JP2000270857A - ホスホリパーゼdおよびその製造法 - Google Patents

ホスホリパーゼdおよびその製造法

Info

Publication number
JP2000270857A
JP2000270857A JP11086189A JP8618999A JP2000270857A JP 2000270857 A JP2000270857 A JP 2000270857A JP 11086189 A JP11086189 A JP 11086189A JP 8618999 A JP8618999 A JP 8618999A JP 2000270857 A JP2000270857 A JP 2000270857A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phospholipase
activity
culture
hydrolysis
streptomyces
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11086189A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4426664B2 (ja
Inventor
Tadashi Hatanaka
唯史 畑中
Hiroo Hagishita
大郎 萩下
Teruyuki Kaneda
輝之 金田
Yoshikazu Inoue
良計 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BIZEN KASEI KK
Okayama Prefectural Government
Original Assignee
BIZEN KASEI KK
Okayama Prefectural Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BIZEN KASEI KK, Okayama Prefectural Government filed Critical BIZEN KASEI KK
Priority to JP08618999A priority Critical patent/JP4426664B2/ja
Publication of JP2000270857A publication Critical patent/JP2000270857A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4426664B2 publication Critical patent/JP4426664B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な特性を有するホスホリパーゼD、及び
該ホスホリパーゼDを産生する新規微生物を提供するこ
と。 【解決手段】 至適pHが約5、至適温度が約40℃、
分子量が約5.5万(SDS−PAGE法)、等電点が
pH約8であるホスホリパーゼD、及び該ホスホリパー
ゼDを産生するストレプトマイセス属のホスホリパーゼ
D生産菌。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大豆、卵黄、魚介
類に含まれているホスファチジルコリンやホスファチジ
ルエタノールアミンなどのリン脂質と各種水酸基をもつ
化合物とから、乳化剤、農薬、医薬、食品、工業用試薬
等に有用なリン脂質誘導体を製造するのに用いられるホ
スホリパーゼD、その製造方法及びホスホリパーゼDを
産生する新規微生物に関するものである。
【従来の技術】ホスホリパーゼD(EC3.1.4.
4)は、グリセロリン脂質のホスファチジル基と塩基と
の間のエステル結合を加水分解してホスファチジン酸お
よび塩基を遊離させる酵素である。この酵素は、その起
源によっては加水分解反応以外に、グリセロール、セリ
ン、エタノール、フェノール等のアルコール性およびフ
ェノール性水酸基を有する化合物の共存下でグリセロリ
ン脂質のホスファチジル基を上記水酸基を有する化合物
に転移させ、新たなリン酸エステルを生成する反応(ホ
スファチジル基転移反応)を生起させる作用を有する。
【0002】この酵素は、キャベツ、ニンジン、ホウレ
ンソウ、綿実等の植物体からの抽出あるいはストレプト
マイセス属、ミクロノスポラ属、ノカルディオプシス
属、アクチノマデューラ属又はノカルディア属等の微生
物を用いた発酵法により製造できることが知られてい
