JP2000277315A - 磁性材料 - Google Patents

磁性材料

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JP2000277315A
JP2000277315A JP11079241A JP7924199A JP2000277315A JP 2000277315 A JP2000277315 A JP 2000277315A JP 11079241 A JP11079241 A JP 11079241A JP 7924199 A JP7924199 A JP 7924199A JP 2000277315 A JP2000277315 A JP 2000277315A
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伸 田島
Takeshi Hattori
毅 服部
Yoshio Kato
義雄 加藤
Katsunori Yamada
勝則 山田
Nobuo Kamiya
信雄 神谷
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    • HELECTRICITY
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/0036Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties showing low dimensional magnetism, i.e. spin rearrangements due to a restriction of dimensions, e.g. showing giant magnetoresistivity
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飽和磁化が大きく渦電流損失が少ないことで
磁気特性に優れることはもとより、機械的強度や耐食性
も良好な軟質磁性材料を提供すること。 【解決手段】 Fe磁性体などの高飽和磁化体の母材粒
子からなるマトリックス相の界面に、この母材粒子より
も小さい粒子径で電気絶縁性であるZrOやNiFe
微粒子のような分散粒子からなる絶縁相が、三次
元ネットワーク構造を有するように形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性材料に関し、
特に自動車用の燃料噴射バルブ、ABS(アンチロック
ブレーキシステム)油圧等のアクチュエータ類をはじめ
とする各種のインジェクタや電磁バルブ等に好適なもの
として用いられる軟質磁性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばモータ類やトランス(変圧
器)の磁性鉄芯等にこの種の磁性材料が用いられている
が、これらの用途のものは一般に、ヒステリシス曲線
において飽和磁化(σ)の値が高いこと、すなわち飽
和磁束密度(B)が大きいこと、コア損失(ヒステ
リシス損失+渦電流損失)が小さいことなどが磁気特性
として要求される。
【0003】そしてこれに応えるため、例えば、高電
気抵抗の材料(NiFeなど)を用いることによ
り渦電流損失を抑制する、飽和磁化の高い金属粉(F
e−13Cr合金粉など)の磁性材料にSiやAlなど
を添加する、磁性材料そのものをアモルファス化して
電気抵抗値を高くする等の技術が既に提案されている。
【0004】また、磁性体粉末の周囲を絶縁し、これに
より渦電流損失を低減してコア損失を少なくすることが
できることも既に知られており、例えば、磁性体粉末を
エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂材料と混ぜて成形したも
の(樹脂ボンド磁性体)も既に知られている。
【0005】また例えば、特開平10−208923号
公報に示されるように、金属磁性体と金属酸化物との混
合物を成形し、これを高温度で熱処理することにより成
形体の歪取りを行い、渦電流損失の低減を図るようにし
たものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この軟
質磁性材料の用途には、上記したトランスなどの磁性鉄
芯のほかに、自動車の燃料噴射バルブやABS油圧弁な
どのアクチュエータ類などもあり、これらの用途を対象
とする場合、駆動時の機械的衝撃や擢動摩擦が生じ、ま
た油類などの流体との接触が伴うため、前途した磁気特
性のほかに、機械的強度や耐食性に優れることが更に物
理的あるいは化学的特性として要求される。
【0007】これに対して前途した例えば、高電気抵
抗の材料(NiFeなど)を用いるものでは、材
料そのものが酸化物セラミックスであるために脆く、ま
た飽和磁化の値が低いという問題があり、またFe−
