JP4244090B2 - 光学的情報記録用媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の照射により原子の配列が変化して情報の記録および消去が行なわれる光情報記録媒体であって、特に波長400nm付近の光で良好な光記録、再生を可能にする高密度光記録媒体(光ディスク)に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザビームの照射による情報の記録、再生及び消去可能な光メモリー媒体の一つとして、結晶−非晶質間、あるいは結晶1−結晶2の2つの結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化型記録媒体がよく知られている。
相変化形型記録媒体は、Te、Se等のカルコゲンを主成分とした記録層と、この記録層を両面から挟み込む透光性誘電体層と、レーザ光の入射側とは反対に設けた反射層と、保護層から構成されている。代表的な材料系に、GeSbTe系、AgInSbTe系材料が良く知られていて、実用化されている。
【0003】
記録原理は次の通りである。成膜直後の記録層は非晶質状態で反射率は低い。まず初めに、レーザ光を照射して記録層を加熱し、ディスク全面を反射率の高い結晶状態にする。すなわち、初期化を行う。初期化した光ディスクにレーザ光を局所的に照射して、記録層を溶融、急冷し、アモルファス状態に相変化させる。相変化に伴い記録層の光学的性質(反射率、透過率、複素屈折率等)が変化して、情報が記録される。再生は、記録時より弱いレーザ光を照射して、結晶とアモルファスとの反射率差、または位相差を検出して行う。書き換えは、結晶化を引き起こす低エネルギーの消去パワーの上に重畳した記録ピークパワーを記録層に投入することにより、消去過程を経ることなくすでに記録された記録マーク上にオーバーライトする。
【0004】
DVD-RAM等のようにこれまで開発され商品化されてきた光ディスクは、ポリカーボネート製等の基板上にそれぞれの目的に合った薄膜を成膜して作製され、基板を通して記録、再生用レーザ光が照射されるタイプであった。これらの光ディスクの持つ記録密度に於いては、ディスク基板の厚みが問題になることは少なかった。
【0005】
相変化型記録媒体は、記録容量を決定する要素としてレーザ光の波長、集光レンズのNA(開口数)が大きく作用する。これまでのDVDで用いられてきた信号フォーマットをそのまま用いて7〜8GB以上の容量をもつ媒体を実現するためには、NAを高くするか記録再生光を短波長化するしかない。現在では、発振波長650nmのレーザを用いた記録再生装置が商品化されている。
【0006】
更に高容量の媒体を目指しレーザの短波長化が盛んに検討されている。中でも400nm付近の波長を持つ半導体レーザの開発が盛んである。レーザの短波長化に伴いレンズの高NA化も進められている。しかしながら、高NA化したレンズと短波長化したレーザ光による高密度化が進められると、今度は、ディスクのチルト角(レーザ光軸に対してディスク面が垂直からずれる角度)マージン等の都合からディスク基板の厚みが問題になってくる。
【0007】
この問題を解決する技術として、これまでの基板側からの記録再生光の照射型ディスクではなく、積層する膜を逆順に成膜した、即ち基板ー反射層ー第2保護層ー記録層ー第1保護層の順に積層し第1保護層側から記録再生光を照射するタイプのディスクに関する技術が開発されてきた。
ところが各層材料は、それまでの基板側照射型と大きな相違はなく、反射層もAlやAl合金を用い、スパッタリング等の真空成膜により作製されるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
現在規格が発表されているDVD-RAMや規格化が進められているDVD+RW等の書換が可能な光ディスクの記録再生機に使用されるレーザ光線は、波長が650〜680nmのものである。これらの光ディスクを構成する層は、グルーブ(溝)を設けた基板上に第1保護層、記録層、第2保護層、反射層の順に成膜されている。
【0009】
更に高密度記録再生を目指して開発が進められている光ディスクは、短波長化レーザと高NA化レンズの光学系を用いたシステムに対応するため、基板上に反射層、第2誘電体からなる第2保護層、記録層、第1誘電体からなる第1保護層というこれまでとは逆の順番に成膜され、前記基板とは異なる側から光を照射して情報の記録及び消去が行われているものである。このような構造をとることで短波長化、高NA化によるディスクチルトマージン等の課題を解決しようとしている。(特開平11−120613号公報)
【0010】
