JP2000273482A - カカオ脂の分別方法 - Google Patents
カカオ脂の分別方法Info
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Abstract
トを提供すること。 【解決手段】 カカオ脂とヘキサン又はアセトンを用い
た二段分別法により、POP含量が20重量%以上、P
OS含有が40重量%以上、SOS含有が25重量%以
下であるカカオ脂中融点画分を得ることが出来る。この
カカオ脂中融点画分を含有してなるチョコレートは、優
れたスナップ性と口どけを有する。
Description
ン又はアセトンを用いて二段分別する方法に関する。本
発明の分別方法によって得られる中融点画分を用いたチ
ョコレートは口どけ及びスナップ性の優れた品質を有す
る。
には、チョコレートの主原料であるカカオ脂に、炭素鎖
長が16以下の脂肪酸に富むパーム油、パーム核油、ヤ
シ油等の分別脂や乳脂肪を添加する手法が用いられる。
しかし、これらのカカオ脂代用脂等の添加によって、チ
ョコレートのスナップ性が損なわれる為、その添加量は
制限される。一方、チョコレートのスナップ性を向上さ
せるためには対称型トリグリセリドの1,3−ジステア
ロイル−2−オレオイルグリセリン(以下SOSと略)
に富むシア脂、サル脂、イリッペ脂等の分別脂をカカオ
脂代用脂として添加する手法が用いられるが、チョコレ
ートの口どけが損なわれる為、その添加量は制限され
る。また、カカオ脂の配合を高めたチョコレートのニー
ズが高まりつつある中、カカオ脂代用脂の添加によるチ
ョコレートの品質改良ではなく、カカオ脂自体の分別等
によるチョコレートの品質改良が必要となっている。
177107号には、ヘキサンを用いてステアリン画分
とオレイン画分とに分別する方法が提案されているが、
規定温度で6時間以上のホールドを必要とし時間を要す
るという欠点がある。また特開平3−146594のア
セトンまたはヘキサンを用いた分別方法では、オレイン
画分の1,3−ジパルミトイル−2−オレオイルグリセ
リン(以下POPと略)含量を25重量%以上と規定し
ているが、このオレイン画分はモノ飽和ジ不飽和トリグ
リセライド(SU2)成分が除去されていないため、チ
ョコレートに用いた場合スナップ性の点で不十分であ
る。また特開平8−34989ではアセトンを用いてス
テアリン画分を高収率で得る分別方法が提案されている
が、このステアリン画分はカカオ脂と比較すると30℃
以上での固体脂含量が高く口どけの点で不十分である。
状況に鑑み、カカオ脂からヘキサンまたはアセトンを用
いて、チョコレート用途における良好なスナップ性と口
どけを付与しうる中融点画分を得る分別方法を提供する
ものである。
題を解決するために、カカオ脂とヘキサン又はアセトン
を用いた二段分別法により、1,3−ジパルミトイル−
2−オレオイルグリセリン(POP)及び1−パルミト
イル−2−オレオイル−3−ステアロイルグリセリン
(POS)に富み、かつ1,3−ジステアロイル−2−
オレオイルグリセリン(SOS)を低減したカカオ脂の
中融点画分を分離できることを見出し、更にはこの中融
点画分を含有してなるチョコレートが良好なスナップ性
と口どけを有していることを見出して、本発明を完成す
るに至った。
ン又はアセトンを用いて、ステアリン画分と濾液とに分
別し、更に濾液を中融点画分とオレイン画分とに分別す
ることを特徴とするカカオ脂の二段分別方法に関する。
トリグリセリド組成が、POP含量が20重量%以上、
POS含量が40重量%以上、SOS含量が25重量%
以下であることを特徴とするカカオ脂の分別方法に関す
る。
によって得られる中融点画分を含有してなるチョコレー
トに関する。
法について詳述する。先ず一段階目の分別として、溶解
したカカオ脂1部(以下、部は重量部を示す。)と、溶
剤としてヘキサン又はアセトン又はその混合物1〜10
部、望ましくは3〜7部を混合加熱する。溶剤が1部よ
り少ないと結晶量が過剰となり固液分離が困難であり、
10部より多いと結晶析出が不十分となり中融点画分の
SOS含量が増大し、口どけが悪化する原因となる。次
にカカオ脂と溶剤の混合物を、撹拌を行いながら冷却し
て、結晶を析出させた後に吸引濾過又は圧搾によりステ
アリン画分と濾液とに分離する。この時の冷却温度は−
5〜5℃の範囲が好ましい。冷却温度が−5℃より低い
場合は二段階目の分別での中融点画分の収率が低くな
り、また5℃より高い場合は結晶の析出が不十分で中融
点画分のSOS含量が増大し口どけが悪化する原因とな
る。
別で得られた濾液を撹拌しながら更に冷却して結晶を析
