JP2000269093A - 電解コンデンサー電極用アルミニウム箔およびその製法 - Google Patents

電解コンデンサー電極用アルミニウム箔およびその製法

Info

Publication number
JP2000269093A
JP2000269093A JP11074366A JP7436699A JP2000269093A JP 2000269093 A JP2000269093 A JP 2000269093A JP 11074366 A JP11074366 A JP 11074366A JP 7436699 A JP7436699 A JP 7436699A JP 2000269093 A JP2000269093 A JP 2000269093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
aluminum foil
pass
grain boundary
aluminum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11074366A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsura Kajiwara
桂 梶原
Kenji Tokuda
健二 徳田
Yuichi Seki
勇一 関
Yasuaki Sugizaki
康昭 杉崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP11074366A priority Critical patent/JP2000269093A/ja
Publication of JP2000269093A publication Critical patent/JP2000269093A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エッチング処理後の状態で高レベルの静電容
量と折曲げ強度を発現し得る様な電解コンデンサー用ア
ルミニウム箔とその製法を開発すること。 【解決手段】 アルミニウム箔表面に形成される(10
0)面の95%以上が理想(100)面に対して15°
以内であり、且つ隣接する結晶粒の方位差が20°を超
える結晶粒界長さの総和が、全結晶粒界長さの総和に対
して30%以下である電解コンデンサー電極用アルミニ
ウム箔を提供すると共に、これらの特性を備えた電極用
アルミニウム箔を効率よく製造することのできる方法を
開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサー
電極用アルミニウム箔、特に、中高圧用の電極材として
用いられるアルミニウム箔とその製法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】中高圧用の電極コンデンサーの電極材と
して一般に用いられるアルミニウム箔には、その実効面
積を拡大して単位面積あたりの静電容量を増大するた
め、通常、電気化学的もしくは化学的エッチング処理が
施される。但し、アルミニウム箔を単にエッチング処理
するだけでは十分な静電容量が得られないので、箔上面
の結晶方位で(100)面(立方体方位、Cube方位
とも呼ぶ)を多く有する集合組織とすることにより、箔
のエッチング特性を向上させることが必要となる。そこ
でこの様な高い(100)面率を確保するため、種々の
方法が試みられている。
【0003】電解コンデンサー電極用アルミニウム箔の
一般的な製法としては、DC鋳造した合金鋳塊を均質化
処理した後、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍を順次行な
い、その後低冷延率またはスキンパスを経て、500℃
程度以上の高温焼鈍を行なう方法が採用されている(特
公昭54−11242号、同60−59982号、同6
0−63359号など)。
【0004】また近年では、熱延条件の制御(特開平7
−211591号)や中間焼鈍から最終焼鈍までの間で
箔表層部を除去する方法(特開平10−81945
号)、冷延板の結晶方位を制御する方法(特開平10−
3308739号)なども提案されている。更に特表平
9−511360号によると、製品アルミニウム箔での
理想立方体配向([001]<100>に対し、10〜2
0°ずれた配向を有する粒子が20%未満)の制御がな
されている。
【0005】また電極コンデンサー用の電極は、表面積
を拡大して単位体積あたりの静電容量を増大させるた
め、化学的あるいは電気化学的エッチング処理を施して
粗面化されるが、使用上の要求から強度、特に、引張強
度と折曲げ強度も重要であり、特開平6−220561
では、成分調整によってその改質が試みられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、電解コンデンサ
