JP2002001495A - 表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法及び薄鋳片 - Google Patents

表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法及び薄鋳片

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローピングの発生が抑制され表面品質の優れ
たオーステナイト系ステンレス鋼薄板とその製造方法を
提供する。 【解決手段】 双ドラム式連続鋳造で鋳造後、インライ
ンにて圧下と熱処理を施したオーステナイト系ステンレ
ス鋼の薄鋳片であって、該薄鋳片の結晶組織が、全結晶
粒界に占める高角度結晶粒界の割合が85%を超える結
晶組織からなる薄鋳片である。該薄鋳片は、双ドラム式
連続鋳造薄鋳片を、インラインにて、圧下率20〜35
%で圧下し、次いで、1100℃等価熱処理時間7秒以
上の熱処理を施して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、双ドラム式連続鋳
造により製造したステンレス鋼薄鋳片、特に、表面に凹
凸によるローピングがない表面品質の優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼薄板を提供する薄鋳片及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、双ドラム式連続鋳造方法、即ち、
軸が平行で互いに逆方向に回転する一対の冷却ドラムと
サイド堰で形成される湯溜り部に溶鋼を注入し、該冷却
ドラムの周面で該溶鋼を冷却・凝固せしめ、凝固シェル
を生成しつつ連続鋳造する方法を用いて、オーステナイ
ト系ステンレス鋼の薄板が製造されている。
【0003】この薄鋳片連続鋳造方法によれば、最終形
状に近い薄鋳片を、直接製造することができるので、従
来の熱延、熱処理等の中間工程を省略したり、または、
軽減することができ、生産効率の点で大きな利点がある
が、連続鋳造で得られる薄鋳片の組織、表面状態等は、
製品としての薄鋼板の材質や表面性状に大きな影響を与
えるので、この面での研究が不可欠である。
【0004】特に、建築物の内装材や、家庭用機器の素
材として使用されるオーステナイト系ステンレス鋼にお
いては、需要者側から、特に、表面の平滑度や光沢等が
問題とされるので、表面の平滑度や光沢等に多大な影響
を及ぼす薄鋳片の組織、表面状態等は、製品の品質を決
定付ける重要な評価項目である。それ故、オーステナイ
ト系ステンレス鋼の薄鋳片を連続鋳造する場合において
は、該薄鋳片を冷延しても、表面欠陥や光沢ムラが発生
しないような鋳造組織を備えた薄鋳片を得ることが、重
要な技術課題となる。
【0005】本出願人は、これまで、本出願人が開発し
た薄鋳片連続鋳造方法、即ち、STCプロセス(Strip
Casting Process )により、表面性状の優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼薄板を製造することに、鋭意、取
り組んできた。しかしながら、上記STCプロセスで製
造したオーステナイト系ステンレス鋼の薄板において
は、鋳片から薄板に至るまでの合計圧下率が、通常の熱
延プロセスで薄板を製造する際の合計圧下率に比べて小
さいこと等に起因して、材質の点では、延性が低下した
り、また、表面品質の点では、ローピングと呼ばれる肌
荒れが生じたりするという問題が依然として残ってい
て、いまだ、望ましい表面品質を有するオーステナイト
系ステンレス鋼の薄板を、安定的に製造できていないの
が現状である。
【0006】ところで、オーステナイト系ステンレス鋼
においては、冷間圧延前のγ結晶粒が大きい場合に、製
品薄板において、ローピングが顕著に生じることが解明
されている。そして、本出願人は、この解明に基づき、
特開平2−182354号公報にて、結晶粒微細化元素
を、単独または合計で0.01〜1モル%、オーステナ
イト系ステンレス鋼の溶鋼に添加し、該溶鋼の凝固開始
から1200℃までの温度域を、100℃/秒以上の冷
却速度で冷却して、γ粒の平均粒径を50μm以下に微
細化し、冷間圧延製品の表面品質を高めることを特徴と
