JP3559455B2 - 低降伏比型耐火用鋼材及び鋼管並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築分野で使用される、常温で低降伏比を持ち、高温強度特性に優れた低降伏比型耐火用鋼材および鋼管並びにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昭和62年の建築基準法の改正等により、建築用鋼材に対して高温において十分な強度が確保できれば、鋼材の温度上昇を抑えるために通常構造部表面に実施されるロックウール等の耐火被覆を必ずしも施す必要が無くなった。この様な状況に対応して、成分を調整することにより高温強度を確保する鋼材に関する発明が提案されてきた。例えば、特開平2−282419号公報に開示されている発明では、高温強度を確保するために炭化物形成元素であるNb,Mo等を添加し、これらの元素の高温における微細炭化物の析出による析出強化を利用している。
【0003】
ところが、最近になって建築物の耐震性の観点から、常温での降伏比を下げることが強く望まれるようになってきた。降伏比を上昇させること無しに耐火性を得ることのできる発明としては、特開平2−205625号公報に見られるように、IF鋼に高温でのみ析出するCuを添加した鋼材が提案されている。この他、耐火性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯およびその製造方法として、特開平5−222484号公報にNbCやTiCの析出物を高温強度が確保できる程度に微細に析出させる発明も提案されている。また、特開平9−41035号公報には、NbとTiの内1種又は2種を(Ti+Nb/2)/C≧4を満足して含有し、ミクロ組織をベイナイティックフェライトを含まないポリゴナルフェライト相単相とすることで、低YRと高靱性を両立する鋼板を製造できると言う発明が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
建築物の耐震性の観点からの常温での低降伏比化の要請に対して、前記特開平2−282419号公報記載の発明では、Nb、Mo等の添加物が熱間圧延後の巻取段階で析出して、常温での降伏強度が高くなり、従って結果として降伏比が上昇するために、低降伏比の鋼板を得ることが困難であった。特に、実際に建築構造物として使用されるまでに鋼材に冷間加工が加えられる場合には、冷間加工によって導入される歪みによって鋼材の降伏強度が製造時よりも高くなり、実際の使用環境での低降伏比が達成できなくなる。したがって、実使用前に冷間加工(例えば円形や角形等の閉断面への加工)が加わる場合には、製造完了段階でより低い降伏強度、すなわち低い降伏比を達成する必要がある。
【0005】
また、前記特開平2−205625号公報記載の発明では、高価なNiも同時に添加する必要があり、安価な建築構造部材用鋼材を提供することはできない。
更に、前記特開平5−222484号公報記載の発明による鋼板でも、造管時の降伏強度の上昇が大きく、造管後に十分な低降伏比が得られないという問題があった。
また、特開平9−41035号公報記載の発明は、ポリゴナルフェライト相単相のミクロ組織としているため、高靱性とともに低YRは達成しているものの、高温での強度についての考慮がなされていないという問題があった。
【0006】
このような技術の状況に鑑みて、本発明の具体的な目的は、常温での降伏比(YR)が75%以下でかつ相当歪みで5%の冷間加工後のYRが90%以下である、低いYRと高い高温強度を持った鋼材、及び造管後常温でのYRが90%以下である低いYRと、600℃での降伏応力が197MPa以上という高い高温強度とを兼ね備えた鋼管、並びにこれらの安価な製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の研究と実験を重ねた結果、鋼材に含有されるCを低減し、Nbを固溶の状態で存在させ、更に鋼材のミクロ組織を適正に制御することによって、常温で降伏比が低く、かつ高温での強度特性に優れる鋼材が得られることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明の要旨とするところは下記の通りである。
(1) 質量%で、
C :0.01%未満、 Si:1%以下、
Mn:0.1〜0.8%、 S :0.02%以下、
Al:0.01〜0.1%、 Nb:0.04〜1%、
B :0.0001〜0.01%