ーの小型化や高静電容量化の要望が高まってくるにつれ
て、アルミニウム箔に対する要求品質はますます厳しく
なっており、より高い(100)面率と更に高い折曲げ
強度を有する製品が求められている。一方で、アルミニ
ウム純度が高くなる(99.99%以上)ほど、(10
0)面率が高くなることは一般に知られているが、アル
ミニウム純度が高くなるほど原料スラブのコストは高く
なるので、昨今のコストダウンの要求に対応するには、
それほど純度の高くないアルミニウムであっても安定し
て高い(100)面率を確保できる様にすることが求め
られる。
【0007】本発明はこうした背景技術に鑑みてなされ
たものであり、高い立方体方位を有し、エッチング処理
後の状態で高レベルの静電容量と折曲げ強度を発現し得
る様な電解コンデンサー電極用アルミニウム箔を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の電解コンデンサー電極用アルミニウム
箔は、アルミニウム箔表面に形成される(100)面の
95%以上が理想(100)面に対して15°以内であ
り、且つ隣接する結晶粒の方位差が20°を超える結晶
粒界長さの総和が、全結晶粒界長さの総和に対して30
%以下であるところに要旨を有している。
【0009】また本発明の製法は、上記特性を備えた電
解コンデンサー電極用アルミニウム箔を効率よく製造す
ることのできる方法を開示するもので、その構成は、ア
ルミニウム純度99.9%以上のアルミニウム鋳塊を面
削した後、450〜600℃の温度に保持してから粗圧
延を開始し、粗圧延開始パスからの圧延速度を30m/
min以上にすると共に、板厚100〜200mm以降
のパスを1パス当たり15〜40%で圧延し、450℃
以上で粗圧延最終パスを行い、且つ圧延終了後1℃/s
ec以上の速度で380℃以下まで冷却することによ
り、板厚20〜50mmを得、引き続いて、熱延最終終
了温度290℃以下で板厚3〜10mm以下まで熱間仕
上げ圧延した後、常法に従って冷間圧延、箔圧延、中間
焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行なうことところ
に要旨がある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは上記課題の解決を期
して鋭意研究を重ねた結果、アルミニウム箔の結晶粒界
の性状を適正に制御することで、高い(100)面率と
高い折曲げ強度が両立できることを見出した。
【0011】本発明の電解コンデンサー電極用アルミニ
ウム箔における(100)面を持った粒の方位は、理想
配向でCube方位[001]<100>[アルミニウム
の結晶格子が、アルミニウム箔上面で(100)面、圧
延方向が<100>方向を向く]を示す。ところが、上
記理想配向から数度〜数十度ずれた結晶粒や面内で回転
した結晶粒が存在すると結晶粒界が不均一になり、それ
が、エッチング処理後の静電容量の増大と折曲げ強度の
上昇を著しく阻害していることを知った。そして、電解
コンデンサー電極用として高品質のアルミニウム箔を得
るには、アルミニウム箔表面における結晶粒の改善が必
要であり、本発明ではその制御に初めて成功したもので
ある。
【0012】以下、本発明でアルミニウム箔の結晶粒界
方位差を特定した理由およびその評価法、更にはこうし
た方位差を確保するための具体的な条件について詳細に
説明していく。
【0013】<箔の結晶粒界方位差の制御>本発明で
は、アルミニウム箔表面に形成される(100)面の9
5%以上が理想(100)面に対して15°以内であ
り、且つ隣接する結晶粒の方位差が20°を超える結晶
粒界長さの総和が、全結晶粒界長さの総和に対して30
%以下であることを必須としており、これらの要件を定
めた理由は次の通りである。
【0014】アルミニウム箔表面に形成される(10
0)面の95%以上が理想(100)面に対して15°
以内:電解コンデンサー電極用アルミニウム箔において
は、その上面の(100)面占有率が高いほどエッチン
グ処理後の静電容量が高くなることは既に確認されてい
る。そして該(100)面率は、サンプルを化学腐食
し、鏡をシート表面に平衡に配置して、明るい部分の表
面積の割合を画像処理等によって求めている。しかし実
際には、理想の(100)面方位から数度以上分散して
いる粒子が相当量存在しているにもかかわらず、該分散
度が電解コンデンサー電極用アルミニウム箔としての性
能に与える定量的な影響までは追求されたことがなく、
もちろん該分散度の制御により性能を高めるといったこ
とは行われたことがない。
【0015】ところが、本発明者らが電解コンデンサー
電極用アルミニウム箔としてエッチング特性に及ぼす上
記分散度の影響について追求した結果、箔表面の(10
0)面における95%以上、好ましくは96%以上が、
理想(100)面に対して15°以内であるものは、安
定して優れたエッチング特性を発揮することが確認され
