JP2001107215A - 連続式溶融Al−Zn系合金めっき装置 - Google Patents

連続式溶融Al−Zn系合金めっき装置

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JP2001107215A JP28414999A JP28414999A JP2001107215A JP 2001107215 A JP2001107215 A JP 2001107215A JP 28414999 A JP28414999 A JP 28414999A JP 28414999 A JP28414999 A JP 28414999A JP 2001107215 A JP2001107215 A JP 2001107215A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Zn−Al−Si合金めっき鋼板の表面におけるス
パングル粒径の変動を、確実にかつ低コストで抑制でき
ない。 【解決手段】 加熱帯5を有する焼鈍炉2と溶融Zn−Al
−Si合金めっき槽3とを備え、さらに、(i) 水蒸気供給
源16、水蒸気供給配管9および流量調整弁17を有し、加
熱帯5へ水蒸気を吹き込む水蒸気吹込系13と、(ii)加熱
帯5に設けられた露点計10と、(iv)溶融Zn−Al−Si系合
金めっき槽3の下流側に配置されてスパングル粒径を計
測するスパングル粒度計14と、(iv)露点計10の出力と、
スパングル粒度計14により得られる測定値〜スパングル
粒径の目標値の偏差とに基づいて水蒸気吹込系13からの
水蒸気吹込量を制御する吹込量制御装置15とを有し、加
熱帯5における露点を−40℃以上+10℃以下の範囲に制
御することによって、スパングル粒径の変動を抑制する
炉内雰囲気制御装置12を備える連続式溶融Al−Zn系合金
めっき装置1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続式溶融Al−Zn
系合金めっき装置に関する。より具体的には、本発明
は、耐食性および意匠性がいずれも優れることから、例
えば建材や家電用材等として広く用いられる溶融Al−Zn
系合金めっき鋼板を製造する際に好適に用いられる連続
式溶融Al−Zn系合金めっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば建材や家電用材には、従来から溶
融Znめっき鋼板が用いられてきた。しかし、近年、溶融
Znめっき鋼板よりも耐食性や耐久性が優れた溶融Al−Zn
系合金めっき鋼板が、用いられるようになってきた。こ
の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板のうちで、めっき皮膜中
にAlを約55%(本明細書においては特にことわりがない
限り「%」は「質量%」を意味するものとする。)、Si
を1〜2%含有する溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板は、
表面に美麗なスパングル模様を有し意匠性も優れること
から、その適用範囲の拡大が検討されている。
【0003】しかし、このZn−Al−Si合金めっき鋼板の
表面のスパングル模様の大きさ(以下、本明細書では
「スパングル粒径」という。)は、通常、製造チャンス
毎、コイル間さらにはコイル内長手方向位置および幅方
向位置等により、ばらついてしまう。例えば母材コイル
が変わると、めっき条件が同じであっても、スパングル
粒径がしばしば変動する。特に、非常に微細なスパング
ル模様が形成されたZn−Al−Si合金めっき鋼板は、意匠
性が低下するために、外観が重視される用途には適用す
ることができないことが多い。
【0004】このため、Zn−Al−Si合金めっき鋼板の表
面におけるスパングル粒径の変動を抑制するための技術
が多数提案されている。
【0005】例えば、特開平9−235661号公報にはめっ
き母材の鋼板の表面を0.05μm以上研削する発明が、同
10−18009 号公報や同10−18013 号公報には鋼板の表面
粗さやうねりを制御する発明が、さらに、同10−18010
号公報や同10−18012 号公報には鋼板の表面の集合組織
や結晶粒径を制御する発明が提案されている。これらの
