JP3653254B2 - 光学的情報記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に形成した記録薄膜層に高エネルギービームを照射し、記録薄膜層に相変化を生じさせることにより、信号を記録及び再生する光学的情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学的情報記録媒体(以下、単に記録媒体という)として、ディスク状、カード状、円筒状等をした基板上に金属薄膜や有機物薄膜で構成される記録材料薄膜層(以下、記録薄膜層という)を形成したものがある。この記録薄膜層にサブミクロンオーダー径の微小光スポットに絞り込んだ高エネルギービームを照射すると、記録薄膜層に局部的な状態変化が生じる。このような状態変化を利用して信号の蓄積を行なう技術は既に広く知られている。とりわけ光磁気材料薄膜や相変化材料薄膜を記録薄膜層に用いた記録媒体では、信号の書き換えが容易に行えることから、盛んに研究開発がなされてきている。
【0003】
記録媒体の構成は、図7に示すような多層膜構成をとるものが通常である。すなわち図7に示す記録媒体Aでは、樹脂板やガラス板等で構成される基板1の上に、光干渉層の働きを兼ねた第1の誘電体層(下引き層ともいう)2を設ける。そして第1の誘電体層2の上面に光吸収性の記録薄膜層3を設け、その上に光干渉層である第2の誘電体層(上引き層ともいう)4を設ける。次に、記録薄膜層3での光吸収効率を向上させたり、熱拡散層としての働きをする反射層5を設ける。これらの各層は順次スパッタリングや真空蒸着等の方法で形成され、最後に接着層6を介して保護板7を設け、記録媒体Aが完成する。
【0004】
次に信号を記録するには、所定のスポット径に収束されたレーザ光線を基板1の下側から照射する。そうすればレーザ光線は透明な材質で構成される基板1を通過し、第1の誘電体層2、記録薄膜層3、第2の誘電体層4を経て反射層5に達する。レーザ光線の一部は反射層5から接着層6側に透過するが、残りは反射層5で反射され、記録薄膜層3を照射する。このときレーザ光線のスポットが記録薄膜層3の一部を加熱し、その部分の状態を変化させる。この状態変化が相変化型であれば、加熱温度によって異なるが、例えば急速加熱及び急冷で非晶質となり、徐冷で結晶化する。このとき、記録薄膜層3の一部は加熱蒸発しようとするが、第1の誘電体層2、第2の誘電体層4の存在のため蒸散が阻止される。特に第1の誘電体層2は、記録薄膜層3の熱が基板1に伝わり、基板1が軟化するのを防止する保護層の働きをする。
【0005】
このように記録された信号を再生するには、記録媒体Aに収束したレーザ光線を照射する。このとき記録薄膜層3の相状態(結晶又は非晶状態)により反射率が異なり、第1の誘電体層2との屈折率又は誘電率との関係によっても、基板1から外部に向かって出力される反射光線の量が変化する。このように反射光線の強度を検出することにより、信号を再生する。
【0006】
さて各層を構成する材料及び膜厚は、記録媒体Aを利用する目的及びその使用条件によって異なっている。例えば、記録薄膜層3で生じた熱を反射層5へ急速に拡散させたい場合には、記録薄膜層3と第2の誘電体層4の膜厚を数10nm以下に薄く選ぶ。あるいは反射層5として熱伝導率の大きなAuやAl合金を用い、光をほとんど透過させない程度に十分厚い膜厚に選ぶということが行なわれている。上記の構成は通常、急冷構成と称されている。
【0007】
また、最近では結晶領域とアモルファス(非晶質)領域との間での光吸収量の相対的大きさを最適化することが、歪を低減する上で重要であることが明らかになっている。これを実現するためには、例えばAu反射層の膜厚を高々20nm程度以下の薄いものとすることが1つの解決方法であることが開示されている。このことは例えば、特開平1−149238号公報、山田他:「高速オーバライト光ディスク」電子情報通信学会技報Vol.92,No.377,P92、又は特開平5−298747号公報に述べられている。また、特開平4−102243号公報には、同様の目的を達成する手段として、金属の反射層5の代わりにSi反射層を用いることが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
さて高速オーバライトに使用する等の目的で反射層を薄くした場合、反射層が担っていた熱拡散層としての働きは必然的に低下し、レーザ光線の照射終了後の加熱部の冷却速度が低下する。また反射層として、熱伝導率の低い物質を用いた場合も同様に冷却速度が下がる。例えば結晶化シリコンの熱伝導率は、室温近傍ではアルミニウムの1/3程度といわれている。シリコン自身は温度上昇に従って熱伝導率が低下するため、特に記録媒体としてディスクを回転させて記録再生動作を行うとき、低い線速度条件下では熱拡散層として不利になる。
