JP2000280615A - インクジェット記録用媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字濃度、インク吸収性等の記録品位に優
れ、画像保存性（耐光性、耐水性、耐湿性）が良好であ
り、かつ記録画像が剥がれにくい優れた表面強度を有す
るインクジェット記録用媒体を提供する。 【解決手段】 少なくとも、顔料と、エマルジョン樹脂
と界面活性能を有する水溶性樹脂とを含むバインダー樹
脂と、耐光性向上剤と、染料定着剤とからなるインク受
容層を支持体上に塗工してインクジェット記録用媒体を
作製する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用媒体に関するもので、さらに詳しくは、印字濃度、
インク吸収性等の記録品位に優れ、かつ画像保存性（耐
光性、耐水性、耐湿性等）が良好なインクジェット記録
用媒体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットプリンタは、記録の鮮明
さ、音の静かさ、カラー化の容易さ等の特徴を有するた
め、近年その普及はますます増大している。近年、イン
クジェットプリンタが安価になり、その鮮鋭性や色彩性
が身近なものとなるに従い、オンデマンド印刷（アルバ
ム用途、パンフレット用途）に使用されることが多くな
ってきている。それに伴い、印字濃度、インク吸収性
（高速印字対応）等の記録品位はもちろんのこと、画像
保存特性（耐光性、耐水性、耐湿性等）に関する要求は
次第に高く、厳しくなる一方である。したがって、これ
らの要求特性を完全に確保することが今やインクジェッ
ト記録用媒体の必須条件になっているのが現状である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のイン
クジェット記録用媒体では、文字・画像等の記録、特に
フルカラー記録の耐光性について改善の提案がなされて
いるものの、未だ不十分である。また、記録用媒体には
インク吸収性に優れた顔料成分を多く含有するインク受
容層が形成されているが、フルカラー記録に使用するイ
ンク量が多くなるために上記インク受容層の強度が低下
し、表面を擦る等により顔料が脱落したりインク受容層
が剥がれてしまうといった表面強度に対する問題があっ
た。よって、本発明は従来技術における上記した実情に
鑑みてなされたもので、印字濃度、インク吸収性等の記
録品位に優れ、画像保存性（耐光性、耐水性、耐湿性）
が良好であり、かつ記録画像が剥がれにくい優れた表面
強度を有するインクジェット記録用媒体を提供すること
を目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、支持体上
にインク受容層を塗工してなるインクジェット記録用媒
体について種々の検討を重ねた結果、上記インク受容層
が、特定の顔料、共重合樹脂エマルジョン、水溶性高分
子、耐光性向上剤および染料定着剤で構成することによ
って、記録品位および画像保存性に優れ、かつ優れた表
面強度を有するインクジェット記録用媒体を作成するこ
とに成功し、本発明の完成に至った。

【０００５】すなわち本発明は、支持体上に少なくとも
顔料とバインダー樹脂からなるインク受容層を有するイ
ンクジェット記録用媒体において、バインダー樹脂がエ
マルジョン樹脂と界面活性能を有する水溶性樹脂とを含
み、かつインク受容層に耐光性向上剤および染料定着剤
を含むことを特徴とするインクジェット記録用媒体を提
供するものである。以下、本発明により好適な実施の形
態について詳細に説明する。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用媒
体は、支持体上の片面または両面にインク受容層を塗布
法等の積層手段により設けてなる構成であり、さらに付
加価値を高めるために最表面に光沢度調整層を積層する
ことが好ましい。また、本発明のインクジェット記録用
媒体のインク受容層・光沢度調整層は、２層づつあるい
は３層以上づつあってもよい。以下、支持体およびイン
ク受容層・光沢度調整層を構成する材料について説明す
る。

【０００７】（１）支持体 本発明に用いられるインク受容層を塗工するための支持
体は、ＬＢＫＰ、ＮＢＫＰ等の化学パルプ、ＧＰ、ＰＧ
Ｗ、ＲＭＰ、ＴＭＰ、ＣＴＭＰ、ＣＭＰ、ＣＧＰ等の機
械パルプ、ＤＩＰ等の古紙パルプ、等の木材パルプや、
ポリエチレン繊維等の合成繊維パルプを主成分として、
顔料およびサイズ剤や定着剤、歩留り向上剤、紙力増強
剤等の通常抄紙に使用されている各種添加剤を１種以上
必要に応じて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツイン
ワイヤ抄紙機等の各種装置で製造された原紙、さらに、
この原紙に澱粉、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼ
ラチン等をサイズプレスした原紙やアンカーコート層を
設けた原紙、写真印画紙に使用されるようなバライタ紙
化を施したようなアート紙、コート紙、キャストコート
紙等の塗工紙も含まれる。

