JP2000265026A - 溶解性に優れたポリビニルアルコール粉末 - Google Patents
溶解性に優れたポリビニルアルコール粉末Info
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Abstract
もなりにくく、更には未溶解分もなく水溶性に優れたポ
リビニルアルコール粉末を提供すること。 【解決手段】 粒子径が500〜1000μmの粒子を
20重量%以上、或いは粒子径が850〜1000μm
の粒子を20重量%以上含有させてなる。
Description
リビニルアルコール(以下、PVAと略記する)粉末に
関する。
特異な性能を利用して、分散剤、接着剤、糊剤、フィル
ム等に多用されている。通常、これらの用途において
は、PVAの平均重合度、平均ケン化度、平均粒子径等
をその用途に合うように選択して実用に供されてはいる
ものの、PVA本来の水溶性が優れている方が有利であ
る。かかる水溶性については、本出願人も平均重合度と
平均粒子径に着目して、平均重合度が500以下で、平
均粒子径が30μ以下の微粒状PVAを提案した(特開
平2−225506号公報)。また、最近では、PVA
粉末の粒子内に存在する細孔に注目して、平均径0.1
〜10μmの細孔を0.05〜0.4cc/gの割合で
有するPVA粉末が提案されている(特開平9−316
272号公報)。
微粒状PVAもPVA粉末も実用的な溶解に供したとき
には、粒子が細かすぎてママコ状態になる恐れがあり、
かかるママコにより溶解性が低下することもあり、更な
る改善が望まれるところである。
る現況に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、一般的には粒子
径が小さい方が水溶性が良好であろうと考えられるが、
驚くべきことに特定の粒子径を特定量含有するPVAが
水溶性に優れることを見出したのである。則ち、粒子径
500〜1000μmの粒子を20重量%以上含有す
る、更には粒子径850〜1000μmの粒子を20重
量%以上含有するPVAが通常の溶解方法において、溶
解時のトルク変動が小さく、ママコ状態にもなりにく
く、更には未溶解分も少なく水溶性に優れることを見出
し本発明を完成するに至った。尚、かかる粒子径は、P
VA中の揮発分(水も含む)を10重量%以下とした状
態での値である。通常PVA粉末等は、水の入った溶解
槽に投入されて、加熱しながらパドルやディスクタービ
ン等の攪拌翼が設けられた攪拌装置によって溶解が行わ
れるのであるが、この時の該攪拌装置(攪拌翼)にかか
るトルク変動(上昇率)が小さい方が溶解性に優れるの
である。
明する。本発明のPVAは、通常、酢酸ビニルを重合し
たポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるものである
が、本発明では必ずしもこれに限定されることなく、ポ
リ酢酸ビニルの部分ケン化物あるいは完全ケン化物のみ
ならず、ビニルエステルとそれと共重合しうる単量体、
例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オク
テン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン
類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるい
はその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、ア
クリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレ
ンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン
酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキル
ビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、ジメチルジアリルビニルケトン、N−
ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等との
共重合体ケン化物が挙げられる。
れないが、ケン化度は90モル%以上(更には95.0
〜99.9モル%、特には98.0〜99.9モル%)
が好ましく、かかるケン化度が90モル%未満ではPV
A粒子が水に膨潤して溶解トルクが上昇して好ましくな
く、また平均重合度は300〜3000(更には300
〜2600、特には300〜2000)が好ましく、か
かる平均重合度が300未満ではママコ状態になって溶
解時の攪拌装置のトルク上昇がおこり、逆に3000を
越えると溶解時の溶液の粘度が上昇して溶解が進みにく
くなって好ましくない。
中に含有されるPVAの粒子径を調整することを最大の
特徴とするものである。即ち、PVA粉末中に粒子径5
00〜1000μmの粒子を20重量%以上(更には4
0重量%以上、特には60重量%以上)含有させるこ
と、或いは粒子径850〜1000μmの粒子を20重
量%以上(更には40重量%以上、特には60重量%以
上)含有させることを必須とするものである。
Aを得るに当たっては特に限定されず、例えば、公知の
