JP2000268419A - 相変化記録媒体の製造方法と製造装置 - Google Patents

相変化記録媒体の製造方法と製造装置

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JP2000268419A
JP2000268419A JP11066569A JP6656999A JP2000268419A JP 2000268419 A JP2000268419 A JP 2000268419A JP 11066569 A JP11066569 A JP 11066569A JP 6656999 A JP6656999 A JP 6656999A JP 2000268419 A JP2000268419 A JP 2000268419A
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temperature
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Katsutaro Ichihara
原 勝太郎 市
Sumio Ashida
田 純 生 芦
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に初期化せずともアズデポの非晶質状態に
直接、実ドライブで高速に結晶スペースを形成すること
が可能な相変化記録媒体の製造方法とそれを実施する製
造装置を提供する。 【解決手段】 基板と前記基板上に堆積された記録膜と
を有する相変化記録媒体の製造方法であって、基板上に
前記記録膜を堆積している間または前記基板上に前記記
録膜を堆積した後に、前記基板の温度をその熱変形温度
未満としつつ前記記録膜を室温よりも高い温度に昇温す
ることにより、前記記録膜中に微細結晶核を生成させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ビームを照射して
情報の記録再生を行う相変化記録媒体の製造方法と製造
装置に関し、より詳細には、従来行われていた初期結晶
化工程を不要とすることができる相変化記録媒体の製造
方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ビームを照射して情報の記録・再生を
行う相変化記録媒体は、大容量性、高速アクセス性、媒
体可搬性を兼備する他、競合する光磁気ディスクに比較
して、再生原理がCDと同じ反射率変化形なのでCD互
換ドライブが安価に提供出来る、信号品質が優れている
ので高密度化し易い、1ビームオーバライトが容易なの
で記録データ転送速度が速い、等の利点を有している。
【0003】相変化ディスクの記録原理は、記録レベル
の光照射で記録層を溶融してランダムな状態にし、記録
層の結晶化時間よりも短い時間で冷却してランダムな状
態を室温にクエンチして非晶質の記録マークを形成し、
一方、消去レベルの光照射で記録膜をその融点未満、結
晶化温度以上に昇温して、この昇温時間を記録層の結晶
化時間よりも長く保持することで結晶化即ち消去するこ
とにある。
【0004】記録前の状態が非晶質か結晶かに関わらず
記録が成立するので、1ビームでオーバライトが出来
る。再生は、結晶と非晶質との反射率の違いを利用して
行われる。
【0005】記録層としては、カルコゲン系の金属化合
物、例えばGeSbTe、AgInSbTe、InSb
TeやそれらにCr、V、N等を適宜微量添加した薄膜
が用いられる。ディスクの形態は、代表的には、アドレ
ス部とデータ部がプリフォーマットされたポリカーボネ
イト基板上に、下側誘電体層、記録層、上側誘電体層、
反射層を順次積層した構造を有し、反射層上には接着層
を介して対向基板を貼合わせるか、レーベルを貼り付け
る。
【0006】誘電体層と反射層は、記録層の酸化防止、
積算オーバライトによる劣化の防止、記録時の熱応答の
調整、再生時の光学的エンハンス等の役割りを担ってい
る。特に、光学的エンハンスメント効果に関しては、下
側誘電体層は基板と記録層との間での多重干渉効果、上
側誘電体層は記録層と反射層との間での多重干渉効果に
より、記録層単層の反射率変化量を増加させ、信号品質
