JP2000273606A - スパングル模様の均一な溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

スパングル模様の均一な溶融めっき鋼板の製造方法

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JP2000273606A JP8020199A JP8020199A JP2000273606A JP 2000273606 A JP2000273606 A JP 2000273606A JP 8020199 A JP8020199 A JP 8020199A JP 8020199 A JP8020199 A JP 8020199A JP 2000273606 A JP2000273606 A JP 2000273606A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパングル径0.6mm 以上の大きなスパングル
模様がバラツキが少なく安定して得られ、めっき皮膜の
密着性も良好な溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供
する。 【解決手段】 表面平均粗さRaが0.3 μm以上1.2 μ
m以下、表面平均うねりWca が 0.2μm以上0.8 μm
以下、表層結晶粒度が9.5 番以下、または表層の集
合組織の結晶面強度比が(110)/(200) で1以上の鋼板
に、焼鈍炉内の露点を−40℃以上+10℃以下にして焼鈍
を行ってから、溶融めっき浴に浸漬してAlを20〜95%含
有するめっき皮膜を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融Al−Zn系合金
めっき鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建材、家電用途には、従来より溶融Znめ
っき鋼板が使用されていたが、近年、より高耐食性・高
耐久性を有する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の使用量が
増加している。このうち、めっき皮膜中にAlを約55%、
Siを1〜2%含有する溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板
は、表面に美麗なスパングル模様を有していることか
ら、意匠性もひとつの特徴である。
【0003】しかしながら、このような溶融Zn−Al−Si
合金めっき鋼板などの溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を製
造する際、表面のスパングル模様は製造チャンスごと、
コイル間、さらにはコイル内長手方向および幅方向で、
通常、大きさのバラツキがある。例えば、母材コイルが
変わると、同じめっき条件でめっきしてもスパングルの
大きさが異なることがしばしばある。ときとして、特
に、非常に微細なスパングルが形成される場合があり、
このような製品は、意匠性の点から外観が重要視される
用途には通常用いることができない。
【0004】従来にあっても、このようにスパングルの
バラツキを抑える技術としては、以下の方法が提案され
ている。 (1) 特開平9−235661号公報:鋼板表面を0.05μm以上
研削する。 (2) 特開平10−18009 号、同10−18013 号各公報:鋼板
表面の粗さ、うねりを制御する。 (3) 特開平10−18010 号、同10−18012 号各公報:鋼板
表面の集合組織、結晶粒径を制御する。 (4) 特開平9−241814号公報:めっき浴浸漬時間を2秒
以上とする。 (5) 特開平9−25550 号公報:めっき設備のスナウト内
の露点、水素濃度、浴温度を管理する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術にはそれぞれ以下のような問題がある。上記(1)
は、研削によって表層の不均一さは若干解消されるもの
の、Si、P、Mn等の添加元素が不均一に表面濃化する場
合があり、逆にスパングルの大きさのバラツキを助長す
ることがある。
【0006】上記(2) 、(3) の方法では、圧延工程など
の、めっき前の工程に制約をかける割には、その効果が
非常に小さく、他の製造条件のバラツキによるスパング
ルの大きさのバラツキを抑制し得ない。
【0007】上記(4) については、めっき条件を調整す
るだけでスパングルの大きさを制御できるという点では
有効だが、浴中ロールの昇降装置等の設備を新たに設け
