JP2001281188A - リン化合物類の濃度測定方法および装置 - Google Patents
リン化合物類の濃度測定方法および装置Info
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Abstract
介して、試料中のリン化合物類の濃度を、高感度、簡便
かつ迅速に定量できるようにしたリン化合物類の濃度測
定方法および装置を提供する。 【解決手段】 リン化合物類を含む試料を酸化し、試料
の酸化前の電気伝導度と酸化後の電気伝導度との差分
を、少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セル
を前記酸化前の位置と酸化後の位置とに配置し、両電気
伝導度測定セルからの検出信号自身の差分を両電気伝導
度測定セルの位置間の試料の電気伝導度の差分として出
力する差伝導度計を用いて検出することにより、リン化
合物類の酸化分解によって生じた電気伝導度増加量を測
定し、該電気伝導度増加量から試料中のリン化合物濃度
を定量することを特徴とする、リン化合物類の濃度測定
方法および装置。
Description
度測定方法および装置に関し、とくに、リン化合物類を
含む試料を酸化させ、リン化合物類の酸化分解によって
生じた電気伝導度増加量を精度と安定性を兼備した新規
な電気伝導度計で測定し、この電気伝導度増加量から試
料中のリン化合物類の濃度を定量できるようにした、高
感度、簡便かつ迅速にリン化合物類を検出する方法およ
び装置に関するものである。
て、幅広く用いられている。例えば、防食剤としての機
能を利用して、冷却水やボイラー水に添加されている
他、触媒、農薬、安定剤、金属抽出剤、特殊溶媒、難燃
剤など広範囲に使用されている。これらの用途、分野に
おいて、リン化合物類は主として上記の防食機能を発揮
させるために系内に添加されているが、多くの場合、そ
の機能を十分に発揮させるためには、リン化合物類濃度
に下限値もしくは最適値が存在し、系中のリン化合物類
の濃度を適切に管理する必要がある。
ン、加水分解性リン、全リンに区分され、また有機体リ
ンとしても存在している。例えば、全リンを測定する一
つの方法としてペルオキソ二硫酸カリウム分解法があ
る。これはサンプルにペルオキソ二硫酸カリウムを酸化
剤として添加し、約120℃で30分間加熱分解する。
その後、モリブデン酸アンモニウム−アスコルビン酸混
合液を加えて振り混ぜた後、20〜40℃で約15分間
放置した後に、波長880nm付近の吸光度を測定して
いる。即ち、試料にペルオキソ二硫酸カリウムを加え、
加熱して有機物などを分解し、この溶液についてリン酸
イオンを定量して全リンの濃度を求めている。このよう
に従来は煩雑な手動分析法である比色法により行ってき
た。しかし、大多数の用途においては、系中のリン化合
物類の濃度がかなり低濃度であるため、簡便な検出方法
がなく、従来は煩雑な手動分析法である比色法により検
出を行ってきた。この方法は自動化が困難なため、検出
に多くの時間とコストがかかり、適切な濃度管理に支障
をきたしている。
として、水溶液中の有機物を酸化分解し、その結果生じ
る炭酸ガスの発生量や電気伝導度増加量を測定すること
で、有機物量を定量する方法が提案されている(特許第
2706290号公報)。この方法は、簡便且つ安価に
水溶液中の有機物量を定量できるため注目に値する方法
であるが、発生炭酸ガス量を検出対象とした場合、検出
感度が低いためにμg/Lレベルの有機物量を定量する
ことは不可能であった。一方、電気伝導度増加量を検出
対象とした場合、検出感度的には問題がなくなるもの
の、従来の電気伝導度計は安定性に劣るため、ドリフト
等の問題から長期間連続して高感度測定を行うことはで
きなかった。また、水溶液中に多量の電解質成分が共存
する系においては、電気伝導度のバックグラウンドが非
常に大きくなるため、従来の電気伝導度計では、酸化分
解によって生じる微量の電気伝導度増加量を測定するこ
とは困難であった。さらに、この方法において、検出感
度を高めるためには、水溶液中の有機物を完全に酸化分
解させる必要があり、有機物を含む水溶液を酸化装置に
何回も循環させる方式を採用している。その結果、測定
はバッチ方式とならざるを得ず、連続的な測定を行うこ
とはできなかった。
のような従来技術の欠点に鑑み、より高精度、高感度で
微少な電気伝導度増加量まで検出可能とし、該電気伝導
度増加量の検出を介して試料中のリン化合物類の濃度
を、高感度、簡便かつ迅速に定量できるようにした、し
かも、容易に連続測定も行うことができる、リン化合物
類の濃度測定方法および装置を提供することにある。
に、本発明に係るリン化合物類の濃度測定方法は、リン
化合物類を含む試料を酸化し、試料の酸化前の電気伝導
度と酸化後の電気伝導度との差分を、少なくとも2個の
電極を有する電気伝導度測定セルを前記酸化前の位置と
酸化後の位置とに配置し、両電気伝導度測定セルからの
検出信号自身の差分を両電気伝導度測定セルの位置間の
試料の電気伝導度の差分として出力する差伝導度計を用
いて検出することにより、リン化合物類の酸化分解によ
って生じた電気伝導度増加量を測定し、該電気伝導度増
加量から試料中のリン化合物濃度を定量することを特徴
とする方法からなる。
光触媒を担体上に固定化した固体酸化剤を用い、この酸
化剤と前記試料を接触させた状態で光を照射して前記試
料を酸化することが好ましい。光触媒としては、例えば
酸化チタンを使用できる。
ては、前記試料の電気伝導度のみを直接的に測定するこ
ともできるが、前記試料の電気伝導度に応じた標準液を
キャリア液として用い、キャリア液中に試料を注入して
連続的に試料を酸化し、かつ、連続的に前記電気伝導度
増加量を測定することもできる。
は、リン化合物類を含む試料が流される試料測定流路
と、該試料測定流路中に配された試料の酸化手段と、該
試料の酸化手段の上流側および下流側に配された、少な
くとも2個の電極を有する電気伝導度測定セルを備え、
両電気伝導度測定セルからの検出信号自身の差分を両電
気伝導度測定セルの位置間の試料の電気伝導度の差分と
して出力する差伝導度計とを有し、該差伝導度計の出力
から、リン化合物類の酸化分解によって生じた電気伝導
