JP2011220980A - 試料液の蛍光染料濃度の測定方法 - Google Patents

試料液の蛍光染料濃度の測定方法 Download PDF

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公希 柏谷
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Abstract

【課題】試料流体のpHに拘わらず蛍光染料の蛍光強度を安定して求め、試料液の蛍光染料濃度を正確に求める。
【解決手段】蛍光染料が溶解する試料流体を、体積モル濃度(mol/L)が0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液で1:1の割合で希釈して試料液をpH8からにpH10に調整し、試料液の蛍光強度を標準液の検量線に当てはめて蛍光染料濃度を求め、試料液の蛍光染料濃度とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、種々のpHの試料液の蛍光染料濃度を測定することができる試料液の蛍光染料濃度の測定方法に関する。
放射性廃棄物処分の安全評価を行うため、処分場周辺の地下水流動を把握することが必要である。地下水流動の特性を把握するため、地中の特定物質の移動状況を監視し、放射性廃棄物の地中への漏洩を求めることが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。また、トレーサを混入した地下水のトレーサ濃度を検出し、地下水の状態を計測する技術が従来から知られている(例えば、特許文献2参照)。
地下水の状態を把握する目的で、ボーリング孔において地下水を採取し、地下水の水質等を分析することが行われる。ボーリング孔が掘削水を用いて掘削された場合、掘削水と地下水の混合が生じることで地下水の性状が変化する。そのため、掘削水にはトレーサとして蛍光染料が添加され、地下水に含まれる蛍光染料の濃度を測定することで、地下水と掘削水の混合割合が求められる。混合割合を基に、採取された地下水の分析で得られた各種データの信頼性が評価され、場合によっては混合割合を用いて地下水の分析値を補正することで、地下水の水質等が求められている。
蛍光染料の濃度は、地下水に含まれる蛍光染料の蛍光強度に基づいて求めることができる。しかし、pHや塩濃度、温度等の地下水の性質により蛍光染料の蛍光強度が変化することが知られている。このため、蛍光染料の濃度が同じ濃度であっても、地下水の性質により蛍光強度の値が変化してしまい、蛍光染料濃度を正確に測定することができない虞があるのが実情であった。蛍光染料濃度の測定に誤差が生じると、地下水と掘削水の混合率に誤差が生じ、地下水の水質等を正確に把握することができないことになってしまう。
地下水と掘削水の混合率を求める場合に限らず、トレーサの地中移動の状態を把握する場合であっても、移動後に採取したトレーサの水溶液の水質により、トレーサの蛍光強度が変化し、地中移動の状態を的確に把握することができない虞があった。
特開2009−32463号公報 特開2001−134293号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、地下水をはじめとする試料流体のpHに拘わらず蛍光染料の蛍光強度を安定して求め、蛍光染料濃度を正確に求めることができる試料液の蛍光染料濃度の測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、蛍光染料が溶解する蛍光染料水溶液を緩衝液で希釈して標準液を調製し、標準液の蛍光強度と蛍光染料濃度の関係を求めて検量線を作成し、蛍光染料が溶解する試料流体を緩衝液で希釈して試料液を所定のpHに調整し、前記検量線に基づいて前記試料液の蛍光染料の蛍光強度から試料液の蛍光染料濃度を求めることを特徴とする。
蛍光染料が溶解する試料流体が緩衝液で希釈されて試料液が所定のpHに調整され、緩衝液で希釈された標準液の検量線に試料液の蛍光強度を当てはめて蛍光染料濃度を求め、試料液の蛍光染料濃度とするので、試料流体のpHに拘わらず蛍光染料の蛍光強度を安定して求め、蛍光染料濃度を正確に求めることができる。
そして、請求項2に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、請求項1に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、緩衝液は、酸性あるいはアルカリ性の試料流体、及びイオン強度の大きい試料流体を希釈して試料液を所定の値のpHに調整することを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、緩衝液は、酸性あるいはアルカリ性の試料流体、及びイオン強度の大きい試料流体を希釈して試料液を所定の値のpHに調整するので、試料流体の性質に拘わらず蛍光染料の蛍光強度を安定して求めることができる。