る。例えば、特公昭52−39918号公報、特公昭5
8−52633号公報、特公平1−12474号公報、
特公平8−8866号公報、特開昭58−63388号
公報、特開昭58−67183号公報、特開昭60−1
64483号公報、特開平4−166083号公報、ア
グリカルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Ag
ricaltural Biological Chemistry)51巻、9号、25
15−2524頁(1987年)、アグリカルチュラル
・バイオロジカル・ケミストリー(Agricaltural Biolo
gical Chemistry)54巻、5号、1189−1193頁
(1990年)、バイオサイエンス・バイオテクノロジ
ー・バイオケミストリー(Bioscience Biotechnology B
iochemistry)57巻、11号、1946−1948頁
(1993年)およびバイオキミカ・バイオフィジカ・
アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)1255巻、
273−279頁(1995年)を参照されたい。しか
しながら、これら従来の製造法により得られるホスホリ
パーゼDは、それぞれ基質特異性、反応性などが異なっ
ており、新規な特性を有するホスホリパーゼDの提供が
望まれている。又、従来の製造方法によると、ホスホリ
パーゼD産生能を有する菌株を用いた発酵法により作ら
れる培養液中に占める夾雑タンパク質の生成量が多く、
従って培養液中のホスホリパーゼDの純度が低いといっ
た問題がある。そのため食品等の製造に用いる際には夾
雑タンパク質を取り除き、ホスホリパーゼDを濃縮する
工程を設ける必要の有る場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規な特性
を有するホスホリパーゼDを提供することを目的とす
る。本発明は、又、ホスホリパーゼDを高純度で得るこ
とができる製造法を提供することを目的とする。本発明
は、又、上記ホスホリパーゼDを産生する新規微生物を
提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ホスファチジ
ル基転移活性を示すホスホリパーゼDを生産する能力を
有する多数の微生物について、ホスホリパーゼDの生産
効率が高く、特にその培養物中にホスホリパーゼDの占
める割合が高く、夾雑タンパク質の生産量が低い菌株を
探索する実験を繰り返した結果、岡山県上房郡賀陽町吉
川地区で採取した土壌から分離した新菌株ストレプトマ
イセス・エスピー(Streptomyces.sp.)TH−2が優れ
た性能を有し、これにより上記課題を有効に解決できる
との知見に基づいてなされたのである。すなわち、本発
明は、至適pHが約5、至適温度が約40℃、分子量が
約5.5万(SDS−PAGE法)、等電点がpH約8
であることを特徴とするホスホリパーゼDを提供する。
本発明は、又、上記ホスホリパーゼDを産生するストレ
プトマイセス属のホスホリパーゼD生産菌を提供する。
本発明は、又、上記ホスホリパーゼD生産菌を培地で培
養し、産生したホスホリパーゼDを回収することを特徴
とするホスホリパーゼDの製造法を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の至適pHが約5、至適温
度が約40℃、分子量が約5.5万(SDS−PAGE
法)、等電点がpH約8で、カルシウム又はマグネシウ
ムイオン要求性のホスホリパーゼDを産生するストレプ
トマイセス属のホスホリパーゼD生産菌としては、スト
レプトマイセス・エスピーTH−2株を用いるのが好ま
しい。この株は、工業技術院微生物工業技術研究所に平
成11年3月24日付けで寄託されており、その寄託番
号はFERM P−17329号である。その菌学的特
徴を次に示す。 形態学的特徴 基性菌糸の存在 + 気菌糸の存在 + 輪生岐の有無 + 胞子連鎖の形状 Verticilli(輪生状) 胞子の表面構造 判定不可*1 集落表面の色調 Gray series メラニン色素の生成 微弱 集落裏面の色調 特徴なし yellowish brown, grayish yellow,grayish yellow−ol
ive brown,olive brown
【0006】細胞壁のアミノ酸組成および糖組成 胞子壁タイプ I型 LL−ジアミノピメリン酸 + meso−ジアミノピメリン酸 − ジアミノ酪酸 − グリシン + アスパラギン酸 − オルニチン − リジン − アラビノース*2 − ガラクトース*2 − 主要キノン系 MK−9(H8)、−9(H6)、−