を向上する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の相変
化記録媒体の典型的な製造工程は、 (1)原盤のマスタリングプロセス (2)スタンパ作成プロセス (3)インジェクションによる基板の形成プロセス (4)スパッタによる膜付けプロセス (5)(必要に応じて貼り合せプロセス) (6)初期結晶化プロセス (7)ベリファイプロセス という流れに従っていた。
【0008】この一連のプロセスの中で「(6)初期結
晶化プロセス」とは、アズデポ(as-depo.:堆積したま
まの状態)の相変化記録層をディスク全面に亘って結晶
化する工程である。この工程を設ける理由は、アズデポ
の非晶質状態の記録層には記録ができないからである。
相変化記録媒体の記録原理は、非晶質状態と結晶状態と
の間の可逆的変化を利用するものである。しかし、アズ
デポの非晶質状態は、光記録で形成する非晶質マーク部
よりも、原子配列のランダムネスが高い状態にある。こ
のために、実動作すなわちデータの再生記録動作の際に
用いるような微小スポットのレーザ光を高速に移動させ
る態様では結晶化しない。このために、「初期結晶化プ
ロセス」が必要とされている。
【0009】「初期結晶化プロセス」は、ディスク半径
方向に長い楕円状のレーザビームを高パワーで照射しな
がらディスクを比較的低速で回転させ、さらに楕円ビー
ムの長軸よりも短い送りピッチでビームを半径方向に送
ることにより、徐々に記録層をアニールして結晶化する
方式を採用している。初期化に要する時間は、ディスク
径、初期化時の線速度、送りピッチに依存するが、フォ
ーカシング時間も含めると最低でも数分間を要し、甚だ
生産性が悪い。現実の製造ラインは、ディスク1枚当り
のタクトが数秒になるように設計するので、初期化装置
を数10台並べて実施する必要があり、装置コスト、装
置設置面積、装置保守等が問題視されている。
【0010】本発明はかかる課題の認識に基づいてなさ
れたものである。すなわち、その目的は、特に初期化せ
ずともアズデポの非晶質状態に直接、実ドライブで高速
に結晶スペースを形成することが可能な相変化記録媒体
の製造方法とそれを実施する製造装置を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の相変化記録媒体の製造方法は、基板と
前記基板上に堆積された記録膜とを有する相変化記録媒
体の製造方法であって、前記基板上に前記記録膜を堆積
している間または前記基板上に前記記録膜を堆積した後
に、前記基板の温度をその熱変形温度未満としつつ前記
記録膜を室温よりも高い温度に昇温することにより、前
記記録膜中に微細結晶核を生成させることを特徴とす
る。
【0012】一方、本発明の相変化記録媒体の製造装置
は、基板と前記基板上に堆積された記録膜とを有する相
変化記録媒体を製造する製造装置であって、前記基板の
温度をその熱変形温度未満としつつ前記記録膜を室温よ
りも高い温度に昇温する加熱手段を備えたことを特徴と
し、前記記録膜中に微細結晶核を生成させるようにした
ことを特徴とする。
【0013】または、本発明の相変化記録媒体の製造装
置は、基板と前記基板上に堆積された記録膜とを有する
相変化記録媒体を製造する製造装置であって、前記基板
上に前記記録膜を堆積するための手段と、前記記録膜の
堆積中に、前記基板の温度をその熱変形温度未満としつ
つ前記記録膜を室温よりも高い温度に昇温する加熱手段
と、を備えたことを特徴とし、前記記録膜中に微細結晶
核を生成させるようにしたことを特徴とする。
【0014】ここで、本発明の望ましい実施の形態とし
て、前記加熱手段は赤外線ランプ加熱を用いたものであ
ることを特徴とする、また、前記基板を支持する基板ホ
ルダをさらに備え、前記基板ホルダの前記基板との接触
部は、前記ランプ加熱により照射される赤外線ランプ光
に対して実質的に吸収を有しない材料により構成されて
いることを特徴とする。
【0015】本発明の基本的考えは、相変化記録層の成
膜中もしくは成膜直後に記録層を昇温して、結晶化する
か、もしくは非晶質ネットワーク中に微細な結晶核を生
成するということである。従来は、光ディスク用の基板
として実用的な樹脂基板を用いた場合には、基板の熱変