13Cr合金などの高飽和磁化の磁性材料は、渦電流損
失を低減しコア損失の特性を向上させることには限界が
ある。更に磁性材料をアモルファス化することも材料
の熱処理によって結晶化してしまい、バルク化できない
という問題がある。
【0008】更に、前途の樹脂ボンド磁性体は、脆く機
械的強度が低いために電磁弁などに使用した場合衝撃に
より破損し易く、また油類に対して樹脂分が溶解し、長
期間の使用に耐え得ないという問題がある。
【0009】更に又、特開平10−208923号公報
に示されるものも、材料そのものが焼成されたものでは
ないために歪取り高温熱処理により渦電流損失は抑制さ
れるものの、金属磁性粉を母材とするマトリックス相の
粒界に絶縁材料による三次元ネットワークが構成される
ものではないために材料の電気抵抗値はそれ程上昇せ
ず、そのために渦電流損失の抑制効果は小さく、また材
料そのものが焼成されるものではないために材料そのも
のの脆さは解消されず、やはり長期間の使用に耐え得な
いという問題がある。
【0010】本発明の解決しようとする課題は、飽和磁
化や渦電流損失等の磁化特性が優れるのみならず、機械
的強度並びに耐食性にも優れた軟磁性材料を低コストで
提供することにある。これにより燃料噴射バルブや各種
ソレノイドバルブなどのアクチュエータ類の用途への適
用を可能とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の磁性材料は、高飽和磁化体の母材粒子からな
るマトリックス相の界面に、該母材粒子よりも粒子径が
小さい電気絶縁性の分散粒子からなる絶縁相が三次元ネ
ットワーク構成を形成したことを要旨とするものであ
る。
【0012】「マトリック相」を構成する「高飽和磁化
体」の母材粒子としては、金属鉄粉のほか、Fe−Si
系、Fe−Si−第三元素系、パーマロイ等の従来より
知られている飽和磁化の値が高い各種の磁性金属材料が
適用される。
【0013】またマトリック相の界面にネットワーク状
に形成される「絶縁相」を構成する分散粒子としては、
比抵抗値が10μΩmより大きいものを用いる。これ
には、B、Si、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、
Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Y、および希土類の酸
化物、さらには、B、Si、Mg、Alの窒化物、炭化
物、さらには、これら酸化物、窒化物、炭化物の複合化
合物が用いられる。そして具体的には、(1)機械的強
度のあるセラミックス材料(絶縁性のもの)、例えば、
ZrO、Al、SiOなどやこれらの複合
酸化物、Si 、AlNなどの窒化物など、或い
は、(2)強磁性体で、かつ絶縁性のあるものとして、
例えば、NiFeなどのスピネル型フェライ
ト、YFe12などのガーネット型フェライ
ト、SrO・6Feなどのマグネトプランバイ
ト型フェライトなどが好適なものとして用いられる。
【0014】そして母材粒子と分散粒子の粒子径として
は、絶縁相ができるだけ薄い方が良いためその分散粒子
の粒子径は母材粒子よりも小さいことが要求される。絶
縁相を極力薄くすることにより飽和磁化の値を高くする
ことができ、また分散粒子による絶縁相が三次元ネット
ワーク状に形成されることにより電気抵抗(電気比抵抗
値)を上げることができて渦電流損失が抑制され、これ
により磁気特性が大幅に改善されるものである。
【0015】この場合、母材粒子は、粒子径が比較的大
きいもの、或いは微粒子の造粒体であって、母材粒子と
分散粒子の粒子径の比が母材粒子径/分散粒子径=5以
上であることが望ましい。一方、母材粒子の粒径が大き
いほど、小量の分散粒子で、ネットワーク構造が形成で
きるため、飽和磁化を高くすることができる。しかし、
母材粒子が大きすぎると、母材粒子内でうず電流が生じ
る。そのため、母材粒子径は、500μm以下さらに望
ましくは200μm以下が良い。また、この磁性材料は
焼結することにより、母材粒子と分散粒子が強固に結合
し、高い機械的強度、気孔のない緻密な材料となる。そ
の結果、アクチュエータ等の芯用に適した材料が得ら
れ、本発明の効果が発揮されるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の公的な実施の形態
を図面を参照して詳細に説明する。初めに図1は、本発
明に係る軟質磁性材料の製造工程の一例を示したもので
ある。この図1に示した製造方法は、いわゆる粉末冶金
法により軟質磁性材料を製造するものであり、この製造
工程では、飽和磁化体の母材粒子によるマトリックス相
を構成するものとして、微小粒子径(5μm以下程度)
の磁性鉄粉末を造粒して約100μm程度の2次粒子と
する。
【0017】一方、分散粒子による絶縁相を構成するも