9(H4)
【0007】 *1 胞子形成能の低下のため判定不可 *2 全菌体の硫酸加水分解物を用いて推定した。
【0008】この菌株が、ストレプトマイセス属のStre
ptomyces septatus に属し、新菌株であることは、Nono
mura,H.: J.Ferment.Technol., 52, 78-92(1974)及びSh
irling.E.B. and Gotilleb.D.: Int.J.Syst.Bacterio
l., 22, 265-394(1972) に基づいて決定した。本発明の
ホスホリパーゼDを製造するための、上記ストレプトマ
イセス・エスピーTH−2の培養は、放線菌一般の培養
に通常採用される方法に従って行うことができるが、特
に好ましくは培地には炭素源として、例えばクエン酸、
コハク酸、ブドウ糖、果糖等を単独で、または組み合わ
せて適宜行うことができる。また窒素源として、例えば
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、硝酸ナト
リウム、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンステ
ィープリカー、カザミノ酸、脱脂大豆粉、大豆タンパク
等を用いることができる。培地には、他に食塩、塩化カ
リウム、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カ
リウム塩、鉄塩、マンガン塩、各種ビタミン、その他、
菌の生育やホスホリパーゼDの生産促進に有効な物質を
適宜添加することができる。好ましい培地pHは5〜
9、特に好ましくは6〜7である。培養法としては深部
培養法が好ましいが、固体培養法を採用することもでき
る。培養は約20〜40℃で行うことができるが、好ま
しい培養温度は33〜35℃である。好ましい培養期間
は温度、pH、培地によって異なるが、通常1〜6日程
度であり、目的物であるホスホリパーゼDの生産量が最
大に達した頃に培養を停止する。
【0009】培養終了後、培溶液から菌体を遠心分離あ
るいはろ別し、その遠心上精あるいはろ液をホスホリパ
ーゼD溶液として用いることができる。または、遠心上
精あるいはろ液からさらにホスホリパーゼDを濃縮、採
取するにあたっては、例えば塩析、有機溶媒沈殿、透
析、限外ろ過、イオン交換クロマトグラフィー、吸着ク
ロマトグラフィー、ゲルろ過、凍結乾燥、等電点電気泳
動等の方法を、後述するホスホリパーゼDの理化学的性
質を考慮した条件下で採用すればよい。ストレプトマイ
セス・エスピーTH−2の生産するホスホリパーゼDは
以下の理化学的性質を有するものである。 (a)作用 加水分解反応 一般式(I)で示されるリン脂質を加水分解し、ホスフ
ァチジン酸と塩基とを遊離させる。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1 及びR2 はアシル基またはア
ルキル基、Xは1つ以上の水酸基を含む塩基の水酸基1
個を除いた後に残る有機基を表す。) ホスファチジル基転移反応 上記一般式(I)で表されるリン脂質のホスファチジル
基を下記一般式(II)で示される水酸基を有する化合物
の共存下、
【化2】 R3 −OH (但し、R3 はアルコール性またはフェノール性水酸基
に結合した有機基を表す。) 一般式(II)で表される化合物の水酸基にホスファチジ
ル基を転移させ、下記一般式(III)で示されるリン脂質
誘導体を生成する。
【0012】
【化3】
【0013】(但し、R1 、R2 及びR3 は前記と同様
の基を表す。) 本発明の酵素の移転反応における反応性/加水分解にお
ける反応性の比が3倍以上であるのが好ましい。 (b)至適pH:約5.0 (c)pH安定性:pH4〜9で安定 (d)至適温度:約40℃ (e)熱安定性: pH5.0およびリン脂質の非共存下において、60℃、
10分間の熱処理でも全く失活しない。 (f)分子量: 5.5万(SDS−PAGE法による。) (g)等電点: pH8.0(等電点電気泳道法による。) (h)N末端アミノ酸配列:AspSerAlaAsp
GlyArgGlyAlaProHisLeuAspA
laValGluGlnGlnLeuArgGln(エ
ドマン反応を用いた気相法N末端アミノ酸配列決定法に
よる。) (i)カルシウム又はマグネシウム要求性 カルシウムイオン(50マイクロモル/ml)共存下に