【0009】
ヒートモード記録の場合、冷却速度の低下は直ちに記録感度、消去感度等に影響するが、記録媒体を繰返して記録、再生、書き換えを行なうことを考えるならば、その繰返しサイクル回数の限度にも影響する。より具体的に説明すると、冷却速度が低下すると、記録部(記録薄膜層)が高温状態に保持される時間がそれだけ長くなり、より大きな熱的なダメージを生じ易くなる。従って、高速記録再生用に設計された記録媒体を、低速条件すなわち記録媒体と記録ビームとの間の相対的な速度が小さい条件で用いようとすると、記録再生の許容サイクル回数が小さくなるという欠点があった。
【0010】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、反射層を薄くしても反射層の放熱状態を最適にすると共に、記録薄膜層の記録再生の許容サイクル回数を、記録媒体の走査速度に係わらず向上させることのできる光学的情報記録媒体を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1の発明は、情報記録媒体のベースとなる基板と、前記基板の上面に設けられた第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の上面に設けられ、レーザ光線の照射によって結晶相とアモルファス相との間で可逆的状態変化を生じる記録層と、前記記録層の上面に設けられた第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層の上面に設けられ、前記レーザ光線の一部を前記記録層側に反射する反射層と、前記反射層の上面に設けられ、前記レーザ光線に対して略透明であり、前記反射層の熱を拡散する熱拡散補助層と、を具備し、前記反射層は、膜厚が20nm未満の金属薄膜で構成され、前記熱拡散補助層は、記録再生に使用するレーザ光線の波長をλとし、前記熱拡散補助層の屈折率をnとし、整数をmとするとき、前記熱拡散補助層の膜厚を略(m×λ)/(2×n)±λ/8nにしたことを特徴とするものである。
【0012】
本願の請求項2の発明は、レーザ光線の入射面側に設けられた第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の上面に設けられ、レーザ光線の照射によって結晶相とアモルファス相との間で可逆的状態変化を生じる記録層と、前記記録層の上面に設けられた第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層の上面に設けられ、前記レーザ光線の一部を前記記録層側に反射する反射層と、前記反射層の上面に設けられ、前記レーザ光線に対して略透明であり、前記反射層の熱を拡散する熱拡散補助層と、を具備し、前記反射層は、膜厚が20nm未満の金属薄膜で構成され、前記熱拡散補助層は、記録再生に使用するレーザ光線の波長をλとし、前記熱拡散補助層の屈折率をnとし、整数をmとするとき、前記熱拡散補助層の膜厚を略(m×λ)/(2×n)±λ/8nにしたことを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
このような特徴を有する本願の発明によれば、レーザ光線の入射側から見て、反射層の後方に光学的に透明で、且つ反射層の熱を拡散する熱拡散補助層を設けたことにより、あたかも反射層の熱容量が増大したのと等価の層構造となる。このため反射層が薄い構成でも、熱の拡散効率を確保することができる。こうすると記録媒体の走査速度が低下しても、反射層で蓄積されるスポット熱も適度に拡散され、記録層の相変化に与える影響も少なくなる。また記録媒体としての光学的設計上の自由度が高まる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態における光学的情報記録媒体について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施の形態における光学的情報記録媒体(記録媒体B)の構成を示す断面図である。本実施の形態では照射用のレーザ光線の波長(λ)を780nmとして設計を行なうものとする。厚さ1.2mm、直径120mmのポリカーボネイト製ディスク状の基板1の上に、第1の誘電体層2として厚さ92.9nmのZnS−SiO2 混合膜(下引き層)を設ける。そして第1の誘電体層2の上面に、厚さ22nmのGe2 Sb2 Te5 合金薄膜で構成される記録薄膜層3を設ける。そしてこの膜の上に第2の誘電体層4として、厚さ157nmのZnS−SiO2 混合膜(上引き層)を設ける。この層の上に反射層5として、厚さ10nmのAu薄膜層を設け、そしてこの層の上に熱拡散補助層8として厚さ156nmのSiC層を設け、各層を積層状態にする。熱拡散補助層8の光学定数(複素屈折率)の実測値は2.5であり、膜厚156nmはおよそレーザ光線のλ/(2n)に相当する。但しnは光学定数の実数部である。