る必要がありコスト的に不利である。また、浸漬時間を
長くしすぎると、スパングルが全体に微細化し、溶融Zn
−Al−Si系合金めっき鋼板が本来持つ意匠性が損なわれ
る。
【0008】上記(5) の方法は、スナウト内の雰囲気制
御によりめっき浴からのZnの蒸発を抑える方法である。
ここで蒸発Znはめっきの欠陥もしくはスパングルのムラ
を誘発するものである。従って、(5) の方法は、スパン
グルの大きさのムラを、通常の方法で得られる (例えば
めっき母材に起因する) レベル以上には悪化させないと
いうだけで、例えば、コイル間のスパングルのバラツキ
を抑えるには不向きである。
【0009】ここに、本発明の課題は、例えばスパング
ル径0.6mm 以上という大きなスパングル模様がバラツキ
が少なく安定して得られ、しかもめっき皮膜の密着性も
良好な溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】Al含有溶融Znめっき鋼板
のスパングルは、初晶Alの凝固組織の形態により決定さ
れる。したがって、通常はめっき後の冷却、めっき厚等
のめっき後条件が影響すると考えられる。しかし、現状
はめっき後の条件を同じくしても、コイル間およびコイ
ル内でバラツキを生じてしまう。これは、めっき前の操
業条件もしくはめっき前の鋼板の性質が、コイル間もし
くはコイル内で若干異なることによるものと考えられ
る。めっき前鋼板の操業条件 (例えば鋼成分、熱間圧
延、冷間圧延、酸洗、焼鈍) による差が、鋼板表面の還
元時に無視し得ない差異を生じ、そのような差異に基づ
いてめっき浴中の反応に際し顕著な変化を生じ、めっき
後の凝固過程に影響を与えるためと思われる。
【0011】本発明者らは、このような課題を解決すべ
く調査した結果、鋼板の反応性をできるだけ均一化し、
かつ、反応性を阻害しないが、それを多少抑制するよう
な操業条件で予め処理した場合、スパングルが全体に均
一な大きさになりやすくなり、しかもめっき皮膜の密着
性が確保できることを見出した。
【0012】例えば鋼板を大気雰囲気下で焼鈍した後、
溶融Zn−Al−Si系合金めっき浴に浸漬した場合、安定的
に美麗なスパングルを得ることができる。しかしなが
ら、一方では、このように単に大気雰囲気下で焼鈍する
方法では、鋼板表面が過度に酸化され、鋼板表面とめっ
き浴がほとんど反応しないため、めっき密着性が全く得
られない。また、不めっきも生じやすい。
【0013】従って、鋼板表面の反応性を適当に抑制す
るような条件が必要である。本発明者らがさらに検討し
た結果、めっき前母材の鋼板表面粗さ、うねり、結晶粒
径、集合組織、あるいは鋼組成を適正範囲に制御し、か
つ焼鈍炉内の露点を−40℃〜+10℃に制御することによ
り、密着性を損ねることなくスパングルの大きさが均一
でかつ、容易に制御できることを知り、本発明を完成し
た。
【0014】本発明は次の通りである。 (1) 表面平均粗さRaが0.3 μm以上1.2 μm以下の鋼板
に、例えば焼鈍炉付設の連続式溶融めっき設備を用いる
ことで、焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点を−40℃以上+10
℃以下にして焼鈍を行った後に、溶融めっき浴に浸漬し
てAlを20〜95%含有するめっき皮膜を形成させることを
特徴とするスパングル模様の均一な溶融Al-Zn系合金め
っき鋼板の製造方法。
【0015】(2) 表面平均うねりWca が 0.2μm以上0.
8 μm以下の鋼板に、例えば焼鈍炉付設の連続式溶融め
っき設備を用いることで、焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点
を−40℃以上+10℃以下にして焼鈍を行ってから、溶融
めっき浴に浸漬してAlを20〜95%含有するめっき皮膜を
形成させることを特徴とするスパングル模様の均一な溶
融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
【0016】(3) 表層結晶粒度が9.5 番以下の鋼板に、
例えば焼鈍炉付設の連続式溶融めっき設備を用いて、焼
鈍炉内の雰囲気ガスの露点を−40℃以上+10℃以下にし
て焼鈍を行ってから、溶融めっき浴に浸漬してAlを20〜
95%含有するめっき皮膜を形成させることを特徴とする
スパングル模様の均一な溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の
製造方法。
【0017】(4) 表層集合組織の結晶面強度比が(110)/