た。
【0016】隣接する結晶粒の方位差が20°を超え
ている結晶粒界長さの総和が、全結晶粒界長さの総和に
対して30%以下:更に本発明者らが確認したところに
よると、隣接する結晶粒界の方位差は、エッチング処理
後の静電容量の向上と折曲げ強度の向上に顕著な影響を
及ぼすことが確認された。即ち、電気化学的もしくは化
学的エッチング等で生じるエッチングピットは、サイズ
が約1μm程度で素地の結晶方位が(100)面のと
き、深くて均一なピット形状をなすが、結晶粒界の方位
差が大きいもの(以下、大傾角粒界と呼ぶ)の占める比
率が多くなるにつれて、その部分でピットが深く形成さ
れ難くなり、エッチング処理後の静電容量が向上し難く
なるばかりででなく、不均一エッチング部の発生により
折曲げ強度も低下してくることが確認された。
【0017】そして、上記隣接結晶粒界の方位差がエッ
チング特性などに及ぼす定量的関係を追及した結果、隣
接結晶粒の方位差が20°を超える結晶粒界長さの総和
が全結晶粒界長さの総和に対して30%以下、より好ま
しくは28%以下であるものは、安定して優れたエッチ
ング特性と折曲げ強度を示すことが確認された。
【0018】尚このような大傾角粒界は、最終焼鈍過程
でのCube方位粒の優先成長より結晶粒界面が移動し
て高(100)面率が形成される(最終的には、平均結
晶粒径がおよそ100〜500μmまで成長)際に、そ
の過程で残存した結晶粒界で生じること、そしてこうし
た結晶粒界の制御は、後述する熱延条件の制御によって
達成されることが確認された。
【0019】次に、上記結晶方位および結晶粒界の方位
差の測定法および評価法について説明する。
【0020】本発明では、上記の様に結晶方位および結
晶粒界の方位差を規定するが、これらの測定は、SEM
−EBSP[Electron Back Scattering(Scattered)
Pattern)、若しくはEBSD(Diffraction)とも言
う]によって行なわれる。測定対象となるアルミニウム
箔の表面は、電解研磨することによって調整し、例えば
約2×4mm範囲を数箇所測定し、その平均によって割
合を決める。測定する結晶粒の数は200個以上とす
る。
【0021】その他の方法として、SEM(Scanning
Electron Microscopy)−ECP(Electron Channeli
ng Pattern)法やTEMによる電子線回折法もある
が、局所部分での測定であり、また結晶粒は厚さ方向に
変化しているので、任意の何点かの平均値をとることに
よって求める必要がある。
【0022】解析する粒界は、結晶粒界方位差が1°以
上のすべてについて行う。EBSPによる測定/解析の
例を後記表4に、また各粒界方位差を持った粒界の割合
を示すヒストグラムの一例を図1[本発明例(No.
1)]および図2[比較例(No.5)]に、更に組織
上の各方位差を持った粒界の分布状態の一例を図3[本
発明例(No.1)]および図4[比較例(No.
5)]に示す。
【0023】図3,4において、結晶粒界を白抜きで示
しているのは方位差が20°以下であるもの、黒く塗り
つぶしているのは方位差が20°を超える結晶粒界を示
している。
【0024】そして上記の様に、アルミニウム箔表面に
形成される(100)面の95%以上、より好ましくは
96%以上が理想(100)面に対して15°以内であ
り、且つ隣接する結晶粒の方位差が20°を超える結晶
粒界長さの総和が、全結晶粒界長さの総和に対して30
%以下、より好ましくは28%以上であるアルミニウム
箔は、後記実施例でも明らかにする如く、エッチング処
理により深くて且つ均一なエッチングピットを形成する
ことができ、それにより高い静電容量と折曲げ強度を兼
ね備えた電解コンデンサー用電極を得ることができるの
である。
【0025】上記要件を満たす電解コンデンサー電極用
アルミニウム箔は、純度99.9%以上のアルミニウム
を原料として使用し、該アルミニウム鋳塊を面削した
後、450〜600℃の温度で保持してから粗圧延を開
始し、粗圧延開始パスから、圧延速度30m/min以
上で、板厚100〜200mm以降のパスを1パス当た
り15〜40%の圧下率で、圧延温度450℃以上の粗
圧延最終パスを行い、且つ粗圧延終了後は1℃/sec
以上の速度で380℃以下まで冷却することにより板厚
20〜50mmを得、引き続いて厚さ3〜10mmまで
熱延最終終了温度290℃以下で熱間仕上げ圧延を行な
い、その後は、常法に従って後、冷間圧延、箔圧延、中
間焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行なうことによ
って得ることができる。
【0026】即ち本発明者らが確認したところによる
と、最終製品アルミニウム箔における結晶粒界の性状が
悪くなる原因は粗圧延工程にあり、熱延終了状態で最適
な結晶粒界性状を得るには、熱間粗圧延から仕上げ圧延
