JP2001348643A - 成形性の優れた鋼管およびその製造方法 - Google Patents
成形性の優れた鋼管およびその製造方法Info
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Abstract
その製造法を提供する。 【解決手段】 鋼管の軸方向のr値が1.4以上で、か
つ鋼板の1/2板厚における板面の{110}<110
>〜{332}<110>の方位群のX線ランダム強度
比の平均が3.5以上、および/又は鋼板の1/2板厚
における板面の{110}<110>のX線ランダム強
度比が5.0以上である、成形性の優れた鋼管。また、
母管の板厚中心における板面の{001}<110>、
{116}<110>、{114}<110>及び{1
12}<110>のすべての方位がX線ランダム強度比
で3以下の鋼管を650〜1200℃の温度範囲に加熱
し、縮径率30%以上、板厚減少率5〜30%となる加
工を施すことを特徴とする成形性に優れた鋼管の製造方
法。
Description
ネル類、足廻り、メンバーなどに用いられる鋼管及びそ
の製造方法に関するものである。特にハイドロフォーム
成形(特開平10−175027号公報参照)の用途に
好適である。本発明の鋼管は、表面処理をしないもの
と、防錆のために溶融亜鉛めっき、電気めっきなどの表
面処理を施したものの両方を含む。亜鉛めっきとは、純
亜鉛のほか、主成分が亜鉛である合金のめっきも含む。
本発明による鋼管は、特に軸押し力の働くハイドロフォ
ーム成形性に極めて優れており、ハイドロフォーム成形
時の自動車用部品の製造効率を向上させることができ
る。さらに、本発明は高強度鋼管にも適用できるため部
品の板厚を低減させることが可能となり、地球環境保全
に寄与できるものと考えられる。
強度化が望まれている。高強度化することで板厚減少に
よる軽量化や衝突時の安全性向上が可能となる。また、
最近では、複雑な形状の部位について、高強度鋼の鋼管
からハイドロフォーム法を用いて成形加工する試みが行
われている。これは、自動車の軽量化や低コスト化のニ
ーズに伴い、部品数の減少や溶接フランジ箇所の削減な
どを狙ったものである。このように、ハイドロフォーム
などの新しい成形加工方法が実際に採用されれば、コス
トの削減や設計の自由度が拡大されるなどの大きなメリ
ットが期待される。このようなハイドロフォーム成形の
メリットを充分に生かすためには、これらの新しい成形
法に適した材料が必要となる。本発明者らは特願200
0−52574号ににより、集合組織を制御した成形性
に優れた鋼管について提案している。
す深刻となる中、ハイドロフォーム成形に対してこれま
で以上に高強度の鋼管への要求が高まることは必至と考
えられるが、その際に成形性が従来以上に問題となって
くることは間違いない。本発明は、より一層成形性の良
好な鋼管およびそれを高いコストをかけることなく製造
する方法を提供するものである。
ォーム等の成形性に優れた材料の集合組織およびその制
御方法を見出し、これを限定することでハイドロフォー
ム等の成形性に優れた鋼管を提供するものである。即
ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。 (1)質量%で、 C :0.0005〜0.50%、 Si:0.001〜2.5%、 Mn:0.01〜3.0%、 P :0.001〜0.2%、 S :0.05%以下、 N :0.01%以下 を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、鋼管
の軸方向r値が1.4以上、かつ鋼板の1/2板厚にお
ける板面の{110}<110>〜{332}<110
>の方位群のXランダム強度比の平均が3.5以上、或
いは鋼板の1/2板厚における板面の{110}<11
0>のX線ランダム強度比が5.0以上の、いずれか一
方又は双方であることを特徴とする成形性の優れた鋼
管。 (2) 含有成分として、さらに質量%で、Al,Zr
およびMgの1種または2種以上を合計で0.0001
〜0.5%含むことを特徴とする前記(1)に記載の成
形性の優れた鋼管。 (3) 含有成分として、さらに質量%で、Ti,Vお
よびNbの1種又は2種以上を合計で0.001〜0.
