JP2000267317A - 電子写真感光体、その製造方法および電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、その製造方法および電子写真装置

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JP2000267317A
JP2000267317A JP11069008A JP6900899A JP2000267317A JP 2000267317 A JP2000267317 A JP 2000267317A JP 11069008 A JP11069008 A JP 11069008A JP 6900899 A JP6900899 A JP 6900899A JP 2000267317 A JP2000267317 A JP 2000267317A
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JP11069008A
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Yasuo Sakaguchi
泰生 坂口
Yasuhiro Yamaguchi
康浩 山口
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高感度、低残留電位の高性能且つ高寿命な電
子写真感光体、特に、電荷発生性能を維持しつつ、層中
の電荷輸送性に優れた電荷発生層を有する電子写真感光
体及びその簡便な製造方法と、それを利用した高画質、
高耐久な電子写真装置を提供する。 【解決手段】 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送
層との積層型の感光層を有する電子写真感光体におい
て、該感光層における電荷発生層の結着樹脂が、電荷輸
送活性ブロックと電荷輸送不活性ブロックとを有する電
荷輸送性ブロック共重合体(構造式(1))またはグラ
フト共重合体を含有し、電荷輸送不活性ブロックとし
て、繰り返し単位の単独重合物が溶解性パラメーター値
22(MPa)1/2以上の溶剤に可溶である特性を有す
る繰り返し単位を5〜70重量%の範囲で含有するもの
を用いる。この繰り返し単位は、酸性基を有することが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真用感光
体、更に詳しくは、電荷発生層の結着樹脂として電荷輸
送性ブロックを有する共重合体を用いた電子写真用感光
体、その製造方法ならびに該電子写真用感光体を活用し
た電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術は、高速で、高印字晶質が
得られる等の利点を有するために、近年、複写機くプリ
ンタ、ファクシミリ等の分野において、中心的役割を果
たしている。電子写真技術の心臓部である電子写真感光
体の構成材料としては、従来からセレン、セレン−テル
ル合金、セレン−ヒ素合金等の無機光導電性材料が広く
用いられてきた。一方、これらの無機系感光体に比べ、
コスト、製造性、廃棄性等の点で優れた利点を有する有
機光導電性材料を用いた電子写真感光体の研究も活発に
行われ、現在では無機系感光体を凌駕するに至ってい
る。特に、光電導の素過程である光電荷発生と発生した
電荷の輸送をそれぞれ別々の層に担わせる機能分離型積
層構成の発明により、材料選択の自由度が増し、著しい
性能の向上が達成された。すなわち、電荷発生能と電荷
輸送能の両機能に優れた材料の設計開発は困難であった
が、機能分離型積層構成の採用により、それぞれ単一機
能のみに集中した最適化設計が可能となり、高性能な電
子写真感光体を得ることが可能となった。
【0003】機能分離型積層構成の感光体を設計する場
合、その電荷輸送層としては電荷発生層からの電荷の注
入がスムーズで、また電荷輸送層中での電荷移動度が高
く且つ電荷寿命が長いものが望ましい。さらに、一般的
に電荷輸送層は感光体の最表面層であるため、現像剤、
クリーニング部材等と直接接触することにより、その機
械的ストレスに対して耐久性を有する事が、感光体の寿
命という観点から強く望まれる。さらに、最表面層は帯
電器等で発生するオゾン、窒素酸化物等の放電生成物に
も晒されるため、それらによる化学的ストレスに対して
も耐久性を有することが望まれる。近年、有機感光体の
高性能化に伴い、高速の複写機や、プリンターにも使用
されるようになってきており、感光体の長寿命化を実現
するため、電荷輸送層の結着樹脂の検討、電荷輸送性高
分子材料の検討、表面保護層の検討など、機械的、化学
的の両面に亙る寿命の延長に対して、様々に研究開発が
進められている。
【0004】一方、機能分離型積層構成の感光体の電荷
発生層としては、露光波長での電荷発生効率が高く、且
つ該光発生電荷が電荷輸送層に注入される効率が高いも
のが望ましい。また、製造性、コスト、安全性等の観点
からは、電荷発生能を有する有機顔料、結着樹脂、及び
有機溶剤からなる分散液を塗布成膜したものが好まし
い。ところで、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層成膜
する場合、製造性、コスト等の観点から、浸漬塗布法等
の湿式塗布法によって電荷輸送層を製造することが望ま
しく、電荷発生層としては、該積層塗布によって侵され
ない耐溶剤性を有するものが望まれる。
【0005】一般に有機顔料は高い耐溶剤性を有するた
め、有機顔料と結着樹脂から成る電荷発生層の耐溶剤性
は用いる結着樹脂に依存する。現行の機能分離型積層構
成の感光体は電荷輸送層の塗布溶剤として、一般に、ト
ルエン、クロロベンゼン等の芳香族系溶剤、テトラヒド
ロフラン、ジクロロメタン等の比較的極性の低い有機溶
剤が用いられており、電荷発生層用結着樹脂としては、
該有機溶剤への溶解度及び/または溶解速度が低いポリ
ビニルブチラール樹脂、酢酸ビニル-塩化ビニル-マレイ
ン酸共重合体等の極性の高い樹脂が用いられている。
【0006】しかしながら、高極性の樹脂を電荷発生層
に用いると、その感光体を高湿環境下で使用した場合、
常湿環境下と比べ、暗減衰が増大する、帯電性が低下す
る、光感度が変化する等の問題があった。電荷発生層の
耐溶剤性を高めるために、結着樹脂として、シリコーン
樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂等の架橋硬化性の樹脂を用いることも検討
され、確かに耐溶剤性の高い電荷発生層は得られている
ものの、これらの架橋硬化性樹脂は極性が高く、また未
硬化反応基が残存し、上述の高湿環境下での感光体使用
における問題は解決されない。さらに、塗布液中での架
橋硬化反応の進行は避けられず、経時により増粘、ゲル
化が起り、ポットライフが短く、コストアップをもたら
す。
【0007】また、従来の顔料樹脂分散型電荷発生層、
電荷輸送性低分子樹脂分散型電荷輸送層からなる機能分
離積層型感光体では、電荷発生層の上に電荷輸送層を積
層成膜する時に、電荷輸送性低分子の一部が電荷発生層
中に浸入し、該浸入電荷輸送性低分子によって、電荷発
生層での電荷発生能および/または電荷輸送能が向上
し、好ましい特性が発揮されることが知られている。と
ころが、高極性の樹脂を電荷発生層に用いると、電荷輸
送性低分子との相溶性が低く、電荷発生層中に電荷輸送
性低分子が均一に進入できず、上記の効果が充分に発揮
されないと云う問題があった。また、長寿命を図るた
め、電荷輸送性低分子を含有しない電荷輸送性高分子材
料を電荷輸送層に用いると前記と同様に、上記の効果が
充分に発揮されないと云う問題があった。
【0008】有機顔料単独で十分な電荷発生能と電荷輸
送能を有するものは希有であり、また顔料と樹脂から成
る電荷発生層中の顔料濃度を高めると一般的に塗膜の均
一性が低下し、加えて暗減衰が増大する等の問題が生起
する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような実情に鑑みなされたものであっ
て、上記の問題点を克服し得る新規な感光層を用いた電
子写真感光体を提供するものである。すなわち、本発明
の目的は、高感度、低残留電位を達成した、高性能且つ
高寿命な電子写真感光体、特に、電荷発生性能を維持し
つつ、層中の電荷輸送性に優れた電荷発生層を有する電
子写真感光体を提供することにある。また、本発明の他
の目的は、該電子写真感光体の安価で簡便な製造方法
と、該電子写真感光体を利用した高画質かつ高耐久な電
子写真装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、電荷発生層の結着樹脂として、電荷輸送活性ブ
ロックと電荷輸送不活性ブロックとを含む電荷輸送性ブ
ロック共重合体およびグラフト共重合体であって、該電
荷輸送不活性ブロックとして溶解性パラメーター値22
(MPa)1/2以上の高極性溶剤に高い溶解性を示すも
のを用いることで、電荷輸送性ブロック共重合体および
グラフト共重合体の低極性溶剤への溶解性を低下させる
ことができることを見い出した。これにより、該電荷輸