温度までの条件を上記の様に設定すべきであることをつ
きとめたのである。
【0027】即ちまず本発明では、原料アルミニウムと
して従来の様に99.99%以上といった純度までは要
求されないが、少なくとも99.9%以上、より好まし
くは99.95%以上のものを使用することが必要であ
る。ちなみに99.9%未満の低純度物では、最終アル
ミニウム箔をエッチングする際に、不純物の存在によっ
てエッチング性が阻害され、十分な深さを持った均一な
ピットが形成され難くなり、静電容量の高い電極が得ら
れ難くなる。
【0028】原料となるアルミニウム鋳塊の製造には通
常のDC鋳造法を採用すればよく、鋳造後は均質化処理
して熱間圧延に供される。この均質化処理は、面削後に
熱間圧延前の加熱をかねて行ってもよいし、熱間圧延の
加熱前に均質化処理として別に行ってもよい。なお予め
均質化処理を行い、その後で面削し再加熱してから熱間
圧延を行う手順を採用すると、圧延前における鋳塊表面
の酸化皮膜が少なくなるので表面品質の向上に効果的で
ある。
【0029】以下、熱間圧延条件を上記の様に設定した
理由を詳細に説明していく。
【0030】先ず粗圧延開始温度は、粗圧延前半での
再結晶、結晶粒径、粒界方位差を制御するうえで重要で
あり、この開始温度が600℃を超えると、圧延中にロ
ールへの焼付きが生じて表面キズの原因になる。一方4
50℃未満では、粗圧延開始から終了までの結晶粒界を
制御する再結晶の回数が不十分となり、その後の圧延条
件をうまくコントロールしたとしても、本発明で意図す
る様な優れたエッチング性と折曲げ強度が得られなくな
る。
【0031】粗圧延時の圧延速度は30m/min以
上とし、板厚100〜200mm以降のパスは1パス1
5〜40%のパスで、且つ粗圧延最終パスを温度450
℃以上で行なう。
【0032】上記圧下量と圧下率を規定したのは、結晶
粒径と粒界方位差を適正に制御するためである。上記温
度範囲で圧延を行なうと、粗圧延中に再結晶が生じる
が、本発明者らの実験によれば、該粗圧延時の圧下率に
より結晶粒と粒界の性状は顕著な影響を受けることが確
認された。そして圧下率が15%未満では、再結晶後に
おける旧結晶粒と粒界の残存により(100)面率の低
下および結晶粒の粗大化が起こり、また大傾角粒界の割
合も多くなる。一方、40%を超える圧下率で圧延され
たものが再結晶すると、1つ1つの結晶粒径は小さくな
るものの、旧結晶粒の単位で同一結晶方位をもった粒の
集合体が形成され、組織が粗大化すると共に、Cube
率の低下と大傾角粒界の増大が起こり、いずれも場合も
本発明の目的にそぐわなくなる。より好ましい圧下率は
16%以上、39%以下である。
【0033】なお粗圧延工程における前半のパスでは、
スラブが厚いため上記好適圧下率を満たす圧延は困難で
あるが、各パスにおける圧下量を10mm以上で粗圧延
を行えば、圧下量不足による悪影響はほとんど現われな
い。それ以降のパスは、1パス当たり15〜40%の圧
下率を確保することが、本発明の目的を達成する上で必
須の要件となる。
【0034】この時の圧延速度は、上記再結晶による同
一結晶方位群の分散、微細化、および組織の均一化に重
要であり、圧延速度が30m/m未満では、板厚方向の
ひずみ導入が不十分で組織バラツキを生じる原因にな
る。十分なひずみ導入と組織バラツキ軽減の上でより好
ましい圧延速度は40m/min以上である。
【0035】粗圧延工程における最終パス温度の確保
は、上記圧延パスを経たアルミニウム板を再結晶化させ
るために重要であり、目的達成のためには、粗最終パス
温度を450℃以上、より好ましくは460℃以上にし
なければならない。粗最終パス温度が450℃未満の低
温になると、再結晶不足により満足のいくエッチング特
性が得られなくなる。
【0036】粗圧延終了後は、1℃/sec以上の速
度で380℃以下まで冷却される。これは、粗圧延終了
後の結晶粒を粗大化させることなく、引き続いて行われ
る仕上げ圧延で熱延加工集合組織を発達させ、分散度1
5°以内の(100)面率を向上させるうえで極めて重
要であり、380℃までの冷却速度が1℃/sec未満
では、粗圧延終了後の結晶粒が粗大化すると共に、引き
続いて行われる仕上げ圧延工程での熱延加工集合組織の
発達も遅れ、(100)面率が低下してくる。
【0037】上記粗熱延は板厚20〜50mmで終了
し、引き続いて行なわれる熱間仕上げ圧延では厚さ3〜
10mmまで圧延すると共に、熱延最終終了温度は29
0℃以下にすることが必要となる。すなわち粗熱延終了
時の板厚と熱延終了時のコイル厚さは、熱延加工集合組
織の発達とそれに伴う(100)面率の向上に顕著な影
響を及ぼす。すなわち実操業ではコイル状にされるが、
最終板厚が10mmを超えると、コイルが十分に巻き締
まらなくなって表面キズを生じる原因になり、一方板厚
が3mm未満では、冷延ひずみ蓄積量が不十分になって
(100)面率悪化の原因になる。また熱延終了温度が