出させ、真空濾過又は圧搾により中融点画分(結晶部)
とオレイン画分とを分離する。この時の冷却温度は−5
℃以下が好ましく、更に好ましくは−10℃以下であ
る。冷却温度が−5℃より高い場合は結晶析出が不十分
で、中融点画分の収率が低いものとなる。
により溶剤を除去した後脱臭し、チョコレートの原料油
脂として供することができる。
のトリグリセリド組成は、POP含量が20%以上、P
OS含量が40%以上、SOS含量が25%以下であ
り、固体脂含量(SFC)が20℃では90以上、30
℃では50以下、35℃では5以下という特性を示す。
中融点画分のトリグリセリド組成が、POP含量が20
%未満またはPOS含量が40%未満である場合や、S
OS含量が25%より多い場合は、30℃におけるSF
Cが60以上となり口どけが悪くなる。
トに添加することにより、口どけとスナップ性に優れた
チョコレートを得ることができる。本発明のカカオ脂中
融点画分は比較的少量でもその効果を発揮しうるが、効
果を最大限のものとするためにはかかる中融点画分をチ
ョコレート油分中に30重量%以上加えることが望まし
い。
に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例1)カカオ脂としてガーナ産カカオバターを完
全に溶解し、カカオ脂とヘキサンを1:5(重量比)の
比率で50℃以上で混合溶解した後、撹拌を100rp
mの速度で行いながら、1℃/分の冷却速度で0℃まで
冷却し結晶を析出させ、真空濾過により結晶部(ステア
リン画分)と濾液とに分離した。更に、濾液を撹拌しな
がら−15℃まで冷却し結晶を析出させ、真空濾過によ
り結晶部(中融点画分)と液体部分(オレイン画分)に
分離した。得られた中融点画分は溶剤を除去した後、常
法により脱臭を行った。得られた中融点画分の収率と特
性を表1に示す。 (実施例2)上記カカオ脂とアセトンを1:5の比率で
混合溶解した後、撹拌しながら5℃まで冷却し結晶析出
を行った。真空濾過によりステアリン画分を除去した濾
液を更に−10℃まで冷却して結晶析出を行い、真空濾
過により中融点画分とオレイン画分とに分離した。得ら
れた中融点画分の収率と特性を表1に示す。 (比較例1)上記カカオ脂とヘキサンを1:6の比率で
混合溶解した後、撹拌しながら−15℃まで冷却した。
真空濾過によりステアリン画分とオレイン画分とに分離
した。得られたステアリン画分の収率と特性を表1に示
す。
用いて二段分別した中融点画分のトリグリセライド組成
は、POP含量が20%以上、POS含量が45%以
上、SOS含量が25%以下であり、そのSFCは20
℃では90以上、30℃では50以下、35℃では5以
下という特性を示すことから、20以下では固く30℃
以上では急激に融解する特徴を有している。
段分別したステアリン画分のトリグリセライド組成は、
POS含量は40%以上であるがPOP含量は20%以
下で、更にSOS含量が30%以上であり、そのSFC
は35℃で50以上という値を示していることから、口
どけの点で実施例1及び2の画分よりも劣ることが予想
される。 (実施例3)実施例1で得られたカカオ脂中融点画分を
用いて以下の配合に従ってチョコレートを作成し、その
性能についてテストを行った。 <チョコレート配合> 油脂(カカオ脂:中融点画分=65:35) 23部 粉糖 48部 カカオマス 15部 全脂粉乳 14部 レシチン 0.3部 チョコレートの作製方法は通常実施される製造方法によ
り、ミキシング、ロールがけ、コンチング、テンパリン
グを行い成型したモールドチョコレートを20℃で10
日間エージングした後、以下のテストを行った。
(サン科学製)で硬さを測定した結果を表2に示す。但
し、アダプターは直径1mmの円柱で突いた時の加重を
グラム数で示した。スナップ性は20℃及び25℃での
硬さ、即ちレオメーターの加重グラム数が大きい程スナ
ップ性が良好であることを意味する。口どけは30℃及
び32℃での硬さ、即ちレオメーターの加重グラム数が
小さい程口どけが良好であることを意味する。 (実施例4)実施例1で得られたカカオ脂中融点画分を
用い、油脂配合をカカオ脂:中融点画分=85:15と
した以外は、実施例3と同様にチョコレートを作製して
評価した結果を表2に示す。 (比較例2)比較例1で得られたカカオ脂ステアリン画
分を用い、油脂配合をカカオ脂:ステアリン画分=6
5:35とした以外は、実施例3と同様にチョコレート
を作製して評価した結果を表2に示す。 (比較例3)油脂配合をカカオ脂:パーム中融点部(沃
素価36)=85:15とした以外は、実施例3と同様
