JP2002214178A - 水処理用薬品の濃度測定および管理方法と装置 - Google Patents

水処理用薬品の濃度測定および管理方法と装置

Info

Publication number
JP2002214178A
JP2002214178A JP2001012820A JP2001012820A JP2002214178A JP 2002214178 A JP2002214178 A JP 2002214178A JP 2001012820 A JP2001012820 A JP 2001012820A JP 2001012820 A JP2001012820 A JP 2001012820A JP 2002214178 A JP2002214178 A JP 2002214178A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water treatment
sample
concentration
chemical
electric conductivity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001012820A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002214178A5 (ja
Inventor
Atsushi Udagawa
淳 宇田川
Hiroshi Inoue
洋 井上
Hirohito Higo
裕仁 肥後
Toshiharu Wake
敏治 和気
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Organo Corp, Japan Organo Co Ltd filed Critical Organo Corp
Priority to JP2001012820A priority Critical patent/JP2002214178A/ja
Publication of JP2002214178A publication Critical patent/JP2002214178A/ja
Publication of JP2002214178A5 publication Critical patent/JP2002214178A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/30Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies
    • Y02W10/37Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies using solar energy

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水処理系の水中の有効成分濃度の測定を迅速
且つ精度良く行うことができ、また、監視することもで
きる、水処理用薬品の濃度測定方法および濃度管理方法
とそれらの装置を提供する。 【解決手段】 水処理系における水処理用薬品の濃度を
測定するに際し、水処理用薬品を含む試料を酸化し、試
料の酸化前の電気伝導度と酸化後の電気伝導度との差分
を、少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セル
を前記酸化前の位置と酸化後の位置とに配置し、両電気
伝導度測定セルからの検出信号自身の差分を両電気伝導
度測定セルの位置間の試料の電気伝導度の差分として出
力する差伝導度計を用いて検出することにより、水処理
用薬品の酸化分解によって生じた電気伝導率増加量を測
定し、該電気伝導度増加量から試料中の水処理用薬品の
濃度を定量することを特徴とする、水処理用薬品の濃度
測定方法、および濃度管理方法とそれらの装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水処理系における
水処理用薬品(水処理薬剤、水系添加薬剤)の濃度測定
方法および濃度管理方法とそれらの装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水処理系、例えば、少なくともクーリン
グタワーと熱交換器を有する開放系や閉鎖系の冷却水系
の水処理には、腐食、スケール、スライム等の循環水に
起因する障害を防ぐために種々の水処理用薬品が使用さ
れている。上記の様な障害があると、ポンプ動力の増
大、熱交換器の熱伝達係数の低下、管の閉塞、管や装置
等の腐食、循環水が漏れた時の周辺や製品の汚染、装置
内の汚物(スラッジ)の沈積等のトラブルが発生する。
一般に、冷却水系に使用される水処理用薬品には、防食
剤、スラッジ分散剤、スケール防止剤、殺菌剤、スライ
ム防止剤(スライムコントロール剤)等がある。
【0003】これらの各種の水処理用薬品の効果による
適切な水処理を行い、冷却水中においてこれらの水処理
用薬品の有する効果を持続させるためには、冷却水系の
循環水中の水処理薬品濃度の下限値や最適値が存在す
る。そのため、冷却水系の任意の位置、時間等における
これらの水処理用薬品の濃度を正確に把握し、適切な濃
度管理を行うことが必要である。
【0004】また、冷却水系では、水溶性ポリマーを水
処理用薬品の少なくとも一成分として用いるのが通常で
ある。かかる水溶性ポリマーの代表例として、ポリカル
ボン酸類があり、スケール防止剤、分散剤、防食剤、洗
浄剤として使用されている。
【0005】また、冷却水系以外にも各種水処理系にお
いては、たとえば用水処理、各種排水処理、汚泥処理等
では、懸濁物質、溶存有機物等を除去するために広く凝
集処理が行われている。凝集処理においては、通常、凝
集剤として無機金属塩凝集剤の他、アクリル系ポリマー
等の高分子凝集剤が使用されている。
【0006】水処理用薬品の中で、高分子凝集剤や分散
剤や防食剤等として機能する水溶性ポリマーの使用系内
における濃度測定に関しては、その水中濃度がかなり低
濃度であるためもあってその測定が困難なものが多く、
水溶性ポリマーの種類によっては比色法や比濁法又はそ
の他の定量法で直接的に測定するものもあるが、その濃
度測定操作が煩雑であったり長時間を要したり、測定値
に実験者による推定や誤差を含んだり、水系の運転状態
の変化に対応した水処理用薬品の添加量の調整を即時に
行うことができないため、用水・排水処理システムや冷
却水処理システムの運転管理上実用的でない場合が多
い。
【0007】そのため、水溶性ポリマー等の水処理用薬
品それ自身の濃度の測定が不可能あるいは困難な場合の
濃度管理方法として、簡単に濃度測定できる物質をトレ
ーサーとして用いることが広く行われている。つまり、
水処理用薬品にトレーサー物質を添加、混合し、循環水
中のトレーサー物質濃度を測定することにより、間接的
に水処理用薬品濃度を測定するという方法(例えば、臭
素トレーサー法、リチウムトレーサー法、蛍光トレーサ
ー法、色素トレーサー法)が行われている。
【0008】また、一有効成分である水溶性ポリマーに
トレーサー物質を化合させるか、その重合時にトレーサ
ー物質を共重合させて、そのポリマー分子に化学結合し
たトレーサー物質の循環水中濃度を測定し、直接的に水
処理用薬品濃度を測定する方法も提案されている。例え
ば、水処理用薬品としては非有効成分である蛍光物質
(ナフタレンスルホン酸塩類等の蛍光トレーサー)で水
溶性ポリマーを蛍光標識化し、この蛍光物質を励起波長
で励起させ、その蛍光波長での蛍光強度を測定して水処
理用薬品の濃度管理を行う方法がある(特開平4−23
3918号公報、特開平4−326978号公報、特開
平5−163591号公報等)。
【0009】また、別の方法として、免疫検定法を用
い、ポリカルボン酸等の水溶性ポリマーを比較的簡便に
検出する方法が提案されている(特開平9−21819
9号公報)。
【0010】また、例えば冷却水系で防食剤として種々
の薬剤が用いられているが、代表例としてリン化合物類
がある。その濃度を簡便に測定できる比色法、比濁法等
は測定に要するコストが高く、全自動連続測定への適用
が困難などの問題点が指摘されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】水溶性ポリマーの濃度
を測定する従来方法のうち、比色法、比濁法等は、現場
での測定が困難であったり、測定時間が長かったり、測
定に大掛かりな装置が必要であったりなどの理由で、測
定対象水から試料をサンプリングしてから測定結果を得
るまでに長時間を要するという欠点がある。そのため、
フィードバック情報の提供は、用水、排水、汚泥、循環
水等から試料をサンプリングした時点から長時間経過後
になり、その長時間の間に水処理用薬品が消費された量
はそのフィードバック情報データには含まれず、そのデ
ータは殆ど価値が無い場合も生じることになる。
【0012】また、水処理用薬品にトレーサー物質を添
加、混合する方法は、フィードバック情報の提供はほぼ
瞬時に行えるが、循環水等の水中の水処理用薬品として
の有効な成分についてのフィードバック情報に基づいて
その濃度管理を行うものとは言えず、水処理用薬品の有
効成分が消費された場合を想定していないので、実際の
有効成分濃度と食い違う場合があるという欠点がある。
また、凝集剤の場合、目的凝集剤が沈殿するため、該凝
集剤と同じ挙動をする必要があるが、そのような条件を
満たしたトレーサーがなかった。
【0013】ポリカルボン酸等の水溶性ポリマーの分子
に蛍光トレーサー物質(蛍光プローブ)を化学結合させ
る方法は、蛍光分析感度に劣るため、水中の微量の水溶
性ポリマーを検出するには感度が不足し、蛍光分析法が
選択性に劣るため、水中の他成分により水溶性ポリマー
の検出が妨害されるだけでなく、分散剤や防食剤、凝集
剤等の機能に関わる成分ではない蛍光トレーサー物質を
水溶性ポリマーと更に反応させることになるので、水溶
性ポリマー系水処理用薬品製造の工程数が増える分だけ
コスト高となり、また、分散剤や防食剤、凝集剤等の水
溶性ポリマー本来の機能自体が低下したり消失する可能
性もある。
【0014】また、免疫検定法を用い、ポリカルボン酸
等の水溶性ポリマーを検出する方法は、感度的には問題
は無いものの測定に要するコストが高く、連続流れ分析
法(FIA:Flow Injection Analysis)に代表される
