JP2010215996A - 耐震性構造物用鋼材及びその製造方法 - Google Patents

耐震性構造物用鋼材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 一様伸び、全伸び及び破面遷移温度によって代表される靭性が高く、かつ、これらの異方性が小さい耐震性構造物用鋼材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 鋼組成が質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5%未満、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.1%以下、Cr:0.1〜3.0%、Ti:0.001〜0.030%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、金属組織が軟質フェライト相中に硬質第二相がランダムに分布しているものである。なお、上記硬質第二相は平均アスペクト比が圧延方向断面及び圧延直角方向断面においてともに5.0以下であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐震性構造物用鋼材及びその製造方法に係り、特に高層建築物、橋梁、ラインパイプなど地震による被害を受けやすい鋼構造物の構築に用いられる鋼材及びその製造法に関する。
高層建築物、橋梁、ラインパイプなどの構築に用いられる鋼材は、大地震時を想定した変形にあっても、倒壊や落下或いは破裂などの決定的な破壊から免れるようにするために、通常求められる高強度や高靭性の他に、延性の大きいことが求められている。
このような延性は、一般に、鋼材の降伏点を低くすることによって塑性変形能を高めること、具体的には、特許文献1に記載されているように、鋼材の機械的特性のうち、一様伸びを高めることによって達成される。また、いわゆる強度−延性バランス、強度×均一伸びを向上させることが必要なことも知られている(特許文献2参照)。
また、かかる鋼材の組成についても、例えば、特許文献3には、微量のCrを添加することによって低降伏化を達成できるとして、「mass%でC:0.10〜0.18%、Si:0.05〜0.50%,Mn:0.6〜1.3%,Cr:0.1〜1.0%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.0060%以下、0.38≦Ceq≦0.43、残部Feおよび不可避的不純物の組成とフェライト−パーライトを主相とする金属組織を有する低降伏比鋼板。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、V:各元素の含有量(mass%)」が提案されている。
特許第3459501号公報 特開2006−131958号公報 特開2008−297570号公報
上記特許文献1,2に示されているように、一様伸びを向上させることにより耐震性を向上させることが可能になる。この場合において、鋼材が建築物などの強度部材として使用される場合、地震波に起因する応力は鋼材のL方向のみならずC方向にもかかるので、上記一様伸び値の向上は当然、C方向についても行われなければならない。
また、地震波に起因する致命的な破壊を回避するためには、一様伸びの他に全伸び、すなわち、「一様伸び+局部伸び」の値が大きいことが要求される。さらに、鋼材の使用環境を考慮すれば、破面遷移温度(vTrs)によって代表される靭性が高いことが要求され、これについても異方性が小さいことが必要である。特許文献3には、降伏比を低下させる手段が示されているが、異方性を小さくする手段については示されていない。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の手段による場合、硬質第二相の分布状態によっては、上記耐震性構造物用鋼材に要求される諸特性が満たされない場合がある。例えば、特許文献1、2に記載の一様伸び値は、鋼材の圧延方向(L方向)の値であって、C方向の値は不明である。同様に、特許文献3に記載の手段も同様である。特に、一様伸び及び破面遷移温度の異方性を小さくすることは重要であるにもかかわらず、そのための具体的手段については検討がなされていない。