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であり、かつNb添加量が下記 (1)式を満足し、そのミクロ組織がポリゴナルフェライトとベイナイトを含む低温生成相との混合組織であり、板厚方向平均のポリゴナルフェライトの面積率が10%以上、95%以下であることを特徴とする低降伏比型耐火用鋼材。
Nb≧0.1+7.74C−1.94Ti+6.63(N−1.30B)……(1)
【0009】
(2) 質量%でさらに、
Ti:0.25%以下
を含むことを特徴とする前記(1)記載の低降伏比型耐火用鋼材。
【0010】
(3) 質量%でさらに、
Ca:0.0005〜0.005%、Rem:0.001〜0.02%
の1種もしくは2種を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)記載の低降伏比型耐火用鋼材。
(4) 常温でのYRが75%以下で、更に相当歪みで5%の冷間加工後における常温でのYRが90%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の低降伏比型耐火用鋼材。
【0011】
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の鋼材を製造するに当たり、鋳造後の鋼片を鋳造まま、もしくは一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱し、熱間加工により所定の形状に加工するに際して、加工終了温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/sec 以上、50℃/sec 以下の冷却速度で700℃以下まで冷却することを特徴とする低降伏比型耐火用鋼材の製造方法。
(6) 冷却後、熱間加工鋼材を冷間にて加工することを特徴とする前記(5)記載の低降伏比型耐火用鋼材の製造方法。
【0012】
(7) 前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の鋼材が鋼管であることを特徴とする低降伏比型耐火用鋼管。
(8) 常温でのYRが90%以下で、600℃での降伏強度が197MPa以上であることを特徴とする前記(7)記載の低降伏比型耐火用鋼管。
(9) 前記(7)又は(8)記載の鋼管を製造するに当たり、鋳造後の鋼片を鋳造まま、もしくは一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱し、熱間加工により所定の断面形状の鋼管に加工するに際して、加工終了温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/sec 以上、50℃/sec 以下の冷却速度で700℃以下まで冷却することを特徴とする低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
【0013】
(10) 前記(7)又は(8)記載の鋼管を製造するに当たり、鋳造後の鋼片を鋳造まま、もしくは一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱し、熱間加工するに際して、加工終了温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/sec 以上、50℃/sec 以下の冷却速度で700℃以下まで冷却して製造した熱間圧延鋼板を溶接し、所定の断面形状の鋼管とすることを特徴とする低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
(11) 熱間圧延鋼板を溶接し鋼管とした後、冷間での成形によって所定の断面形状の鋼管とすることを特徴とする前記(10)記載の低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
(12) 熱間圧延鋼板を溶接し円形断面の鋼管とした後、ロール成形によって角形断面に成形することを特徴とする前記(10)記載の低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の鋼材及び鋼管は、固溶Nbによって高温での転位との相互作用により高温強度を上昇させると同時に、適正な成分添加によって常温での固溶Cや固溶Nを低減させ、製造プロセスで導入されている初期可動転位の固着を回避することによって、常温での低い降伏強度すなわち低いYRを達成したものである。