度増加量を測定し、該電気伝導度増加量から試料中のリ
ン化合物濃度を定量するようにしたことを特徴とするも
のからなる。
および装置においては、酸化前後の試料の電気伝導度増
加量から試料中のリン化合物類の濃度が定量され、この
電気伝導度増加量の測定に、2つの電気伝導度測定セル
からの検出信号自身の差分を出力する差伝導度計が用い
られる。この差伝導度計においては、基本的に、試料の
電気伝導度の絶対値ではなく、電気伝導度の変化分(差
分)が検出されるので、試料のバックグラウンドの電気
伝導度の大きさやバックグラウンドの変動にかかわら
ず、酸化前後の試料の電気伝導度増加量のみが精度良く
検出され、微少な電気伝導度増加量であっても、極めて
高感度な測定が可能になる。また、試料を直接的に測定
できるので、測定のための大がかりな付帯設備は不要で
あり、かつ、容易に連続測定が可能になり、しかも、ほ
ぼリアルタイムの迅速な測定が可能になる。さらに、試
料の酸化に、酸化チタンなどの光触媒活性を利用したも
のを用いれば、安定した酸化作用、ひいては、安定した
電気伝導度増加量の測定が可能になる。このように高精
度、高感度で測定された電気伝導度増加量から、試料中
のリン化合物類の濃度が、簡便かつ迅速に、精度良く定
量されることになる。
い実施の形態とともに、詳細に説明する。本発明は、試
料中のリン化合物類の濃度を測定するものである。本発
明で検出対象となるリン化合物類としては特に限定され
ないが、例としては次のようなものが挙げられる。リン
酸エステルの主なものとしてトリメチルホスフェート、
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジ
−2−エチルヘキシルホスフェート、トリス(2−クロ
ロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルホスフェート、クレジル・ジフェニルホス
フェートなどがある。また酸性リン酸エステルの主なも
のとしてメチルアシッドホスフェート、エチルアシッド
ホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプ
ロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェ
ート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソ
デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフ
ェート、ステアリルアシッドホスフェートなどがある。
それに加えて、ジアルキルジチオリン酸、ジアルキルチ
オリン酸クロライド、ジフェニルホスフィナスクロライ
ド、亜リン酸エステル、ホスホニウム塩、含ハロゲン縮
合リン酸エステル、テトラフェニルホスホニウムテトラ
フェニルボレート、テトラブチルホスホニウムハイドロ
オキサイド、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−m
−トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフ
ェニルホスフィンオキサイド、トリ−n−ブチルホスフ
ィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、
ビス(ベンジルジフェニルホスホランジイル)アンモニ
ウムクロライド、フェニルホスホン酸、フェニルホスホ
ン酸ジクロライド、フェニルホスホン酸ジメチルエステ
ル、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド等が
挙げられる。その他に、リン酸アンモニウム、無水リン
酸、亜リン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ピ
ロリン酸ソーダ、酸性ピロリン酸ソーダ、酸性メタリン
酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、ピロリン酸カリ、ヘ
キサメタリン酸ソーダ、硫化リン、クロロホスファゼン
等が挙げられる。
料の酸化方法としては、特に制限はなく、公知の酸化方
法を単独または組み合わせて用いることができる。酸化
方法の具体例としては、酸化剤としてオゾン、ペルオキ
ソ二硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、次亜塩素
酸ナトリウム等のハロゲン酸化物などを用い、これらを
単独もしくは併用して酸化を行う方法、過硫酸塩や過酸
化水素やオゾンの共存下、光を照射して酸化を行う方
法、フェントン反応による酸化、電極反応により酸化を
行う方法、二酸化チタンに代表される光触媒の共存下、
光を照射して酸化を行う方法等が挙げられる。これらの
方法の中で、その酸化能力の高さと特別な酸化処理装置
が不要であること、酸化後の廃液処理が不要であること
などから、本発明において好ましく用いられる方法は、
光触媒の共存下、光を照射して酸化を行う方法である。
特に好ましい方法としては、光触媒を担体上に固定化し
た固体酸化剤の共存下、光を照射して酸化を行う方法で
ある。
は、たとえば、本出願人が先に特願平11−14395
8号で提案した光触媒担持体を用いることができる。こ
こで言う光触媒とは、光触媒粒子にそのバンドギャップ
以上のエネルギーを有する光を照射すると、光励起によ
り伝導帯に電子を、価電子帯に正孔を生じるものであ
り、この価電子帯に生じた正孔の強い酸化力を利用して
試料中のリン化合物類の酸化分解を行うものである。こ
の光子によって励起された正孔による酸化反応を有効に
利用するためには、反応が光触媒粒子の表面でのみ進行
し、かつ、光が照射された部位のみ進行することから、
触媒が大きな表面積を有することと分解対象物質との接
触が十分に達成されることが必要である。また、その酸
化メカニズムから、反応を迅速に進行させるためには、
光照射によって生じた光触媒内の電子を速やかに光触媒
から奪う電子受容体(酸化剤)が系内に存在することが
必要である。
11−143958号で提案した光触媒担持体を用いる
