JP2000271564A - 冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方法 - Google Patents

冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方法

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JP2000271564A
JP2000271564A JP11082690A JP8269099A JP2000271564A JP 2000271564 A JP2000271564 A JP 2000271564A JP 11082690 A JP11082690 A JP 11082690A JP 8269099 A JP8269099 A JP 8269099A JP 2000271564 A JP2000271564 A JP 2000271564A
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chemical
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cooling
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Hiroshi Inoue
洋 井上
Atsushi Udagawa
淳 宇田川
Hirohito Higo
裕仁 肥後
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Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 迅速で精度良く循環水中の有効成分濃度の測
定を行い、また、監視して、冷却水系の水処理用薬品の
濃度管理を適正に行う。 【解決手段】 クーリングタワーと熱交換器を有する冷
却水系の水処理用薬品の有効成分として作用するイソチ
アゾロン類やポリカルボン酸類を化学発光法で定量、監
視する。ルテニウム等の遷移金属元素と含窒素芳香族系
配位子との錯体及び/又はセリウム等の希土類元素の硝
酸アンモニウム塩を酸化して遷移金属元素及び/又は希
土類元素の酸化数を増加させ、次いで、得られる酸化体
と循環水の試料水とを接触させて化学発光せしめ、その
発光強度を測定し、イソチアゾロン類やポリカルボン酸
類の濃度を定量する。その定量値に基づいて、殺菌剤や
スライム防除剤等として機能するイソチアゾロン類、ス
ケール防止剤や分散剤や防食剤や凝集剤等として機能す
るポリカルボン酸類等の水処理用薬品の必要量を冷却水
系に添加、補充することにより、冷却水系の水処理用薬
品濃度の管理を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却水系の水処理
用薬品(水処理薬剤、水系添加薬剤)の濃度管理方法に
関し、詳しくは、少なくともクーリングタワーと熱交換
器を有する冷却水系に添加した特定の水処理用薬品を化
学発光法により検出、定量する方法によって、安定的且
つ効率的な水処理用薬品の濃度管理を行う方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】少なくともクーリングタワーと熱交換器
を有する開放系や閉鎖系の冷却水系の水処理には、腐
食、スケール、スライム等の循環水に起因する障害を防
ぐために種々の水処理用薬品が使用されている。上記の
様な障害があると、ポンプ動力の増大、熱交換器の熱伝
達係数の低下、管の閉塞、管や装置等の腐食、循環水が
漏れた時の周辺や製品の汚染、装置内の汚物(スラッ
ジ)の沈積等のトラブルが発生する。一般に、冷却水系
に使用される水処理用薬品には、防食剤、スラッジ分散
剤、スケール防止剤、殺菌剤、スライム防除剤(スライ
ムコントロール剤)等がある。
【0003】これらの各種の水処理用薬品の効果による
適切な水処理を行い、冷却水系中においてこれらの水処
理用薬品の有する効果を持続させるためには、冷却水系
の循環水中の水処理薬品濃度の下限値や最適値が存在
し、そのため、冷却水系の任意の位置、時間等における
これらの水処理用薬品濃度を正確に把握し、適切な濃度
管理を行うことが必要である。
【0004】また、冷却水系では、水溶性ポリマーを水
処理用薬品の少なくとも一成分として用いるのが通常で
ある。かかる水溶性ポリマーの代表例として、ポリカル
ボン酸類があり、スケール防止剤、分散剤、防食剤、洗
浄剤、凝集剤、その他の機能剤として使用されている。
【0005】水処理用薬品の中で、分散剤や防食剤や凝
集剤等として機能する水溶性ポリマーの濃度測定に関し
ては、その水中濃度がかなり低濃度であるためもあって
その測定が困難なものが多く、水溶性ポリマーの種類に
よっては比色法や比濁法又はその他の定量法で直接的に
測定するものもあるが、その濃度測定操作が煩雑であっ
たり長時間を要したり、測定値に実験者による推定や誤
差を含んだり、冷却水系の運転状態の変化に対応した水
処理用薬品の添加量の調整を即時に行うことができない
ため、冷却水処理システムの運転管理上実用的でない場
合が多い。
【0006】そのため、水溶性ポリマー等の水処理用薬
品それ自身の濃度の測定が不可能あるいは困難な場合の
濃度管理方法として、簡単に濃度測定できる物質をトレ
ーサーとして用いることが広く行われている。つまり、
水処理用薬品にトレーサー物質を添加、混合し、循環水
中のトレーサー物質濃度を測定し、間接的に水処理用薬
品濃度を測定するという方法(例えば、臭素トレーサー
法、リチウムトレーサー法、蛍光トレーサー法、色素ト
レーサー法)が行われている。
【0007】また、一有効薬品成分である水溶性ポリマ
ーにトレーサー物質を化合させるか、その重合時にトレ
ーサー物質を共重合させて、そのポリマー分子に化学結
合したトレーサー物質の循環水中濃度を測定し、直接的
に水処理用薬品濃度を測定する方法も提案されている。