(200) で1以上の鋼板に、例えば焼鈍炉付設の連続式溶
融めっき設備を用いて、焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点を
−40℃以上+10℃以下にし焼鈍を行った後に、溶融めっ
き浴に浸漬してAlを20〜95%含有するめっき皮膜を形成
させることを特徴とするスパングル模様の均一な溶融Al
−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
【0018】(5) Si:0.03%以下、Mn:0.50%以下、
P:0.05%以下の鋼板を、例えば焼鈍炉付設の連続式溶
融めっき設備を用いて、焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点を
−40℃〜+10℃以下にして焼鈍を行ってから、溶融めっ
き浴に浸漬してAlを20〜95%含有するめっき皮膜を形成
させることを特徴とするスパングル模様の均一な溶融Al
−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下
具体的にその効果とともに説明する。本発明にあって
は、母材鋼板を酸化炉、次いで焼鈍炉において熱処理
し、次いでこの焼鈍炉付設の連続式溶融めっき設備を用
いて、母材鋼板に溶融めっき処理を行うのである。溶融
めっき後は、所定冷却速度でめっき皮膜を冷却してさら
にスパングルの調整を図ってもよい。
【0020】特に、本発明によれば、めっき密着性を改
善できるとともに、スパングル径のバラツキを抑制でき
る溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を、高価な設備を要する
ことなく、高い歩留りで製造できる。
【0021】母材鋼板の鋼種については、特に制限はな
く、通常の冷延鋼板を用いることができるが、本発明の
好適態様にあっては、Si:0.03 %以下、Mn:0.50 %以
下、P:0.05 %以下を含有するものである。Si:0.03 %
超、Mn:0.50 %超、あるいはP:0.05 %超の場合には、
はめっき密着性が十分でない場合があるからである。
【0022】また、鋼中のかかる添加元素量の規定は、
スパングルの均一美麗化のために、めっき前工程での鋼
板表層に濃化しやすい元素の存在量を抑制するためであ
る。低炭素鋼および極低炭素鋼に一般に添加されている
Si、Mn、Pの範囲を上述の範囲に規定するが、より好ま
しくは、Si≦0.02%、Mn≦0.4 %、P≦0.04%である。
【0023】本発明において、鋼組成としては、他の添
加元素は制約されない。例えば、Alキルド鋼やTi, Nb等
を添加した極低炭素鋼なども用いることができる。本発
明において、母材の表面平均粗さRaを 0.3μm≦Ra≦1.
2 μmに限定するのは、溶融めっき浴と反応する真の表
面積を制御して、めっき皮膜−鋼板界面の合金層を均一
に生成させるためである。この母材表面粗さ(Ra)は、好
ましくは、0.5 〜1.0 μmの範囲である。なお、この表
面粗さ(Ra)はJIS B0601 に規定される表面粗さの表示で
ある。
【0024】また、本発明の別の態様によれば、めっき
母材の表面平均うねり(Wca) を0.2μm 以上0.8 μm 以
下に規定されるが、その限定理由も上述の母材表面粗さ
の場合と同様であって、めっき皮膜−鋼板界面の合金層
を均一に生成させるためである。なお、鋼板表面の表面
平均うねり(Wca) は、JIS B 0610に規定される表面うね
りの表示である。
【0025】本発明のさらに別の態様によれば、めっき
母材の鋼板表面の表層結晶粒度は9.5 番以下に制限され
る。この結晶粒度もめっき皮膜−鋼板界面の合金層を均
一に生成させるために規定するのである。粒界と粒内で
はめっきとの反応性が異なり、粒界の方が反応性が高
い。したがって、全表面積に占める粒界の割合は、でき
るだけ小さい方が望ましく、結晶粒度 No.≦9.5 にす
る。好ましくは、結晶粒度No.≦9.0 である。なお、鋼
板表面の「表層結晶粒度」はJIS G 0552に限定されてお
り、本発明においてもそれに準じて計測し、評価するも
のである。
【0026】本発明のなおさらに別の態様によれば、め
っき母材である鋼板の表層集合組織の結晶面強度比を(1
10)/(200) で1以上に規定する。かかる表層の集合組織
について原因は不明であるが、鋼板の配向性がめっき凝
固に関係するためと考えられ、(110)/(200) ≧1の場
合、均一で美麗なスパングルを呈する。好ましくは、2.