するオースナイト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法を
提案した。
【0007】この製造方法は、La、Ce、Ti、Nb
および/またはZr等の結晶粒微細化元素を添加するも
のであり、これら元素の添加により、確実に、γ粒を所
要の粒径以下に微細化することができるが、実際の連鋳
操業においては、これら元素の効果的な添加が難しく、
この点で、必ずしも実用的な方法とはいい難い。その
後、特開平3−71902号公報や、特開平8−277
423号公報にて、ローピングの発生を抑制するための
鋳片圧延条件(圧下率と温度の関係)や、鋳造後の熱延
・冷却条件が提案されている。特開平3−71902号
公報には、所要の圧下率と温度の関係に従って、鋳造
後、直接圧延し、その後、オフラインで焼鈍し、鋳片を
再結晶組織にした後、冷間圧延−焼鈍を施すことが提案
されている。また、特開平8−277423号公報に
は、鋳造に引き続き、再結晶組織を得るための歪み量と
しては不十分な15%以下の熱間圧延を施し、さらに、
1パスの冷間圧延を施して歪みを累積した後焼鈍し、完
全な再結晶組織とし、さらに、通常の冷延工程の冷延−
焼鈍を施すことが提案されている。
【0008】このように、これら技術は、インライン熱
間圧延とその後のオフライン熱処理により再結晶現象を
活用して、冷延工程に供される前の鋳片の結晶粒を微細
化し、これによって、冷延薄板におけるローピングの抑
制を狙うものである。しかし、上記方法は、熱延圧下率
が著しく低く、鋳片の結晶粒を微細にするには不充分で
あるか、または、圧下率は十分でも再結晶のための熱処
理をオフラインで実施するものであるので、中間焼鈍に
要するコストが増大したり、また、冷延工程での冷延−
焼鈍プロセスを2回繰り返したりして、生産性が著しく
低いものである。
【0009】最近では、特開平11−269542号公
報に、オーステナイト系ステンレス鋼の連続鋳造薄鋳片
に、圧下率5〜15%の冷間圧延を施し、その後、90
0〜1050℃で焼鈍し、γ粒径を60μm以下にした
後に冷間圧延を施すことにより、表面粗さRaが0.20
μm以下の表面性状の優れたオーステナイト系ステンレ
ス鋼板を製造する方法が開示されている。
【0010】しかし、この方法も、冷延工程での冷延−
焼鈍プロセスを2回繰り返すものであり、中間焼鈍に係
るコスト増と生産能力の点で、実現が難しいものと考え
られる。以上みてきたように、オーステナイト系ステン
レス鋼の連続鋳造薄鋳片から、表面性状に優れ、かつ、
ローピングが生じないオーステナイト系ステンレス鋼の
薄鋼板を得るに際しては、これまで、γ結晶粒を細粒化
するとの観点から、再結晶条件に種々工夫、改善がなさ
れてきて、相応の効果が得られているが、実際に、薄鋼
板を製造する際には、必然的に、工程増や工程条件の制
御に係るコスト増を招くことになり、STCが本来有す
る工程省略によるコスト減、生産性向上のメリットを消
失してしまう傾向にある。
【0011】したがって、STCが本来有する上記メリ
ットを失うことなく、表面性状に優れ、かつ、ローピン
グが生じないオーステナイト系ステンレス鋼の薄鋼板を
製造するには、連続鋳造薄鋳片の凝固組織や、再結晶で
得られる再結晶組織について、さらに調査研究を進める
必要がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、オ
ーステナイト系ステンレス鋼の薄板を製造する際におい
て、STCが本来有するメリットを失うことなく、製品
薄板の結晶組織を改善し、表面品質の向上を図ることを
技術課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記技術課
題を解決するには、多結晶材料の特徴であり、かつ、鋳
片の結晶粒を構成する大本の結晶粒界の態様を解析し
て、金属組織の特徴を基礎的かつ根本的に解明するとと
もに、表面品質との関連性を解析することが必要不可欠
であるとの認識に至った。
【0014】この認識の下において、本発明者は、結晶
粒界の態様を代表する指標として高角度結晶粒界の割合
に着目し、表面品質との関連性を解析すれば、製品薄板
の表面品質の向上を図ることができるとの着想に至っ
た。また、本発明者は、薄鋳片の結晶組織を再結晶さ