【0015】
まず、鋼材の化学成分の限定理由について述べる。
Cは、他の添加元素と結合して析出物となったり、鉄と結合してセメンタイトとして析出することで常温および高温での鋼材の強度を高めることができるが、Cが0.01質量%(以下、質量%を%と略す。)以上であると、後述する様に、固溶Nbを確保するための添加元素量が不必要に多くなり、鋼材の常温強度を必要以上に高めるのみならず、常温でのYR(YR=引張り試験の降伏強度YS/最大強度TS×100)を75%以下に保つことが困難となり、更には経済的な不利益も生じることから、Cの添加量を0.01%未満とした。
【0016】
また、Cの下限については特に限定しないが、Cを0.0005%以下にすることは、製鋼での脱ガス等の工程に大きな負荷をかけることとなり、製造コスト上昇を招くことから、Cは0.0005%超とすることが望ましい。
【0017】
Siは、脱酸材として利用されると共に固溶強化元素であり、比較的安価に鋼材の強度を上昇させることができるが、多量の添加は常温での降伏強度を上昇させ、YRを高くする。Si添加量が1%を超えると、常温でのYRを75%以下に保ち、相当歪みで5%の冷間加工後のYRを90%以下に保つことが困難になることから、添加量を1%以下とする。また、特に高い表面品位や、溶融めっき時のめっき割れ回避等が強く要求される場合には、Si添加量を0.02%以下とすることが望ましい。
【0018】
Mnは、Siと同様に比較的安価な固溶強化元素である。Mn添加量を0.1%未満とすることはプロセス上コスト上昇につながることから、0.1%をMn添加量の下限とした。また、Mn添加量が0.8%を超えると、鋼の焼き入れ性が必要以上に高くなり、所定のミクロ組織が得られなくなり、常温でのYRを高めるために、その添加量の上限を0.8%とする。
【0019】
Sは、不可避的に含まれる元素であり、加工性劣化や靱性の劣化の要因となるため、極力低減することが望ましい。しかしながら、その添加量を0.02%以下とすると、上記の材質劣化の傾向が飽和するため、添加量の上限を0.02%とする。なお、特に厳しい冷間での加工性が要求される場合には、Sの添加量を0.01%以下とすることが望ましい。
【0020】
Alは、Siとともに脱酸剤として使用されるが、この効果を発揮させるためには鋼中に0.01%以上含有させることが必要である。一方、Alの添加量が0.1%を超えると、鋼中におけるAl系の酸化物の量が増加し、特に靭性を劣化させることから、添加量の上限を0.1%とする。
【0021】
Nbは、本発明において最も重要な添加元素である。Nbは通常析出強化元素として添加される場合が多く、この際にはCやNと結合することでほぼ全てのNb元素が析出物の形態をとるように成分設計されるのが一般的である。しかしながら、この様な鋼の強度を上昇させる析出物は、同時に常温での降伏強度を上昇させ、低いYRを得ることが困難となる。
【0022】
一方、本発明者らの研究によると、固溶の状態で存在するNbは、高温での変形の際に転位と有効に相互作用し、転位の移動や、フェライト粒界の移動を効果的に抑制することで、高い高温強度を達成する。従って、添加したNbをCやNとの結合で消費してしまわないよう、その添加量を調整する必要がある。高温での強度上昇のためにはNb添加量を増加することが望ましいが、その添加量が1%を超えると、高温強度上昇の効果が飽和すると共に、製造コストの上昇を招くことから、Nbの添加量を1%以下とした。Nb添加量が0.04%未満となった場合には、他の添加元素の調整を行っても高い高温強度が得られないため、添加量の下限を0.04%とした。
【0023】
Bは、Nbと結合する可能性のあるNと結合し、高温での強度上昇に有効な固溶Nbの浪費を少なくするばかりでなく、Nbとの複合添加により、高温強度に対する固溶Nbの効果を助長する。この理由は現在のところ明確ではないが、Bの添加量が0.0001%未満ではその効果は認められず、また、0.01%超では効果が飽和することから、添加する場合は0.0001〜0.01%とする。
【0024】
選択的に添加するTiは、Nbと結合する可能性のあるCやNと結合し、高温での強度上昇に有効な固溶Nbの浪費を少なくすることで高温強度を上げる働きがあるが、その添加量が0.25%を超えると、加工性の劣化や鋼材強度の不必要な上昇、及び常温でのYRの上昇を招くことから、その添加量の上限を0.25%とした。
【0025】