ことが好ましく、この光触媒担持体は、担体(A)と光
触媒粒子(B)との単なる混合物とは異なり、担体
(A)の表面部分に粒子(B)が熱融着により担持さ
れ、粒子(B)の一部が露出している状態を保持した担
持体である。また、担体(A)の表面部分に粒子(B)
が多重に積み重なっているため、光触媒担持体表面の劣
化により粒子(B)の一部に剥離や脱落が生じたとして
も、その下の粒子(B)が次々に表面に現れて露出して
くるようになっている。従って、このような光触媒担持
体を用いることにより、長期間にわたり光触媒活性を維
持し続けることが可能になり、本発明における試料の酸
化において、長期間安定した酸化作用を持続させること
ができる。
るが、製造工程の簡便さから実質的に球形や円盤状の形
状が好ましい。実質的に球形の光触媒担持体は取扱性の
上で好ましく、円盤状のものは光触媒粒子(B)が露出
した表面積が大きい点で好ましい。また、この光触媒担
持体の大きさは特に限定されず適宜設定できるが、例え
ば、実質的球形の場合、その粒径は0.1mm〜30m
m、好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは
1mm〜5mmである。
担体(A)の例としては、ポリエチレンやポリプロピレ
ン等のオレフィン単独重合体類、オレフィン同士の共重
合体類、オレフィン類と他の重合性単量体との共重合体
類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリ
レート類、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート
やポリエチレンナフタレート等のポリエステル類を挙げ
ることができる。これらの中で、担体(A)の材料とし
て用いた時に多重に積み重ねた状態で強固に粒子(B)
を容易に担持し得る点で特に好ましい熱可塑性重合体
は、オレフィン単独重合体類、オレフィン同士の共重合
体類、オレフィン類と他の重合性単量体との共重合体類
である。
構成する粒子(B)の例としては、例えば、二酸化チタ
ン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化
ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化
錫、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化カ
ドミウム、硫化モリブデン、珪素等の光触媒作用を有す
る物質の粒子を挙げることができ、これらの中から少な
くとも一種類の粒子を選択して用いることができる。特
に優れた光触媒性能を発現する二酸化チタンが好まし
い。二酸化チタンにはアナターゼ型とルチル型の結晶構
造があり、アナターゼ型二酸化チタンの方が光触媒活性
が高いので、これを用いるのが通常である。
金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル等の金属や該金属
の酸化物又は水酸化物などを担持したものを用いてもよ
く、この場合はその担持量が極めて少量でも光触媒効率
の向上を図ることが可能である。また、粒子(B)は、
その表面に蓄光作用を有する物質を担持せしめたもので
もよい。かかる蓄光物質としては、例えば、アルカリ土
類金属の硫化物、硫酸塩、珪酸塩等を主材料として、こ
れに鉛、マンガン、ビスマス等を活性剤として加えた物
質を好適に用いることができる。具体例としては、Ba
SO4/Pb、CaSiO3/Pb、CaS/Bi等を挙
げることができ、これらは単独でも二種以上を組み合わ
せて用いてもよい。蓄光物質は、一般に蛍光物質、夜光
物質等と称され、可視光線、紫外線、放射線等のエネル
ギーを一旦化学的エネルギーに変換して蓄え、該エネル
ギーを随時光エネルギーとして放射することが可能な物
質なので、これを粒子(B)に担持せしめることによ
り、光の利用効率を向上させることも可能である。
は、光触媒粒子の種類や熱可塑性重合体の種類等により
大きく異なってくるので特定できないが、担体(A)+
粒子(B)の合計重量に対して、好ましくは0.1〜8
0重量%、より好ましくは1%〜50重量%である。
0.1重量%より少ないと粒子(B)が担体(A)の表
面全体を覆うことが難しくなり易く、また、80重量%
より多くすることは、必要以上に光触媒担持体内部に埋
没する光触媒粒子を増加させるだけで余り意味がない。
ないが、試料が水溶液の場合、好ましくは0.7〜1.
3の範囲、より好ましくは0.9〜1.1の範囲であ
る。この比重が0.7未満の場合、該光触媒担持体は攪
拌をもってしても常に水面に浮かび反応効率が悪く、
1.3を超えると攪拌をもってしても常に水底に没する
ことになり光を効率良く照射せしめることが困難とな
る。ただし、光触媒担持体をカラムに充填して固定床と
し、試料の酸化装置として用いる際には、比重がこの範
囲を超えていても差し支えない。上記比重の範囲が重要
となるのは、光担持触媒を水中に分散させ攪拌して用い
る流動床方式の場合である。本発明においては、酸化装
置として、固定床、流動床いずれも好適に用いることが
できる。
るためには、光照射によって生じた光触媒内の電子を速
やかに光触媒から奪う電子受容体(酸化剤)が系内に存
在することが必要である。そのような電子受容体の例と
しては、酸素、オゾン、過酸化水素等が挙げられ、本発
明においても好適に用いられる。
る光の波長は、光触媒を励起・活性化させるのに必要な
波長帯を含むものであれば特に制限はなく、通常、紫外
域の波長(380〜400nm以下)を含んでいればよ
い。したがって、光源としては、太陽光、蛍光灯、ブラ
ックライト、冷陰極管、水銀灯、キセノンランプなどを
用いることができる。
置として用いられる差伝導度計について説明する。本発
明においては、リン化合物類を含む試料が上述の如き酸
化手段を用いて酸化され、その試料の酸化前の電気伝導
度と酸化後の電気伝導度との差分、つまり、リン化合物
類の酸化分解によって生じた電気伝導度増加量が差伝導
度計によって測定される。この差伝導度計は、少なくと
も2個の電極を有する電気伝導度測定セルを試料酸化前
の位置と酸化後の位置とに配置し、両電気伝導度測定セ
