JP2000264186A - 電動式ブレーキ装置 - Google Patents

電動式ブレーキ装置

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JP2000264186A
JP2000264186A JP11068251A JP6825199A JP2000264186A JP 2000264186 A JP2000264186 A JP 2000264186A JP 11068251 A JP11068251 A JP 11068251A JP 6825199 A JP6825199 A JP 6825199A JP 2000264186 A JP2000264186 A JP 2000264186A
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brake
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brake operation
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Takayuki Yamamoto
貴之 山本
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Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】モータを駆動源とするブレーキを備えた車両用
の電動式ブレーキ装置において、一連のブレーキ操作の
初期に、ブレーキ操作に起因しない一時的急変が車体減
速度に生じてブレーキ操作フィーリングが悪化すること
を防止する。 【解決手段】ブレーキ操作値Aから目標減速度G* を求
めるためにブレーキ操作値Aに掛け算される制御ゲイン
kを、一連のブレーキ操作の初期であって、ブレーキク
リアランスの消滅に起因した変化がモータの実駆動力D
に生じる可能性のある期間においては、小値bとなり、
その後は、大値aとなるように変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータを駆動源と
するブレーキを備えた車両用の電動式ブレーキ装置に関
するものであり、特に、そのモータを制御する技術の改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用のブレーキ装置の分野において
は、モータを用いてブレーキを電気的に作動させる電動
式ブレーキ装置が既に知られている。そして、特開平1
0−331876号公報には、次のような電動式ブレー
キ装置が開示されている。それは、(a) ブレーキペダル
等、運転者により操作されるブレーキ操作部材と、(b)
ブレーキ操作部材の操作力,操作ストローク等、操作値
を検出するブレーキ操作値センサと、(c) ブレーキと、
(d) コントローラとを含むように構成されている。
【0003】ブレーキは、電源から供給される電力によ
り駆動されるモータの駆動力(駆動トルクを含む概念)
により摩擦材を、車輪と共に回転する回転体に押し付
け、それにより、その回転体に制動トルクを発生させ、
その発生させられた制動トルクにより車輪を制動するよ
うに構成される。ブレーキはさらに、一連のブレーキ操
作の開始前には摩擦材が回転体に接触しない状態にあ
り、その開始後に回転体に接触する状態に移行するよう
に構成される。ブレーキには、ブレーキパッドを摩擦
材、ディスクを回転体としてそれぞれ備えたディスク式
と、ブレーキライニングを摩擦材、ドラムを回転体とし
てそれぞれ備えたドラム式とがある。
【0004】コントローラは、ブレーキ操作部材の操作
値とモータに供給される信号との間に予め定められた関
係に従い、かつ、ブレーキ操作値センサにより検出され
たブレーキ操作値に基づき、モータを制御するように構
成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発
明の効果】この種の電動式ブレーキ装置においては、一
連のブレーキ操作の初期において、ブレーキ操作値の時
間的な増加勾配がほぼ一定であっても、ブレーキの制動
トルクに一時的な急変が発生してしまい、ブレーキ操作
フィーリングが悪化するおそれがある。以下、その一例
を具体的に説明する。
【0006】この種の電動式ブレーキ装置においては、
ブレーキ制御中、モータがフィードバック制御される場
合がある。この場合、モータの駆動力の実際値である実
駆動力と目標駆動力との差を監視しつつ、その差ができ
る限り早期に0になるように、モータに供給される信号
が決定される。上記フィードバック制御の一例は、比例
制御と微分制御と積分制御とを一緒に行うPID制御で
ある。
【0007】前述のように、ブレーキにおいては、一連
のブレーキ操作の開始前にあっては、摩擦材が回転体か
ら離間させられているため、それら摩擦材と回転体との
間にクリアランス(以下、「ブレーキクリアランス」と
いう)が存在する。そして、一連のブレーキ操作が開始
されると、まず、モータの駆動によってブレーキクリア
ランスが減少させられる。ブレーキクリアランスが存在
するうちは、モータの実駆動力は増加するがその増加量
は少ない。モータが外部から受ける負荷が小さいからで
ある。さらに、ブレーキクリアランスが存在するうちは
もちろん、制動トルクは発生せず、車体減速度も発生し
ない。その後、ブレーキクリアランスが消滅させられる
と、モータが摩擦材から負荷を受けるため、モータの実
駆動力が、ブレーキクリアランスの消滅前におけるより
急な勾配で増加するとともに、制動トルクが発生し、車
体減速度も発生する。
【0008】このように、この電動式ブレーキ装置にお
いては、モータが外部から受ける負荷が、ブレーキクリ
アランスが消滅する後より消滅する前の方が小さい。そ
れにもかかわらず、モータのフィードバック制御を、ブ
レーキクリアランスが消滅する前と後とで同じ規則に従
って実行すると、次のような事態が生じる。
