JP2000171397A - 水処理用薬品の濃度管理方法 - Google Patents

水処理用薬品の濃度管理方法

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JP2000171397A
JP2000171397A JP10344789A JP34478998A JP2000171397A JP 2000171397 A JP2000171397 A JP 2000171397A JP 10344789 A JP10344789 A JP 10344789A JP 34478998 A JP34478998 A JP 34478998A JP 2000171397 A JP2000171397 A JP 2000171397A
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JP10344789A
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Kenjiro Adachi
健治郎 足立
Zenichi Nishi
善一 西
Machiko Ogawa
眞智子 小川
Makoto Horiike
誠 堀池
Toshiharu Wake
敏治 和気
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Tohzai Chemical Industry Co Ltd
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Organo Corp
Tohzai Chemical Industry Co Ltd
Japan Organo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 迅速で正確且つ精度良く水中の有効成分濃度
の測定を行うことができ、該有効成分濃度を監視するこ
とにより水処理用薬品の濃度管理を行う。 【解決手段】 冷却水系等の水系の水中の水処理用薬品
の一有効成分(主に分散剤)として作用する水溶性ポリ
マーとして、蛍光性を有する溶媒、好ましくは芳香族炭
化水素系溶媒又はその誘導体系溶媒、特に好ましくはo
−キシレン又はo−キシレン誘導体系溶媒を用いて重合
した水溶性ポリマーを使用し、この水溶性ポリマーの水
中濃度を蛍光光度分析で定量、監視する。その定量値に
基づいてスケール防止剤や防食剤や凝集剤等の水処理用
薬品の必要量を水系に添加、補充することにより、水系
の水処理用薬品濃度の制御・管理を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系の水処理用薬
品の濃度管理方法に関し、特に、冷却水系、ボイラー水
系、プロセス使用水系(工程水系)、逆浸透膜(RO
膜)等の膜を使用する膜処理水系、脱水処理水系(凝集
沈澱汚泥等の脱水処理において得られる処理水系)、排
水処理水系等の各種工業的水系、特に冷却水系等の循環
水系の水中の水処理用薬品(水処理薬剤、水系添加薬
剤)の濃度管理方法に関する。詳しくは、本発明は、水
系に添加した特定の水溶性ポリマーを蛍光光度分析によ
り検出、定量する方法によって、安定的且つ効率的な水
処理用薬品の濃度管理を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、あらゆる産業において工
業的水系は重要な役割を果たしている。例えば、工業用
水が用いられる工業的水系としては循環水系があり、多
用される循環水系には、開放系や閉鎖系の冷却水系、ボ
イラー水系、プロセス使用水系、逆浸透膜(RO膜)等
の膜を使用する膜処理水系等がある。特にこれらの循環
水系の水処理には、腐食、スケール、スライム等の水に
起因する障害を防ぐために種々の水処理用薬品が使用さ
れている。一般に、冷却水系等の循環水系で使用される
水処理用薬品には、防食剤、分散剤、スケール防止剤、
殺菌剤、スライム防止剤(バイオファウリング抑制剤)
等がある。また、これらの水処理用薬品が使用される水
系は上記の様な循環水系に限られず、脱水処理水系や排
水処理水系等もある。