【０００８】このような原紙および塗工紙にそのままイ
ンク受容層を設けても良いし、さらに、基材の平滑性、
インク受容層の塗工性を向上させ、この基材を使用して
作製した記録用媒体をより印画紙の風合いに仕上げるた
めに、マシンカレンダー、ＴＧカレンダー、ソフトカレ
ンダー等のカレンダー装置をインク受容層塗工前段階で
使用することも可能である。

【０００９】また、支持体上へのラミネート材料からの
アプローチとして、透気度が上がり過ぎないよう最初か
ら多孔質化したもの、あるいは極めて薄膜でラミネート
し、加熱などによって多孔質化するように細工を施され
たポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ナイロン、レーヨン、ポリウレタン等の合
成樹脂やこれらのフィルム材を使用することも無論可能
である。

【００１０】支持体の塗工面の平滑度に関しては、それ
によって作製される記録用媒体の意匠性を最大限に引き
出すために、支持体の剛さを損なわない方法でなるべく
高くすることが好ましい。具体的な平滑度の数値として
は、「Ｊ．ＴＡＰＰＩ 紙パルプ試験法Ｎｏ．５」に規
定される王研式平滑度試験方法での平滑度が、好ましく
は１００秒以上、さらに好ましくは５００秒以上、最も
好適なのは１５００秒以上である。また、支持体の剛さ
に関しては、柔らか過ぎたり、逆に剛過ぎたりするとプ
リンタへの給紙過程に問題が生じるおそれがある。した
がって、具体的な剛さとしては、「Ｊ．ＴＡＰＰＩ 紙
パルプ試験方法Ｎｏ．４０」に規定されるガーレー法剛
さ試験方法による２０℃、６５％ＲＨでの剛さが、縦方
向で４００〜３６００ｍＮの範囲、横方向で２００〜１
８００ｍＮの範囲にあることが好ましく、縦方向で８０
０〜２５００ｍＮの範囲、横方向で４００〜１０００ｍ
Ｎの範囲にあることが最も好適である。

【００１１】（２）インク受容層 （Ａ）顔料 本発明におけるインク受容層には、一般に使用されてい
る水に不溶もしくは難溶性の顔料を適宜用いることがで
きるが、インクジェットインクの乾燥性や吸収性などに
優れていることから、合成非晶質シリカまたはアルミ
ナ、特に、多孔性合成非晶質シリカまたは多孔質アルミ
ナが好適に使用できる。また、本発明では、印刷品質と
保存性（室内保存性・直射日光）の両方を満足するため
に、比表面積２００〜６００ｇ／ｍ^２程度の沈降タイプ
およびゲルタイプの多孔性非晶質シリカまたは多孔質ア
ルミナを使用することがさらに好適である。

【００１２】（Ｂ）バインダー樹脂 本発明に係るインク受容層に含有されるエマルジョン樹
脂は、優れたインク受容層強度および画像保存特性（耐
光性、耐水性、耐湿性）を発揮するために、エチレン−
酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂またはアクリ
ル樹脂の共重合樹脂系エマルジョンが好適に用いられ
る。これらのエマルジョン樹脂には、乳化安定剤とし
て、部分ケン化ＰＶＡ系の樹脂を用いることが好まし
い。

【００１３】エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマル
ジョンは、樹脂のＴｇが−３０〜−５℃であり、イオン
性がノニオン性または弱アニオン性であることが好まし
い。また、ポリウレタン樹脂系エマルジョンは、樹脂の
Ｔｇが−３０〜０℃であり、イオン性がカチオン性であ
ることが好ましく、カチオン性置換基を有するイソシア
ネートとポリオールの共重合樹脂粒子を分散してなるサ
スペンジョンであることが好適である。この共重合樹脂
をアイオノマー化した場合、乳化安定剤が不要となるの
でより好ましい。また、本発明に用いるイソシアネート
は、下記化１に示す構造式で表され、Ｒはアミノ基を有
する脂肪族または芳香族である炭化水素を示す。

【００１４】

【化１】

【００１５】アクリル樹脂系エマルジョンは、イオン性
がカチオン性であることが好ましく、カチオン性置換基
を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステ
ルの少なくとも１成分を共重合してなる樹脂粒子を分散
したサスペンジョンが好適に用いられる。このカチオン
性置換基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル
酸エステルは、下記化２に示す構造式で表される化合物
であり、Ｒ_１は水素原子またはメチル基、Ｒ_２は例えば
アミノ基を有するアルキル基であり、具体的には下記化
３に示す置換基が挙げられる。