5%含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載
の成形性の優れた鋼管。 (4) 含有成分として、さらに質量%で、Bを0.0
001〜0.01%含むことを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれか1項に記載の成形性の優れた鋼管。 (5) 含有成分として、さらに質量%で、Sn,C
r,Cu,Ni,Co,WおよびMoの1種又は2種以
上を合計で0.001〜2.5%含むことを特徴とする
前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の成形性の優
れた鋼管。 (6) 含有成分として、さらに質量%で、Caを0.
0001〜0.01%含むことを特徴とする前記(1)
〜(5)のいずれか1項に記載の成形性の優れた鋼管。
項に記載の鋼管を製造するに際し、縮径加工に供する母
管の板厚中心における板面の{001}<110>、
{116}<110>、{114}<110>及び{1
12}<110>のすべての方位がX線ランダム強度比
で3以下の鋼管を、650℃以上1200℃以下の温度
範囲に加熱し、縮径率30%以上、板厚減少率5%以上
30%以下となる加工を施すことを特徴とする成形性に
優れた鋼管の製造方法。 (8) 前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の鋼
管を製造するに際し、縮径加工に供する母管の{00
1}<110>、{116}<110>、{114}<
110>及び{112}<110>のうちの1つ以上の
方位がX線ランダム強度比で3超の鋼管を(Ac3 −5
0)℃以上1200℃以下の温度範囲に加熱し、縮径率
30%以上、板厚減少率5%以上30%以下となる加工
を施すことを特徴とする成形性に優れた鋼管の製造方
法。
る。まず前記(1)の発明について説明する。成分含有
量は質量%である。 C:高強度化に有効で0.0005%以上の添加とする
が、集合組織を制御する上では過度の添加は好ましいも
のではなく、上限を0.50%とする。0.001〜
0.3%がより好ましく、0.002〜0.2%がさら
に好ましい範囲である。
能であり、要求される強度レベルに応じて添加すれば良
いが、過剰の添加はメッキのぬれ性や加工性の劣化を招
くばかりか良好な集合組織形成を阻害するので、上限を
2.5%とした。下限を0.001%としたのは、これ
未満とするのは製鋼技術上困難なためである。
限を0.01%とした。また、過剰添加は延性の低下を
招くため、上限を3.0%ととした。
0.001以上添加する。0.2%超添加すると熱間圧
延や縮径加工時に欠陥が発生したり、成形性が劣化した
りするので、0.2%を上限とする。
く、熱間割れを防止するために0.05%以下とする。
好ましくは0.015%以下である。
く、加工性を劣化させるため上限を0.01%以下とす
る。0.005%以下がより好ましい範囲である。
110>〜{332}<110>の方位群および{11
0}<110>のX線ランダム強度比:ハイドロフォー
ム成形等を行う上で最も重要な特性値である。板厚中心
位置での板面のX線回折を行い、ランダム試料に対する
各方位の強度比を求めたときの、{110}<110>
〜{332}<110>の方位群での平均が3.5以上
とした。この方位群に含まれる主な方位は{110}<
110>、{661}<110>、{441}<110
>、{331}<110>、{221}<110>、
{332}<110>である。
{554}<110>および{111}<110>も発
達する場合があり、かつこれらはハイドフォーム成形に
とって好ましい方位であるが、深絞り用冷延鋼板に一般
に認められる方位でもあるので、区別する意味であえて
除外した。すなわち、深絞り冷延鋼板を素材として電縫
溶接などによって単に鋼管にしたのでは得られない結晶
方位群を本発明の鋼管は有するのである。
な結晶方位である{111}<112>や{554}<
225>はほとんどなく、これらはいずれも2.0以
