冷間圧延によって代表
させた。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】本発明の成分範囲である鋼1〜19は、表
2に示すように、製造条件が本発明の範囲内である場合
には、製造ままの鋼板の常温でのYR(表2中で無加工
材YR(%)と表示)が75%以下で、かつ、相当歪み
で5%の冷間加工後のYR(表2中で5%予加工材YR
(%)と表示)が90%以下で、更に、vTrsが−4
0℃以下でかつ0℃での吸収エネルギーが47J以上と
いう優れた靱性を持ち、5%予加工材の600℃での高
温強度が197MPaという高い高温強度を持つことが
分かる。
【0043】一方、表1の鋼20〜26はいずれかの成
分が本発明の範囲外であり、その結果、表2に示すよう
に、製造条件が本発明の範囲内であっても、製造ままの
鋼板の常温でのYRか、相当歪みで5%の冷間加工後の
YRか、vTrsのいずれかが本発明の範囲外となる。
また、鋼27はTi含有量が請求項2の範囲外である為
に、表2に示すように請求項6と11の範囲外となる。
【0044】また、本発明の範囲内の成分を有する鋼6
(Ar3=793℃)でも、熱延完了温度、冷却速度、
冷却完了温度のいずれかが本発明の範囲外であると、最
終的に得られる製造ままの鋼板の常温でのYRか、相当
歪みで5%冷間加工後のYRのいずれかが本発明の範囲
外となる。なお、Ar3温度(℃)はAr3=901−
325×%C+33×%Si−92×(%Mn+%Ni
/2+%Cr/2+%Cu/2+%Mo/2+%Nb/
2)を用いて計算した。
【0045】表3には、表1に示した鋼材の中から選択
した鋼6、9、21を熱間圧延鋼板とし、その後溶接に
よって円形鋼管にし、冷間のロール成形によって角型鋼
管とした後にその鋼管の平坦部からサンプルを採取し、
調査した機械的性質を示した。板厚と角形鋼管の外径と
の比が種々に変化しても、本発明例である鋼6、9は造
管後平坦部のYRが90%以下で、平坦部のvTrsが
−40℃以下でかつ−40℃での吸収エネルギーが47
J以上という優れた靱性を持ち、かつ600℃での平坦
部の降伏強度が197MPa以上という優れた高温強度
を持つ。しかしながら、本発明の範囲外である比較例の
鋼21は、常温でのYR、造管後のYR及び靭性、更に
は造管後の高温での降伏強度が本発明の範囲外となる。
【0046】
【表3】
【0047】本実験においては、常温での機械試験はJ
IS5号試験片を用い、JISZ2241に従って行
い、600℃での引張り試験はJISG0567に従っ
て行った。衝撃試験はJISZ2202に従って行っ
た。
【0048】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
製造まま及び相当歪みで5%の冷間加工後の常温でのY
Rが低く、かつ高温での降伏応力の高い靭性に優れた鋼
材、及び造管後のYRが低く、高靱性でかつ高温での降
伏応力の高い鋼管の製造が可能となり、これらの特性が
要求される土木、建築分野において優れた効果を発現す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼材の計算固溶Nb量=Nb-{0.1+7.74-1.94Ti+
6.63(N-1.30B)}(重量%)と、相当歪みで5%冷間加工
後(図中には5%予加工後と表示)の常温でのYRとの
関係を示す図である。
【図2】鋼材の計算固溶Nb量=Nb-{0.1+7.74-1.94Ti+
6.63(N-1.30B)}(重量%)と、製造まま(図中に無加工
材と表示)、及び相当歪みで5%の冷間加工後(図中に
5%予加工材と表示)の600℃での降伏強度(YS)
と常温の降伏強度の比の関係を示した図である。
【図3】本発明鋼である、表1の鋼6を、本発明の範囲
内の製造条件で熱間圧延して得られた熱延鋼板の表層か
ら板厚方向1/4の部分におけるミクロ組織の顕微鏡写
真である。但し、(a)は200倍で撮影した顕微鏡写
真、(b)は500倍で撮影した顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/58 C22C 38/58 (72)発明者 伊丹 淳 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA08 AA11 AA14 AA15 AA16 AA19 AA22 AA23 AA24 AA29 AA31 AA35 AA40 BA00 BA03 CC04 CD02 CD03 4K042 AA06 AA24 BA02 CA02 CA05 CA06 CA08 CA09 CA10 CA12 CA13 DC02 DE05 DE06 DF01

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.03%以下、 Si:1%以下、 Mn:0.1〜2%、 S:0.02%以下、 Al:0.01〜0.1%、 Nb:0.04〜1% を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつ
    Nb含有量が下記(1)式を満足し、ミクロ組織がポリ
    ゴナルフェライトとベイナイトを含む低温生成相との混
    合組織であって、板厚方向平均のベイナイトを含む低温
    生成相の面積率が5%超90%未満であり、vTrsが
    −40℃以下で、かつ0℃での吸収エネルギーが47J
    以上であることを特徴とする靭性に優れた低降伏比型鋼
    材。 Nb≧0.1+7.74C-1.94Ti+6.63N・・・(1)式
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.03%以下、 Si:1%以下、 Mn:0.1〜2%、 S:0.02%以下、 Al:0.01〜0.1%、 Nb:0.04〜1% を含み、さらに、 Ti:0.25%以下、 B :0.0001〜0.01% の1種又は2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純
    物からなり、かつNb含有量が下記(2)式を満足し、
    ミクロ組織がポリゴナルフェライトとベイナイトを含む