本発明は、耐震性構造物用鋼材に要求される諸特性について検討し、一様伸び、全伸び及び破面遷移温度によって代表される靭性が高く、かつ、これらの異方性が小さい耐震性構造物用鋼材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、鋼組成においてMn含有量を低くとり、かつ、これに少量のCrを含有させるときは、軟質フェライト相中に硬質第二相がランダムに分布するようになるとの知見を得て完成されたものであり、その具体的構成は、下記のとおりである。
本発明に係る耐震性構造物用鋼材は、鋼組成が質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5%未満、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.1%以下、Cr:0.1〜3.0%、Ti:0.001〜0.030%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、金属組織が軟質フェライト相中に硬質第二相がランダムに分布しているという特徴を有する。
上記発明において、硬質第二相の平均アスペクト比が圧延方向断面及び圧延直角方向断面においてともに5.0以下であることが好ましい。
上記発明において、鋼組成を、さらに、Cu:1%以下、Ni:1%以下及びMo:1%以下から選ばれる1種又は2種以上を含有するものとすることができる。また、V:0.1%以下及びNb:0.05%以下から選ばれる1種又は2種を含有するものとすることができ、さらに、Ca:0.0005〜0.005%、REM:0.001〜0.020%、Mg:0.0005〜0,005%及びZr:0.0005〜0.0030%から選ばれる1種又は2種以上を含するものとすることができる。
上記耐震性構造物用鋼材は、上記に記載の何れかの鋼組成を有する素材を1000〜1350℃に加熱後、熱間圧延を施して最終製品形状に成形するに当たり、前記熱間圧延の最終圧延温度をAr〜Ar+150℃の範囲とするとともに、熱間圧延の終了後500℃までの範囲を放冷することによって製造することができる。また、前記熱間圧延の終了後、Ar−50℃以下の温度から500℃までの温度範囲を1〜80℃/sの速度で加速冷却することによって製造することができる。
なお、本発明に係る耐震性構造物用鋼材は、いわゆる「圧延まま」の状態で製造することができる。
本発明により提供される耐震性構造物用鋼材を、一様伸び、全伸び及び破面遷移温度によって代表される靭性を十分高くとりながら、異方性が小さいという特性を有する。これにより、大地震時を想定した変形にあっても高層建築物、橋梁、ラインパイプなどを倒壊や落下或いは破裂などの決定的な破壊から免れるようにすることが一層確実になる。
本発明例に係る鋼板と比較例に係る鋼板の圧延方向断面(L方向断面)のミクロ組織の代表例である。 本発明例に係る鋼板と比較例に係る鋼板の圧延直角方向断面(C方向断面)のミクロ組織の代表例である。
本発明に係る耐震性構造物用鋼材は、下記の組成を有する。
C:0.01〜0.2%
Cは硬質第二相の硬さとその量を支配する基本的な元素であり、所定の強度を得るために0.01%(質量比:以下同様)を必要とする。しかし、その含有量が0.2%を超えると溶接性を損なう。したがって、C含有量は0.01〜0.2%、好ましくは、0.05〜0.18%に制限される。
Si:0.01〜1.0%
Siは鋼中に固溶して鋼強度を向上させる基本的な元素であり、その目的を達成するためには0.01%以上の添加が必要であるが、過度の添加は溶接熱影響部の靭性を損なうため、上限が1%に、好ましくは0.6%に制限される。
Mn:0.5%未満
Mnは、本発明においては、0.5%未満に制限される。通常の溶接構造用鋼においては、Mnは高強度化のため1%以上含有する。しかしながら、かかる含有量をとるときには、素材の連続鋳造過程において生ずるMnの正負ミクロ偏析の拡大によって熱間圧延後の製品組織に硬質第二相がバンド状に分布するようになり、鋼材の幅方向や板厚方向の一様伸びを著しく低下させる原因になる。かかる問題を回避するため、本発明においてはMn含有量を0.5%未満、好ましくは0.01〜0.4%に制限する。
P:0.030%以下
Pは硬質第二相がバンド状に分布する傾向を助長する元素であり、その含有量は極力少ないことが望ましい。しかしながら、その過度の低減は製造コストの上昇を招く。これらの事情を勘案してPの含有量は0.030%以下、好ましくは、0.025%以下とする。
S:0.030%以下