形温度の方が記録層の結晶化温度よりも低いがために、
成膜中でも成膜後でも記録層の結晶化温度以上に昇温す
ることが不可能であった。
【0016】本発明者は、成膜中もしくは成膜直後で有
れば基板の熱変形温度未満に記録層を昇温すれば、完全
な結晶化は出来ないものの、非晶質ネットワーク中に結
晶核を形成することが可能なことを発見して第1乃至第
3の発明に至った。
【0017】さらに、工夫を加えて、急速加熱と急速冷
却が可能な赤外線ランプ加熱方式を採用すれば、熱容量
の大きい基板には熱負荷を与えない時間内で、熱容量の
極めて小さい記録膜だけを昇温でき、非晶質ネットワー
ク中に微細な結晶核が点在する構造のみならず、結晶状
態の記録膜の形成も可能であることを見出し第4の発明
に至った。
【0018】また、第4の発明の実施に当り、基板ホル
ダの基板との接触部に用いる材料としてランプ光を吸収
しない材料を用いれば、記録膜を結晶化するために十分
に長い時間ランプ加熱しても、基板の熱変形は皆無であ
ることを発見し第5の発明に至った。
【0019】ここで、本発明により形成される記録膜、
すなわち非晶質ネットワーク中に微細結晶核を点在する
構造の記録膜で、何故に本発明の目的とする初期結晶化
工程の削減が図れるのかを簡単に説明する。前記したよ
うに、相変化記録原理から考えれば記録マークは非晶質
であり、この記録マークの非晶質部は長時間のアニール
無しに数10ナノ秒程度の時間の消去ビームの照射によ
って結晶化するのであるから、一見初期結晶化工程を経
ずに、アズデポの非晶質に対して記録動作を行っても差
し支えないように思える。しかしながら、現実にはアズ
デポの非晶質には、結晶スペースの形成ができないため
に、記録することができない。これに対して、一旦初期
結晶化してしまえば、その後光照射で非晶質マークを形
成しても、この非晶質マークは消去ビームの照射によっ
て高速に結晶化する。
【0020】アズデポの非晶質と光記録で形成した非晶
質は、通常のX線回折や電子線回折では有意差が見られ
ない。本発明者は、高分解能電子顕微鏡を用いてアズデ
ポの非晶質と光記録の非晶質部とを詳細に観察した。そ
の結果、アズデポの非晶質には、特に規則的な構造が認
められなかった一方で、光記録により形成された非晶質
中にはサブnm(ナノメータ)から数nm程度のサイズ
の近距離秩序が観察された。つまり、ランダムネスが高
く秩序性の全く無いアズデポの非晶質部は高速結晶化が
出来ないが、近距離秩序を含有する非晶質は近距離秩序
が結晶化を促進して高速結晶化が可能になることを発見
した。
【0021】本発明は、この発見に基づいてなされたも
のである。すなわち、本発明によれば、相変化記録媒体
の基板にダメージを与えることなく、記録層を効果的に
加熱して、高速結晶化が可能な近距離秩序を形成するこ
とができる。その結果として、初期結晶化工程が不要と
なり、製造コストを低減して相変化記録媒体を広く普及
させることができる。
【0022】アレニウスの扱いにおいては、非晶質中の
結晶領域の比率(X)は、結晶化定数をαとおくと、x
=1−exp(−αt)で与えられる。ここで、tは時
間である。αは、結晶化の頻度因子(ν)と結晶化の活
性化エネルギ(Ea)とを用いて、α=νexp(−E
a/kT)と表わすことが出来る。ここで、kはボルツ
マン定数、Tは絶対温度である。従って、結晶化は温度
と時間の両方に依存して進行すること、及び室温であっ
ても数10年というような長期間の経過によって徐々に
結晶化が進展することが分かる。
【0023】本発明における微細結晶核生成のための加
熱時間あるいは結晶化のための加熱時間は、相変化記録
媒体の製造タクトに対応し、数秒間から数分間である。
この時間範囲では、所謂、DSC測定で得られた結晶化
温度より低温側においても微細結晶核は発生する。この
ことは、レーザ光照射による数10ナノ秒から100ナ
ノ秒程度の加熱でも、200〜300℃程度に加熱すれ
ば容易に結晶化する事実からも類推できる。
【0024】本発明者が実験的に求めた加熱時間と加熱
温度との関係は以下の通りである。すなわち、微細結晶
核を非晶質中に分散させた構造(光学的には実質的に非
晶質状態である)の記録層を形成する場合は、数分の加
熱時間に対しては80〜90℃、数秒から10秒程度の