発明は、いずれも、めっき母材である鋼板に着目したも
のである。
【0006】また、特開平9−241814号公報にはめっき
浴浸漬時間を2秒間以上に制御する発明が、同9−2555
0 号公報にはめっき設備のダウンシュート(スナウト)
内の露点、水素濃度および浴温を管理する発明が提案さ
れている。これらの発明は、いずれも、めっき条件に着
目したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の技術にはそれぞれ以下のような課題がある。
【0008】特開平9−235661号公報、同10−18009 号
公報、同10−18013 号公報、同10−18010 号公報さらに
は同10−18012 号公報により提案された鋼板に着目した
発明では、例えば鋼板圧延工程等のめっき前工程に大き
な制約を課すことになる。また、めっき母材の管理を厳
格に行う必要が生じ、条件から外れた鋼板をめっき母材
として用いることができなくなるため、製造コストの上
昇が懸念される。
【0009】また、特開平9−241814号公報により提案
された発明は、めっき条件を制御するだけでスパングル
粒径を制御できるという点では有効であるが、めっき槽
内のシンクロールに昇降装置等を新たに設ける必要が生
じ、コストが嵩んでしまう。また、浸漬時間の管理を厳
格に行わないと、浸漬時間が長過ぎるとスパングル模様
が全体に微細化して意匠性が損なわれてしまう。
【0010】さらに、特開平9−25550 号公報により提
案された発明は、スナウト内の雰囲気を制御してめっき
浴からのZnの蒸発を抑制するものである。ここで、めっ
き浴から蒸発するZnは、めっきの欠陥もしくはスパング
ル模様のムラを誘発するものである。このため、この発
明では、例えばめっき母材に起因した、通常の方法で得
られるスパングル模様のばらつきを抑制することはでき
るが、例えば、コイル間のスパングル粒径のバラツキを
抑制することはできない。
【0011】このように、従来の技術によっても、Zn−
Al−Si合金めっき鋼板の表面におけるスパングル粒径の
変動を、確実にかつ低コストで抑制することはできな
い。
【0012】ここに、本発明の目的は、Zn−Al−Si合金
めっき鋼板等の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面にお
けるスパングル粒径の変動を、確実にかつ低コストで実
用上問題ない程度に抑制することができる技術を提供す
ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、鋼板の反応性をできる
だけ均一化するとともにこの反応性を阻害しない程度に
抑制した操業条件で溶融Zn−Al−Si合金めっきを行うこ
と、例えば、鋼板を大気雰囲気で焼鈍した後にZn−Al−
Siめっき浴に浸漬することにより、スパングル粒径が全
体に均一化され、美麗なスパングル模様を安定的に得ら
れることを知見した。しかし、この手段では、鋼板の表
面とめっき浴とがほとんど反応しないため、めっきの密
着性が全く得られず、不めっきを生じる。そこで、本発
明者らは、めっきの密着性を損なわずに、鋼板表面の反
応性を最適に制御できる条件を検討した。
【0014】これまで、溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板
の製造では、連続式溶融Zn−Al−Si合金めっき装置を構
成する焼鈍炉内を還元雰囲気にするために、この焼鈍炉
内に露点が−100 ℃以上−50℃以下のN2およびH2ガスを
吹き込んで、焼鈍炉内の露点を−30℃以下としていた。
しかし、これらのガスは露点が極めて低いため、極端な
場合、長時間操業時の焼鈍炉内の露点は例えば−70℃以
下と、極めて低い状態になっていた。本発明者らは、こ
のように焼鈍炉内の露点が経時的に極めて低下すると、
溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板のスパングル粒径が小さ
く変動することを新規な知見した。
【0015】そこで、本発明者らはこの新規な知見に基
づいてさらに検討を重ねた結果、連続式溶融Zn−Al−Si
合金めっき装置を構成する焼鈍炉の少なくとも加熱帯内
の露点を、従来の露点よりも高く−40℃以上+10℃以下
に制御することによって、スパングル粒径を所望の範囲