【0009】すなわち、ブレーキクリアランスが消滅す
る前においては、モータの負荷が小さいため、モータの
実駆動力の増加勾配が不足し、そのため、実駆動力が目
標駆動力をやや大きく下回る。その結果、フィードバッ
ク制御により、モータが比較的高速で作動させられ、摩
擦材が回転体に強くかつ高速で衝突させられる。このよ
うにして摩擦材が回転体に衝突させられてブレーキクリ
アランスが消滅した直後には、モータの実駆動力の増加
勾配が過大になり、そのため、図7に示すように、時期
1 において制動トルクが急増し、車体減速度も急増す
る。その結果、実駆動力(同図において「実加圧力F」
に対応する)は今度は、目標駆動力(同図において「目
標加圧力F* 」に対応する)をやや大きく上回ることに
なり、そのため、フィードバック制御により、モータの
実駆動力が急減させられ、その結果、同図に示すよう
に、制動トルクが急増から急減に転じ、車体減速度も急
増から急減に転じる。
【0010】このように、一連のブレーキ操作の初期で
あって、摩擦材が回転体に接触しない状態から接触する
状態に移行する際には、その移行に起因する変化すなわ
ち制動トルクの急増および急減が生じる可能性があり、
そのような制動トルクの変化はブレーキ操作フィーリン
グを悪化させる要因となる。そのような制動トルクの変
化は、ブレーキ操作値の時間的変化に起因しない変化を
車体減速度に生じさせることになるからである。
【0011】このような事情を背景として、本発明は、
一連のブレーキ操作の初期において、ブレーキ操作に起
因しない車体減速度の変化が一時的に生じてブレーキ操
作フィーリングが悪化することを抑制することを課題と
してなされたものであり、本発明によって下記各態様が
得られる。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各
項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する
形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴
およびそれらの組合せのいくつかの理解を容易にするた
めであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合
せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではな
い。
【0012】(1) 運転者により操作されるブレーキ操作
部材と、そのブレーキ操作部材の操作値を検出するブレ
ーキ操作値センサと、電力により駆動されるモータの駆
動力により摩擦材を、車輪と共に回転する回転体に押し
付け、それにより、その回転体に制動トルクを発生さ
せ、その発生させられた制動トルクにより車輪を制動す
るブレーキであって、一連のブレーキ操作の開始前には
前記摩擦材が前記回転体に接触しない不接触状態にあ
り、その開始後に回転体に接触する接触状態に移行する
ものと、前記ブレーキ操作部材の操作値と前記モータに
供給される信号との間に予め定められた関係に従い、か
つ、前記ブレーキ操作値センサにより検出されたブレー
キ操作値に基づき、モータを制御するコントローラとを
含む電動式ブレーキ装置において、前記コントローラ
に、前記摩擦材の不接触状態から接触状態への移行に起
因する前記制動トルクの変化が生じる可能性がある期間
からその可能性がない期間に移行するのに応じて、同じ
ブレーキ操作値に対応する前記モータの駆動力と作動速
度との少なくとも一方が増加するように前記ブレーキ操
作値と前記モータに供給される信号との関係を変化させ
る関係変化部を設けたことを特徴とする電動式ブレーキ
装置〔請求項1〕。この電動式ブレーキ装置において
は、一連のブレーキ操作の開始に伴い、摩擦材が回転体
に接触しない不接触状態から接触する接触状態に移行す
るが、同じブレーキ操作値に対応するモータの駆動力と
作動速度との少なくとも一方が、その移行に起因する制
動トルクの変化が生じる可能性がある期間においては小
さくなり、その可能性がない期間においては大きくなる
ように、前記関係が変化させられる。一方、ブレーキ操
作値に対する制動トルクの応答性は、同じブレーキ操作
値に対応するモータの駆動力と作動速度との少なくとも
一方が小さい場合において大きい場合におけるより低下
する。したがって、摩擦材の不接触状態から接触状態へ
の移行に起因して制動トルクが変化する量が、同じブレ
ーキ操作値に対応するモータの駆動力と作動速度との少
なくとも一方が小さい場合において大きい場合における
より少なくて済む。したがって、この電動式ブレーキ装
置によれば、摩擦材の不接触状態から接触状態への移行
に起因する制動トルクの変化が生じることが抑制され
る。すなわち、ブレーキクリアランスの消滅に起因した
車体減速度の変化が抑制されるのであり、その結果、一
連のブレーキ操作の初期においてブレーキ操作フィーリ
ングが悪化することが抑制される。この電動式ブレーキ
装置においては、ブレーキをドラム式としたり、ディス
ク式とすることができる。 (2) 前記関係変化部が、同じブレーキ操作値に対応する
前記モータの駆動力と作動速度との少なくとも一方が増
加するように前記ブレーキ操作値と前記モータに供給さ
れる信号との関係を変化させる時期を、前記摩擦材の摩
耗量に追従して変化させる時期変化手段を含む(1) 項に
記載の電動式ブレーキ装置〔請求項2〕。摩擦材は使用
につれて摩耗するのが一般的であり、また、摩擦材の摩
耗量が多いほどブレーキクリアランスが大きくなる。ま
た、摩擦材の不接触状態から接触状態への移行時期は、
摩擦材の摩耗量によって変化し、具体的には、摩擦材の
摩耗量が大きいほど遅くなる。また、その移行時期が遅
くなれば、それに合わせて、同じブレーキ操作値に対応
するモータの駆動力と作動速度との少なくとも一方が増
加するように前記関係を変化させる時期を遅くすること
が望ましい。このような知見に基づいて本項に記載の電