一方、このような逆順に積層された型の光ディスクでも、各層材料は、それまでの基板側照射タイプのディスクと殆ど同様なものであり、反射層もAl或いはAl合金が用いられている。このAl、Al合金のスパッタリングされた膜の表面状態は、大きな結晶粒が多数見られ、ミクロ的に見れば平滑性がかなり劣る荒れた状態であった。これまでの基板側照射タイプのディスクにおいて、反射層は誘電体からなる保護層上に成膜される。従って、反射層の界面は保護層表面と接することにより平滑な表面を形成することが可能であったため、悪影響を及ぼすようなことはなかった。
【0011】
しかしながら、記録再生レーザ光の短波長化と高NA化に対応した高密度光記録媒体では、基板の上に第一層目として反射層を成膜する。ところが反射層のレーザ光照射面の表面は、前記した如く荒れた状態になっており、それ以降の保護層等がその荒れを継承して積層されることになる。このため記録再生時には、レーザ光の乱反射等を招きディスクのノイズ成分の原因となり、ディスクの記録再生特性に悪影響を及ぼすという課題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであり、次の手段を有する。
1)基板と、前記基板上に形成され、Al(アルミニウム)よりも形成される結晶粒が小さい金属またはその合金を含む金属層と、前記金属層上に、前記金属層の表面の結晶状態を継承して形成され、Alまたはその合金を含む反射層と、を備え、レーザ光が前記基板とは反対側から前記反射層に照射されることにより、所定の情報が記録または再生される光学的情報記録用媒体である。
2)前記金属層は、Au(金),Ge(ゲルマニウム),Ag(銀),Pt(白金),Ni(ニッケル),及びPd(パラジウム)の内のいずれか1元素またはその合金を含んでいることを特徴とする1)記載の光学的情報記録用媒体である。
3)前記金属層は、その厚さが5nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする1)または2)に記載の光学的情報記録用媒体である。
4)基板と、前記基板上に形成され、Al(アルミニウム)よりも形成される結晶粒が小さい金属またはその合金を含む金属層と、前記金属層上に、前記金属層の表面の結晶状態を継承して形成され、Alまたはその合金を含む反射層と、前記反射層上に形成され、誘電体を含む保護層と、前記保護層上に形成され、所定の情報が記録される記録層と、前記記録層上に形成され、誘電体を含む他の保護層と、を備え、レーザ光が前記基板とは反対側から前記反射層に向かって照射されることにより、前記情報が記録または再生される光学的情報記録用媒体である。
5)前記金属層は、Au(金),Ge(ゲルマニウム),Ag(銀),Pt(白金),Ni(ニッケル),及びPd(パラジウム)の内のいずれか1元素またはその合金を含んでいることを特徴とする4)記載の光学的情報記録用媒体である。
6)前記金属層は、その厚さが5nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする4)または5)に記載の光学的情報記録用媒体である。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明になる光ディスクの背景につき説明する。
これまでに反射層として用いられてきたAl、Al合金は、スパッタリング等の真空成膜を行うと膜中で結晶粒の成長が局所的に見られる。このため大きな柱状の結晶が局在するために、薄膜表面は凹凸の激しい荒れた状態になってしまう。
【0014】
現在のDVD等に見られる記録再生型の光ディスクは、基板側からレーザ光が入射するために、反射層のレーザ照射面は保護層上に形成され界面を形成する。このため、反射層のレーザ光の照射される面の表面は、保護層の表面が反映され平滑性が保たれたものであった。
【0015】
一方、高密度化を目的に記録再生レーザ光の短波長化、光ピックアップのレンズ高NA化を施したシステム用の媒体は、チルトマージンの確保のため基板上にそれまでとは逆順に成膜するという技術が開発されてきた。このような媒体は、先ず第一に、反射層が成膜される。次に、誘電体で形成された第2保護層を成膜し、続けて記録層、第1保護層という順で成膜されるので、反射層の表面の状態がその次に成膜される第2保護層、記録層、第1保護層に反映されてしまう。この反射層の表面は、前記したように荒れが著しい。また高密度化を目的とした媒体なので、記録再生するマークも現行DVDより更に微小になる。従って、この反射層表面の荒れは媒体の記録再生特性に大きく影響してしまう。
【0016】