ルからの検出信号自身の差分を両電気伝導度測定セルの
位置間の試料の電気伝導度の差分として出力するもので
ある。したがって、従来の電気伝導度計を単に2個用い
て、各測定位置における試料の電気伝導度の絶対値を測
定し、それらの差から電気伝導度増加量を求める方法と
は、根本的に異なるものである。この差伝導度計を用い
て検出した、リン化合物類の酸化分解によって生じた電
気伝導度増加量から、試料中のリン化合物濃度が定量さ
れる。
測定装置に用いる差伝導度計の一例を示している。図1
に示す差伝導度計1においては、交流オシレーター2か
らの交流電流が各電気伝導度測定セル3、4に供給され
るが、一方の電気伝導度測定セル3には、倍率設定器5
付きの位相反転増幅器6で所定倍率に増幅され、かつ、
位相の反転された交流電流が供給され、他方の電気伝導
度測定セル4には、増幅器7により一定の倍率で増幅さ
れた交流電流が位相を反転されることなく供給される。
各電気伝導度測定セル3、4の出力側は接続されてお
り、上記一方の供給交流電流の位相が反転されているの
で、両電気伝導度測定セル3、4からの検出信号自身の
差をとる減算処理が行われることになる。この減算処理
された信号が感度(測定レンジ)切替器8付き増幅器9
で増幅され、所定の一つの出力信号10として出力され
る。したがって、この出力信号10は、両電気伝導度測
定セル3、4の検出電気伝導度間の差分あるいは変化分
を表すことになる。
より出力された検出値の絶対値から差分や変化分を演算
するのではなく、一つの差伝導度計1内において、各電
気伝導度測定セル3、4からの検出信号自身について減
算処理しているので、両電気伝導度測定セル3、4の検
出電気伝導度間の差分あるいは変化分のみを精度良く抽
出することができる。また、この測定の際の測定レンジ
は、電気伝導度の絶対値に対してではなく、検出しよう
とする電気伝導度の差分あるいは変化分に対して調整す
ればよいので、たとえ、電気伝導度の絶対値に対し差分
や変化分が微少である場合にあっても、電気伝導度の絶
対値に関係なく、最適な測定レンジに調整でき、極めて
高精度かつ高感度の測定が可能になる。
導度測定セル3側の供給電流のレベルを適宜切り換える
ことができるようになっているので、濃縮系あるいは希
釈系のいずれに対しても最適な感度調整が可能になる。
しかも、出力側にも感度(測定レンジ)切替器8を設け
てあるので、最終的に出力される信号のレベルも最適な
レベルに調整でき、電気伝導度測定の差分や変化分を最
適な感度で測定できる。その結果、信頼性の極めて高い
電気伝導度測定の差分や変化分のデータが、高精度かつ
高感度で得られることになる。
示すようにも構成できる。図2に示す差伝導度計11
は、被測定物質(試料)に接する少なくとも2個の電極
(本実施態様では3電極構成にて図示してある。)を有
する電気伝導度測定セルを少なくとも2個(本実施態様
では2セル構成にて図示してある。)有している。各電
気伝導度測定セル12、13(図2には、セル1、セル
2と表示してある。)は、本実施態様では、各電気伝導
度測定セル12、13からの検出信号自身が減算処理さ
れるように電気的に接続されている。
に並列に接続されており、各電気伝導度測定セル12、
13の電流供給用電極12a、13aには、電源として
の交流オシレーター14から同相の交流電流が供給され
ている。各電気伝導度測定セル12、13の電気伝導度
検出用電極12b、13bは、互いに電気的に接続さ
れ、両検出用電極12b、13bからの検出信号自身の
値が次のように減算されるようになっている。電気伝導
度測定セル13の電流供給用電極13aの前に、供給さ
れる交流電流の値を所定の倍率で増幅あるいは減幅可能
な位相反転器15が設けられており、電気伝導度測定セ
ル13で検出対象となる被測定物質の電気伝導度のレベ
ルを、電気伝導度測定セル12のそれに比べ異ならしめ
ることができることもできるとともに、その検出信号の
位相を反転できるようになっている。このようにしてお
けば、各電気伝導度測定セル12、13からの検出信号
自身が、実質的に減算されることになる。
まり、電気伝導度検出用電極12b、13bの接続点か
ら得られる信号は、一つの増幅器16により出力信号と
して適切なレベルに増幅されるようになっている。この
とき、測定レンジ切替器17で、測定対象に応じて最適
な測定レンジを選択できるようになっている。
は、測定環境に対する温度補償が温度補償器18で行わ
れた後、同期整流器19で交流オシレーター14の出力
側との同期がとられ、さらに、その信号が、各種の制御
や出力の表示に最適なレベルの信号となるよう、レンジ
調整器20付きの増幅器21で増幅され、実際の出力2
2として取り出されるようになっている。
容量の時間遅延カラムを用いることにより、試料(被測
定物質)の電気伝導度の時間的な変化分を精度良く測定
することが可能になる。たとえば図3に示すように、流
水管52内を流れる水の流れ方向に対し、異なる位置間
における電気伝導度測定の変化を測定しようとする場
合、差伝導度計51を、上流側の位置53においてたと
えばベンチュリー管54を介してサンプル水として採水
できるように配設する。このサンプル水の電気伝導度を
まず一方の電気伝導度測定セル55で検出した後、その
サンプル水を時間遅延カラム56を通して他方の電気伝
導度測定セル57に送り、そこで再びサンプル水の電気
伝導度を測定し、測定後のサンプル水を流水管52の下
流側の位置58に戻す。時間遅延カラム56は、たとえ
ば細管をスパイラル状に巻いて、流入端から流出端まで
の通水時間を調節できるようにしたものであり、本実施
態様では、実質的に流水管52における上流側の位置5
3から下流側の位置58までの通水時間に対応させてあ
る。
同一のサンプル水に対する電気伝導度の検出タイミング
を時間的にずらすことにより、その間で電気伝導度がど
のように変化するかが観測できる。そしてこの観測に本
発明に係る差伝導度計51を用いることにより、電気伝
導度の変化分が信頼性高く高精度かつ高感度で検出され
ることになる。したがって、この時間遅延カラム56内
を試料の酸化手段に構成することにより、本発明におけ
る、所望の試料の酸化を、所望の時間で行うことが可能
