JP2000270857A - ホスホリパーゼdおよびその製造法 - Google Patents
ホスホリパーゼdおよびその製造法Info
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Abstract
該ホスホリパーゼDを産生する新規微生物を提供するこ
と。 【解決手段】 至適pHが約5、至適温度が約40℃、
分子量が約5.5万(SDS−PAGE法)、等電点が
pH約8であるホスホリパーゼD、及び該ホスホリパー
ゼDを産生するストレプトマイセス属のホスホリパーゼ
D生産菌。
Description
類に含まれているホスファチジルコリンやホスファチジ
ルエタノールアミンなどのリン脂質と各種水酸基をもつ
化合物とから、乳化剤、農薬、医薬、食品、工業用試薬
等に有用なリン脂質誘導体を製造するのに用いられるホ
スホリパーゼD、その製造方法及びホスホリパーゼDを
産生する新規微生物に関するものである。
4)は、グリセロリン脂質のホスファチジル基と塩基と
の間のエステル結合を加水分解してホスファチジン酸お
よび塩基を遊離させる酵素である。この酵素は、その起
源によっては加水分解反応以外に、グリセロール、セリ
ン、エタノール、フェノール等のアルコール性およびフ
ェノール性水酸基を有する化合物の共存下でグリセロリ
ン脂質のホスファチジル基を上記水酸基を有する化合物
に転移させ、新たなリン酸エステルを生成する反応(ホ
スファチジル基転移反応)を生起させる作用を有する。
ンソウ、綿実等の植物体からの抽出あるいはストレプト
マイセス属、ミクロノスポラ属、ノカルディオプシス
属、アクチノマデューラ属又はノカルディア属等の微生
物を用いた発酵法により製造できることが知られてい
る。例えば、特公昭52−39918号公報、特公昭5
8−52633号公報、特公平1−12474号公報、
特公平8−8866号公報、特開昭58−63388号
公報、特開昭58−67183号公報、特開昭60−1
64483号公報、特開平4−166083号公報、ア
グリカルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Ag
ricaltural Biological Chemistry)51巻、9号、25
15−2524頁(1987年)、アグリカルチュラル
・バイオロジカル・ケミストリー(Agricaltural Biolo
gical Chemistry)54巻、5号、1189−1193頁
(1990年)、バイオサイエンス・バイオテクノロジ
ー・バイオケミストリー(Bioscience Biotechnology B
iochemistry)57巻、11号、1946−1948頁
(1993年)およびバイオキミカ・バイオフィジカ・
アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)1255巻、
273−279頁(1995年)を参照されたい。しか
しながら、これら従来の製造法により得られるホスホリ
パーゼDは、それぞれ基質特異性、反応性などが異なっ
ており、新規な特性を有するホスホリパーゼDの提供が
望まれている。又、従来の製造方法によると、ホスホリ
パーゼD産生能を有する菌株を用いた発酵法により作ら
れる培養液中に占める夾雑タンパク質の生成量が多く、
従って培養液中のホスホリパーゼDの純度が低いといっ
た問題がある。そのため食品等の製造に用いる際には夾
雑タンパク質を取り除き、ホスホリパーゼDを濃縮する
工程を設ける必要の有る場合があった。
を有するホスホリパーゼDを提供することを目的とす
る。本発明は、又、ホスホリパーゼDを高純度で得るこ
とができる製造法を提供することを目的とする。本発明
は、又、上記ホスホリパーゼDを産生する新規微生物を
提供することを目的とする。
ル基転移活性を示すホスホリパーゼDを生産する能力を
有する多数の微生物について、ホスホリパーゼDの生産
効率が高く、特にその培養物中にホスホリパーゼDの占
める割合が高く、夾雑タンパク質の生産量が低い菌株を
探索する実験を繰り返した結果、岡山県上房郡賀陽町吉
川地区で採取した土壌から分離した新菌株ストレプトマ
イセス・エスピー(Streptomyces.sp.)TH−2が優れ
た性能を有し、これにより上記課題を有効に解決できる