送性共重合体を含む層の上に、低極性溶剤を用いること
で、浸漬塗布法にて下層を塗布欠陥なしに積層塗布する
ことができることを見い出した。
【0011】また、電荷輸送不活性ブロックの低極性溶
剤への溶解性を低下させることで、相分離性が向上し、
さらに機械的強度も向上する等の好ましい結果が得られ
ることも見い出した。特に電荷輸送不活性ブロックとし
て酸性基を有するものが上記効果が優れるとともに、電
荷発生材料の分散性能も優れており、さらに繰り返し使
用時の残留電位の上昇も抑えられ、好ましい。但し、電
荷輸送不活性ブロックとして上記の高極性溶剤に高い溶
解性を示すそのもの自身を用いると、高湿下で長期に使
用した場合に、残留電位が上昇してしまうという間題が
あった。この間題に関しては、電荷輸送不活性ブロック
として繰り返し単位にその繰り返し単位のみからなる単
独重合物が溶解性パラメーター値22(MPa)1/2
上の高極性溶剤に可溶である構造を含有させたものを用
いることで、上記の効果を損ねることなく、解決できる
ことを見い出した。
【0012】すなわち、本発明の電子写真感光体は、導
電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層との積層型の感
光層を有する電子写真感光体において、該感光層におけ
る電荷発生層の結着樹脂が、電荷輸送活性ブロックと電
荷輸送不活性ブロックとを有する電荷輸送性ブロック共
重合体またはグラフト共重合体を含有し、該電荷輸送不
活性ブロックとして、繰り返し単位の単独重合物が溶解
性パラメーター値22(MPa)1/2以上の溶剤に可溶
である特性を有する繰り返し単位を含有するものを用い
ることが好ましく、この溶解性パラメーター値22(M
Pa)1/2以上の溶剤としては、メタノールまたはN,
N一ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。
【0013】また、該溶剤に可溶な十号体を形成し得る
前記繰り返し単位は、酸性基を有することが顔料分散性
の観点から好ましい態様である。また、前記酸性基を有
する構造としては、下記一般式(1)で示される構造が
挙げられる。
【0014】
【化8】
【0015】(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換もしくは未置
換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置
換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換
のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、ま
たは置換もしくは未置換のアルコキシカルボニル基を示
し、且つR1〜R4の少なくとも一つは、カルボキシル基
であるかまたは置換基としてカルボキシル基を有す
る。)
【0016】一方、前記電荷輸送不活性ブロックが、他
の繰り返し単位として下記一般式(2)で示される構造
を含むことが好ましい。
【0017】
【化9】
【0018】(式中、R5〜R8はそれぞれ独立に水素原
子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未
置換のアリール基を示す。) また、前記電荷輸送活性ブロックが含有する好ましい繰
り返し単位としては、下記一般式(3)または(4)で
示される構造の少なくとも1種を挙げることができる。
【0019】
【化10】
【0020】(式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に
置換もしくは未置換のアリール基を示し、X1は芳香族
環構造を有する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有
炭化水素基を示し、X2及びX3はそれぞれ独立に置換も
しくは未置換のアリーレン基を示し、L1は枝分れもし
くは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基またはへテ
ロ原子含有炭化水素基を示し、m及びnは、それぞれ0
または1から選ばれる整数を意味する。)
【0021】
【化11】
【0022】(式中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に
置換もしくは未置換のアリール基を示し、L2は芳香族
環構造を有する3価の炭化水素基またはヘテロ原子含有
炭化水素基を示す。) 本発明の電荷発生層の特性を効果的に発現させるために
は、前記電荷輸送活性ブロックと前記電荷輸送不活性ブ
ロックが互いに非相溶性であることが好ましい。
【0023】前記電荷発生層に含有される代表的な材料
として、下記一般式(5)、(6)及び(7)から選ば
れた多環キノン顔料、下記一般式(8)で表されるベン
ゾイミダゾールペリレン、ビスアゾ顔料、フタロシアニ
ン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種が
挙げられる。
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
【化15】
【0028】また、この感光体においては、導電性基体
と電荷発生層の間に、少なくともジルコニウムアルコキ
シド化合物を用いて形成された下引き層を設けることが
好ましい。さらに、電荷発生層状に積層される電荷輸送
層は、電荷輸送性高分子材料からなることが好ましい。
【0029】以上述べたような、本発明の電子写真感光
体は、基体上に形成された電荷発生層の上に、電荷輸送
層を形成する際に、溶解性パラメーター値22(MP
a)1/ 2末満の溶剤を塗布溶剤として用いる浸漬塗布方
法にて電荷輸送層を形成する製造方法により作製するこ
とができる。ここで、塗布溶剤として用いる前記溶解性
パラメーター値22(MPa)1/2未満の溶剤は、芳香
族系溶剤、具体的には、トルエン、キシレン、またはメ
シチレンであることが好ましい。
【0030】また、請求項9に記載の本発明の電子写真
装置は、前記本発明の電子写真感光体、露光手段、及び
現像手段を備えることを特徴とする。本発明の電子写真
装置に用いる露光手段は、デシタル処理された画像信号
に基づいて露光を行う露光手段であり、特に、その露光
波長が可視域にあることが好ましい態様である。
【0031】本発明における電荷輸送性ブロック共重合
体またはグラフト共重合体は、電子写真感光体を初め、
有機EL素子、有機フォトリフラクティブ素子、有機光
センサ一、有機太陽電池等の各種有機電子デバイス用の
電荷輸送材料としても、好適に利用できる。
【0032】本発明者らの電荷発生層に含有する電荷輸
送性ブロック共重合体またはグラフト共重合体からなる
積層感光体においては、少なくとも電荷発生材料に隣接
する電荷輸送領域の電荷輸送路が電気的不活性マトリッ
クス中に電荷輸送性ドメインが分散されてなる不均一な
構造を有するものであるということを認めることができ
る。なお、ここでいう電気的不活性とは、その輸送エネ
ルギーレベルが、電荷輸送ドメインの輸送エネルギーレ
ベルから大きくかけ離れており、通常の電界強度では、
実質的に輸送電荷が注入されることがなく、輸送電荷に
とって事実上の電気的絶縁状態にあることを意味する。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態によっ
て、さらに詳しく説明する。本発明の電子写真感光体
は、電荷発生層に電荷輸送活性ブロックと、電荷輸送不
活性ブロックとを有する電荷輸送性ブロック共重合体ま
たはグラフト共重合体を含む結着樹脂を用いる。ここ
で、該電荷輸送不活性ブロックとしては、その繰り返し
単位としてその単独重含物が溶解性パラメーター値22
(MPa)1/2以上の溶剤に可溶である構造を5重量%
〜70重量%の範囲で含有する電荷輸送不活性ブロック
を用いることを要する。ここで、溶解性パラメーター値
としては、数種類報告されているが、極性項、水素結合
項、分散力項を考慮したHansenのパラメーターが
優れており、本発明で用いる値は、このHansenの
ものである。 (Polymer Handbook、
ed.J.Brandup & H.Immergu
t、John Wiley&Sons,1989)。ま
た、溶剤に可溶とは、25℃において、前記共重合体が
1重量%以上溶解することを意味し、より好ましくは5
重量%以上溶解することであり、さらに好ましくは10
重量%以上溶解することである。
【0034】ここで、単独重合物、即ち、この繰り返し
単位のみからなる重合体が、溶解性パラメーター値22
(MPa)1/2以上の溶剤に可溶であるとは、溶解性パ
ラメーター値が22(MPa)1/2以上の溶剤の少なく
とも1つに可溶であることを意味し、さらに、溶解性パ
ラメーター値22(MPa)1/2未満の溶剤に不溶であ
ることが望ましい。ここで、溶解性パラメーター値22
(MPa)1/2以上の溶剤には、例えば、メタノール
(29.7)、N,N一ジメチルホルムアミド(24.