動式ブレーキ装置がなされたのであり、よって、この電
動式ブレーキ装置によれば、前記関係を変化させる時期
をブレーキクリアンスの実際値との関係において適正化
し得る。 (3) 前記関係変化部が、前記モータの駆動力であるかま
たはそれに関連する量であるモータ駆動力関連量と、そ
のモータ駆動力関連量の時間的変化勾配と、前記モータ
の作動位置であるかまたはそれに関連する量であるモー
タ作動位置関連量と、そのモータ作動位置関連量の時間
的変化勾配との少なくとも一方に基づいて前記関係を変
化させる関係変化手段を含む(1) または(2) 項に記載の
電動式ブレーキ装置。摩擦材が不接触状態から接触状態
に移行する時期においては、モータの駆動力または作動
位置がある値に増加しているのが普通であり、さらに、
その移行の前後で、モータの駆動力または作動位置の変
化勾配が大きく変化するのが普通である。一方、その移
行時期は、同じブレーキ操作値に対応するモータの駆動
力と作動速度との少なくとも一方が増加するように前記
関係を変化させる時期を決定するために利用することが
適当である物理量である。このような知見に基づいて本
項に記載の電動式ブレーキ装置がなされたのであり、よ
って、この電動式ブレーキ装置によれば、摩擦材の不接
触状態から接触状態への移行時期を考慮することによ
り、前記関係を理想的な時期に変化させることが容易に
なる。この電動式ブレーキ装置において「モータの駆動
力に関連する量」は例えば、モータにより摩擦材が回転
体に対して加圧される加圧力とすることができ、また、
「モータの作動位置に関連する量」は例えば、モータに
より駆動される部材(例えば、摩擦材)の作動位置とす
ることができる。 (4) 前記関係変化部が、前記モータの駆動力であるかま
たはそれに関連する量であるモータ駆動力関連量と、そ
のモータ駆動力関連量の時間的変化勾配との少なくとも
一方に基づいて前記ブレーキ操作値と前記モータに供給
される信号との関係を変化させる関係変化手段を含む
(1) または(2) 項に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項
3〕。前記(3) 項に記載の説明から明らかなように、モ
ータ駆動力またはそれの変化勾配は、摩擦材の不接触状
態から接触状態への移行時期を取得するために利用する
ことが適当である物理量である。また、ブレーキがディ
スク式である場合には一般に、モータ駆動力およびそれ
の変化勾配は、モータ作動位置またはそれの変化勾配と
は異なり、ブレーキクリランスによって変化しない。一
方、ブレーキがドラム式である場合には、摩擦材を回転
体から離間させる向きに常時付勢するリターンスプリン
グが用いられるのが普通であるため、ディスク式である
場合とは異なり、ブレーキクリアランスによって変化す
るが、モータ作動位置およびそれの変化勾配におけるほ
どには大きく変化しない。このような知見に基づいて本
項に記載の電動式ブレーキ装置がなされたのであり、よ
って、この電動式ブレーキ装置によれば、ブレーキクリ
アランスの変化に左右されることなく、摩擦材の不接触
状態から接触状態への移行時期を正確に把握可能となる
とともに、その移行時期との関係において前記関係の変
化を容易に適正化し得る。この電動式ブレーキ装置にお
いて「モータの駆動力に関連する量」は例えば、モータ
により摩擦材が回転体に対して加圧される加圧力とする
ことができ、また、「モータの作動位置に関連する量」
は例えば、モータにより駆動される部材(例えば、摩擦
材)の作動位置とすることができる。 (5) 前記関係変化手段が、前記摩擦材が不接触状態から
接触状態に移行したときの前記モータ駆動力関連量を参
照値として取得するとともに、同じブレーキ操作値に対
応する前記モータの駆動力と作動速度との少なくとも一
方が増加するように前記関係を変化させる時期を、前記
取得された参照値に基づいて決定する時期決定手段を含
む(4) 項に記載の電動式ブレーキ装置。この電動式ブレ
ーキ装置において「関係を変化させる時期」は例えば、
取得された参照値に一定値を加算することによって取得
された基準関連量までモータ駆動力関連量が増加した時
期に決定することができる。 (6) 前記時期決定手段が、前記モータ駆動力関連量の時
間的変化勾配を逐次取得するとともに、今回取得した時
間的変化勾配の、前回取得した時間的変化勾配からの変
化量である勾配変化量が基準変化量に増加したときの前
記モータ駆動力関連量を前記参照値に決定する参照値決
定手段を含む(5) 項に記載の電動式ブレーキ装置。 (7) 前記参照値決定手段が、前記モータ駆動力関連量の
増加中に前記勾配変化量が前記基準変化量に増加したと
きの前記モータ駆動力関連量を前記参照値に決定する第
1決定手段を含む(6) 項に記載の電動式ブレーキ装置。 (8) 前記参照値決定手段が、前記モータ駆動力関連量の
減少中に前記勾配変化量が前記基準変化量に増加したと
きの前記モータ駆動力関連量を前記参照値に決定する第
2決定手段を含む(6) または(7) 項に記載の電動式ブレ
ーキ装置。 (9) 前記関係が、前記ブレーキ操作値から前記モータの
駆動力またはそれに関連する量の目標値を求めるために
そのブレーキ操作値に掛け算される制御ゲインである
(1) ないし(8) 項のいずれかに記載の電動式ブレーキ装
置。 (10)前記モータが、相対回転可能なロータおよびステー
タと、そのロータの回転軸線まわりに並んだ複数のコイ
ルとを有するとともに、それら複数のコイルが正回転方
向に順に励磁されれば、モータが前記摩擦材を前記回転
体に接近させる向きの力が増加する一方、それら複数の
コイルが逆回転方向に順に励磁されれば、モータが摩擦
材を回転体から離間させる向きの力が増加するものであ
り、前記コントローラが、ブレーキ操作値の増加中であ
って、前記可能性がない期間のうち前記可能性がある期
間に先行する部分において、前記可能性がない期間にお
いて利用されるものとして予め定められた前記関係に従
い、かつ、前記ブレーキ操作値センサにより検出された