下、さらに好ましくは1.0未満である。これらの各方
位のX線ランダム強度比は、{110}極点図よりベク
トル法により計算した3次元集合組織や、{110},
{100},{211},{310}極点図のうち複数
の極点図を基に級数展開法で計算した3次元集合組織か
ら求めればよい。例えば、後者の方法によって各結晶方
位のX線ランダム強度比を求めるには、3次元集合組織
のφ2=45°断面における(110)[1−10]、
(661)[1−10]、(441)[−10]、(3
31)[1−10]、(221)[1−10]、(33
2)[1−10]強度で代表させる。
2=45°断面において上記の方位群の範囲内に最高強
度を有し、この方位群から離れるにしたがって徐々に強
度レベルが低下するが、X線の測定精度の問題や鋼管製
造時の軸周りのねじれの問題、X線試料作製の精度の問
題などを考慮すると、最高強度を示す方位がこれらの方
位群から±5°ないし10°程度ずれる場合も有りう
る。
0>方位群の平均X線ランダム強度比とは、上記の各方
位のX線ランダム強度比の相加平均である。上記方位の
すべての強度が得られない場合には、{110}<11
0>、{441}<110>、{221}<110>の
方位の相加平均で代替しても良い。中でも、{110}
<110>は重要であり、この方位のX線ランダム強度
比が5.0以上であることが特に望ましい。
0>方位群の平均強度比が3.5以上でかつ{110}
<110>の強度比が5.0以上であれば、特にハイド
ロフォーム用鋼管としては更に好適であることは言うま
でもない。また、成形困難な場合には上記方位群の平均
強度比が5.0以上であること、{110}<110>
の強度比が7.0以上であることのうち、少なくとも1
つを満たすことが望ましい。その他の方位、例えば{0
01}<110>、{116}<110>、{114}
<110>、{113}<110>、{112}<11
0>、{223}<110>などの強度は、製造条件に
よって種々変化するので特に限定しないが、これらの平
均強度が3.0以下であることが好ましい。
弧状試験片を切り出し、これをプレスして平板としX線
解析を行う。また、弧状試験片から平板とするときは、
試験片加工による結晶回転の影響を避けるため極力低歪
みで行うものとし、加工により導入される歪み量の上限
を10%以下で行うこととした。
て、機械研磨や化学研磨などによって板厚中心付近まで
研磨し、バフ研磨によって鏡面に仕上げた後、電解研磨
や化学研磨によって歪みを除去すると同時に板厚中心層
が測定面となるように調整する。なお、鋼板の板厚中心
層に偏析帯が認められる場合には、板厚の3/8〜5/
8の範囲で偏析帯のない場所について測定すればよい。
さらにX線測定が困難な場合には、EBSP法やECP
法により測定しても差し支えない。
または板厚中心近傍の面におけるX線測定結果により規
定されるが、中心付近以外の板厚においても同様の集合
組織を有することが好ましい。しかしながら鋼管の外側
表面〜板厚1/4程度までは、後述する縮径加工による
せん断変形に起因して集合組織が変化し、上記の集合組
織の要件を満たさない場合もあり得る。なお、{hk
l}<uvw>とは、上述の方法でX線用試料を採取し
たとき、板面に垂直な結晶方位が<hkl>で鋼管の長
手方向が<uvw>であることを意味する。
逆極点図や正極点図だけでは表すことができないが、た
とえば鋼管の半径方向の方位を表す逆極点図を板厚の中
心付近に関して測定した場合、各方位のX線ランダム強
度比は以下のようになることが好ましい。<100>:
2以下、<411>:2以下、<211>:4以下、<
111>:15以下、<332>:15以下、<221
>:20.0以下、<110>:30.0以下。また、
軸方向を表す逆極点図においては、<110>:10以
上、上記の<110>以外の全ての方位:3以下。
々変化するが、少なくとも軸方向のr値は1.4以上と
なる。製造条件によっては軸方向のr値が3.0を超え
る場合もある。r値の異方性については特に限定するも
のではない。すなわち、軸方向のr値が円周方向や半径