8)、ジメチルスルホキシド(26.6)が挙げられる
が、入手の容易性、ハンドリング性の観点から、メタノ
ール(29.7)、N,N一ジメチルホルムアミド(2
4.8)が好ましい。
【0035】本発明の電荷輸送性共重合体の電荷輸送不
活性ブロックとしては、十分な絶縁性を示し、且つその
単独重合物が溶解性パラメーター値22(MPa)1/2
以上の溶剤に可溶である繰り返し単位を含むものであれ
ば、如何なるものでも用いることができるが、その構成
単位中に酸性基を有するものが電荷発生材料の均一分散
性の観点から好ましく、特に、上記一般式(1)で示さ
れるごとき、酸性基としてカルボキシル基を有する構造
を含むものが好ましい。さらに、上記一般式(1)で示
される構造と上記一般式(2)で示される構造の双方を
含む重合体が特に好ましい。上記繰り返し単位として
は、酸性基を有するものの他に、ヒドロキシ基、酸無水
物基、アミド基、イミド基、シアノ基等の高極性基を含
むものが好ましく挙げられる。また、一般式(1)で示
される構造に挙げられたカルボキシル基以外の好ましい
酸性基としては、フェノール性ヒドロキシル基、スルフ
ォン酸基等が挙げられる。
【0036】前記溶解性パラメーター値22(MPa)
1/2以上の溶剤に可溶な繰り返し単位の電荷輸送不活性
ブロック中の好ましい存在量は、0.01〜95重量%
の範囲であるが、より好ましくは0.1〜70重量%、
さらに好ましくは1〜50重量%である。上記範囲より
少ないと、上述の好ましい効果の発現が不十分であり、
上記範囲より多いと特に高湿下の使用において、絶縁性
が低下し、帯電性が悪化したり、繰り返し安定性が低下
する傾向にある。電荷発生層の結着樹脂の絶縁性に関し
ては、体積抵抗率が1012Ω・cm以上であることが好ま
しく、より好ましくは1014Ω・cm以上である。尚、電
荷輸送不活性ブロックとして硬化性のものを用いる場
合、体積抵抗率の値は硬化した状態での値を指す。
【0037】次に、上記一般式(1)で示される繰り返
し単位の詳細について説明する。上記一般式(1)中、
1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、カ
ルボキシル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換
もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のア
ルコキシ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もし
くは未置換のアシルオキシ基、または置換もしくは未置
換のアルコキシカルボニル基から選ばれ、且つR1〜R4
の少なくとも一つは、カルボキシル基であるかまたは置
換基としてカルボキシル基を有することが必要である。
アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ
基、およびアルコキシカルボニル基の炭素数は1〜18
個が好ましく、またアリール基としてはフェニル塞、ナ
フチル基、ピレニル、ビフェニル基等が挙げられる。置
換基としては、ハロゲン原子、メチル基、フェニル基、
イソシアネート基、エボキシ基、アルコキシシリル基、
ビニル基等が挙げられる。
【0038】上記一般式(2)式中、R5〜R8はそれぞ
れ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、
置換もしくは未置換のアリール基から選ばれる。置換も
しくは未置換のアルキル基の具体例としては、メチル
基、エチル基、ハロゲン置換メチル基等が挙げられる。
置換もしくは未置換のアリール基の具体例としては、フ
エニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、ハロ
ゲン置換フェニル基等が挙げられる。
【0039】本発明の電荷輸送性共重合体の電荷輸送活
性ブロックとしては、電荷輸送能を有するものなら如何
なるものでも構わないが、電荷移動度、電荷注入性、電
荷寿命、可視光および赤外光透過性、化学的安定性、機
械的強度等の点で、特に上記一般式(3)または(4)
で示される構造の少なくとも1種を繰り返し単位として
含有するものが好ましい。
【0040】上記一般式(3)中、Ar1及びAr2はそ
れぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基から選ば
れ、該アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフ
ェニル基、ナフチル基、ビレニル基等が挙げられる。ま
た、置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ
基、ハロゲン原子等が挙げられる。X1は芳香族環構造
を有する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水
素基から選ばれる。具体例としては、フェニレン基、ビ
フェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、メチ
レンジフェニル基、シクロヘキシリデンジフェニル基、
オキシジフェニル基、チオジフェニル基等、およびこれ
らのメチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体、ま
たはハロゲン置換体等が挙げられ、この中でも特に置換
もしくは未置換のビフェニレン基が電荷輸送性の点で、
特に好ましい。X2及びX3はそれぞれ独立に置換もしく
は未置換のアリーレン基から選ばれ、具体的には、フェ
ニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチ
レン基等、およびこれらのメチル置換体、エチル置換
体、メトキシ置換体、またはハロゲン置換体等が挙げら
れる。L1は枝分れもしくは環構造を含んでもよい2価
の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ば
れ、特に、機械的特性の点で、エーテル結合、エステル
結合、カーボネート結合、シロキサン結合から選ばれる
結合基を含み、且つ炭素数が20以下であるものが好ま
しい。その具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0041】
【化16】
【0042】上記一般式(4)中、Ar3及びAr4はそ
れぞれ独立に置換もしくは未置換のアリ一ル基から選ば
れ、該アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフ
ェニル基、ナフチル基、ビレニル基等が挙げられる。ま
た、置換基としては、炭素数1〜12個のアルキル基ま
たはアルコキシ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子
等が挙げられる。L2は芳香族環構造を有する3価の炭
化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、
機械的特性の点で炭素数が20以下のものが好ましい。
その具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0043】
【化17】
【0044】本発明の共重合体はブロック共重合体また
はグラフト共重合体であれば、その構成ブロックの連結
形式は如何なるものでも構わない。すなわち、電荷輸送
活性ブロック、電荷輸送不活性ブロックのそれぞれが、
ある程度のボリュームを有するドメインを形成し、それ
らが互いに結合している態様が好ましいのであり、その
意味では、ランダム共重合体では、本発明の効果は得が
たい。その連結形式の例を挙げれば、電荷輸送活性ブロ
ックをA、電荷輸送不活性ブロックをBと表した時、A
B型、ABA型、BAB型、(AB)n型、(AB)n
型、およびB(AB)。型のブロック共重合体、電荷輸
送活性ブロックを主鎖、電荷輸送不活性ブロックを側鎖
とするグラフト共重合体、電荷輸送不活性ブロックを主
鎖、電荷輸送活性ブロックを側鎖とするグラフト共重合
体、もしくは、ABA型等のブロック共重合体の側鎖に
Aおよび/またはBをグラフト化したブロック−グラフ
ト共重合体等が挙げられる。
【0045】本発明に用いる共重合体の合成にあたって