以上の成分に加えて、選択的に添加するCu、Ni、Mo、V、Cr、はそれぞれ有効な鋼材の強化元素であり、同時に高温強度を高める働きもある。しかし、これらの元素の添加量で、Cu添加量が2%超、Ni添加量が1.5%超、Mo添加量が1%超、V添加量が0.25%超、又はCr添加量が1%超となった場合には、常温での降伏強度の上昇量が大きくなり、常温でのYRを75%以下に保ち、相当歪みで5%の冷間加工後のYRを90%以下に保つことが困難になることから、これらを各元素の添加量の上限とした。
また、上記範囲であっても、これらの1種もしくは2種以上の添加量合計が2.5%を超えると、常温での降伏強度の上昇量が大きくなり、常温でのYRを75%以下に保ち、相当歪みで5%の冷間加工後のYRを90%以下に保つことが困難になることから、これを上記元素の1種または2種以上の添加量合計の上限とした。これらの元素は積極的な添加を行っても良く、またスクラップ等からの混入を有効に利用しても良い。
【0026】
選択的に添加するCa、Remは、いずれも硫化物の形態を制御することで、耐サワー特性や靱性、溶接性等を向上させる元素である。しかしながら、Caが0.0005%未満、Remが0.001%未満の場合にはその効果が発揮されず、また、Caが0.005%超、Remが0.02%超ではこれらの効果が飽和するばかりでなく、逆に酸化物起因で靱性を劣化させるため、これらを各々の添加量の上限及び下限とした。
【0027】
次に本発明の製造条件について以下に説明する。
上記限定範囲で成分が調整されるに際して、上記のごとく、高温での強度を上昇させる機能は固溶Nbにあるために、固溶Nbを一定量以上確保することが必要である。冷間での加工(相当歪みで5%の冷間加工に相当)の有無に関わらず、常温での降伏強度と600℃での降伏強度の比は計算固溶Nb量の増加と共に大きくなり、図2に示すように、下記(1)式を満足する場合に降伏強度の劣化が小さくなり、常温での低いYRと600℃での高い降伏強度が両立する。
Nb≧0.1+7.74C−1.94Ti+6.63(N−1.30B)……(1)
但し、Ti添加量が0の場合には上式でTi=0とする。
結果として、Nb添加量が上式を満足する場合に、相当歪みで5%の冷間加工後のYRが図1に示すように90%以下となる。
【0028】
図1、図2は、表1に示す鋼を鋳造後、本発明範囲内の製造条件で熱延鋼板とし、熱延まま、及び5%の冷間圧延(角形鋼管への造管によって鋼管平坦部に導入される歪みの代表値として選択した。)後の常温でのYRと600℃での降伏応力を測定し、これらの比(600℃での降伏応力/常温でのYS)を図2の縦軸に、また5%冷間圧延後のYRを図1の縦軸にし、計算固溶Nb量=上式の左辺−右辺=Nb−{0.1+7.74C−1.94Ti+6.63(N−1.30B)}の値を横軸にしてプロットした。
【0029】
この様な材質の鋼材を得るためには、鋼材のミクロ組織を適正に制御することが不可欠である。本発明鋼のミクロ組織は、ポリゴナルフェライト(熱間圧延のL断面相当位置での観察で、明瞭な粒界を有し、L方向の粒径と板厚方向の粒径の比である軸比が2.5以下の粒をポリゴナルフェライトと定義する)以外にベイナイトを含む低温生成相(ここで、ポリゴナルフェライト以外の低温生成相は、ベイナイト、マッシブフェライト及びマルテンサイト等が含まれる。)の混合組織である。これらの組織写真の例を図3に示す。
【0030】
Nb等の炭化物形成元素によって殆どのCが析出物の形で固定された鋼ではベイナイト、マッシブフェライト及びマルテンサイトは良く似た組織形状を呈する。本発明範囲内の鋼においては、光学顕微鏡で判断されるポリゴナルフェライト以外の組織の殆どはベイナイトとマッシブフェライトであり、図3に示すように、上記軸比が2.5超の場合や、軸比がこれ以下であっても、粒界が直線的でなかったり、粒内の欠陥起因と思われる濃く腐食される場合がある。電子顕微鏡レベルの倍率で観察すると、ベイナイト粒の内部に炭化物を含む場合と含まない場合があり、更に、マルテンサイトと一部オーステナイトを含むような島状の組織が観察されることもある。
【0031】
鋼の成分が上記のすべての要件を満たす場合で、熱間圧延のL断面相当位置での観察で、後述するように板厚方向の平均でポリゴナルフェライトの面積率が95%超の場合には、十分に高い高温強度を得ることができず、特に冷間加工が行われる場合には、600℃でのYSと常温でのYSの比が低くなり、常温での低YRと高温での高い降伏強度の両立が困難となるため、これを板厚方向の平均でのポリゴナルフェライト面積率の上限とした。