例えば、水処理用薬品としては非有効成分である蛍光物
質(ナフタレンスルホン酸塩類等の蛍光トレーサー)で
水溶性ポリマーを蛍光標識化し、この蛍光物質を励起波
長で励起させ、その蛍光波長での蛍光強度を測定して水
処理用薬品の濃度管理を行う方法がある(特開平4−2
33918号公報、特開平4−326978号公報、特
開平5−163591号公報等)。
【0008】また、別の方法として、免疫検定法を用
い、ポリカルボン酸等の水溶性ポリマーを比較的簡便に
検出する方法が提案されている(特開平9−21819
9号公報)。
【0009】また、冷却水系で殺菌剤やスライム防除剤
として種々の薬剤が用いられているが、代表例としてイ
ソチアゾロン類がある。その循環水中濃度がかなり低濃
度であるためもあって、その濃度を簡便に測定する方法
も無く、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用
いた煩雑で多くの時間とコストが掛かる方法により検出
を行っている。そこで、免疫検定法を用い、イソチアゾ
ロン類を比較的簡便に検出する方法も提案されている
(特開平7−294522号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】水溶性ポリマーの濃度
を測定する従来方法のうち、比色法、比濁法等は、現場
での測定が困難であったり、測定時間が長かったり、測
定に大掛かりな装置が必要であったりなどの理由で、循
環水から試料水をサンプリングしてから測定結果を得る
までに長時間を要するという欠点がある。そのため、フ
ィードバック情報の提供は、循環水から試料水をサンプ
リングした時点から長時間経過後になり、その長時間の
間に水処理用薬品が消費された量はそのフィードバック
情報データには含まれず、そのデータは殆ど価値が無い
場合も生じる。
【0011】また、水処理用薬品にトレーサー物質を添
加、混合する方法は、フィードバック情報の提供は瞬時
に行えるが、循環水中の水処理用薬品としての有効成分
についてのフィードバック情報に基づいてその濃度管理
を行うものとは言えず、水処理用薬品の有効成分が消費
された場合を想定していないので、実際の有効成分濃度
と食い違う場合があるという欠点がある。
【0012】ポリカルボン酸類等の水溶性ポリマーの分
子に蛍光トレーサー物質(蛍光プローブ)を化学結合さ
せる方法は、蛍光分析感度に劣るため、循環水中の微量
の水溶性ポリマーを検出するには感度が不足し、蛍光分
析法が選択性に劣るため、循環水中の他成分により水溶
性ポリマーの検出が妨害されるだけでなく、分散剤や防
食剤や凝集剤等の機能に関わる成分ではない蛍光トレー
サー物質を水溶性ポリマーと更に反応させることになる
ので、水溶性ポリマー系水処理用薬品製造の工程数が増
える分だけコスト高となり、また、分散剤や防食剤や凝
集剤等の水溶性ポリマー本来の機能自体が低下したり消
失するする可能性もある。
【0013】また、免疫検定法を用い、ポリカルボン酸
等の水溶性ポリマーを検出する方法は、感度的には問題
が無いものの測定に要するコストが高く、連続流れ分析
法(FIA: Flow Injection Analysis)に代表される
全自動連続測定への適用が困難である等の欠点を有して
いる。
【0014】循環水中で殺菌剤やスライム防止剤として
機能するイソチアゾロン類についても、HPLC法の様
に、煩雑で多くの時間が掛かり、測定コストも掛かる方
法でその濃度管理を行うしかなく、適切な濃度管理に支
障をきたしている。イソチアゾロン類の免疫検定法は、
測定に要するコストが高く、また、連続流れ分析法(F
IA: Flow Injection Analysis)に代表される全自動
連続測定による濃度管理は困難である。
【0015】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、冷却水系の循環水中の有効成分濃度の測定を迅速且
つ精度良く行うことができ、また、監視することもでき
る水処理用薬品濃度の管理方法を提供することを目的と
する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、冷却
水系に添加する水処理用薬品の特定の有効成分自体の循
環水中濃度を化学発光法を用いて定量することができる
という知見を得、この知見に基づいて冷却水系の水処理
用薬品の濃度管理を行うことができることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0017】即ち、本発明は、少なくともクーリングタ
ワーと熱交換器を有する冷却水系において、循環水中に
存在する水処理用薬品濃度を化学発光法により測定する
工程を含むことを特徴とする冷却水系の水処理用薬品の
濃度管理方法を提供するものである。本発明の方法は、
化学発光法を利用して冷却水系の水処理用薬品の濃度管
理が行える限り、如何なる態様により実施することもで
きるが、イソチアゾロン類及び/又はポリカルボン酸類
を添加する冷却水系では、これらを検出対象薬品として
水処理用薬品の濃度管理を行うことができる。この場
合、好ましい代表的な化学発光法は、遷移金属元素と含
窒素芳香族系配位子との錯体及び/又は希土類元素の硝
酸アンモニウム塩を酸化して遷移金属元素及び/又は希
土類元素の酸化数を増加させ、次いで、得られる酸化体
とイソチアゾロン類及び/又はポリカルボン酸類を含む
循環水とを接触させて化学発光せしめる方法である。な
お、イソチアゾロン類とポリカルボン酸類の両方が添加
されている冷却水系では、その試料水の化学発光強度
(以下、「発光強度」と言う)は、イソチアゾロン類に
よる発光強度とポリカルボン酸類による発光強度の和と
して現れるが、両者の和を測定しても水処理用薬品の濃
度管理を行うことが可能である。
【0018】本発明では、例えば、化学発光法による検
出対象の水処理用薬品の測定濃度値に基づいて、水処理
用薬品の必要量を冷却水系に添加、補充することによ
り、適正な冷却水系の水処理用薬品の濃度管理を行うこ