短時間加熱では100〜110℃、1秒以下では120
度以上であることが、各々望ましい。
【0025】一方で、記録層を結晶化させようとする場
合には、数分の加熱時間に対しては110〜120℃、
10数秒の加熱時間に対しては130〜140℃、1秒
以下の加熱時間の場合は150℃以上であることが望ま
しい。
【0026】なお、成膜中に加熱を行うとスパッタ粒子
の基板面上でのマイグレーションが促進されるため、マ
イグレーションが完了して固体化した後である成膜後に
加熱を行って固相拡散を助長するよりも近距離秩序が形
成されやすいため好ましい。
【0027】次に、相変化記録媒体の基板の材料につい
て説明する。相変化記録媒体の基板としては、熱変形温
度が120℃程度のポリカーボネイト基板が一般的に用
いられている。ポリカーボネイト以外の基板材料として
は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはアモ
ルファスポリオレフィン(PO)が、光学特性的に光デ
ィスク用の基板の材料として使用可能である。PMMA
の熱変形温度は、射出成形品では85℃、キャスト品で
は100℃程度である。また、POの熱変形温度は、1
30℃程度である。本願発明は、ポリカーボネイト基板
以外にも、PMMAやPOを基板として採用する場合に
も有効である。
【0028】さらに、将来的に採用が検討されている新
たな光ディスク基板材料を用いた場合についても適用す
ることができる。本発明の赤外線ランプ加熱で記録層の
みを選択的に加熱する場合においては、基板の熱変形温
度が記録層の結晶化温度(DSC測定値が目安となる)
よりも低い場合でも効果的であり、製造性の点からも赤
外線ランプ加熱の方が急速に加熱・冷却可能であるとい
うメリットがある。
【0029】さらに、基板ホルダの基板との接触部を赤
外線ランプ加熱により照射されるランプ光に対して実質
的に光吸収を有しない材料で構成すると、記録膜を選択
的に加熱することができるため、基板の熱変形を抑制す
ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について説明する。図1は、本発明において
用いる相変化記録膜の形成装置の構成を例示する概念図
である。同図において、1は成膜容器、2は基板ホル
ダ、3は抵抗加熱ヒータ、4はヒータ電源、5は光ディ
スク基板、6は相変化記録膜、7はスパッタ源、8はG
eSbTeターゲット、9はスパッタ電源、1Oはガス
供給系、11は排気系、12は基板加熱用赤外線ランプ
である。
【0031】本発明の第1の実施例では、図1において
記録膜の昇温には抵抗加熱ヒータ3を主に用い、第2の
実施例では、記録膜の昇温には赤外線ランプを用いる。
但し、記録膜の昇温に、抵抗加熱ヒータと赤外線ランプ
照射を併用しても構わない。また、成膜容器1は、単独
のバッチ式でも、ローディング/アンローディング室の
設けられたバッチ式でも、複数の成膜容器を連結してな
るインラインタイプもしくは枚葉式の中の一室でも構わ
ない。
【0032】(第1の実施例)本実施例では、相変化記
録膜の昇温に抵抗加熱ヒータ3のみを使用した。前記し
た図1の構成を用いて、以下の手順で本発明を実施し
た。成膜容器は、枚葉式スパッタ装置の中の一室であ
り、ポリカーボネイトの基板5は装置の前室に取付けら
れ排気された後、各成膜容器に受け渡されていくという
構成を有する。記録膜6を成膜する前に基板5の上には
所定の方法に従ってZnS−SiO2からなる第一干渉
膜が形成されている。第一干渉膜の形成された基板5は
真空排気された成膜容器1に受け渡されてくる。ここ
で、基板5とホルダ2は一体となって移動する形式で
も、そうでなくても構わない。
【0033】ヒータ3を通電して、基板温度を例えば8
5℃に保持した後、ガス供給系10から例えばArガス
を200sccm供給し、容器中のガス圧力を例えば
0.25Paに保持し、スパッタ電源9をオンしスパッ
タ源7にRF電力を投入すると、ターゲット8の近傍に
マグネトロンプラズマが生成される。プラズマ中のAr
イオンはターゲットとプラズマ間に形成される陰極降下
部においてターゲットの方向に加速され、数100eV
のエネルギでターゲット表面を衝撃する。すると、ター