せ、所要の態様の結晶粒界を有する結晶組織を得るに際
し、熱延−熱処理をインラインで実施すれば、薄鋳片が
保有する熱エネルギーを利用することができるので、S
TCが本来有するメリットを失うことなく、所望の結晶
組織を有する薄鋳片を製造することができるとの着想に
至った。
【0015】そして、本発明者は、上記着想の下におい
て、鋭意、調査研究を行った結果、次の知見を得た。 (a)全結晶粒界に占める高角度結晶粒界の割合が85
%を超える再結晶組織においては、ローピングが生じな
い。 (b)薄鋳片を、インラインで、圧下率20〜35%で
圧下し、次いで、1100℃等価熱処理時間7秒以上の
熱処理を施すと、薄鋳片の結晶組織において、全結晶粒
界に占める高角度結晶粒界の割合を85%超とすること
ができる。
【0016】ここで、等価熱処理時間について説明す
る。等価熱処理時間(ta )は、昇温・降温を繰り返す
ヒートパターンが有する熱エネルギーを、任意の温度で
恒温・保持したときの熱エネルギーと等価と定義する場
合に用いる指標であり、下記式ta で定義されるもので
ある(特開昭8−281385号公報、参照)。
【0017】
【数2】
【0018】上記等価熱処理時間は、本発明の製造方法
のように、鋳造後、直ちにインラインで圧下−熱処理を
行い、結晶組織において所要の再結晶を促すような場
合、適切な熱処理時間を設定するうえにおいて有用な指
標である。本発明は、上記知見(a)及び(b)に基づ
くものであり、その要旨とするところは次のとおりであ
る。 (1)双ドラム式連続鋳造で鋳造後、インラインにて圧
下と熱処理を施したオーステナイト系ステンレス鋼の薄
鋳片であって、該薄鋳片の結晶組織が、全結晶粒界に占
める高角度結晶粒界の割合が85%を超える結晶組織か
らなることを特徴とする表面品質の優れたオーステナイ
ト系ステンレス鋼薄鋳片。 (2)双ドラム式連続鋳造により、オーステナイト系ス
テンレス鋼の薄鋳片を連続鋳造し、該薄鋳片を、インラ
インにて、圧下率20〜35%で圧下し、次いで、下記
式で定義される1100℃等価熱処理時間ta が7秒以
上の熱処理を施し、冷間圧延前の上記薄鋳片の結晶組織
を、全結晶粒界に占める高角度結晶粒界の割合が85%
を超える結晶組織とすることを特徴とする表面品質の優
れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
【0019】
【数3】
【0020】
【発明の実施の形態】まず、本発明の製造方法について
説明する。本発明の製造方法では、双ドラム式連続鋳造
により製造したオーステナイト系ステンレス鋼の薄鋳片
を、インラインにて、圧下率20〜35%で圧下し、次
いで、1100℃等価熱処理時間7秒以上の熱処理を施
す。この条件下の一連の圧下、熱処理により、上記薄鋳
片の結晶組織内で所要の再結晶を生起せしめ、圧下−熱
処理後の再結晶組織において、全結晶粒界に占める高角
度結晶粒界の割合を85%超とすることができる。
【0021】本発明の製造方法では、熱処理後の再結晶
組織において、上記高角度結晶粒界の割合が得られれば
よいので、薄鋳片の結晶組織については、特に限定をす
る必要はない。即ち、本発明においては、全結晶粒界に
占める高角度結晶粒界の割合を85%超と規定すること
により、鋳造組織における結晶粒界が、インラインで行
う圧下と熱処理により消失し、実質的に、所要の表面品
質を担う再結晶組織が形成されたことを意味している。
【0022】インラインで行う圧下において、圧下率が
20%未満であると、薄鋳片の板厚全域にわたり、その
後の再結晶に充分な歪みを付与することができない。そ
の結果、引き続き、1100℃等価熱処理時間7秒以上
の熱処理を施しても、板厚の1/4より内側の内層で
は、再結晶が充分に進行せず、全結晶粒界に占める高角
度結晶粒界の割合が85%を超える再結晶組織を得るこ
とができない。
【0023】それ故、インラインで行う圧下の圧下率の
下限を20%とする。一方、上記圧下率が35%を超え
ると、薄鋳片の板厚方向の全域にわたり、再結晶に充分
な歪みが付与され、引き続く熱処理により、γ結晶粒が
より微細化されるが、ローピングの発生を抑制する効果
は飽和してしまう。それ故、生産効率の向上や、消費エ
ネルギーの低減の点から、上記圧下率の上限を35%と
する。