【0032】
また、ポリゴナルフェライト面積率が減少すると、高温での強度は上昇するが、同時に常温での降伏強度が上昇する。特に板厚方向の平均でのポリゴナルフェライト面積率が10%未満の場合には、常温での降伏強度の上昇量が大きくなり、常温でのYRを75%以下に保ち、相当歪みで5%の冷間加工後のYRを90%以下に保つことが困難になることから、これを板厚方向平均でのポリゴナルフェライト面積率の下限とした。
【0033】
この様な範囲のミクロ組織を得るためには、適正な成分と製造条件の組合わせが必要となる。特にNb、Mn、Bはベイナイトを含む低温生成相を得るのに有効な元素であり、それぞれが本発明の範囲であれば、以下に示す様な広い製造条件の範囲で、ポリゴナルフェライトの面積率を10%以上、95%以下に制限し、残りをベイナイトを含む低温生成相とすることができる。
【0034】
この様な面積率のベイナイトを含む低温生成相が存在するときに高温強度、特に冷間加工後の高温強度が高くなる理由については、現在のところ明確では無いが、固溶Nbもしくはクラスター状のNb及びNbとCの集合体がベイナイトを含む低温生成相の粒内、及びこれらの低温生成相生成に伴ってその周囲のフェライト粒内に導入された変態に伴う転位と相互作用することにより、冷間加工によって導入される転位を高温でも回復し難くしていると考えている。
【0035】
また、鋼材の組織がポリゴナルフェライトを95%超含むようなミクロ組織である場合で、かつ本発明鋼材のごとく、固溶Nbを初めとしたオーステナイトからフェライトの変態を抑制する元素を比較的多量に含む場合には、溶接した際に溶接後の急速な熱履歴の影響を受けて、溶接部及び溶接熱影響部(HAZ部)のミクロ組織が変化し、硬質化したり逆に軟化したりすることがある。
しかしながら本発明鋼は、初期から適量の低温生成相を含むと同時に、鋼中の固溶C、Nを低減していることから、溶接によって導入される急速な熱履歴を受けても溶接部、HAZ部の硬度変化が少なく、結果として溶接部の種々の材質劣化(靱性、疲労特性、加工性等)が抑制される。
【0036】
ミクロ組織の定量は熱間圧延鋼板のL断面相当の位置で、板厚表面から板厚中心方向に向かって、板厚の0.1倍、0.25倍、板厚中心の3カ所を光学顕微鏡で観察し、写真撮影後にポイントカウント法を用いて各位置での各組織の面積率を測定し、平均した。この時、組織の面積率の測定は画像処理を用いて行っても良い。
【0037】
この様な鋼材を製造する場合には、上記成分の鋼を鋳造し、得られた鋼片を直接もしくは一旦室温を含むAr3 変態点以下まで冷却した後に再加熱し、熱間加工を行う。また、この時の再加熱温度は特に制限しないが、生産性および製造コストを考慮すると、1000℃〜1300℃の範囲が望ましい。
【0038】
熱間加工が板状で行われる場合には、厚板の様な板状圧延でも、また連続熱延でも良く、更に、連続熱延の仕上げ熱延入り口で複数のスラブを接続して連続的に熱延しても良い。また、熱間加工は型鋼や、棒鋼、線材もしくは鋼管等の製造工程でも良く、また、継目無しの鋼管製造や熱間押出し等でも良い。
【0039】
この時の熱間加工の終了温度は、鋼の成分で決まるAr3 変態点―50℃以上とする。熱間加工完了温度がこれ未満となった場合には、鋼材にフェライトの加工組織が残留し、冷間での加工性が劣化するばかりでなく、常温でのYRが上昇するので、これを熱間加工終了温度の下限値とする。熱間加工開始温度の上・下限及び終了温度の上限に関しては特に制限しないが、生産性の観点とスケール起因の表面品位の観点からは、熱間加工終了温度は1000℃以下が望ましい。
【0040】
熱間加工後、鋼材は室温まで冷却されるが、この時、熱間加工後700℃以下までの平均冷却速度が0.1℃/sec 未満の場合には冷却中にミクロ組織の粗大化が進み、鋼材の強度を不必要に低下させると共に、鋼材の靱性を劣化させるため、これを冷却速度の下限とした。また、熱間加工後700℃以下までの平均冷却速度が50℃/sec 超では、ベイナイト等の低温生成相の面積率の増大を招き、適正なミクロ組織が得られないことから、これを平均冷却速度の上限とした。
【0041】