Sは、鋼中において第二相のバンド状析出を助長する元素である反面、溶接熱影響部において析出するMnSがフェライト変態核として機能し、溶接熱影響部靭性(HAZ靭性)を向上させる効果を奏する。かかる観点からS含有量は特にMn含有量との関係において適正に調整されなければならない。本発明におけるMn含有量0.5%未満においてはS含有量は0.030%以下、好ましくは0.002〜0.015%の範囲とする。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸元素として機能し、鋼中の酸化物系介在物を低減して鋼材の靭性及び延性の向上に寄与する。しかしながら、その添加量(鋼中存在量)が0.1%を超えると、上記効果が飽和するばかりか、アルミナクラスタの増加により靭性、延性の低下をもたらす。したがって、Alの添加量は0.1%以下、好ましくは、0.005%〜0.1%とする。
Cr:0.1〜3.0%
Crは、フェライト相を強化し、高強度化に寄与する。また、その添加により、素材の連続鋳造過程において正負ミクロ偏析の拡大を生ずることがなく、したがって、バンド状組織の生成が助長されることがなく、かえって、軟質フェライト相中に硬質第二相をランダムに分布させ、異方性を軽減させる効果がある。このような効果は、0.1%以上の添加で顕著に認められるようになる。しかしながら、3%を超える添加は溶接性を損なうため好ましくない。かかる観点から本発明においてはCrの添加量は0.1〜3.0%、好ましくは、0.3〜2.5%の範囲とする。
Ti:0.001〜0.030%
Tiは、鋼中の鋼中のNと結合してTiNを形成し、Nを固定して鋼の靭性向上や溶接熱影響部靭性向上に寄与する。その効果は0.001%以上で顕著になるが、0.030%を超えるとTiCの析出に伴う脆化が生ずる。したがって、Tiは0.001〜0.030%の範囲で添加される。
本発明では、上記の成分のほか、下記の成分を任意に添加することができる。
Cu:1%以下、Ni:1%以下及びMo:1%以下から選ばれる1種又は2種以上
これらの元素は、軟質フェライトを固溶強化することにより鋼の強度を向上させる効果がある。このうち、Cuは、Crと同様に、軟質フェライト相中に硬質第二相をランダムに分布させ、異方性を軽減させる効果があり、この効果を得るために添加する場合には、0.05%以上とすること好ましい。しかしながら、Cuは、1.0%を超えて添加するとCuの析出による脆化の原因になるので、Cuの添加量は1%以下でなければならない。Niは、靭性を低下させることなく強度を向上させる元素であり、この効果を得るために添加する場合には0.05%以上とすることが好ましい。しかし、過度の添加は、硬質第二相をバンド状に析出させる原因となるので、上限を1%に制限する。また、Moは軟質フェライト相中に硬質第二相をランダムに分布させ、異方性を軽減させる効果があり、鋼の高強度化に有用である。この効果を得るためには添加する場合は、0.05%以上とすることが好ましい。しかし、過剰の添加は溶接性を低下させるため、上限を1%とした。なお、これらの元素は、上記範囲でそれぞれ独立して添加可能である。
V:0.1%以下及びNb:0.05以下から選ばれる1種又は2種
Nbは結晶粒の微細化及び炭化物等の析出強化により、Vは炭化物等の析出強化により鋼の強度を向上させる効果がある。しかしながら、Nbはオーステナイトの未再結晶温度域を高温側に移動させ、異方性を助長するのでその添加量が0.05%以下に制限される。また、Vはその添加量が0.1%を超えるとHAZ靭性を低下させる原因になるので上限を0.1%とする。これらの元素についても、上記範囲でそれぞれ独立して添加可能である。
Ca:0.0005〜0.005%、REM:0.001〜0.020%、Mg:0.0005〜0,005%及びZr:0.0005〜0.0030%から選ばれる1種又は2種以上
これらの元素は、いずれも溶接熱影響部の靭性を向上させるために有効な元素であり、鋼材に対して適用される溶接法に応じてその下限値以上の量においてかつ、鋼の清浄度を害さない限度において添加することができる。これらの元素についても、上記範囲でそれぞれ独立して添加可能である。
上記組成を有する鋼は、そのミクロ組織における硬質第二相の平均アスペクト比が圧延方向断面及び圧延直角方向断面においてともに5.0以下であるものとすることによって一層確実に本発明の目的を達することができるようになる。これは、圧延方向断面(以下「L方向断面」と称する)及び圧延直角方向断面(以下「C方向断面」と称する)における硬質第二相の平均アスペクト比がともに5.0以下とした場合は、硬質第二相の存在形態が従来鋼の如きバンド状ではなくランダム状となり、一様伸び、全伸び及び靭性の異方性が低減されるからである。