全自動連続測定への応用が困難である等の欠点を有して
いる。
【0015】本発明の課題は、上記従来技術における問
題点を解決し、冷却水系やその他の水処理系における有
効成分濃度の測定を迅速且つ精度良く行うことができ、
また、監視することもできる、水処理系における水処理
用薬品の濃度測定方法および濃度管理方法とそれらの装
置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者等は、上記従来技術の問題点を解決すべく
鋭意研究を重ねた結果、水処理系に添加する水処理用薬
品の特定の有効成分自体の水中濃度を測定する方法とし
て、水処理用薬品を含む試料を酸化し、酸化分解によっ
て生じた電気伝度率増加量を高精度と長期安定性を兼備
した新規な電気伝導度計(差伝導度計)で測定し、この
電気伝導度増加量から試料中の水処理用薬品濃度を定量
することができるという知見を得、この知見に基づいて
水処理用薬品の濃度測定および管理を行うことができる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】即ち、本発明に係る水処理用薬品の濃度測
定方法は、水処理系における水処理用薬品の濃度を測定
するに際し、水処理用薬品を含む試料を酸化し、試料の
酸化前の電気伝導度と酸化後の電気伝導度との差分を、
少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セルを前
記酸化前の位置と酸化後の位置とに配置し、両電気伝導
度測定セルからの検出信号自身の差分を両電気伝導度測
定セルの位置間の試料の電気伝導度の差分として出力す
る差伝導度計を用いて検出することにより、水処理用薬
品の酸化分解によって生じた電気伝導率増加量を測定
し、該電気伝導度増加量から試料中の水処理用薬品の濃
度を定量することを特徴とする方法からなる。
【0018】この濃度測定方法は、各種用水処理や各種
排水処理、汚泥処理等において、上記水処理用薬品を凝
集剤として使用する場合や、分散剤として使用する場合
に適用できる。特に、有機高分子凝集剤や分散剤として
使用する場合に有効である。
【0019】有機高分子凝集剤としては、カチオン性高
分子凝集剤、両性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集
剤が挙げられ、カチオン性高分子凝集剤としては、例え
ば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級
塩および/または4級塩(例えば塩化メチル4級塩)の
重合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの
3級塩および/または4級塩(例えば塩化メチル4級
塩)の重合物とアクリルアミドの共重合物、N−ビニル
アクリルアミジン塩単位含有高分子凝集剤等が挙げら
れ、両性高分子凝集剤としては、例えば、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートの3級塩および/または
4級塩(例えば塩化メチル4級塩)等から選ばれる1種
以上のカチオン性単量体とアクリル酸およびその塩類お
よび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸ナトリウム等から選ばれた1種以上のアニオン性単量
体とアクリルアミドとの共重合物等が挙げられる。ま
た、アニオン性高分子凝集剤としては、例えば、アクリ
ル酸またはその塩の重合物、アクリル酸またはその塩と
アクリルアミドとの共重合物、アクリルアミドと2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩の共重
合物、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸塩の3基共重合物、ポリアクリル
アミドの部分加水分解物等が挙げられるが、とくにこれ
らに限定されるものではない。一般に、アニオン性高分
子凝集剤と分散剤には同じ組成の有機高分子剤を使用で
き、被処理水の性状や有機高分子剤の分子量によって、
凝集剤として作用させたり分散剤として作用させたり
し、使用目的に応じて使い分けていることが多い。
【0020】また、この方法においては、試料の酸化剤
として光触媒を担体上に固定化した固体酸化剤を用い、
この酸化剤と前記試料を接触させた状態で光を照射して
前記試料を酸化することが好ましい。光触媒としては、
例えば酸化チタンを使用できる。
【0021】また、この方法においては、上記のような
光触媒を担体上に固定化した固体酸化剤を用いることな
く、前記試料の酸化手段として340nm以下の波長を
有する紫外線光を照射して前記試料を酸化することもで
きる。
【0022】また、前記電気伝導度増加量の測定におい
ては、前記試料の電気伝導度のみを直接的に測定するこ
ともできるが、前記試料の電気伝導度に応じた標準液を
キャリア液として用い、キャリア液中に試料を注入して
連続的に試料を酸化し、かつ、連続的に前記電気伝導度
増加量を測定することもできる。
【0023】本発明では、上記電気伝導度増加量の測定
に基づく水処理用薬品の濃度測定値を利用して、水処理
用薬品の必要量を水処理系に添加、補充することによ
り、適正な水処理用薬品の濃度管理を行うことができ
る。すなわち、本発明に係る水処理用薬品の濃度管理方
法は、上記の水処理用薬品の濃度測定方法による水処理
用薬品の濃度測定値に基づいて、水処理系に水処理用薬
品を添加、補充する工程を含むことを特徴とする方法か
らなる。
【0024】この方法では、例えば、冷却水系中の水処
理用薬品中に混合されたそれ自体有効成分であるポリカ
ルボン酸類やリン化合物類等、前述の方法によって検出
対象となり得る薬品について、冷却水系の循環水中にお
ける検出対象薬品の濃度を監視することにより、水処理
用薬品の濃度がスケール防止や金属腐食防止等の効果を
発揮するに充分な濃度を循環水中で維持できるように、
例えば、必要に応じて水処理用薬品の必要量を冷却水に
添加、補充する制御方法を採ることもできる。この場
合、検出対象品以外の水処理用薬品成分の添加補充量を
制御してその濃度管理を行うには、検出対象薬品以外を
一種のトレーサーとして利用することとなり、例えば、
検出対象薬品の添加補充量と比例する量の検出対象薬品
以外の各水処理用薬品成分を添加、補充する。なお、水
処理用薬品を検出対象薬品をはじめとする各薬品成分を
配合した水処理用薬品配合品の形とすることもでき、こ
の場合は、検出対象品以外の水処理用薬品配合品の形と
することもでき、この場合は、検出対象薬品以外の水処
理用薬品の添加補充量の計算を省略することができる。
ここで、カルボン酸類を検出対象薬品とする場合、前述
の蛍光トレーサー物質と化学結合させたものとは違うの
で、スケール防止剤や分散剤や防食剤等としての効果を
減少させたり、水溶性ポリマー系水処理用薬品製造の余
分な工程を踏むことによる製造コストの増加はない。
【0025】このように、本発明の方法によれば、水中
の水処理用薬品の有効成分の濃度を直接的に迅速に精度
良く測定し、確認することができるので、水処理用薬品
の濃度管理をより適正に容易に行うことが可能となる。
【0026】本発明においては、水処理系からサンプリ
ングした試料水を酸化し、該試料水を差伝導度計による
測定に供して酸化前後の電気伝導度増加量を求め、それ
から検出対象薬品の濃度を求める。検出対象薬品の濃度
を求めるには、例えば、試料水の電気伝導度増加量を、
予め作成しておいた検量線と対比することにより検出対
象薬品の濃度を算出する。なお、実試料水自体の差分伝
導度を測定するのが一般的であるが、必要に応じて実試
料水の希釈液、濃縮液又は精製液の差分伝導度を測定し
て、検出対象薬品の濃度を算出することもできる。
【0027】このような方法の実施に用いる本発明に係
る水処理用薬品の濃度測定装置は、水処理系から採取さ
れた水処理用薬品を含む試料が流される試料測定流路
と、該試料測定流路中に配された試料の酸化手段と、該
試料の酸化手段の上流側および下流側に配された、少な
くとも2個の電極を有する電気伝導度測定セルを備え、
両電気伝導度測定セルからの検出信号自身の差分を両電
気伝導度測定セルの位置間の試料の電気伝導度の差分と
して出力する差伝導度計とを有し、該差伝導度計の出力
から、水処理用薬品の酸化分解によって生じた電気伝導
度増加量を測定し、該電気伝導度増加量から試料中の水
処理用薬品の濃度を定量するようにしたことを特徴とす
るものからなる。
【0028】また、本発明に係る水処理用薬品の濃度管
理装置は、上記のような装置による水処理用薬品の濃度
測定値に基づいて、水処理系への水処理用薬品の添加、
補充を制御する手段を有することを特徴とするものから
なる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに、詳細に説明する。本発明は、冷
却水系等を含む各種水処理系における水処理用薬品の濃
度測定および管理を行うものである。本発明で検出対象
となる水処理用薬品としては、例えば凝集剤や分散剤と
しては、前述したようなものが挙げられ、また、冷却水
系における水処理用薬品としては、特に限定されない
が、代表的なものとして、ポリカルボン酸類及び/又は
リン化合物類が挙げられる。
【0030】本発明で検出対象となるポリカルボン酸類
としては、カルボン酸および不飽和二重結合を有する重
合性単量体からなる単独重合体もしくは共重合体および
それらの塩である。これら重合性単量体の例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、
マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、シト
ラコン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸およ
びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アン
モニウム塩や、マレイン酸無水物、1,2,3,6−テ
トラヒドロフタル酸無水物、3,6−エポキシ−1,
2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボ
ルネン−2,3−ジカルボン無水物、ビシクロ[2.