【0003】これらの各種の水処理用薬品の効果による
適切な水処理を行い、水系中においてこれらの水処理用
薬品の有する効果を持続させるためには、水系中にほぼ
最適量の水処理用薬品を含有させるのが望ましく、その
ため、任意の位置、時間等におけるこれらの水処理用薬
品濃度を正確に把握し、適切な濃度管理を行うことが必
要である。
【0004】また、上記の各水系では、水溶性ポリマー
を分散剤や防食剤や凝集剤等として水処理用薬品の少な
くとも一成分として用いるのが通常である。かかる水溶
性ポリマーの一例として、カルボン酸基含有水溶性ポリ
マーなどは、スケール防止剤、防食剤、分散剤、洗浄
剤、凝集剤、その他の機能剤として使用されている。
【0005】水処理用薬品の中で、分散剤や防食剤や凝
集剤等として機能する水溶性ポリマーの濃度測定に関し
ては、その水中濃度の測定が困難なものが多く、水溶性
ポリマーの種類によっては比色法や比濁法又はその他の
定量法で直接的に測定するものもあるが、その濃度測定
操作が煩雑であったり、濃度測定操作に長時間を要した
り、測定値に実験者による推定や誤差を含んだり、ま
た、水系の運転状態の変化に対応した水処理用薬品の添
加量の調整を即時に行うことができないため、プラント
の運転管理上実用的でない場合がある。
【0006】そのため、分散剤や防食剤や凝集剤等とし
て機能する水溶性ポリマー等の水処理用薬品それ自身の
濃度の測定が不可能あるいは困難な場合の濃度管理方法
として、簡単に濃度測定できる物質をトレーサーとして
用いることが広く行われている。つまり、水処理用薬品
成分にトレーサー物質を添加、混合し、水中のトレーサ
ー物質濃度を測定し、間接的に水処理用薬品成分濃度を
測定するという方法(例えば、臭素トレーサー法、リチ
ウムトレーサー法、蛍光トレーサー法、色素トレーサー
法)が行われている。
【0007】また、水処理用薬品としての一有効成分で
あり且つ分散剤や防食剤や凝集剤等として機能する水溶
性ポリマーにトレーサー物質を化合させるか、その重合
時にトレーサー物質を共重合させて、そのポリマー分子
に化学結合したトレーサー物質の水中濃度を測定し、直
接的に水処理用薬品成分濃度を測定する方法も提案され
ている。例えば、水処理用薬品としては非有効成分であ
る蛍光物質(例えば、ナフタレンスルホン酸塩類、その
他)で水溶性ポリマー系水処理用薬品を蛍光標識化し、
この蛍光物質を励起波長で励起させ、その蛍光波長での
蛍光強度を測定して水処理用薬品の濃度管理を行う方法
がある(特開平4−326978号公報、特開平5−1
63591号公報等)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】分散剤や防食剤や凝集
剤等として機能する水溶性ポリマーの濃度を測定する従
来方法のうち、比色法、比濁法等は、現場での測定が困
難であったり、測定時間が長かったり、測定に大掛かり
な装置が必要であったりなどの理由で、水系から試料水
をサンプリングしてから測定結果を得るまでに長時間を
要するという欠点がある。そのため、フィードバック情
報の提供は、水系から試料水をサンプリングした時点か
ら長時間経過後になり、その長時間の間に水処理用薬品
が消費された量はそのフィードバック情報データには含
まれず、そのデータは殆ど価値が無い場合も生じる。な
お、比濁法は、例えば、カルボン酸基含有水溶性ポリマ
ー等の分散剤や防食剤や凝集剤等として機能するアニオ
ン性水溶性ポリマーを含む水性媒体にカチオン性ポリマ
ーを添加、懸濁させて濁度計で濁度を測定し、検量線か
ら該アニオン性水溶性ポリマーの定量を行う分析方法
で、分析精度や分析安定性に劣り、水中の上記アニオン
性水溶性ポリマーの濃度が実用使用濃度領域で測定下限
濃度値以下の場合もあり、定量方法の適応性に問題があ
るので実用性にも欠ける。
【0009】また、水処理用薬品成分にトレーサー物質
を添加、混合する方法は、フィードバック情報の提供は
瞬時に行えるが、水系中の水処理用薬品としての有効成
分についてのフィードバック情報に基づいてその濃度管
理を行うものとは言えず、水処理用薬品の有効成分が消
費された場合を想定していないので、実際の有効成分濃