との知見に基づいてなされたのである。すなわち、本発
明は、至適pHが約5、至適温度が約40℃、分子量が
約5.5万(SDS−PAGE法)、等電点がpH約8
であることを特徴とするホスホリパーゼDを提供する。
本発明は、又、上記ホスホリパーゼDを産生するストレ
プトマイセス属のホスホリパーゼD生産菌を提供する。
本発明は、又、上記ホスホリパーゼD生産菌を培地で培
養し、産生したホスホリパーゼDを回収することを特徴
とするホスホリパーゼDの製造法を提供する。
度が約40℃、分子量が約5.5万(SDS−PAGE
法)、等電点がpH約8で、カルシウム又はマグネシウ
ムイオン要求性のホスホリパーゼDを産生するストレプ
トマイセス属のホスホリパーゼD生産菌としては、スト
レプトマイセス・エスピーTH−2株を用いるのが好ま
しい。この株は、工業技術院微生物工業技術研究所に平
成11年3月24日付けで寄託されており、その寄託番
号はFERM P−17329号である。その菌学的特
徴を次に示す。 形態学的特徴 基性菌糸の存在 + 気菌糸の存在 + 輪生岐の有無 + 胞子連鎖の形状 Verticilli(輪生状) 胞子の表面構造 判定不可*1 集落表面の色調 Gray series メラニン色素の生成 微弱 集落裏面の色調 特徴なし yellowish brown, grayish yellow,grayish yellow−ol
ive brown,olive brown
9(H4)
ptomyces septatus に属し、新菌株であることは、Nono
mura,H.: J.Ferment.Technol., 52, 78-92(1974)及びSh
irling.E.B. and Gotilleb.D.: Int.J.Syst.Bacterio
l., 22, 265-394(1972) に基づいて決定した。本発明の
ホスホリパーゼDを製造するための、上記ストレプトマ
イセス・エスピーTH−2の培養は、放線菌一般の培養
に通常採用される方法に従って行うことができるが、特
に好ましくは培地には炭素源として、例えばクエン酸、
コハク酸、ブドウ糖、果糖等を単独で、または組み合わ
せて適宜行うことができる。また窒素源として、例えば
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、硝酸ナト
リウム、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンステ
ィープリカー、カザミノ酸、脱脂大豆粉、大豆タンパク
等を用いることができる。培地には、他に食塩、塩化カ
リウム、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カ
リウム塩、鉄塩、マンガン塩、各種ビタミン、その他、
菌の生育やホスホリパーゼDの生産促進に有効な物質を
適宜添加することができる。好ましい培地pHは5〜
9、特に好ましくは6〜7である。培養法としては深部
培養法が好ましいが、固体培養法を採用することもでき
る。培養は約20〜40℃で行うことができるが、好ま
しい培養温度は33〜35℃である。好ましい培養期間
は温度、pH、培地によって異なるが、通常1〜6日程
度であり、目的物であるホスホリパーゼDの生産量が最
大に達した頃に培養を停止する。
るいはろ別し、その遠心上精あるいはろ液をホスホリパ
ーゼD溶液として用いることができる。または、遠心上
精あるいはろ液からさらにホスホリパーゼDを濃縮、採
取するにあたっては、例えば塩析、有機溶媒沈殿、透
析、限外ろ過、イオン交換クロマトグラフィー、吸着ク
ロマトグラフィー、ゲルろ過、凍結乾燥、等電点電気泳
動等の方法を、後述するホスホリパーゼDの理化学的性
質を考慮した条件下で採用すればよい。ストレプトマイ
セス・エスピーTH−2の生産するホスホリパーゼDは
以下の理化学的性質を有するものである。 (a)作用 加水分解反応 一般式(I)で示されるリン脂質を加水分解し、ホスフ
ァチジン酸と塩基とを遊離させる。
ルキル基、Xは1つ以上の水酸基を含む塩基の水酸基1
個を除いた後に残る有機基を表す。) ホスファチジル基転移反応 上記一般式(I)で表されるリン脂質のホスファチジル
基を下記一般式(II)で示される水酸基を有する化合物
の共存下、