2.2]−5−オクテン−2,3−ジカルボン酸無水
物、3−メチル−1,2,6−テトラヒドロフタル酸無
水物、2−メチル−1,3,6−テトラヒドロフタル酸
無水物等が挙げられる。これらの重合性単量体のうち、
特に好ましいのは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸無水物である。
【0031】なお、本発明で検出対象となるポリカルボ
ン酸類は、重合体が水溶性である限り、カルボン酸は含
まないが不飽和二重結合を有する重合性単量体を80重
量%未満の量で含んでいてもよい。これらの重合性単量
体の例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のC1
〜C4アルキルエステル(具体例としては、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチル
メタクリレート、イソブチルメタクリレート等)、アク
リル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステ
ル(具体例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、
ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメ
タクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート
等)、その他のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル
(具体例としては、アクリル酸2−スルホエチル、アク
リル酸3−スルホプロピル、アクリル酸2−スルファー
トエチル、2−N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ
ート、メタクリル酸2−スルホエチル、メタクリル酸3
−スルホプロピル、メタクリル酸2−スルファートエチ
ル、メタクリル酸ホスホエチル、エチレングリコールジ
アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト等)、無置換および置換(メタ)アクリルアミド(具
体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N
−t−ブチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、3−N,N−ジ
メチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド
グリコール酸等)、(メタ)アクリロニトリル(具体例
としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル)、
スルホン酸含有単量体(具体例としては、アリルスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
等)、ホスホン酸含有単量体(具体例としては、アリル
ホスホン酸、ビニルホスホン酸等)、その他の単量体
(具体例としては、アリルアルコール、2−ビニルピリ
ジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N
−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−
ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾリン、2−ビ
ニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾリン、N−アク
リロイルモルホリン、アクロレイン、ジアリルフタレー
ト、酢酸ビニル、スチレン、メタクロイルスルホネー
ト、1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホ
ネート等)や上記単量体のアルカリ金属塩、アルカリ土
類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0032】本発明で検出対象となるポリカルボン酸類
の分子量は、特に制限されるものではないが、500〜
20000000の範囲のポリマーが検出可能である。
また、これらのポリカルボン酸類は、一種類を単独で用
いてもよいし、二種類以上を混合してもよい。なお、検
出対象となる凝集剤としては、上記範囲よりも更に大き
な分子量のものまで対象となる。
【0033】また、本発明で検出対象となるリン化合物
類の例としては、リン酸エステルの主なものとしてトリ
メチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブ
チルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェー
ト、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリフ
ェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレ
ジル・ジフェニルホスフェートなどがある。また酸性リ
ン酸エステルの主なものとしてメチルアシッドホスフェ
ート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッド
ホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブ
チルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッ
ドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、ラ
ウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホス
フェートなどがある。それに加えて、ジアルキルジチオ
リン酸、ジアルキルチオリン酸クロライド、ジフェニル
ホスフィナスクロライド、亜リン酸エステル、ホスホニ
ウム塩、含ハロゲン縮合リン酸エステル、テトラフェニ
ルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチル
ホスホニウムハイドロオキサイド、トリシクロヘキシル
ホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリフェニ
ルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキサイド、ト
リ−n−ブチルホスフィン、1,4−ビス(ジフェニル
ホスフィノ)ブタン、ビス(ベンジルジフェニルホスホ
ランジイル)アンモニウムクロライド、フェニルホスホ
ン酸、フェニルホスホン酸ジクロライド、フェニルホス
ホン酸ジメチルエステル、ベンジルトリフェニルホスホ
ニウムクロライド等が挙げられる。
【0034】また、冷却水系への添加対象である水処理
用薬品としては、例えば、ポリカルボン酸類を始めとす
る水溶性ポリマー等の分散剤(防食剤としても機能する
ものもあり)、ホスホン酸類、リン酸塩、珪酸塩、亜硝
酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸、亜鉛塩、芳香族カル
ボン酸塩、亜硫酸塩、ヒドラジン、タンニン、リグニ
ン、リグニンスルホン酸塩、アスコルビン酸ナトリウ
ム、エルソルビン酸ナトリウム、グルコース等の防食
剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカ
プトベンゾチアゾール等のアゾール系銅防食剤、アンモ
ニウム系化合物、アミン系化合物、塩素系化合物、臭素
系化合物、イソチアゾロン類を始めとする有機窒素硫黄
系化合物等の殺菌・殺藻剤を挙げることができる。本発
明方法において検出対象薬品となり得るポリカルボン酸
類やリン化合物類と他の水処理用薬品とを併用したり、
配合して使用することは何ら差し支えなく、冷却水系の
循環水中の上記検出対象薬品の濃度を監視することによ
りこれらの水処理薬品の添加補充量を制御して冷却水系
の水処理用薬品の濃度管理を行うこともできる。
【0035】本発明における水処理用薬品を含む試料の
酸化方法としては、例えば、上記ポリカルボン酸及び/
又はリン化合物などで代表される水処理用薬品を含む試
料の酸化方法としては、特に制限はなく、公知の酸化方
法を単独または組み合わせて用いることができる。酸化
方法の具体例としては、酸化剤としてオゾン、ペルオキ
ソ二硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、次亜塩素
酸ナトリウム等のハロゲン酸化物などを用い、これらを
単独もしくは併用して酸化を行う方法、過硫酸塩や過酸
化水素やオゾンの共存下、光を照射して酸化を行う方
法、フェントン反応による酸化、電極反応により酸化を
行う方法、二酸化チタンに代表される光触媒の共存下、
光を照射して酸化を行う方法、特定の波長(340nm
以下の波長)の紫外線光を照射して酸化を行う方法、等
が挙げられる。これらの方法の中で、その酸化能力の高
さと特別な酸化処理装置が不要であること、酸化後の廃
液処理が不要であることなどから、本発明において好ま
しく用いられる方法は、光触媒の共存下、光を照射して
酸化を行う方法、および340nm以下の波長の紫外線
光を照射して酸化を行う方法である。光触媒の共存下、
光を照射して酸化を行う方法に関して特に好ましい方法
としては、光触媒を担体上に固定化した固体酸化剤の共
存下、光を照射して酸化を行う方法である。
【0036】本発明で用いられる光触媒担持体として
は、たとえば、本出願人が先に特願平11−14395
8号で提案した光触媒担持体を用いることができる。こ
こで言う光触媒とは、光触媒粒子にそのバンドギャップ
以上のエネルギーを有する光を照射すると、光励起によ
り伝導帯に電子を、価電子帯に正孔を生じるものであ
り、この価電子帯に生じた正孔の強い酸化力を利用して
試料中のリン化合物類の酸化分解を行うものである。こ
の光子によって励起された正孔による酸化反応を有効に
利用するためには、反応が光触媒粒子の表面でのみ進行
し、かつ、光が照射された部位のみ進行することから、
触媒が大きな表面積を有することと分解対象物質との接
触が十分に達成されることが必要である。また、その酸
化メカニズムから、反応を迅速に進行させるためには、
光照射によって生じた光触媒内の電子を速やかに光触媒
から奪う電子受容体(酸化剤)が系内に存在することが
必要である。
【0037】本発明では、上記の本出願人が先に特願平
11−143958号で提案した光触媒担持体を用いる
ことが好ましく、この光触媒担持体は、担体(A)と光
触媒粒子(B)との単なる混合物とは異なり、担体
(A)の表面部分に粒子(B)が熱融着により担持さ
れ、粒子(B)の一部が露出している状態を保持した担
持体である。また、担体(A)の表面部分に粒子(B)
が多重に積み重なっているため、光触媒担持体表面の劣
化により粒子(B)の一部に剥離や脱落が生じたとして
も、その下の粒子(B)が次々に表面に現れて露出して
くるようになっている。従って、このような光触媒担持
体を用いることにより、長期間にわたり光触媒活性を維
持し続けることが可能になり、本発明における試料の酸
化において、長期間安定した酸化作用を持続させること
ができる。
【0038】このような光触媒担持体の形状は任意であ
るが、製造工程の簡便さから実質的に球形や円盤状の形
状が好ましい。実質的に球形の光触媒担持体は取扱性の
上で好ましく、円盤状のものは光触媒粒子(B)が露出
した表面積が大きい点で好ましい。また、この光触媒担
持体の大きさは特に限定されず適宜設定できるが、例え
ば、実質的球形の場合、その粒径は0.1mm〜30m
m、好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは
1mm〜5mmである。
【0039】本発明において用いられる光触媒担持体の
担体(A)の例としては、ポリエチレンやポリプロピレ
ン等のオレフィン単独重合体類、オレフィン同士の共重
合体類、オレフィン類と他の重合性単量体との共重合体
類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリ
レート類、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート
やポリエチレンナフタレート等のポリエステル類を挙げ
ることができる。これらの中で、担体(A)の材料とし
て用いた時に多重に積み重ねた状態で強固に粒子(B)
を容易に担持し得る点で特に好ましい熱可塑性重合体
は、オレフィン単独重合体類、オレフィン同士の共重合
体類、オレフィン類と他の重合性単量体との共重合体類
である。
【0040】本発明において用いられる光触媒担持体を
構成する粒子(B)の例としては、例えば、二酸化チタ
ン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化
ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化
錫、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化カ
ドミウム、硫化モリブデン、珪素等の光触媒作用を有す
る物質の粒子を挙げることができ、これらの中から少な
くとも一種類の粒子を選択して用いることができる。特
に優れた光触媒性能を発現する二酸化チタンが好まし
い。二酸化チタンにはアナターゼ型とルチル型の結晶構
造があり、アナターゼ型二酸化チタンの方が光触媒活性
が高いので、これを用いるのが通常である。
【0041】また、粒子(B)は、更にその表面に白
金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル等の金属や該金属
の酸化物又は水酸化物などを担持したものを用いてもよ
く、この場合はその担持量が極めて少量でも光触媒効率
の向上を図ることが可能である。また、粒子(B)は、
その表面に蓄光作用を有する物質を担持せしめたもので
もよい。かかる蓄光物質としては、例えば、アルカリ土
類金属の硫化物、硫酸塩、珪酸塩等を主材料として、こ
れに鉛、マンガン、ビスマス等を活性剤として加えた物
質を好適に用いることができる。具体例としては、Ba
SO4/Pb、CaSiO3/Pb、CaS/Bi等を挙
げることができ、これらは単独でも二種以上を組み合わ
せて用いてもよい。蓄光物質は、一般に蛍光物質、夜光
物質等と称され、可視光線、紫外線、放射線等のエネル
ギーを一旦化学的エネルギーに変換して蓄え、該エネル
ギーを随時光エネルギーとして放射することが可能な物
質なので、これを粒子(B)に担持せしめることによ
り、光の利用効率を向上させることも可能である。
【0042】担体(A)に担持せしめる粒子(B)の量
は、光触媒粒子の種類や熱可塑性重合体の種類等により
大きく異なってくるので特定できないが、担体(A)+
粒子(B)の合計重量に対して、好ましくは0.1〜8
0重量%、より好ましくは1%〜50重量%である。
0.1重量%より少ないと粒子(B)が担体(A)の表
面全体を覆うことが難しくなり易く、また、80重量%
より多くすることは、必要以上に光触媒担持体内部に埋
没する光触媒粒子を増加させるだけで余り意味がない。
【0043】上記光触媒担持体の比重は、特に限定され
ないが、試料が水溶液の場合、好ましくは0.7〜1.