    低温生成相との混合組織であって、板厚方向平均のベイ
    ナイトを含む低温生成相の面積率が5%超90%未満で
    あり、vTrsが−40℃以下で、かつ0℃での吸収エ
    ネルギーが47J以上であることを特徴とする靭性に優
    れた低降伏比型鋼材。 Nb≧0.1+7.74C-1.94Ti+6.63(N-1.30B)・・・(2)式
  3. 【請求項3】 鋼成分として、さらに重量%で、 Cu:2%以下、 Ni:1.5%以下、 Mo:1%以下、 V :0.25%以下、 Cr:1%以下 の1種若しくは2種以上を合計で2.5重量%以下含む
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の靭性に優れた低
    降伏比型鋼材。
  4. 【請求項4】 鋼成分として、さらに重量%で、 Ca:0.0005〜0.005% Rem:0.001〜0.02% の1種若しくは2種を含むことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の靭性に優れた低降伏比型鋼
    材。
  5. 【請求項5】 ポリゴナルフェライトの平均粒径が10
    μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の靭性に優れた低降伏比型鋼材。
  6. 【請求項6】 常温でのYRが75%以下で、更に相当
    歪みで5%の冷間加工後における常温でのYRが90%
    以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の靭性に優れた低降伏比型鋼材。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼
    材を製造する方法であって、鋳造後の鋼片を鋳造まま若
    しくは一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱
    し熱間加工により所定の形状に加工するに際して、加工
    終了温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/s
    ec以上80℃/sec以下の冷却速度で770℃以下まで冷
    却することを特徴とする靭性に優れた低降伏比型鋼材の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 冷却した後、さらに熱間加工鋼材を冷間
    にて加工することを特徴とする請求項7記載の靭性に優
    れた低降伏比型鋼材の製造方法。
  9. 【請求項9】 冷間加工後、さらに450℃以上950
    ℃以下の温度で熱処理を行うことを特徴とする請求項8
    記載の靭性に優れた低降伏比型鋼材の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    鋼材が鋼管であることを特徴とする靭性に優れた低降伏
    比型鋼管。
  11. 【請求項11】 常温でのYRが90%以下で、vTr
    sが−40℃以下でかつ−40℃での吸収エネルギーが
    47J以上であることを特徴とする請求項10記載の靭
    性に優れた低降伏比型耐火用鋼管。
  12. 【請求項12】 請求項10又は11記載の鋼管を製造
    する方法であって、鋳造後の鋼片を、鋳造まま若しくは
    一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱してか
    ら、加工終了温度がAr3−50℃以上の熱間加工によ
    って造管し、その後0.1℃/sec以上80℃/sec以下の
    冷却速度で770℃以下まで冷却することを特徴とする
    靭性に優れた低降伏比型鋼管の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項10又は11記載の鋼管を製造
    する方法であって、鋳造後の鋼片を、鋳造まま若しくは
    一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱してか
    ら、加工終了温度がAr3−50℃以上の熱間加工で所
    定の形状とし、その後0.1℃/sec以上80℃/sec以下
    の冷却速度で770℃以下まで冷却することを特徴とす
    る靭性に優れた低降伏比型鋼管の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項10又は11記載の鋼管を製造
    する方法であって、鋳造後の鋼片を鋳造まま若しくは一
    旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱してか
    ら、加工終了温度がAr3−50℃以上の熱間加工を施
    し、その後0.1℃/sec以上80℃/sec以下の冷却速度
    で770℃以下まで冷却し、得られた熱間圧延鋼板を溶
    接して造管することを特徴とする靭性に優れた低降伏比
    型鋼管の製造方法。
  15. 【請求項15】 溶接により造管した後、さらに成形の
    ための冷間加工を施すことを特徴とする請求項14記載
    の靭性に優れた低降伏比型鋼管の製造方法。
  16. 【請求項16】 溶接により円形断面の鋼管に造管した
    後、さらにロール成形によって角形断面に成形すること
    を特徴とする請求項14記載の靭性に優れた低降伏比型
    鋼管の製造方法。
  17. 【請求項17】 常温におけるYRが90%以下で、6
    00℃における降伏強度が197MPa以上であること
    を特徴とする請求項10記載の靭性に優れた低降伏比型
    耐火用鋼管。
  18. 【請求項18】 得られた鋼管の600℃における降伏
    強度が197MPa以上であることを特徴とする請求項
    12〜16のいずれか1項に記載の靱性に優れた低降伏
    比型耐火用鋼管の製造方法。
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