290℃を超えると、コイル熱によって部分的な再結晶
が起こり、その後に、冷間圧延、箔圧延、中間焼鈍、冷
間圧延および最終焼鈍を順次行なうことによって得られ
る電極用アルミニウム箔の(100)面率が低下する原
因になる。
【0038】かくして本発明の製法によれば、純度9
9.9%以上のアルミニウム鋳塊を使用し、面削後の保
持温度と粗圧延開始温度、粗圧延開始パスからの圧延速
度と圧下量および圧下率、粗圧延最終パス温度、粗圧延
終了後の冷却速度と板厚、更にはその後の熱間仕上げ圧
延終了温度と板厚を特定し、その後、冷間圧延、箔圧
延、中間焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行なうこ
とによって、優れたエッチング性を示す好適な結晶組織
を有し、且つエッチング後の状態で高レベルの静電容量
と折曲げ強度を示す電解コンデンサー電極用アルミニウ
ム箔を確実に得ることができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0040】[製造方法]表1に示す組成のアルミニウ
ム合金を使用し、通常のDC鋳造によって厚さ400m
m、幅1000mmの鋳塊を鋳造した。その後、均質化
処理(540℃×8h)してから面削し、次いで熱間圧
延に供するため加熱又は炉冷した後、熱間粗圧延および
仕上げ圧延の各条件を表2の様に変化させて熱延板を製
造した。
【0041】その後、0.12mmまで冷間圧延と箔圧
延を行なってから230℃×10時間の中間焼鈍を施
し、更に約15%の冷延を行って100μmの箔とした
後、550℃×7時間で最終焼鈍を行なって最終アルミ
ニウム箔を得た。
【0042】上記各条件で得た最終アルミニウム箔につ
いて下記の組織と特性評価を行ない、表3に示す結果を
得た。
【0043】(100)面率:得られた各アルミニウム
箔についてEBSP測定を行った。試料は各コイル内の
複数個所から採取し、電解研磨処理(10%過塩素酸溶
液、20V×30〜60秒)を行った。EBSPでは一
回の測定範囲が数mm角であるので、数点の測定を行っ
た。測定後、分散度15°以内の(100)面率を画像
処理によって求めた。
【0044】結晶粒界方位差:上記EBSP測定より、
結晶粒界方位差の割合を解析した。このとき、結晶粒界
方位差が1°以上のすべての粒界について解析した。E
BSPによる測定/解析データの一例を表4に、また、
各粒界方位差を持った粒界の割合を示すヒストグラムの
一例を図1[本発明例(No.1)]および図2[比較
例(No.5)]に示す。これらから、粒界方位差が2
0°を超える粒界長さの割合を求めた。
【0045】尚、組織上の各方位差を持った粒界の分布
状態の一例を図3[本発明例(No.1)]および図4
[比較例(No.5)]に示す。図中に白抜きで示した
粒界は方位差が20°以下の結晶粒界を、黒く塗りつぶ
した粒界は方位差が20°を超える結晶粒界を示し、全
結晶粒界長さの総和に対するす方位差20°超の結晶粒
界長さの総和を求めた。
【0046】相対静電容量:次に、各アルミニウム箔に
直流エッチングを行なった。エッチングは82℃、1m
ol/リットルの塩酸(HCl)と3mol/リットル
硫酸(H2SO4)の混合液中で電流密度0.33A/c
2の直流を120秒間通電した。その後、80℃の5
%硼酸水溶液中で350Vの化成処理を施し、LCRメ
ーターで静電容量を測定した。その結果を、No.5
(比較例)を100%とした時の相対静電容量と対比し
て評価した。
【0047】折曲げ強度:JIS P8115 MIT
形自動折曲試験機を用いて、試験片サイズ:10mm×
150mm、負荷荷重:250gf、折曲げ部の曲率半
径:3.5mm、折曲げ角:片側90°、折曲げの繰返
し速度:6回/秒の条件で、試験片が破断するまでの折
曲げ回数を測定した(n数は5本)。なお折曲げ回数
は、90°曲げで1回、元に戻して2回というように数
える。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】上記表より、次の様に考察できる。
【0053】No.1〜4,12,15は本発明の規定
要件を全て満たす実施例であり、いずれもエッチング後
の状態で高い静電容量を有すると共に優れた折曲げ強度
を有している。
【0054】これらに対しNo.5は、粗圧延最終パス
温度が規定温度より低い比較例であり、静電容量はある
程度良好であるものの折曲げ強度が低く、No.6は、
粗圧延終了パス後の水冷温度が高すぎるため静電容量、
折曲げ強度共に不良である。またNo.7は、粗圧延パ
ス後半期の圧下率が高すぎ、No.8は、逆に粗圧延パ
ス後半期の圧下率が不足し、No.9は、粗圧延開始温
度が低すぎる他、粗圧延パス後半期の圧下率が不足する
と共に粗圧延最終パスの温度が高すぎ、No.10は、
粗圧延初期の圧下量および後半期の圧下率が不足すると
共にその後の冷却速度が遅く、No.11は、粗圧延パ