【００１６】

【化２】

【００１７】

【化３】

【００１８】また、界面活性能を有する水溶性樹脂とし
ては、分子中に親水性基と疎水性基の両方を有する樹脂
を適宜使用することができるが、本発明においては、こ
のような樹脂の中でも、記録品位、接着性、画像保存特
性（耐光性、耐水性、耐湿性等）が総合的に優れたイン
ク受容層を調製するために、部分ケン化ＰＶＡまたはカ
ルボン酸変性ＰＶＡが好ましく、また、エマルジョン樹
脂との混和性を考慮すると、これらＰＶＡのケン化度
は、６５．０〜９０．０モル％であることが好ましく、
特に７３．０〜８５．０モル％であることが好適であ
る。この範囲を逸脱したＰＶＡを使用した場合、好適な
エマルジョン樹脂を使用しても、画像保存性（特に耐光
性）の低下が認められる。

【００１９】インク受容層における顔料、エマルジョン
樹脂および界面活性能を有する水溶性樹脂の配合割合
は、インク受容層強度および光沢度調整層強度とインク
吸収特性等の記録品位のバランスが保てる範囲とするた
めに、顔料：バインダー樹脂＝３：７〜１：１であり、
かつエマルジョン樹脂：界面活性能を有する水溶性樹脂
＝１９：１〜１１：９である範囲が好ましく、顔料：バ
インダー樹脂＝４：６〜１：１であり、かつエマルジョ
ン樹脂：界面活性能を有する水溶性樹脂＝３：１〜３：
２である範囲が最も好適である。

【００２０】この好適な範囲を逸脱して顔料が多すぎる
場合には、バインダーの接着力が不足し、製造時にイン
ク受容層破壊や必要に応じて積層される光沢度調整層の
破壊が生じて生産性低下の原因となることがある。ま
た、逆にバインダー樹脂が多すぎる場合には、透気度が
上昇してインク吸収特性等の記録品位低下を招くことが
懸念される。

【００２１】（Ｃ）耐光性向上剤、染料定着剤 一般的にいわれるインクジェット記録シートのインク受
容層は、上記の顔料およびバインダー樹脂を主成分とし
て形成されるものであるが、本発明の最大の特徴はそれ
に加えてインク受容層に耐光性向上剤および染料定着剤
を含有させることにある。本発明における耐光性向上剤
とは、インクジェット記録用媒体のインク受容層に添加
することによって、画像の光退色防止効果を有する添加
剤を意味する。

【００２２】この耐光性向上剤には、２価以上の水溶性
金属塩、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。こ
の場合、水溶性とは２０℃の水を溶媒として金属塩の飽
和水溶液を調製した場合、飽和水溶液１００ｇ中に含ま
れる無機金属塩の質量が無水質量で２５ｇ以上となるも
のをいう。また、２価以上の無機金属塩とは水などに溶
解して電離した際、２価以上の陽金属イオンを生じるも
のをいう。金属塩としては水溶性の２価以上の金属塩で
あれば適宜用いることができるが、マグネシウム、カル
シウム、ストロンチウム、バリウム、ガリウム、インジ
ウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス等
の典型金属元素のハロゲン化物、ヘキサフルオロシリル
化物、硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、塩素酸類塩、硝
酸類塩などの無機金属塩が溶解性がよく優れた改良効果
がある。また、有機酸の塩も水溶性であれば、これを用
いることができる。これらは、インク受容層中などにお
いて不溶の塩等でおこる光散乱が生じにくいため、印字
時に色がくすんでしまうなどの問題が一切生じることが
なく好適である。

【００２３】具体的には、２価以上の水溶性金属塩とし
て、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウ
ム、塩化スズ、塩化鉛、硫酸マグネシウム、硫酸カルシ
ウム、塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸
マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム等が挙げ
られ、紫外線吸収剤および酸化防止剤として、液体型ま
たは分散型のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やヒン
ダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。

【００２４】これら耐光性向上剤の含有量としては、イ
ンク受容層の総固形分に対して任意の割合でよく、さら
に好ましくは１．０〜４０．０重量％であり、最も好適
なのは５．０〜２０．０重量％の範囲である。含有量が
１．０重量％未満では画像の耐光性および諸特性への効
果が確認されるも十分でなく、また４０．０重量％を越
える量を添加しても耐光性および他の諸特性は十分改良
されるものの、それ以上は向上せず、耐水性および耐湿
性が低下したり、インク受容層の塗膜強度が損なわれる
おそれがある。また、インクジェット記録の印刷品質と
のバランスどりが難しくなる。これらの好適な含有量範
囲は、鮮明な印字画像を達成するために、顔料に対して
５．０〜４０．０重量％が好ましく、さらには１０．０
〜２０．０重量％が好適である、坪量換算では優れた鮮
明性を確保するために耐光性向上剤量にして０．２〜１
０．０ｇ/ｍ^２が好適である。また、これらの耐光性向
上剤は、基材改良の目的で基材に０．２〜２０．０ｇ/
ｍ^２程度塗工するか、あるいは０．５〜２０．０重量％
程度内添して用いることも可能である。