に制御でき、上記課題を解決できることを知見し、さら
に検討を重ねて本発明を完成した。
【0016】ここに、本発明は、少なくとも加熱帯を有
する焼鈍炉と溶融Al−Zn系合金めっき槽とを備える連続
式溶融Al−Zn系合金めっき装置であって、少なくとも加
熱帯における露点を−40℃以上+10℃以下の範囲に制御
する炉内雰囲気制御装置を備えることを特徴とする連続
式溶融Al−Zn系合金めっき装置である。
【0017】この本発明にかかる連続式溶融Al−Zn系合
金めっき装置は、炉内雰囲気制御装置が、少なくとも加
熱帯へ水蒸気を吹き込む水蒸気吹込系と、少なくとも加
熱帯に設けられた露点計と、この露点計の出力に基づい
て水蒸気吹込系からの水蒸気吹込量を制御する吹込量制
御装置とを有することが例示される。
【0018】この場合、水蒸気吹込系が、水蒸気供給源
と、この水蒸気供給源と少なくとも加熱帯とを接続する
水蒸気供給配管と、この水蒸気供給配管に設けられて吹
込量制御装置によって制御される流量調整弁とを有する
ことが例示される。
【0019】さらに、炉内雰囲気制御装置が、溶融Al−
Zn系合金めっき槽の下流側に配置されてめっき後の鋼板
のスパングル粒径を計測するスパングル粒度計を備え、
吹込量制御装置が、スパングル粒度計により得られる測
定値とスパングル粒径の目標値との偏差に基づいて、水
蒸気吹込量を制御することが例示される。
【0020】この本発明にかかる連続式溶融Al−Zn系合
金めっき装置により、Alを30〜70%、Siを0.05〜3.0
%、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっき層を有
する、表面のスパングル模様が微細化することなく均一
に開華された溶融Al−Zn系合金めっき鋼板が製造され
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる連続式溶融
Al−Zn系合金めっき装置の実施の形態を、添付図面を参
照しながら詳細に説明する。なお、以降の実施の形態の
説明では、連続式溶融Al−Zn系合金めっき装置が、いわ
ゆるゼンジマー方式の横型の連続式溶融Zn−Al−Si合金
めっき装置である場合を例にとる。
【0022】図1は、本実施形態の連続式溶融Zn−Al−
Si合金めっき装置1の構成を示す説明図である。同図に
示すように、本実施形態の連続式溶融Zn−Al−Si合金め
っき装置1は、焼鈍炉2と、溶融Zn−Al−Si合金めっき
槽3と、炉内雰囲気制御装置12とを有する。以下、これ
らの構成要素について順次説明する。
【0023】〔焼鈍炉2〕図1に示すように、焼鈍炉2
は、無酸化炉4と、加熱帯5と、均熱帯6と、冷却帯7
とを有する。
【0024】無酸化炉4の炉内には、搬送される鋼帯8
の上方および下方にノズルミックスガスバーナが配置さ
れており、Cガス、LPG 、天然ガス等を0.85〜0.9 の空
燃比で燃焼させることにより、CO−CO2 −H2−H2O の弱
酸化性の雰囲気とし、1000〜1300℃程度に保たれてい
る。
【0025】冷間圧延を終了して所定の板厚とされため
っき材である鋼帯8は、この無酸化炉4に導かれること
により表面酸化程度が極めて軽微な状態で急速に加熱さ
れ、450 〜800 ℃程度に昇温される。これにより、鋼帯
8の表面に付着した油脂分が揮発・分解されて除去され
る。
【0026】この無酸化炉4は公知のものであるため、
これ以上の説明は省略する。
【0027】次いで、無酸化炉4により油脂分を除去さ
れた鋼帯8は、加熱帯5および均熱帯6に順次導かれ、
加熱帯5により所定の温度にさらに加熱され、均熱帯6
により所定の温度に保持される。
【0028】すなわち、加熱帯5では、鋼帯8の表面に
おける酸化鉄の還元を行い、表面を活性化するために加
熱帯5に接続されたN2ガス、H2ガスまたはこれらの混合
ガスGを鋼帯8と向流に流し、還元ととともに焼なま
し、焼ならしを行う。
【0029】また、加熱帯5の内部には、加熱帯5の内
部における露点を測定する露点計10が設置されている。
露点計10により測定された加熱帯5の内部における露点
pは、後述する吹込量制御装置15に入力される。
【0030】このようにして、加熱帯5および均熱帯6
を通過した鋼帯8は、さらに冷却帯7に導かれて所定の
温度に冷却される。