3の範囲、より好ましくは0.9〜1.1の範囲であ
る。この比重が0.7未満の場合、該光触媒担持体は攪
拌をもってしても常に水面に浮かび反応効率が悪く、
1.3を超えると攪拌をもってしても常に水底に没する
ことになり光を効率良く照射せしめることが困難とな
る。ただし、光触媒担持体をカラムに充填して固定床と
し、試料の酸化装置として用いる際には、比重がこの範
囲を超えていても差し支えない。上記比重の範囲が重要
となるのは、光担持触媒を水中に分散させ攪拌して用い
る流動床方式の場合である。本発明においては、酸化装
置として、固定床、流動床いずれも好適に用いることが
できる。
【0044】また、光触媒の酸化反応を迅速に進行させ
るためには、光照射によって生じた光触媒内の電子を速
やかに光触媒から奪う電子受容体(酸化剤)が系内に存
在することが必要である。そのような電子受容体の例と
しては、酸素、オゾン、過酸化水素等が挙げられ、本発
明においても好適に用いられる。
【0045】光触媒を酸化剤として用いる際に必要とな
る光の波長は、光触媒を励起・活性化させるのに必要な
波長帯を含むものであれば特に制限はなく、通常、紫外
域の波長(380〜400nm以下)を含んでいればよ
い。したがって、光源としては、太陽光、蛍光灯、ブラ
ックライト、冷陰極管、水銀灯、キセノンランプなどを
用いることができる。
【0046】また、本発明における試料酸化方法として
は、上記のような光触媒担持体をカラムに充填すること
なく、単に、例えばブラックライト等により、340n
m以下の紫外線光をカラム内の試料に照射し、それによ
って所定の酸化を行わせることも可能であり、より簡便
な手法を採り得る。
【0047】次に、本発明で電気伝導度増加量の検出装
置として用いられる差伝導度計について説明する。本発
明においては、水処理用薬品を含む試料が上述の如き酸
化手段を用いて酸化され、その試料の酸化前の電気伝導
度と酸化後の電気伝導度との差分、つまり、水処理用薬
品の酸化分解によって生じた電気伝導度増加量が差伝導
度計によって測定される。この差伝導度計は、少なくと
も2個の電極を有する電気伝導度測定セルを試料酸化前
の位置と酸化後の位置とに配置し、両電気伝導度測定セ
ルからの検出信号自身の差分を両電気伝導度測定セルの
位置間の試料の電気伝導度の差分として出力するもので
ある。したがって、従来の電気伝導度計を単に2個用い
て、各測定位置における試料の電気伝導度の絶対値を測
定し、それらの差から電気伝導度増加量を求める方法と
は、根本的に異なるものである。この差伝導度計を用い
て検出した、水処理用薬品の酸化分解によって生じた電
気伝導度増加量から、試料中の水処理用薬品の濃度が定
量される。
【0048】図1は、本発明に係る水処理用薬品の濃度
測定装置に用いる差伝導度計の一例を示している。図1
に示す差伝導度計1においては、交流オシレーター2か
らの交流電流が各電気伝導度測定セル3、4に供給され
るが、一方の電気伝導度測定セル3には、倍率設定器5
付きの位相反転増幅器6で所定倍率に増幅され、かつ、
位相の反転された交流電流が供給され、他方の電気伝導
度測定セル4には、増幅器7により一定の倍率で増幅さ
れた交流電流が位相を反転されることなく供給される。
各電気伝導度測定セル3、4の出力側は接続されてお
り、上記一方の供給交流電流の位相が反転されているの
で、両電気伝導度測定セル3、4からの検出信号自身の
差をとる減算処理が行われることになる。この減算処理
された信号が感度(測定レンジ)切替器8付き増幅器9
で増幅され、所定の一つの出力信号10として出力され
る。したがって、この出力信号10は、両電気伝導度測
定セル3、4の検出電気伝導度間の差分あるいは変化分
を表すことになる。
【0049】このように、個々の電気伝導度測定装置に
より出力された検出値の絶対値から差分や変化分を演算
するのではなく、一つの差伝導度計1内において、各電
気伝導度測定セル3、4からの検出信号自身について減
算処理しているので、両電気伝導度測定セル3、4の検
出電気伝導度間の差分あるいは変化分のみを精度良く抽
出することができる。また、この測定の際の測定レンジ
は、電気伝導度の絶対値に対してではなく、検出しよう
とする電気伝導度の差分あるいは変化分に対して調整す
ればよいので、たとえ、電気伝導度の絶対値に対し差分
や変化分が微少である場合にあっても、電気伝導度の絶
対値に関係なく、最適な測定レンジに調整でき、極めて
高精度かつ高感度の測定が可能になる。
【0050】また、倍率設定器5を設けて一方の電気伝
導度測定セル3側の供給電流のレベルを適宜切り換える
ことができるようになっているので、濃縮系あるいは希
釈系のいずれに対しても最適な感度調整が可能になる。
しかも、出力側にも感度(測定レンジ)切替器8を設け
てあるので、最終的に出力される信号のレベルも最適な
レベルに調整でき、電気伝導度測定の差分や変化分を最
適な感度で測定できる。その結果、信頼性の極めて高い
電気伝導度測定の差分や変化分のデータが、高精度かつ
高感度で得られることになる。
【0051】このような差伝導度計は、たとえば図2に
示すようにも構成できる。図2に示す差伝導度計11
は、被測定物質(試料)に接する少なくとも2個の電極
(本実施態様では3電極構成にて図示してある。)を有
する電気伝導度測定セルを少なくとも2個(本実施態様
では2セル構成にて図示してある。)有している。各電
気伝導度測定セル12、13(図2には、セル1、セル
2と表示してある。)は、本実施態様では、各電気伝導
度測定セル12、13からの検出信号自身が減算処理さ
れるように電気的に接続されている。
【0052】各電気伝導度測定セル12、13は電気的
に並列に接続されており、各電気伝導度測定セル12、
13の電流供給用電極12a、13aには、電源として
の交流オシレーター14から同相の交流電流が供給され
ている。各電気伝導度測定セル12、13の電気伝導度
検出用電極12b、13bは、互いに電気的に接続さ
れ、両検出用電極12b、13bからの検出信号自身の
値が次のように減算されるようになっている。電気伝導
度測定セル13の電流供給用電極13aの前に、供給さ
れる交流電流の値を所定の倍率で増幅あるいは減幅可能
な位相反転器15が設けられており、電気伝導度測定セ
ル13で検出対象となる被測定物質の電気伝導度のレベ
ルを、電気伝導度測定セル12のそれに比べ異ならしめ
ることができることもできるとともに、その検出信号の
位相を反転できるようになっている。このようにしてお
けば、各電気伝導度測定セル12、13からの検出信号
自身が、実質的に減算されることになる。
【0053】上記電気的に演算処理が施された信号、つ
まり、電気伝導度検出用電極12b、13bの接続点か
ら得られる信号は、一つの増幅器16により出力信号と
して適切なレベルに増幅されるようになっている。この
とき、測定レンジ切替器17で、測定対象に応じて最適
な測定レンジを選択できるようになっている。
【0054】増幅器16からの信号は、本実施態様で
は、測定環境に対する温度補償が温度補償器18で行わ
れた後、同期整流器19で交流オシレーター14の出力
側との同期がとられ、さらに、その信号が、各種の制御
や出力の表示に最適なレベルの信号となるよう、レンジ
調整器20付きの増幅器21で増幅され、実際の出力2
2として取り出されるようになっている。
【0055】上記のような差伝導度計においては、所定
容量の時間遅延カラムを用いることにより、試料(被測
定物質)の電気伝導度の時間的な変化分を精度良く測定
することが可能になる。たとえば図3に示すように、流
水管52内を流れる水の流れ方向に対し、異なる位置間
における電気伝導度測定の変化を測定しようとする場
合、差伝導度計51を、上流側の位置53においてたと
えばベンチュリー管54を介してサンプル水として採水
できるように配設する。このサンプル水の電気伝導度を
まず一方の電気伝導度測定セル55で検出した後、その
サンプル水を時間遅延カラム56を通して他方の電気伝
導度測定セル57に送り、そこで再びサンプル水の電気
伝導度を測定し、測定後のサンプル水を流水管52の下
流側の位置58に戻す。時間遅延カラム56は、たとえ
ば細管をスパイラル状に巻いて、流入端から流出端まで
の通水時間を調節できるようにしたものであり、本実施
態様では、実質的に流水管52における上流側の位置5
3から下流側の位置58までの通水時間に対応させてあ
る。
【0056】このような時間遅延カラム56を設けて、
同一のサンプル水に対する電気伝導度の検出タイミング
を時間的にずらすことにより、その間で電気伝導度がど
のように変化するかが観測できる。そしてこの観測に本
発明に係る差伝導度計51を用いることにより、電気伝
導度の変化分が信頼性高く高精度かつ高感度で検出され
ることになる。したがって、この時間遅延カラム56内
を試料の酸化手段に構成することにより、本発明におけ
る、所望の試料の酸化を、所望の時間で行うことが可能
になる。
【0057】本発明においては、各電気伝導度測定セル
自身の構造はとくに限定されず、被測定物質(試料)に
接する少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セ
ルであればよい。各電気伝導度測定セルにおける少なく
とも2個の電極は、電気伝導度検出用電極と、電流供給
用電極とからなり、3電極構成の場合には、一つを接地
電極とすることもできる。電流供給用電極には交流電流
が供給されることが好ましいが、直流電流を供給する構
成も可能である。
【0058】図4は、本発明に適用可能な2極構成の電
気伝導度測定セルの概略構成を示している。図4に示す
電気伝導度測定セル61は、測定管62中に流れてく
る、あるいは測定管62中に貯留されている被測定物質
としての被測定流体63に対し、電源電極64と電気伝
導度検出用電極65とが離間配置されている。電源電極
64には、たとえば電源(図示略)からアンプ66を介
して交流定電圧が印加され、電気伝導度検出用電極65
からの検出電流が、前述の加算や減算処理に供される。
【0059】上記のような2極構成の電気伝導度測定セ
ル61では、測定管62は、少なくとも上記電気伝導度
測定部位においては絶縁体(たとえば、塩化ビニル管)
から構成されているが、通常、その延設部位のいずれか
の位置で、実質的に接地状態となっていることが多く、
その接地状態に起因して、周囲環境からのノイズを拾っ
てしまうことがある。
【0060】このようなノイズの影響を除去するために
は、たとえば図5や図6に示すような3極構成の電気伝
導度測定セルを用いることが好ましい。図5に示す電気
伝導度測定セル71においては、絶縁された測定管72
中に流されてくる、あるいは測定管72中に貯留されて
いる被測定物質としての被測定流体73に対し、その被
測定流体73に接する3個の電極74、75、76が設
けられている。3個の電極は、電気伝導度を検出するた
めの電気伝導度検出用電極74と、該電気伝導度検出用
電極74の両側にそれぞれ間隔をもって配置された2個
の交流電流供給用電極75、76とからなる。2個の交
流電流供給用電極75、76にはアンプ77を介して、
同相の交流電流が、同電位の定電圧にて供給されてい
る。電気伝導度検出用電極74からの検出電流が、前述
の減算処理に供される。
【0061】図5に示した電気伝導度測定セル71にお
いては、電気伝導度検出用電極74は、その両側に配置
され、同相の交流電流が供給される2個の交流電流供給
用電極75、76によって、測定管72の延設部位のい
ずれかの部位に存在するであろう接地点に対し、電気的
にシールドされることになる。すなわち、2個の交流電
流供給用電極75、76には、定電圧交流電流が同相で
供給され、電気伝導度検出用電極74と交流電流供給用