また、請求項3に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、請求項2に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、緩衝液は、試料液の蛍光染料強度に影響を与える蛍光・吸光が生じないことを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、緩衝液は、試料液の蛍光染料強度に影響を与える蛍光・吸光が生じないので、蛍光強度を安定して求めることができる。
また、請求項4に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、請求項3に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、緩衝液は、試料流体を希釈して試料液のpHを5以上に調整することを特徴とする。また、請求項5に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、請求項4に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、緩衝液は、試料流体を希釈して試料液のpHを8から10の範囲に調整することを特徴とする。更に、請求項6に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、前記蛍光染料は、ウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸の一種以上であることを特徴とする。
請求項4、請求項5に係る本発明では、蛍光染料の蛍光強度が安定し、且つ、大きな値となる範囲に試料液のpHを調整することができ、蛍光染料の蛍光強度を安定して求めることができる。また、請求項6に係る本発明では、ウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸の一種以上の蛍光染料を用いて蛍光強度を安定して求めることができる。
また、請求項7に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、請求項6に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、緩衝液は、体積モル濃度(mol/L)が0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液であり、試料流体を1:1の割合で希釈して試料液とすることを特徴とする。
請求項7に係る本発明では、0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液を用いて蛍光染料水溶液を希釈して標準液を調製し、検量線を作成することができ、0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液を用いて蛍光染料が溶解する試料流体を希釈して試料液を所定の値のpHに調整し、試料液の蛍光染料濃度を求めることができる。
また、請求項8に係る本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、請求項7に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、試料流体は、蛍光染料が添加された掘削水を用いたボーリングにより採取された地下水であり、地下水試料液の蛍光染料濃度を求めることで、地下水に含まれる掘削水の割合を求めることを特徴とする。
請求項8に係る本発明では、地下水試料液の蛍光染料の蛍光強度を求めることで蛍光染料濃度を測定し、蛍光染料濃度に基づき地下水と掘削水の混合割合を求めることができる。
本発明の試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、地下水をはじめとする試料流体のpHに拘わらず蛍光染料の蛍光強度を安定して求めることが可能になる。
ボーリング掘削の概略図である。 本発明の一実施例に係る蛍光染料濃度の測定方法の処理のフローチャートである。 標準液による検量線を表すグラフである。 蛍光染料の蛍光強度とpHの関係を表すグラフである。 緩衝液の候補となる成分組成の一覧の表図である。 酸性あるいはアルカリ性の試料流体に対するpHの状況を表すグラフである。 模擬海水に対するpHの状況を表すグラフである。 泥水の混合を想定した模擬地下水の定量値及び調製濃度の表図である。 海水起源の地下水を想定した模擬地下水の定量値及び調製濃度の表図である。
図1にはボーリング掘削における掘削水の状況を示してある。
放射性廃棄物の安全評価を行うために、地下水の地化学特性に基づく地下水流動特性の検討が行われている。図に示すように、ボーリング孔1は掘削水2を供給しながら掘削され、掘削水2は地中に浸透して地下水3に混合され、また、地下水3に直接混合される。
ボーリング孔1を用いて信頼性の高い地化学データを得るためには、ボーリング掘削で使用された掘削水2がどの程度地下水3に混合しているかを明らかにする必要がある。掘削水2の混合割合は、掘削水に蛍光染料を添加し、地下水に含まれる蛍光染料の濃度を求めることで算出することができる。