おけるジパルミトイルホスファチジルコリンの加水分解
活性を100とした時の各種イオン存在下におけるホス
ホリパーゼDの活性を表−1に示す。
【0014】
【表1】 表−1 添加化合物 相対活性 なし 0 CaCl2 100 MgCl2 173 ZnCl2 0 CdCl2 0 MnCl2 11 FeCl2 3 CoCl2 28EDTA 1
【0015】なお、ホスホリパーゼDの加水分解活性は
基質であるリン脂質に作用してリン酸と塩基との間のエ
ステル結合を分解した際に生じる塩基を定量することに
よって求める。一般的には、ホスファチジルコリンを基
質とした場合に生じるコリンをコリンオキシダーゼおよ
びペルオキシダーゼを組み合わせて定量することにより
加水分解活性を決定することが通例である。しかし、本
発明ではより簡便な方法であるホスファチジルパラニト
ロフェノールを基質とした場合に生ずるパラニトロフェ
ノールを直接定量することにより加水分解活性を決め
た。なお、このホスファチジルパラニトロフェノールを
基質とした場合ではカルシウムあるいはマグネシウムを
活性に必要とはしない。この明細書に記載した酵素活性
は、アナリティカ・キミカ・アクタ(Analytica Chimic
a Acta)304巻、249−254項(1995年)記
載の方法により合成されるホスファチジルパラニトロフ
ェノールを基質として用いる下記の方法により測定され
たものであって、1分間に1μmolのパラニトロフェ
ノールを遊離する酵素活性を1ユニット(u)としてい
る。
【0016】加水分解活性測定法:,ホスファチジルパ
ラニトロフェノール360mgに、ジエチルエーテル1
ml加え溶解した後、100mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.5),15ml、および10%トリトン×10
0を含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5),
15mlを添加し、60℃で溶液が透明になるまで加温
する。これを減圧下でジエチルエーテルを留去し基質保
存液(16mMホスファチジルパラニトロフェノール)
とする。基質保存液を、100mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.5)で2mMホスファチジルパラニトロフェノ
ールとなるように希釈したものを基質溶液とし、あらか
じめ37℃で加温する。基質溶液950μLに対してあ
らかじめ37℃で加温した酵素液50μLを添加後、混
合しホスホリパーゼDの加水分解反応によって遊離して
くるパラニトロフェノールを405nmの吸光度を測定
することおよびパラニトロフェノールのミリモル分子吸
光係数18.45から、1分間あたりのパラニトロフェノ
ール生成量を換算し、酵素活性値を決定する。
【0017】また、ホスホリパーゼDの転移活性は、以
下のようにして求めた。ホスファチジルパラニトロフェ
ノールを1mlあたり16mgの割合で、ベンゼンに溶
解し、基質溶液(20mMホスファチジルパラニトロフ
ェノール)とする。1サンプルにつき、この基質溶液0.
2mlに2Mエタノールを含む20mM酢酸バッファー
(pH5.0)溶液0.1mlおよび20mg/mlの牛ア
ルブミン溶液0.05mlを混合し、15分間超音波にて
分散し、エマルジョン化する。これを37℃で5分間加
温した後、酵素溶液0.05mlを加え、反応を開始す
る。これと平行して、酵素溶液のかわりにパラニトロフ
ェノールを1.0、0.8、0.6、0.4、0.2、0.0μモル
含む溶液を各々添加した系列をつくり検量線用試料とす
る。37℃、10分間反応を行った後、1N塩酸溶液0.
1mlを加え反応を停止した後、1N水酸化ナトリウム
溶液0.15mlおよびクロロホルム/メタノール=3/
1溶液0.4mlを加え混合後、4℃で10分間遠心分離
する。水相を0.02mlとり、0.1Mトリス−塩酸バッ
ファー(pH8.0)0.18mlと混合し、マイクロプレ
ートリーダー等の手段により405nmの吸光度を測定
する。別途作成した検量線用試料の吸光度値から検量線
を作成し、転移反応により遊離したパラニトロフェノー
ル量を換算し、転移活性を決定する。なおこの反応での
1ユニットは1分間あたり1マイクロモルのパラニトロ
フェノールを遊離させる酵素量と定義する。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、高いホスファチジル基