電極75、76間の電位差は常に所定の一定値に保たれ
るから、電気伝導度検出用電極74と外部接地点との間
には実質的に電気的な抵抗が存在しない状態となる。し
たがって、図4に示したセル構成における、電気伝導度
検出用電極と外部接地点との間の抵抗値やその抵抗値の
変動に起因する電気伝導度検出用電極からの出力電流へ
の影響は、実質的に全く無くなる。換言すれば、電気伝
導度検出用電極74から外部接地点への漏洩電流は全く
存在しないことになる。その結果、電気伝導度検出用電
極74からの出力電流は、常時外乱の無い状態で取り出
され、外乱によるばらつきや変動が防止されて、常時高
精度の電気伝導度の測定が安定して行われる。
【0062】図6に示す電気伝導度測定セル81におい
ては、絶縁された測定管82中に流されてくる、あるい
は測定管82中に貯留されている被測定物質としての被
測定流体83に対し、その被測定流体83に接する3個
の電極84、85、86が設けられている。3個の電極
は、電気伝導度を検出するための電気伝導度検出用電極
84と、該電気伝導度検出用電極の片側に間隔をもって
配置された交流電流供給用電極85と、電気伝導度検出
用電極84の反対側に間隔をもって配置された接地電極
86とからなる。交流電流供給用電極85には、アンプ
87を介して、所定の交流電流が定電圧にて供給されて
いる。電気伝導度検出用電極84からの検出電流が、前
述の減算処理に供される。
【0063】図6に示した電気伝導度測定セル81にお
いては、交流電流供給用電極85のみに交流電流が定電
圧にて供給され、接地電極86は接地により強制的に電
位0とされ、これら電極85、86が電気伝導度検出用
電極84の両側に配置されている。したがって、電極8
5、86間は、電気伝導度検出用電極84によって、電
気回路的には、いわゆる抵抗分割された形態となってい
る。この電極85、86間の回路においては、電極85
には所定の定電圧交流電流が供給され、電極86は接地
により強制的にその電位が常時0とされ、この状態は常
に安定している。つまり、測定管82のいずれかの延設
部位が接地された状態にあったとしても、その接地点と
電気伝導度検出用電極84との間の抵抗等が入り込む余
地はなく、それによって電気伝導度検出用電極84から
取り出される電流がシフトしたり変動したりすることは
なくなる。したがって、電気伝導度検出用電極84から
の出力電流は、常時外乱の無い状態で取り出され、外乱
によるばらつきや変動が防止されて、常時高精度の電気
伝導度の測定が安定して行われることになる。
【0064】本発明において、電気伝導度測定セルの機
械的な構成はとくに限定されず、たとえば図7に示すよ
うな構造とすることができる。図7に示す電気伝導度測
定セル91においては、たとえば図8に示すような、導
電金属からなる電極本体92の表面に、酸化チタン層9
3により電極面が形成された電気伝導度測定用電極94
が用いられることが好ましい。酸化チタン層93は、導
電金属からなる電極本体92の表面に、スパッタリン
グ、メッキ等の表面処理により形成されるか、あるい
は、電極本体92をチタン金属から構成し、その表面を
酸化することにより形成されている。酸化は、電気分解
や空気酸化により行われる。
【0065】電気伝導度測定用電極94は、図4〜6に
示した2個あるいは3個の各電極に相当する電極として
用いられ、図7に示すように、絶縁体からなる電極ホル
ダ95に、電極面を露出させた状態で埋設されている。
図7に示す電気伝導度測定セル91では、3個の電極9
4は一列に配置され、両側の電極94a、電極94bが
電源へと接続される交流電流供給用電極、中央の電極9
4cが電気伝導度検出用のセンサーとして機能する電気
伝導度検出用電極を構成している。
【0066】電極ホルダ95は、基体96の所定位置に
固定される。基体96には、被測定流体(たとえば、水
溶液)を流入させる流入口97および流出させる流出口
98と、電気伝導度測定用の流通孔99および流通孔1
00が設けられている。電極ホルダ95には、流通孔1
01と流通孔102が設けられており、流通孔101は
基体の流通孔99と、流通孔102は基体の流通孔10
0とそれぞれ連通するように配置されている。流入口9
7から流入された被測定流体は、基体96の内部通路1
03、流通孔99、電極ホルダ95の流通孔101を通
して、各電極94の電極面側に形成される被測定物質貯
留空間104に流入される。被測定物質貯留空間104
は、被測定流体の電気伝導度測定用流路を形成する。被
測定物質貯留空間104からの流体は、電極ホルダ95
の流通孔102、基体96の流通孔100、内部通路1
05を通して、流出口98から流出される。
【0067】基体96には、各電極94a、94b、9
4cに対応した位置に貫通孔106a、106b、10
6cが穿設されており、貫通孔106a、106b、1
06cを通して必要な電気配線が引き出されるようにな
っている。
【0068】被測定物質貯留空間104は、本実施態様
では、シート状のパッキン107と、電極ホルダ95に
パッキン107を介して間隔をあけて対向配置された透
光体としての透明ガラス板108によって画成されてい
る。このガラス板108の被測定物質貯留空間104側
表面においても、透光性を損なわない程度に酸化チタン
コートが施されていることが好ましい。この被測定物質
貯留空間104内を流れる流体の電気伝導度が測定され
る。
【0069】電極ホルダ95、パッキン107およびガ
ラス板108は、ボルト109を介してカバー体110
により、基体96の一面側に固定される。カバー体11
0には、透光用の窓111が開設されている。この窓1
11を通して、外部に配置された光照射手段112から
の光が照射される。照射された光は、窓111からガラ
ス板108を通して、各電極94a、94b、94cの
電極面を形成している酸化チタン層93に照射される。
照射される光は、酸化チタン層93に光触媒活性を発揮
させる波長を有する光が選択される。たとえば、特定の
波長(たとえば、300〜400nmの波長)の紫外線
を使用でき、光照射手段112としては、たとえば紫外
線を発光するブラックライトを使用することができる。
【0070】このような電気伝導度測定セル91に構成
すれば、光照射手段112による光照射により、各電極
94a、94b、94cの表面に設けられた酸化チタン
層93が光触媒活性を発揮し、被測定物質貯留空間10
4を流される被測定流体中に有機物が含まれている場合
にも、該有機物が光触媒活性により分解されるので、電
気伝導度測定の際電極面でイオン交換が行われても、非
導電性の有機物が電極面に付着したり吸着されたりする
ことは防止される。したがって、電極面の定期的なクリ
ーニングは不要になり、クリーニングなしでも、常時安
定して電気伝導度を精度良く測定することができる。ま
た、その精度の良い測定の再現性も確保される。
【0071】また、ガラス板108の被測定物質貯留空
間104側表面に酸化チタンコートを施しておけば、こ
の面側でも有機物の付着や吸着が阻止され、被測定物質
貯留空間104内への有機物の蓄積等も防止されて、良
好な測定精度が維持される。
【0072】以上、本発明に係る水処理用薬品の濃度測
定装置に用いる差伝導度計について詳細に説明してきた
が、本発明においては、上記のような差伝導度計が、水
処理用薬品の濃度測定装置に組み込まれている。この差
伝導度計は、前述の如く、例えば、表面が酸化チタンの
被膜で覆われている電極を用いて光照射下で使用する電
極構成とでき、かつ、特別の差分測定回路を持つ装置構
成としてあるので、特に高電気伝導度で水溶性有機物を
含むような系で極めて微少の電気伝導度の変化を安定に
検出できるようになる。この電気伝導度の変化(電気伝
導度増加量)から水処理用薬品の濃度を求めるのが、本
発明に係る水処理用薬品の濃度測定方法および装置であ
る。
【0073】従来有機物を含む試料中では電極の汚れが
大きく安定な測定はほぼ不可能であったが、前述の如
く、電極表面が酸化チタンの被膜で覆われていてかつ酸
化チタンを活性化する350nm程度の光で照射される
構成とすることにより、電極表面は非常に親水性(超親
水界面が形成される)が高く、しかも光触媒活性により
有機物等の酸化分解特性を有するので、電極表面には有
機物などの付着が起こらない。また、イオンの水和構造
も界面で破壊されないため、従来の電極材料に比較して
極めて安定である。とくに、3電極を用いた交流定電圧
ドライブと交流電流増幅、並びに2つの電気伝導度セル
を構成し、それらの差分測定回路を用いて、電極材料の
特徴を活かした、ほぼ究極に近い超高感度、高安定な差
伝導度計に構成することができる。
【0074】本発明においては、試料が酸化手段により
酸化され、酸化前後の電気伝導度の増加が上記のような
差伝導度計を用いて高精度、高感度で測定され、測定さ
れた電気伝導度増加量から水処理用薬品の濃度が定量さ
れる。この試料中の水処理用薬品の酸化分解によって生
じた電気伝導度増加量の測定方法としては、特に制限は
なく、試料を連続的に酸化手段に導入し、連続的に試料
の酸化前後の電気伝導度増加量を測定する方法や、キャ
リア液中に試料を注入し、これを酸化手段に導入して電
気伝導度増加量を測定する方法などを用いることができ
る。特に好ましい方法としては、試料の電気伝導度に合
わせた標準液をキャリア液として用い、キャリア液中に
試料を注入して連続的に酸化分解と前記電気伝導度増加
量を測定する方法が挙げられる。この方法では、上記本
発明で用いられる検出装置である差伝導度計の測定感度
を更に高めることができ、高感度測定に有利となるた
め、本発明において好適に用いられる。
【0075】上記のような差伝導度計を用いた本発明に
係る水処理用薬品の濃度測定装置の一例を図9に示す。
図9に示す水処理用薬品の濃度測定装置200は、試料
の電気伝導度に応じた標準液をキャリア液として用いる
システムとして構成されている。ボトル201中にキャ
リア液としての標準液202を貯留し、デガッサー20
3を介して、ポンプ204によりキャリア液をサンプル
インジェクションバルブ205に供給する。サンプルイ
ンジェクションバルブ205は、供給されてきたキャリ
ア液をそのまま定量、あるいは、別の系206から供給
されてくる試料をキャリア液で希釈して定量し、デガッ
サー207を介して、試料測定流路208に供給する。
この試料測定流路208に、前述したような差伝導度計
209が配置されている。差伝導度計209は、2個の
電気伝導度測定セル210、211(チャンネルCH1
とch2)を備え、両電気伝導度測定セル210、21
1間に、所定容量の時間遅延カラム212が介装されて
いる。この時間遅延カラム212が、例えば前述したよ
うな、光触媒担持体を充填、固定化した酸化手段に構成
されており、所定の時間、試料測定流路208中に流さ
れる試料流体を酸化するようになっている。差伝導度計
209の増幅器213からは、前述したような、両電気
伝導度測定セル210、211からの検出信号自身の差
の信号、つまり、両電気伝導度測定セル210、211
の位置間の電気伝導度の差信号が、この間における電気
伝導度増加量に対応する信号として高精度で出力され
る。
【0076】ここでデガッサー203、207は特に差
伝導度計209の安定化のために装備されている。つま
り、ミクロの気泡が通過することによる電気伝導度の揺
らぎを防ぐために使われている。時間遅延カラム212
は、電気伝導度の時間変化を検出するためのカラムで一
定体積と長さを備えて一定流量で送液されていれば、一
定時間間隔の伝導度をch1とch2の電気伝導度の差
として検出できる。
【0077】試料測定流路208中にキャリア液として
の標準液のみが流されている場合には、測定対象試料の
無い、ベースとしての電気伝導度の変化分の測定が可能
