JP2000271961A - 射出成形装置のバルブ式ノズル装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純な機構で、樹脂材料の色替えや樹脂替え
を簡単かつ容易に行うことができる射出装置のバルブ式
ノズル装置を提供する。 【解決手段】 射出成形装置１１の固定盤１２のノズル
挿入孔１３の外周側に取り付けられるブラケット本体２
０と、前記ブラケット本体に弾性部材３５を介して常時
外側方向へ付勢されて前進後退自在かつ着脱自在に摺動
保持された保持部材３０と、前記保持部材に前後方向の
位置調節自在に螺着されて、後部に射出装置１６の吐出
ノズル１７先端と密接する樹脂流入部４３、前部に前記
樹脂流入部と連通する樹脂流路４４及び中空円錐部４５
を経て形成された樹脂流出部４６を備えたノズル本体４
０と、前記ノズル本体の樹脂流出部を射出装置の樹脂圧
によって開閉するニードル弁５０とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、射出成形装置の
バルブ式ノズル装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】射出成形品の複雑化及び高品質化さらに
は結晶性樹脂の成形に射出装置を適用する傾向に伴い、
可塑化中の高い背圧によるノズル先端からの溶融樹脂の
漏れや待機時間中におけるノズル先端からの漏れ等を防
止して射出量を一定にする目的のために、バルブ式ノズ
ル装置が使用されている。

【０００３】従来のこの種バルブ式ノズル装置は、例え
ば図５に示すノズル装置６０のように、射出装置Ｓの前
部に連結して使用されるもので、後部（連結側）の樹脂
流入部６２と前部（ヘッド側）の樹脂流出部（ノズル
孔）６３が樹脂流路６４及び中空円錐部６５を介して連
通形成されたノズル本体部６１と、前記ノズル本体部６
１の中空円錐部６５に位置するように該本体部６１の軸
線方向の中心孔６７に嵌挿配置され、樹脂圧によって前
記樹脂流出部６３を開閉するニードル弁７０より構成さ
れる。図の符号７１はニードル弁７０のアーム、７２は
ニードル弁７０を常時閉じ方向に付勢するスプリング、
７３はスプリング７２の受け部材である。ちなみに、図
示のノズル装置６０は閉状態を表し、射出成形時には射
出装置の樹脂圧によってニードル弁７０がスプリング７
２の付勢力に抗して後退して樹脂流出部（ノズル孔）６
３が開かれる。

【０００４】しかるに、この種バルブ式ノズル装置６０
にあっては、成形材料の色替えあるいは樹脂替えを行う
場合には、装置６０内に残留したもとの材料を射出装置
によって除去しクリーニングしてから次の樹脂成形を行
っている。しかしながら、複雑な構造を有する樹脂流路
やニードル弁に付着した残留樹脂を完全に取り除くこと
は容易でなく、その除去のために相当の時間と労力を要
し作業効率が悪くなる傾向があった。また、クリーニン
グのための樹脂材料の無駄使いも大きい。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この発明はこのような
状況に鑑みてなされたもので、単純な機構で、樹脂材料
の色替えや樹脂替えを簡単かつ容易に行うことができる
射出装置のバルブ式ノズル装置を提供しようとするもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
射出成形装置の固定盤のノズル挿入孔の外周側に取り付
けられるブラケット本体と、前記ブラケット本体に弾性
部材を介して常時外側方向へ付勢されて前進後退かつ着
脱自在に摺動保持された保持部材と、前記保持部材に前
後方向の位置調節自在に螺着されて、後部に射出装置の
吐出ノズル先端と密接する樹脂流入部、前部に前記樹脂
流入部と連通する樹脂流路及び中空円錐部を経て形成さ
れた樹脂流出部を備えたノズル本体と、前記ノズル本体
の樹脂流出部を射出装置の樹脂圧によって開閉するニー
ドル弁とからなることを特徴とする射出成形装置のバル
ブ式ノズル装置に係る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明
を詳細に説明する。図１はこの発明の一実施例に係るバ
ルブ式ノズル装置の待機状態を示す断面図、図２は同じ
くその成形状態を示す断面図、図３は同じくさらに射出
装置が後退した状態を示す断面図、図４はこの発明のバ
ルブ式ノズル装置の背面図である。