は、第4版実験化学講座28 高分子合成(丸善、19
92)、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー、
1990)、高分子の相溶化と評価技術(技術情報協
会、1992)、高分子新素材0ne Point12
ポリマーアロイ(共立、1988)等の文献に記載され
ているブロック共重合体またはグラフト共重合体を与え
得る任意の適当な合成法を適用することができる。例え
ば、予め電荷輸送性重合体と絶縁性重合体を合成し、そ
れら重合体同士を反応結合させることによって所望とす
るブロック共重合体が得られる。また、電荷輸送性ブロ
ックを形成するモノマーと電荷輸送不活性ブロックを形
成するモノマーの重合形式が同じであり旦つ両者の反応
性が非常に大きく異なる場合には、単にそれらモノマー
の混合物を重合させることで、まず、反応性の高い方の
モノマーが重合し、該モノマーが消費された後、反応性
の低い方のモノマーが重合し、所望とするブロック共重
合体が得られる。
【0046】また、予め一方のモノマーの重合物を合成
し、該重合物の末端および/または側鎖にアゾ、過酸エ
ステル、パーオキシ、ジチオカルバマート、アルカリ金
属オキシ、アルカリ金属アルキル等の重合開始能を有す
る基を含む重合開始剤を導入し、得られた高分子重合開
始剤により、他方のモノマーを重合させることによって
も、所望とするブロック共重合体またはグラフト共重合
体が得られる。この方法によれば、重縮含または重付加
系重合体と付加重合または開環重合系重合体からなるブ
ロック共重合体またはグラフト共重合体を容易に得るこ
とができる。分子中にアゾ、過酸エステル、パーオキシ
等の重合開始能を有する基を複数含む化合物を用い、ま
ず、一部の重合開始基から、一方のモノマーを重合さ
せ、次に残りの重合開始基から、他方のモノマーを重合
させることによっても所望とするブロック共重合体が得
られる。
【0047】また、カチオンリビング重合法、アニオン
リビング重合法、ラジカルリビング重合法等のリビング
重合法により、各モノマーを逐次重合させることによっ
ても所望とするブロック共重合体を得ることができる。
リビング重合法は、各ブロックの分子量を答易に制御で
き、且つ分子量分布の狭い重合体を与え得ると云う利点
を有する。また、イモータル重合法、Iniferte
r重合法等により、各モノマーを逐次重合させることに
よっても所望とするブロック共重合体を得ることができ
る。さらにまた、予め一方のモノマーの重合物の末端に
他方のモノマーを導入したマクロモノマーを合成し、該
マクロモノマーを重合することによって所望とするグラ
フト共重合体を得ることができる。
【0048】本発明の共重合体の各ブロックの分子量は
如何なる値でも構わないが、機械的強度、成膜性等の高
分子特性を発揮するには、2000以上であることが望
まれる。また、不均一電荷輸送層用材料として用いる場
合には、相分離性の点で、重量平均分子量が30000
以上であり、且つ分子量が10000以下の成分が5重
量%未満であることが好ましい。分子量の上限に関して
は電気的特性上の制限は特にないが、湿式塗布法によっ
て成膜を行う場合には、適当な溶液粘度を与える範囲内
にあることが必要となり、一般的には、5000000
以下であることが好ましい。
【0049】ポリマーブレンド、ポリマーアロイの分野
でよく知られているように、一般に、異なる構造の高分
子は互いに非相溶であり、それらの混合物およびブロッ
ク共重合体またはグラフト共重合体は相分離状態を取
る。一般に、単なる混合物、すなわち、ポリマーブレン
ドではその相分離のスケールは数μm以上のマクロなも
のとなる(マクロ相分離)。これに対し、各成分が共有
結合で連結されたブロック共重合体およびグラフト共重
合体では、サブミクロン以下の微細なドメインからなる
相分離状態を与える(ミクロ相分離)。ブロック共重合
体およびグラフト共重合体における相分離のスケール
は、一般的に分子量の2/3乗根にほぼ比例することが
知られている。また、2種の高分子の非相溶性は、一般
的に分子量が大きい程、また、両者の溶解度パラメータ
ー差が大きい程、高い。
【0050】本発明の共重合体は、凝集力が強く且つ極
性の高い酸性基等の極性基を有するため、芳香族炭化水
素系溶剤や脂肪族炭化水素系溶剤等の低極性溶剤に対す
る溶解度が低く、該溶剤を用いることで、浸漬塗布法に
よって塗布欠陥なく、上層に他層を積層化することがで
きる。一般的に、本発明の共重合体に対する溶解性が低
い低極性溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン等の
オレフィン類、、ベンゼン、トルエン、キシレン、p一
キシレン等の未置換またはアルキル置換のベンゼン誘導
体等が挙げられる。
【0051】図1及び図2は、本発明の電子写真用感光
体の態様の例を示す模式的な断面図である。図1は、導
電性支持体1上に、電荷発生層2が設けられ、この上に
電荷輸送層3が設けられている積層構造の例が示され、
図2には、導電性支持体1上に下引き層4が設けられ、
その上に電荷発生層2が設けられ、さらにその上に電荷
輸送層3が設けられている。これらの電子写真感光体
は、さらに所望により保護層、乱反射層等の他の公知の
層を本発明の効果を損なわない範囲で設けることができ
る。
【0052】本発明の電子写真感光体に用いる導電性支
持体としては、支持体として利用されうる公知の材料か
ら適宜選択して用いることができ、得られた支持体は、
不透明であっても、また、実質的に透明であってもよ
い。支持体に用い得る材料の具体例としては、アルミニ
ウム、ニッケル、ステンレス鋼等の金属類;アルミニウ
ム、チタン、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、白
金、ジルコニウム、バナジウム、酸化錫、酸化インジウ
ム、IT0等の導電性の薄膜を設けたプラスチック、ガ
ラスおよびセラミックス等;導電性付与剤を塗布または
含浸させた紙、プラスチック、ガラスおよびセラミック
ス等が挙げられる。これらの導電性支持体の形状は、ド
ラム状、シート状、ブレート状等、適宜の形状とするこ
とができる。導電性支持体の表面には必要に応じて、各
種の処理を行うことができる。例えば、電解酸化処理、
薬品処理、着色処理、または、砂目立て、荒切削、ホー
ニング等の機械的粗面化処理等を行うことができる。支
持体表面の酸化処理や機械的粗面化処理は支持体表面を
粗面化するのみならず、その上に塗布される層の表面形
状をも制御し、露光用光源としてレーザー等の可干渉光
源を用いた場合に間題となる支持体表面および/または
積層界面での正反射による干渉縞の発生を防止すると云
う効果を発揮する。
【0053】また、本発明においては、導電性支持体か
ら感光層への電荷の漏洩を阻止し、また感光層を導電性
支持体に対して一体的に接着保待せしめるために、導電
性支持体と感光層との間に下引き層を設けることが好ま
しい。下引き層としては、公知のものを用いることがで
き、例えば、エチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル
樹脂、アミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、
フェノール樹脂、ウレタン樹脂、イミド樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルアルコール
樹脂、水溶性エステル樹脂、アルコール可溶性ナイロン
樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル酸樹脂、アクリ
ルアミド樹脂等の樹脂およびこれらの共重合体、また
は、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキ
シド化合物、シランカップリング剤等の硬化性金属有機
化合物を、単独または2種以上を混合して用いることが
できる。また、帯電極性と同極性の電荷のみを輸送し得
る材料も下引き層として使用可能である。これ等の中で
も特に、ジルコニウムアルコキシド化合物を含有する材
料で形成された下引き層は、導電性支持体から感光層へ
の電荷漏洩の阻止能が高く、また残留電位も低く抑えら
れ、さらに環境変化に伴う特性の変化も小さく、本発明
における下引き層として特に好ましい。
【0054】下引き層を設ける場合、その膜厚は、0.