であり、試料を注入してキャリア液とともに試料測定流
路208に供給する場合には、その注入試料による電気
伝導度増加量の測定が可能である。
【0078】なお、上記態様では、時間遅延カラム21
2が、光触媒担持体を充填、固定化した酸化手段に構成
されている構成としたが、このような光触媒担持体を充
填することなく、カラム212内に導入された試料に対
し、図9に2点鎖線で示すように、単に340nm以下
の紫外線光を紫外線光源214から照射して酸化するよ
うにすることもできる。
【0079】前述したように、差伝導度計209によ
り、電気伝導度測定セル210、211の位置間の電気
伝導度の差が高精度で測定される。この試料中の水処理
用薬品の酸化分解に基づく電気伝導度増加の特性は、例
えば図10および図11に示すようになる。注入試料に
より、試料測定流路208中の水処理用薬品の濃度が連
続的に変化した場合には、その時間微分をとると、水処
理用薬品濃度の変化は図10に示すように電気伝導度変
化分としてひとつのピークとなって検出される。一方、
水処理用薬品濃度の一過的変化が起こった場合には、水
処理用薬品濃度の変化は、電気伝導度変化分として、図
11に示すようなオーバーシュート波形として検出され
る。従来型の電気伝導度計を用いた場合には、試料のベ
ースの電気伝導度が極めて大きい場合、このような微少
な水処理用薬品濃度に対応する電気伝導度の変化を検出
することは不可能である。本発明では、上記のような差
伝導度計209を用いることにより、水処理用薬品の酸
化分解による微少な電気伝導度増加量が高精度、高感度
で迅速に測定され、それによって水処理用薬品濃度が極
めて高精度、高感度で定量される。
【0080】次に、本発明のより具体的な実施の形態に
ついて説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。本発明に係る水処理系(例えば、冷却水系)の
水処理用薬品の濃度管理方法においては、検出対象薬品
の検量線を予め作成しておく。この様な検量線は、検出
対象薬品を含まないブランク水及び異なる既知検出対象
薬品濃度の幾つかの対象水の差分伝導率の測定を行って
作成する。なお、ブランク水としては、検出対象薬品の
みを含まず他の成分(例えば、不純物成分や他の水処理
用薬品)は同じブランク水を用いるのが測定精度の点で
好ましいことは勿論である。
【0081】検出対象薬品であり得る、例えばポリカル
ボン酸類及び/又はリン化合物類は、通常の循環水その
まま用いて差伝導度計により充分な感度で検出できる
が、必要に応じて希釈、濃縮、または、精製等の操作を
行ってから差伝導度計による検出に供してもよい。
【0082】例えば、循環水がポリカルボン酸類及び/
又はリン化合物類を両方含む場合にこれらを別々に検出
するための精製操作の一例としては、循環水の試料水に
対して、必要に応じて試料水のpH調整(例えば、pH
2〜3へ調整)、吸着剤ゲルへのポリカルボン酸類の選
択的吸着、溶離等の処理操作を行い、得られるそれぞれ
の検出対象薬品含有溶出液(精製液)の差分伝導度を測
定し、測定差分伝導度を最初の冷却水系の検出対象薬品
濃度に換算し、それらの定量を行うこともできる。この
場合、分析精度や分析安定性を高めると共に、冷却水系
の循環水中の検出対象薬品濃度が低い時には上記処理操
作を通じて検出対象薬品の濃縮を行うことができる。
【0083】本発明の方法においてポリカルボン酸類及
び/又はリン化合物類を検出する際の測定条件として
は、特に制限がなく、測定温度、pH、試料水の濃度、
試料の供給速度、光触媒担持体を使用した酸化手段を用
いる場合の光照射強度、光照射時間、共存酸化剤の種類
や濃度等は任意に設定することができる。ただし、ポリ
カルボン酸類及び/又はリン化合物類の検出感度は、測
定温度、pH、試料の供給速度、光照射強度、光照射時
間、共存酸化剤の種類や濃度の影響を受けるため、一定
の測定条件で測定を行うことが好ましい。好ましい測定
条件としては、以下の条件が挙げられる。 温度:10〜70℃ pH:3〜9 光照射強度:1〜100W 光照射時間:20〜200秒 共存酸化剤の種類:酸素、過酸化水素、オゾン 共存酸化剤の濃度:0.01〜100ミリモル/L
【0084】次に、本発明に係る方法を実施する装置の
システムについて説明する。装置は、前述の如く、基本
的にキャリア溶液を送液するポンプ、ポリカルボン酸及
び/又はリン化合物を含む試料溶液をキャリア溶液中に
注入するインジェクター、ポリカルボン酸類及び/又は
リン化合物類を酸化する酸化反応器(酸化手段)、酸化
前後の電気伝導率を測定する差伝導度計、差伝導度計で
測定されたデータを記録するデータプロセッサーで構成
されている。ただし、場合によっては、リン化合物類を
含む試料溶液そのものを連続的に供給し、キャリア溶液
を用いないこともあるため、そのような系ではインジェ
クターは不要となる。
【0085】上記データプロセッサーは、電気伝導率増
加量対ポリカルボン酸類及び/又はリン化合物類の検量
線を内包し、ポリカルボン酸類及び/又はリン化合物類
濃度計算等の演算処理を行うことができるのが好まし
く、更に必要に応じて、ポリカルボン酸類及び/又はリ
ン化合物類含有溶液を供給するポンプ等のポンプ類の制
御信号を出力できることが好ましい。
【0086】なお、上記装置に加えて、差伝率度計の電
極表面での気泡生成を抑制するためのデガッサーや、試
料とキャリア液とを均一に混合するためのインラインミ
キサーや混合コイル等の混合器などを必要に応じて設置
してもよい。
【0087】更に具体的に、本発明に係る測定方法およ
び装置を図12を用いて説明する。図12は、本発明の
測定方法を実施する装置の一例である。キャリア液に
は、インジェクター301から一定量のポリカルボン酸
及び/又はリン化合物を含む試料が注入される。この試
料を含むキャリア液は、ポンプ302により酸化装置3
04(酸化反応器)の直前に設置された差伝導度計30
6の一方の電気伝導度測定セル303の位置に供給され
る。ここで酸化前の電気伝導度を測定された試料を含む
キャリア液は、酸化装置304で連続的に酸化されて、
差伝導度計306の他方の電気伝導度測定セル305の
位置に供給される。差伝導度計306では酸化前の電気
伝導度から酸化後の電気伝導度への増加量(変化分)が
測定され、データプロセッサー307に記録されるとと
もに、その電気伝導度増加量から、ポリカルボン酸及び
/又はリン化合物が定量される。
【0088】図13は、上記のような、試料中の水処理
用薬品の濃度を測定する装置を用いて、例えば冷却水系
における水処理用薬品の濃度を制御、管理するシステム
を示している。冷却水系401(冷却水循環系)から試
料が採取され、必要に応じて希釈または濃縮され、試料
測定装置402により試料中の電気伝導度増加量が測定
され、データプロセッサー403により水処理用薬品の
濃度が定量される。測定後の試料は冷却水系401に戻
される。データプロセッサー403からの水処理用薬品
の濃度測定データに基づく制御装置404からの信号に
より、薬品添加装置405の作動が自動制御され、冷却
水系401における水処理用薬品の濃度が最適値に自動
制御される。なお、データプロセッサー403と制御装
置404を兼用することも可能である。
【0089】上記のように、本発明による検出対象薬品
濃度測定手順は、簡便で、測定値も再現性良く迅速に得
られるために、現場での水処理用薬品の濃度管理を簡単
に行うことができる。つまり、水処理薬品の濃度の管理
は、差伝導度計による検出対象薬品濃度の測定値に基づ
いて不足分の水処理用薬品をバッチ投入するか、水処理
用薬品の注入ポンプのストロークを調整し、例えば、ク
ーリングタワーの下部水槽に連続的に注入する。また、
オンライン装置として図12に示したような濃度測定装
置を設置し、その装置からの出力信号を図13に示した
ように操作出力に変換し、水処理用薬品注入ポンプを作
動させることにより、水処理用薬品の濃度を自動制御す
ることもできる。こうして、水処理用薬品が効果を発揮
する下限濃度(限界濃度)以上、好ましくはほぼ最適濃
度を循環水中で保持する様にする。水処理用薬品の投与
の態様は、とくに限定されず、冷却水系の長期運転停止
後の運転再開時に系内での薬品の消耗、飛散や強制ブロ
ーによる循環水中の薬品濃度の低下を補う「保持投入」
が求められる場合にあっても、通常の定常運転中にあっ
ても、何れの場合にも問題なく本発明を適用できる。
【0090】本発明の方法、装置を用いれば、ポリカル
ボン酸類及び/又はリン化合物類が高感度でかつ幅広い
定量範囲で簡便に検出することが可能である。とくに、
本発明に係る方法、装置は、少なくともクーリングタワ
ーや熱交換器を有する冷却水系に添加する特定の水処理
用薬品の濃度測定および管理に好適である。更に、本発
明の方法は、応答速度が速いため、特に連続流れ分析法
(FIA:FlowInjection Analys
is)に代表される全自動連続測定系における高感度検
出法としての応用展開が可能である。
【0091】従って、本発明の方法は、前述の冷却水処
理システムだけでなく、ボイラー水処理システムおよび
用・排水処理システム、汚泥処理システムに代表される
各種水処理システムにも展開、応用することが可能であ
る。
【0092】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、この実施例は本発明を何ら限定するものではな
い。なお、以下の説明でLはリットルを表わす。
【0093】参考例1 実施例で用いた光触媒担持体の製造例を以下に示す。直
鎖状低密度ポリエチレンペレット(東ソー(株)製、商
品名「ニポロンL−M65」、比重0.92)からなる
直径1mmのポリマー粒状体をアンダーウォーターカッ
ト法により調製した。このポリマー粒状体300gと、
光触媒活性を持つ二酸化チタン粉末(日本アエロジル
(株)製、商品名「P−25」、結晶形:アナターゼ)
18.4gを1リットルのナス型フラスコに入れ、回転
攪拌できるエバポレーターの攪拌装置に設置し、均一に
混ざる様に予備攪拌した。その後、、該フラスコを回転
せしめながら、オイルバスにて185℃まで加熱し、光
触媒粒子をポリマー粒状体表面に熱融着せしめた。投入
した殆ど全ての二酸化チタン粒子がポリマー粒状体に担
持された為、該光触媒担持体の光触媒粒子含有量は約6
重量%であった。
【0094】実施例1 試料の一例として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1
−ジホスホン酸を検出対象薬品として用いた場合の検量
線の例を図14に示す。図14の検量線は、1−ヒドロ
キシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を工業用水で希
釈して濃度を変えたモデル試料水を用いた以外は各モデ
ル試料水を図12のシステムにおけるインジェクター3
01から200μLずつキャリア溶液中に注入し、差分
伝導度を測定して作成した。なお、図12中の酸化反応
器304(酸化手段)としては、参考例1で製造した光
触媒担持体を内径2mm、長さ40cmのテフロン(登
録商標)チューブに充填し、ブラックライト(40W)
の周囲にらせん状に設置したものを用いた。また、キャ
リア溶液としては純水に過酸化水素を10ミリモル/L
となるように添加したものを用い、1.0mL/min
で送液した。
【0095】循環水の差分電気伝導度を測定し、図14
の検量線を用いた本発明に係る差分伝導度法、及び従来
周知の比色法により、別々に1−ヒドロキシエチリデン
−1,1−ジホスホン酸を測定した。表1に経過日数に
対する測定濃度値を示す。
【0096】
【表1】
【0097】表1の結果から明らかな様に、本発明に係
る差分伝導度法により求めた1−ヒドロキシエチリデン