度と食い違う場合があるという欠点がある。加えて、臭
化物イオン、リチウムイオン等の無機系トレーサーの場
合は余り問題にならないが、有機系トレーサーの場合
は、トレーサー物質自体が必ずしも化学的に安定である
とは限らない場合があり、例えば、冷却水系内でトレー
サー物質の消費が起こり、正しい水処理用薬品濃度を示
さない可能性がある。
【0010】水処理用薬品としての一有効成分であり且
つ分散剤や防食剤や凝集剤等として機能する水溶性ポリ
マーの分子に蛍光トレーサー物質等のトレーサー物質を
化学結合させる方法は、分散剤や防食剤や凝集剤等の効
果に関わる成分ではないトレーサー物質を水溶性ポリマ
ーと更に反応させることになるので、水溶性ポリマー系
水処理用薬品製造の工程数が増える分だけコスト高とな
り、分散剤や防食剤や凝集剤等の効果自体が減少する可
能性もある。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、迅速で正確且つ精度良く水中の有効成分濃度の測定
を行うことができ、該有効成分濃度を監視することによ
り水処理用薬品の濃度管理を行う方法を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、冷却水系
等の水系中の水処理用薬品の有効成分濃度を直接的且つ
正確に測定して、実質的に最適な水処理用薬品濃度に制
御する方法を開発するために、鋭意研究を重ねた結果、
水中の水処理用薬品の一有効成分として作用する水溶性
ポリマーとして、蛍光性を有する溶媒を用いて重合して
得られた水溶性ポリマーを使用し、この水溶性ポリマー
の水中濃度を監視することで水処理用薬品の有効添加量
を制御する方法が、その目的を達成することを見出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、蛍光性を有する溶媒を用
いて重合して得られた水溶性ポリマー(以下、時に「ポ
リマーA」と略称する)を水系に添加し、水中の前記水
溶性ポリマーの濃度を蛍光光度分析で測定することによ
り、水中に添加した水処理用薬品の濃度管理を行うこと
を特徴とする水処理用薬品の濃度管理方法を提供するも
のである。
【0014】ポリマーAは、(無水)マレイン酸単量体
及び/又は(メタ)アクリル酸系単量体を必須成分とし
て重合して得られる水溶性ポリマーで、蛍光性を有する
溶媒を使用して重合されたものである。蛍光性を有する
溶媒としては、重合して得られる水溶性ポリマーに蛍光
性を付与することができる溶媒であれば如何なる溶媒で
もよく、例えば、ピロール、オキサジン、ピラジン、イ
ンドール、カルバゾール、芳香族炭化水素類、および、
それらの誘導体類を挙げることができる。中でも、ベン
ゼン、トルエン、ナフタレン、アントラセン、o−キシ
レン等の芳香族炭化水素類やそれらの誘導体類が好まし
く、特に下記式(I)で表わされるo−キシレン又はo
−キシレン誘導体類が好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】(但し、R、R、R及びRは各々
独立して水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基又
はカルボキシル基を表わし、R及びRは各々独立し
て水素原子又はメチル基を表わすか、或いはR及びR
は一緒になってメチレン基又はエチレン基を表わ
す。)
【0017】ポリマーAの重合に用いることができる単
量体としては、マレイン酸や無水マレイン酸の他、(メ
タ)アクリル酸系単量体として、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N
−置換アクリルアミド類などを挙げることができる。こ
れらの単量体は単独で重合させてもよく、また、2種以
上を組み合わせて共重合してもよい。得られるポリマー
の水溶性とその水中での蛍光光度分析性を損なわない限
りにおいて、更に、これらの単量体と共重合可能なその
他の単量体を共重合させてもよい。この様なその他の単
量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のビニー