01〜10μmが適当であり、好ましくは0.05〜5
μmの範囲である。下引き層は、適当な下引き層塗布液
を調整して、前記支持体状に塗布して設けることが一般
的であり、塗布方法としては、リングコーティング法、
ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング
法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビー
ドコーティング法、エアーナイフコーティング法、カー
テンコーティング法等の通常の方法を用いることができ
る。
【0055】本発明の電荷発生層に用いる共重合体は、
電荷輸送活性ブロックと電荷輸送不活性ブロックとが、
相分離性を有しいることが好ましく、電荷輸送性ドメイ
ン同士の接触の確率は、電荷輸送性ドメインと絶縁性マ
トリックスとの体積比、電荷輸送性ドメインと絶縁性マ
トリックスとの界面の厚み及び混在比率等に依存し、一
般的には、電荷輸送活性ブロックと電荷輸送不活性ブロ
ックの重量比が1:99〜90:10の範囲内で好適な
結果が得られる。より好ましい電荷輸送活性ブロックと
電荷輸送不活性ブロックの重量比は、5:95〜85:
15の範囲である。電荷輸送活性ブロックの重量比率が
上記範囲より多いと、電荷輸送不活性ブロックとして、
その単独重合物の溶解性パラメーター値22(MPa)
1/2以上のものを使用しても、耐溶剤性の観点から支障
をきたすことになる。他方、電荷輸送活性ブロックの重
量比率が上記範囲より少ないと、電荷輸送性能が低下
し、残留電位の増大、応答速度の低下等の障害を招く。
【0056】相分離状態は一般的には、構成ブロックの
種類および分子量により、熱力学的に最も安定な構造が
存在し、Aブロック、Bブロックからなる共重合体で
は、連結形式には依らず、A/B組成比にのみ依存し、
A/B比の増加に伴い、Aが球状ドメインでBがマトリ
ックス、Aが棒状ドメインでBがマトリックス、A/B
交亙層、Bが棒状ドメインでAがマトリックス、Bが球
状ドメインでAがマトリックスへと系統的に変化する。
しかしながら、湿式塗布法により成膜する場合には、用
いる溶媒および乾燥速度等により、相分離状態を任意に
制御することができる。例えば、A/B比が大きく熱力
学的にはB球状、Aマトリックス構造を取る場合でも、
塗布溶媒として、Bの良溶媒であり旦つAの貧溶媒であ
る溶媒を選択すれば、A球状、Bマトリックス構造を得
ることができる。また、A,B両者の良溶媒を用い、急
速に溶媒を除去すると、スビノーダル分解状態で凍結し
た相分離構造(変調構造)を得ることがである。また、
A/B比が大きく熱力学的にはB球状、Aマトリックス
構造を取る共重合体に、Bのみと相溶性のある重合体を
添加すると、Aが球、BおよびBのみと相溶性のある重
合体がマトリックスとなる相分離構造を得ることもでき
る。
【0057】電荷輸送性ドメインの平均粒子径は0.0
05〜1μmが好ましく、より好ましくは0,007〜
0.5μm、特に好ましくは0.01〜0.2μmの範
囲である。この電荷輸送性ドメインは、後述する電荷発
生粒子の平均粒子径と近似する範囲であることが好まし
い。電荷輸送性ドメインの平均粒子径が上記範囲より大
きいと、電荷発生層の膜厚以上の値になると耐溶解性が
低下するとともに、画質への影響が増大する。他方、電
荷輸送性ドメインの平均粒子径が上記範囲より小さい場
合には、電荷輸送性の向上による利得が失われる。
【0058】電荷輸送性ドメインの電荷移動度は、電子
写真感光体の応答速度を支配する一因子であり、移動度
が高いものほど、高速の電子写真装置に好適に用いられ
る。本発明の電子写真装置においては、少なくとも現像
に用いる電界強度域において、10-6cm2/Vs以上で
あることが好ましい。より好ましくは5×10-6cm2
Vs以上である。尚、電荷輸送性ドメインの電荷移動度
を、直接測定することは困難であり、電荷輸送活性ブロ
ックと同一構造の電荷輸送性高分子の電荷移動度で代用
することができる。
【0059】また、電荷発生層中に、電荷輸送性ブロッ
ク共重合体に加え、電荷輸送性高分子および/または絶
縁性高分子を添加することもできる。電荷輸送性高分子
を添加する場合、ブロック共重合体の電荷輸送活性ブロ
ックと相溶性を有することが好ましい。また絶縁性高分
子を添加する場合には、ブロック共重合体の電荷輸送不
活性ブロックと相溶性を有することが好ましい。
【0060】本発明の電荷発生層は、前記結着樹脂中に
電荷発生材料が分散されて構成され、ここでは積層感光
体に電荷発生材料として用いられ得る任意のものから選
択して用いることができる。例えば、非晶質セレン、セ
レン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他セレン化
合物およびセレン合金、酸化亟鉛、酸化チタン、a−S
i,a−SiC等の無機系光導電性材料、フタロシアニ
ン系、スクアリウム系、アントアントロン系、ペリレン
系、アゾ系、多環キノン系、ピレン系、ピロロピロール
系、ピリリウム塩系、チアビリリウム塩系等の有機顔料
および染料等が挙げられる。また、これらの電荷発生材
料は、単独あるいは2種以上混合して用いることができ
る。
【0061】フタロシアニン系化合物は、デジタル式の
電子写真装置に光源として現在広く使用されているLE
Dおよびレーザーダイオードの発信波長である600〜
850mに優れた光感度を有するため、本発明における
電荷発生材料として特に好ましい。フタロシアニン系化
合物としては、無金属フタロシアニン、金属フタロシア
ニン、及びそれらの誘導体が利用できる。金属フタロシ
アニンの中心金属としては、Cu,Ni,Zn,Co,
Fe,V,Si,Al,Sn,Ge,Ti,In,G
a,Mg,Pb,Li等が挙げられ、またこれら中心金
属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルキル化物、
アルコキシ化物誘導体も有効である。具体的には、チタ
ニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、
ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バナジルフタロシ
アニン、クロロインジウムフタロシアニン、ジクロロ錫
フタロシアニン、ジメトキシ珪素フタロシアニン等を挙
げることができる。また、上記化合物のフタロシアニン
環に任意の置換基が導入された置換フタロシアニン類も
使用することができる。さらにまた、上記化合物のフタ
ロシアニン環中の任意の炭素原子が窒素原子で置換され
たアザフタロシアニン類も有効である。これらフタロシ
アニン系化合物の形態としては、アルモルファスまたは
全ての結晶形のものが使用可能である。
【0062】これらフタロシアニン系化合物の中でも、
無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロ
ロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロ
シアニン、およびジクロロ錫フタロシアニンは、特に優
れた光感度を有しており、本発明に用いる電荷発生材料
として特に好ましい。
【0063】また、殆どのフタロシアニン系化合物が正
孔を主たる輸送電荷とするp型半導体の性質を有してい
るのに対し、ジクロロ錫フタロシアニン、電子吸引性基
を有するフタロシアニン類およびアザフタロシアニン類
は電子を主たる輸送電荷とするn型半導体であるため、
電荷発生材料としてこれらのフタロシアニン系化合物を
用い、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層を順次積
層してなる感光体は、それを負帯電で使用した場合、高
感度で且つ導電性支持体からの正電荷の注入が抑えら
れ、暗減衰力が小さく帯電性が高いと云う良好な電子写
真特性を示す。
【0064】また、六方晶セレン、アゾ系顔料、多環キ
ノン系顔料およびペリレン系顔料も電荷発生効率に優れ
るため、電荷発生材料として好ましく使用できる。レー
ザー光のビーム径は発信波長が短くなるほど小径化でき
るため、更なる高画質化を目指し、露光用レーザーの短
波長化の検討がなされているが、これらの化合物は、紫
外域から可視域に光感度を有するため、短波長レーザー
用の電荷発生材料として特に好ましく用いることができ
る。電荷発生層は、前記電荷発生材料を真空蒸着法等に
より直接成膜したり、前記電荷発生材料と結着樹脂を含
む塗布液を用い、湿式塗布法にて成膜することにより作
製できる。
【0065】電荷発生材料と結着樹脂との配合比(体積
比)は、10/1〜1/10の範囲が好ましい。より好
ましくは、3/1〜1/1の範囲に設定される。電荷発
生材料の結着樹脂に対する配合比が前記範囲より多い
と、暗減衰が増大し、また湿式塗布法では均質な膜を得
ることが困難になり、一方、前記範囲より少ないと光感
度の低下、残留電位の増大等の障害が起きる。本発明の
場合、電荷発生層の結着樹脂中に電荷輸送発生ブロック
が存在するため、少ない電荷発生材料でも高い性能を発
現するという利点を有し、さらに、酸性基を有する繰り
返し単位を有する場合、このような材料を容易に均一分
散しうるため効果が著しい。本発明で用いる電荷発生層