【０００８】図示したように、この発明の射出成形装置
のバルブ式ノズル装置１０は、射出成形装置１１の固定
盤１２に取り付けて使用されるもので、ブラケット本体
２０と、保持部材３０と、ノズル本体４０と、ニードル
弁５０の各部からなる。ブラケット本体２０は、固定盤
１２のノズル挿入孔１３の外周側に取り付けられるもの
である。実施例のブラケット本体２０は、図１及び図４
から理解されるように、概略円筒形状で、前部外周に止
めネジ２５によって固着される取付フランジ２１を有
し、後部内周は後述する保持部材３０の摺動面２２とし
て構成され開放後端部２３に至っている。また、摺動面
２２の前部には内側へ突出する段部２４が形成されてい
て、後述する弾性部材３５のためのバネ受け部とされて
いる。なお、図において符号１４は金型（固定側）、１
５は該金型のスプルー孔である。

【０００９】保持部材３０は、前記ブラケット本体２０
に弾性部材３５を介して常時外側方向へ付勢されて前進
後退かつ着脱自在に摺動保持されるものである。実施例
の保持部材３０は、図示のようにドーナツ状本体部３１
の外周面が前記ブラケット本体２０の摺動面２２と摺接
する摺動面３２とされ、内周面には次述するノズル本体
４０を螺着する内ネジ部３３が形成され、本体部３１の
前側には弾性部材３５のための保持溝３６が形成されて
いる。なお、弾性部材３５としては、ここではコイルス
プリングが用いられている。この実施例では、保持部材
３０はブラケット本体２０の開放後端部２３より脱着自
在となっている。

【００１０】ノズル本体４０は、前記保持部材３０に前
後位置調節自在に螺着される。実施例では、図のよう
に、本体後部の大径部４１の外周に外ネジ部４２が形成
されていて、前記保持部材３０の内ネジ部３３に螺着す
る。ノズル本体４０の保持部材３０に対する前後位置調
節は、主として金型１４へのノズルタッチ距離の微調整
のために行われる。ノズル本体４０は、後部に射出装置
１６の吐出ノズル１７先端と密接する樹脂流入部４３、
前部には該樹脂流入部４３と連通する樹脂流路４４及び
中空円錐部４５を経て形成された樹脂流出部（ノズル
部）４５を備えている。図の符号４７は円錐状ヘッド部
を表し、４８はバンドヒータ、４９はサーモカップルで
ある。

【００１１】ニードル弁５０は、前記ノズル本体４０に
筒方向摺動自在に配置されるもので、射出装置１６の樹
脂圧によって前後動して前記ノズル本体４０の樹脂流出
部４６を開閉する。実施例のニードル弁５０は従来公知
の機構で、弁本体５１が前記ノズル本体４０の軸線方向
の中心孔４９に嵌挿されており、該本体５１はアーム部
材５５を介してバネ５６によって常時前方向に付勢され
ている。そして、成形時の樹脂射出時には、射出装置１
６の樹脂圧によってニードル弁５０がバネ５６の付勢力
に抗して後方に移動して樹脂流出部（ノズル孔）４６を
開き、樹脂圧がかからなくなると、バネ５６によってニ
ードル弁５０の本体５１先端が樹脂流出部（ノズル孔）
４６を閉じる。なお、実施例のニードル弁５０の付勢手
段としては、ドーナツ状の皿バネ５６を複数枚重ねたも
のを用いたが、これに限らずコイルバネや空気圧あるい
は油圧機構を用い、さらにその付勢力を調節可能として
もよい。図中符号５７はニードル弁５０に均一な摺動力
を与えるための溝部である。

【００１２】次に、図に基づきこの発明のバルブ式ノズ
ル装置１０の使用例を説明する。まず、ノズル装置１０
は、図１に示す待機時においては、ノズル本体４０の円
錐状ヘッド部４７が金型１４のスプル孔１５から離隔し
ており、この状態ではノズル本体４０は保持部材３０の
弾性部材３５により後方へ付勢されて射出装置１６の吐
出ノズル１７先端と当接している。ニードル弁５０はバ
ネ５６によってノズル本体４０の樹脂流出部（ノズル
孔）４６を閉鎖している。

【００１３】図２に示す成形時に射出装置１６が前進し
てノズル本体４０を押圧すると、該ノズル本体４０が螺
着された保持部材３０は弾性部材３５の付勢力に抗して
ブラケット部材２０の摺動面２２を前進する。保持部材
３０に取り付けられたノズル本体４０のヘッド部４７が
金型１４のスプルー孔１５に当接して保持部材３０の前
進が停止される。次いで、射出装置１６の吐出ノズル１
７から溶融樹脂Ｐがノズル本体４０の樹脂流入部４３か
ら本体４０内に注入されると、該溶融樹脂Ｐは樹脂流路
４４を経て中空円錐部４５内に貯留する。そして、中空
円錐部４５に充填される溶融樹脂Ｐの樹脂圧がニードル
弁５０に作用し、そのバネ５６の付勢力に打ち勝ち該ニ
ードル弁５０を後退させ樹脂流出口４６を開いてスプル
ー孔１５より金型１４へ樹脂Ｐを射出する。