とができる。そのために、例えば、冷却水系中の水処理
用薬品中に混合されたそれ自体有効成分であるイソチア
ゾロン類やポリカルボン酸類等の化学発光法による検出
対象となり得る薬品について、冷却水系の循環水中にお
ける検出対象薬品の濃度を化学発光法で監視することに
より、水処理用薬品の濃度がスケール防止や金属腐食防
止あるいは殺菌やスライム防除等の効果を発揮するに充
分な濃度を循環水中で維持できるように、例えば、必要
に応じて水処理用薬品の必要量を冷却水系に添加、補充
する制御法を採ることもできる。この場合、検出対象薬
品以外の水処理用薬品成分の添加補充量を制御してその
濃度管理を行う場合には、検出対象薬品を一種のトレー
サーとして利用することとなり、例えば、検出対象薬品
の添加補充量と比例する量の検出対象薬品以外の各水処
理用薬品成分を添加、補充する。なお、水処理用薬品を
検出対象薬品を始めとする各薬品成分を配合した水処理
用薬品配合品の形とすることもでき、この場合は、検出
対象薬品以外の水処理用薬品の添加補充量の計算を省略
することができる。ここで、ポリカルボン酸類を検出対
象薬品とする場合、前述の蛍光トレーサー物質と化学結
合させたものとは違うので、スケール防止剤や分散剤や
防食剤や凝集剤等としての効果を減少させたり、水溶性
ポリマー系水処理用薬品製造の余分な工程を踏むことに
よる製造コストの増加はない。本発明の方法によれば、
循環水中の水処理用薬品の有効成分の濃度を直接的に迅
速に精度良く測定し、確認することができるので、水処
理用薬品の濃度管理をより適正に容易に行うことが可能
となる。
【0019】本発明においては、冷却水系からサンプリ
ングした循環水の試料水を化学発光法による測定に供
し、検出対象薬品の濃度を求める。より具体的には、例
えば、試料水の発光強度の測定値を、予め作成しておい
た検量線と対比することにより検出対象薬品の濃度を算
出する。なお、実試料水自体の発光強度を測定するのが
一般的であるが、必要に応じて実試料水の希釈液、濃縮
液又は精製液の発光強度を測定して、検出対象薬品の濃
度を算出することもできる。
【0020】本発明で検出用試薬(発光物質)として用
いることができる遷移金属元素と含窒素芳香族系配位子
との錯体における遷移金属元素としては、例えば、ルテ
ニウム、イリジウム、クロム、コバルト、鉄、ロジウ
ム、オスミウム等が挙げられる。これらのうち、特に好
ましい遷移金属元素は、低毒性や高発光効率などの点で
ルテニウムとオスミウムである。一方、含窒素芳香族系
配位子としては、例えば、ビピリジン、ビピラジン、フ
ェナントロリン及びこれらの誘導体が挙げられる。ここ
で言う誘導体とは、ビピリジン、ビピラジン、フェナン
トロリン中のピリジン環又はピラジン環内の炭素原子に
直接結合した水素原子の少なくとも一つが他の置換基に
よって置換されているものを指す。このような置換基の
例としては、メチル基、フェニル基、ビニル基、カルボ
キシル基、カルボン酸エステル基、硫酸基、硫酸アミド
基、水酸基、アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ピ
リジニウム基等が挙げられる。含窒素芳香族系配位子の
若干の具体例としては、2,2’−ビピリジン、2,
2’,5,5’−ビピラジン、1,10−フェナントロ
リン、バソフェナントロリン、4,4’−ジカルボキシ
−2,2’−ビピリジン及びその塩、4,4’−ジカル
ボキシ−2,2’−ビピリジンのモノ−及びジ−アルキ
ルエステル及びそれらの塩、4,4’−ジカルボキシ−
2,2’−ビピリジンのモノ−及びジ−N−ヒドロキシ
スクシンイミド及びそれらの塩、4,4’−ジスルホン
酸−2,2’−ビピリジン及びその塩、4−メチル−
4’−ビニル−2,2’−ビピリジン及びその単独重合
体と共重合体、4−クロロメチル−4’−メチル−2,
2’−ビピリジン、4,4’−ジ(クロロメチル)−
2,2’−ビピリジン、バソフェナントロリンジスルホ
ン酸及びその塩等が挙げられる。これらのうち、特に好
ましい含窒素芳香族系配位子は、2,2’−ビピリジン
と1,10−フェナントロリンである。
【0021】また、本発明で検出用試薬(発光物質)と
して用いることができる希土類元素の硝酸アンモニウム
塩としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、
セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サ
マリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、
ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、
イッテルビウム、ルテチウムの硝酸アンモニウム塩が挙
げられる。これらのうち、特に好ましい化合物は、硝酸
二アンモニウムセリウム(III) である。
【0022】本発明で利用される化学発光の発光機構に
ついて、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム
(II)錯体を例として説明する。ルテニウムが2価のト
リス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)錯体
は、酸化を受けるとルテニウムが3価のトリス(2,
2’−ビピリジル)ルテニウム(III) 錯体となり、これ
がイソチアゾロン類及び/又はポリカルボン酸類により
還元され、その化学反応のエネルギーにより、励起状態
の2価錯体を生成し、これが基底状態の2価錯体となる
時に過剰のエネルギーを発光として放出するものと考え
られる。また、セリウムの硝酸アンモニウム塩の場合
は、3価のセリウム(III) と4価のセリウム(IV)の間
の酸化と還元が利用されるのを除いて、上記と同様であ
る。この時の発光波長は、ルテニウムの場合には610
〜620nm近辺であり、セリウムの場合には550n
m近辺である。以下、遷移金属錯体の代表例としてルテ