【００２５】また、染料定着剤としては、ポリアミン樹
脂、第４級アンモニウム塩樹脂等のカチオン性樹脂が挙
げられる。この染料定着剤は、耐光性向上剤と併用する
ことにより、本発明のインクジェット記録用媒体の記録
品位向上に対する相乗効果を発揮する。その有効な効果
を示すためには、染料定着剤に対して耐光性向上剤（２
価以上の水溶性金属塩、紫外線吸収剤、酸化防止剤）を
４：１〜１：１、さらに好ましくは３：２〜１：１の固
形分比率で併用し、また、顔料およびバインダー樹脂：
その他の添加剤を１９：１〜４：１、さらに好ましくは
９：１〜４：１の固形分比率で使用することが好適であ
る。

【００２６】（Ｄ）その他の添加剤 さらに、インク受容層には、その他の添加剤として、顔
料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離
型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白
剤、防腐剤、耐水化剤、硬膜剤等を必要に応じて適宜配
合することもできる。

【００２７】これまでの説明で、記録品位を満足し、支
持体への密着性、断裁加工時の粉落ち等の生産上の問題
を解決し得るインク受容層中の各材料の固形分比率は、
顔料（好ましくはシリカまたはアルミナ）４０．０〜６
０．０重量％、バインダー２０．０〜４０．０重量％、
その他の添加剤（特に２価以上の水溶性金属塩と染料定
着剤の併用が好ましい）１．０〜４０．０重量％を基準
として構成することが最も好適である。

【００２８】インク受容層の形成は、層を形成するため
の材料を水またはアルコール等の適当な溶媒中に溶解も
しくは分散させて調製した塗工液を、各種ブレードコー
タ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、
ロッドブレードコータ、サイズプレス等の各種装置をオ
ンマシンあるいはオフマシンで適宜使用して、支持体の
片面または両面上に塗布して形成する。インク受容層の
塗布量としては、例えば、１層タイプでは５．０〜３
０．０ｇ／ｍ^２が好ましく、特に５．０〜２０．０ｇ／
ｍ^２が好適である。また、基材上に第１インク受容層を
積層し、この第１インク受容層の上に第２インク受容層
を積層して２層タイプとする場合、第１インク受容層の
塗布量は５．０〜３０．０ｇ／ｍ^２が好ましく、特に
５．０〜２０．０ｇ／ｍ^２が好ましい。第２インク受容
層の塗布量は、５．０〜１５．０ｇ／ｍ^２が好ましく、
特に５．０〜１０．０ｇ／ｍ^２が好ましい。

【００２９】これらの範囲より塗布量が少ない場合に
は、インク吸収性やインク定着性が十分得られないこと
があり、逆に多い場合には、粉落ち等の問題が発生し、
生産性の低下またはコストアップを招くことがある。特
に、第２インク受容層の塗布量が１５．０ｇ／ｍ^２を超
えて多い場合には、第２インク受容層中をインクが通過
することが困難になり、滲みを生じて画像の鮮明性が損
なわれるがことある。このように積層するインク受容層
の数によってインク受容層の塗布量をコントロールする
ことが好ましい。また、インク受容層の塗工後には、マ
シンカレンダー、ＴＧカレンダー、スーパーカレンダ
ー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げて
も良い。

【００３０】支持体上にインク受容層を塗工した段階
（後述する光沢度調整層を必要に応じて積層する場合で
はその前段階）での媒体全体の透気度は、光沢度調整層
を塗工した場合でも記録用媒体全体の透気度を一定レベ
ル内に維持するために、好ましくは１０〜５０００秒／
１００ｍＬ、さらに好ましくは１０〜４０００秒／１０
０ｍＬ、最も好適なのは１０〜３０００秒／１００ｍＬ
である。透気度が５０００秒／１００ｍＬを越えるイン
ク受容層塗工品を使用したものは、最終メディアの透気
度がこれ以下になることがなく、インク吸収特性の低下
を招くなど記録品位低下の原因となる可能性があり、さ
らに光沢度調整層を積層した場合には、光沢度調整層の
剥がれや層破壊といった光沢度調整層強度の問題も発生
することがあるために好ましくない。

【００３１】（３）光沢度調整層 次に、必要に応じてインク受容層の最表面に積層する光
沢度調整層について説明する。本発明のインクジェット
記録用媒体で付加価値を高めるために採用される光沢度
調整層は、６０度鏡面光沢度試験方法によって光沢度が
１０以上の特性を有することが好ましい。