ブレーキ操作値に基づき、前記モータにそれの複数のコ
イルを正回転方向に順に励磁するための第1励磁信号を
供給する第1励磁信号供給部を含み、前記関係変化部
が、前記可能性がある期間において、予め定められた時
間の間、モータにそれの複数のコイルを逆回転方向に順
に、予め定められた電力で励磁するための第2励磁信号
を供給する第2励磁信号供給部を含む(1) 項に記載の電
動式ブレーキ装置〔請求項4〕。この電動式ブレーキ装
置によれば、減速状態にあるモータにより摩擦材が回転
体に接触させられるため、減速状態にないモータにより
接触させられる場合に比較し、摩擦材が回転体に衝突す
る際の強さが軽減される。したがって、この電動式ブレ
ーキ装置によれば、摩擦材の不接触状態から接触状態へ
の移行に起因する制動トルクの変化が生じることが抑制
され、その結果、一連のブレーキ操作の初期においてブ
レーキ操作フィーリングが悪化することが抑制される。
この電動式ブレーキ装置において「電力」は、電圧によ
り表現したり、電流により表現することができる。ま
た、この電動式ブレーキ装置において「ブレーキ」は、
ドラム式としたり、ディスク式とすることができる。 (11)前記第2励磁信号供給部が、前記時間と前記電力と
の少なくとも一方を、前記ブレーキ操作値またはそれに
関連する量と、前記モータの回転速度またはそれに関連
する量との少なくとも一方に基づいて設定する設定手段
を含む(10)項に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項
5〕。摩擦材の不接触状態から接触状態への移行に起因
する制動トルクの変化が生じる可能性がある期間におい
ては、複数のコイルを逆回転方向に順に励磁すること
が、モータを逆転させるためにではなく、減速させるた
めに行われることが望ましい。モータが逆転させられる
と、モータの実駆動力の増加勾配が不足するおそれがあ
るからである。一方、モータの減速量の過不足を防止す
るためには、前記時間と前記電力との少なくとも一方
を、モータの回転速度またはブレーキ操作値すなわちモ
ータの目標駆動力に応じて設定することが望ましい。こ
のような知見に基づいて本項に記載の電動式ブレーキ装
置がなされたのであり、よって、この電動式ブレーキ装
置によれば、モータの減速量をモータの回転速度または
目標駆動力との関係において適正化し得る。この電動式
ブレーキ装置において「ブレーキ操作値に関連する量」
は例えば、モータの駆動力の目標値としたり、モータに
より摩擦材が回転体に対して加圧される加圧力の目標値
としたり、モータの回転位置の目標値とすることができ
る。また、「モータの回転速度に関連する量」は例え
ば、モータにより駆動される部材(例えば、摩擦材)の
作動速度とすることができる。 (12)前記設定手段が、前記時間と前記電力とのいずれか
を、前記モータの回転速度が増加するにつれて増加する
とともに、前記ブレーキ操作値が増加するにつれて増加
するように変化させる手段を含む(11)項に記載の電動式
ブレーキ装置。モータの回転速度が大きいほど、摩擦材
が回転体に強く衝突する傾向が強く、また、ブレーキ操
作値が大きいほど、摩擦材が回転体に強く衝突する傾向
が強い。一方、前記時間が長いほど、モータが大きく減
速させられる傾向が強く、また、前記電力が大きいほ
ど、モータが大きく減速させられる傾向が強い。このよ
うな知見に基づいて本項に記載の電動式ブレーキ装置が
なされたのであり、よって、この電動式ブレーキ装置に
よれば、前記時間または前記電力がモータ回転速度およ
びブレーキ操作値との関係において適正化され、モータ
の減速量も適正化される。 (13)前記第1励磁信号供給部が、前記第1励磁信号の供
給を、一連のブレーキ操作の開始時に開始するものであ
る(11)または(12)項に記載の電動式ブレーキ装置。 (14)前記第2励磁信号供給部が、前記第2励磁信号の供
給を、前記モータの駆動力またはそれに関連する量であ
るモータ駆動力関連量と、そのモータ駆動力関連量の変
化勾配との少なくとも一方に関して予め定められた条件
が成立した時期に開始するものである(11)ないし(13)項
のいずれかに記載の電動式ブレーキ装置。 (15)前記第2励磁信号供給部が、前記第2励磁信号の供
給を、前記ロータの回転速度またはそれに関連する量で
あるロータ回転速度関連量と、そのロータ回転速度関連
量の変化勾配との少なくとも一方に関して予め定められ
た条件が成立した時期に開始するものである(11)ないし
(13)項のいずれかに記載の電動式ブレーキ装置。 (16)前記コントローラが、さらに、(a) 前記ブレーキ操
作部材の操作速度が基準値以上である急ブレーキ操作時
に前記関係変化部が作動することを禁止する作動禁止部
と、(b) 急ブレーキ操作時に、その急ブレーキ操作時に
利用されるものとして予め定められた前記関係に従い、
かつ、前記ブレーキ操作値センサにより検出されたブレ
ーキ操作値に基づき、前記モータを制御する急ブレーキ
操作時制御部とを含む(1) ないし(15)項のいずれかに記
載の電動式ブレーキ装置〔請求項6〕。摩擦材の不接触
状態から接触状態への移行に起因する制動トルクの変化
が生じる可能性がある期間においては、ブレーキ操作値
に対する制動トルクの応答性が、前記関係変化部を作動
させた場合において作動させない場合におけるより低下
する。一方、急ブレーキ操作時において通常ブレーキ操
作時におけるより、制動トルクの応答性を向上させる必
要性が高い。このような知見に基づいて本項に記載の電
動式ブレーキ装置がなされたのであり、よって、この電
動式ブレーキ装置によれば、急ブレーキ操作時に制動ト
ルクの応答性を低下させることなく、通常ブレーキ操作
時にブレーキ操作フィーリングの悪化が防止される。こ
の電動式ブレーキ装置において「ブレーキ」は、ドラム
式としたり、ディスク式とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1には、本発明の第1実施形態である電