【0031】この加熱帯5、均熱帯6および冷却帯7
も、いずれも公知のものであるため、これ以上の説明は
省略する。
【0032】このようにして、焼鈍炉2を通過した鋼帯
8は、スナウト11により大気に触れることなく、溶融Zn
−Al−Si合金めっき槽3に導かれる。
【0033】〔溶融Zn−Al−Si合金めっき槽3〕鋼帯8
は、溶融Zn−Al−Si合金めっき槽3に収容された溶融Zn
−Al−Si合金めっき浴に浸漬され、溶融Zn−Al−Si合金
めっきが行われる。そして、めっき浴中のシンクロール
により進行方向が上方に変更されて、めっきを行われた
溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板8’は槽外に引き上げら
れる。そして、ロール絞り装置や気体絞り装置等の適当
な付着量制御装置(図示しない。)により、所定の付着
量とされる。
【0034】この溶融Zn−Al−Si合金めっき槽3も公知
のものであるため、これ以上の説明は省略する。
【0035】〔炉内雰囲気制御装置12〕本実施形態の連
続式溶融Zn−Al−Si合金めっき装置1は、炉内雰囲気制
御装置12を備える。この炉内雰囲気制御装置12は、(i)
露点系10と、(ii)水蒸気吹込系13と、(iii) スパングル
粒度計14と、(iv)吹込量制御装置15とを有する。(i) 露
点計10については既に説明したので、露点計10以外の構
成要素について順次説明する。
【0036】(ii)水蒸気吹込系13 水蒸気吹込系13は、水蒸気供給源16を有する。この水蒸
気供給源16は水蒸気を発生する。また、水蒸気吹込系13
は、水蒸気供給配管9を有する。この水蒸気供給配管9
は、水蒸気供給源16と加熱帯5とを接続する。この水蒸
気供給配管9には、流量調整弁17が配置される。この流
量調整弁17は、後述する吹込量制御装置15によってその
開度が制御され、加熱帯5へ吹き込まれる水蒸気の量が
制御される。
【0037】本実施形態では、水蒸気供給配管9を加熱
帯5に接続したが、これに限定されるものではなく、加
熱帯5、均熱帯6および冷却帯7の少なくとも一つに接
続すればよい。また、水蒸気供給配管9の接続位置は、
加熱帯5、均熱帯6および冷却帯7のどの位置であって
もよい。
【0038】しかし、冷却帯7のみに水蒸気供給配管9
を接続すると、溶融Zn−Al−Si合金めっき槽3において
溶融Zn−Al−Si合金めっきを行う際に、不めっきが発生
する恐れがある。そこで、水蒸気供給配管9は、加熱帯
5や均熱帯6に接続することが望ましい。
【0039】図2は、本実施形態の加熱帯5への水蒸気
供給配管9の接続状況を示す説明図である。図示するよ
うに、本実施形態では、加熱帯5へ左右の2箇所から水
蒸気を吹き込むようにしたが、1箇所または3箇所以上
で吹き込むようにしてもよい。また、本実施形態では、
水蒸気供給配管9の炉内側の先端に吹込ノズル9aを設け
て水蒸気をスプレーすることとした。しかし、スプレー
を行うのではなく、図3に示すように、水蒸気供給配管
9の炉内側の先端に、下部に長手方向へ向けた複数の噴
出孔を連続して設けられたパイプであるブレード9bを設
けて吹き込むようにしてもよい。このブレード9bを用い
て水蒸気を吹き込むことにより、露点制御開始時等、炉
内の露点が目標値に達して安定するまでの間、図2に示
す吹込ノズル9aからの吹き込みに比較して、板幅方向の
露点分布をより均一化させることができ、これにより、
板幅方向のスパングル粒径のわずかなばらつきも抑制す
ることができ、望ましい。
【0040】いずれの場合にも、例えば、吹込ノズル9a
やブレード9bを鋼帯8に対し炉壁5a側に向けたり、ま
た、吹込ノズル9aやブレード9bの炉内側近傍に遮蔽板を
設けることにより、吹き込まれた水蒸気が鋼帯8に直接
吹きかからないように、吹込ノズル9aやブレード9bの設
置位置および吹込方向を調整することが、めっき不良の
発生を防止するために望ましい。
【0041】(iii) スパングル粒度計14 また、溶融Zn−Al−Si合金めっき槽3の下流側に、スパ
ングル粒度計14が配置される。このスパングル粒度計14
は、めっきを行われた溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板
8’のスパングル粒径を計測することができるものであ