のとして、やはり微小粒子径(1μm以下程度)のZr
、Al、SiO、或いはNiFe
の絶縁性粉末を用意し、母材粒子と分散粒子とを適当な
配合比率で混合した上で、ポリエチレン製ポットに投入
してボールミルにより適当時間攪拌混合する。これによ
り母材粒子である磁性鉄粉造粒体の表面に分散粒子であ
るZrOやNiFe 等の絶縁性微粒子が付着
し、この絶縁性微粒子により磁性鉄粉造粒体の表面が覆
われた状態の生成物が得られる。
【0018】そこで、この生成物を所望の形態に成形し
た後、不活性雰囲気下で適当な温度条件及び加圧力また
は、真空中で焼成することにより磁性鉄粉造粒体の母材
粒子をマトリックス相とし、そのマトリックス相の界面
にZrOやNiFe等の絶縁性微粒子による絶
縁相が三次元ネットワーク上に形成された軟質磁性体が
生成されるものである。
【0019】図2は、本発明に係る軟質磁性材料の別の
製造工程の例を示したものである。この図2に示した製
造方法は、いわゆる溶液法(或いは、湿式法)により軟
質磁性材料を製造するもので、この方法では、初めに母
材粒子である磁性鉄粉の造粒体(100μm程度のも
の)にZr(OPr)やSi(OFe)などのアル
コキシドをエタノールなどのアルコール溶液中で混合
し、沈殿物を生成させる。この時に磁性鉄粉造粒体の表
面にZr(OH)やSi(OH)などの水酸化物が
付着した状態の生成物が得られる。
【0020】そこでこの生成物を所望の形態に成形した
後、図1に示した粉末冶金法による製造工程の例と同じ
ように不活性雰囲気下または、真空中で適当な温度条件
及び加圧力によって焼成することにより、やはり磁性鉄
粉造粒体の母材粒子をマトリックス相とし、そのマトリ
ックス相の界面にZrOやSiO等の絶縁性微粒子
による絶縁相が三次元ネットワーク構造を構成するよう
に形成された軟質磁性体が生成されるものである。
【0021】次に、各種の試料を作成し、磁気特性や物
理的特性などについて試験を行ったので説明する。 (実施例1)5μmの鉄粉末をスプレードライヤにより
造粒して約100μmの2次粒子とした。この粉末38
gにZrO微粉末(粉末径約0.5μm)を3g添加
し、これを1000mlのポリエチレン製ポットに投入
してボールミルによる撹拌混合を30分間行った。これ
により鉄粉末表面がZrO微粒子により覆われたシェ
ル構造の粉粒体が得られた。次にこの粉粒体を100M
Paの加圧力でプレス成形した後、ホットプレス装置に
より真空雰囲気の下で1100℃×1時間程、30MP
aの加圧力を掛けた状態での焼結を行った。これにより
「Fe+10vol%ZrO焼結体」が得られた。
【0022】(実施例2)5μmの鉄粉末をスプレード
ライヤにより造粒して、約100μmの2次粒子とし
た。この粉末38gにNiFe微粉末(粉末径約
0.5μm)を3g添加し、これを1000mlのポリ
エチレン製ポットに投入して、ボールミルによる撹拌混
合を30分間行った。これにより鉄粉末表面がNiFe
微粒子により覆われたシェル構造の粉粒体が得ら
れた。次にこの粉粒体を実施例1の場合と同じ条件であ
る100MPaの加圧力でプレス形成した後、ホットプ
レス装置により真空雰囲気の下で1100℃×1時間
程、30MPaの加圧力を掛けた状態での焼結を行っ
た。これにより「Fe+10Vol%NiFe焼結
体」が得られた。
【0023】(比較例1)5μmの鉄粉末を造粒して約
100μmの2次粒子とした。そして、この粉末38g
にはZrO微粉末もNiFe微粉末も配合する
ことなく、実施例1と同じ条件である100MPaの加
圧力でプレス形成した後、ホットプレス装置により真空
雰囲気の下で1100℃×1時間程、30MPaの加圧
力を掛けた状態での焼結を行った。これにより「Fe単
相焼結体」が得られた。
【0024】(比較例2)5μmの鉄粉末を造粒するこ
となく、そのままの状態でこの粉末38gにZrO
粉末(粒子径約0.5μm)を3g添加し、これを10
00mlのポリエチレン製ポットに投入し、これに更に
溶剤エタノール200mlを配合して、ボールミルによ
る撹拌混合を24時間行った。そしてエタノールを蒸留
乾燥後、やはり実施例1と同じ条件で成形及び焼結を行
った。これにより「Fe+10Vol%ZrO均一混合
体」が得られた。
【0025】(比較例3)約100μmの鉄粉末(造粒
したものではない)39gにエポキシ樹脂1gを混合
し、これを1GPaの加圧力でプレス成形した後、この
成形体を200℃で熱処理して樹脂を加熱硬化させた。
これにより「樹脂ボンド品」が得られた。
【0026】次に得られた試料について生成相の同定、
電気抵抗の測定、光学顕微鏡による組織観察、機械的強
度、耐食性、磁気特性の評価などを行った。磁気特性
は、外形39mm、内径24mm、暑さ2.5mmのリ
ング状に加工したトロイダルコイルとして、および3m