【0015】
以上の各層はArガスを用いたスパッタリング法により順次形成される。次に熱拡散補助層8の上部にスピンコート法により約10μm厚の紫外線硬化樹脂層を塗布し、紫外線を照射して硬化させ、保護層9を形成する。こうして構成された記録媒体Bは信号の記録時に、基板1側からレーザ光線を記録薄膜層3に入射させる。なお基板1の下側表面には、記録再生に用いるレーザ光線をトラックに沿って案内するために、深さ60nm、幅0.6μmのスパイラル状の連続溝(グルーブ)が1.2μmピッチで刻まれている。
【0016】
図2は、熱拡散層補助層8を有する記録媒体Bと、比較のため別に用意した熱拡散補助層8を設けない従来の記録媒体Aとの間のサイクル特性である。2つの記録媒体A,Bの光学的特性(図示せず)はほぼ同等である。実測で求めた各層の光学定数については、記録薄膜層3がアモルファス状態では4.55+i1.35,結晶状態では5.57+i3.38となっている。第1の誘電体層2、第2の誘電体層4において、光学定数は2.1であり、反射層において0.18+i4.64である。これらの光学定数の値から行なった計算では、入射光を100%とした場合の、記録薄膜層3における吸収率は結晶部で約53%(Ac)、アモルファス部で約39%(Aa)である。そして、記録媒体としての反射率は結晶部で約23%、アモルファス部で約7%であり、結晶部とアモルファス部の間の吸収比Ac/Aaはおよそ1.35であった。
【0017】
記録特性の評価には、レーザ光線を記録信号に応じて、ピークレベル(アモルファス化レベル)とバイアスレベル(結晶化レベル)間で2値変調し、古い信号を消しながら、新しい信号を記録する方法(所謂1ビームオーバライト法)を用いた。記録媒体であるディスクを1800rpmで回転させ、直径φ106(線速度10m/s)の位置で、オーバライトを繰返した。信号はデューティ50%の単一周波数モードとし、f1(6.58MHz)とf2(1.88MHz)の2つの信号を交互に記録した。レーザ波長は780nm、対物レンズのN.Aは0.55とした。また記録パワーについては、ピークパワー14mW、バイアスパワー7mW(図2の14/7で示す)と、ピークパワー11mW、バイアスパワー5.5mW(図2の11/5で示す)の2条件で行なった。図2の縦軸はキャリア信号に対するノイズの比(CNR)を表し、横軸は記録動作の繰り返し回数(サイクル回数)を表す。
【0018】
図2から明らかなように、熱拡散補助層を設けない記録媒体Aではサイクル回数がパワー条件に依存し、低いパワー条件(11/5)では1万回の繰返しの間にほとんど変化を生じなかったのに対して、高いパワー条件(14/7)では1万サイクルでC/Nの低下が認められた。これに対して、熱拡散補助層8を設けた記録媒体Bでは、何れのパワー条件でも1万サイクルでC/Nの変動が生じていないことが判る。
【0019】
基板1に用いる材料としては通常光ディスク等に用いられているPMMA、ポリカーボネイト(PC)、アモルファスポリオレフィン等の透明樹脂板、ガラス板、Al,Cu等の金属板、又はこれらをベースにした合金板を用いる。金属板のように不透明な基板1を用いる場合には、図1における各層の積層順序を逆にし、保護層側からレーザ光線を入射させる必要がある。この際、基板面からの光反射の影響を避ける必要のある場合には、図3に示す記録媒体Cのように、基板1の上面に光学的隔離層(以下、単に隔離層という)10を設ける。この隔離層10は樹脂層であってもよいし、誘電体層であってもよいが、光のコヒーレンシーが無視できる程度に厚くする必要がある。
【0020】
一方、記録再生に用いるレーザ光線を導く手段としては、スパイラル溝のかわりに同芯円溝でもよいし、あるいはピット列を凹凸で刻むこともできる。第1の誘電体層2及び第2の誘電体層4は、保護層として前述したように基板1の表面の熱ダメージを抑える働きをすると共に、記録薄膜層3を挟み込むことで、記録薄膜層3の変形、蒸発を抑えることができる。又第1の誘電体層2及び第2の誘電体層4は、基板1及び記録薄膜層3と比較して融点が高いこと、記録再生に用いるレーザ光線に対して透明であること、硬度が大きくて傷がつきにくいこと等の性質を有することが必要である。これも通常の相変化型の光ディスクにおいて用いられている保護層材料がそのまま適用可能である。
【0021】