方向のr値よりも小さい場合もあれば、その逆になる場
合もある。なお、例えば高r値冷延鋼板を単に電縫溶接
により鋼管とした場合、必然的に軸方向のr値が1.4
以上となる場合が多い。しかしながら、本発明は既述の
集合組織を有し、同時にr値が1.4以上である点にお
いて、そのような鋼管とは明瞭に区別されるものであ
る。
たはJIS12号弧状試験片によって行えば良い。その
ときの歪量は伸び率15%で評価するが、均一伸びが1
5%未満のときには、均一伸びの範囲内の歪量で評価す
る。なお、試験片はシーム部以外から試料を採取するこ
とが望ましい。
理由について説明する。 Al,Zr,Mg:脱酸元素として有効である。一方過
剰添加は酸化物、硫化物や窒化物の多量晶出・析出招き
清浄度が劣化して、延性を低下させてしまう上、めっき
性を損なう。したがって、必要に応じてこれらの1種ま
たは2種以上を、合計で0.0001〜0.50%添加
する。
Nb,Ti,Vは、これらの1種又は2種以上の合計で
0.001%以上の添加で炭化物、窒化物もしくは炭窒
化物を形成することによって、鋼材を高強度化したり加
工性を向上することが出来るが、その合計が0.5%を
超えた場合には、母相であるフェライト粒内もしくは粒
界に多量の炭化物、窒化物もしくは炭窒化物として析出
して、延性を低下させることから、添加範囲を0.00
1〜0.5%とした。
強化や鋼材の高強度化に有効ではあるが、その添加量が
0.01%を超えるとその効果が飽和するばかりでな
く、必要以上に鋼板強度を上昇させ、加工性も低下させ
ることから、0.0001〜0.01%とした。
n:Ni,Cr,Cu,Co,Mo,W,Snは強化元
素であり、必要に応じてこれらの1種又は2種以上の合
計で0.001%以上の添加とした。また、過剰の添加
はコストアップや延性の低下を招くことから、2.5%
以下とした。
で、適量の添加は熱間加工性を向上させるが、過剰の添
加は逆に熱間脆化を助長させるため、必要に応じて0.
0001〜0.01%の範囲とした。
Pb,As,Sbなどをそれぞれ0.01%以下の範囲
で含んでも、本発明の効果を失するものではない。
よる溶製に続き、各種の2次製錬を行いインゴット鋳造
や連続鋳造を行い、連続鋳造の場合には室温付近まで冷
却することなく熱間圧延するCC−DRなどの製造方法
を組み合わせて製造してもかまわない。
熱間圧延を行っても良いのは言うまでもない。熱間圧延
の加熱温度は特に限定するものではなく、目的とする仕
上げ温度を具現化するのに適切な温度であれば良い。熱
延の仕上げ温度は通常のγ単相域のほかα+γ2相域や
α単相域、α+パーライト、α+セメンタイトのいずれ
の温度域で行っても良い。熱間圧延の1パス以上につい
て潤滑を施しても良い。また、粗圧延バーを互いに接合
し、連続的に仕上げ熱延を行っても良い。粗圧延バーは
一度巻き取っても再度巻き戻してから仕上げ熱延に供し
てもかまわない。熱延後の冷却速度や巻き取り温度は特
に限定するものではない。熱間圧延後は酸洗することが
望ましい。さらにスキンパス圧延や、50%以下の圧下
率の冷間圧延を施しても良い。
を用いるが、TIG,MIG,レーザー溶接、UOや鍛
接等の溶接・造管手法等を用いることも出来る。これら
の溶接鋼管製造において、溶接熱影響部は必要とする特
性に応じて局部的な固溶化熱処理を単独あるいは複合し
て、場合によっては複数回重ねて行っても良く、本発明
の効果をさらに高める。この熱処理は溶接部と溶接熱影
響部のみに付加することが目的であって、製造時にオン
ラインであるいはオフラインで施工できる。
明(7)又は(8)において重要である。加熱温度は、
熱延鋼板または加熱縮径前の母鋼管の板厚中心における
板面の{001}<110>、{116}<110>、
{114}<110>、{112}<110>のうち
の、すべての方位がX線ランダム強度比で3以下の場合
は650℃以上1200℃以下の温度範囲とする。65
0℃未満の温度では縮径加工が困難であり、また縮径後
の組織が加工組織となるため、成形性を確保するために
再度加熱する必要が生じ、コストアップとなる。加熱温