になる。
自身の構造はとくに限定されず、被測定物質(試料)に
接する少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セ
ルであればよい。各電気伝導度測定セルにおける少なく
とも2個の電極は、電気伝導度検出用電極と、電流供給
用電極とからなり、3電極構成の場合には、一つを接地
電極とすることもできる。電流供給用電極には交流電流
が供給されることが好ましいが、直流電流を供給する構
成も可能である。
気伝導度測定セルの概略構成を示している。図4に示す
電気伝導度測定セル61は、測定管62中に流れてく
る、あるいは測定管62中に貯留されている被測定物質
としての被測定流体63に対し、電源電極64と電気伝
導度検出用電極65とが離間配置されている。電源電極
64には、たとえば電源(図示略)からアンプ66を介
して交流定電圧が印加され、電気伝導度検出用電極65
からの検出電流が、前述の加算や減算処理に供される。
ル61では、測定管62は、少なくとも上記電気伝導度
測定部位においては絶縁体(たとえば、塩化ビニル管)
から構成されているが、通常、その延設部位のいずれか
の位置で、実質的に接地状態となっていることが多く、
その接地状態に起因して、周囲環境からのノイズを拾っ
てしまうことがある。
は、たとえば図5や図6に示すような3極構成の電気伝
導度測定セルを用いることが好ましい。図5に示す電気
伝導度測定セル71においては、絶縁された測定管72
中に流されてくる、あるいは測定管72中に貯留されて
いる被測定物質としての被測定流体73に対し、その被
測定流体73に接する3個の電極74、75、76が設
けられている。3個の電極は、電気伝導度を検出するた
めの電気伝導度検出用電極74と、該電気伝導度検出用
電極74の両側にそれぞれ間隔をもって配置された2個
の交流電流供給用電極75、76とからなる。2個の交
流電流供給用電極75、76にはアンプ77を介して、
同相の交流電流が、同電位の定電圧にて供給されてい
る。電気伝導度検出用電極74からの検出電流が、前述
の減算処理に供される。
いては、電気伝導度検出用電極74は、その両側に配置
され、同相の交流電流が供給される2個の交流電流供給
用電極75、76によって、測定管72の延設部位のい
ずれかの部位に存在するであろう接地点に対し、電気的
にシールドされることになる。すなわち、2個の交流電
流供給用電極75、76には、定電圧交流電流が同相で
供給され、電気伝導度検出用電極74と交流電流供給用
電極75、76間の電位差は常に所定の一定値に保たれ
るから、電気伝導度検出用電極74と外部接地点との間
には実質的に電気的な抵抗が存在しない状態となる。し
たがって、図4に示したセル構成における、電気伝導度
検出用電極と外部接地点との間の抵抗値やその抵抗値の
変動に起因する電気伝導度検出用電極からの出力電流へ
の影響は、実質的に全く無くなる。換言すれば、電気伝
導度検出用電極74から外部接地点への漏洩電流は全く
存在しないことになる。その結果、電気伝導度検出用電
極74からの出力電流は、常時外乱の無い状態で取り出
され、外乱によるばらつきや変動が防止されて、常時高
精度の電気伝導度の測定が安定して行われる。
ては、絶縁された測定管82中に流されてくる、あるい
は測定管82中に貯留されている被測定物質としての被
測定流体83に対し、その被測定流体83に接する3個
の電極84、85、86が設けられている。3個の電極
は、電気伝導度を検出するための電気伝導度検出用電極
84と、該電気伝導度検出用電極の片側に間隔をもって
配置された交流電流供給用電極85と、電気伝導度検出
用電極84の反対側に間隔をもって配置された接地電極
86とからなる。交流電流供給用電極85には、アンプ
87を介して、所定の交流電流が定電圧にて供給されて
いる。電気伝導度検出用電極84からの検出電流が、前
述の減算処理に供される。
いては、交流電流供給用電極85のみに交流電流が定電
圧にて供給され、接地電極86は接地により強制的に電
位0とされ、これら電極85、86が電気伝導度検出用
電極84の両側に配置されている。したがって、電極8
5、86間は、電気伝導度検出用電極84によって、電
気回路的には、いわゆる抵抗分割された形態となってい
る。この電極85、86間の回路においては、電極85
には所定の定電圧交流電流が供給され、電極86は接地
により強制的にその電位が常時0とされ、この状態は常
に安定している。つまり、測定管82のいずれかの延設
部位が接地された状態にあったとしても、その接地点と
電気伝導度検出用電極84との間の抵抗等が入り込む余
地はなく、それによって電気伝導度検出用電極84から
取り出される電流がシフトしたり変動したりすることは
なくなる。したがって、電気伝導度検出用電極84から
の出力電流は、常時外乱の無い状態で取り出され、外乱
によるばらつきや変動が防止されて、常時高精度の電気
伝導度の測定が安定して行われることになる。
械的な構成はとくに限定されず、たとえば図7に示すよ
うな構造とすることができる。図7に示す電気伝導度測
定セル91においては、たとえば図8に示すような、導
電金属からなる電極本体92の表面に、酸化チタン層9
3により電極面が形成された電気伝導度測定用電極94
が用いられることが好ましい。酸化チタン層93は、導
電金属からなる電極本体92の表面に、スパッタリン
グ、メッキ等の表面処理により形成されるか、あるい
は、電極本体92をチタン金属から構成し、その表面を
酸化することにより形成されている。酸化は、電気分解
や空気酸化により行われる。
示した2個あるいは3個の各電極に相当する電極として
用いられ、図7に示すように、絶縁体からなる電極ホル
ダ95に、電極面を露出させた状態で埋設されている。
図7に示す電気伝導度測定セル91では、3個の電極9
4は一列に配置され、両側の電極94a、電極94bが
電源へと接続される交流電流供給用電極、中央の電極9
4cが電気伝導度検出用のセンサーとして機能する電気
伝導度検出用電極を構成している。
固定される。基体96には、被測定流体(たとえば、水
溶液)を流入させる流入口97および流出させる流出口