蛍光染料の濃度は、蛍光染料の蛍光強度により求められる。この場合、pHや塩濃度、温度等の地下水3の性質により蛍光強度が変化するため、地下水3の性質に拘わらず蛍光染料の蛍光強度を安定して求めることが必要である。
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図に示す実施例は、地下水のpHが異なっていても、蛍光染料の濃度を安定して測定することができる測定方法を開示するものである。
図2には本発明の実施例に係る蛍光染料濃度の測定方法の処理のフローチャート、図3には標準液による蛍光強度と蛍光染料濃度の関係を表すグラフ(検量線)、図4には蛍光染料の蛍光強度とpHの関係を表すグラフ、図5には緩衝液の候補となる成分組成の一覧、図6には酸性あるいはアルカリ性の試料流体に種々の緩衝液を混合した時のpHの状況、図7にはイオン強度の大きい試料流体(模擬海水)に種々の緩衝液を混合した時のpHの状況、図8には泥水の混合を想定した模擬地下水の定量値及び調製濃度の表、図9には海水起源の地下水を想定した模擬地下水の定量値及び調製濃度の表を示してある。
本実施例の蛍光染料濃度の測定方法は、蛍光染料が溶解する蛍光染料水溶液を緩衝液で希釈して標準液を調製し、標準液の蛍光強度と蛍光染料濃度の関係を求めて検量線を作成し、蛍光染料が溶解する試料流体を緩衝液で希釈して試料液を調製し、検量線に基づいて試料液の蛍光染料の蛍光強度から試料液の蛍光染料濃度を求めるようになっている。
図2に示すように、標準液を調製して検量線を作成すると共に、試料液としての地下水試料を調製する。
標準液の調製は、ステップS1で純水に蛍光染料を溶解し、蛍光染料水溶液を調製する。蛍光染料は、ウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸の一種以上が用いられる。ステップS2で蛍光染料水溶液を緩衝液で希釈し標準液を調製する。ステップS3で分光蛍光光度計により標準液の蛍光強度を測定する。そして、ステップS4で蛍光強度と蛍光染料の濃度との関係である検量線を作成する。
蛍光染料の検量線は、図3に示す通りであり、ウラニン(□)、エオシン(○)、ナフチオン酸ナトリウム(△)、アミノG酸(▽)とも蛍光強度と濃度との関係は線形性が維持されている。
一方、地下水試料の調製は、ステップS11で地下水の試料(試料流体)を濾過する等して前処理する。ステップS12で地下水の試料を緩衝液で1:1の割合で希釈し(混合し)、試料液である地下水液を調製する。ステップS13で分光蛍光光度計により地下水液の蛍光強度を測定する。
ステップS21で示したように、ステップS13で測定された地下水液の蛍光強度を、ステップS4で作成された検量線に当てはめることで、蛍光染料の濃度を求める。そして、ステップS22で、得られた蛍光染料の濃度を2倍することで、地下水(試料流体)の蛍光染料濃度が導出されることになる。
緩衝液は、地下水のpHに拘わらず、蛍光強度が安定して得られるものが適用されている。即ち、緩衝液は、酸性あるいはアルカリ性の地下水の試料(試料流体)、及びイオン強度の大きい地下水の試料(試料流体)を希釈して地下水液(試料液)を所定の値のpH(pH5以上、好ましくはpH8からpH10)に調整するものである。また、緩衝液は、地下水液(試料液)の蛍光強度に影響を与える蛍光・吸光が生じないものとなっている。
地下水液を所定の値のpHであるpH5以上、例えば、pH8からpH10に調整するのは、蛍光染料(ウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸)の蛍光強度が最適に得られるからである。図4に基づいて蛍光染料の蛍光強度のpH依存性について説明する。
エオシン(○)、ナフチオン酸ナトリウム(△)、アミノG酸(▽)は、pH2程度から蛍光強度(規格化蛍光強度:%)が高くなってpH5程度で最大となり、エオシン(○)の最大の蛍光強度がpH5程度以上で維持され、ナフチオン酸ナトリウム(△)、アミノG酸(▽)の最大の蛍光強度がpH5程度からpH10程度で維持される。ウラニン(□)は、pH5程度から蛍光強度が高くなってpH8程度で最大となり、最大の蛍光強度がpH8程度以上で維持される。
図4の結果から判るように、大きな値の蛍光強度を安定して得る場合、蛍光染料としてエオシン(○)を用いる場合、地下水液をpH5以上に調整することが好適である。また、蛍光染料としてナフチオン酸ナトリウム(△)及びアミノG酸(▽)を用いる場合、地下水液をpH5からpH10に調整することが好適である。更に、蛍光染料としてウラニン(□)を用いる場合、地下水液をpH8以上に調整することが好適である。
この結果、ウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸の蛍光染料において、ウラニンを除くエオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸を用いる場合、地下水液をpH5からpH10(pH5以上)に調整することが好適であることが判る。そして、ウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸を任意に選択して、もしくはいずれかを単独で用いる場合、地下水液をpH8からpH10の範囲に調整することが好適であることが判る。