【００３２】光沢度調整層の材料としては、上記インク
受容層に使用されるバインダー樹脂および顔料の混合材
料を塗工液として使用することができるが、バインダー
樹脂として水溶性アクリル樹脂、顔料としてコロイダル
シリカあるいはコロイダルアルミナを用いることがより
好適である。なお、光沢度調整とは、バインダー樹脂の
種類、コロイダルシリカ等の顔料の混合比率を任意に変
化させることによって光沢度を任意の値に調整可能であ
ることを意味している。

【００３３】これら光沢度調整層をインク受容層上に積
層するには、一般的に知られる鏡面ドラムキャスト法を
用いることをできるが、本発明のインクジェット記録用
媒体を作製するためには、支持体上に形成したインク受
容層上に光沢度調整層用塗工液を塗布して塗工液層を形
成し、この塗工液層上に、表面が平滑で塗工する光沢度
調整層に応じて選択されたフィルム（例えばポリオレフ
ィン樹脂フィルム、４フッ化エチレン樹脂フィルム、剥
離性シリコン加工済樹脂フィルム等）を重ね合わせて密
着させ、塗工液層の乾燥後に上記フィルムを剥離するこ
とによって積層するフィルムキャスト法を用いることが
より好適である。

【００３４】インク受容層上への光沢度調整層の積層
は、オンマシンでインク受容層塗工と同時に行っても光
沢度調整層の塗工状態が劣悪になることがなく、それに
伴ったインク吸収性等の記録品位の低下はないが、オフ
マシンで光沢度調整層積層を行うことによって、さらに
媒体全体の透気度等の調整が容易となり、記録品位をさ
らに綿密にコントロールすることが可能である。

【００３５】なお、本発明のインクジェット記録用媒体
の光沢度調整層におけるバインダー樹脂および顔料の配
合比は、光沢性を維持する点で、顔料に対してバインダ
ー樹脂が５．０〜５０．０重量％であることが好まし
く、５．０〜３０．０重量％がより好ましい。なお、光
沢度調整層がインク受容層の機能を損なうことなく良好
な光沢性を発揮する坪量としては、３．０〜２５．０ｇ
／ｍ^２が好ましく、５．０〜１５．０ｇ／ｍ^２であれば
より好適である。

【００３６】本発明のインクジェット記録用媒体は、以
上のような方法により支持体の片面または両面にインク
受容層を塗工し記録用媒体としたもの、あるいはさらに
その最表層に光沢度調整層を積層し付加価値を高めたも
のである。

【００３７】

【実施例】次に、本発明に基づく実施例および比較例を
示し、本発明の効果をより明らかにする。各実施例およ
び比較例は、いずれも支持体を坪量９０．０ｇ／ｍ^２の
上質紙とし、その支持体の両面に下記組成の材料を水に
溶解・分散した塗液を順次塗布・乾燥することによって
インク受容層、さらに光沢度調整層を積層して、インク
ジェット記録用媒体としたものである。なお、実施例２
〜９および比較例１〜４は、実施例１におけるインク受
容層の組成のみを変更したものである。また、実施例中
に挙げたものは、乾燥固形分重量の比率である。なお、
塗布量は断りのない限りインク受容層、光沢度調整層と
も１０．０ｇ／ｍ^２とした。

【００３８】 ＜実施例１＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−４２０（ケン化度：７８．０〜８１．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン７８４Ｓ） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００３９】 ［光沢度調整層］ ・バインダー樹脂 マレイン酸変性ＰＶＡ （日本合成化学社製：ゴーセナールＴ−３５０） １０．０重量％ ・白色顔料 コロイダルシリカ （日産化学工業社製：スノーテックスＵＰ） ４５．０重量％ （日産化学工業社製：スノーテックスＸＬ） ４５．０重量％

【００４０】 ＜実施例２＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−４２４Ｈ（ケン化度：７８．５〜８０．５モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン１００１） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００４１】 ＜実施例３＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：Ｌ−９−７８（ケン化度：７６．５〜７９．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 第４級アンモニウム樹脂系染料定着剤 （センカ社製：ＰＡＬ−２） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００４２】 ＜実施例４＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：Ｌ−９−７８（ケン化度：７６．５〜７９．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン７８４Ｓ） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） ７．０重量％ 分散型ヒンダードアミン系酸化防止剤 （旭電化工業社製：ＬＸ−３３２） ３．０重量％

【００４３】 ＜実施例５＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：Ｌ−９−７８（ケン化度：７６．５〜７９．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン１００１） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） ７．０重量％ 分散型ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 （旭電化工業社製：ＬＸ−３０１） ３．０重量％