98と、電気伝導度測定用の流通孔99および流通孔1
00が設けられている。電極ホルダ95には、流通孔1
01と流通孔102が設けられており、流通孔101は
基体の流通孔99と、流通孔102は基体の流通孔10
0とそれぞれ連通するように配置されている。流入口9
7から流入された被測定流体は、基体96の内部通路1
03、流通孔99、電極ホルダ95の流通孔101を通
して、各電極94の電極面側に形成される被測定物質貯
留空間104に流入される。被測定物質貯留空間104
は、被測定流体の電気伝導度測定用流路を形成する。被
測定物質貯留空間104からの流体は、電極ホルダ95
の流通孔102、基体96の流通孔100、内部通路1
05を通して、流出口98から流出される。
4cに対応した位置に貫通孔106a、106b、10
6cが穿設されており、貫通孔106a、106b、1
06cを通して必要な電気配線が引き出されるようにな
っている。
では、シート状のパッキン107と、電極ホルダ95に
パッキン107を介して間隔をあけて対向配置された透
光体としての透明ガラス板108によって画成されてい
る。このガラス板108の被測定物質貯留空間104側
表面においても、透光性を損なわない程度に酸化チタン
コートが施されていることが好ましい。この被測定物質
貯留空間104内を流れる流体の電気伝導度が測定され
る。
ラス板108は、ボルト109を介してカバー体110
により、基体96の一面側に固定される。カバー体11
0には、透光用の窓111が開設されている。この窓1
11を通して、外部に配置された光照射手段112から
の光が照射される。照射された光は、窓111からガラ
ス板108を通して、各電極94a、94b、94cの
電極面を形成している酸化チタン層93に照射される。
照射される光は、酸化チタン層93に光触媒活性を発揮
させる波長を有する光が選択される。たとえば、特定の
波長(たとえば、300〜400nmの波長)の紫外線
を使用でき、光照射手段112としては、たとえば紫外
線を発光するブラックライトを使用することができる。
すれば、光照射手段112による光照射により、各電極
94a、94b、94cの表面に設けられた酸化チタン
層93が光触媒活性を発揮し、被測定物質貯留空間10
4を流される被測定流体中に有機物が含まれている場合
にも、該有機物が光触媒活性により分解されるので、電
気伝導度測定の際電極面でイオン交換が行われても、非
導電性の有機物が電極面に付着したり吸着されたりする
ことは防止される。したがって、電極面の定期的なクリ
ーニングは不要になり、クリーニングなしでも、常時安
定して電気伝導度を精度良く測定することができる。ま
た、その精度の良い測定の再現性も確保される。
間104側表面に酸化チタンコートを施しておけば、こ
の面側でも有機物の付着や吸着が阻止され、被測定物質
貯留空間104内への有機物の蓄積等も防止されて、良
好な測定精度が維持される。
定装置に用いる差伝導度計について詳細に説明してきた
が、本発明においては、上記のような差伝導度計が、リ
ン化合物類の濃度測定装置に組み込まれている。この差
伝導度計は、前述の如く、例えば、表面が酸化チタンの
被膜で覆われている電極を用いて光照射下で使用する電
極構成とでき、かつ、特別の差分測定回路を持つ装置構
成としてあるので、特に高電気伝導度で水溶性有機物を
含むような系で極めて微少の電気伝導度の変化を安定に
検出できるようになる。この電気伝導度の変化(電気伝
導度増加量)からリン化合物類の濃度を求めるのが、本
発明に係るリン化合物類の濃度測定方法および装置であ
る。
れが大きく安定な測定はほぼ不可能であったが、前述の
如く、電極表面が酸化チタンの被膜で覆われていてかつ
酸化チタンを活性化する350nm程度の光で照射され
る構成とすることにより、電極表面は非常に親水性(超
親水界面が形成される)が高く、しかも光触媒活性によ
り有機物等の酸化分解特性を有するので、電極表面には
有機物などの付着が起こらない。また、イオンの水和構
造も界面で破壊されないため、従来の電極材料に比較し
て極めて安定である。とくに、3電極を用いた交流定電
圧ドライブと交流電流増幅、並びに2つの電気伝導度セ
ルを構成し、それらの差分測定回路を用いて、電極材料
の特徴を活かした、ほぼ究極に近い超高感度、高安定な
差伝導度計に構成することができる。
酸化され、酸化前後の電気伝導度の増加が上記のような
差伝導度計を用いて高精度、高感度で測定され、測定さ
れた電気伝導度増加量からリン化合物類の濃度が定量さ
れる。この試料中のリン化合物の酸化分解によって生じ
た電気伝導度増加量の測定方法としては、特に制限はな
く、試料を連続的に酸化手段に導入し、連続的に試料の
酸化前後の電気伝導度増加量を測定する方法や、キャリ
ア液中に試料を注入し、これを酸化手段に導入して電気
伝導度増加量を測定する方法などを用いることができ
る。特に好ましい方法としては、試料の電気伝導度に合
わせた標準液をキャリア液として用い、キャリア液中に
試料を注入して連続的に酸化分解と前記電気伝導度増加
量を測定する方法が挙げられる。この方法では、上記本
発明で用いられる検出装置である差伝導度計の測定感度
を更に高めることができ、高感度測定に有利となるた
め、本発明において好適に用いられる。
係るリン化合物類の濃度測定装置の一例を図9に示す。
図9に示すリン化合物類の濃度測定装置200は、試料
の電気伝導度に応じた標準液をキャリア液として用いる
システムとして構成されている。ボトル201中にキャ
リア液としての標準液202を貯留し、デガッサー20
3を介して、ポンプ204によりキャリア液をサンプル
インジェクションバルブ205に供給する。サンプルイ
ンジェクションバルブ205は、供給されてきたキャリ
ア液をそのまま定量、あるいは、別の系206から供給
されてくる試料をキャリア液で希釈して定量し、デガッ
サー207を介して、試料測定流路208に供給する。
この試料測定流路208に、前述したような差伝導度計
209が配置されている。差伝導度計209は、2個の
電気伝導度測定セル210、211(チャンネルCH1
とch2)を備え、両電気伝導度測定セル210、21
1間に、所定容量の時間遅延カラム212が介装されて