に結合した有機基を表す。) 一般式(II)で表される化合物の水酸基にホスファチジ
ル基を転移させ、下記一般式(III)で示されるリン脂質
誘導体を生成する。
の基を表す。) 本発明の酵素の移転反応における反応性/加水分解にお
ける反応性の比が3倍以上であるのが好ましい。 (b)至適pH:約5.0 (c)pH安定性:pH4〜9で安定 (d)至適温度:約40℃ (e)熱安定性: pH5.0およびリン脂質の非共存下において、60℃、
10分間の熱処理でも全く失活しない。 (f)分子量: 5.5万(SDS−PAGE法による。) (g)等電点: pH8.0(等電点電気泳道法による。) (h)N末端アミノ酸配列:AspSerAlaAsp
GlyArgGlyAlaProHisLeuAspA
laValGluGlnGlnLeuArgGln(エ
ドマン反応を用いた気相法N末端アミノ酸配列決定法に
よる。) (i)カルシウム又はマグネシウム要求性 カルシウムイオン(50マイクロモル/ml)共存下に
おけるジパルミトイルホスファチジルコリンの加水分解
活性を100とした時の各種イオン存在下におけるホス
ホリパーゼDの活性を表−1に示す。
基質であるリン脂質に作用してリン酸と塩基との間のエ
ステル結合を分解した際に生じる塩基を定量することに
よって求める。一般的には、ホスファチジルコリンを基
質とした場合に生じるコリンをコリンオキシダーゼおよ
びペルオキシダーゼを組み合わせて定量することにより
加水分解活性を決定することが通例である。しかし、本
発明ではより簡便な方法であるホスファチジルパラニト
ロフェノールを基質とした場合に生ずるパラニトロフェ
ノールを直接定量することにより加水分解活性を決め
た。なお、このホスファチジルパラニトロフェノールを
基質とした場合ではカルシウムあるいはマグネシウムを
活性に必要とはしない。この明細書に記載した酵素活性
は、アナリティカ・キミカ・アクタ(Analytica Chimic
a Acta)304巻、249−254項(1995年)記
載の方法により合成されるホスファチジルパラニトロフ
ェノールを基質として用いる下記の方法により測定され
たものであって、1分間に1μmolのパラニトロフェ
ノールを遊離する酵素活性を1ユニット(u)としてい
る。
ラニトロフェノール360mgに、ジエチルエーテル1
ml加え溶解した後、100mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.5),15ml、および10%トリトン×10
0を含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5),
15mlを添加し、60℃で溶液が透明になるまで加温
する。これを減圧下でジエチルエーテルを留去し基質保
存液(16mMホスファチジルパラニトロフェノール)
とする。基質保存液を、100mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.5)で2mMホスファチジルパラニトロフェノ
ールとなるように希釈したものを基質溶液とし、あらか
じめ37℃で加温する。基質溶液950μLに対してあ
らかじめ37℃で加温した酵素液50μLを添加後、混
合しホスホリパーゼDの加水分解反応によって遊離して
くるパラニトロフェノールを405nmの吸光度を測定
することおよびパラニトロフェノールのミリモル分子吸
光係数18.45から、1分間あたりのパラニトロフェノ
ール生成量を換算し、酵素活性値を決定する。
下のようにして求めた。ホスファチジルパラニトロフェ
ノールを1mlあたり16mgの割合で、ベンゼンに溶
解し、基質溶液(20mMホスファチジルパラニトロフ
ェノール)とする。1サンプルにつき、この基質溶液0.
2mlに2Mエタノールを含む20mM酢酸バッファー
(pH5.0)溶液0.1mlおよび20mg/mlの牛ア
ルブミン溶液0.05mlを混合し、15分間超音波にて
分散し、エマルジョン化する。これを37℃で5分間加
温した後、酵素溶液0.05mlを加え、反応を開始す
る。これと平行して、酵素溶液のかわりにパラニトロフ
ェノールを1.0、0.8、0.6、0.4、0.2、0.0μモル
含む溶液を各々添加した系列をつくり検量線用試料とす
る。37℃、10分間反応を行った後、1N塩酸溶液0.