ゲットを構成するGe,Sb,Teなどの粒子がスパッ
タ放出され、対向して配置されている基板5の上にGe
SbTe膜が堆積される。この後、別の成膜容器に受け
渡された基板の上には、第二干渉膜として例えばZnS
−SiO2、反射膜として例えばAl合金膜が順次堆積
されて大気中に取出される。記録層の成膜以外の部分で
基板を熱変形温度未満の温度帯で昇温してもしなくても
良い。
【0034】本実施例においては、媒体の層構成は、結
晶反射率の方が非晶質反射率よりも高い通常のHtoL
(high to low)構成とし、各層の膜厚を調整して非晶
質の反射率を10%、結晶反射率を35%とした。これ
らの設定は本発明の効果を検証する目的で実施したもの
であり、アズデポ状態が非晶質状態である場合において
サーボ信号が安定して得られるだけの反射率に設定した
ということを意味する。但し、本発明は上記した反射率
の構成以外に、LtoH構成にも適用可能である。
【0035】以上の手順で形成された相変化記録媒体
を、「第1実施例の媒体1」とする。即ち、第1実施例
の媒体1は、記録膜の成膜中に抵抗加熱ヒータ3を用い
て基板の熱変形温度未満の温度帯に昇温して得たもので
ある。このようにして、成膜時の基板温度を変えつつ、
第1実施例の媒体1を複数形成した。
【0036】次に、前述と同様の手順で、記録膜成膜時
には基板加熱をせずに、記録膜の成膜後にヒータ3を通
電して数分間の加熱を行い、前記と同一の層構成の相変
化記録媒体を得た。これを「第1実施例の媒体2」とす
る。この場合にも、記録膜成膜後のアニール温度をパラ
メータとして複数のディスクを試作した。
【0037】次に、比較例として、記録膜の成膜中も成
膜後も全く基板の昇温を行わずに、前記したものと同一
の層構成のディスクを作成した。これを「比較媒体」と
する。
【0038】上記した手順に従って得た「第1実施例の
媒体1」、「第1実施例の媒体2」及び「比較媒体」
は、それぞれ以下の手順で評価した。まず、スパッタ装
置から取出したディスクは、対向ブランク基板と貼り合
せた後に、初期結晶化工程を経ずにディスク評価機にセ
ットする。そして、線速度8.2m/秒、記録ビット長
0.28μm/bitの条件で信号の記録を行った。
【0039】また、基板昇温による基板ダメージを調べ
る目的で、ノイズレベルの測定も行った。記録前にディ
スク反射率を調べたところ、第1実施例の媒体1,2及
び比較媒体ともに、ほぼ10%程度の値を示し、初期状
態すなわちアズデポ状態がマクロ的には非晶質であるこ
とが示唆された。
【0040】図2は、ディスク評価結果を表すグラフ図
である。同図の白丸は比較媒体の評価結果、黒丸は第1
実施例の媒体2の評価結果、黒三角は第1実施例の媒体
1の評価結果をそれぞれ表す。ノイズレベルを見ると、
成膜中加熱でも成膜後加熱でも80℃程度までは特にノ
イズの上昇は無く、100℃程度から基板のグルーブの
熱変形または基板の「ソリ」の増加に伴うと思われるノ
イズ増加が見られた。図中にはプロットしていないがポ
リカーボネイトの熱変形温度である120℃を超えると
「ソリ」が激しく、対向基板との貼り合せが旨くいかな
いか、貼り合せは出来ても安定したサーボ信号を得るこ
とが出来ず評価に供し得なかった。
【0041】アズデポ初回記録のCNRをみると、本発
明に従って成膜中、もしくは成膜後に記録膜の加熱をし
た場合には、初回から高いCNRを示すことが明らかで
ある。記録膜の好ましい加熱温度帯は70〜110℃、
より好ましくは75〜105℃、最も好ましくは85℃
付近であった。成膜中加熱(媒体1)と成膜後加熱(媒
体2)を比較すると成膜中加熱の方がCNRが良好であ
った。これは本発明によって形成した相変化記録膜は前
述したように、非晶質ネットワーク中に微細な結晶核が
点在する構造を呈すると考えられるが、成膜中にスパッ
タ粒子が基板面上でマイグレートしている最中に加熱し
てマイグレーションを促進させた方が、成膜後即ちマイ
グレーションが完了して固体化した後に加熱して固相拡
散を助長する場合に比べて、近距離秩序が形成されやす
いためと考えられる。
【0042】(第2の実施例)本実施例では、図1の構
成で抵抗加熱ヒータ3は用いずに、赤外線ランプ12を