いる。この時間遅延カラム212が、例えば前述したよ
うな、光触媒担持体を充填、固定化した酸化手段に構成
されており、所定の時間、試料測定流路208中に流さ
れる試料流体を酸化するようになっている。差伝導度計
209の増幅器213からは、前述したような、両電気
伝導度測定セル210、211からの検出信号自身の差
の信号、つまり、両電気伝導度測定セル210、211
の位置間の電気伝導度の差信号が、この間における電気
伝導度増加量に対応する信号として高精度で出力され
る。
伝導度計209の安定化のために装備されている。つま
り、ミクロの気泡が通過することによる電気伝導度の揺
らぎを防ぐために使われている。時間遅延カラム212
は、電気伝導度の時間変化を検出するためのカラムで一
定体積と長さを備えて一定流量で送液されていれば、一
定時間間隔の伝導度をch1とch2の電気伝導度の差
として検出できる。
の標準液のみが流されている場合には、測定対象試料の
無い、ベースとしての電気伝導度の変化分の測定が可能
であり、試料を注入してキャリア液とともに試料測定流
路208に供給する場合には、その注入試料による電気
伝導度増加量の測定が可能である。
り、電気伝導度測定セル210、211の位置間の電気
伝導度の差が高精度で測定される。この試料中のリン化
合物類の酸化分解に基づく電気伝導度増加の特性は、例
えば図10および図11に示すようになる。注入試料に
より、試料測定流路208中のリン化合物類の濃度が連
続的に変化した場合には、その時間微分をとると、リン
化合物類濃度の変化は図10に示すように電気伝導度変
化分としてひとつのピークとなって検出される。一方、
リン化合物類濃度の一過的変化が起こった場合には、リ
ン化合物類濃度の変化は、電気伝導度変化分として、図
11に示すようなオーバーシュート波形として検出され
る。従来型の電気伝導度計を用いた場合には、試料のベ
ースの電気伝導度が極めて大きい場合、このような微少
なリン化合物類濃度に対応する電気伝導度の変化を検出
することは不可能である。本発明では、上記のような差
伝導度計209を用いることにより、リン化合物類の酸
化分解による微少な電気伝導度増加量が高精度、高感度
で迅速に測定され、それによってリン化合物類濃度が極
めて高精度、高感度で定量される。
ついて説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。なお、試料としては、水系等の対象系からサン
プリングしたものをそのまま試料として用いる場合や、
かかる対象系からサンプリングした試料を水等の溶媒で
一定の希釈率で希釈した溶液を試料として用いる場合な
ど、様々な場合がある。
る際の測定条件としては、特に制限はなく、測定温度、
pH、試料中のイオン濃度、試料中のリン化合物類濃
度、試料の供給速度、光触媒担持体を使用した酸化手段
を用いる場合の光照射強度、光照射時間、共存酸化剤の
種類や濃度等は任意に設定することができる。ただし、
リン化合物類の検出感度は、測定温度、pH、試料の供
給速度、光照射強度、光照射時間、共存酸化剤の種類や
濃度の影響を受けるため、一定の測定条件で測定を行う
ことが好ましい。好ましい測定条件としては、以下の条
件が挙げられる。 温度:10〜70℃ pH:3〜9 光照射強度:1〜100W 光照射時間:20〜200秒 共存酸化剤の種類:酸素、過酸化水素、オゾン 共存酸化剤の濃度:0.01〜100ミリモル/L
システムについて説明する。装置は、前述の如く、基本
的にキャリア溶液を送液するポンプ、リン化合物類を含
む試料溶液をキャリア溶液中に注入するインジェクター
(インジェクションバルブ)、リン化合物類を酸化する
酸化反応器(酸化手段)、酸化前後の電気伝導度を測定
する差伝導度計を有し、加えて、差伝導度計で測定され
たデータを記録するデータプロセッサー等で構成され
る。ただし、場合によっては、リン化合物類を含む試料
溶液そのものを連続的に供給し、キャリア溶液を用いな
いこともあるため、そのような系ではインジェクターは
不要となる。
た、電気伝導度増加量対リン化合物類濃度の検量線を内
包し、リン化合物濃度計算等の演算処理を行うことがで
きるのが好ましく、更に必要に応じて、リン化合物類含
有溶液を供給するポンプ等のポンプ類に制御信号を出力
できることが好ましい。
の電極表面での気泡生成を抑制するためのデガッサー
や、試料とキャリア液とを均一に混合するためのインラ
インミキサーや混合コイル等の混合器などを必要に応じ
て設置してもよい。
び装置を図12を用いて説明する。図12は、本発明の
測定方法を実施する装置の一例である。キャリア液に
は、インジェクター301から一定量のリン化合物類を
含む試料が注入される。この試料を含むキャリア液は、
ポンプ302により酸化装置304(酸化反応器)の直
前に設置された差伝導度計306の一方の電気伝導度測
定セル303の位置に供給される。ここで酸化前の電気
伝導度を測定された試料を含むキャリア液は、酸化装置
304で連続的に酸化されて、差伝導度計306の他方
の電気伝導度測定セル305の位置に供給される。差伝
導度計306では酸化前の電気伝導度から酸化後の電気
伝導度への増加量(変化分)が測定され、データプロセ
ッサー307に記録されるとともに、その電気伝導度増
加量から、リン化合物類濃度が定量される。
物類が高感度でかつ幅広い定量範囲で簡便に検出するこ
とが可能である。更に、本発明の方法は、応答速度が速
いため、特に連続流れ分析法(FIA:Flow In
jection Analysis)に代表される全自
動連続測定系における高感度検出法としての応用展開が
可能である。
理システムやボイラー水処理システムおよび用・排水処
理システムに代表される各種水処理システムに応用する
ことができる。また、水処理システム以外にもリン化合
物類が添加されている系であれば、本発明の方法、装置
を応用することができる。例えば、食品添加物として、
保水性をよくするためにハム・ソーセージ、清涼飲料の
酸味剤、食肉結着剤、味噌・醤油・マヨネーズ等の変色
防止、あん・甘納豆・缶詰等の変色防止及び保存向上、
ビタミンCの破壊防止等に用いられているリン化合物の
定量分析、製紙用としてペーパーコーティング時におけ