すなわち第1の誘電体層2及び第2の誘電体層4は、第1実施の形態のZnS−SiO2 に代わって、例えばSiO2 ,ZrO2 ,TiO2 ,Ta2 5 等の酸化物、BN,Si3 4 ,AlN,TiN等の窒化物、ZnS,PbS等の硫化物、SiC等の炭化物、CaF2 等のフッ化物、ZnSe等のセレン化物、及びこれらの混合物としてZnSe−SiO2 ,SiNO等、又はダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカーボン等を用いることもできる。
【0022】
次に記録薄膜層3に用いる材料は、レーザ光線の照射を受けて可逆的な状態変化を生じる相変化材料であって、とりわけレーザ光線の照射によるスポット熱でアモルファス−結晶間の可逆的相変化を生じるものを用いる。代表的には、Ge−Sb−Te,Ge−Te,In−Sb−Te,Sb−Te,Ge−Sb−Te−Pd,Ag−Sb−In−Te,Ge−Bi−Sb−Te,Ge−Bi−Te,Ge−Sn−Te,Ge−Sb−Te−Se,Ge−Bi−Te−Se、Ge−Te−Sn−Au等の系、又はこれらの系に酸素、窒素等の添加物を加えた系を用いることができる。
【0023】
これらの薄膜は通常成膜された際にアモルファス状態であるが、レーザ光線等のエネルギーを吸収すると、結晶化して光学的濃度が高くなる。実際に記録媒体として用いる場合には、信号の記録時には記録薄膜層3の全体を予め結晶化しておき、レーザ光線を細く絞って照射し、照射部をアモルファス化して光学定数を変化させる。また信号の再生時には、記録薄膜層3に相変化を与えない程度に弱くしたレーザ光線を照射し、反射光の強度変化、透過光の強度変化を検出して信号を再生する。
【0024】
結晶部とアモルファス部での光吸収量を最適化する条件(例えばAc/Aa≧1)では記録層の厚さ等が限定を受けることは、特開平5−298747号に既に示されている。即ち記録薄膜層3の厚さは、その層が記録状態にあるか、未記録状態にあるかを問わず、レーザ光線の一部が記録薄膜層3を透過可能なように設定される。
【0025】
例えば、記録薄膜層3を相変化材料で構成した場合には、相変化材料膜(結晶相)を、第1の誘電体層2と第2の誘電体層4を構成する材料と同じ材質の材料層(厚さは無限と仮定)に挟まれた際の透過率を考え、透過率が少なくとも1%程度以上、好ましくは2〜3%程度以上あることが必要である。また透過率の値は、相変化材料膜がアモルファス相である場合に比較して10%程度以上であることが必要であり、その条件が満たされるように各膜厚を選ぶのが望ましい。
【0026】
反射層5で反射されて記録薄膜層3の中に再入射する成分が無くなると、光の干渉効果が小さくなる。この場合第2の誘電体層4及び反射層5の膜厚を多少変化させても、記録媒体全体の反射率、記録薄膜層3での吸収効率等を制御できなくなる。そこで本発明においても、特開平5−298747号の明細書に開示されているような膜厚制限条件がそのまま適用される。
【0027】
反射層5に用いる金属薄膜としては、反射率が大きく、耐触性が高く、熱伝導率が大きいという理由で、Auが最も適している。それ以外にもAl,Cu,Ni等の金属薄膜、又はこれらを主成分とし添加物を加えた合金を用いることができる。添加物としてはAl,Cr,Cu,Ge,Co,Ni,Ag,Pt,Pd,Co,Ta,Ti,Bi,Sb、Mo等の材料群から選ばれる少なくとも1種類の材料を用いて、光学定数等の特性を微調整することができる。
【0028】
熱拡散補助層8としては、樹脂材料よりも熱伝導率の高いことが最低条件であり、その意味では、第1、第2の誘電体層に用いられる誘電体層材料に適用される材料は、すべて用いることが可能である。ただし、なるべく熱伝導率が大きく、かつ透明な材料が望ましい。
【0029】
Y.S.Touloukian等によるIFI/PLENUM社刊行のサーモフィジカル・プロパティーズ・オブ・マターのVolume1及びVolume2、又、丸善株式会社刊行、日本化学会編の化学便覧基礎編第2分冊6.5章によれば、上述のSiC以外にも各種の材料が提案されている。例えば、Si単体、Taの酸化物、Zr,Si,Ta,Ti,B,Alのグループから選ばれた少なくとも1つの元素の窒化物、又はZr,Si,W,Ta,Ti,Bのグループから選ばれた少なくとも1つの元素の炭化物等がある。これらの材料は他の酸化物や窒化物に比較して、一桁程度も熱伝導率が高く、しかも化学的に安定であることから、本発明の用途には特に適している。
【0030】
図4は、誘電体材料を主とする様々な物質を、熱伝導率の大小で分類した図である。同じ材料名で色々な値がある場合にはその最高値を用いた。周期律表2b族のアルカリ土類元素Be,Mg,Ca,Sr,Baの酸化物、又はこれらの間の複合酸化物は熱伝導率は大きいが、安定性及び毒性の観点から適さない。