記録膜の加熱に使用した。ランプ加熱は連続的には行わ
ず、基板ホルダの温度上昇を避けるために、設定温度に
到達したら一旦ランプをオフして50℃程度まで冷却し
再度設定温度まで加熱するという「サイクル加熱」を3
サイクル繰り返した。この方法によって記録層が設定さ
れた温度に加熱されている時間は、概ね数秒〜10秒程
度であった。
【0043】また、本実施例では、図1に示した通常の
SUS部材からなる基板ホルダ2と、赤外線に対して実
質的に吸収を有しない部材からなる基板ホルダとを用い
た。
【0044】図3は、ランプ光を吸収しない基板ホルダ
を例示する概念図である。同図において、21はSUS
製の構造部材、22は赤外波長に対して透明であり吸収
率が低い材料からなる部材、23は赤外線を吸収して昇
温する構造部材21の熱を透明な部材22に伝達するの
を防止するための空隙、透明部材22に接触して載せら
れる5はディスク基板、6は基板5の上に設けられる所
定の膜である。ここで、透明部材22は、マコール、バ
イコール等の加工性の良好なガラス部材もしくは石英、
アルミナ等からなるものとすることができる。
【0045】実施例1と同様に、基板温度は基板外周部
を局部的に加工し、基板の記録膜が設けられる面に対し
てターゲットとは反対側の位置に取付けた。ランプ加熱
の場合には、熱電対自体がランプ光を直接吸収して加熱
されてしまい正しい温度が測定出来ないので、熱電対を
挿入した部分のターゲットに対向する位置にはランプ光
をほぼ1OO%近く反射する薄膜を設けた。この様にす
ることで記録膜の温度を正しく測ることができる。
【0046】評価に当っては、まず記録膜の反射率の測
定を行った。その結果、ランプ加熱温度が140℃以上
の場合は、反射率は30%程度の値を示し、記録膜が結
晶化していることが判明した。加熱温度が130℃以下
の場合は、反射率は10%程度であり記録膜は非晶質状
態であり、ランプ加熱温度が130〜140℃の間の場
合は部分結晶化を反映する反射率が得られた。
【0047】図4は、CNRとノイズレベルの評価結果
を表すグラフ図である。同図で黒丸は図1の基板ホルダ
2を用いた場合、白丸は図3に表した基板ホルダを用い
た場合の結果である。本実施例においては、加熱温度が
130℃以上になるとノイズレベルが上昇する傾向が見
られる。図2に示したデータ、すなわち抵抗加熱ヒータ
で加熱した場合と比較すると、本実施例の方がノイズレ
ベルが上昇する加熱温度が高い温度側にシフトしている
ことが分かる。
【0048】抵抗加熱では、基板ホルダを加熱し、その
熱によって基板を加熱し、さらにその熱によって記録膜
を加熱する。このため、基板の熱変形が低い温度から発
生する。これに対して、本実施例においては記録膜を直
接加熱するため、図1のようなSUS製基板ホルダを用
いても、加熱と冷却をサイクリックに実施した場合には
基板の熱変形は格段に抑制される。さらに、図3のホル
ダを用いて記録膜のみを選択的に加熱し基板は加熱しな
い場合(光ディスクに通常使用されるポリカーボネイト
基板は赤外線に対して透明である)には、基板の熱変形
は格段に抑制されることが分かる。
【0049】図1のホルダを用いた場合には、120℃
以上の加熱で基板の変形に伴うノイズレベルの上昇と初
回CNRの低下が観測されたが、図3のホルダを使用し
た場合には、170℃の加熱に対してもノイズ上昇は皆
無であった。初回CNRは、図2に示した抵抗加熱の場
合と同様に、80℃以上の温度でノイズレベルが発生し
ない限りにおいては高い値を示し、本発明の効果が検証
された。
【0050】以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の
形態について詳細に説明した。しかし、本発明は、これ
らの具体例に限定されるものではない。
【0051】例えば、上述した具体例においては、Rc
<Raの膜構造の媒体として、基板からZnS−SiO
2/GeSbTe/ZnS−SiO2/Al合金膜をスパ
ッタ成膜した4層構造のものを例示したが、これ以外に
も、例えば、これにAu半透明膜を挿入した5層構造と
しても良い。
【0052】また、記録層の加熱条件が本発明の実施に
とって重要である他は、特に各層の膜材料、膜厚、記録