つまり、地下水液をpH8からpH10の範囲に調整して維持する緩衝液を用いることで、蛍光染料の種類に拘わらず大きな値の蛍光強度を安定して得ることが可能になる。
pH8からpH10の範囲に維持することができる緩衝液としては、図5に示した16種類の組成の緩衝液が挙げられる。16種類の組成の緩衝液のなかで、地下水液をpH8からpH10の範囲に調整した際に蛍光染料濃度の測定に適しているものを選定する条件は、次の通りである。
緩衝液は、地下水液の蛍光強度に影響を及ぼす蛍光・吸光が生じない物が必要となる。このため、16種類の緩衝液に対し、分光光度計により三次元蛍光分析(三次元蛍光スペクトルの測定)を実施した。この結果、全ての組成の緩衝液で明確な蛍光ピークが観察されないことが確認された。また、紫外可視分光光度計で吸光度の測定を実施した。この結果、波長250nmよりも短波長側で吸光が生じ、全ての組成の緩衝液で吸光の影響が無視できることが確認された。
また、緩衝液は、地下水液のpHを調整する上で十分な緩衝能を持つ(pH8からpH10の範囲に調整できる)ことが必要となる。
このため、16種類の緩衝液に対し、pH4及びpH11の水溶液と混合した際のpHの変化範囲を調べた。即ち、緩衝液のpH、pH4及びpH11の水溶液と緩衝液を混合したときのそれぞれのpHの変化を調べた。この結果を図6に示してある。図から判るように、略称KN−1(組成・濃度は図5参照)の緩衝液と、略称HeN(組成・濃度は図5参照)の緩衝液が維持したいpH8からpH10の範囲から外れることが確認された。
また、16種類の緩衝液に対し、イオン強度の大きい水溶液(3.5%塩化ナトリウム水溶液)と混合した際のpHの変化範囲を調べた。即ち、緩衝液のpH、3.5%塩化ナトリウム水溶液と緩衝液を1:1で混合したときのpH、3.5%塩化ナトリウム水溶液と緩衝液を1:1で混合したときのpHの変化を調べた。この結果を図7に示してある。図から判るように、略称KN−1(組成・濃度は図5参照)の緩衝液と、略称HeN(組成・濃度は図5参照)の緩衝液が維持したいpH8からpH10の範囲から外れることが確認された。
図6、図7の結果から、16種類の緩衝液に対し、pH8からpH10の範囲から外れたものを除外し、更に、pH8からpH10の範囲にあっても変化が大きいものを除外した結果、次の10種類(略称で示してあり、いずれも組成・濃度は図5参照)の緩衝液が使用可能であることが確認された。
略称GN、略称KN−2、略称NN−3、略称NN−4、略称AN−1、略称TH、略称AN−2、略称HN−2、略称NHN、略称NN−2
この中で、pH4及びpH11の水溶液と混合した際(図6)、イオン強度の大きい水溶液と混合した際(図7)のいずれの場合にもpHの変化がほとんど生じない緩衝液として、略称NN−3が最適であることが確認された。略称NN−3は、体積モル濃度(mol/L)が0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液である。
本実施例では、純水に蛍光染料を溶解して蛍光染料水溶液を調製し、体積モル濃度(mol/L)が0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(緩衝液)で希釈して濃度が既知の標準液が調製される。そして、この標準液を用いて蛍光強度と蛍光染料の濃度との関係の検量線(図3参照)が作成される。一方、濃度未知の地下水の試料(濃度未知)が0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液で1:1の割合で希釈されて地下水液が調製される。
緩衝液である0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)は、明確な蛍光ピークが観察されず、吸光の影響が無視できるので、地下水液の蛍光強度に影響を及ぼす蛍光・吸光が生じない緩衝液である。また、0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)は、地下水液のpHをpH8からpH10の範囲に調整でき、十分な緩衝能を持つ緩衝液である。
このため、蛍光染料の種類に拘わらず大きな値の蛍光強度を安定して得ることが可能になる。これにより、地下水液の蛍光強度を検量線に当てはめることで、定量誤差がほとんど生じない状態で蛍光染料の濃度を正確に求めることができる。そして、得られた蛍光染料の濃度を2倍することで、地下水の蛍光染料濃度が正確に導出されることになる。
上述した方法で、実際に蛍光染料の濃度測定が行えることを確認するため、泥水(フレックス泥水、KCl泥水)の混合を想定した模擬地下水を調製し、緩衝液として0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)を用いた蛍光染料の定量実験を行った。