1mlを加え反応を停止した後、1N水酸化ナトリウム
溶液0.15mlおよびクロロホルム/メタノール=3/
1溶液0.4mlを加え混合後、4℃で10分間遠心分離
する。水相を0.02mlとり、0.1Mトリス−塩酸バッ
ファー(pH8.0)0.18mlと混合し、マイクロプレ
ートリーダー等の手段により405nmの吸光度を測定
する。別途作成した検量線用試料の吸光度値から検量線
を作成し、転移反応により遊離したパラニトロフェノー
ル量を換算し、転移活性を決定する。なおこの反応での
1ユニットは1分間あたり1マイクロモルのパラニトロ
フェノールを遊離させる酵素量と定義する。
転移活性を示す新規なホスホリパーゼDが提供される。
又、本発明の製造法によれば、上述のように従来の製造
法により得られるものと比較して、きわめて高い純度の
ホスホリパーゼDをきわめて容易に製造することができ
る。すなわち、従来報告されているホスホリパーゼDの
生産菌株の培養物1Lあたりの総タンパク質に対するホ
スホリパーゼDの含有率は、例えばアグリカルチュラル
・バイオロジカル・ケミストリー(AgricalturalBiolog
ical Chemistry)51巻、9号、2515−2524項
(1987年)記載の方法によれば、培養物1Lあたり
の遠心上精のタンパク濃度が3157mg/Lであり、
そのうちホスホリパーゼDの占める割合は、ホスホリパ
ーゼD活性が5020u/Lであること及び精製された
ホスホリパーゼDの比活性が688u/mgであること
から換算すると、0.23%と見積もられる。アグリカル
チュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agricaltur
al Biological Chemistry)54巻、5号、1189−1
193項(1990年)記載の方法によれば、培養物1
Lあたりの遠心上精のタンパク濃度が282mg/Lで
あり、そのうちホスホリパーゼDの占める割合は、ホス
ホリパーゼD活性が1962u/Lであること及び精製
されたホスホリパーゼDの比活性が2390u/mgで
あることから換算すると、0.29%と見積もられる。バ
イオサイエンス・バイオテクノロジー・バイオケミスト
リー(Bioscience Biotechnology Biochemistry)57
巻、11号、1946−1948項(1993年)記載
の方法によれば、培養物1Lあたりの遠心上精のタンパ
ク濃度が286mg/Lであり、そのうちホスホリパー
ゼDの占める割合は、ホスホリパーゼD活性が3200
u/Lであること及び精製されたホスホリパーゼDの比
活性が1436.8u/mgであることから換算すると、
0.78%と見積もられる。また、バイオキミカ・バイオ
フィジカ・アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)1
255巻、273−279項(1995年)に記載の2
種の菌株を用いた方法によれば、培養物1Lあたりの遠
心上精のタンパク濃度が5200mg/Lあるいは66
00mg/Lであり、そのうちホスホリパーゼDの占め
る割合は、ホスホリパーゼD活性が1067u/Lある
いは1168u/Lであること及び精製されたホスホリ
パーゼDの比活性が41.72u/mgあるいは44.90
u/mlであることから換算すると、0.49%あるいは
0.39%となる。このように従来報告されているホスホ
リパーゼDの製造法は、いずれもその培養物中の総タン
パク質に占めるホスホリパーゼDの含有率は1%未満と
いった低い水準のものであるから、最大で13%以上も
の高い含有率を占める本発明の製造法によれば、高いホ
スファチジル基転移活性を示すホスホリパーゼDの製造
能率の飛躍的な向上が可能になる。次に本発明を実施例
により説明する。
5%MgSO4 ・7H 2 O、0.5%ペプトン、0.5%酵
母エキスを含むpH7.0のものを用意し、その100m
lを500ml容の三角フラスコに入れ、120℃、1
5分滅菌後TH−2株前培養液3ml(上記組成の培地
にて37℃125rpmで3ないし4日間培養したも
の)をフラスコ1本につき殖菌し、計10本分をロータ
リーシェーカーにて34℃、125rpm、で通気攪拌
培養を24時間行った。菌体外に分泌されたホスホリパ
ーゼDの加水分解活性を測定したところ、180u/L
であり、その際のタンパク質濃度は120mg/Lであ
った。その培養物を遠心(6000rpm、30分、4
℃)し、その上精を70%飽和硫酸アンモニウムにより
ホスホリパーゼD活性を含む画分を濃縮した。生成した
沈殿を5mMトリス−マレイン酸−水酸化ナトリウム緩
衝液(pH6.5)に溶解し、同緩衝液に対して透析し
た。その後、同じ緩衝液で平衡化したハイロードSP−
セファロースHP26/10カラム(アマシャムファル
マシアバイオテク社製)に通し、不純物であるタンパク
質および色素の大半を素通りさせた。吸着したホスホリ