【００１４】所定量の溶融樹脂Ｐの射出が完了して射出
装置１６による樹脂圧が低下すれば、バネ５６の付勢力
によってニードル弁５０が自動的に前進し樹脂流出口４
６を閉鎖する。待機中は、前記図１のように射出装置１
６を後退してノズル本体４０を金型１４とを離隔しても
よいが、離隔させることなく密接させたままでもよい。

【００１５】図３は射出装置１６を後退した状態を示す
図であるが、射出装置１６の後退に伴って、ノズル本体
４０が螺着された保持部材３０は、その弾性部材３５の
弾性力の限界までブラケット部材２０の内側摺動面２２
を摺動後退する。この後、射出装置１６を待避させれ
ば、保持部材３０をブラケット部材２０の開放後端部２
３より取り外すことができる。これにより、色替えや樹
脂替えを行う場合には、ブラケット部材２０から保持部
材３０をノズル本体４０及びニードル弁５０とともに取
り外し、他の専用のそれらと交換使用することができ
る。

【００１６】なお、このバルブ式ノズル装置１０の構造
にあっては、ブラケット部材２０から保持部材３０をノ
ズル本体４０及びニードル弁５０とともに取り外した状
態で、射出装置１６の吐出ノズル１７を前進して射出成
形することもできる。

【００１７】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
射出成形装置のバルブ式ノズル装置によれば、ブラケッ
ト部材に対して保持部材をノズル本体及びニードル弁と
ともに着脱自在な構造としたものであるから、色替えや
樹脂替えに際しては、他に用意した（専用の）それらと
交換使用することができる。これによって、煩雑で作業
効率の悪いクリーニング作業から解放される。

【００１８】また、ブラケット部材から保持部材をノズ
ル本体及びニードル弁とともに外した状態で、いわゆる
オープンノズルでの射出成形が可能となる。すなわち、
この発明にあっては、通常の射出装置がそのままの状態
で、この発明のバルブ式ノズル装置を介してもあるいは
介することなく自在に射出成形することが利点を有す
る。

【００１９】さらにこの発明のバルブ式ノズル装置にあ
っては、極めて簡単な機構で、ノズル本体の進退及びニ
ードル弁の開閉が実現され、加えてノズル本体が保持部
材に前後方向の位置調節自在に螺着されノズルタッチの
微妙な調整も可能であるなど、従来装置に比して多くの
実用的利点を兼ね備える。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例に係るバルブ式ノズル装置
の待機状態を示す断面図である。

【図２】同じくその成形状態を示す断面図である。

【図３】同じくさらに射出装置が後退した状態を示す断
面図である。

【図４】この発明のバルブ式ノズル装置の背面図であ
る。

【図５】従来のバルブ式ノズル装置の一例を示す断面図
である。

【符号の説明】

１０ バルブ式ノズル装置 １１ 射出成形装置 １２ 固定盤 １３ ノズル挿入孔 １６ 射出装置 １７ 吐出ノズル ２０ ブラケット本体 ３０ 保持部材 ３５ 弾性部材 ４０ ノズル本体 ４３ 樹脂流入部 ４４ 樹脂流路 ４５ 中空円錐部 ４６ 樹脂流出部 ５０ ニードル弁 ５６ バネ Ｐ 溶融樹脂

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出成形装置の固定盤のノズル挿入孔の
   外周側に取り付けられるブラケット本体と、 前記ブラケット本体に弾性部材を介して常時外側方向へ
   付勢されて前進後退かつ着脱自在に摺動保持された保持
   部材と、 前記保持部材に前後方向の位置調節自在に螺着されて、
   後部に射出装置の吐出ノズル先端と密接する樹脂流入
   部、前部に前記樹脂流入部と連通する樹脂流路及び中空
   円錐部を経て形成された樹脂流出部を備えたノズル本体
   と、 前記ノズル本体の樹脂流出部を射出装置の樹脂圧によっ
   て開閉するニードル弁とからなることを特徴とする射出
   成形装置のバルブ式ノズル装置。