ところで金属等の結晶は、下地となる他の結晶の表面状態と良く符合する結晶面の育成が見られるという性質がある。そこで、反射層に用いられる単一金属や合金より結晶粒径が小さく平滑な表面を形成する金属を下地層として成膜することにより、反射層の表面状態を改善させるという発明に至った。このように、表面状態が平滑に改善された反射層上に誘電体で形成された保護層を介して記録層、保護層という順で積層した場合は、平滑な表面状態を反映すると共に記録再生特性においても良好なものが得られるものである。
【0017】
以下本発明の実施形態につき、図1〜図3を用いて説明する。なお本発明は以下に述べるような実施例の構造、使用物質に限定されるものではない。図1は、本発明になる光ディスク10の模式図、図2は、反射層に下地膜を設けた光ディスクの断面形状を示す説明図、図3は、反射層に下地膜を設けない光ディスクの断面形状を示す説明図である。
【0018】
図1は本発明になる光ディスク10の模式図で、1は基板であり、この基板1には、レーザ光の案内をするための溝1a等が形成されている。先ず、溝1a等が形成されている基板1上に下地膜2を成膜する。下地膜2は、この下地膜2上に積層される反射層3に用いられる金属の結晶粒径より小さい結晶粒を形成する金属である。これまでに通常用いられてきた反射層3は、AlやAlに添加金属を加えた合金が殆どであった。従って下地膜2としては、Alより結晶粒の小さな金属を用いる。たとえばAu,Ge,Ag,Pt,Ni,Pd等やこれらを主成分とする合金が好ましい。
【0019】
このような物質をスパッタリングなどにより真空成膜し、基板1上に反射層3より結晶粒径が小さい下地膜2を形成する。下地膜2は、表面が均一に形成され発明の効果が現れるために5nm以上成膜するのが好ましい。すなわち、下地膜2は、スパッタリングされた金属原子の薄膜により形成されるが、その原子が均一に基板上に膜面を形成するにはある程度の厚みが必要になるからである。また、下地膜2が滑らかでないと、その上に成膜する反射層3は、平滑性が得られないからである。
【0020】
一方上限は、記録感度等の媒体特性を大きく変るほどの影響が大きくならないように40nm以下にすることが好ましい。このような条件なら、これまでに研究開発が行われ見出されてきた媒体の材料組成、膜厚構造等を大きく変更することなく用いることが出来る。
【0021】
また、反射層3として、これまで多くの光ディスクに用いられてきた比較的安価なAl,Al合金を用いることができるので、コスト的にも有利である。このようにして、下地膜2上に反射層3を形成する。反射層3は下地膜2の表面の結晶状態を継承して平滑な表面を維持した状態で積層される。
【0022】
そして、この反射層3上に誘電体からなる第2の保護層(上保護層)4を成膜し、この第2の保護層4上に記録層5、この記録層5上に再び誘電体からなる第1の保護層(下保護層)6と順次に成膜する。これらの膜も平滑な反射層3上に積層されるので、その平滑性を維持したまま積層できる。実用的には更に第1の保護層6に記録再生光が透過する樹脂等からなる接着層7を挟んでガラスやポリマー等の薄いカバー層8を設けて光ディスク10を完成させる。
【0023】
本発明の第2、第1保護層4,6は、記録時に基板1、記録層5などが熱によって変形し記録特性が劣化することを防止するなど、基板1、記録層5を熱から保護する効果がある。さらに、記録層5の結晶化を促進して、消去率を向上させる効果もある。この第2、第1保護層4,6としての誘電体は、例えば、ZnS,SiO2、Si3N4などの無機薄膜で構成される。
【0024】
特に、Si,Ge,Al,Ti,Zr,Taなどの金属あるいは半導体の酸化物の薄膜、Si、Ge,Alなどの金属、あるいは半導体の窒化物の薄膜、Ti、Zr、Hf、Siなどの金属あるいは半導体の炭化物の薄膜、 ZnS、In2S3、TaS4、GeS2等の金属あるいは半導体の硫化物の薄膜、及びこれらの化合物の2種類以上の混合物の膜が、耐熱性が高く、化学的に安定なことから好ましい。さらに、記録層への保護層を構成する原子の拡散がないものが好ましい。
【0025】
これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物は、必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率、消衰係数等の制御のために、必要に応じて組成を制御したり、混合して用いたりすると効果があがるものである。また、これらにMgF2などのフッ化物を混合したものも、膜の残留応力が小さいことから好ましい。特にZnSとSiO2の混合膜は、記録、消去の繰り返しによっても、記録感度、C/N、消去率などの劣化が起きにくいことから好ましい。
【0026】
【実施例】