ニウム錯体、希土類元素の硝酸アンモニウム塩の代表例
としてセリウムの硝酸アンモニウム塩について主に説明
するが、本発明がこれらに限定されないことは勿論であ
る。なお、ルテニウム錯体とセリウムの硝酸アンモニウ
ム塩との併用により感度の増大(増感作用)が期待さ
れ、同様の効果は他の複数の発光物質の組み合わせでも
期待される。
【0023】上述のことから明らかな様に、本発明の方
法においてイソチアゾロン類及び/又はポリカルボン酸
類を検出しようとする場合、ルテニウムやセリウムを酸
化により酸化数(価数)の増加した状態にしてやること
が必要である。このルテニウムやセリウムの酸化方法に
は幾つかの方法が知られている。例えば、ルテニウムを
酸化剤を用いて酸化する方法〔酸化剤として二酸化鉛、
酸化ビスマス、酸化金などの金属酸化物を用い、この金
属酸化物をカラムに充填し、ルテニウム錯体をカラムに
通すことで酸化する方法(特開平5−302895号公
報)、酸化剤としてペルオキソ二硫酸カリウム等を水に
溶解して用い、この酸化剤とルテニウム錯体を共存させ
た状態で光を照射して光化学的に酸化する方法(山崎重
雄等、J.High Resol. Chromatogr., 21, 315〜316, 1
998)、酸化剤として二酸化鉛/硫酸水溶液を用いる方
法など〕、電極上で電気化学的にルテニウムを酸化する
方法(特開平5−52755号公報)等が挙げられる。
本発明においては、ルテニウムやセリウムの酸化方法に
特に制限はなく、いずれの酸化方法を用いても良い。た
だし、検出用試薬として硝酸二アンモニウムセリウム(I
II) ではなく、比較的安定な硝酸二アンモニウムセリウ
ム(IV)を最初から用いることもでき、この場合には酸
化工程は不要である。
【0024】このように、ルテニウム錯体やセリウムの
硝酸アンモニウム塩が発光するためには、励起状態の活
性種を生成してやることが重要であり、イソチアゾロン
類及び/又はポリカルボン酸類は効率的に励起状態の活
性種形成に関与するため、高感度での検出が可能とな
る。一方、多くの有機系還元性物質や無機塩では、例え
ば、ルテニウム錯体やセリウムの硝酸アンモニウム塩と
反応はするものの励起状態の活性種(錯体等)が形成さ
れないため、発光は示さない。従って、本発明において
用いることができる化学発光法は、高感度且つ選択的に
イソチアゾロン類及び/又はポリカルボン酸類を検出で
き、冷却水系の水処理用薬品の濃度管理を効果的に行う
ことができる。
【0025】また、上記の酸化により得られるトリス
(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(III) 等は、含水
溶媒中では不安定なため、調製後、速やかに試料水中の
イソチアゾロン類及び/又はポリカルボン酸類と化学発
光反応させる必要がある。
【0026】本発明で検出対象薬品となり得るイソチア
ゾロン類は、「化1」の式で示される構造を有する化合
物である。
【0027】
【化1】
【0028】〔式において、R、Rは、独立して水
素、ハロゲン又は炭素数1〜4を有するアルキル基であ
るか、或いは、一緒になって飽和、不飽和もしくは芳香
族の5又は6員環を形成するものであり、Yは、水素、
炭素数1〜18を有する非置換又はハロゲン置換アルキ
ル基、炭素数2〜8を有する非置換又はハロゲン置換ア
ルケニル基、炭素数2〜8を有する非置換又はハロゲン
置換アルキニル基、炭素数3〜8を有する非置換又はハ
ロゲン置換シクロアルキル基、炭素数10までの非置
換、ハロゲン置換、アルキル(アルキル基の炭素数は1
〜4である)置換又はアルコキシ(アルコキシ基の炭素
数は1〜4である)置換アラルキル基、炭素数10まで
の非置換、ハロゲン置換、アルキル(アルキル基の炭素
数は1〜4である)置換又はアルコキシ(アルコキシ基
の炭素数は1〜4である)置換アリール基より選ばれる
基である。〕
【0029】置換基Yの若干の具体例としては、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、へキシル、オクチル、
シクロへキシル、4−メトキシフェニル、4−クロロフ
ェニル、3,4−ジクロロフェニル、ベンジル、4−メ
トキシベンジル、4−クロロベンジル、フェネチル、4
−フェニルブチル、クロロメチル、クロロプロピル、水
素等が挙げられる。
【0030】また、本発明で検出対象薬品となり得るイ
ソチアゾロン類の若干の具体例としては、2−メチル−
3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イ
ソチアゾロン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−
3−イソチアゾロン等が挙げられる。これらのイソチア
ゾロン類は、単独で使用しても良いし、二種類以上を混
合して使用しても良い。
【0031】本発明で検出対象薬品となり得るポリカル
ボン酸類は、カルボン酸基及び不飽和二重結合を有する
重合性単量体からなる単独重合体や共重合体及びそれら
の塩である。このような重合性単量体の若干の例として
は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン
酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、
シトラコン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸
及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ア
ンモニウム塩や、マレイン酸無水物、1,2,3,6−
テトラヒドロフタル酸無水物、3,6−エポキシ−1,
2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボ
ルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ〔2.