上記硬質第二相の平均アスペクト比は、以下のようにして決定される。すなわち、製造された鋼材から顕微鏡観察用の小サンプルを採取し、前記L方向及びC方向の各断面についてナイタール腐食によるミクロ組織を観察し、パーライトなどを硬質第二相としてその個々のアスペクト比(長径/短径)を画像処理により求め、これらの平均値を平均アスペクト比とするものである。なお、ミクロ組織の観察にあたっては、観察すべき硬質第二相の大きさに応じて、観察倍率を×200〜×500の範囲で選択するとともに視野数を3視野程度(観察面積0.4〜1mm)とする。そして、上記により観察された各視野において認められるパーライトやベイナイトなどを硬質第二相としてその平均アスペクト比が求められるのである。上記のうち、L方向断面について求められた値がL方向平均アスペクト比であり、C方向断面について求められた値がC方向平均アスペクト比である。このような平均アスペクト比を有する硬質第二相は、前記のとおり鋼組成を適正化するとともに、さらに、以下のとおり圧延、熱処理条件を適正化することによって得ることができる。
上記に説明した耐震性構造物用鋼は、前述のとおり特定された鋼組成を有する素材を1000〜1350℃に加熱後、熱間圧延を施して最終製品形状に成形するに当たり、前記熱間圧延の最終圧延温度をAr〜Ar+150℃の範囲とするとともに、熱間圧延の終了後500℃までの範囲を放冷すること、又は熱間圧延の終了後Ar−50℃以下の温度から500℃までの温度範囲を1〜80℃/sの速度で加速冷却することによって製造することができる。
上記圧延プロセスにおいて、鋼素材の加熱温度を1000〜1350℃に限定するのは、加熱温度が1000℃未満の場合、素材である連続鋳造鋳片内に存在するミクロ偏析の溶体化処理が不十分となり、製品に硬質第二相がバンド状に現れるのを防止し得ないからである。一方、加熱温度が1300℃を超えるときには、初期γ相が粗大化し、これに伴って製品フェライト粒が粗大化して、製品の低温靭性を低下させる結果を招くからである。
本発明においては、熱間圧延における最終圧延温度がAr〜Ar+150℃の範囲に限定される。熱間圧延温度がAr未満では、圧延の際に圧延集合組織が発達するために、製品の一様伸び、特にC方向一様伸びが低下し、異方性が大きくなるからである。反対に、最終圧延温度がAr+150℃より高いときには、硬質第二相のサイズが粗大化し、製品の強度や衝撃値を低下させる。
上記の温度で熱間圧延を終えた鋼材は、熱間圧延終了後500℃までの温度範囲を放冷され、これによって主な硬質第二相としてパーライトがランダムに分布した組織が得られる。なお、この場合において、放冷とは、熱延終了後500℃までの温度区間を加速冷却せず、冷却床の上で自然放冷(空冷)されることをいう。
一方、熱間圧延を終えた鋼材を、Ar−50℃以下の温度から500℃までの温度範囲を1〜80℃/sの速度で加速冷却することもできる。この場合は、主な硬質第二相がベイナイトやその微細分散物がランダムに分布した組織を得ることができる。この場合は、硬質第二相の強化及びその微細分散化によって強度を高めることができる。なお、加速冷却開始温度をAr−50℃以下とするのは、上記ベイナイトなどの中間段階変態相の析出を確実にするためである。なお、500℃未満まで加速冷却を行うと延性が低下するために、加速冷却停止温度の下限は500℃以上とすることが好ましい。
表1に示す組成の溶鋼を転炉により溶製し、連続鋳造法により厚さ:210mmのスラブに鋳造した。得られたスラブを厚板圧延機により板厚:12〜25mmの厚鋼板に圧延した。この際のスラブ加熱温度及び圧延仕上温度を表2に示す。また、仕上圧延後の冷却条件についても表2に示す。
得られた製品の板厚中心より、L方向及びC方向に沿って、平行部直径6mm、標点距離25mmの丸棒試験片、ミクロ組織観察用試験片及び2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を切出し、強度(下降伏点(LYP)及び引張強さ(TS))、延性(一様伸び(uEL)及び全伸び(tEL))、靭性(破面遷移温度(vTrs))を測定した。なお、一様伸び(uEL)は、引張試験において引張荷重が最大となったときの試験片の伸び量を標点距離(25mm)で除した値である。