次に、本発明になる光ディスク10の製造方法について述べる。下地膜2、反射層3、記録層5、第2、第1の保護層4,6などを基板1上に形成する方法としては、公知の真空中での薄膜形成法である、例えば真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビーム型)、イオンプレーティング法、スパッタリング法(直流や交流スパッタリング、反応性スパッタリング)などがあげられる。特に組成、膜厚のコントロールが容易であることから、スパッタリング法が好ましい。成膜前の真空度は、1×10-4Pa以下にするのが好ましい。真空槽内で複数の基板を同時に成膜するバッチ式や基板を1枚ずつ処理する枚葉式成膜装置を使うことが好ましい。
【0027】
形成する反射層3、記録層5、第2、第1の保護層4,6などの厚さの制御は、スパッタ電源の投入パワーと時間を制御したり、水晶振動型膜厚計などで堆積状態をモニタリングすることで、容易に行えるものである。
【0028】
下地膜2、反射層3、記録層5、第2、第1の保護層4,6などの形成は、基板1を固定したまま、あるいは移動、回転した状態のどちらでもよい。膜厚の面内の均一性に優れることから、基板1を自転させることが好ましく、さらに公転を組合わせることがより好ましい。
【0029】
【実施例1】
次に本発明の一実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明の効果を確認すべく以下のようなサンプルを作成した。先ず、トラックピッチ0.74μmの案内溝が形成された厚さ0.6mm、直経120mmのポリカーボネート製基板1の上に、下地膜2としてAuをスパッタリング法により成膜した。成膜は次のような具体的手順で行った。すなわち、基板1を毎分60回転で遊星回転させながら、スパッタリング法により真空成膜するに際し、まず、真空チャンバー内を6×10-5Paまで排気した後、1.6×10-1PaのArガスを導入する。次に、Auを直流スパッタリング法によって基板1上に7nmの厚さに成膜した。続いてこのAu薄膜(下地膜2)の上に、Al,Tiからなる2元素単一ターゲット(Ti:1.8wt%含有)を直流スパッタリング法により成膜し厚さ150nmの反射層3を形成した。
【0030】
【比較例1】
一方、比較例1としては下地膜2を設けず、基板1上に直接Al−Tiからなる反射層3を上述した同様な方法により成膜したサンプルを作成した。これらのサンプルの表面状態を観察するためAFM(原子間力顕微鏡)を用いた。観察結果を図2、図3に示す。
【0031】
図2は、実施例1のサンプルのランド部分と、グルーブ部分の断面形状を示すもので、横軸はAFMの走査範囲(走査した長さ)を示し、縦軸は基板グルーブ底面からの高さを示している。このように、AFM像を観察すると表面に結晶粒の成長の差に起因すると見られる凹凸が観察できる。この実施例1の下地膜2を設けた反射層3のサンプルの表面の凹凸の状態(ランド部の最大と最低の高低差)を測定すると、その平均は2nm程度であり、ランド部分等に見られるAl−Ti薄膜による凹凸、即ち荒れが少ないことがわかる。
【0032】
これに対して、図3の比較例1の下地膜2を設けない反射層3のサンプルの表面の凹凸の状態(ランド部の最大と最低の高低差)を測定すると、その平均は7nm〜10nm程度となっていて、ランド部分等に見られるAl−Ti薄膜による凹凸、即ち荒れが多いものであることがわかる。そして、この程度の荒れが存在する反射層3では、入射レーザ光を反射する際、乱反射によりディスクの特性(C/Nやジッタ値)に悪影響を及ぼすものである。
【0033】
このようにして完成した本発明になる光ディスクの特性上への効果を確認すべく、上述したサンプルと同様、反射層3の上に更に上保護層4(第2保護層)、記録層5、下保護層6(第1保護層)という順に成膜してディスク形態にしたものを作成した。保護層を形成する誘電体として、ZnS−SiO2を高周波マグネトロンスパッタ法により成膜して膜厚20nmの第2保護層を形成した。続いて、Ag、In、Te,Sbからなる4元素単一ターゲット(直径2インチ、厚さ3mm)を直流電源でスパッタリングして記録層5を形成した。具体的には、組成Ag0.05、In0.05、Te0.30、Sb0.60の膜厚23nmの記録層5を形成した。
【0034】
さらに、第2保護層4と同様の材質の第1保護層6を、記録層5上に50nmの厚さで形成した。この光ディスクを真空容器より取り出した後、この第一保護層6上に、接着層7としてのアクリル系紫外線硬化樹脂をスピンコートし、この接着層7の上に0.2mmのガラス基板(カバー層8)を貼り合わせ、紫外線照射により硬化させて接着して本発明になる光ディスクを得た。
【0035】