【００４４】 ＜実施例６＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ マレイン酸変性ＰＶＡ （クラレ社製：ＫＬ−５１０（ケン化度：７４．０〜８０．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン１００１） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００４５】 ＜実施例７＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 ポリウレタン樹脂系エマルジョン （旭電化工業社製：ＨＵＸ−６７０） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−４２０（ケン化度：７８．０〜８１．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 第４級アンモニウム樹脂系染料定着剤 （センカ社製：ＰＡＬ−２） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：硫酸マグネシウム） １０．０重量％

【００４６】 ＜実施例８＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 アクリル樹脂系エマルジョン （新中村化学工業社製：ニューコートＰＶ−３０３） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−４２０（ケン化度：７８．０〜８１．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン７８４Ｓ） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００４７】 ＜実施例９＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：Ｌ−８（ケン化度：６９．５〜７２．５モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン１００１） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００４８】 ＜比較例１＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−４２０（ケン化度：７８．０〜８１．０モル％）） ３０．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン１００１） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００４９】 ＜比較例２＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 完全ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−１１７（ケン化度：９８．０〜９９．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン１００１） １０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） １０．０重量％

【００５０】 ＜比較例３＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−４２０（ケン化度：７８．０〜８１．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・染料定着剤 ポリアミン系染料定着剤 （住友化学工業社製：スミレーズレジン１００１） ２０．０重量％

【００５１】 ＜比較例４＞ ［インク受容層］ ・バインダー樹脂 エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン （クラレ社製：パンフレックスＯＭ−５５００） １８．０重量％ 部分ケン化ＰＶＡ （クラレ社製：ＰＶＡ−４２０（ケン化度：７８．０〜８１．０モル％）） １２．０重量％ ・白色顔料 シリカゲル （水澤化学社製：ミズカシルＰ７８Ｄ） ５０．０重量％ ・耐光性向上剤 ２価以上の水溶性金属塩 （富田製薬社製：塩化マグネシウムＳ） ２０．０重量％

【００５２】次に、上記実施例１〜９および比較例１〜
４のインクジェット記録用媒体に、市販のインクジェッ
トプリンタ（セイコーエプソン社製：ＰＭ−７５０Ｃ）
を使用して標準画像やカラーパッチなどの評価対象物を
印刷したところ、いずれも良好な画質を有する印字画像
が得られた。これらの画像を用いて、下記に示すような
方法で画像保存性（耐光性、耐水性、耐湿性等）および
層強度の評価を行い、その結果を表１に示した。

【００５３】

【表１】

【００５４】１．耐光性１ キセノンウエザオメータ（ＡＴＬＡＳ社製：Ｃｉ−５０
００）を使用し、ブラックパネル温度６３℃、相対湿度
５０％、３４０ｎｍ紫外線照射強度０．３５Ｗ／ｍ^２で
３０ｋＪ／ｍ^２の暴露試験を行った。分光光度計ＧＲＥ
ＴＡＧ ＳＰＭ５０（グレタグマクベス社製）を用いて
マゼンタの反射濃度を測定することにより耐光性を評価
した。 濃度残存率 Ａ：暴露後の濃度が暴露前の９０％を越える Ｂ：８０〜９０％ Ｃ：８０％未満

【００５５】耐光性２ インクジェット記録用媒体自身
の光黄変性 キセノンウエザオメータ（ＡＴＬＡＳ社製：Ｃｉ−５０
００）を使用し、ブラックパネル温度６３℃、相対湿度
５０％、３４０ｎｍ紫外線放射強度０．３５Ｗ／ｍ^２で
インクジェット記録用媒体自身に３０ｋＪ／ｍ^２の暴露
実験を行った。分光光度計ＧＲＥＴＡＧ ＳＰＭ５０
（グレタグマクベス社製）を用いて測定されたインクジ
ェット記録用媒体自身のＬ^＊、ａ^＊、ｂ^＊の値から求め
られる暴露前と暴露後の差をΔＥとし、ΔＥの値から光
黄変の程度を評価した。

【００５６】耐光性３ 南向き硝子窓越しにＹ、Ｍ、Ｃ、Ｂｋのカラーパッチを
約１ヶ月間放置し、濃度残存率の平均値を測定した。 濃度残存率 Ａ：放置後の濃度が放置前の９０％を越える Ｂ：８０〜９０％ Ｃ：８０％未満

【００５７】耐光性４ 南向き硝子窓越しにＲ、Ｇ、Ｂのカラーパッチを約１ヶ
月間放置し、それぞれのΔＥの平均値を測定した。

【００５８】２．クリヤファイル保存性 三菱鉛筆社製クリヤファイル（ＣＬ−Ａ４２０）に実施
例・比較例のインクジェット記録シートを２ｃｍ程度は
み出すように入れ、６０℃、２週間保存し、黄変の程度
を初期と放置後の色差ΔＥ（ＣＩＥ Ｌ^＊ａ^＊ｂ^＊によ
る）で評価した。