【0024】本発明の製造方法では、圧下率20〜35
%で行うインライン圧下に次いで、薄鋳片に、1100
℃等価熱処理時間7秒以上の熱処理を施す。上記圧下率
のもとで歪みが付与された薄鋳片の結晶組織において、
所要の再結晶を促すには、1100℃等価熱処理時間で
7秒以上の熱処理が必要である。再結晶は、薄鋳片の板
厚方向の全域にわたり充分に進行させる必要があるが、
上記熱処理時間が7秒未満では、結晶組織に付与される
熱エネルギーが不充分なものとなり、再結晶が充分に進
行せず、全結晶粒界に占める高角度結晶粒界の割合が8
5%を超える再結晶組織を得ることができない。
【0025】それ故、加熱温度1100℃における等価
熱処理時間の下限を7秒とする。次に、本発明のオース
テナイト系ステンレス鋼薄鋳片(以下「本発明の薄鋳
片」という。)について説明する。本発明の薄鋳片は、
結晶組織が、全結晶粒界に占める高角度結晶粒界の割合
が85%を超える結晶組織からなることを特徴とする。
【0026】本発明の薄鋳片において、高角度結晶粒界
は、2つの結晶粒の方位が15°以上の方位差をもって
交差する結晶粒界(この結晶粒界は、亜粒界ではない)
と定義する。そして、この結晶粒界の全結晶粒界に占め
る割合は、冷延時、薄板の板厚方向において、結晶組織
内に変形差が生じないようにするうえで重要な指標であ
る。
【0027】即ち、本発明の薄鋳片の再結晶後の結晶組
織において、高角度結晶粒界の全結晶粒界に占める割合
が高いと、結晶方位のランダム性が高いので、冷延時、
板厚方向において、ローピングを誘起するような変形差
が生じない。一方、高角度結晶粒界の割合が低い、即
ち、結晶方位差15°未満の低角度結晶粒界(亜粒界)
の割合が高いと、冷延時、板厚方向に変形差が生じ、そ
の程度は、低角度結晶粒界(亜粒界)の割合が高い程大
きい。これは、低角度結晶粒界(亜粒界)は、実質的に
は結晶粒界ではなく、冷延時、実態的には、粗大結晶粒
を含む混粒組織が変形を受けることとなり、その結果、
板厚方向における変形差が平均化されず、これがローピ
ング(表面凸凹)として発現するからである。
【0028】図1に、高角度結晶粒界の中に低角度結晶
粒界が分布している結晶組織を示す。粗大結晶粒のなか
に低角度結晶粒界が存在していて、この部分は再結晶し
ていないことが分かる。このような結晶組織を有する薄
鋳片を冷延すると、板厚方向における変形差が平均化さ
れず、これがローピング(表面凸凹)として発現する。
【0029】したがって、本発明の薄鋳片においては、
ローピングの発生を抑制するため、全結晶粒界に占める
高角度結晶粒界の割合を85%超と規定する。
【0030】
【実施例】表1に示す成分組成の連続鋳造薄鋳片を、表
2に示す条件で圧下−熱処理し、冷却後巻取り、高角度
結晶粒界の割合を測定するとともにし、表面品質を目視
観察した。その結果を、表2に併せて示す。高角度結晶
粒界の全結晶粒界に占める割合は、OIM(Orientatio
n ImagingMicroscope; 結晶方位顕微鏡)を用いて実測
した。
【0031】OIMは、電子ビームと結晶との相互作用
によって得られる菊池線を自動的に処理、解析し、バル
ク試料中の結晶粒の局所方位、方位差及びミクロ組織等
を、空間分解能0.2μm以下、方位差誤差2°以内、
測定時間1点1秒以内で解明して、画像化する顕微鏡で
ある。本実施例では、加速電圧15kV、六角格子、4
μmピッチで20000点を測定した。その後、一つの
結晶粒を、データ点が3点以上で、かつ粒界方位差が3
°以下のものと定義し、元データを加工した。
【0032】粒界方位差3〜15°の粒界を低角度結晶
粒界とし、粒界方位差15°以上の粒界を高角度結晶粒
界とした。なお、方位差誤差が2°程度であることを考
慮し、低角度結晶粒界を規定する角度範囲の低角度側を
“3°”とした。表面品質については、常法により冷間
圧延して薄板製品とし、ローピングが生じなかったもの
を「○」、ローピングが生じたものを「×」、ローピン
グが生じ、表面品質が極めて悪いものを「××」として
表示した。
【0033】発明例(番号1〜6)では、すべて、高角
度結晶粒界の割合が85%以上であり、ローピングが発
生しない表面品質に優れたオーステナイト系ステンレス
鋼の薄板が得られている。このときの、インライン圧下