こうして作製した光ディスクに、レーザ光やフラッシュランプ等を照射して、記録層5を結晶化温度以上に加熱し、初期化処理を行う。実用的には、初期化装置と評価機等を用い収束したレーザ光を用いる。先ず、図示しない初期化装置のスピンドルに光ディスクを装着した後、大出力のレーザ光を照射して記録層5を加熱して高反射率の状態に変化させる。光ディスクに照射されるレーザビームは、トラック幅よりも大きなビーム径を有し、好ましくは半径方向に長く、ディスクを回転しながら複数のトラックを同時に初期化できるようなものを用いる。
【0036】
具体的には、初期化レーザの波長は、830nm、照射ビームの形状は、トラック方向が2μmで半径方向が20μmの幅の広い形をしているものを用いる。そして、この光ディスクを線速度3m/sで回転させ、半径22.0mmから初期化を開始した。初期化レーザは、パワー400mWで半径外周方向に30μm/回転の速度で移動させ、半径58.0mmで初期化を終了した。
【0037】
光ディスクの特性の評価では、波長400nmの光を発振するレーザを搭載しレンズNAは0.65のものを用いた評価機を作製して行った。再生光パワーPrは、0.7mWで線速度によらず一定とした。評価は、反射層3の表面状態がディスクのノイズに対する影響を調べることで行った。線速度3.5m/sで単一周波数約30MHzの信号を、前記したAu7nmの下地膜2有り、無しのディスクの記録層5のそれぞれに対して記録してC/N特性を測定した。その結果、下地膜2有りの光ディスクは53dBであったのに対し、下地膜2無しの媒体は47dBと劣るものとなった。
【0038】
【比較例2】
下地膜2の膜厚を50nmとして、実施例1と同様な手順で光ディスクを作成した。下地膜2の厚さは50nmとした。AFMでの観測は同様に平滑性が改善されていた。しかし、ディスク状での記録再生実験では記録機の出力の限界である10mWでもパワー不足で充分な記録がでずC/Nとして48dBと充分な記録が行えなかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、基板上に成膜された反射層の表面状態が改善され、記録再生特性が向上した光ディスクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる光情報記録媒体の一実施例を示す模式図である。
【図2】反射層に下地膜を設けた光情報記録媒体の断面形状を示す説明図である。
【図3】反射層に下地膜を設けない光情報記録媒体の断面形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 下地膜
3 反射層
4 第2保護層
5 記録層
6 保護層
10 光学的情報記録用媒体
Claims (6)
- 基板と、
前記基板上に形成され、Al(アルミニウム)よりも形成される結晶粒が小さい金属またはその合金を含む金属層と、
前記金属層上に、前記金属層の表面の結晶状態を継承して形成され、Alまたはその合金を含む反射層と、
を備え、
レーザ光が前記基板とは反対側から前記反射層に照射されることにより、所定の情報が記録または再生される光学的情報記録用媒体。 - 前記金属層は、Au(金),Ge(ゲルマニウム),Ag(銀),Pt(白金),Ni(ニッケル),及びPd(パラジウム)の内のいずれか1元素またはその合金を含んでいることを特徴とする請求項1記載の光学的情報記録用媒体。
- 前記金属層は、その厚さが5nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学的情報記録用媒体。
- 基板と、
前記基板上に形成され、Al(アルミニウム)よりも形成される結晶粒が小さい金属またはその合金を含む金属層と、
前記金属層上に、前記金属層の表面の結晶状態を継承して形成され、Alまたはその合金を含む反射層と、
前記反射層上に形成され、誘電体を含む保護層と、
前記保護層上に形成され、所定の情報が記録される記録層と、
前記記録層上に形成され、誘電体を含む他の保護層と、
を備え、
レーザ光が前記基板とは反対側から前記反射層に向かって照射されることにより、前記情報が記録または再生される光学的情報記録用媒体。 - 前記金属層は、Au(金),Ge(ゲルマニウム),Ag(銀),Pt(白金),Ni(ニッケル),及びPd(パラジウム)の内のいずれか1元素またはその合金を含んでいることを特徴とする請求項4記載の光学的情報記録用媒体。
- 前記金属層は、その厚さが5nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の光学的情報記録用媒体。
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