ス初期の圧下量および後半期の圧下率が不足すると共に
仕上げ板厚が薄すぎる、何れも比較例であり、静電容量
および折曲げ強度のいずれも著しく劣っている。
【0055】No.13,14,16,17は、異なる
組成のアルミニウム合金鋳塊を用いた例であるが、N
o.13は、粗圧延パス後半期の圧下率が高すぎる他、
粗圧延最終パス温度が低く且つ仕上げ終了温度が高す
ぎ、No.14は、粗圧延パス後半期の圧下率が不足す
る他、粗圧延最終パス温度が低く且つ仕上げ終了温度が
高すぎ、No.16は、粗圧延パス後半期の圧下率が高
すぎると共に粗圧延最終パス温度が低く、No.17
は、粗圧延パス後半期の圧下率が不足すると共に粗圧延
最終パス温度が低く、いずれも静電容量および折曲げ強
度が劣悪である。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、電
解コンデンサー電極用アルミニウム箔として高い立方体
方位を有し、高い静電容量と折曲げ強度を満たす電解コ
ンデンサー電極箔を安定して確実に製造し得ることにな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のNo.1で得たアルミニウム箔表面の
各粒界方位差を持った粒界の割合を示すヒストグラムで
ある。
【図2】実施例のNo.5(比較例)で得たアルミニウ
ム箔表面の各粒界方位差を持った粒界の割合を示すヒス
トグラムである。
【図3】No.1の実施例で得たアルミニウム箔表面の
組織上の各方位差を持った粒界の分布状態の一部を示す
EBSP画像図である。
【図4】No.5の比較例で得たアルミニウム箔表面の
組織上の各方位差を持った粒界の分布状態の一部を示す
EBSP画像図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/04 C22F 1/04 K (72)発明者 関 勇一 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 杉崎 康昭 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム箔表面に形成される(10
    0)面の95%以上が理想(100)面に対して15°
    以内であり、且つ隣接する結晶粒の方位差が20°を超
    える結晶粒界長さの総和が、全結晶粒界長さの総和に対
    して30%以下であることを特徴とする電解コンデンサ
    ー電極用アルミニウム箔。
  2. 【請求項2】 アルミニウム純度99.9%以上のアル
    ミニウム鋳塊を面削した後、450〜600℃の温度に
    保持してから粗圧延を開始し、粗圧延開始パスからの圧
    延速度を30m/min以上にすると共に、板厚100
    〜200mm以降のパスを1パス当たり15〜40%で
    圧延し、450℃以上で粗圧延最終パスを行い、且つ圧
    延終了後1℃/sec以上の速度で380℃以下まで冷
    却することにより、板厚20〜50mmを得、引き続い
    て、熱延最終終了温度290℃以下で板厚3〜10mm
    以下まで熱間仕上げ圧延した後、冷間圧延、箔圧延、中
    間焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行なうことを特
    徴とする電解コンデンサー電極用アルミニウム箔の製
    法。
JP11074366A 1999-03-18 1999-03-18 電解コンデンサー電極用アルミニウム箔およびその製法 Pending JP2000269093A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11074366A JP2000269093A (ja) 1999-03-18 1999-03-18 電解コンデンサー電極用アルミニウム箔およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11074366A JP2000269093A (ja) 1999-03-18 1999-03-18 電解コンデンサー電極用アルミニウム箔およびその製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000269093A true JP2000269093A (ja) 2000-09-29

Family

ID=13545100

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11074366A Pending JP2000269093A (ja) 1999-03-18 1999-03-18 電解コンデンサー電極用アルミニウム箔およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000269093A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002226930A (ja) * 2001-02-02 2002-08-14 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ電極用硬質アルミニウム箔