この冷却の終了温度が700℃超の場合にはミクロ組織が粗大化し、靱性を劣化させると共に、冷間加工後の常温での低いYRと600℃での高い降伏強度の両立が困難となるため、これを上限とした。最終的な鋼材表面のスケールを薄くして、表面品位を高める目的からは、冷却終了温度を650℃以下に限定することが望ましい。冷却終了温度の下限は特に定める必要はないが、冷却終了温度が100℃以下となる場合には、限られた製造工程長さの中で必要以上に高い冷却能力を必要とし、経済的なデメリットを生じるために、100℃超が望ましい。 また冷却終了後、連続熱延の場合には巻取処理、その他の場合には空冷されるが、鋼材内での材質のバラツキを小さくしたい場合には冷却停止温度を400℃以上とすることが望ましい。
【0042】
また、この様な鋼材を熱間加工後冷間加工によって所定の形状とする際には、上記方法に用って製造された熱間加工鋼材に所定の冷間加工(冷間圧延、冷間曲げ、冷間プレス、冷間鍛造等)を施し、そのままもしくはその後熱処理を行って製品とする。この時熱処理温度は450℃未満では常温でのYR低下が十分でなく、950℃超では製造コストの上昇を招くためにこれらを上・下限とした。
【0043】
この様な鋼材を用いて鋼管を製造する場合には、熱間での加工によって所定の断面形状の鋼管とする際に、上記の熱間加工の条件に従う方法でも、また上記製造方法で製造された鋼板を冷間加工後、溶接によって鋼管とする場合も、また溶接によって一旦鋼管の形状とした後、更に冷間加工によって所定の断面形状に加工する場合も、また溶接によって円形鋼管とした後、ロール成形で角形の鋼管とする場合も含まれる。ここで冷間加工とは、冷間でのロール成形、冷間でのプレス成形、冷間での鍛造等を含む。
また、これらの鋼材、鋼管はそのままの使用でも、溶融亜鉛めっき等の表面処理を施した後の使用でも良い。
【0044】
【実施例】
表1に示す各成分の鋼を鋳造し、表2に示した条件で熱延を完了した鋼板の、常温及び600℃での機械的特性を調査した結果を同表に示した。相当歪みで5%の冷間加工は、鋼板を角形鋼管に製造する際に鋼管の平坦部に導入される歪みの代表として選択した。実際に導入される歪みは相当歪みで2.5%〜6%程度と考えられるが、鋼材の特性を代表させるためには5%程度の相当歪み量での評価が適当であることが判明したため、ここでは5%の冷間加工を選択した。冷間加工の付与方法は、実際の角形鋼管製造に近い曲げ加工、プレス加工、冷間圧延を比較したが、常温でのYR、600℃での降伏強度共に、これらの加工形態で差が無かったことから、ここでは5%の冷間圧延によって冷間加工を代表させた。
【0045】
本発明の成分範囲である鋼 No.12、18は、表2に示すように、製造条件が本発明の範囲内である場合には、製造ままの鋼板の常温でのYR(表2中で無加工材YR (%) と表示)が75%以下で、かつ、相当歪みで5%の冷間加工後のYR(表2中で5%予加工材YR (%) と表示)が90%以下で、かつ5%予加工材の600℃での高温強度が197MPa以上という高い高温強度を持つことが分かる。
【0046】
一方、表1の鋼 No.20〜27はいずれかの成分が本発明の範囲外であり、その結果、表2に示すように製造条件が本発明の範囲内であっても、製造ままの鋼板の常温でのYRか、相当歪みで5%の冷間加工後のYRのいずれかが本発明の範囲外となる。
【0047】
なお、Ar3 温度(℃)はAr3 =901−325×%C+33×%Si―92×(%Mn+%Ni/2+%Cr/2+%Cu/2+%Mo/2+%Nb/2)を用いて計算した。
【0048】
本実験においては、常温での機械試験はJIS5号試験片を用い、JISZ2241に従って行い、600℃での引張り試験はJISG0567に従って行った。また衝撃試験はJISZ2202に従って行った。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、製造まま及び相当歪みで5%の冷間加工後の常温でのYRが低く、かつ高温での降伏応力の高い鋼材、及び造管後のYRが低く、かつ高温での降伏応力の高い鋼管の製造が可能となり、これらの特性が要求される土木、建築分野において優れた効果を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼材の計算固溶Nb量=Nb-{0.1+7.74-1.94Ti+6.63(N-1.30B)} (質量%) と、相当歪みで5%冷間加工後(図中には5%予加工後と表示)の常温でのYRとの関係を示す図である。
【図2】鋼材の計算固溶Nb量=Nb-{0.1+7.74-1.94Ti+6.63(N-1.30B)} (質量%) と、製造まま(図中に無加工材と表示)、及び相当歪みで5%の冷間加工後(図中に5%予加工材と表示)の600℃での降伏強度(YS)と常温の降伏強度の比、の関係を示した図である。