m角×10mm長さの角柱状に加工して最大磁場18k
Oeでの評価を行った。
【0027】機械的強度は、焼結体が手によって折れる
か、通常の旋盤加工が可能かを良否で判定した。耐食性
は、アセトンに24時間浸して、その変化を目視観察に
より判断した。尚、前記比較例3の「樹脂ボンド品」
は、成形段階で予めリング状及び角柱状に成形熱処理し
たものを供試試料として用いている。
【0028】図3は、得られた焼結体の顕微鏡組織写真
を示したものである。本発明品である実施例1の「Fe
×10vol%ZrO焼結体」の組織写真では、Fe母
材をマトリックス相とするその粒界にZrO粒子がネ
ットワーク状に分散していることがわかる。一方、比較
例2の供試材ではFe粒子とZrO粒子とが均一に分
散していてZrO絶縁粒子によるネットワークが形成
されていないことがわかる。
【0029】次の表1は、各試料の磁気特性、(飽和磁
化、渦電流損失)電気抵抗の測定値、並びに機械的強
度、耐食性の評価結果を示したものである。この表1に
おいて、飽和磁化の値は高い程良いが、これは単純に鉄
粉末とZrO等の絶縁粉末との混合則に従うもので、
比較例1の「Fe単相焼結体」が最も良好な値を示し、
本発明品である実施例1の「ZrOネットワーク分散
Fe焼結体」や実施例2の「NiFeネットワー
ク分散Fe焼結体」、あるいは、比較例2の「ZrO
配合Fe焼結体」、比較例3の「樹脂ボンド品」など
は、これよりも若干低い値を示している。
【0030】
【表1】
【0031】しかし、電気比抵抗の値は、逆に比較例1
の「Fe単相の焼結体」が最も低く、そのために渦電流
損失が最も大きい結果となっている。また比較例2の
「ZrO配合Fe焼結体」は、実施例1と同様にZr
の絶縁粉末を配合するのもであるが、その絶縁粉末
が前途のように、ネットワークを形成したものではない
ために、やはり電気抵抗値が低く、それにより渦電流損
失がやはり大きいという結果になっている。
【0032】これに対して本発明品の実施例1と実施例
2の試料は、Fe磁性粉末にZrO 粉末あるいはNi
Fe粉末を配合し焼成することによりFe粉末を
母材とするマトリックス相の粒界にZrOやNiFe
の絶縁材料によるネットワークを形成したもので
あるから、電気比抵抗の値が比較例1及び比較例2より
も高く、これにより渦電流損失が比較例1及び比較例2
よりも低いという結果が得られた。
【0033】そして、機械的強度と耐食性の評価試験で
は、本発明品の実施例1及び実施例2、比較品である比
較例1及び比較例2の試料はいずれも機械的強度と耐食
性の評価が良好(○印)との結果であり、比較例3の
「樹脂ボンド品」のみが、機械的強度、耐食性ともに不
良(×印)との結果であった。比較例3の「樹脂ボンド
品」は、表1に示されるように、また従来の技術的背景
の中で説明されるように電気比抵抗値が高く、渦電流損
失が小さいために磁気特性に優れるという評価である
が、手で容易に割ることができ、アセトン中での樹脂の
溶解により成形体が崩れていくことが観察された。した
がって、比較例3の「樹脂ボンド品」は、機械的強度と
耐食性が劣るために自動車の噴射弁やABS油圧弁等の
アクチュエータには適用できないことがわかる。
【0034】以上実施例について説明したが、本発明に
より得られた軟質磁性体によれば、次のような特性上の
利点を有するものである。
【0035】樹脂ボンド磁性体などに較べて焼結体で
あるために高い機械的強度を有し、通常の金属材料と同
様に使用できる。
【0036】ネットワーク構造とすることにより少量
の絶縁相で電気抵抗を増加できる。また結果的に飽和磁
化の減少を最小限にとどめることができ、渦電流損失の
抑制効果の方が大きい。
【0037】絶縁相をNiFeなどの強磁性体
とすることにより飽和磁化の減少を防止できる。
【0038】Fe合金とセラミックスとの複合材料な
ので、有機溶媒などに溶けない。また、高温(1000
℃以上)で熱処理できるので成形時の圧縮歪みや加工時
の歪みを完全に取り除くことができる。樹脂ボンド磁性
体ではそれができない。
【0039】Fe合金とセラミックスとの複合材料な
ので、焼結や熱処理後に熱膨張係数の差によりFe合金
に引張り応力が働く。セラミックスには圧縮応力が掛か
るが、Fe合金の多くは引張り応力が働くことにより磁
気特性が向上する。
【0040】また、本発明により得られる軟質磁性体の
製造上の利点としては、次のようなことが挙げられる。 (a)通常の粉末冶金の製造技術を応用するものである
から、特殊な装置や用具などを必要とせず、低廉に製造
できる。 (b)通常の粉末冶金の製造技術により、複雑形状の磁
性体も容易に製造できる。充填がうまくいけば、かなり
複雑な形状のものも製造できることになる。 (c)Fe合金の造粒粉を使用することにより、低圧
(1ton/cm以下)での成形、低温(1300℃以