転移活性を示す新規なホスホリパーゼDが提供される。
又、本発明の製造法によれば、上述のように従来の製造
法により得られるものと比較して、きわめて高い純度の
ホスホリパーゼDをきわめて容易に製造することができ
る。すなわち、従来報告されているホスホリパーゼDの
生産菌株の培養物1Lあたりの総タンパク質に対するホ
スホリパーゼDの含有率は、例えばアグリカルチュラル
・バイオロジカル・ケミストリー(AgricalturalBiolog
ical Chemistry)51巻、9号、2515−2524項
(1987年)記載の方法によれば、培養物1Lあたり
の遠心上精のタンパク濃度が3157mg/Lであり、
そのうちホスホリパーゼDの占める割合は、ホスホリパ
ーゼD活性が5020u/Lであること及び精製された
ホスホリパーゼDの比活性が688u/mgであること
から換算すると、0.23%と見積もられる。アグリカル
チュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agricaltur
al Biological Chemistry)54巻、5号、1189−1
193項(1990年)記載の方法によれば、培養物1
Lあたりの遠心上精のタンパク濃度が282mg/Lで
あり、そのうちホスホリパーゼDの占める割合は、ホス
ホリパーゼD活性が1962u/Lであること及び精製
されたホスホリパーゼDの比活性が2390u/mgで
あることから換算すると、0.29%と見積もられる。バ
イオサイエンス・バイオテクノロジー・バイオケミスト
リー(Bioscience Biotechnology Biochemistry)57
巻、11号、1946−1948項(1993年)記載
の方法によれば、培養物1Lあたりの遠心上精のタンパ
ク濃度が286mg/Lであり、そのうちホスホリパー
ゼDの占める割合は、ホスホリパーゼD活性が3200
u/Lであること及び精製されたホスホリパーゼDの比
活性が1436.8u/mgであることから換算すると、
0.78%と見積もられる。また、バイオキミカ・バイオ
フィジカ・アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)1
255巻、273−279項(1995年)に記載の2
種の菌株を用いた方法によれば、培養物1Lあたりの遠
心上精のタンパク濃度が5200mg/Lあるいは66
00mg/Lであり、そのうちホスホリパーゼDの占め
る割合は、ホスホリパーゼD活性が1067u/Lある
いは1168u/Lであること及び精製されたホスホリ
パーゼDの比活性が41.72u/mgあるいは44.90
u/mlであることから換算すると、0.49%あるいは
0.39%となる。このように従来報告されているホスホ
リパーゼDの製造法は、いずれもその培養物中の総タン
パク質に占めるホスホリパーゼDの含有率は1%未満と
いった低い水準のものであるから、最大で13%以上も
の高い含有率を占める本発明の製造法によれば、高いホ
スファチジル基転移活性を示すホスホリパーゼDの製造
能率の飛躍的な向上が可能になる。次に本発明を実施例
により説明する。
【0019】
【実施例】実施例1 培地として0.5%ブドウ糖、0.2%KH2 PO4 、0.0
5%MgSO4 ・7H 2 O、0.5%ペプトン、0.5%酵
母エキスを含むpH7.0のものを用意し、その100m
lを500ml容の三角フラスコに入れ、120℃、1
5分滅菌後TH−2株前培養液3ml(上記組成の培地
にて37℃125rpmで3ないし4日間培養したも
の)をフラスコ1本につき殖菌し、計10本分をロータ
リーシェーカーにて34℃、125rpm、で通気攪拌
培養を24時間行った。菌体外に分泌されたホスホリパ
ーゼDの加水分解活性を測定したところ、180u/L
であり、その際のタンパク質濃度は120mg/Lであ
った。その培養物を遠心(6000rpm、30分、4
℃)し、その上精を70%飽和硫酸アンモニウムにより
ホスホリパーゼD活性を含む画分を濃縮した。生成した
沈殿を5mMトリス−マレイン酸−水酸化ナトリウム緩