ルスルホン酸類やアクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メ
タ)アクリル酸アルキル類、酢酸ビニールなどを挙げる
ことができる。
【0018】ポリマーAの代表的な具体例としては、
(無水)マレイン酸重合体、および、(無水)マレイン
酸、アクリル酸アルキル、酢酸ビニールの共重合物など
がある。ポリマーAは、主に分散剤として使用される水
処理用薬品である。
【0019】ポリマーAには、蛍光性を有する溶媒が何
らかの形で取り込まれ、蛍光性を付与されている。例え
ば、o−キシレン又はo−キシレン誘導体等を溶媒とし
て用いた場合は、その芳香族環がポリマー構造中に取り
込まれており(特開平2−247206号公報参照)、
本発明者等は、ポリマーAに取り込まれたo−キシレン
又はo−キシレン誘導体等の芳香族環には固有の蛍光性
があることを見出した。このような固有の蛍光性の存在
は、他の蛍光性を有する溶媒を用いた場合も同様であ
る。
【0020】例えば、溶媒として用いたo−キシレン又
はo−キシレン誘導体等の芳香族炭化水素やその誘導体
に由来するポリマーAに取り込まれた芳香族環は、蛍光
トレーサー物質として意図的にポリマーに重合させたも
のとは違うので、分散剤や防食剤や凝集剤等としての効
果を減少させたり、水溶性ポリマー系水処理用薬品製造
の余分な工程を踏むことによる製造コストの増加はな
い。
【0021】ポリマーAは、蛍光性があるため、適当な
条件下であれば、蛍光光度法による定量が可能である。
よって、冷却水系等の各種工業的水系の水中のポリマー
Aの濃度を直接測定し、確認することができるので、そ
の濃度管理を容易に行うことが可能となる。
【0022】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
よれば、水中で主に分散剤として機能する一有効水処理
用薬品成分として使用しているポリマーA自身を蛍光光
度分析法により直接検出し、定量するので、その濃度を
迅速に正確且つ精度良く測定することができ、より適正
な水処理用薬品の濃度管理を行うことができる。
【0023】本発明においては、ポリマーAを添加した
水系からサンプリングした試料水の蛍光光度分析法によ
りその濃度を求める。より具体的には、或る特定の励起
波長と蛍光波長によって得られた試料水の蛍光強度の測
定値を、予め作成しておいた検量線と対比することによ
りポリマーAの濃度を算出する。なお、実試料水自体の
蛍光強度を測定するのが一般的であるが、後述する様
に、必要に応じて実試料水の希釈液や精製液の蛍光強度
を測定して、ポリマーAの濃度を算出することもでき
る。
【0024】本発明によれば、水系中における水処理用
薬品の濃度管理方法において、水系中の水処理用薬品中
に混合されたそれ自体一有効成分であるポリマーAにつ
いて、水系中における該ポリマーAの濃度を蛍光光度法
で監視することにより、ポリマーAを含む水処理用薬品
各成分の濃度がスケール防止や金属腐食防止等を行うた
めに充分な濃度を水系中で維持できるように、例えば、
必要に応じて水処理用薬品の必要量を水系に添加する制
御を行って水処理用薬品の濃度の管理を行うことができ
る。即ち、ポリマーA濃度の測定値に基づいて、各水処
理用薬品の必要量を上記水系に添加、補充して水処理用
薬品の濃度管理を行うことができる。この場合、ポリマ
ーA以外の水処理用薬品成分の添加量を制御してその濃
度管理を行うに当たっては、ポリマーAを一種のトレー
サーとして利用することとなり、例えば、ポリマーAの
添加量と比例する量のポリマーA以外の水処理用薬品成
分を添加する。なお、水処理用薬品をポリマーAを始め
とする各薬品成分を配合した水処理用薬品配合品の形と
することもでき、この場合は、ポリマーA以外の水処理
用薬品成分の添加量の計算を省略することができる。
【0025】本発明に従い水系中のポリマーA濃度を監
視することによって水処理用薬品の添加量を制御して水
処理用薬品の濃度管理を行う方法における添加対象であ
る水処理用薬品としては、例えば、他の水溶性ポリマー
等の分散剤(防食剤や凝集剤等としても機能する場合あ