度が1200℃超では、鋼管表面に過度にスケールが生
成し、表面性状が劣悪になるばかりか成形性も劣化す
る。1050℃以下がより好ましい上限である。母管の
集合組織がこのようになるのは、例えば熱延の仕上げ温
度が、Ar3 点以上の再結晶温度域である場合や、熱延
後に緩冷却した場合などが挙げられる。
<110>、{116}<110>、{114}<11
0>、{112}<110>のうちの1つ以上の方位が
X線ランダム強度比で3超の場合には、(Ac3 −5
0)℃以上1200℃以下の温度範囲に加熱する。母鋼
管の集合組織がこのような場合には、縮径前の加熱温度
を(Ac3 −50)℃以上にしないと、その後適切な縮
径加工を施してもハイドロフォーム成形に好ましい集合
組織が形成されない。すなわちα+γ2相域の高温また
はγ単相域に一度加熱することで、母管の集合組織が弱
くなり、引き続き縮径加工を行うことで初めて目的とす
る集合組織が得られるのである。このときの加熱温度は
Ac3 点以上であればより一層好ましい。
うな効果は飽和し、上記のスケールの問題が発生するの
で、1200℃を上限とする。1050℃がより好まし
い上限である。この場合、加熱後一旦冷却して再度縮径
可能な温度域まで加熱してもかまわない。母管の集合組
織がこのようになるのは、例えば熱延の仕上げ温度が、
Ar3 点直上付近の未再結晶温度域やAr3 点以下であ
った場合、熱延後に急速冷却した場合などが挙げられ
る。
が同等と判断される場合には、熱延板の集合組織で母鋼
管の集合組織を代用しても良い。{001}<110
>、{116}<110>、{114}<110>、
{112}<110>のX線ランダム強度比とは、3次
元集合組織のφ2=45°断面における、(001)
[1- 10]、(116)[1- 10]、(114)
[1- 10]、(114)[1- 10]で代表させれば
良い。
を30%以上、板厚減少率5%以上30%未満となるよ
うに縮径する。縮径率が30%未満では良好な集合組織
が十分に発達しない。好ましくは50%以上縮径する。
縮径率の上限は特に定めることなく本発明の効果を得る
ことができるが、生産性の観点から90%以下とするこ
とが好ましい。また、縮径率を30%以上とするだけで
は不十分で、板厚を減少させながら縮径することが必須
である。板厚が増加したり変化しない場合には良好な集
合組織を得ることが困難となる。したがって板厚減少率
は5〜30%とする。好ましくは10〜25%とする。
径−縮径完了後の鋼管の直径)/縮径加工前の母管の直
径)}×100(%)で、板厚減少率は{(縮径加工前
の母管の板厚−縮径完了後の鋼管の板厚)/縮径加工前
の母管の板厚)}×100(%)定義される。なお、鋼
管の直径は鋼管の外形を測定する。縮径完了温度はα+
γ域、α単相域、α+セメンタイト域、α+パーライト
域のいずれかであることが望ましい。これは上記の縮径
加工がα相に一定量以上加わることが良好な集合組織を
得るために必要だからである。また、縮径時に潤滑を施
すことは成形性向上の点で望ましい。
多段パスのラインを通板することによって行っても良い
し、ダイスを用いて引き抜いて行っても良い。本発明に
係る鋼管は、延性を確保するためフェライトを面積率で
50%以上含有することが好ましいが、フェライト以外
の金属組織として、パーライト、ベイナイト、マルテン
サイト、オーステナイトおよび炭窒化物等の組織を含ん
でも良い。
に加熱後、表2に示す仕上げ温度で熱間圧延して巻き取
った。酸洗に引き続き電縫溶接により外径100〜20
0mmに造管した後、所定の温度に加熱して、縮径加工
を行った。得られた鋼管の加工性の評価は以下の方法で
行った。前もって鋼管に10mmφのスクライブドサー
クルを転写し、内圧と軸押し量を制御して、円周方向へ
の張り出し成形を行った。バースト直前での最大拡管率
を示す部位(拡管率=成形後の最大周長/母管の周長)
の軸方向の歪εΦと円周方向の歪εθを測定した。
管率をプロットし、ρ=−0.5となる拡管率Reをも
ってハイドロフォームの成形性指標とした。X線測定
は、縮径前の母管および縮径後の鋼管から弧状試験片を