−1,1−ジホスホン酸濃度は比色法により求めた1−
ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸濃度と良
く一致しており、本発明に係る方法によれば循環水中の
リン化合物類の濃度測定、濃度管理が精度良く簡便に達
成できることが確認できた。
【0098】実施例2 試料として、市水(戸田市水)をベースに、OX−60
6、OX−305(ともに、オルガノ(株)製の凝集
剤)を添加し、下記の如くそれぞれ濃度の異なる試料を
調製した。 OX−606:0、5、10、15mg/L OX−305:0、5、10、15mg/L 図12に示したシステムを用い、図9に示した、光触媒
担持酸化剤を充填しないカラム212と、340nm以
下の波長の紫外線光源214を用いた。紫外線光源21
4には、低圧水銀灯(エレバム社製、直管タイプ)を使
用し、紫外線照射部を50℃に温調して、紫外線を30
分照射した。そして、凝集剤の濃度に対する、図10や
図11に示したような電気伝導度の変化のピークを積分
値として検出し、電気伝導度変化をチャート上でのピー
ク高さとして読み取った。その結果、凝集剤の濃度とピ
ーク高さの相関は、表2および図15に示すように、ほ
ぼ完全な比例関係になり、本発明に係る方法および装置
により、凝集剤の濃度を極めて高精度で測定できること
が確認できた。なお、上記凝集剤は、下記化1に示す化
学構造を有し、化1におけるRがHであるものが凝集剤
「OX−305」に相当し、化1におけるRがCH3
あるものが凝集剤「OX−606」に相当する。
【0099】
【表2】
【0100】
【化1】
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、水処理用薬品の水処理
系における濃度測定および管理において、スケール防止
剤や凝集剤、分散剤、防食剤等として機能する各種水処
理用薬品の有効成分である検出対象薬品について、差伝
導度計により有効成分濃度を直接的に容易且つ迅速にし
かも精度良く測定することができるので、得られた有効
成分濃度値に基づいて、水処理用薬品の適正な濃度管理
を行うことが可能となり、水処理用薬品濃度をほぼ最適
有効濃度に維持することも可能となる。例えば冷却水系
においては、冷却水系のスケール防止や金属腐食防止
等、並びに、殺菌やスライム防除等のための水処理用薬
品の適正な濃度管理を行うことが可能となり、水処理用
薬品濃度をほぼ最適有効濃度に維持することも可能で、
スケール防止効果、金属腐食抑制効果、殺菌効果、スラ
イム防除効果等の水処理用薬品の効果を良好に発揮させ
つつ冷却水系の運転を安定的に経済的且つ合理的に実施
することができる。
【0102】また、本発明で用いる差伝導度計による検
出対象薬品の検出は、応答速度が速いため、特に最近注
目されている連続流れ分析法(FIA:Flow Injection
Analysis)に代表される全自動連続測定系を組み込ん
だ冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方法への展開が可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水処理用薬品の濃度測定装置に使
用される差伝導度計の構成例を示す概略回路図である。
【図2】本発明に係る水処理用薬品の濃度測定装置に使
用される差伝導度計の別の構成例を示す概略回路図であ
る。
【図3】時間遅延カラムを有する、本発明に係る水処理
用薬品の濃度測定装置に使用される差伝導度計の使用例
を示す概略構成図である。
【図4】本発明における差伝導度計に使用可能な電気伝
導度測定セルの一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明における差伝導度計に使用可能な電気伝
導度測定セルの別の例を示す概略構成図である。
【図6】本発明における差伝導度計に使用可能な電気伝
導度測定セルのさらに別の例を示す概略構成図である。
【図7】本発明における差伝導度計に使用可能な電気伝
導度測定セルの機械的な構成例を示す分解斜視図であ
る。
【図8】本発明における差伝導度計に使用可能な電気伝
導度測定セルの電極の構成例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る水処理用薬品の濃度測定装置の一
例を示す概略構成図である。
【図10】図9の装置における電気伝導度変化の特性図
である。
【図11】図9の装置における別の電気伝導度変化の特
性図である。
【図12】本発明を実施するための装置の一例を示すブ
ロック図である。
【図13】本発明を実施するための装置の別の例を示す
ブロック図である。
【図14】実施例1で用いた、1−ヒドロキシエチリデ
ン−1,1−ジホスホン酸の濃度と差分電気伝導度との
関係を示す検量線の一例を表すグラフである。
【図15】実施例2で用いた試料の凝集剤濃度と電気伝
導度変化を表すピーク高さとの関係を示す特性図であ
る。
【符号の説明】
1、11 差伝導度計 2、14 交流オシレーター 3、4、12、13 電気伝導度測定セル 5 倍率設定器 6、15 位相反転増幅器 7、9、16、21 増幅器 8、17 測定レンジ切替器 10、22 出力 12a、13a 電流供給用電極 12b、13b 電気伝導度検出用電極 18 温度補償器 19 同期整流器 20 レンジ調整器 51 差伝導度計 52 流水管 53 上流側の位置 54 ベンチュリー管 55、57 電気伝導度測定セル 56 時間遅延カラム 58 下流側の位置 61、71、81 電気伝導度測定セル 62、72、82 測定管 63、73、83 被測定流体 64 電源電極 65、74、84 電気伝導度検出用電極 66、77、87 アンプ 75、76、85 交流電流供給用電極 86 接地電極 91 電気伝導度測定セル 92 電極本体 93 酸化チタン層 94 電気伝導度測定用電極 94a、94b 交流電流供給用電極 94c 電気伝導度検出用電極 95 電極ホルダ 96 基体 97 流入口 98 流出口 99、100、101、102 流通孔 103、105 内部通路 104 被測定物質貯留空間 106a、106b、106c 貫通孔 107 パッキン 108 透光体としての透明ガラス板 109 ボルト 110 カバー体 111 透光用の窓 112 光照射手段 200 水処理用薬品の濃度測定装置 201 ボトル 202 標準液 203、207 デガッサー 204 ポンプ 205 インジェクションバルブ 206 試料を注入する系 208 試料測定流路 209 差伝導度計 210、211 電気伝導度測定セル 212 時間遅延カラム(酸化手段) 213 増幅器 214 紫外線光源 301 インジェクター 302 ポンプ 303、305 電気伝導度測定セル 304 酸化反応器(酸化手段) 306 差伝導度計 307 データプロセッサー 401 冷却水系 402 試料測定装置 403 データプロセッサー 404 制御装置 405 薬品添加装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 肥後 裕仁 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 (72)発明者 和気 敏治 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 Fターム(参考) 2G060 AA06 AC02 AE17 AF03 AF08 AG03 AG11 EA06 HC09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水処理系における水処理用薬品の濃度を
    測定するに際し、水処理用薬品を含む試料を酸化し、試
    料の酸化前の電気伝導度と酸化後の電気伝導度との差分
    を、少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セル
    を前記酸化前の位置と酸化後の位置とに配置し、両電気
    伝導度測定セルからの検出信号自身の差分を両電気伝導
    度測定セルの位置間の試料の電気伝導度の差分として出
    力する差伝導度計を用いて検出することにより、水処理
    用薬品の酸化分解によって生じた電気伝導率増加量を測
    定し、該電気伝導度増加量から試料中の水処理用薬品の
    濃度を定量することを特徴とする、水処理用薬品の濃度
    測定方法。
  2. 【請求項2】 前記水処理用薬品が凝集剤である、請求
    項1に記載の水処理用薬品の濃度測定方法。
  3. 【請求項3】 前記水処理用薬品が分散剤である、請求
    項1に記載の水処理用薬品の濃度測定方法。
  4. 【請求項4】 前記試料の酸化剤として光触媒を担体上
    に固定化した固体酸化剤を用い、この酸化剤と前記試料
    を接触させた状態で光を照射して前記試料を酸化するこ
    とを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の
    水処理用薬品の濃度測定方法。
  5. 【請求項5】 前記試料の酸化手段として340nm以
    下の波長を有する紫外線光を照射して前記試料を酸化す
    ることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記
    載の水処理用薬品の濃度測定方法。
  6. 【請求項6】 前記電気伝導度増加量の測定において、
    前記試料の電気伝導度に応じた標準液をキャリア液とし
    て用い、キャリア液中に試料を注入して連続的に試料を
    酸化し、かつ、連続的に前記電気伝導度増加量を測定す
    ることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記
    載の水処理用薬品の濃度測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の方
    法による水処理用薬品の濃度測定値に基づいて、水処理
    系に水処理用薬品を添加、補充する工程を含むことを特
    徴とする、水処理用薬品の濃度管理方法。
  8. 【請求項8】 水処理系から採取された水処理用薬品を
    含む試料が流される試料測定流路と、該試料測定流路中
    に配された試料の酸化手段と、該試料の酸化手段の上流
    側および下流側に配された、少なくとも2個の電極を有
    する電気伝導度測定セルを備え、両電気伝導度測定セル
    からの検出信号自身の差分を両電気伝導度測定セルの位
    置間の試料の電気伝導度の差分として出力する差伝導度
    計とを有し、該差伝導度計の出力から、水処理用薬品の
    酸化分解によって生じた電気伝導度増加量を測定し、該
    電気伝導度増加量から試料中の水処理用薬品の濃度を定
    量するようにしたことを特徴とする、水処理用薬品の濃
    度測定装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の装置による水処理用薬
    品の濃度測定値に基づいて、水処理用薬品の添加、補充
    を制御する手段を有することを特徴とする、水処理用薬
    品の濃度管理装置。