の膜厚は一般的には、0.05〜5μmが適当であり、
好ましくは0.1〜2.0μmの範囲に設定される。電
荷発生層の塗布方法としては、リングコーティング法、
ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング
法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビ
ードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カ
ーテンコーティング法等の通常の方法を用いることがで
きる。
【0066】本発明の電子写真感光体において電荷発生
層上に設けられる電荷輸送層は、積層感光体の電荷輸送
層として知られる任意のものから選択できる。例えば、
べンジジン系化合物、アミン系化合物、ヒドラゾン系化
合物、スチルベン系化合物、カルバゾール系化合物、イ
ミン系化合物等を、単独でまたは2種以上を混合して、
絶縁性樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアルキルメタク
リレート等)中に均一に分子分散した固溶膜が用いられ
る。また、上述した電荷輸送性高分子等を用いることも
できる。また、セレン、a−Si,a−SiC等の電荷
輸送能を有する無機物質を用いることもできる。
【0067】本発明に係る電荷輸送層としては、特に感
光体の長寿命化を実現するために、電荷輸送性高分子化
合物を用いることが好ましい。電荷輸送層用の電荷輸送
性高分子化合物しては、上記一般式(3)または(4)
で表される構造の少なくとも1種を繰り返し単位として
含有する電荷輸送性高分子が、高い電荷輸送能を有し、
機械的特性にも優れているので特に好ましい。特に、電
荷発生層に用いたブロック共重合体の電荷輸送活性ブロ
ックと同一構造の電荷輸送性高分子を電荷輸送層に用い
ると、電荷発生層から電荷輸送層への電荷の注入が非常
にスムーズになり、特に好ましい
【0068】尚、電荷輸送層中に電荷輸送性マトリック
スに囲まれるような電気的不活性な領域が存在してもよ
い。例えば表面摩擦力の低減、磨耗の低減、または表面
への異物付着の低減等を目的に低表面エネルギーの絶縁
性粒子等を含有させることができる。また、均一電荷輸
送層には電荷輸送能の向上等を目的に、電荷輸送性微粒
子等を添加することもできる。
【0069】電荷輸送層の塗布方法としては、リングコ
ーティング法、ブレードコーティング法、ワイヤ一バー
コーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティ
ング法、ビードコ一ティング法、エアーナイフコーティ
ング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用い
ることができる。また、セレン、a−Si等の気相成膜
可能なものは、直接成膜することもできる。これらの中
でも、浸漬コーティング法が、量産性、コスト、膜厚の
均一性等の点で有利であり、特に好ましい。湿式塗布法
に用いる溶剤としては、本発明の共重合体に対する溶解
性の低い、低極性溶剤を用いることが好ましい。例え
ば、ベンゼン、トルン、キシレン、p一キシレン、シク
ロヘキサン等、およびこれらの混合溶剤等が挙げられ
る。本発明において、電荷輸送層の膜厚は、5〜50μ
mが適当であり、好ましくは10〜40μmの範囲に設
定される。また、本発明において、電荷輸送性共重合体
を含む電荷発生層の上に、電荷輸送層を浸漬コーティン
グ法にて積層塗布する場合、塗布溶剤としては、溶解性
パラメーター値22(MPa)1/2未満の溶媒が好まし
く、より好ましくは溶解性パラメーター値20(MP
a)1/2未満であり、さらに好ましくは溶解性パラメー
ター値18.2(MPa)1/2未満である。
【0070】電荷輸送層が電荷発生層と露光光源の間に
存在する場合、実効の光感度の低下を防ぐ上で、電荷輸
送層は露光波長の光に対し事実上透明であることが望ま
しい。好ましくは、電荷輸送層における露光に用いる光
の透過率は50%以上である。より好ましくは70%以
上であり、さらに好ましくは90%以上である。しかし
ながら、低感度での使用が望まれる場合には、露光波長
の光に対し吸収のある物質を添加し、実効的な光感度を
調整することもできる。
【0071】本発明においては、感光層の上に必要に応
じて保護層を設けてもよい。該保護層は帯電部材から発
生するオゾンや酸化性ガス等、紫外光、および中間転写
部材からの移着物等の化学的ストレス、あるいは、現像
剤、紙、中間転写部材、クリーニング部材等との接触に
起因する機械的ストレスから感光層を保護し、感光層の
実質の寿命を改善するために有効である。
【0072】保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中
に含有させて形成される。導電性材料としては、例えば
ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、酸化アンチ
モン、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、IT0
等の金属酸化物等の材料を用いることができる。結着樹
脂としては、ポリアミド、ウレタン樹脂、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリルア
ミド、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹
脂、エボキシ樹脂等の公知の樹脂を用いることができ
る。また、アモルファスカーボン等の半導電性無機膜も
保護層として用いることができる。
【0073】これらの抵抗制御型の保護層における電気
抵抗は109〜1014Ω・cmの範囲内にあることが必要
である。電気抵抗がこの範囲以上になると残留電位が増
加し、他方、この範囲以下になると沿面方向での電荷漏
洩が無視できなくなり、解像度の低下が生じてしまう。
保護層の膜厚は0.5〜20μmが適当であり、好まし
くは1〜10μmの範囲に設定される。また、保護層を
設けた場合、必要に応じて、感光層と保護層との間に、
保護層から感光層への電荷の漏洩を阻止するブロッキン
グ層を設けることができる。このブロッキング層として
は、保護層の場合と同様に公知のものを用いることがで
きる。
【0074】本発明の電子写真感光体においては、オゾ
ンや酸化性ガス、あるいは、光、熱による感光体の劣化
を防止する目的で、各層または最上層中に酸化防止剤、
光安定剤、熱安定剤等を添加することができる。酸化防
止剤としては、公知のものを用いることができ、例え
ば、フェノール類、アミン類、フェニレンジアミン類、
ハイドロキノン類、スピロクマロン類、スピロインダノ
ン類、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
光安定剤としては、公知のものを用いることができ、例
えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカ
ルバメート、テトラメチルピペリジン等およびそれらの
誘導体、または、光励起状態をエネルギー移動あるいは
電荷移動により失活し得る電子吸引性化合物または電子
供与性化合物等が挙げられる。
【0075】本発明の電子写真感光体を搭載する電子写
真装置としては、電子写真法を用いるものであれば如何
なるものでも構わないが、特にデジタル処理された画像
信号に基づき露光を行う電子写真装置が好ましい。デジ
タル処理された画像信号に基づき。露光を行う電子写真
装置とは、レーザーまたはLED等の光源を用い、2値
化またはパルス幅変調や強度変調を行い多値化された信
号に従い露光を行う電子写真装置であり、例としてLE
Dプリンタ、レーザープリンター、レーザー露光式デジ
タル複写機などを挙げることができる。
【0076】本発明の電子写真装置の一例を図3に模式
的に示す。この装置はレーザープリンターであり、円筒
形の感光体ドラム11の周りに残留電荷を除去するため
の除電用LED12、帯電用スコロトロン13、露光用
レーザー光学系14、現像器15、転写用コロトロン1
6およびクリーニングブレード17がこの順序で配置さ
れている。露光用レーザー光学系14は、発信波長78
0nmまたは450nmの露光用レーザーダイオードを
備えており、デジタル処理された画像信号に基づき発光
する。発光したレーザー光14aはポリゴンミラーと複
数レンズ、ミラーにより走査されながら感光体上を露光
するように構成されている。なお、18は用紙を示す。
【0077】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定され
るものではなく、当業者は合成化学、高分子化学および
電子写真技術の公知の知見から、以下の実施例に変更を
加えることが可能である。
【0078】〔合成例1〕N,N’−ビス(p,m−ジ
メチルフェニル)−N,N’−ビス[p−(2−メトキ
シカルボニルエチル)フェニル]−[3,3’−ジメチ
ル1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン3k
g、エチレングリコール9kgおよびテトラブトキシチ
タン25gを、窒素気流下で6時間加熱還流した。0.