模擬地下水は、トレーサとして1種類の蛍光染料を含む泥水が1%混入した地下水を想定したものである。泥水中の蛍光染料濃度は、ウラニン及びエオシンでは1mg/l、ナフチオン酸ナトリウム及びアミノG酸では10mg/lとした。このような泥水が1%混入した場合に相当する濃度となるよう、1mg/lの蛍光染料水溶液と、フレックス泥水あるいはKCl泥水を純水で希釈し、模擬地下水とした。
模擬地下水における蛍光染料濃度は、ウラニン及びエオシンでは10μg/l、ナフチオン酸ナトリウム及びアミノG酸では100μg/lである。これをシリンジフィルタで濾過し、同体積の緩衝液である0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)と混合し、蛍光強度を測定した。0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)との混合により、蛍光染料濃度(調製濃度)はウラニン及びエオシンでは5μg/l、ナフチオン酸ナトリウム及びアミノG酸では50μg/lとなっている。
検量線の作成に用いる標準液は、濃度1mg/lの蛍光染料水溶液を0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)と混合して調製した。標準液の蛍光染料濃度を、5、10、50、100μg/lとし、分光蛍光光度計を用いて蛍光強度を測定することにより検量線を作成した。検量線と模擬地下水の蛍光強度を基に、模擬地下水に含まれる蛍光染料濃度(定量値)を求めた。
泥水の混合を想定した模擬地下水の定量値及び調製濃度の状況を図8に示した。
フレックス泥水のウラニンの定量値は4.97μg/l、エオシンの定量値は5.01μg/l、ナフチオン酸ナトリウムの定量値は49.4μg/l、アミノG酸定量値は49.0μg/lとなった。また、KCl泥水のウラニンの定量値は4.99μg/l、エオシンの定量値は4.95μg/l、ナフチオン酸ナトリウムの定量値は50.3μg/l、アミノG酸の定量値は50.0μg/lとなった。
泥水の混合を想定した模擬地下水の定量値と調製濃度との差は数%の範囲であり、種々の泥水を含む場合でも十分な緩衝能が得られ、定量誤差がほとんど生じない状態で蛍光染料の濃度を正確に求めることができることが判る。通常、掘削水に蛍光染料を添加する場合、掘削時の湧水等の影響により濃度変動が生じるため、蛍光染料の添加量を調整しても濃度にばらつきが生じている。このばらつきは、10%程度は許容されているのが現状であるため、模擬地下水の定量値と調製濃度との差は問題にならない程度の差となり、地下水と掘削水の混合割合を正確に求めることができることが判る。
また、上述した方法で、実際に蛍光染料の濃度測定が行えることを確認するため、海水起源の地下水を想定した模擬地下水を調製し、緩衝液として0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)を用いた蛍光染料の定量実験を行った。
海水起源の地下水を想定した模擬地下水は、塩化ナトリウム濃度が海水に近く、1種類の蛍光染料を含むものである。純水希釈した1mg/lの蛍光染料水溶液と濃度3.5wt%の塩化ナトリウム水溶液を混合することで、蛍光染料濃度100μg/l、塩化ナトリウム濃度3.15%としたものを模擬地下水とした。
検量線の作成に用いる標準液は、泥水の場合と同様に、濃度1mg/lの蛍光染料水溶液を0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)と混合して調製した。標準液の蛍光染料濃度を、5、10、50、100μg/lとし、分光蛍光光度計を用いて蛍光強度を測定することにより検量線を作成した。
海水起源の地下水を想定した模擬地下水に、同体積の緩衝液として0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)を混合した上で蛍光強度を測定し、検量線から蛍光染料濃度(定量値)を求めた。緩衝液との混合により、蛍光染料濃度は50μg/lとなる。
海水起源の地下水を想定した模擬地下水の定量値及び調製濃度の状況を図9に示した。
海水起源の地下水を想定した模擬地下水のウラニンの定量値は50.3μg/l、エオシンの定量値は50.1μg/l、ナフチオン酸ナトリウムの定量値は50.4μg/l、アミノG酸の定量値は50.2μg/lとなった。
海水起源の地下水を想定した模擬地下水の定量値と調製濃度との差は数%の範囲であり、海水起源の地下水であってもpHの状態に影響を及ぼさず、定量誤差がほとんど生じない状態で蛍光染料の濃度を正確に求めることができることが判る。前述した通り、蛍光染料の添加量の濃度変動のばらつきは、10%程度は許容されているのが現状であるため、模擬地下水の定量値と調製濃度との差は問題にならない程度の差となり、地下水と掘削水の混合割合を正確に求めることができることが判る。