ればよく、特定の装置には限定されない。例えば、本出
願人が先に特願平10−193435号により開示した、画像処
理装置を応用したスパングル粒度計を用いることが、例
示される。
【0042】このスパングル粒度計14により計測された
スパングル粒径ds は、吹込量制御装置15に入力され
る。
【0043】(iv)吹込量制御装置15 吹込量制御装置15は、スパングル粒度計14により得られ
たスパングル粒径dsと、予め入力されているスパング
ル粒径の目標値との偏差を演算により求める。そして、
吹込量制御装置15は、この偏差と、露点計10により測定
された加熱帯5の内部における露点dp とから、露点と
スパングル粒径との相関に基づいて狙いのスパングル粒
径に対する露点およびこれに必要な水蒸気または水の流
量を計算し、この計算結果に基づいて流量調整弁17の開
度制御信号Cvを出力して、水蒸気吹込系13から加熱帯5
に供給される水蒸気の量を制御する。これにより、少な
くとも加熱帯5における露点を−40℃以上+10℃以下の
範囲に制御する。
【0044】このように、本実施形態の連続式溶融Zn−
Al−Si合金めっき装置1は、加熱帯5を有する焼鈍炉2
と溶融Zn−Al−Si合金めっき槽3とを備え、さらに、水
蒸気供給源16、水蒸気供給配管9および流量調整弁17を
有し、加熱帯5へ水蒸気を吹き込む水蒸気吹込系13と、
加熱帯5に設けられた露点計10と、溶融Zn−Al−Si系合
金めっき槽3の下流側に配置されてスパングル粒径を計
測するスパングル粒度計14と、露点計10の出力とスパン
グル粒度計14により得られる測定値〜スパングル粒径の
目標値の偏差とに基づいて水蒸気吹込系13からの水蒸気
吹込量を制御する吹込量制御装置15とを有し、加熱帯5
における露点を−40℃以上+10℃以下の範囲に制御する
ことによって、スパングル粒径の変動を抑制する炉内雰
囲気制御装置12を備える。
【0045】この連続式溶融Zn−Al−Si合金めっき装置
1を用いて鋼帯8に溶融Zn−Al−Si合金めっきを行う
と、加熱帯5以降の焼鈍炉内の露点が、従来の連続式溶
融Zn−Al−Si合金めっき装置における焼鈍炉の露点より
も高くなり、−40℃以上+10℃以下に制御される。この
ため、この連続式溶融Zn−Al−Si合金めっき装置1によ
れば、Zn−Al−Si合金めっき鋼板8' の表面におけるス
パングル粒径の変動が、確実に抑制される。
【0046】すなわち、連続式溶融Zn−Al−Si合金めっ
き装置1における炉内雰囲気制御装置12は、スパングル
粒径をスパングルコードで0〜8の範囲に制御する。こ
こで、「スパングルコード」とは、明らかにスパングル
粒径が異なる9段階の標準サンプルを準備し、それぞれ
0 (非常に微細) 〜8 (非常に粗大) の9段階に分類す
ることにより決定され、例えば後述する表2に一例を示
す。
【0047】このため、本実施形態の連続式溶融Zn−Al
−Si合金めっき装置1によれば、Alを30〜70%、Siを0.
05〜3.0 %、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっ
き層を有し、表面のスパングル粒径が所望の大きさであ
って均一に開華された外観品質が優れた溶融Zn−Al−Si
合金めっき鋼板8' を、スパングル粒径の変動を伴うこ
となく、工業的規模で安定して製造することができる。
【0048】また、本実施形態の連続式溶融Zn−Al−Si
合金めっき装置1では、露点計10には既存のものを用い
ることができ、スパングル粒度計14を設置して、スパン
グル粒度計14からの出力信号を吹込量制御装置15につな
ぎ込み、さらに吹込量制御装置15の制御ソフトを入れ換
えるだけで済む。したがって、本実施形態の連続式溶融
Zn−Al−Si合金めっき装置1は、設備改造費の上昇をで
きるだけ伴うことなく、実現される。
【0049】なお、本実施形態では、吹込量制御装置15
を用いて加熱帯5へ吹き込む水蒸気の量を自動制御する
ようにしたが、これとは異なり、露点計10の出力値だけ
に基づいて手動で流量調整弁17の開度を調整するように
してもよい。
【0050】
【実施例】図1および図2に示す連続式溶融Zn−Al−Si
合金めっき装置1を用いて、低炭素Alキルド鋼の冷延鋼
帯 (板厚:0.6 mm×板幅:920 mm、C:0.04%、Si:0.