動式ブレーキ装置の全体構成が示されている。この電動
式ブレーキ装置は、左右前輪FL,FRと左右後輪R
L,RRとを備えた4輪車両に設けられている。左右前
輪FL,FRにはDCモータを駆動源とするとともに流
体圧を使用しない電動式ディスクブレーキが設けられて
いる。一方、左右後輪RL,RRには、DCモータを駆
動源とするとともに流体圧を使用しない電動式ドラムブ
レーキが設けられている。ただし、本実施形態を通して
本発明を理解するために説明することが特に必要である
のは電動式ドラムブレーキであるため、同図には、左右
後輪の一方に設けられた電動式ドラムブレーキ(以下、
単に「ブレーキ」という)10のみが代表的に示されて
いる。
【0015】電動式ブレーキ装置は、ブレーキ10に加
えて、ブレーキペダル12をブレーキ操作部材として備
えるとともに、図示しない反力付与機構を備えている。
ブレーキペダル12は、車両左右方向に延びる一軸線ま
わりに回動可能に車体に取り付けられている。反力付与
機構は、ブレーキペダル12の操作ストロークに応じた
反力をブレーキペダル12に発生させる。電動式ブレー
キ装置はさらに、ブレーキ操作値センサ14を備えてい
る。ブレーキ操作値センサ14は、ブレーキペダル12
の操作力または操作ストロークをブレーキ操作値として
検出する。ブレーキ操作値センサ14は、ブレーキペダ
ル12の操作力を歪みゲージ等により検出する形式とし
たり、ブレーキペダル12の回動角をロータリポテンシ
ョメータにより検出する形式とすることができる。
【0016】電動式ブレーキ装置はさらに、モータ駆動
力センサ18を備えている。モータ駆動力センサ18に
ついては後に詳述する。
【0017】電動式ブレーキ装置はさらに、電子制御ユ
ニット(以下、「ECU」と略称する)20と、電源と
してのバッテリ22とを備えている。ECU20は、C
PU,ROMおよびRAMを含むコンピュータを主体と
して構成されている。ROMには、図4ないし図6にそ
れぞれにフローチャートで表されているブレーキ制御ル
ーチン,制御ゲイン決定ルーチンおよび参照値決定ルー
チンを始めとして各種ルーチンが記憶されており、それ
らルーチンがCPUによりRAMを使用つつ実行される
ことにより、ブレーキ10が制御される。バッテリ22
は、車両のエンジンの回転により充電させられる。
【0018】図2には、ブレーキ10が拡大されて示さ
れている。
【0019】ブレーキ10は、図示しない車体に取り付
けられた非回転部材としての、ほぼ円板状を成すバッキ
ングプレート200と、内周面に摩擦面202を備えて
車輪と共に回転するドラム204とを備えている。同図
には、車両前進時に車輪が回転するのに伴ってドラム2
04が回転するドラム回転方向が矢印で示されている。
【0020】バッキングプレート200の一直径方向に
隔たった2箇所には、それぞれアンカ部材としてのアン
カピン206と中継リンクとしてのアジャスタ208と
が設けられている。アンカピン206はバッキングプレ
ート200に位置固定に取り付けられている。一方、ア
ジャスタ208はフローティング式とされている。それ
らアンカピン206とアジャスタ208との間には、各
々円弧状を成す一対のブレーキシュー210a,210
bがドラム204の内周面に対面するように取り付けら
れている。一対のブレーキシュー210a,210b
は、シューホールドダウン装置212a,212bによ
ってバッキングプレート200にそれの面に沿って移動
可能に取り付けられている。なお、バッキングプレート
200の中央に設けられた貫通穴には、図示しないアク
スルシャフトが回転可能に突出して設けられるようにな
っている。
【0021】一対のブレーキシュー210a,210b
は、一端部同士がアジャスタ208により相互に接近は
不能、隔離は可能に連結される一方、各他端部がアンカ
ピン206と当接させられており、それにより、各端部
の回りに回動可能に支持されている。一対のブレーキシ
ュー210a,210bの一端部同士は、アジャスタス
プリング214によりアジャスタ208を介して互いに
接近する向きに付勢されている。一方、一対のブレーキ
シュー210a,210bの各他端部は各シューリター
ンスプリング215a,215bによりアンカピン20
6に向かって付勢されている。各ブレーキシュー210
a,210bの外周面にブレーキライニング216a,
216bが保持され、それら一対のブレーキライニング
216a,216bがドラム204の内周面に接触させ
られることにより、それらブレーキライニング216
a,216bとドラム204との間に摩擦力が発生す
る。アジャスタ208は、一対のブレーキライニング2
16a,216bとドラム204との隙間を一対のブレ
ーキシュー210a,210bの摩耗に応じて自動的に
調整する。
【0022】各ブレーキシュー210a,210bはリ
ム220とウェブ222とから構成されており、一対の
ブレーキシュー210a,210bの一方のウェブ22
2には、レバー230がドラム204の回転軸線と交差
する方向に回動可能に取り付けられている。ウェブ22
2にレバー支持部材としてのピン232が位置固定に取
り付けられ、そのピン232にレバー230の一端部が
回動可能に連結されているのである。このレバー230
と他方のブレーキシュー210bとの互いに対向する部
分の切欠きには、力伝達部材としてのストラット236
の両端が係合させられている。このストラット236は
その長さをねじ機構により調節するアジャスト機能を備
えている。
【0023】以上の説明から明らかなように、ブレーキ
10は、車体の前進時にも後退時にも、いずれのブレー
キシュー210a,210bにもセルフサーボ効果が発
生するデュオサーボ型なのである。
【0024】レバー230の他端部(自由端部)にはケ
ーブル240の一端部が連結されている。このケーブル
240は、複数本のワイヤをより合わせて構成されてお
り、フレキシブルである。このケーブル240は、バッ