2.2〕−5−オクテン−2,3−ジカルボン酸無水
物、3−メチル−1,2,6−テトラヒドロフタル酸無
水物、2−メチル−1,3,6−テトラヒドロフタル酸
無水物等が挙げられる。これらの重合性単量体のうち、
特に好ましいのは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸無水物である。
【0032】なお、本発明で検出対象薬品となり得るポ
リカルボン酸類は、重合体が水溶性である限り、カルボ
ン酸基は含まないが不飽和二重結合を有する重合性単量
体を80重量%未満の量で含んでいても良い。このよう
な重合性単量体の若干の例としては、アクリル酸又はメ
タクリル酸の炭素数1〜4のアルキルとのエステル(具
体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチル
メタクリレート等)、アクリル酸又はメタクリル酸のヒ
ドロキシアルキルエステル(具体例としては、ヒドロキ
シエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート等)、その他のアクリル酸又はメタ
クリル酸のエステル(具体例としては、アクリル酸2−
スルホエチル、アクリル酸3−スルホプロピル、アクリ
ル酸2−スルファートエチル、2−N,N−ジメチルア
ミノエチルアクリレート、メタクリル酸2−スルホエチ
ル、メタクリル酸3−スルホプロピル、メタクリル酸2
−スルファートエチル、メタクリル酸ホスホエチル、エ
チレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート等)、無置換および置換(メタ)
アクリルアミド(具体例としては、アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−
メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ド、アクリルアミドグリコール酸等)、(メタ)アクリ
ロニトリル(具体例としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル)、スルホン酸基含有単量体(具体例と
しては、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p−ス
チレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸、1−アリルオ
キシ−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸等)、ホスホ
ン酸基含有単量体(具体例としては、アリルホスホン
酸、ビニルホスホン酸等)、その他の単量体(具体例と
しては、アリルアルコール、2−ビニルピリジン、4−
ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホ
ルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミ
ダゾール、N−ビニルイミダゾリン、2−ビニルイミダ
ゾール、2−ビニルイミダゾリン、N−アクリロイルモ
ルホリン、アクロレイン、ジアリルフタレート、酢酸ビ
ニル、スチレン等)、並びに、上記単量体の中で塩を形
成し得る単量体は、それらのアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0033】本発明で検出対象となり得るポリカルボン
酸類の分子量は、特に制限されるものではないが、50
0〜20000000の範囲のポリマーが検出可能であ
る。また、これらのポリカルボン酸類は、一種類を単独
で用いても良いし、二種類以上を混合して用いても良
い。
【0034】本発明の方法においてイソチアゾロン類及
び/又はポリカルボン酸類を検出する際の測定条件とし
ては、特に制限はなく、測定温度、pH、試料水の濃度
等は任意に設定することができる。ただし、イソチアゾ
ロン類及び/又はポリカルボン酸類の検出感度は、測定
温度、pHの影響を受けるため、これらに関しては一定
した測定条件で測定を行うのが望ましい。
【0035】冷却水系への添加対象である水処理用薬品
としては、例えば、ポリカルボン酸類を始めとする水溶
性ポリマー等の分散剤(防食剤や凝集剤等としても機能
するものあり)、ホスホン酸類、燐酸塩、珪酸塩、亜硝
酸塩、タングステン酸塩、硼酸、亜鉛塩、芳香族カルボ
ン酸塩、亜硫酸塩、ヒドラジン、タンニン、リグニン、
リグニンスルホン酸塩、アスコルビン酸ナトリウム、エ
ルソルビン酸ナトリウム、グルコース等の防食剤、ベン
ゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベン
ゾチアゾール等のアゾール系銅防食剤、アンモニウム系
化合物、アミン系化合物、塩素系化合物、臭素系化合
物、イソチアゾロン類を始めとする有機窒素硫黄系化合
物等の殺菌・殺藻剤を挙げることができる。本発明方法
において検出対象薬品となり得るイソチアゾロン類やポ
リカルボン酸類と他の水処理用薬品とを併用したり、配
合して使用することは何ら差し支えなく、冷却水系の循
環水中の上記検出対象薬品の濃度を監視することにより
これらの水処理用薬品の添加補充量を制御して冷却水系
の水処理用薬品の濃度管理を行うこともできる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を説明するが、本発明はこのような実施の形態に限定