0 ≧(110)/(200) ≧1.2 である。
【0027】本発明にあって、さらに、スパングルの均
一美麗化を行うためには、上述のように鋼板状態を規定
した上で、焼鈍炉の条件を次のように制御する。なお、
本発明において雰囲気ガスの露点が制御の対象となる焼
鈍炉内とは、連続焼鈍炉の加熱帯から冷却帯の間であ
る。
【0028】すでに述べたように、連続溶融めっき設備
においては、通常、鋼板を酸化炉もしくは無酸化炉で加
熱することで、表面の清浄化を図るとともに一旦鋼板表
面を酸化状態としたのち、還元雰囲気で焼鈍を行う。本
発明にあっては、このとき焼鈍炉内の例えば (N2+H2)
の雰囲気ガスの露点を水蒸気添加により−40℃〜+10℃
に制御することにより、鋼板表面の反応性を均一化する
ために制御して、具体的にはFeよりも酸化しやすい添加
元素 (例えばP) を優先的に酸化せしめ、めっき浴との
反応性を抑制させ、めっき浴との反応は、母材の Fe 分
によって支配されるようにすることにより、めっき皮膜
のスパングルの大きさを不均一化させることなく、粗大
化することで意匠性に優れためっき鋼板を製造するので
ある。
【0029】ここで、露点が上記範囲より高すぎる場合
は、鋼板表面の還元が不十分で、鋼板−めっき界面に成
長する合金層の成長が不均一でめっきの密着性が劣る。
一方、露点が上記範囲より低すぎる場合は、鋼板表面の
反応性に不均一性が生じ、スパングルの大きさも不均一
になる。
【0030】かかるスパングル不均一化の機構の詳細は
不明だが、本発明者らは、鋼板表面の還元が進行しめっ
き浴との反応性が高くなりすぎるためと推定している。
操業条件や測定バラツキを考えると、露点としては、−
30℃〜0℃の範囲に調整して焼鈍を行うのが好ましい。
【0031】このような条件での焼鈍処理に続いて、冷
却帯を経て、スナウトにおいて母材鋼板が所定の温度ま
で低下してから、めっき浴に浸漬してめっきされる。こ
のときスナウト内の露点が高すぎると、母材鋼板の表面
に厚く酸化膜が形成されるため密着性不良が生じやすく
なる。一方、露点が低すぎると、めっき浴からZnが蒸発
しやすくなり、スナウトにZn粉が堆積する。その堆積物
が鋼板表面に落下することでめっき時のめっき浴との反
応を局部的に阻害し、不めっきと呼ばれるめっき欠陥が
生じやすくなる。
【0032】したがって、本発明のさらなる好適態様に
よれば、スナウト内露点を−60℃〜−10℃の範囲で制御
することで、めっき密着性と不めっき抑制をより確実に
両立できるようにしてもよい。スナウト内露点のより好
ましい範囲としては、−20℃〜−50℃である。
【0033】ところで、通常、焼鈍炉からスナウトまで
は完全な密閉系ではないため、スパングル適正化目的で
焼鈍炉内の露点を制御すると、スナウト内露点もそれに
つれて変動する。このため、焼鈍炉内とスナウト内の露
点のそれぞれを適正化するには、互いに独立した設備が
必要である。そこで本発明の上述のような態様では、焼
鈍炉には、通常の水素、窒素等の投入設備に加え、水蒸
気投入管等の露点上昇させる設備を設け、一方スナウト
には、これとは別に乾燥窒素、水素を投入できる配管を
設けることで、焼鈍炉内とスナウト内の露点を別々に制
御し、スパングルが均一に開華し、密着性、不めっきの
問題のない、例えば溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板など
の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を得ることができた。
【0034】なお、溶融めっき浴の組成は、例えばAl−
Si−Znめっき浴の場合、Alについては、組成が高すぎて
も低すぎても表面の美麗なスパングル模様は発現せず、
Siについては、低すぎるとやはりスパングル模様が発現
せず、高いと不めっきの表面欠陥が生じやすくなる。好
ましい範囲は、Al=45〜65%、Si=1.0 〜2.0 %で、さ
らに好ましくはAl=50〜60%である。その他のめっき条
件については、表面品質、性能、操業に影響を及ぼさな
い限り特に制限されず、通常の条件でよい。
【0035】溶融めっき浴に浸漬された鋼板は、浸漬後
に引上げ、所定冷却速度で冷却される。本発明において
も特に制限されないが、好ましくは、溶融めっき後の冷
却速度は、10〜30℃/秒である。
【0036】
【実施例】本例では、表1に示す鋼組成の低炭素および
極低炭素Alキルド鋼の冷延鋼帯 (板厚0.6 mm×幅920 m
m) をめっき用母材として用いた。供試材としては、そ
れぞれについて表面粗さを変えたもの、表面うねりを変
えたもの、結晶粒度を変えたもの、そして集合組織の形
態を変えたものを用意した。
【0037】これらの供試材を、連続式溶融めっき設備
を用いて、表2に示す条件で溶融めっき処理を行った。
焼鈍炉には、H2、N2、水蒸気の配管系をそれぞれ独立に
設置し、炉内のガス雰囲気および露点は、水素濃度計お
よび露点計で計測しながら、それぞれの流量を調整する
ことにより、制御した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】本例にあっては、下記要領でスパングルを
評価した。最初に、明らかにスパングル径の異なる9段
階の標準サンプルを準備し、それぞれ0 (非常に微細)
から8 (非常に粗大) に分類した。以下この数値をスパ
ングルコードとする。一方、標準サンプルの表面拡大写
真を撮影し、その写真上で、実際の長さで30mmに相当す