り)、ホスホン酸類、燐酸塩、珪酸塩、亜硝酸塩、タン
グステン酸塩、硼酸、亜鉛塩、芳香族カルボン酸塩、亜
硫酸塩、ヒドラジン、タンニン、リグニン、リグニンス
ルホン酸塩、アスコルビン酸ナトリウム、エルソルビン
酸ナトリウム、グルコース等の防食剤、ベンゾトリアゾ
ール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾー
ル等のアゾール系銅防食剤、アンモニウム系化合物、ア
ミン系化合物、塩素系化合物、臭素系化合物、有機窒素
硫黄系化合物等の殺菌・殺藻剤を挙げることができ、こ
れらの薬品をポリマーAと併用したり、配合して使用す
ることは何ら差し支えない。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を説明するが、本発明はこのような実施の形態に限定
されるものではない。
【0027】トリス緩衝液でpH9に調整した純水中の
ポリマーAの一例(実施例1で使用したのと同じポリマ
ーA)の検量線は、励起波長250nm、蛍光波長29
0nmの条件では、図1の様になり、0.1〜20mg
/L(リットル)の範囲で極めて良好な直線性を示すこ
とから、蛍光強度の測定によりポリマーAの濃度を正確
に求めることができることが分かる。
【0028】この様な検量線は、ポリマーAを含まない
ブランク水及び異なる既知ポリマーA濃度の幾つかの対
照水の蛍光強度の測定を行って作成する。なお、ブラン
ク水としては、ポリマーAのみを含まず他の成分(例え
ば、不純物成分など)は同じブランク水を用いるのが測
定精度の点では好ましいことは勿論である。
【0029】本発明の方法を適用する水系として冷却水
系を例にとると、冷却水中ではポリマーAの標準使用濃
度は、2〜20mg/Lであるので、清浄な冷却水であ
れば、特に希釈や精製操作等の手順が無くても定量が可
能である。
【0030】しかし、例えば、冷却水系に本発明を適用
するためには、pHによる影響や冷却水自体が有する蛍
光バックグラウンド(冷却水中の物質の中で、蛍光バッ
クグラウンドに大きく影響するものとして、配管の腐食
等から由来する不純物鉄、銅防食剤成分のベンゾトリア
ゾールなどがある)による妨害等を考慮に入れた分析操
作を行う方が望ましく、分析値の正確さが増すためには
重要である。
【0031】例えば、上水道水に混入してくる種々の有
機物は220nm以下の波長の紫外線を吸収するものが
多く、220nm付近の励起波長で励起して蛍光光度を
測定すると、有機物が先に220nm付近の波長の光を
吸収してしまい、蛍光を発せしめるために関与させるべ
き光度が低下してしまうため、大きな負の誤差を与え
る。
【0032】また、冷却水中に特に銅管の保護のために
使用されるベンゾトリアゾール等は、270nmから2
80nm付近に特異的な吸収を示し、励起光の吸収や蛍
光の吸収の複雑な現象を起こし、結局大きな負の誤差を
与える。また、これらの吸収域を回避して、280nm
以上の波長で励起してもポリマーAが蛍光を発しない場
合が多い。従って、実試料水の蛍光光度分析には230
nmから270nmの範囲内の励起波長を用いるのが望
ましいことが分かった。
【0033】この様に、本発明者等は、ポリマーAに固
有の蛍光性があることを見出したのみならず、実試料水
の蛍光光度分析には、例えば、上記の例のポリマーAで
は上記の範囲内の励起波長を用いることが重要であるこ
とをも見出したものである。
【0034】ポリマーAに由来する蛍光強度の正確且つ
高精度な測定を行うために、冷却水の蛍光光度分析に適
当なpH、妨害物質の許容濃度を求めた結果、励起波長
250nm、蛍光波長290nmの条件では、pHが
6.5〜10の範囲内、不純物鉄濃度が1mg/L以
下、ベンゾトリアゾール濃度が1mg/L以下では測定
値に誤差を生じる様な影響を与えないことが判明した。
【0035】更に、本発明者等は、一般的な冷却水系の
循環水(防食剤、分散剤、スケール防止剤、殺菌剤、ス
ライム防除剤等の各種の水処理用薬品による処理が行わ
れているのが通常である)の試料水について広範な調査
を実施した結果、これらの冷却水のpHが6.5〜9.