JP2009062595A (ja) * 2007-09-07 2009-03-26 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム箔材

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002226930A (ja) * 2001-02-02 2002-08-14 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ電極用硬質アルミニウム箔
JP2009062595A (ja) * 2007-09-07 2009-03-26 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム箔材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5325472B2 (ja) 磁気ディスク用アルミニウム合金基板およびその製造方法
JP6154565B1 (ja) Cu−Ni−Si系銅合金板材および製造法
JP4885332B2 (ja) 銅合金板材およびその製造方法
JP2002241882A (ja) 高強度、高耐食性構造用アルミニウム合金板の製造方法
JP3887497B2 (ja) 表面処理用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2009062595A (ja) アルミニウム箔材
JP3767492B2 (ja) アルミニウム軟質箔の製造方法
JP4398117B2 (ja) 微細組織を有する構造用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2000054093A (ja) アルミニウム箔の製造方法
JP2012112017A (ja) 板面集合組織の発達した電解Cu箔製造ドラム用チタン合金板とその製造方法
JP2000269093A (ja) 電解コンデンサー電極用アルミニウム箔およびその製法
JP4094244B2 (ja) 表層部組織に優れた銅箔製造ドラム用チタンおよびその製造方法
JP2000054046A (ja) 薄箔用アルミニウム箔地及びその製造方法
JP3765986B2 (ja) 深絞り加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4060501B2 (ja) 電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の製造方法
JP3974270B2 (ja) 表面性状に優れたアルミニウム合金板
JP4916698B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム材とその製造方法、電解コンデンサ用電極材の製造方法、電解コンデンサ用陽極材及びアルミニウム電解コンデンサ
JP4267284B2 (ja) 曲げ加工性に優れたAl−Mg系合金圧延板調質材
JP4964437B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム合金材及びその製造方法、電解コンデンサ用陽極材、電解コンデンサ用電極材の製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ
JP2002129269A (ja) アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2002001495A (ja) 表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法及び薄鋳片
JP2000269092A (ja) エッチング性に優れた電解コンデンサー電極用アルミニウム箔地およびその製法
JP5060253B2 (ja) アルミニウム圧延板およびその製造方法
JP2000054045A (ja) 薄箔用アルミニウム箔地及びその製造方法
JP3370239B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム硬質薄板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040804

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081028

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090303