01%、Mn:0.25%、P:0.025 %、Sb:0.02%) からな
るめっき母材に、表1に示す溶融めっき条件で、溶融Zn
−Al−Si合金めっきを行った。
【0051】
【表1】
【0052】なお、本実施例では、加熱帯5にH2供給配
管、N2供給配管および水蒸気供給配管系をそれぞれ独立
して接続し、加熱帯5内のガス雰囲気は水素濃度計 (図
示しない。) により、また露点は露点計10によりそれぞ
れ計測し、吹込量制御装置15により、H2、N2および水蒸
気それぞれの供給量を制御した。
【0053】このようにして得られた溶融Zn−Al−Si合
金めっき鋼板について、スパングルコードを求めた。そ
して、標準サンプルの表面拡大写真を撮影し、その写真
上で、実際の長さで30mmに相当する線分を横切るスパン
グル境界線の数をカウントし、30mm/(境界線の数) によ
り、スパングル径を求めた。さらに、この測定を1標準
サンプルあたり5回繰り返し、その平均値を「スパング
ル径」とした。なお、このスパングル径とスパングルコ
ードとの関係を、表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】図4には、本実施例において、加熱帯5に
吹き込むN2ガスと混合させる水蒸気の流量比 (水蒸気流
量) /(N2ガス流量) と、加熱帯5の露点との関係を、
グラフで示す。
【0056】図4に示すグラフから、加熱帯5の露点を
−40℃以上+10℃以下とするには、(水蒸気流量) /(N
2ガス流量) を、 0.1×10-3〜 1.7×10-3とすればよい
ことがわかる。したがって、本実施例では、吹込量制御
装置15により (水蒸気流量)/(N2ガス流量) を、 0.1
×10-3〜 1.7×10-3に制御した。
【0057】本実施例により得られた溶融Zn−Al−Si合
金めっき鋼板8' のそれぞれの内部におけるスパングル
粒径の変化を状況を、図5にグラフにまとめて示すとと
もに表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】図5にグラフで示すとともに表3に示すよ
うに、露点を−40℃〜+10℃の範囲で制御することによ
り、スパングル粒径の制御が可能である。
【0060】図6には、本実施例と、本発明における炉
内雰囲気制御装置を用いない従来例とについて、得られ
たスパングル模様のスパングルコードおよび加熱帯5の
露点を示すグラフである。
【0061】図6にグラフで示すように、本実施例によ
り、目標とするスパングルコード4に対し、誤差を±1
内に収束させることができ、スパングル粒径のばらつき
を抑制することができる。また、スパングル粒径の経時
的な変動も少なく、同一の鋼帯または異なる鋼帯間にお
いて、スパングル粒径のばらつきを抑制でき、表面の美
麗さを確実に保つことができた。
【0062】これに対し、従来例では、経時的に露点が
低下し、これによりスパングルコードが小さくなった。
このため、従来例では、表面の美麗さを保つことができ
なかった。
【0063】このように、本実施例によれば、焼鈍炉に
常時低露点ガスを吹き込んでも、焼鈍炉の加熱帯の露点
の低下を抑制して略一定に保つことができ、これによ
り、表面のスパングル粒径が微細化することなく均一に
開華された外観品質が優れた溶融Zn−Al−Si合金めっき
鋼板を、安定的に製造することができた。
【0064】また、表3に示すように、本実施例では、
−40℃以上+10℃以下の範囲で露点を変動させても、不
めっきによる表面品質やめっきの密着不良を生じること
もない。
【0065】(変形形態)実施形態および実施例の説明
では、連続式溶融Al−Zn系合金めっき装置が、いわゆる
ゼンジマー方式の横型の連続式溶融Zn−Al−Si合金めっ
き装置である場合を例にとった。しかし、本発明はこの
形態には限定されず、例えば、縦型の連続式溶融Zn−Al
−Si合金めっき装置にも同様に適用される。
【0066】また、実施形態および実施例の説明では、
水蒸気吹込系を用いた炉内雰囲気制御装置を用いた場合
を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定され
ず、加熱帯における露点を−40℃以上+10℃以下の範囲
に制御することができる炉内雰囲気制御装置であれば、
等しく適用される。
【0067】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、Zn−Al−Si合金めっき鋼板の表面におけるスパング