方法で得られたPVAの粗粒を機械的粉砕法により粉砕
して、更に粒子径を調整することにより得られる。かか
る粗粒の製造法としては、アルコール中で酢酸ビニルを
重合して得られるポリ酢酸ビニルの重合液を、加熱下に
溶剤を追い出し、溶融状態のポリ酢酸ビニルをメタノー
ルと酢酸メチルとの混合溶剤と混合して混合溶液とし、
この混合溶液にアルカリを加えて脱酢酸化を行う方法が
最も有利であるが、これに限定されるものではない。
なく任意の方法が採用され、例えば、ロールミル、スタ
ンプミル、エッジランナー、切断・せん断ミル、ロッド
ミル、自生粉砕機、ローラーミル、高速回転粉砕機(ハ
ンマーミル、ケージミル、ピンミル、ディスインテグレ
ータ、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級ミル
等)、ボールミル(転動ミル、振動ボールミル、遊星ミ
ル)、撹拌ミル(タワーミル、撹拌槽型ミル、流通管型
ミル、アニュラーミル)、ジェットミル、せん断ミル、
圧縮摩砕型粉砕機、コロイドミル等が用いられる。
で、PVA粗粒に対して1〜50重量倍のアルコール
(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、
t−ブチルアルコール等)/酢酸エステル(酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸t−ブチル
等)混合溶媒(アルコール/酢酸エステル=0.1〜1
00重量比)と共に粉砕を行うことも好ましい。粒子径
を調整するにあたっては、特に限定されないが、具体的
には上記の機械的粉砕後にふるい分け機等を用いて分
級する方法、機械的粉砕後に重力分級する方法、機
械的粉砕後に遠心分離機等を用いて分級する方法、機
械的粉砕後に慣性分級する方法等を挙げることができ
る。
分けられるのであるが、この時の分級の粒子径は特に限
定されないが、本発明のPVA粉末を効果的に得るため
には、粒子径が500μm未満、500〜850μm、
850〜1000μm、1000μm越える、等の分級
を行うことが好ましい。次いで、かかる分級されたPV
A粉末から、本発明の条件(粒子径500〜1000μ
mの粒子を20重量%以上、好ましくは粒子径850〜
1000μmの粒子を20重量%以上)を満足するよう
に分級PVA粉末を、所定の割合で混合すれば本発明の
PVA粉末が得られるのである。
であるが、本発明においては、かかるPVA粉末に含有
される酢酸ナトリウムの量(JIS K 6726によ
り測定される)と揮発分(同左)を調整することも好ま
しく、酢酸ナトリウムの含有量は2重量%以下(更には
0.05〜1重量%)が好ましく、かかる含有量が2重
量%を越えると溶解前のPVA粉末が吸湿・凝集して溶
解性が低下したり、溶解液が黄変したりして好ましくな
い。かかる酢酸ナトリウムの含有量の調整に当たって
は、製造されたPVAをメタノールや酢酸メチル(それ
ぞれ水を含有していても良い)等で洗浄することにより
可能である。また、PVA粉末中の揮発分は0.5〜1
0重量%(更には1〜6重量%)が好ましく、かかる含
有量が0.5重量%未満では不溶解分が多くなり、逆に
10重量%を越えると保存時にPVA粒子がブロッキン
グを起こして好ましくない。かかる揮発分の調整に当た
っては、PVA製造時の乾燥条件等の調整により可能で
ある。かくして得られた本発明のPVA粉末は水溶性に
優れ、下記の用途に有用である。
暫定皮膜、ケミカルレース用水溶性繊維、分離機能材
料、水性ゲル
剤、再湿剤、不織布用バインダー、繊維状バインダー、
石膏ボードや繊維板等の各種建材用バインダー、各種粉
体造粒用バインダー、セメントやモルタル用添加剤、ホ
ットメルト型接着剤、感圧接着剤、アニオン性染料の固
着剤
剤、紙の内添サイズ剤、繊維製品用サイズ剤、経糸糊
剤、繊維加工剤、皮革仕上げ剤、塗料、防曇剤、金属腐
食防止剤、メッキ用光沢剤、帯電防止剤、導電剤
維、フイルムその他成型物用添加剤
塩化ビニル、塩化ビニリデンスチレン、(メタ)アクリレ
ート、酢酸ビニル等の各種ビニル化合物の懸濁重合用分
散安定剤
合用乳化剤、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂等疎水
性樹脂、エポキシ樹脂、パラフィン、ビチューメン等の
後乳化剤
向上剤
レート性樹脂、ブチラール化又はホルマール化樹脂
する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断り
のない限り重量基準を示す。
剤としてアゾビイソブチルニトリルを仕込み、系の温度
を60℃に保って反応を行い、6時間経過後に重合を停
止した。この時の最終重合率は、80%であった。次い
で、系にメタノールを加えながら加熱および減圧をして
未反応酢酸ビニルをメタノールに置換して、得られたポ
リ酢酸ビニルのメタノールペーストに酢酸メチルを添加
し常法にてアルカリケン化した。その後固液分離して、
更に乾燥温度80℃で10時間乾燥しPVAの粗粒を得
た。得られたPVAの粗粒は、平均重合度1800、ケ
ン化度99.0モル%、酢酸ナトリウム含有量1.0
%、揮発分4.5%、平均粒子径2500μmであっ
た。
ル(ホソカワミクロン(株)製「フェザミル」)に2.