パーゼDは塩化ナトリウム濃度を0Mから0.2Mまで変
化させる直線濃度勾配法によりホスホリパーゼD画分を
溶出した。得られたホスホリパーゼDは、電気泳動的に
単一まで精製され、精製品の加水分解活性の比活性は1
1.14u/mgであった。上記精製工程におけるホスホ
リパーゼDの収量は3.3mgであり、その回収率は約2
0%であった。上記精製工程で用いた培養物のタンパク
濃度は120mg/Lであり、培養物中に含まれるホス
ホリパーゼD加水分解活性は180u/Lであることか
ら、精製ホスホリパーゼDの比活性から換算すれば、培
養物には16.15mg/Lの濃度でホスホリパーゼDが
含まれ、培養物中の総タンパク質に占めるホスホリパー
ゼDは約13.46%と見積もられた。
ウム、0.2%KH2 PO4 、0.05%MgSO4 ・7H
2 O、0.5%ペプトン、0.5%酵母エキスを含むpH7.
0のものを用意し、その100mlを500ml容の三
角フラスコに入れ、120℃、15分滅菌後TH−2株
前培養液3mlを殖菌し、ロータリーシェーカーにて3
4℃、125rpm、で通気攪拌培養を行った。経時的
に菌体外に分泌されたホスホリパーゼD加水分解活性を
測定したところ、96時間目に最大活性を示し、その値
は380u/Lであった。また、その際のタンパク質濃
度は450mg/Lであった。ホスホリパーゼDの加水
分解の比活性が11.14u/mgであることから、培養
物には34.1mg/Lの濃度でホスホリパーゼDが含ま
れ、培養物中の総タンパク質に占めるホスホリパーゼD
は約7.6%と見積もられた。また、炭素源を0.5%ブド
ウ糖のみを用い、それ以外の組成は上記のもので同様な
条件で培養した場合、経時的に菌体外に分泌されたホス
ホリパーゼD活性を測定したところ、48時間目に最大
活性を示し、そのホスホリパーゼD加水分解活性は24
0u/Lであり、その際のタンパク質濃度は460mg
/Lであった。ホスホリパーゼDの加水分解の比活性が
11.14u/mgであることから、培養物には21.6m
g/Lの濃度でホスホリパーゼDが含まれ、培養物中の
総タンパク質に占めるホスホリパーゼDは約4.7%と見
積もられた。
Hにおける、本酵素の加水分解反応および転移反応にお
ける1秒あたりのターンオーバーナンバー(kcat)
およびKmを測定した。その結果、加水分解反応におい
て、kcatは97.0sec-1であり、ホスファチジル
パラニトロフェノールに対するKmは1.02mMであっ
た。この値から加水分解反応における酵素の反応性を示
す指標であるkcat/Km値は、95.4mM-1・se
c-1となった。一方、転移反応において、kcatは2
44.0sec-1であり、ホスファチジルパラニトロフェ
ノールに対するKmは0.68mMであった。この値から
転移反応における酵素の反応性を示す指標であるkca
t/Km値は、361.0mM-1・sec-1となった。ま
た、この転移反応におけるエタノールに対するKmは1
41.2mMであった。加水分解および転移反応における
kcat/Km値を比較すると、TH−2株由来の精製
ホスホリパーゼDは加水分解における反応性と比べ約3.
8倍転移における反応性が高いことが判明した。
P(ホスホリパーゼDP)を用いて、至適pHにおけ
る、実施例3と同様な試験を行った。加水分解反応およ
び転移反応における1秒あたりのターンオーバーナンバ
ー(kcat)およびKmを測定した。その結果、加水
分解反応において、kcatは60.9sec-1であり、
ホスファチジルパラニトロフェノールに対するKmは0.
42mMであった。この値から加水分解反応における酵
素の反応性を示す指標であるkcat/Km値は、14
5.0mM-1・sec-1となった。一方、転移反応におい
て、kcatは254.5sec-1であり、ホスファチジ
ルパラニトロフェノールに対するKmは2.17mMであ
った。この値から転移反応における酵素の反応性を示す
指標であるkcat/Km値は、117.5mM-1・se
c-1となった。また、この転移反応におけるエタノール
に対するKmは287.5mMであった。加水分解および
転移反応におけるkcat/Km値を比較すると、PL
DPは転移における反応性が、加水分解における反応性
の約0.8倍となることが判明した。
Claims (3)
- 【請求項1】 至適pHが約5、至適温度が約40℃、
分子量が約5.5万(SDS−PAGE法)、等電点がp
H約8であることを特徴とするホスホリパーゼD。 - 【請求項2】 請求項1記載のホスホリパーゼDを産生
するストレプトマイセス属のホスホリパーゼD生産菌。 - 【請求項3】 請求項1記載のホスホリパーゼD生産菌
を培地で培養し、産生したホスホリパーゼDを回収する
ことを特徴とするホスホリパーゼDの製造法。
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