る液中粘土の分散性向上に用いられているリン化合物の
定量分析、軽金属の脱酸、医薬品・顔料沈殿剤、農薬等
の原料及び製造、難燃剤、繊維加工、消化剤、防火塗料
の配合剤、界面活性剤(繊維帯電防止剤等の原料)、メ
ッキ、有機合成触媒、ポリマー重合時の着色防止剤、ポ
リエチレンテレフタラート樹脂・繊維の着色防止剤、可
塑剤、柔軟性付与剤、潤滑油添加剤、硬質ポリウレタン
用ポリオールの減粘剤、金属抽出剤、殺虫・殺菌剤原
料、プラスチックの安定剤原料の用途で用いられている
リン化合物の定量分析が挙げられる。
するが、実施例は本発明のいくつかの実施態様を説明す
るものであり、本発明を何ら限定するものではない。な
お、Lはリットルを表わす。
鎖状低密度ポリエチレンペレット(東ソー(株)製、商
品名「ニポロンL−M65」、比重0.92)からなる
直径1mmのポリマー粒状体をアンダーウォーターカッ
ト法により調製した。このポリマー粒状体300gと、
光触媒活性を持つ二酸化チタン粉末(日本アエロジル
(株)製、商品名「P−25」、結晶形:アナターゼ)
18.4gを1リットルのナス型フラスコに入れ、回転
攪拌できるエバポレーターの攪拌装置に設置し、均一に
混ざる様に予備攪拌した。その後、、該フラスコを回転
せしめながら、オイルバスにて185℃まで加熱し、光
触媒粒子をポリマー粒状体表面に熱融着せしめた。投入
した殆ど全ての二酸化チタン粒子がポリマー粒状体に担
持された為、該光触媒担持体の光触媒粒子含有量は約6
重量%であった。
った。なお、図12中の酸化反応器304(酸化手段)
としては、参考例1で製造した光触媒担持体を内径2m
m、長さ40cmのテフロンチューブに充填し、ブラッ
クライト(40W)の周囲にらせん状に設置したものを
用いた。
−1,1−ジホスホン酸を用い、純水で希釈して表1に
示す濃度に調製し、インジェクター301から200μ
Lずつキャリア溶液中に注入した。また、キャリア液と
しては純水に過酸化水素を10ミリモル/Lとなるよう
に添加したものを用い、1.0ml/min.で送液し
た。結果を表1に示す。
スホン酸を用い、工業用水を5倍に濃縮した濃縮水(電
気伝導度400μS/cm)で希釈したことと、キャリ
ア液として、純水に硫酸を加えて電気伝導度を400μ
S/cmに調製し、更に過酸化水素を10ミリモル/L
となるように添加したものを用いたことを除いて、実施
例1と同様の操作で1−ヒドロキシエチリデン−1,1
−ジホスホン酸の検出を行った。結果を表2に示す。
方法を用いれば、リン化合物類が極めて高感度で測定で
きる。さらに、実施例2より、イオン濃度の高いサンプ
ル中に存在するリン化合物類であっても、本発明の方法
を用いれば、高感度で測定することができる。
によれば、リン化合物類が極めて高感度かつ再現性良く
測定できるため、リン化合物類が添加されている幅広い
用途範囲において本発明の応用が可能である。また、本
発明の方法は、最近注目されている連続流れ分析法によ
る全自動連続測定系への応用展開が可能である。
用される差伝導度計の構成例を示す概略回路図である。
用される差伝導度計の別の構成例を示す概略回路図であ
る。
合物類の濃度測定装置に使用される差伝導度計の使用例
を示す概略構成図である。
導度測定セルの一例を示す概略構成図である。
導度測定セルの別の例を示す概略構成図である。
導度測定セルのさらに別の例を示す概略構成図である。
導度測定セルの機械的な構成例を示す分解斜視図であ
る。
導度測定セルの電極の構成例を示す斜視図である。
例を示す概略構成図である。
である。
性図である。
ロック図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 リン化合物類を含む試料を酸化し、試料
の酸化前の電気伝導度と酸化後の電気伝導度との差分
を、少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セル
を前記酸化前の位置と酸化後の位置とに配置し、両電気
伝導度測定セルからの検出信号自身の差分を両電気伝導
度測定セルの位置間の試料の電気伝導度の差分として出
力する差伝導度計を用いて検出することにより、リン化
合物類の酸化分解によって生じた電気伝導度増加量を測
定し、該電気伝導度増加量から試料中のリン化合物濃度
を定量することを特徴とする、リン化合物類の濃度測定
方法。 - 【請求項2】 前記試料の酸化剤として光触媒を担体上
に固定化した固体酸化剤を用い、この酸化剤と前記試料
を接触させた状態で光を照射して前記試料を酸化するこ
とを特徴とする、請求項1に記載のリン化合物類の濃度
測定方法。 - 【請求項3】 前記電気伝導度増加量の測定において、
前記試料の電気伝導度に応じた標準液をキャリア液とし
て用い、キャリア液中に試料を注入して連続的に試料を
酸化し、かつ、連続的に前記電気伝導度増加量を測定す
ることを特徴とする、請求項1または2に記載のリン化
合物類の濃度測定方法。 - 【請求項4】 リン化合物類を含む試料が流される試料
測定流路と、該試料測定流路中に配された試料の酸化手
段と、該試料の酸化手段の上流側および下流側に配され
た、少なくとも2個の電極を有する電気伝導度測定セル
を備え、両電気伝導度測定セルからの検出信号自身の差
分を両電気伝導度測定セルの位置間の試料の電気伝導度
の差分として出力する差伝導度計とを有し、該差伝導度
計の出力から、リン化合物類の酸化分解によって生じた
電気伝導度増加量を測定し、該電気伝導度増加量から試
料中のリン化合物濃度を定量するようにしたことを特徴
とする、リン化合物類の濃度測定装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008073667A (ja) * | 2006-09-25 | 2008-04-03 | Kurita Water Ind Ltd | リン酸含有排水の処理方法及び装置 |
-
2000
- 2000-03-30 JP JP2000093851A patent/JP2001281188A/ja active Pending
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