率は20〜35%で、1100℃等価熱処理時間は7秒
以上である。
【0034】本発明においては、結晶粒を区画する高角
度結晶粒界の割合を、結晶組織を代表する指標として採
用し、表2に示す結果に基づき、85%超と規定する。
一方、比較例(番号7〜15)においては、高角度結晶
粒界の割合が85%以下であり、表面品質の悪い薄板と
なっている。なかでも、インラインにて圧下−熱処理を
施さなかった薄板の場合(番号10〜13)、高角度結
晶粒界の割合は61%以下と低く、表面品質が極めて悪
いものとなっている。
【0035】図2に、高角度結晶粒界の割合(%)とロ
ーピングの程度との関係を示す。高角度結晶粒界の割合
が85%を超えると、ローピングが発生しないことが分
かる。図3に、発明例(番号3)の結晶組織における粒
界方位差のヒストグラムを示し、図4に、比較例(番号
7)の結晶組織における粒界方位差のヒストグラムを示
す。
【0036】これらの図から、発明例(番号3)の結晶
組織においては、低角度結晶粒界が極めて少ないのに対
し、比較例(番号7)の結晶組織においては、低角度結
晶粒界が多く存在することがわかる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、従来以上に表面性状の
優れたオーステナイト系ステンレス鋼の薄板を提供する
ことができる。また、本発明によれば、従来以上に表面
性状の優れたオーステナイト系ステンレス鋼の薄板を、
低エネルギー及び低コスト、さらには、短時間で製造す
ることができる。
【0040】したがって、本発明は、STCプロセスの
利点を充分に発揮し、ステンレス産業の発展に寄与する
ところが大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】高角度結晶粒界の中に低角度結晶粒界が分布し
ている鋳片の結晶組織を示す図である。
【図2】鋳片の高角度結晶粒界の割合(%)と、冷間圧
延後のローピングの程度との関係を示す図である。
【図3】発明例の結晶組織における粒界方位差のヒスト
グラムを示す図である。
【図4】比較例の結晶組織における粒界方位差のヒスト
グラムを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/46 C21D 9/46 Q C22C 38/00 302 C22C 38/00 302Z Fターム(参考) 4E004 DA13 MC07 MD05 NB07 NC02 SC05 SD02 SE03 4K037 EA01 EA05 EA12 EA13 EA15 EA17 EA18 EA21 EA22 EA23 EA25 EA27 EC02 FA02 FA03 FB01 FC04 FC05 FD03 FE01 HA06 JA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 双ドラム式連続鋳造で鋳造後、インライ
    ンにて圧下と熱処理を施したオーステナイト系ステンレ
    ス鋼の薄鋳片であって、該薄鋳片の結晶組織が、全結晶
    粒界に占める高角度結晶粒界の割合が85%を超える結
    晶組織からなることを特徴とする表面品質の優れたオー
    ステナイト系ステンレス鋼薄鋳片。
  2. 【請求項2】 双ドラム式連続鋳造により、オーステナ
    イト系ステンレス鋼の薄鋳片を連続鋳造し、該薄鋳片
    を、インラインにて、圧下率20〜35%で圧下し、次
    いで、下記式で定義される1100℃等価熱処理時間t
    a が7秒以上の熱処理を施し、冷間圧延前の上記薄鋳片
    の結晶組織を、全結晶粒界に占める高角度結晶粒界の割
    合が85%を超える結晶組織とすることを特徴とする表
    面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板の製
    造方法。 【数1】
JP2000188236A 2000-06-22 2000-06-22 表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法及び薄鋳片 Pending JP2002001495A (ja)

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