5の範囲内、不純物鉄濃度が5mg/L以下でベンゾト
リアゾールが5mg/L以下であることを見出した。
【0036】従って、これらの循環水の試料水のうち、
比較的汚れている部類に入る水質のものであっても、例
えば、5〜10倍程度に純水で正確に希釈すれば、pH
およぴ妨害物質の許容濃度の範囲内となるので、蛍光光
度法による上記の如きポリマーAの定量が可能となる。
よって、この様な場合、本発明の水処理用薬品の濃度管
理方法における冷却水中のポリマーAの定量方法は、適
量の試料水を採取し、その試料水を純水で5〜10倍程
度に正確に希釈し、蛍光光度法によって希釈水の蛍光強
度を測定し、検量線と対比することにより、ポリマーA
の濃度を算出するものである。
【0037】また、更なるpHの安定及び/又は妨害物
質の除去のために、トリス緩衝液等の中性緩衝液やマス
キング剤(例えば、EDTA等の金属イオン封鎖剤等)
等の添加などの化学的操作、濾過などの物理的操作を加
えても構わない。
【0038】妨害物質の影響を排除する他の方法として
は、試料水に対して、必要に応じて試料水のpH調整
(例えば、pH2〜3へ調整)、吸着剤ゲルへのポリマ
ーAの選択的吸着、溶離等の処理操作を行い、得られる
溶出液(精製液)の蛍光強度を測定し、測定蛍光強度を
最初の冷却水系等の工業的水系のポリマーAの濃度に換
算し、その定量を行うこともできる(米国特許第451
4504号参照)。この場合、分析精度や分析安定性を
高めると共に、水系中のポリマーA濃度が低い時には上
記処理操作を通じてポリマーAの濃縮を行い、ポリマー
A濃度の測定下限値を低下させることができ、その定量
方法の適応性を広げることができる。但し、その操作は
煩雑で、時間と労力を要する。しかし、この方法を実施
する場合も本発明の実施であることに変わりない。
【0039】以上述べた様に、本発明による薬品(ポリ
マーA)濃度測定手順は、通常、非常に単純で、測定値
も迅速に得られるために、現場での水処理用薬品の濃度
管理を簡単に行うことができる。
【0040】つまり、水処理用薬品の濃度の管理は、蛍
光光度分析によるポリマーA濃度の測定値に基づいて不
足分の水処理用薬品をバッチ投入するか、水処理用薬品
の注入ポンプのストロークを調整する。また、オンライ
ン装置として蛍光光度分析機器(例えば、蛍光光度計)
を設置し、該分析機器からの出力信号を変換部で操作出
力に変換し、水処理用薬品注入ポンプを作動させること
により、水処理用薬品の濃度を自動制御することができ
る。
【0041】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は実施例に限定されるものではな
い。
【0042】実施例1 本発明の冷却水中のポリマーAの濃度測定による水処理
用薬品濃度管理についての適用性を確認するために、下
記の試験を実施した。なお、ポリマーAとしては、溶媒
としてのo−キシレン中で無水マレイン酸を平均分子量
が900となる様に重合して得られたポリマーを有効成
分濃度50重量%水溶液の形で用いた。
【0043】或る冷却水の実試料水(ポリマーAは含ま
ない)に、ポリマーAの濃度が5.0mg/Lとなるよ
うに正確に添加したサンプル(サンプル1)と、サンプ
ル1に更に、ベンソトリアゾールが5mg/L、鉄(鉄
配管等の腐蝕により生じる不純物鉄分として)が5mg
/Lとなるように添加したサンプル(サンプル2)を用
意した。そして、これらのサンプルを純水で10倍に希
釈してから、希釈試料水の蛍光強度を蛍光光度計で測定
した。蛍光光度計による蛍光強度の測定結果を、予め作
成しておいた検量線と対比することによりポリマーAの
濃度を算出した。
【0044】また、純水による希釈操作の有用性を確認
するために、サンプル1、2を希釈操作無しでそのまま
試料水とし、同様にそれらの蛍光強度を測定した。
【0045】測定に使用した蛍光光度計は、島津製作所
製蛍光光度計RF−5000であった。測定時の試料水
の温度は25℃で一定にし、励起波長は250nm、蛍
光波長は290nmの条件下で蛍光強度を測定した。
【0046】冷却水としては、戸田市工業用水を使用し
たもので、冷却水のpHは7.6、循環使用による給水
に対する濃縮倍数は約5倍であった。ポリマーAの残存
率(%)の結果を表1に示す。但し、残存率は、純水に
ポリマーAを所定のポリマーA/水の比で入れた場合の
蛍光強度測定値を残存率として100とした時、これに
対比して、実際の冷却水にポリマーAを同一のポリマー
A/水の比で入れた場合の蛍光強度測定値を残存率とし
て表した数値である。
【0047】
【表1】