されるものではない。
【0037】本発明の冷却水系の水処理用薬品の濃度管
理方法において、検出対象薬品の検量線を予め作成して
おく。この様な検量線は、検出対象薬品を含まないブラ
ンク水及び異なる既知検出対象薬品濃度の幾つかの対照
水の発光強度の測定を行って作成する。なお、ブランク
水としては、検出対象薬品のみを含まず他の成分(例え
ば、不純物成分や他の水処理用薬品)は同じブランク水
を用いるのが測定精度の点では好ましいことは勿論であ
る。
【0038】検出対象薬品であり得るイソチアゾロン類
やポリカルボン酸類は、通常の循環水そのままを用いて
化学発光法により充分な感度で検出できるが、必要に応
じて希釈、濃縮、または、精製等の操作を行ってから化
学発光法による検出に供してもよい。例えば、循環水が
イソチアゾロン類やポリカルボン酸類を両方含む場合に
これらを別々に検出するための精製操作の一例として
は、循環水の試料水に対して、必要に応じて試料水のp
H調整(例えば、pH2〜3へ調整)、吸着剤ゲルへの
ポリカルボン酸類の選択的吸着、溶離等の処理操作を行
い、得られるそれぞれの検出対象薬品含有溶出液(精製
液)の発光強度を測定し、測定発光強度を最初の冷却水
系の検出対象薬品濃度に換算し、それらの定量を行うこ
ともできる(米国特許第4514504号参照)。この
場合、分析精度や分析安定性を高めると共に、冷却水系
の循環水中の検出対象薬品濃度が低い時には上記処理操
作を通じて検出対象薬品の濃縮を行うことができる。た
だし、この操作は煩雑で、時間と労力を要する。しか
し、この方法を実施する場合も本発明の実施であること
に変わりない。
【0039】次に、本発明において好ましい化学発光法
を実施する装置について説明する。装置は、基本的にキ
ャリア液を送液するポンプ、循環水自体又はその希釈液
や精製液等のイソチアゾロン類やポリカルボン酸類を含
む試料水をキャリア液中に注入するインジェクター、ル
テニウム錯体及び/又はセリウムの硝酸アンモニウム塩
等の検出用試薬を含む溶液を送液するポンプ、ルテニウ
ム錯体及び/又はセリウムの硝酸アンモニウム塩等の検
出用試薬を酸化する酸化反応器、キャリア液と試料水と
ルテニウム錯体及び/又はセリウムの硝酸アンモニウム
塩等の検出用試薬の溶液を混合する混合器、発光を検出
する検出器、検出器で得られたデータを記録するデータ
プロセッサーで構成される。ただし、場合によっては、
試料水そのものを連続的に供給し、キャリア液を用いな
いこともあるため、そのような系ではインジェクターは
不要となる。また、混合器としては、インラインミキサ
ー、混合コイル等でもよく、混合後の混合物は直ちに検
出に供されるのが望まれるので、検出器に混合器を付設
したり、検出器中で攪拌混合や合流混合する様な構成の
検出器が混合器を兼ねるものでもよい。
【0040】上記の酸化反応器としては、ルテニウム及
び/又はセリウムを酸化させる酸化方式により異なる反
応器が用いられる。例えば、酸化剤として二酸化鉛、酸
化ビスマス、酸化金などの金属酸化物を用いる場合に
は、この金属酸化物をカラムに充填させたものを反応器
として用いる。また、酸化剤としてペルオキソ二硫酸カ
リウム等を用いる場合には、この酸化剤とルテニウム錯
体及び/又はセリウムの硝酸アンモニウム塩を共存させ
た状態で光を照射して光化学的に酸化させることが可能
な装置を反応器として用いる。一方、電極上で電気化学
的にルテニウム及び/又はセリウムを酸化する方法を採
用する場合には、安定化直流電源を備えた電解酸化装置
を反応器として用いる。ただし、検出用試薬として硝酸
二アンモニウムセリウム(IV)を用いる場合には酸化反
応器は不要である。
【0041】図1は、このような装置の一例を示すフロ
ー図である。ルテニウム錯体及び/又はセリウムの硝酸
アンモニウム塩を含む溶液(図1では、この溶液を「R
u錯体溶液」で代表している)とキャリア液は、それぞ
れポンプ1、2により供給される。なお、酸化反応器と
して光化学的な酸化反応器を用いる場合には、ルテニウ
ム錯体及び/又はセリウムの硝酸アンモニウム塩を含む
溶液に、ペルオキソ二硫酸カリウム等の酸化剤を予め添
加しておくのが望ましい。ルテニウム錯体及び/又はセ
リウムの硝酸アンモニウム塩を含む溶液は、酸化反応器
4で連続的に酸化されて混合器付検出器5に供給され
る。一方、キャリア液には、インジェクター3から試料
水の一定量が注入され、混合器付検出器5に供給され
る。混合器付検出器5ではキャリア液と試料水とルテニ
ウム錯体及び/又はセリウムの硝酸アンモニウム塩の溶
液が混合されて反応し、発光が起こる。この発光が検出
器5で検出され、発光強度がデータプロセッサー6に記
録される。検出器5には、光電子倍増管、アバランシェ
フォトダイオード、イメージインテンシファイヤー等を
用いることができる。
【0042】5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾ
ロンと2−メチル−3−イソチアゾロンの8:2(重量
比率)の混合物を検出対象薬品として用いた場合の検量
線の例を図2と図3に示す。図2の検量線は、上記混合
物を純水で希釈して濃度を変えたモデル試料水を用いた
以外は下記実施例1と同じ条件下で各モデル試料水の発
光強度を測定し、作成した。図3の検量線は、実施例1
で検出用試薬(発光物質)として用いたトリス(2,
2’−ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)の代わり