0mmのスクリーンを装着しフィーダーを用いて100
g/minの割合で粉砕機内に供給した。粉砕後の粒子
を1000μmと850μmおよび500μmのメッシ
ュを装着した振動フルイ機で篩い分けた。各メッシュの
粒子は、下記のホッパーに貯蔵した。 ホッパーA:1000μm上粒子(粒子径1000μm
越える) ホッパーB: 850μm上粒子(粒子径850〜10
00μm) ホッパーC: 500μm上粒子(粒子径500〜85
0μm) ホッパーD: 500μm上粒子(粒子径500μm未
満)
の粒子20部、ホッパーDの粒子20部を定量フィーダ
ーでブレンダー内に供給し縮分して、本発明のPVA粉
末(粒子径500〜1000μmの粒子を80%、粒子
径850〜1000μmの粒子を60%含有)を得た。
得られたPVA粉末の水溶性をブラベンダー社製アミロ
グラフトルメーターを用いて以下のように評価をした。
mlを入れて、75rpmで回転させてトルク検出翼に
かかるトルク値が0になるようにブランク補正した。次
いで、回転しているサンプルボウル内にPVA粉末50
gを投入して、水温を保持しながら30分間攪拌を行
い、その後1.5℃/minの速度で90℃まで昇温し
溶解時のトルクの変動を調べて、その変動比(27〜9
0℃での最大トルク値/30℃で(昇温2分後)のトル
ク値)で評価した。その結果、トルク変動比は2.5と
小さく、良好な水溶性を示した。
メッシュで吸引ろ過し、10℃の水1000mlで洗浄
した。その後、この金網を120℃で3時間乾燥させ
て、乾燥前後の重量変化から未溶解率を定量し、その結
果、未溶解物は0%であり完全に溶解していることを確
認した。
子10部、ホッパーD粒子10部とした以外は同様に行
って、本発明のPVA粉末(粒子径500〜1000μ
mの粒子を90%、粒子径850〜1000μmの粒子
を80%含有)を得た。次いで、実施例1と同様の方法
で溶解性を評価した結果、この時もトルク変動比は2.
0と小さく、良好な水溶性を示した。また、実施例1と
同様の方法で評価した未溶解率の定量も0%であり完全
に溶解していることを確認した。
子30部、ホッパーD粒子20部とした以外は同様に行
って、本発明のPVA粉末(粒子径500〜1000μ
mの粒子を80%、粒子径850〜1000μmの粒子
を50%含有)を得た。次いで、実施例1と同様の方法
で溶解性を評価した結果、この時もトルク変動比は2.
8と小さく、良好な水溶性を示した。また、実施例1と
同様の方法で評価した未溶解率の定量も0%であり完全
に溶解していることを確認した。
子25部、ホッパーD粒子50部とした以外は同様に行
って、本発明のPVA粉末(粒子径500〜1000μ
mの粒子を50%、粒子径850〜1000μmの粒子
を25%含有)を得た。次いで、実施例1と同様の方法
で溶解性を評価した結果、この時もトルク変動比は4.
5と小さく、良好な水溶性を示した。また、実施例1と
同様の方法で評価した未溶解率の定量も0%であり完全
に溶解していることを確認した。
5部、ホッパーC粒子10部、ホッパーD粒子80部と
した以外は同様に行って、PVA粉末(粒子径500〜
1000μmの粒子を15%、粒子径500〜850μ
mの粒子を10%含有)を得た。次いで、実施例1と同
様の方法で溶解性を評価した結果、この時のトルク変動
比は40.5と大きく、溶解性不良であった。また、実
施例1と同様の方法で評価した未溶解率の定量は、5%
であり溶解性不良であった。
子を特定量含有しているため、溶解時のトルク変動が小
さく、ママコ状態にもなりにくく、更には未溶解分もな
く水溶性に優れるPVAで、前記の如き各種用途に有用
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 粒子径500〜1000μmの粒子を2
0重量%以上含有することを特徴とする溶解性に優れた
ポリビニルアルコール粉末。 - 【請求項2】 粒子径850〜1000μmの粒子を2
0重量%以上含有することを特徴とする溶解性に優れた
ポリビニルアルコール粉末。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7319499A JP2000265026A (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 溶解性に優れたポリビニルアルコール粉末 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7319499A JP2000265026A (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 溶解性に優れたポリビニルアルコール粉末 |
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ID=13511100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7319499A Pending JP2000265026A (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 溶解性に優れたポリビニルアルコール粉末 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000265026A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JPWO2018117246A1 (ja) * | 2016-12-21 | 2019-10-31 | 三菱ケミカル株式会社 | ポリビニルアルコール系樹脂、分散剤及び懸濁重合用分散剤 |
-
1999
- 1999-03-18 JP JP7319499A patent/JP2000265026A/ja active Pending
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JPWO2015186745A1 (ja) * | 2014-06-04 | 2017-04-20 | 株式会社クラレ | ポリビニルアルコール粉体およびその製造方法 |
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