【００５９】３．室内保存性 北向き窓から２ｍ程度離れたオフィスの壁に印刷サンプ
ル（ポートレート画像）を６ヶ月間放置し、目視で室内
保存性を評価した。 目視での評価 Ａ：目視で初期と変化がわからない Ｂ：目視で初期と変化がわかる

【００６０】４．画像耐水性 Ｙ、Ｍ、Ｃ、Ｒ、Ｇ、Ｂ、Ｂｋの文字を印刷し、スポイ
ト１滴の水を付着させ、自然乾燥させた。 耐水性の評価 Ａ：染料の流れだしがない Ｂ：染料の流れだしがあるが判読可能 Ｃ：判読不可能

【００６１】５．インク吸収性 インクジェットプリンタでの混色ブリードおよび単色で
の滲み出し評価をした。セイコーエプソン社製の純正光
沢紙（商品名：スーパーファイン専用光沢紙（厚口）フ
ォトプリント紙）のインク吸収性との比較判定を肉眼で
行った。なお、ＳＣＩＤ画像の差とは、高精細カラーデ
ジタル標準画像データで、ＩＳＯ／ＪＩＳ−ＳＣＩＤ
（ＪＩＳ Ｘ９２０１−１９９５に準拠）のＮ１ポート
レート画像もしくはＮ３果物かご画像について比較した
ものである。 インク吸収性 Ａ：実用上全く問題なく優れている（同等以上） Ｂ：実用上問題なく優れている （若干劣るが、ＳＣＩＤ画像での差はわからない） Ｃ：実用上劣っている（ＳＣＩＤ画像での差もある）

【００６２】６．画像耐湿性 Ｙ、Ｍ、Ｃ、Ｒ、Ｇ、Ｂ、Ｂｋのカラーパッチを印字し
たサンプルを４０℃・８５％の高湿条件に３昼夜暴露
し、カラーパッチの濃色化と輪郭の滲み具合から画像耐
湿性を評価した。 画像耐湿性 Ａ：実用上全く問題なく優れている （濃色化、輪郭滲みが全くない） Ｂ：実用上問題なく優れている （若干程度の滲みがある） Ｃ：実用上劣っている

【００６３】７．インク受容層強度 インク受容層強度の判定基準として、塗工したインク受
容層に０．５ｍＬの水道水を滴下し、その上を指で摩擦
し、乾燥後にインク受容層の壊れ、剥がれを評価した。 インク受容層強度 Ａ：優れている （インク受容層の壊れ、剥がれ等が認められない） Ｂ：実使用上問題なく優れている （インク受容層の若干の剥がれは認められる） Ｃ：実使用上問題がある （インク受容層が指で擦っただけで壊れ、根こそぎ剥 がれてしまう）

【００６４】８．光沢度調整層強度 光沢度調整層強度の判定基準として、積層した光沢度調
整層に０．５ｍＬの水道水を滴下し、その上を指で摩擦
し、乾燥後に光沢度調整層の壊れ、剥がれを評価した。 光沢度調整層強度 Ａ：優れている （光沢度調整層の壊れ、剥がれ等が認められない） Ｂ：実使用上問題なく優れている （光沢度調整層の若干の剥がれは認められる） Ｃ：実使用上問題がある （光沢度調整層が指で擦っただけで壊れ、根こそぎ剥 がれてしまう）

【００６５】以上の結果から、実施例１〜８では、耐光
性、保存性、耐水性、インク吸収性、耐湿性および層強
度の優れたインクジェット記録用紙が得られた。また、
バインダー樹脂のケン化度が好適な範囲（７３．０〜８
５．０モル％）でない実施例９（６９．５〜７２．５モ
ル％）では、耐光性および保存性が若干劣るものの、そ
の他の特性は優れていた。これに対し、本発明で用いる
エマルジョン樹脂を含んでいない比較例１では、耐光性
は良好であるが、層強度が非常に劣っており、また、界
面活性能を有する樹脂、耐光性向上剤および染料定着剤
のいずれかを含んでいない比較例２〜４では、耐光性お
よび保存性が極めて劣っていた。