る線分を横切るスパングル境界線の数をカウントするこ
とにより、スパングル径=30mm÷境界線の数の式からス
パングル径を求めた。
【0041】さらに、この測定を1標準サンプルあたり
5回繰り返して平均値を「スパングル径」とした。この
スパングル径とスパングルコードとの対応は、表3のよ
うになる。
【0042】スパングルの均一性の評価は、30mm長さに
相当する線分を横切るスパングルの1つ1つのスパング
ルを球形近似し、その直径の標準偏差により評価を行っ
た。評価は、0 (非常にバラツキ小) 〜5 (非常にバラ
ツキ大) の6段階で、評価2以下が合格レベルとした。
表4参照。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】実施例でのスパングルの大きさは、上記標
準サンプルと目視で比較対照して、スパングルの大きさ
が最も近い標準サンプルのスパングルコードで評価し
た。
【0046】次に、めっきの密着性は、得られたサンプ
ルをロックフォーマーを用いて密着曲げを行い、3種類
のサンプルの全てにおいて、板幅方向で全幅にわたって
剥離の生じないもののみ合格とした。
【0047】不めっきは、目視で評価し、不めっき (約
0.1 mm以上) 認められないものを合格とした。これらの
結果は、表5ないし表9にまとめて示す。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
【0053】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、0.6 mm以上と比較的大きなスパングルが安定して得
られ、しかもめっき皮膜の密着性も良好であって、特に
今日のように意匠性に優れた高耐食性めっき鋼板を安価
に製造することが求められている状況下にあって、本発
明の実用上の意義は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂東 誠治 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB44 AB48 AC18 AC62 AE11 AE25 AE34 4K043 AA01 AB03 AB15 AB25 AB26 AB27 BB05 DA05 EA04 FA09 FA11 HA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面平均粗さRaが0.3 μm以上1.2 μm
    以下の鋼板に、焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点を−40℃以
    上+10℃以下にして焼鈍を行ってから、溶融めっき浴に
    浸漬してAlを20〜95%含有するめっき皮膜を形成させる
    ことを特徴とするスパングル模様の均一な溶融Al−Zn系
    合金めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 表面平均うねりWca が 0.2μm以上0.8
    μm以下の鋼板に、焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点を−40
    ℃以上+10℃以下にして焼鈍を行ってから、溶融めっき
    浴に浸漬してAlを20〜95%含有するめっき皮膜を形成さ
    せることを特徴とするスパングル模様の均一な溶融Al−
    Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 表層の結晶粒度が9.5 番以下の鋼板に、
    焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点を−40℃以上+10℃以下に
    して焼鈍を行ってから、溶融めっき浴に浸漬してAlを20
    〜95%含有するめっき皮膜を形成させることを特徴とす
    るスパングル模様の均一な溶融Al−Zn系合金めっき鋼板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 表層の集合組織の結晶面強度比が(110)/
    (200) で1以上の鋼板に、焼鈍炉内の雰囲気ガスの露点
    を−40℃以上+10℃以下にして焼鈍を行ってから、溶融
    めっき浴に浸漬してAlを20〜95%含有するめっき皮膜を
    形成させることを特徴とするスパングル模様の均一な溶
    融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 Si:0.03%以下、Mn:0.50%以下、P:
    0.05%以下を含有する鋼板に、焼鈍炉内の雰囲気ガスの
    露点を−40℃〜+10℃以下にして焼鈍を行ってから、溶
    融めっき浴に浸漬してAlを20〜95%含有するめっき皮膜
    を形成させることを特徴とするスパングル模様の均一な
    溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002241917A (ja) * 2001-02-14 2002-08-28 Sumitomo Metal Ind Ltd 意匠性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板とその製造方法
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