5mmHgに減圧しエチレングリコールを留去しながら
235℃に加熱し、さらに6時間反応を続けた。その
後、室温まで冷却し、トルエン30kgを加え生成した
樹脂を溶解させ、0.5μm孔径のPTFEフィルター
にて不溶分を除去した後、メチルチルケトン150kgを
加え、沈降した高分子成分を分別、取得した。これをテ
トラヒドロフラン/イソプロパノールから再沈殿化処理
し、両末端にヒドロキシ基を有する電荷輸送性高分子
2.0kgを得た。得られた電荷輸送性高分子の重量平
均分子量はGPC分析にて、9.8×104(ポリスチ
レン換算)であった。また、分子量10000以下の成
分は、全体の1.1重量%であった。
【0079】上記電荷輸送性高分子500gとトリエチ
ルアミン5gをトルエン1.7Lに溶解し、0℃に冷却
した。ここに、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸
クロリド)100gを加えた。35℃に昇温し、6時間
反応させた。これをメタノールに滴下し、1時間攪拌し
た後に濾別した。さらにトルエン/メタノールによる再
沈殿処理を2回繰り返し、末端にアゾ型重合開始基を有
する電荷輸送性高分子450gを得た。得られた末端に
アゾ型重合開始基を有する電荷輸送性高分子200gを
トルエン4Lに溶解し、スチレン720gとメタクリル
酸60gを加え、窒素置換した後に70℃で100時間
加熱した。これをメタノールに滴下し、沈降した固体を
濾別した。濾液を分析した所、スチレン、メタクリル
酸、およびスチレン−メタクリル酸共重合体が検出され
た。次に、濾別した固体410gを、細かく粉砕し、キ
シレン8.2L中に入れ、24時間攪拌し、不溶分と可
溶分に分別した。1H−NMRスペクトルとGPC分析
の結果、可溶分は未反応の電荷輸送性高分子と電荷輸送
活性ブロックに富むブロック共重合体であり、不溶分が
目的とするブロック共重合体(下記構造式(1))であ
つた。なお、式中、両末端のブロックはスチレンブロッ
ク、メタクリル酸ブロックが任意に結合している状態を
示すものである。
【0080】
【化18】
【0081】H−NMRスペクトルの解析から、目的と
するブロック共重合体の電荷輸送活性ブロックと電荷輸
送不活性ブロックの重量組成比はおよそ30:70であ
った。また、電荷輸送不活性ブロック中のスチレン単位
とメタクリル酸単位の重量比はおよそ80:20であっ
た。なお、酸性基を有する繰り返し単位であるメタクリ
ル酸の単独重合物は、溶解性パラメーター値22(MP
a)1/2のメタノールに10重量%以上可溶である。ま
た、本合成例のブロック共重合体の電荷輸送活性ブロッ
クならびに電荷輸送不活性ブロックと、それぞれ同一構
造を有する上記電荷輸送性高分子とスチレン−メタクリ
ル酸共重合体は互いに非相溶性であり、本実施例のブロ
ック共重合体はミクロ相分離構造を取る。また、本実施
例のブロック共重合体の電荷輸送不活性ブロックと同一
構造を持つスチレン−メタクリル酸共重合体の体積抵抗
率は1014Ω・cm以上であった。
【0082】〔実施例1〕ホーニング処理により粗面化
したアルミニウムドラム上に、ジルコニウムアルコキシ
ド化合物(オルガチックスZC540、マツモト製薬社
製)15重量部、シランカップリング剤(A1100、
日本ユニカー社製)1重量部、ポリビニルブチラール樹
脂(エスレックBM−S、信越化学工業社製)1重量
部、イソプロパノール15重量部、およびn−ブタノー
ル15重量部からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布
し、50℃、85%RHの条件下で10分間加湿処理を
行い、さらに160℃において15分間加熱処理し、膜
厚1.0μmの下引き層を形成した。次にCuKαを線
源とするX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッ
グ角度(2θ±0.5°)が、7.4°、16.6°、
25.5°および28.3°に強い回折ピークを有する
クロロガリウムフタロシアニン微結晶4重量部を、合成
例1で得られた共重合体3重量部、テトラヒドロフラン
30重量部と混合し、ガラスビ一ズとともにペイントシ
ェーク法で5時間分散処理した後、得られた分散液を浸
漬コーティング法で上記、下引き層上に塗布し、100
℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.2μmの電荷
発生層を形成した。
【0083】次に、合成例1で得られた共重合体の電荷
輸送活性ブロックと同一構造を有する電荷輸送性高分子
(重量平均分子量4万)20重量部をp−キシレン80
重量部に溶解した塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーテ
ィング法で塗布し、135℃において1時間加熱乾燥さ
せて、膜厚13μmの電荷輸送層を形成し、図2に示す
層構成の電子写真用感光体を作製した。なお、電荷輸送
層の塗布溶剤として用いたp−キシレンの溶解性パラメ
ータ一値はおよそ、18(MPa)1/2である。このよ
うにして得られた電子写真用感光体に対し、市販のレー
ザープリンタ一(Laser Press4105、富
士ゼロックス社製)を改造した評価装置にて、光電特性
の評価と画質の評価を行った。光電特性の評価において
は、現像器位置に電位計をセットし、発信波長780n
mのレーザーダイオードヘの投入電流を変化させ、露光
強度を段階的に変化させ、その時の電位を計測し、E
50%、残留電位を求めた。画質評価は、1枚目と500
0枚連続印字後の印字サンプルに対して、目視にて行っ
た。評価の結果を表1に示す。尚、光電特性の評価は、
常温常湿(25℃、45%RH)下、画質評価は高温高
湿(30℃、85%RH)下にて行った。
【0084】〔実施例2〕メタクリル酸を用いなかった
以外は合成例1と同様にして、構造式(1)においてn
が0%に対応するブロック共重合体を製造し、それを電
荷発生層材料として用い、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製しようとした所、電荷輸送層の塗布時
に、下層の電荷発生層が一部溶出し、特に浸漬時間の長
い下端部において、膜荒れが認められた。
【0085】そこで、この電荷発生層材料を用い、電荷
輸送層をリング塗布法にて作製し、均一な感光層を形成
し、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実
施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
【0086】〔実施例3〕メタクリル酸の添加量を減ら
し、電荷輸送不活性ブロック中のスチレン単位とメタク
リル酸単位の重量比率を97:3にした以外は合成例1
と同様にして、ブロック共重合体を製造し、それを電荷
発生層材料として用い、実施例1と同様にして電子写真
感光体を作製しようとした所、電荷輸送層の塗布時に、
下層の電荷発生層が一部溶出し、特に浸漬時間の長い下
端部において、膜荒れが認められた。膜荒れの程度は、
前記実施例2よりは軽微であったが、評価には耐えない
ものであった。
【0087】そこで、同じ電荷発生層材料を用い、実施
例2と同様にして電荷輸送層をリング塗布法にて作製し
た以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製
し、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に
示す。
【0088】〔実施例4〕メタクリル酸の添加量を増や
し、電荷輸送不活性ブロック中のスチレン単位とメタク
リル酸単位の重量比率を20:80にした以外は合成例
1と同様にして、ブロック共重合体を製造し、それを電
荷発生層材料として用い、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。評
価結果を表1に示す、
【0089】
【表1】
【0090】表1より明らかなように、本発明の電子写
真用感光体を用いた装置によれば、感度も良好で低い残
留電位が達成され、高画質の画像が得られると共に、繰
り返しに強く、耐久性に優れていることがわかった。ま
た、実施例1と実施例2〜4との対比において、電荷輸
送性ブロックに酸性基を有する繰り返し単位を好ましい
範囲で用いたものは、電荷発生層の塗布性、均一性によ
り優れ、このため、耐久性もさらに向上しうることがわ
かった。
【0091】〔実施例5〕実施例1の電荷発生材料を下
記式(A)で示される多環キノン顔料に代えた以外は実
施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。このよ
うにして得られた電子写真用感光体に対し、市販のレー
ザープリンタ一(Laser Press4105、富
士ゼロックス社製)を改造した評価装置にて、光電特性
の評価と画質の評価を行った。光電特性の評価において
は、現像器位置に電位計をセットし、発信波長450n
mのレーザーダイオードヘの投入電流を変化させ、露光
強度を段階的に変化させ、その時の電位を計測し、E
50%、残留電位を求めた。画質評価は、1枚目と500
0枚連続印字後の印字サンプルに対して、目視にて行っ
た。評価の結果を表2に示す。尚、光電特性の評価は、
常温常湿(25℃、45%RH)下、画質評価は高温高
湿(30℃、85%RH)下にて行った。
【0092】
【化19】
【0093】〔実施例6〕実施例5の電荷発生材料を下
記式(B)で示されるベンゾイミダゾールペリレンに代
えた以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製
し、実施例5と同様にして評価した。評価結果を表2に
示す。
【0094】
【化20】
【0095】〔実施例6〕実施例5の電荷発生材料を下
記式(C)で示されるビスアゾ顔料に代えた以外は実施
例5と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例5と
同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
【0096】
【化21】
【0097】〔比較例1〕実施例5の共重合体をポリビ
ニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、信越化学工
業社製)3重量部、溶剤をシクロヘキサノンに代えた以
外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、実
施例2と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
【0098】〔比較例2〕実施例6の共重合体をポリビ
ニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、信越化学工
業社製)3重量部、溶剤をシクロヘキサノンに代えた以
外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、実
施例5と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
【0099】〔比較例3〕実施例7の共重合体を塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体(UCARソリューションビ
ニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)3重量
部、キシレン67重量部、および酢酸n−ブチル33重
量部に代えた以外は実施例5と同様にして電子写真感光
体を作製し、実施例5と同様にして評価した。評価結果
を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】表2より明らかなように、本発明の電子写
真用感光体を用いた装置によれば、電荷発生材料の種類
に関わらず、いずれも、高い感度と低い残留電位が達成
され、高画質の画像が得られると共に、繰り返しに強
く、長期間高画質が保持され、耐久性に優れていること
がわかった。一方、本発明に係る結着樹脂を用いなかっ
た比較例1、2においては、耐久性に劣り、耐久性の良
好な樹脂を用いた場合、残留電位が上昇し、良好な画像
形成を行うことができなかった。
【0102】
【発明の効果】本発明の電荷輸送性共重合体を電荷発生
層に用いた電子写真感光体は、高性能で且つ耐久性に優
れたものとなるという卓越した効果を奏する。また、本
発明の電荷輸送性共重合体は、積層塗布耐性に優れ、簡
便な浸漬コーティング法によって、積層化が可能である
と云う製造上のメリットをもたらす。特に、可視域に感
度を有する電子写真感光体を使用したデジタル式電子写
真装置は、ビームの小径化に対して利得を有し、優れた
印字品質ならびに画質を長期にわたって実現することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真用感光体の一形態を示す模
式的断面図である。
【図2】 本発明の電子写真用感光体で下引き層を備え
た形態を示す模式的断面図である。
【図3】 デジタル処理された画像信号に基づき露光を
行う本発明の電子写真装置の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生層 3 電荷輸送層 4 下引き層 11 感光体ドラム 12 除電用光源 13 帯電用スコロトロン 14 露光用レーザー光学系 15 現像器、 16 転写用コロトロン 17 クリーニングブレード 18 用紙
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/05 101 G03G 5/05 101 102 102 5/06 347 5/06 347 372 372 377 377 380 380 5/14 101 5/14 101E Fターム(参考) 2H068 AA13 AA14 AA19 AA20 AA21 AA34 AA35 BA36 BA37 BA38 BA43 BB08 BB23 BB49 BB61 BB62 EA14 4J015 AA01 4J026 HA46 HA50 HB06 HB12 HB20 HB22 HB43 HB44 HB45 HE02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送
    層との積層型の感光層を有する電子写真感光体におい
    て、該感光層における電荷発生層の結着樹脂が、電荷輸
    送活性ブロックと電荷輸送不活性ブロックとを有する電
    荷輸送性ブロック共重合体またはグラフト共重合体を含
    有し、該電荷輸送不活性ブロックとして、繰り返し単位
    の単独重合物が溶解性パラメーター値22(MPa)
    1/2以上の溶剤に可溶である特性を有する繰り返し単位
    を含有するものを用いることを特徴とする電子写真感光
    体。
  2. 【請求項2】 前記電荷輸送不活性ブロックに含まれる
    繰り返し単位が、酸性基を有することを特徴とする請求
    項1に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記電荷輸送不活性ブロックに含まれる
    繰り返し単位が、下記一般式(1)で示される構造を有
    することを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光
    体。 【化1】 (式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン
    原子、カルボキシル基、置換もしくは未置換のアルキル
    基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未
    置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアシル基、
    置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または置換もし
    くは未置換のアルコキシカルボニル基を示し、且つR1
    〜R4の少なくとも一つは、カルボキシル基であるかま
    たは置換基としてカルボキシル基を有する。)
  4. 【請求項4】 前記電荷輸送活性ブロックが、下記一般
    式(3)または(4)で示される構造の少なくとも1種
    を繰り返し単位として有することを特徴とする講求項1
    ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光
    体。 【化2】 (式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換もしくは
    未置換のアリール基を示し、X1は芳香族環構造を有す
    る2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を
    示し、X2及びX3はそれぞれ独立に置換もしくは未置換
    のアリーレン基を示し、L1は枝分れもしくは環構造を
    含んでもよい2価の炭化水素基またはへテロ原子含有炭
    化水素基を示し、m及びnは、それぞれ0または1から
    選ばれる整数を意味する。) 【化3】 (式中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換もしくは
    未置換のアリール基を示し、L2は芳香族環構造を有す
    る3価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を
    示す。)
  5. 【請求項5】 前記電荷発生層が、下記一般式(5)、
    (6)及び(7)から選ばれた多環キノン顔料、下記一
    般式(8)で表されるベンゾイミダゾールペリレン、ビ
    スアゾ顔料、フタロシアニン系化合物からなる群より選
    択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請
    求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電子写真
    感光体。 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】
  6. 【請求項6】 前記導電性基体と前記電荷発生層の間
    に、少なくともジルコニウムアルコキシド化合物を用い
    て形成された下引き層を設けたことを特徴とする請求項
    1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光
    体。
  7. 【請求項7】 前記電荷輸送層が電荷輸送性高分子材料
    からなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のい
    ずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 前記請求項1ないし請求項7のいずれか
    1項に記載の電子写真感光体の製造方法であって、 電荷発生層の上に、溶解性パラメーター値22(MP
    a)1/2末満の溶剤を塗布溶剤として用いる浸漬塗布方
    法にて電荷輸送層を形成することを特徴とする電子写真
    感光体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1ないし講求項7いずれか1
    項に記載の電子写真感光体、露光手段、及び現像手段を
    備えたことを特徴とする電子写真装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004117849A (ja) * 2002-09-26 2004-04-15 Canon Inc 電子写真感光体の製造方法
US7740997B2 (en) * 2006-08-08 2010-06-22 Xerox Corporation Photoreceptor including multi-block polymeric charge transport material at least partially embedded within a carbon nanotube material

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