【0048】表1からも分かるように、サンプル1に関
しては、希釈操作の有無に関わらず、良好なポリマーA
の残存率を示した。しかし、サンプル2に関しては、希
釈操作なしでそのまま測定した残存率と比較して、希釈
操作を行った方がより良い残存率が得られ、定量性があ
ることが確認された。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、分散剤や防食剤や凝集
剤等として機能する高分子ポリマ一を始めとする水処理
用薬品の水系における濃度管理方法において、主に分散
剤として機能する一有効成分であり、且つ、固有の蛍光
性を持つポリマーAを一種のトレーサー物質として蛍光
光度法で定量することにより、ポリマーAの濃度を直接
的に容易且つ迅速にしかも精度よく測定することができ
る。得られたポリマーA濃度値に基づいて、冷却水系等
の循環水系を始めとする各種工業的水系のスケール防止
や金属腐食防止等のための水処理用薬品の適正な濃度管
理を行うことが可能となり、水処理用薬品濃度を実質的
最適有効濃度に維持することもでき、スケール防止効果
や金属腐食抑制効果等の水処理用薬品の効果を良好に発
揮させつつ水系の運転を安定的に経済的且つ合理的に実
施することができる。
【0050】本発明の方法は、冷却水系、ボイラー水
系、プロセス使用水系、逆浸透膜(RO膜)等の膜を使
用する膜処理水系、脱水処理水系、排水処理水系等の各
種工業的水系に適用でき、特に冷却水系等の循環水系に
好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、純水中のポリマーAの一種の検量線を
表すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 善一 大阪府大阪市中央区城見2丁目1番6号 東西化学産業株式会社内 (72)発明者 小川 眞智子 大阪府大阪市中央区城見2丁目1番6号 東西化学産業株式会社内 (72)発明者 堀池 誠 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 (72)発明者 和気 敏治 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 Fターム(参考) 2G043 AA01 BA14 CA03 DA02 EA01 FA03 GA07 GB21 KA05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光性を有する溶媒を用いて重合して得
    られた水溶性ポリマーを水系に添加し、水中の前記水溶
    性ポリマーの濃度を蛍光光度分析で測定することによ
    り、水中に添加した水処理用薬品の濃度管理を行うこと
    を特徴とする水処理用薬品の濃度管理方法。
  2. 【請求項2】 前記の蛍光性を有する溶媒が、芳香族炭
    化水素又はその誘導体であることを特徴とする請求項1
    に記載の水処理用薬品の濃度管理方法。
  3. 【請求項3】 前記の芳香族炭化水素又はその誘導体
    が、o−キシレン又はo−キシレン誘導体であることを
    特徴とする請求項2に記載の水処理用薬品の濃度管理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記蛍光光度分析において、蛍光を発せ
    しめるための励起光源の励起波長を230nmから27
    0nmの範囲内の波長とすることを特徴とする請求項1
    から3のいずれかに記載の水処理用薬品の濃度管理方
    法。
  5. 【請求項5】 前記水溶性ポリマーが、(無水)マレイ
    ン酸単量体及び/又は(メタ)アクリル酸系単量体を必
    須成分として重合して得られたポリマーであることを特
    徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水処理用薬
    品の濃度管理方法。
  6. 【請求項6】 前記水溶性ポリマーの濃度の測定値に基
    づいて、前記水処理用薬品の必要量を前記水系に添加、
    補充することを特徴とする請求項1から5のいずれかに
    記載の水処理用薬品の濃度管理方法。
  7. 【請求項7】 前記水系が冷却水系、ボイラー水系、プ
    ロセス使用水系、膜処理水系、脱水処理水系、または、
    排水処理水系であることを特徴とする請求項1から6の
    いずれかに記載の水処理用薬品の濃度管理方法。
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