JP2001012820A 2001-01-22 2001-01-22 水処理用薬品の濃度測定および管理方法と装置 Pending JP2002214178A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001012820A JP2002214178A (ja) 2001-01-22 2001-01-22 水処理用薬品の濃度測定および管理方法と装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001012820A JP2002214178A (ja) 2001-01-22 2001-01-22 水処理用薬品の濃度測定および管理方法と装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002214178A true JP2002214178A (ja) 2002-07-31
JP2002214178A5 JP2002214178A5 (ja) 2007-10-04

Family

ID=18879764

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001012820A Pending JP2002214178A (ja) 2001-01-22 2001-01-22 水処理用薬品の濃度測定および管理方法と装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002214178A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008073667A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Kurita Water Ind Ltd リン酸含有排水の処理方法及び装置
AT511360A1 (de) * 2011-04-06 2012-11-15 Pro Aqua Diamantelektroden Gmbh & Co Kg Verfahren und vorrichtung zur bestimmung der konzentration von oxidationsmittel(n) in einer wässrigen lösung
KR101287914B1 (ko) 2011-09-22 2013-07-18 삼보과학 주식회사 정수처리용 응집제 투입률 제어를 위한 유동전류 측정 셀
JP2019055404A (ja) * 2011-01-17 2019-04-11 エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシーEvoqua Water Technologies LLC 超純水を提供するための方法およびシステム
US11610467B2 (en) 2020-10-08 2023-03-21 Ecolab Usa Inc. System and technique for detecting cleaning chemical usage to control cleaning efficacy

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63305988A (ja) * 1987-06-08 1988-12-13 Yoshiaki Matsuo 殺菌水の製造装置
JPH0518918A (ja) * 1991-07-12 1993-01-26 Kubota Corp 水質計
JPH07260725A (ja) * 1994-03-22 1995-10-13 Japan Organo Co Ltd 有機体炭素測定装置、及び同装置を組込んだ超純水製造装置
JPH09281099A (ja) * 1996-04-12 1997-10-31 Akira Fujishima 水中化合物の分析方法及び装置
JPH10109094A (ja) * 1996-10-04 1998-04-28 Mori Plant:Kk 畜舎廃水等の処理方法
JPH11169866A (ja) * 1997-12-11 1999-06-29 Hitachi Ltd 水処理プロセスにおける凝集剤注入率演算方法及び装置
JP2000171397A (ja) * 1998-12-04 2000-06-23 Touzai Kagaku Sangyo Kk 水処理用薬品の濃度管理方法
JP2000354856A (ja) * 1999-06-15 2000-12-26 Japan Organo Co Ltd 冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63305988A (ja) * 1987-06-08 1988-12-13 Yoshiaki Matsuo 殺菌水の製造装置
JPH0518918A (ja) * 1991-07-12 1993-01-26 Kubota Corp 水質計
JPH07260725A (ja) * 1994-03-22 1995-10-13 Japan Organo Co Ltd 有機体炭素測定装置、及び同装置を組込んだ超純水製造装置
JPH09281099A (ja) * 1996-04-12 1997-10-31 Akira Fujishima 水中化合物の分析方法及び装置
JPH10109094A (ja) * 1996-10-04 1998-04-28 Mori Plant:Kk 畜舎廃水等の処理方法
JPH11169866A (ja) * 1997-12-11 1999-06-29 Hitachi Ltd 水処理プロセスにおける凝集剤注入率演算方法及び装置
JP2000171397A (ja) * 1998-12-04 2000-06-23 Touzai Kagaku Sangyo Kk 水処理用薬品の濃度管理方法
JP2000354856A (ja) * 1999-06-15 2000-12-26 Japan Organo Co Ltd 冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008073667A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Kurita Water Ind Ltd リン酸含有排水の処理方法及び装置
JP2019055404A (ja) * 2011-01-17 2019-04-11 エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシーEvoqua Water Technologies LLC 超純水を提供するための方法およびシステム
AT511360A1 (de) * 2011-04-06 2012-11-15 Pro Aqua Diamantelektroden Gmbh & Co Kg Verfahren und vorrichtung zur bestimmung der konzentration von oxidationsmittel(n) in einer wässrigen lösung
KR101287914B1 (ko) 2011-09-22 2013-07-18 삼보과학 주식회사 정수처리용 응집제 투입률 제어를 위한 유동전류 측정 셀
US11610467B2 (en) 2020-10-08 2023-03-21 Ecolab Usa Inc. System and technique for detecting cleaning chemical usage to control cleaning efficacy

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Pierpaoli et al. Electrochemical oxidation of PFOA and PFOS in landfill leachates at low and highly boron-doped diamond electrodes
JP2001281189A (ja) 全有機体炭素の測定方法および装置
Chen et al. Luminescent CdS quantum dots as selective ion probes
US8329024B2 (en) Electrochemical device and method for long-term measurement of hypohalites
JP2510368B2 (ja) 水に溶解した炭素を決定する方法及び装置
Yamashita et al. A novel open-type biosensor for the in-situ monitoring of biochemical oxygen demand in an aerobic environment
US7604728B2 (en) Electroionic generation of hydrogen or oxygen from an aqueous solution
US10302552B2 (en) Apparatus, composition and method for determination of chemical oxidation demand
Lagos et al. Aging of copper pipes by drinking water
JP2012130852A (ja) 水系における微生物障害を抑制する水系処理方法
JP2002214178A (ja) 水処理用薬品の濃度測定および管理方法と装置
TW201617607A (zh) 化學需氧量檢測裝置
TWM496760U (zh) 化學需氧量檢測裝置
JP4428849B2 (ja) 濃度測定装置付き高分子凝集剤溶解・注入装置
CN106006921A (zh) 一种连续流光催化水处理设备
Awad et al. Electrochemical advanced oxidation of cosmetics waste water using IrO2/Ti-modified electrode
Li et al. TiO2 nanotube sensor for online chemical oxygen demand determination in conjunction with flow injection technique
JP4304769B2 (ja) 冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方法
JP2001281187A (ja) ポリカルボン酸類の濃度測定方法および装置
Zhou et al. Sonoelectrochemical system mechanisms, design, and machine learning for predicting degradation kinetic constants of pharmaceutical pollutants
Harrison et al. Pitting corrosion of copper tubes in soft drinking waters: Corrosion mechanism
JP2001281188A (ja) リン化合物類の濃度測定方法および装置
JP2000271564A (ja) 冷却水系の水処理用薬品の濃度管理方法
JP2009139119A (ja) Cod自動計測器およびそれを用いたcodの測定方法
Snoeyink et al. Lead pipe and lead–tin solder scale formation and structure: A conceptual model

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070822

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100312

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100910