切り出し、プレスして平板として行った。(110)、
(200)、(211)、(310)極点図を測定し、
これらを用いて級数展開法により3次元集合組織を計算
し、φ2=45°断面における各結晶方位のX線ランダ
ム強度比を求めた。
1}<110>、{116}<110>、{114}<
110>、{112}<110>のX線ランダム強度
比、表3には、縮径加工前の加熱温度、縮径率、板厚減
少率および縮径後の{110}<110>および{11
0}<110>〜{332}<110>の方位群のX 線
ランダム強度比の平均値、鋼管の引張強度、軸方向のr
値さらにはハイドロフォーム成形における最大拡管率を
示す。本発明例ではいずれも良好な集合組織とr値を有
し、最大拡管率も高いのに対して、本発明外の例では集
合組織、r値が好ましくなく、最大拡管率も低い。
成形性に優れた材料の集合組織およびその制御方法が得
られ、ハイドロフォーム等の成形性に優れた鋼管を製造
することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.0005〜0.50%、 Si:0.001〜2.5%、 Mn:0.01〜3.0%、 P :0.001〜0.2%、 S :0.05%以下、 N :0.01%以下 を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、鋼管
の軸方向r値が1.4以上、かつ鋼板の1/2板厚にお
ける板面の{110}<110>〜{332}<110
>の方位群のXランダム強度比の平均が3.5以上、或
いは鋼板の1/2板厚における板面の{110}<11
0>のX線ランダム強度比が5.0以上の、いずれか一
方又は双方であることを特徴とする成形性の優れた鋼
管。 - 【請求項2】 含有成分として、さらに質量%で、A
l,ZrおよびMgの1種または2種以上を合計で0.
0001〜0.5%含むことを特徴とする請求項1に記
載の成形性の優れた鋼管。 - 【請求項3】 含有成分として、さらに質量%で、T
i,VおよびNbの1種又は2種以上を合計で0.00
1〜0.5%含むことを特徴とする請求項1又は2に記
載の成形性の優れた鋼管。 - 【請求項4】 含有成分として、さらに質量%で、Bを
0.0001〜0.01%含むことを特徴とする請求項
1〜3のいずれか1項に記載の成形性の優れた鋼管。 - 【請求項5】 含有成分として、さらに質量%で、S
n,Cr,Cu,Ni,Co,WおよびMoの1種又は
2種以上を合計で0.001〜2.5%含むことを特徴
とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形性の優
れた鋼管。 - 【請求項6】 含有成分として、さらに質量%で、Ca
を0.0001〜0.01%含むことを特徴とする請求
項1〜5のいずれか1項に記載の成形性の優れた鋼管。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼
管を製造するに際し、縮径加工に供する母管の板厚中心
における板面の{001}<110>、{116}<1
10>、{114}<110>及び{112}<110
>のすべての方位がX線ランダム強度比で3以下の鋼管
を、650℃以上1200℃以下の温度範囲に加熱し、
縮径率30%以上、板厚減少率5%以上30%以下とな
る加工を施すことを特徴とする成形性に優れた鋼管の製
造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼
管を製造するに際し、縮径加工に供する母管の{00
1}<110>、{116}<110>、{114}<
110>及び{112}<110>のうちの1つ以上の
方位がX線ランダム強度比で3超の鋼管を(Ac3 −5
0)℃以上1200℃以下の温度範囲に加熱し、縮径率
30%以上、板厚減少率5%以上30%以下となる加工
を施すことを特徴とする成形性に優れた鋼管の製造方
法。
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