膜以外の成膜方法・条件には制約されない。例えば、記
録層の材料としては、上記の他にも、カルコゲン系の金
属化合物、例えばGe−Sb−TeやAg−In−Sb
−TeなどにCr,V,N等を適宜微量添加した材料を
用いることができる。
【0053】また、5層膜構造の場合に、半透明層とし
ては、Auの他に銀(Ag),銅(Cu),シリコン
(Si)などや、誘電体母材中に金属微粒子を分散した
構造の膜を用いることができる。また、干渉層として
は、ZnS−SiO2以外に、Ta25,Si34,S
iO2,Al23,AlN等の誘電体膜材料、記録層と
してはGeSbTeの他にInSbTe,AgInSb
Te,GeTeSeなどのカルゴゲン系膜材料、反射層
としてはAlMoの他、AlCr,AlTiなどのAl
合金系膜材料などから適宜選択して用いることができ
る。
【0054】さらに、上述した具体例においては、光記
録媒体の一例として光ディスクを例に挙げて説明した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、その他に
も、例えば、光記録カードなど種々の形態の相変化光記
録媒体に同様に適用し、同様の効果を得ることができ
る。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、アズデポ状態から直ち
に高いCNRでの記録が可能となるので、相変化記録媒
体の製造工程から初期結晶化工程を除外することができ
る。その結果として、製造コストを低減させ、相変化記
録媒体を広く普及させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いる相変化記録膜の形成装置
の構成を例示する概念図である。
【図2】ディスク評価結果を表すグラフ図である。
【図3】ランプ光を吸収しない基板ホルダを例示する概
念図である。
【図4】CNRとノイズレベルの評価結果を表すグラフ
図である。
【符号の説明】
1 成膜容器 2 基板ホルダ 3 抵抗加熱ヒータ 4 ヒータ電源 5 光ディスク基板 6 膜 7 スパッタ源 8 ターゲット 9 スパッタ電源 10 ガス供給系 11 排気系 12 加熱用ランプ 21 ホルダ構造部材 22 非吸収性部材 23 空隙

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と前記基板上に堆積された記録膜とを
    有する相変化記録媒体の製造方法であって、 前記基板上に前記記録膜を堆積している間または前記基
    板上に前記記録膜を堆積した後に、前記基板の温度をそ
    の熱変形温度未満としつつ前記記録膜を室温よりも高い
    温度に昇温することにより、前記記録膜中に結晶核を生
    成させることを特徴とする相変化記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】基板と前記基板上に堆積された記録膜とを
    有する相変化記録媒体を製造する製造装置であって、 前記基板の温度をその熱変形温度未満としつつ前記記録
    膜を室温よりも高い温度に昇温する加熱手段を備えたこ
    とを特徴とする相変化記録媒体の製造装置。
  3. 【請求項3】基板と前記基板上に堆積された記録膜とを
    有する相変化記録媒体を製造する製造装置であって、 前記基板上に前記記録膜を堆積するための手段と、 前記記録膜の堆積中に、前記基板の温度をその熱変形温
    度未満としつつ前記記録膜を室温よりも高い温度に昇温
    する加熱手段と、 を備えたことを特徴とする相変化記録媒体の製造装置。
  4. 【請求項4】前記加熱手段は赤外線ランプ加熱を用いた
    ものであることを特徴とする請求項2または3に記載の
    製造装置。
  5. 【請求項5】前記基板を支持する基板ホルダをさらに備
    え、 前記基板ホルダの前記基板との接触部は、前記赤外線ラ
    ンプ加熱により照射されるランプ光に対して実質的に吸
    収を有しない材料により構成されていることを特徴とす
    る請求項4記載の相変化記録媒体の製造装置。
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