【図3】本発明鋼を、本発明の範囲内の製造条件で熱間圧延して得られた熱延鋼板のミクロ組織を示した光学顕微鏡写真である。表層から板厚方向1/4の同一場所を200倍(図3上部)および500倍(図3下部)で撮影した。
Claims (12)
- 質量%で、
C :0.01%未満、
Si:1%以下、
Mn:0.1〜0.8%、
S :0.02%以下、
Al:0.01〜0.1%、
Nb:0.04〜1%
B :0.0001〜0.01%
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であり、かつNb添加量が下記(1)式を満足し、そのミクロ組織がポリゴナルフェライトとベイナイトを含む低温生成相との混合組織であり、板厚方向平均のポリゴナルフェライトの面積率が10%以上、95%以下であることを特徴とする低降伏比型耐火用鋼材。
Nb≧0.1+7.74C−1.94Ti+6.63(N−1.30B)………(1) - 質量%でさらに、
Ti:0.25%以下
を含むことを特徴とする請求項1記載の低降伏比型耐火用鋼材。 - 質量%でさらに、
Ca:0.0005〜0.005%、
Rem:0.001〜0.02%
の1種もしくは2種を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の低降伏比型耐火用鋼材。 - 常温でのYRが75%以下で、更に相当歪みで5%の冷間加工後における常温でのYRが90%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の低降伏比型耐火用鋼材。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の鋼材を製造するに当たり、鋳造後の鋼片を鋳造まま、もしくは一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱し、熱間加工により所定の形状に加工するに際して、加工終了温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/sec 以上、50℃/sec 以下の冷却速度で700℃以下まで冷却することを特徴とする低降伏比型耐火用鋼材の製造方法。
- 冷却後、熱間加工鋼材を冷間にて加工することを特徴とする請求項5記載の低降伏比型耐火用鋼材の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鋼材が鋼管であることを特徴とする低降伏比型耐火用鋼管。
- 常温でのYRが90%以下で、600℃での降伏強度が197MPa以上であることを特徴とする請求項7記載の低降伏比型耐火用鋼管。
- 請求項7又は8記載の鋼管を製造するに当たり、鋳造後の鋼片を鋳造まま、もしくは一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱し、熱間加工により所定の断面形状の鋼管に加工するに際して、加工終了温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/sec 以上、50℃/sec 以下の冷却速度で700℃以下まで冷却することを特徴とする低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
- 請求項7又は8記載の鋼管を製造するに当たり、鋳造後の鋼片を鋳造まま、もしくは一旦Ar3変態点以下まで冷却した後に再び加熱し、熱間加工するに際して、加工終了温度をAr3−50℃以上とし、その後0.1℃/sec 以上、50℃/sec 以下の冷却速度で700℃以下まで冷却して製造した熱間圧延鋼板を溶接し、所定の断面形状の鋼管とすることを特徴とする低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
- 熱間圧延鋼板を溶接し鋼管とした後、冷間での成形によって所定の断面形状の鋼管とすることを特徴とする請求項10記載の低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
- 熱間圧延鋼板を溶接し円形断面の鋼管とした後、ロール成形によって角形断面に成形することを特徴とする請求項10記載の低降伏比型耐火用鋼管の製造方法。
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