キングプレート200に取り付けられたシュー拡張アク
チュエータ250により駆動される。シュー拡張アクチ
ュエータ250は、図3に拡大して示すように、DCモ
ータ(以下、単に「モータ」という)251の回転軸に
減速機252の入力軸が連結され、その減速機252の
出力軸に運動変換機構としてのボールねじ機構254の
入力部材が連結されて構成されており、そのボールねじ
機構254の出力部材にケーブル240の他端部が連結
されている。ボールねじ機構254は、モータ251の
回転運動を直線運動に変換する機構である。図において
符号256および258は共にブラケットを示し、ま
た、符号260および262は共に、各ブラケット25
6,258をバッキングプレート200へ取り付けるた
めの取付けボルトを示している。
【0025】ボールねじ機構254は、入力部材として
のおねじ264に出力部材としてのナット266が図示
しない複数個のボールを介して螺合されて構成されてい
る。ナット266は固定部材としてのハウジング267
に回転不能かつ軸方向移動可能に嵌合されている。それ
により、おねじ264の回転運動がナット266の直線
運動に変換される。ナット266の両端部のうちおねじ
264の側とは反対側の端部に出力シャフト268が同
軸に取り付けられている。それらおねじ264,ナット
266および出力シャフト268の相互の摺動部へのダ
ストの侵入が、ハウジング267および伸縮可能なダス
トブーツ270により阻止されている。
【0026】出力シャフト268とケーブル240の他
端部との結合は次のような構成により行われる。すなわ
ち、出力シャフト268の両端部のうちボールねじ機構
254の側とは反対側の端部にケーブル取付け用おねじ
272が形成される一方、ケーブル240の他端部にケ
ーブル取付け用ナット274が結合されている。そのケ
ーブル取付け用ナット274がケーブル取付け用おねじ
272に螺合され、そのケーブル取付け用おねじ272
に回り止め用ナット276が螺合されるとともに、その
回り止め用ナット276がケーブル取付け用ナット27
4に押し付けられることにより、ケーブル取付け用ナッ
ト274の緩みが防止されている。
【0027】以上のように構成されたシュー拡張アクチ
ュエータ250は、ブレーキペダル12の操作時にケー
ブル240に引張力を付与し、それにより、レバー23
0がそれの他端部がブレーキシュー210bから離隔さ
れる向きに回動させられ、その結果、ストラット236
により一対のブレーキシュー210a,210bが拡張
される。
【0028】ブレーキ10は、一対のブレーキシュー2
10a,210bをそれに発生するセルフサーボ効果に
打ち勝って収縮させるのに効果的なシュー収縮機構を備
えている。シュー収縮機構は、本実施形態においては、
図2に示すように、レバー230とバッキングプレート
200との間に張り渡されたリターンスプリング280
とされている。このリターンスプリング280は、ケー
ブル240と同軸に張り渡されるとともに、一端部がレ
バー230の他端部に、他端部がシュー拡張アクチュエ
ータ250のうちの固定部分(例えば、ハウジング,ブ
ラケット等)にそれぞれ係合させられている。したがっ
て、ブレーキペダル12の操作の解除時に、シュー拡張
アクチュエータ250が初期位置に向かって戻されれ
ば、レバー230はリターンスプリング280の圧縮力
によって初期位置に向かって回動させられる。
【0029】前記モータ駆動力センサ18は、レバー2
30に装着されている。モータ駆動力センサ18は、歪
みゲージ方式であり、レバー230に生じた歪みを検出
するとともに、その検出した歪みに基づいてそのレバー
230にモータ251が加えたモータ駆動力Dを検出す
る。
【0030】なお、モータ駆動力センサ18は、他の方
式でモータ駆動力Dを検出するものとすることが可能で
ある。例えば、モータ251に供給された電流を検出す
るモータ電流センサをそのモータ251に設け、かつ、
モータ251に供給された電流と、そのモータ251が
レバー230に加えたモータ駆動力Dとの間に成立する
一定の関係を利用することにより、モータ電流センサに
より検出された電流からモータ駆動力Dを検出すること
が可能なのである。
【0031】以上説明したブレーキ10のモータ251
はECU20のコンピュータにより制御される。以下、
この制御を説明するが、まず、概略的に説明し、次に、
図4ないし図6のフローチャートを参照しつつ具体的に
説明する。
【0032】ECU20は、ブレーキ操作値Aに基づ
き、ブレーキ10により発生させる車体減速度の目標値
である目標減速度G* を決定する。
【0033】ECU20はさらに、モータ251がレバ
ー230を介してブレーキライニング216a,216
bをドラム204に加圧する加圧力の目標値である目標
加圧力F* を決定する。すなわち、ECU20は、その
目標加圧力F* を、決定された目標減速度G* に制御ゲ
インk(係数)を掛け算することにより、決定するので
あり、具体的には、F* =k×G*なる式を用いて決定
する。
【0034】なお、目標減速度G* は、ブレーキ操作値
Aに対応する値であることから、モータ251にとって
入力を意味し、一方、目標加圧力F* は、モータ251
にとって出力を意味する。そして、それら入力と出力と
の比率を表すのが制御ゲインkである。すなわち、本実
施形態においては、制御ゲインkが「関係」を構成して
いるのである。
【0035】ECU20は、一連のブレーキ操作の初期
において制御ゲインkを、小値bから大値aに変化させ
る。以下、このようにする理由を具体的に説明する。
【0036】図7には、一連のブレーキ操作の初期にお
いて制御ゲインkを変化させない場合に、ブレーキ操作
値Aが滑らかに増加するために目標加圧力F* も滑らか
に増加するにもかかわらず実加圧力Fおよび制動トルク
Tに一時的急変が生じる様子が2つのグラフで示されて
いる。それらグラフにおいて「t0 」は、一連のブレー