衝液(pH6.5)に溶解し、同緩衝液に対して透析し
た。その後、同じ緩衝液で平衡化したハイロードSP−
セファロースHP26/10カラム(アマシャムファル
マシアバイオテク社製)に通し、不純物であるタンパク
質および色素の大半を素通りさせた。吸着したホスホリ
パーゼDは塩化ナトリウム濃度を0Mから0.2Mまで変
化させる直線濃度勾配法によりホスホリパーゼD画分を
溶出した。得られたホスホリパーゼDは、電気泳動的に
単一まで精製され、精製品の加水分解活性の比活性は1
1.14u/mgであった。上記精製工程におけるホスホ
リパーゼDの収量は3.3mgであり、その回収率は約2
0%であった。上記精製工程で用いた培養物のタンパク
濃度は120mg/Lであり、培養物中に含まれるホス
ホリパーゼD加水分解活性は180u/Lであることか
ら、精製ホスホリパーゼDの比活性から換算すれば、培
養物には16.15mg/Lの濃度でホスホリパーゼDが
含まれ、培養物中の総タンパク質に占めるホスホリパー
ゼDは約13.46%と見積もられた。
【0020】実施例2 培地として、0.5%ブドウ糖、0.5%クエン酸2ナトリ
ウム、0.2%KH2 PO4 、0.05%MgSO4 ・7H
2 O、0.5%ペプトン、0.5%酵母エキスを含むpH7.
0のものを用意し、その100mlを500ml容の三
角フラスコに入れ、120℃、15分滅菌後TH−2株
前培養液3mlを殖菌し、ロータリーシェーカーにて3
4℃、125rpm、で通気攪拌培養を行った。経時的
に菌体外に分泌されたホスホリパーゼD加水分解活性を
測定したところ、96時間目に最大活性を示し、その値
は380u/Lであった。また、その際のタンパク質濃
度は450mg/Lであった。ホスホリパーゼDの加水
分解の比活性が11.14u/mgであることから、培養
物には34.1mg/Lの濃度でホスホリパーゼDが含ま
れ、培養物中の総タンパク質に占めるホスホリパーゼD
は約7.6%と見積もられた。また、炭素源を0.5%ブド
ウ糖のみを用い、それ以外の組成は上記のもので同様な
条件で培養した場合、経時的に菌体外に分泌されたホス
ホリパーゼD活性を測定したところ、48時間目に最大
活性を示し、そのホスホリパーゼD加水分解活性は24
0u/Lであり、その際のタンパク質濃度は460mg
/Lであった。ホスホリパーゼDの加水分解の比活性が
11.14u/mgであることから、培養物には21.6m
g/Lの濃度でホスホリパーゼDが含まれ、培養物中の
総タンパク質に占めるホスホリパーゼDは約4.7%と見
積もられた。
【0021】実施例3 実施例1で得た精製ホスホリパーゼDを用いて、至適p
Hにおける、本酵素の加水分解反応および転移反応にお
ける1秒あたりのターンオーバーナンバー(kcat)
およびKmを測定した。その結果、加水分解反応におい
て、kcatは97.0sec-1であり、ホスファチジル
パラニトロフェノールに対するKmは1.02mMであっ
た。この値から加水分解反応における酵素の反応性を示
す指標であるkcat/Km値は、95.4mM-1・se
-1となった。一方、転移反応において、kcatは2
44.0sec-1であり、ホスファチジルパラニトロフェ
ノールに対するKmは0.68mMであった。この値から
転移反応における酵素の反応性を示す指標であるkca
t/Km値は、361.0mM-1・sec-1となった。ま
た、この転移反応におけるエタノールに対するKmは1
41.2mMであった。加水分解および転移反応における
kcat/Km値を比較すると、TH−2株由来の精製
ホスホリパーゼDは加水分解における反応性と比べ約3.
8倍転移における反応性が高いことが判明した。
【0022】比較例1 電気泳動的に単一な純度をもつ、旭化成工業社製PLD
P(ホスホリパーゼDP)を用いて、至適pHにおけ
る、実施例3と同様な試験を行った。加水分解反応およ
び転移反応における1秒あたりのターンオーバーナンバ
ー(kcat)およびKmを測定した。その結果、加水
分解反応において、kcatは60.9sec-1であり、
ホスファチジルパラニトロフェノールに対するKmは0.