下)での焼結によっても緻密な焼結体が容易に得られ
る。相対密度は、97%以上が確保されるものである。 (d)造粒粉を使用すれば、その造粒粉の粒径を適宜選
択することにより絶縁相のネットワーク組織を容易に変
化させることができる。これにより磁性体としての物性
を制御することが容易にできる。
【0041】本発明は上記した実施の形態に何ら限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種
々の改変が可能である。例えば、上記実施例では、図1
及び図2に2つの製造方法を示したが、それ以外にも本
発明では、マトリックス相の界面に絶縁相を三次元のネ
ットワーク構造に分散させることがポイントであるた
め、そのような組織になるものであれば、それ以外のど
のような手法を用いるものであってもよい。そのために
考えられる手法としては、次のようなものが挙げられ
る。
【0042】熱処理などによって、磁性体粉末の表面
を酸化させることにより磁性体粉末の表面に酸化被膜を
形成し、成形し焼成することにより絶縁相が磁性体粉末
によるマトリックス相の界面にネットワーク状に分散さ
れた組織の磁性体を得る。 液体の有機金属(例えば、アルコキシドやシラン系カ
ップリング剤)と磁性体粉末を混合した後、熱処理によ
って有機金属を酸化させ磁性体粉末の表面に金属酸化物
被膜を形成する。あとは、同様の方法により絶縁相がネ
ットワーク状に分散された磁性体とする。 微粒子状の酸化物を懸渇したゾル中に磁性体粉末を混
ぜ、磁性体粉末の表面に酸化物を付着させる。 酸化物の塩を溶かした溶液中に磁性体粉末を混ぜ、沈
殿反応により磁性体粉末の表面を酸化物でコーティング
する。 ガラスなどの低融点酸化物と磁性体粉末とを混ぜ、熱
処理などによって磁性体粉末の表面を酸化物でコーティ
ングする。
【0043】
【発明の効果】本発明の磁性材料によれば、高飽和磁化
体の母材粒子からなるマトリックス相の界面に母材粒子
よりも粒子径の小さい分散粒子からなる電気絶縁相が三
次元ネットワーク構造により形成されたものであるか
ら、飽和磁化の減少を抑えた状態で電気抵抗の増加によ
り渦電流損失を低減でき、磁気特性に優れるのみでな
く、機械的強度や耐食性も具有するものである。したが
って、従来一般にこの種の材料が用いられているトラン
スやインダクター等への適用により磁気特性が改善され
るのみならず、自動車の燃料噴射弁やABS油圧弁など
のアクチュエータ類などの耐衝撃性や耐食性を要求され
る用途への適用も可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軟質磁性体の製造工程の一例を示
した図である。
【図2】本発明に係る軟質磁性体の製造工程の他の例を
示した図である。
【図3】本発明に課かかる軟質磁性体と比較例の軟質磁
性体の組織を比較して示した光学顕微鏡写真図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 義雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山田 勝則 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 神谷 信雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 5E041 AA01 AA07 AA11 AA19 AB12 AB14 AB15 AB19 AC05 BB01 BD01 CA01 NN04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高飽和磁化体の母材粒子からなるマトリ
    ックス相の界面に、該母材粒子よりも粒子径が小さい電
    気絶縁性の分散粒子からなる絶縁相が三次元ネットワー
    ク構造により形成されていることを特徴とする磁性材
    料。
  2. 【請求項2】 前記母材粒子は、粒子径が比較的大きい
    もの、或いは微粒子の造粒体であって、母材粒子と分散
    粒子の粒子径の比が、母材粒子径/分散粒子径=5以上
    であることを特徴とする請求項1に記載の磁性材料。
  3. 【請求項3】 前記母材粒子は焼結体であることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の磁性材料。
JP11079241A 1999-03-24 1999-03-24 磁性材料 Pending JP2000277315A (ja)

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Cited By (7)

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