ル粒径の変動を、確実にかつ低コストで抑制することが
できる連続式溶融Al−Zn系合金めっき装置を提供で
きた。
【0068】これにより、表面のスパングル模様が微細
化することなく均一に開華された外観品質が優れた溶融
Zn−Al−Si合金めっき鋼板を、スパングル粒径の変動を
伴うことなく、工業的規模で安定して製造することがで
きる。
【0069】かかる効果を有する本発明の意義は、極め
て著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の連続式溶融Zn−Al−Si合金めっき装
置の構成を示す説明図である。
【図2】実施形態の加熱帯への水蒸気供給配管の接続状
況を示す説明図である。
【図3】加熱帯への水蒸気供給配管の他の接続状況を示
す説明図である。
【図4】実施例において、加熱帯に吹き込むN2ガスと混
合させる水蒸気の流量比 (水蒸気流量) /(N2ガス流
量) と、加熱帯の露点との関係を示すグラフである。
【図5】実施例により得られた溶融Zn−Al−Si合金めっ
き鋼板のそれぞれの内部におけるスパングル粒径の変化
を状況を示すグラフである。
【図6】実施例と、本発明における炉内雰囲気制御装置
を用いない従来例とについて、得られたスパングル模様
のスパングルコードおよび加熱帯の露点を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 連続式溶融Al−Zn系合金めっき装置 2 焼鈍炉 3 溶融Zn−Al−Si合金めっき槽 5 加熱帯 9 水蒸気供給配管 10 露点計 12 炉内雰囲気制御装置 13 水蒸気吹込系 14 スパングル粒度計 15 吹込量制御装置 16 水蒸気供給源 17 流量調整弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷田 孝次 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 Fターム(参考) 4K027 AB44 AC12 AC18 AC62 AD25 AE25 AE33 AE34 AE37

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも加熱帯を有する焼鈍炉と溶融
    Al−Zn系合金めっき槽とを備える連続式溶融Al−Zn系合
    金めっき装置であって、少なくとも前記加熱帯における
    露点を−40℃以上+10℃以下の範囲に制御する炉内雰囲
    気制御装置を備えることを特徴とする連続式溶融Al−Zn
    系合金めっき装置。
  2. 【請求項2】 前記炉内雰囲気制御装置は、少なくとも
    前記加熱帯へ水蒸気を吹き込む水蒸気吹込系と、少なく
    とも前記加熱帯に設けられた露点計と、該露点計の出力
    に基づいて前記水蒸気吹込系からの水蒸気吹込量を制御
    する吹込量制御装置とを有する請求項1に記載された連
    続式溶融Al−Zn系合金めっき装置。
  3. 【請求項3】 前記水蒸気吹込系は、水蒸気供給源と、
    該水蒸気供給源と少なくとも前記加熱帯とを接続する水
    蒸気供給配管と、該水蒸気供給配管に設けられて前記吹
    込量制御装置によって制御される流量調整弁とを有する
    請求項2に記載された連続式溶融Al−Zn系合金めっき装
    置。
  4. 【請求項4】 前記炉内雰囲気制御装置は、前記溶融Al
    −Zn系合金めっき槽の下流側に配置されてめっき後の鋼
    板のスパングル粒径を計測するスパングル粒度計を備
    え、前記吹込量制御装置は、該スパングル粒度計により
    得られる測定値と前記スパングル粒径の目標値との偏差
    に基づいて、前記水蒸気吹込量を制御する請求項2また
    は請求項3に記載された連続式溶融Al−Zn系合金めっき
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007146241A (ja) * 2005-11-29 2007-06-14 Jfe Steel Kk 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備

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