に硝酸二アンモニウムセリウム(III) を用い、これを1
00ミリモル/L(リットル)濃度の硫酸水溶液に溶解
させたことを除いて図2の検量線を作成した時と同じ条
件下で各モデル試料水の発光強度を測定し、作成した。
【0043】また、アクリル酸単独重合体(分子量45
00、以下、ポリアクリル酸「A−1」と略す)、アク
リル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸共重合体(分子量5000、「A−2」と略
す)、アクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸/t−ブチルアクリルアミド共重合体
(分子量4500、「A−3」と略す)、ポリマレイン
酸(分子量800、「B−1」と略す)を検出対象薬品
として用いた場合の検量線の例を図4に示す。図4の検
量線は、各検出対象薬品を純水で希釈して濃度を変えた
モデル試料水を用いた以外は下記実施例2と同じ条件下
で各モデル試料水の発光強度を測定し、作成した。ま
た、図5の検量線は、検出対象薬品としてポリアクリル
酸「A−1」のみを用い、実施例1で検出用試薬(発光
物質)として用いたトリス(2,2’−ビピリジル)ジ
クロロルテニウム(II)の代わりに硝酸二アンモニウム
セリウム(III) を用い、これを100ミリモル/L(リ
ットル)濃度の硫酸水溶液に溶解させたことを除いて図
4の検量線を作成した時と同じ条件下で各モデル試料水
の発光強度を測定し、作成した。
【0044】以上述べた様に、本発明による検出対象薬
品濃度測定手順は、通常、簡便で、測定値も再現性良く
迅速に得られるために、現場での水処理用薬品の濃度管
理を簡単に行うことができる。つまり、水処理用薬品の
濃度の管理は、化学発光法による検出対象薬品濃度の測
定値に基づいて不足分の水処理用薬品をバッチ投入する
か、水処理用薬品の注入ポンプのストロークを調整し、
例えば、クーリングタワーの下部水槽に連続的に注入す
る。また、オンライン装置として化学発光分析機器(例
えば、図1の装置)を設置し、該分析機器からの出力信
号を変換部で操作出力に変換し、水処理用薬品注入ポン
プを作動させることにより、水処理用薬品の濃度を自動
制御することもできる。こうして、水処理用薬品が効果
を発揮する下限濃度(限界濃度)以上、好ましくはほぼ
最適濃度を循環水中で保持する様にする。水処理薬品の
投与の態様は、冷却水系の長期運転停止後の運転開始時
に多量の水処理用薬品(特に防食剤)を投与する「基礎
投入」と冷却水系の通常運転時に系内での薬品の消耗、
飛散や強制ブローによる循環水中の薬品濃度の低下を補
う「保持投入」とがあるが、何れの場合も本発明を適用
できる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は実施例に限定されるものではな
い。
【0046】化学発光法による水処理用薬品の定量は、
図1に示した装置を用いて行った。図1中の酸化反応器
としては、電解酸化装置(コメット社製、コメット20
00)を用いた。
【0047】水処理用薬品としては、実施例1では5−
クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロンと2−メチル
−3−イソチアゾロンの8:2(重量比率)の混合物を
用い、実施例2ではポリアクリル酸「A−1」を用い
た。
【0048】クーリングタワーと熱交換器を有する開放
循環冷却水系のパイロットプラントから循環水をサンプ
リングし、その試料水をインジェクター3から100μ
L(マイクロリットル)ずつキャリア液中に注入した。
一方、ルテニウム錯体溶液としては、トリス(2,2’
−ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)を10ミリモ
ル/L(リットル、以下同様)濃度の硫酸水溶液に溶解
させ、0.3ミリモル/Lの濃度に調製したものを用い
た。このルテニウム錯体溶液を0.3ml/分で送液し
て酸化反応器(電解酸化装置)4に供給し、100μA
で連続的に定電流電解してRu(II)をRu(III) に酸
化した。また、キャリア液としては純水を用い、0.5
ml/分で送液した。
【0049】実施例1 5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロンと2−メ
チル−3−イソチアゾロンの8:2(重量比率)の混合
物及びイソチアゾロンの安定剤としてのブロモニトロプ
ロパノールを、循環水中の初期濃度がそれぞれ0.8p
pm及び1.0ppmとなる様に添加し、下記の条件で
上記冷却水系のパイロットプラントを運転した。 水質:戸田工業用水 保有水量:2トン/分 循環水量:1トン 熱交換器の冷却水入口水温:25℃ 熱交換器の冷却水出口水温:30℃ なお、蒸発水量と飛散水量に相当する量の戸田工業用水
を補給して、循環水の濃縮倍数を約5倍に維持した。
【0050】循環水を定期的にサンプリングし、図2の
検量線を用いた化学発光法及び高速液体クロマトグラフ
ィーにより別々にイソチアゾロン濃度を測定した。表1
に経過日数に対する測定濃度値を示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1の結果から明らかな様に、化学発光法
により求めたイソチアゾロン濃度は高速液体クロマトグ
ラフィーにより求めたイソチアゾロン濃度と良く一致し
ており、本発明の方法によれば循環水中のイソチアゾロ