キ操作が開始された時期を表している。また、「t1
は、ブレーキライニング216a,216bとドラム2
04との間のブレーキクリアランスが消滅し、ブレーキ
ライニング216a,216bがドラム204に接触し
始めた時期を表している。また、「t2 」は、ブレーキ
操作値Aの時間的変化に起因しない変化が実加圧力Fお
よび制動トルクTにそれぞれ発生する可能性がある領域
から、その可能性がない領域に移行する時期を表してい
る。
【0037】このような事実に基づき、ECU20は、
図8にグラフで示すように、ブレーキクリアランスの消
滅に起因した変化が制動トルクTに発生する可能性があ
る領域(時期t0 〜t2 )では、小値bと等しくなり、
その可能性がない領域(時期t2 以後)では、大値aと
なるように変化させられる。その可能性がある領域は、
一連のブレーキ操作の開始時から開始されるとともに、
時期t2 に終了する。
【0038】ECU20は、時期t2 を、モータ251
がレバー230に加える駆動力の実際値である実駆動力
Dが、その時期t2 に取るべき基準値である基準駆動力
00に到達したか否かを判定することによって決定す
る。基準駆動力D00は、時期t 1 における実駆動力Dの
値である参照値D0 に一定増分ΔDを加算することによ
って演算される。参照値D0 は、後に詳述する参照値決
定ルーチンにより決定される。
【0039】ECU20は、さらに、モータ251がレ
バー230に加える駆動力の目標値である目標駆動力D
* を決定する。ところで、レバー230には、モータ2
51からの駆動力に他に、リターンスプリング280の
弾性力がブレーキライニング216a,216bをドラ
ム204から離間させる向きに常時付与されている。こ
のことが図9の(a) にグラフで示されている。このグラ
フは、実駆動力Dがリターンスプリング280の弾性力
0 に到達するまでは、ブレーキクリアランスが存在す
るために、実加圧力Fが0に維持され、弾性力f0 に到
達したときに、ブレーキクリアランスが消滅し、以後、
実加圧力Fが増加することを示している。ECU20
は、このことを考慮して目標駆動力D* を、 D* =F* /α+f0 なる式を用いて決定する。ここに「α」は定数である。
【0040】ブレーキライニング216a,216b
は、その使用により摩耗が生じる。摩耗が生じると、ブ
レーキクリアランスが増加する。このことは、非作用位
置にあるブレーキライニング216a,216bがドラ
ム204に接触するまでにレバー230が回動する角度
が増加することを意味し、さらに、リターンスプリング
280の引張長さが長くなってそれの弾性力f0 が増加
することを意味する。図9の(b) には、摩耗発生前の弾
性力がf0 、摩耗発生後の弾性力がf0 ’でそれぞれ示
されており、摩耗発生後において発生前におけるより弾
性力が増加することが分かる。
【0041】このような事情を考慮し、ECU20は、
参照値D0 を可変値として決定する。具体的には、図8
の(c) にグラフで示すように、ブレーキライニング21
6a,216bがドラム204に接触する前と後とで
は、実駆動力Dの変化勾配mが大きく異なるという事実
に着目することにより、実駆動力Dの変化勾配mを逐次
取得するとともに、今回取得した変化勾配m(i) の、前
回取得した変化勾配m(i -1) からの変化量Δm(i) が基
準値Δm0 を超えたか否かを判定し、超えたときの実駆
動力Dを参照値D0 に決定する。
【0042】ただし、ECU20は、急ブレーキ操作中
である場合には、制御ゲインkを大値aに維持する。制
御ゲインkを小値bにすることは、ブレーキ操作値Aに
対する制動トルクTの応答性が低下し、車体減速度Gの
応答性も低下することを意味する。一方、運転者が急ブ
レーキ操作を行う際には、制動トルクTの応答性が高い
ことが制動距離短縮の観点から望ましい。よって、急ブ
レーキ操作中である場合には、制御ゲインkが大値aに
維持され、これにより、本来のブレーキの機能が損なわ
れることがないようにされている。すなわち、本実施形
態においては、大値aは、急ブレーキ操作時に利用され
るものとして予め定められた「関係」でもあるのであ
る。
【0043】ECU20は、さらにまた、モータ251
に供給すべき制御電圧(これが「信号」の一例である)
を決定する。モータ制御電圧は、フィードバック制御方
式の一例であるPID制御方式により決定される。その
ため、ECU20は、モータ駆動力センサ18により実
駆動力Dを検出し、その検出された実駆動力Dと、上記
決定された目標駆動力D* との差に基づき、モータ制御
電圧を決定する。
【0044】次に、ブレーキ制御ルーチンを図4に基づ
いて具体的に説明する。
【0045】本ルーチンは、車両の走行開始指令スイッ
チとしてのイグニションスイッチがOFFからONに操
作された後、繰返し実行される。各回の実行時には、ま
ず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のス
テップについても同じ)において、所定のイニシャル処
理が行われる。このイニシャル処理は、モータ251を
制御するために必要な初期値をROMからRAMに転送
する処理を含んでいる。次に、S2において、所定時間
が経過するのが待たれる。本ルーチンが一定の周期(例
えば、5ms)で実行されるようにするためである。所定
時間が経過したならば、S2の判定がYESとなり、S
3において、入力処理が行われる。この入力処理は、ブ
レーキ操作値センサ14からブレーキ操作値Aを入力す
る処理と、モータ駆動力センサ18から実駆動力Dを入
力する処理とを含んでいる。その後、S4において、目
標加圧力F* が演算される。
【0046】このS4の詳細が目標加圧力演算ルーチン
として図10にフローチャートで表されている。
【0047】本ルーチンにおいては、まず、S11にお
いて、前記入力されたブレーキ操作値Aに基づいて目標
減速度G* が決定される。ECU20のコンピュータの