【００６６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によりエマ
ルジョン樹脂、界面活性能を有する水溶性樹脂、耐光性
向上剤、染料定着剤を含むことを特徴とすることによ
り、印字濃度、インク吸収性等の記録品位に優れ、画像
保存性（耐光性、耐水性、耐湿性）が良好であり、かつ
記録画像が剥がれにくい優れた表面強度を有するインク
ジェット記録用媒体が得られる。また、インク吸収速度
が速いため、高速印字技術にも対応可能になるという効
果も有する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｃ０９Ｄ 5/02 Ｃ０９Ｄ 7/12 Ｚ 7/12 123/08 131/04 Ｓ 123/08 133/00 131/04 175/04 133/00 201/00 175/04 Ｂ４１Ｊ 3/04 １０１Ｙ 201/00 Ｃ０８Ｌ 101/00 (72)発明者 久保田 展弘 静岡県静岡市用宗巴町３番１号 株式会社 巴川製紙所洋紙事業部内 (72)発明者 浅井 滋記 静岡県静岡市用宗巴町３番１号 株式会社 巴川製紙所洋紙事業部内 (72)発明者 土田 実 静岡県静岡市用宗巴町３番１号 株式会社 巴川製紙所洋紙事業部内 (72)発明者 吉本 武史 静岡県静岡市用宗巴町３番１号 株式会社 巴川製紙所洋紙事業部内 (72)発明者 岩本 清志 静岡県静岡市用宗巴町３番１号 株式会社 巴川製紙所洋紙事業部内 (72)発明者 杉山 淳 長野県諏訪市大和三丁目３番５号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 大西 弘幸 長野県諏訪市大和三丁目３番５号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 佐野 ゆかり 長野県諏訪市大和三丁目３番５号 セイコ ーエプソン株式会社内 Ｆターム(参考） 2C056 EA13 FC06 2H086 BA16 BA31 BA33 BA35 BA38 4J002 BB06W BE02X BG03W CK02W CM013 DD067 DE146 DG047 DJ016 EU077 EU177 FD047 FD096 FD203 GR00 HA07 4J038 CB051 CE022 CF031 CG141 DG001 DJ012 GA08 HA116 HA216 HA376 HA446 JB06 JB35 KA02 KA08 KA09 KA20 MA10 NA01 NA03 NA04 NA12 PB11

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体上に少なくとも顔料とバインダー
   樹脂からなるインク受容層を有するインクジェット記録
   用媒体において、上記バインダー樹脂がエマルジョン樹
   脂と界面活性能を有する水溶性樹脂とを含み、かつ上記
   インク受容層に耐光性向上剤および染料定着剤を含むこ
   とを特徴とするインクジェット記録用媒体。
2. 【請求項２】 前記エマルジョン樹脂が、エチレン−酢
   酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂またはアクリル
   樹脂の共重合樹脂系エマルジョンであり、かつ前記界面
   活性能を有する水溶性樹脂が、部分ケン化ＰＶＡまたは
   カルボン酸変性ＰＶＡであることを特徴とする請求項１
   に記載のインクジェット記録用媒体。
3. 【請求項３】 前記顔料が、シリカまたは／およびアル
   ミナであることを特徴とする請求項１または２に記載の
   インクジェット記録用媒体。
4. 【請求項４】 前記部分ケン化ＰＶＡまたはカルボン酸
   変性ＰＶＡのケン化度が、７３．０〜８５．０モル％で
   あることを特徴とする請求項２または３に記載のインク
   ジェット記録用媒体。
5. 【請求項５】 前記耐光性向上剤が、塩化マグネシウ
   ム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、ベンゾトリア
   ゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤
   のいずれかより選択される少なくとも１成分であり、か
   つ前記染料定着剤が、ポリアミン樹脂あるいは第４級ア
   ンモニウム塩樹脂の少なくとも１つのカチオン性樹脂で
   あることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の
   インクジェット記録用媒体。
6. 【請求項６】 前記インク受容層の材料構成が、顔料お
   よびバインダー樹脂：耐光性向上剤および染料定着剤＝
   １９：１〜４：１の固形分比率範囲であることを特徴と
   する請求項１〜５のいずれかに記載のインクジェット記
   録用媒体。
7. 【請求項７】 前記顔料およびバインダー樹脂の材料構
   成が、顔料：バインダー樹脂＝３：７〜１：１であり、
   かつエマルジョン樹脂：界面活性能を有する水溶性樹脂
   ＝１９：１〜１１：９の固形分比率範囲であることを特
   徴とする請求項１〜６のいずれかに記載のインクジェッ
   ト記録用媒体。
8. 【請求項８】 前記耐光性向上剤および染料定着剤の材
   料構成が、耐光性向上剤：染料定着剤＝４：１〜１：１
   の固形分比率範囲であることを特徴とする請求項１〜７
   のいずれかに記載のインクジェット記録用媒体。
9. 【請求項９】 最表面に光沢度調整層を有することを特
   徴とする請求項１〜８のいずれかに記載のインクジェッ
   ト記録用媒体。
10. 【請求項１０】 前記光沢度調整層が、コロイダルシリ
    カを含有することを特徴とする請求項９に記載のインク
    ジェット記録用媒体。
11. 【請求項１１】 前記光沢度調整層が、フィルムキャス
    ト法により塗工されることを特徴とする請求項９または
    １０に記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。