42mMであった。この値から加水分解反応における酵
素の反応性を示す指標であるkcat/Km値は、14
5.0mM-1・sec-1となった。一方、転移反応におい
て、kcatは254.5sec-1であり、ホスファチジ
ルパラニトロフェノールに対するKmは2.17mMであ
った。この値から転移反応における酵素の反応性を示す
指標であるkcat/Km値は、117.5mM-1・se
-1となった。また、この転移反応におけるエタノール
に対するKmは287.5mMであった。加水分解および
転移反応におけるkcat/Km値を比較すると、PL
DPは転移における反応性が、加水分解における反応性
の約0.8倍となることが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:465) (72)発明者 萩下 大郎 岡山県上房郡賀陽町吉川7549−1 岡山県 生物科学総合研究所内 (72)発明者 金田 輝之 岡山県赤磐郡熊山町徳富363番地 備前化 成株式会社内 (72)発明者 井上 良計 岡山県赤磐郡熊山町徳富363番地 備前化 成株式会社内 Fターム(参考) 4B050 CC01 DD02 FF03E FF04E FF05E FF12E FF13E LL01 LL02 LL10 4B065 AA50X AC14 AC15 CA31 CA41 CA44 CA47 CA60

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 至適pHが約5、至適温度が約40℃、
    分子量が約5.5万(SDS−PAGE法)、等電点がp
    H約8であることを特徴とするホスホリパーゼD。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のホスホリパーゼDを産生
    するストレプトマイセス属のホスホリパーゼD生産菌。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のホスホリパーゼD生産菌
    を培地で培養し、産生したホスホリパーゼDを回収する
    ことを特徴とするホスホリパーゼDの製造法。
JP08618999A 1999-03-29 1999-03-29 ホスホリパーゼdおよびその製造法 Expired - Lifetime JP4426664B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08618999A JP4426664B2 (ja) 1999-03-29 1999-03-29 ホスホリパーゼdおよびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08618999A JP4426664B2 (ja) 1999-03-29 1999-03-29 ホスホリパーゼdおよびその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000270857A true JP2000270857A (ja) 2000-10-03
JP4426664B2 JP4426664B2 (ja) 2010-03-03

Family

ID=13879836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08618999A Expired - Lifetime JP4426664B2 (ja) 1999-03-29 1999-03-29 ホスホリパーゼdおよびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4426664B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP4426664B2 (ja) 2010-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0378115B2 (ja)
US4783402A (en) Production of primary or secondary alcohol derivatives of phospholipids by the enzymatic technique
Nakajima et al. A facile transphosphatidylation reaction using a culture supernatant of actinomycetes directly as a phospholipase D catalyst with a chelating agent
JP2003210164A (ja) カプサイシン分解合成酵素及びその生産方法
KR100300443B1 (ko) 신규의에스테라제및광학활성크로만화합물의제조방법
Moyed et al. Studies on the adenosine triphosphate-propionate reaction in extracts of an unidentified bacterium
JP2000270857A (ja) ホスホリパーゼdおよびその製造法
JP2011211921A (ja) 環状ホスファチジン酸の製造方法
EP0771868B1 (en) Novel deaminoneuraminidase and process for producing the same
JPS6362195B2 (ja)
JP2799621B2 (ja) ホスホリパーゼdの製造法
JP4236323B2 (ja) 新規なエステル分解酵素
JP3868052B2 (ja) スフィンゴ脂質セラミドn−デアシラーゼ
JP3729468B2 (ja) シュードモナス属に属するセラミダーゼ生産菌
JP6857927B1 (ja) ホスファチジルグリセロール特異的な新規酵素
JPH088866B2 (ja) ホスホリパ−ゼdおよびその製造法
JP3866357B2 (ja) 熱安定性耐溶媒性エステル分解酵素
JPS58152481A (ja) 新規なホスホリパ−ゼd−pおよびその製造法
KR100225669B1 (ko) 효소를 이용한 고순도 인지질의 생산방법
JP3118560B2 (ja) 耐熱性ホスホリパーゼ活性を有する酵素組成物及びその製造方法
JPH0117675B2 (ja)
SU1724689A1 (ru) Способ получени эндонуклеазы рестрикции, узнающей и расщепл ющей последовательность нуклеотидов 5 @ - TGATCA-3 @
JPH028716B2 (ja)
JP2799622B2 (ja) ホスホリパーゼdおよびその製造法
JPH0787781B2 (ja) ホスホリパーゼd及びホスホリパーゼdの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091022

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term