試験結果を表3に示す。また、本発明例に係る鋼板と比較例に係る鋼板のL方向断面及びC方向断面のミクロ組織の代表例として、鋼B(圧延番号B1)及び鋼I(圧延番号I1)に係るものをそれぞれ図1及び図2に示す。なお、硬質第二相のアスペクト比は、前記のとおり、製造された鋼材から顕微鏡観察用の小サンプルを採取し、前記L方向及びC方向の各断面についてナイタール腐食によるミクロ組織を観察し、パーライトなどを硬質第二相としてその個々のアスペクト比(長径/短径)を画像処理により求め、これらの平均値を平均アスペクト比としたものである。
Figure 2010215996
Figure 2010215996
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上記実施例から明らかなように、本発明により得られた鋼材は、一様伸び、全伸び及び破面遷移温度によって代表される靭性が高く、かつ、これらの異方性が小さいという特性を有する。これは図1及び図2に示すように本発明例ではミクロ組織において、L方向においても、C方向においても硬質第二相の分布がランダムになっていることに由来する。これに対し、鋼I(圧延No.I1)、鋼J(圧延No.J1)、鋼K(圧延No.K1)の場合は、Mn含有量が高すぎるため、異方性が大きくなった。また、鋼L(圧延No.L1)は、機械的特性は、異方性を含めて良好であったが、Cr含有量が高すぎるため、溶接性が悪かった。また、鋼M(圧延No.M1)は、Cr含有量が低すぎるため、強度が低かった。圧延番号A3に係るものは、組成条件は本発明範囲内にあるが、熱間圧延温度がAr未満であるため組織がバンド状組織となり、機械的性質の異方性が大きくなった。
上記から明らかなように、本発明に係る鋼は、大地震時を想定した変形にあっても高層建築物、橋梁、ラインパイプなどを倒壊や落下或いは破裂などの決定的な破壊から免れるようにすることが一層確実になることが期待できる。

Claims (7)

  1. 鋼組成が質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5%未満、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.1%以下、Cr:0.1〜3.0%、Ti:0.001〜0.030%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、金属組織が軟質フェライト相中に硬質第二相がランダムに分布していることを特徴とする耐震性構造物用鋼材。
  2. 硬質第二相の平均アスペクト比が圧延方向断面及び圧延直角方向断面においてともに5.0以下であることを特徴とする請求項1記載の耐震性構造物用鋼材。
  3. 鋼組成が、さらに、Cu:1%以下、Ni:1%以下及びMo:1%以下から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1又は2に記載の耐震性構造物用鋼材。
  4. 鋼組成が、さらに、V:0.1%以下及びNb:0.05%以下から選ばれる1種又は2種を含有する請求項1〜3の何れかに記載の耐震性構造物用鋼材。
  5. 鋼組成が、さらに、Ca:0.0005〜0.005%、REM:0.001〜0.020%、Mg:0.0005〜0,005%及びZr:0.0005〜0.0030%から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1から4の何れかに記載の耐震性構造物用鋼材。
  6. 請求項1、3、4及び5の何れかに記載の鋼組成を有する素材を1000〜1350℃に加熱後、熱間圧延を施して最終製品形状に成形するに当たり、前記熱間圧延の最終圧延温度をAr〜Ar+150℃の範囲とするとともに、熱間圧延の終了後500℃までの範囲を放冷することを特徴とする耐震性構造物用鋼材の製造方法。
  7. 請求項1、3、4及び5の何れかに記載の鋼組成を有する素材を1000〜1350℃に加熱後、熱間圧延を施して最終製品形状に成形するに当たり、前記熱間圧延の最終圧延温度をAr〜Ar+150℃の範囲とするとともに、熱間圧延の終了後Ar−50℃以下の温度から500℃までの温度範囲を1〜80℃/sの速度で加速冷却することを特徴とする耐震性構造物用鋼材の製造方法。
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