【0031】
本実施の形態の信号の書換え可能な光学的情報記録媒体は、通常の光学薄膜を形成する場合と同様に、真空蒸着、マグネトロンスパッタリング、DCスパッタリング、イオンビームスパッタリング、イオンプレーティング等の方法で各層を順次積み重ねて行く方法で各層を形成することができる。記録媒体が設計通りにできているかどうかは、できあがった記録媒体の反射率及び透過率を、スペクトルメーターを用いて測定し、予め計算した値と比較することで検証することができる。この場合、記録薄膜層3での吸収と、反射層5での吸収を分離して直接測定することはできないが、少なくとも2種類の波長で同じ検証を行なうことにより、精度を高めることができる。
【0032】
記録媒体の構成は、図1の場合のように単板構成でもいいが、それ以外にも図5のようにホットメルトタイプの接着層6を介して別の保護板11を貼り合わせてもよい。また図6のように接着層6を中心にして、上下対称になるように2枚の記録媒体を張り合わせた構成としてもよい。さらに必要に応じて、第1の誘電体層2を省略した構成、第2の誘電体層4を省略した構成も可能である。
【0033】
記録媒体に対し、ある一定の光学的特性を要求する場合に、各層の膜厚をどう選べばよいかは、既に出願した特開平5−298747号明細書の実施の形態中に詳しく説明しているので、この方法をそのまま用いることができる。即ち積層構成がたとえ何層であっても、各層を構成する物質の光学定数と、膜厚とを与えれば、マトリクス法(例えば久保田広著「波動光学」岩波書店、1971年、第3章を参照)によって、各層での反射率・透過率・吸収率が一義的に決定できる。従って、各層の膜厚を一定の刻み幅で変化させて、反射率、透過率、吸収率を計算すれば、項目ごとにその結果をマップ化することができる。
【0034】
こうしたマップがあれば、それを元に望ましい反射率、透過率、吸収率等を実現する各層の膜厚を逆に選び出すことができる。ただし容易に推測できるように、光学計算に取り込む層の数は、なるべく少ない方が望ましい。即ち計算に要する手間が省けるばかりでなく、計算精度も高くなる。そこで最後の層である熱拡散補助層8の膜厚は、計算から除外できるように、λ/2n(λはレーザ波長、nは熱拡散層の屈折率)の整数倍近傍に選ぶことが好ましい。
【0035】
この波長に対して透明な物質層がλ/2nの整数倍の厚さに形成されても、記録面側からみた記録媒体全体の光学的特性は変化しない。熱拡散補助層8の厚さは、たとえλ/2nの整数倍に正確に一致していなくとも、熱を効率よく拡散させることができる。しかし光学的見地からは、熱拡散補助層8の膜厚の精度を±λ/8n程度の変動に抑制することが望ましい。
【0036】
各層を構成する物質の複素屈折率(光学定数)は、例えばガラス板上に薄膜を形成し、その膜厚と反射率、透過率の測定値を元に計算する方法、あるいはエリプソメーターを使う方法で求めることができる。
【0037】
別の実施の形態として、熱拡散補助層8にSi膜とTa2 5 膜を適用した媒体をそれぞれ構成した。また、比較のために熱拡散補助層のない記録媒体も用意した。ディスクの基板1は前述の実施の形態と同じ1.2mm厚のポリカーボネイト板を用い、厚さ81nmのTa2 5 薄膜を第1の誘電体層2とし、厚さ30nmのGe21.5Sb24.7Te53.8の合金薄膜を記録薄膜層3とし、154nmのZnS−SiO2 薄膜(SiO2 :25モル%)を第2の誘電体層4とし、厚さ10nmのAu薄膜を反射層5として、スパッタリングの方法で各層を形成した。そして熱拡散補助層8として、Si層、Ta2 5 層又はZnS−SiO2 層をスパッタリングにより、夫々99nm、186nm、186nmの厚さに形成した。熱拡散補助層8の膜厚は、何れもλ/(2n)に相当する。
【0038】
上述した評価方法で上記2つの記録媒体を評価したところ、何れも熱拡散補助層8のない記録媒体に比較して、熱拡散補助層8のある記録媒体は長いサイクル回数を示した。また、3つの材料の比較では、最も大きな熱伝導率を有するSi層を用いた記録媒体のサイクル回数が最も長いことがわかった。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、記録媒体の一部を構成する反射層を薄くしても、記録層及び反射層におけるレーザ光線の蓄熱状態を最適にでき、記録再生時に低い線速度条件で信号を記録再生することができる。また記録再生の許容繰り返し回数が増加し、相変化における信号レベルが劣化しにくくなり、優れた記録媒体が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図2】熱拡散補助層を有する記録媒体と、熱拡散補助層を有しない記録媒体において、反射率変化量と光吸収率差との関係をサイクル回数を軸にして示したグラフである。