にチョコレートを作製して評価した結果を表2に示す。 (対照例)油脂配合をカカオ脂100%とした以外は、
実施例3と同様にチョコレートを作製して評価した結果
を表2に示す。
は、対照例のカカオ脂のみのチョコレートと比較して、
25℃以下では硬質でありかつ30℃以上では軟質であ
ることから、優れたスナップ性と口どけの両方の特徴が
付与された事が判る。又、カカオ脂ステアリン画分の添
加ではスナップ性は優れているが口どけが不十分であ
り、パーム油中融点画分の添加では口どけは良好である
がスナップ性が不十分であった。従って、カカオ脂中融
点画分のチョコレートへの添加はスナップ性と口どけを
同時に向上させる効果が認められるものである。
て二段分別して得られる中融点画分は、スナップ性と口
どけに優れたチョコレートの製造に供することが出来
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 カカオ脂をヘキサン又はアセトンを用い
て、ステアリン画分と濾液とに分別し、更に濾液を中融
点画分とオレイン画分とに分別することを特徴とするカ
カオ脂の二段分別方法。 - 【請求項2】 カカオ脂中融点画分のトリグリセリド組
成が、1,3−ジパルミトイル−2−オレオイルグリセ
リン含量が20重量%以上、1−パルミトイル−2−オ
レオイル−3−ステアロイルグリセリン含量が40重量
%以上、1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリ
セリン含量が25重量%以下である請求項1記載の分別
方法。 - 【請求項3】 請求項1,2記載のカカオ脂の分別方法
によって得られる中融点画分を含有してなるチョコレー
ト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08195899A JP3788095B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | カカオ脂の分別方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08195899A JP3788095B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | カカオ脂の分別方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000273482A true JP2000273482A (ja) | 2000-10-03 |
JP3788095B2 JP3788095B2 (ja) | 2006-06-21 |
Family
ID=13761020
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08195899A Expired - Fee Related JP3788095B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | カカオ脂の分別方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3788095B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005213304A (ja) * | 2004-01-27 | 2005-08-11 | Fuji Oil Co Ltd | 冷感油脂 |
JP2013528056A (ja) * | 2010-06-16 | 2013-07-08 | シージェイ チェイルジェダン コーポレイション | チョコレート及び製菓用の油脂組成物 |
-
1999
- 1999-03-25 JP JP08195899A patent/JP3788095B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005213304A (ja) * | 2004-01-27 | 2005-08-11 | Fuji Oil Co Ltd | 冷感油脂 |
JP2013528056A (ja) * | 2010-06-16 | 2013-07-08 | シージェイ チェイルジェダン コーポレイション | チョコレート及び製菓用の油脂組成物 |
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---|---|
JP3788095B2 (ja) | 2006-06-21 |
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