上述したように、使用例が多い蛍光染料であるウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸に対し、水溶液のpHをpH8からpH10に調整することで、強く安定した蛍光強度を得ることができる。また、緩衝液として使用可能であることが確認され、図5に示した、略称GN、略称KN−2、略称NN−3、略称NN−4、略称AN−1、略称TH、略称AN−2、略称HN−2、略称NHN、略称NN−2に対し、蛍光染料の蛍光強度測定に影響を及ぼすような蛍光・吸光は認められていない。
また、緩衝液を、pH4あるいはpH11の水溶液と体積比1:1で混合した場合、上述した10種類の緩衝液では、ほとんどpHが変化しないので、10種類の緩衝液は、蛍光染料の定量に用いる上で十分な緩衝能を持つ。また、イオン強度が大きな水溶液と混合した場合でも、上述した10種類の緩衝液では、ほとんどpHが変化しないので、10種類の緩衝液は、蛍光染料の定量に用いる上で十分な緩衝能を持つ。
そして、緩衝液として、0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)を用いて、泥水の混合を想定した模擬地下水、海水起源の地下水を想定した模擬地下水を対象として濃度測定の検証を行った場合、調製濃度に対する定量誤差は最大でも2%程度であった。このため、0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液(略称NN−3:図5参照)を用いることで、標準液と試料液のpHを簡単に調整することができ、高精度な蛍光染料の定量が可能である。
上述した試料液の蛍光染料濃度の測定方法は、蛍光染料が溶解する試料流体が緩衝液で希釈されて試料液が所定のpHに調整され、試料液の蛍光強度を標準液の検量線に当てはめて蛍光染料濃度を求め、試料液の蛍光染料濃度とするので、試料流体のpHに拘わらず蛍光染料の蛍光強度を安定して求め、蛍光染料濃度を正確に求めることが可能になる。
本発明は、試料液の蛍光染料濃度の測定方法の産業分野で利用することができる。
1 ボーリング孔
2 掘削水
3 地下水

Claims (8)

  1. 蛍光染料が溶解する蛍光染料水溶液を緩衝液で希釈して標準液を調製し、
    標準液の蛍光強度と蛍光染料濃度の関係を求めて検量線を作成し、
    蛍光染料が溶解する試料流体を緩衝液で希釈して試料液を所定のpHに調整し、
    前記検量線に基づいて前記試料液の蛍光強度から試料液の蛍光染料濃度を求める
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。
  2. 請求項1に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、
    緩衝液は、酸性あるいはアルカリ性の試料流体、及びイオン強度の大きい試料流体を希釈して試料液を所定の値のpHに調整する
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。
  3. 請求項2に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、
    緩衝液は、試料液の蛍光強度に影響を与える蛍光・吸光が生じない
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。
  4. 請求項3に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、
    緩衝液は、試料流体を希釈して試料液のpHを5以上に調整する
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。
  5. 請求項4に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、
    緩衝液は、試料流体を希釈して試料液のpHを8から10の範囲に調整する
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、
    前記蛍光染料は、ウラニン、エオシン、ナフチオン酸ナトリウム、アミノG酸の一種以上である
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。
  7. 請求項6に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、
    緩衝液は、体積モル濃度(mol/L)が0.05モーラー(M)のホウ砂水溶液であり、試料流体を1:1の割合で希釈して試料液とする
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。
  8. 請求項7に記載の試料液の蛍光染料濃度の測定方法において、
    試料流体は、蛍光染料が添加された掘削水を用いたボーリングにより採取された地下水であり、地下水試料液の蛍光染料濃度を求めることで、地下水に含まれる掘削水の割合を求める
    ことを特徴とする試料液の蛍光染料濃度の測定方法。

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