【図3】本発明の第2の実施の形態の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図4】光学的情報記録媒体の各層に用いられる各種の材料を、熱伝導率で分類した図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図7】従来の光学的情報記録媒体の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1の誘電体層
3 記録薄膜層
4 第2の誘電体層
5 反射層
6 接着層
7 保護板
8 熱拡散補助層
9 保護層
10 隔離層
11 保護板

Claims (10)

  1. 情報記録媒体のベースとなる基板と、
    前記基板の上面に設けられた第1の誘電体層と、
    前記第1の誘電体層の上面に設けられ、レーザ光線の照射によって結晶相とアモルファス相との間で可逆的状態変化を生じる記録層と、
    前記記録層の上面に設けられた第2の誘電体層と、
    前記第2の誘電体層の上面に設けられ、前記レーザ光線の一部を前記記録層側に反射する反射層と、
    前記反射層の上面に設けられ、前記レーザ光線に対して略透明であり、前記反射層の熱を拡散する熱拡散補助層と、を具備し、
    前記反射層は、膜厚が20nm未満の金属薄膜で構成され、
    前記熱拡散補助層は、記録再生に使用するレーザ光線の波長をλとし、前記熱拡散補助層の屈折率をnとし、整数をmとするとき、前記熱拡散補助層の膜厚を略(m×λ)/(2×n)±λ/8nにしたことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. レーザ光線の入射面側に設けられた第1の誘電体層と、
    前記第1の誘電体層の上面に設けられ、レーザ光線の照射によって結晶相とアモルファス相との間で可逆的状態変化を生じる記録層と、
    前記記録層の上面に設けられた第2の誘電体層と、
    前記第2の誘電体層の上面に設けられ、前記レーザ光線の一部を前記記録層側に反射する反射層と、
    前記反射層の上面に設けられ、前記レーザ光線に対して略透明であり、前記反射層の熱を拡散する熱拡散補助層と、を具備し、
    前記反射層は、膜厚が20nm未満の金属薄膜で構成され、
    前記熱拡散補助層は、記録再生に使用するレーザ光線の波長をλとし、前記熱拡散補助層の屈折率をnとし、整数をmとするとき、前記熱拡散補助層の膜厚を略(m×λ)/(2×n)±λ/8nにしたことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  3. レーザ光線の入射によって、前記記録層が結晶部とアモルファス部とに相変化を受けたとき、該結晶部での吸収率をAcとし、該アモルファス部での吸収率をAaとすれば、前記第1の誘電体層、前記第2の誘電体層、前記記録層、前記反射層を含む各層の膜厚を、該レーザ光線の吸収比Ac/Aaが1以上となるように設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
  4. 前記熱拡散補助層を、Siで構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
  5. 前記熱拡散補助層を、Taの酸化物で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
  6. 前記熱拡散補助層を、Zr,Si,Ta,Ti,B,Alのいずれかから選ばれた元素の窒化物で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
  7. 前記熱拡散補助層を、Zr,Si,W,Ta,Ti,Bのいずれかから選ばれた元素の炭化物で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
  8. 前記熱拡散補助層を、ダイアモンド薄膜及びダイアモンドライクカーボン膜の何れか一方で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
  9. 前記反射層を、Au薄膜で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
  10. 前記記録層を、Ge−Sb−Te合金を主体にして構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報記録媒体。
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