ンの濃度管理が簡便に達成できることが確認できた。
【0053】実施例2 ポリアクリル酸「A−1」(平均分子量:4500)
を、循環水中の初期濃度が10ppmとなる様に添加
し、下記の条件で上記冷却水系のパイロットプラントを
運転した。 水質:戸田工業用水 保有水量:2トン 循環水量:1トン/分 熱交換器の冷却水入口水温:25℃ 熱交換器の冷却水出口水温:30℃ なお、蒸発水量と飛散水量に相当する量の戸田工業用水
を補給して、循環水の濃縮倍数を約5倍に維持した。
【0054】循環水を定期的にサンプリングし、図4の
検量線を用いた化学発光法及び鉄−チオシアネート比色
法(特願平10−148615号参照)により別々にポ
リアクリル酸濃度を測定した。表2に経過日数に対する
測定濃度値を示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2の結果から明らかな様に、化学発光法
により求めたポリアクリル酸濃度は鉄−チオシアネート
比色法により求めたポリアクリル酸濃度と良く一致して
おり、本発明の方法によれば循環水中のポリアクリル酸
の濃度管理が簡便に達成できることが確認できた。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、水処理用薬品の冷却水
系における濃度管理方法において、スケール防止剤や分
散剤や防食剤や凝集剤等として機能するポリカルボン酸
類や殺菌剤やスライム防除剤等として機能するイソチア
ゾロン類等のそれ自体水処理用薬品の有効成分である検
出対象薬品について、化学発光法により有効成分濃度を
直接的に容易且つ迅速にしかも精度良く測定することが
できるので、得られた有効成分濃度値に基づいて、冷却
水系のスケール防止や金属腐食防止等、並びに、殺菌や
スライム防除等のための水処理用薬品の適正な濃度管理
を行うことが可能となり、水処理用薬品濃度をほぼ最適
有効濃度に維持することも可能で、スケール防止効果、
金属腐食抑制効果、殺菌効果、スライム防除効果等の水
処理用薬品の効果を良好に発揮させつつ冷却水系の運転
を安定的に経済的且つ合理的に実施することができる。
また、本発明で用いる化学発光法による検出対象薬品の
検出は、応答速度が早い(発光反応に要する時間が短
い)ため、特に最近注目されている連続流れ分析法(F
IA: Flow Injection Analysis)に代表される全自動
連続測定系を組み込んだ冷却水系の水処理用薬品の濃度
管理方法への展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明において化学発光法を実施する
ための装置の一例を示すフロー図である。
【図2】図2は、イソチアゾロン類の濃度と発光強度と
の関係を示す検量線の一例を表すグラフ図である。
【図3】図3は、イソチアゾロン類の濃度と発光強度と
の関係を示す検量線の他の一例を表すグラフ図である。
【図4】図4は、ポリカルボン酸類の濃度と発光強度と
の関係を示す検量線の一例を表すグラフ図である。
【図5】図5は、ポリカルボン酸類の濃度と発光強度と
の関係を示す検量線の他の一例を表すグラフ図である。
【符号の説明】
1、2 ポンプ 3 インジェクター 4 酸化反応器 5 検出器 6 データプロセッサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 532 C02F 1/50 532J 5/00 610 5/00 610G G01N 21/76 G01N 21/76 (72)発明者 肥後 裕仁 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 Fターム(参考) 2G054 AA02 AB10 CA30 CE01 CE10 EA01 FA06 FA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともクーリングタワーと熱交換器
    を有する冷却水系において、循環水中に存在する水処理
    用薬品の濃度を化学発光法により測定する工程を含むこ
    とを特徴とする冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方
    法。
  2. 【請求項2】 前記水処理用薬品が、イソチアゾロン類
    及び/又はポリカルボン酸類であることを特徴とする請
    求項1に記載の冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記化学発光法が、遷移金属元素と含窒
    素芳香族系配位子との錯体及び/又は希土類元素の硝酸
    アンモニウム塩を酸化して遷移金属元素及び/又は希土
    類元素の酸化数を増加させ、次いで、得られる酸化体と
    イソチアゾロン類及び/又はポリカルボン酸類を含む循
    環水とを接触させて化学発光せしめる方法であることを
    特徴とする請求項2に記載の冷却水系の水処理用薬品の
    濃度管理方法。
  4. 【請求項4】 前記水処理用薬品の測定濃度値に基づい
    て、水処理用薬品の必要量を前記冷却水系に添加、補充
    する工程を更に含むことを特徴とする請求項1から3の
    いずれかに記載の冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方
    法。
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