ROMには、ブレーキ操作値Aが変化するにつれて目標
減速度G* が変化する関係がテーブル,マップ等の形態
で記憶されており、その関係に従い、今回のブレーキ操
作値Aに対応する今回の目標減速度G* が決定される。
その関係は例えば、ブレーキ操作値Aが増加するにつれ
てリニアに目標減速度G* が増加するように設定され
る。
【0048】その後、S12において、RAMに記憶さ
れている制御ゲインkが読み込まれる。制御ゲインk
は、後述の制御ゲイン決定ルーチンにより決定されて記
憶される。
【0049】続いて、S13において、目標駆動力D*
が、その読み込まれた制御ゲインkと、前記決定された
目標減速度G* との積として決定される。
【0050】以上でS4の実行が終了し、続いて、図4
のS5において、モータ制御電圧が演算される。このS
5の詳細が図11にモータ制御電圧演算ルーチンとして
フローチャートで表されている。
【0051】本ルーチンにおいては、まず、S21にお
いて、前記定数αと弾性力f0 とが前記コンピュータの
ROMから読み込まれるとともに、それら定数αおよび
弾性力f0 と、前記演算された目標加圧力F* とを、前
述の、目標駆動力D* を算出する式に代入することによ
り、目標駆動力D* が演算される。次に、S22におい
て、その演算された目標駆動力D* と、前記入力された
実駆動力Dとの差に基づき、PID制御方式により、モ
ータ制御電圧が演算される。
【0052】以上でS5の実行が終了し、続いて、図4
のS6において、出力処理が行われる。この出力処理
は、上記演算されたモータ制御電圧をモータ251に出
力する処理を含んでいる。以上でこのブレーキ制御ルー
チンの一回の実行が終了する。
【0053】次に、制御ゲイン決定ルーチンを図5に基
づいて具体的に説明する。
【0054】本ルーチンも、イグニションスイッチがO
FFからONに操作された後、繰返し実行される。各回
の実行時には、まず、S31において、ブレーキ操作値
センサ14からブレーキ操作値Aが入力される。次に、
S32において、現在、急ブレーキ操作中であるか否か
が判定される。具体的には、ブレーキ操作値Aの今回値
(i) の前回値A(i-1) からの変化量ΔAが正のしきい
値ΔA0 より大きいか否かが判定され、大きい場合には
急ブレーキ操作中であると判定され、大きくない場合に
は急ブレーキ操作中ではなく、通常ブレーキ操作中であ
ると判定される。今回は、急ブレーキ操作中であると仮
定すれば、判定がYESとなり、S33ないしS35が
スキップされ、S37において、制御ゲインkが大値a
に設定されるとともに、それがRAMに記憶される。以
上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0055】これに対して、今回は、急ブレーキ操作中
ではないと仮定すれば、S32の判定がNOとなり、S
33以下に移行する。S33においては、モータ駆動力
センサ18から実駆動力Dが入力され、その後、S34
において、RAMから参照値D0 が読み込まれる。参照
値D0 は、後に詳述する参照値決定ルーチンの実行によ
り決定されてRAMに記憶される。続いて、S35にお
いて、上記入力された実駆動力Dが、参照値D0 と一定
増分ΔDとの和である基準駆動力D00より大きいか否か
が判定される。ブレーキクリアランスの消滅に起因した
変化が制動トルクTに生じる可能性がないか否かが判定
されるのである。今回は、一連のブレーキ操作の開始直
後であるため、実駆動力Dが基準駆動力D00より大きく
はないと仮定すれば、判定がNOとなり、S36におい
て、制御ゲインkが小値bに設定されるとともに、それ
がRAMに記憶される。今回は、ブレーキクリアランス
の消滅前であるため、制御ゲインkが小値bに設定さ
れ、それにより、制動トルクTがブレーキ操作値Aに対
して鈍感に変化するようにされる。その後、S33に戻
る。
【0056】その後、S33ないしS36の実行が繰り
返されるうちに、実駆動力Dが基準駆動力D00より大き
くなったと仮定すれば、S35の判定がYESとなり、
S37において、制御ゲインkが大値aに設定されると
ともに、それがRAMに記憶される。ブレーキクリアラ
ンスの消滅に起因した変化が制動トルクT に生じる可能
性がない状態に移行したため、制御ゲインkが増加させ
られるのであり、このことは、制御ゲインkが正規値に
復帰させられることとして把握することが可能である。
以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0057】次に、参照値決定ルーチンを図6に基づい
て具体的に説明する。
【0058】本ルーチンもイグニションスイッチがOF
FからONに操作された後、繰返し実行される。各回の
実行時には、まず、S51において、ブレーキ操作値A
の増加中であるか否かが判定される。本ルーチンは、ブ
レーキ操作値Aの増加中である場合に限り、実駆動力D
の変化勾配に基づいて参照値D0 を決定するように設計
されているからである。ブレーキ操作値Aの増加中であ
るか否かは、ブレーキ操作値Aの今回値A(i) から前回
値A(i-1) を引き算した値ΔAを考慮することにより判
定され、その値ΔAが正であれば、増加中であると判定
され、正でなければ、増加中ではないと判定される。今
回は、ブレーキ操作値Aの増加中ではないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、直ちに本ルーチンの一回の実行
が終了するが、今回は、ブレーキ操作値Aの増加中であ
ると仮定すれば、判定がYESとなり、S52以下に移
行する。
【0059】S52においては、所定時間が経過するの
が待たれる。本ルーチンが一定の周期Δt(例えば、5
ms)で実行されるようにするためである。所定時間が経
過したならば、S52の判定がYESとなり、S53に
おいて、モータ駆動力センサ18から実駆動力Dが入力
されるとともに、それが今回値D(i) とされる。その
後、S54において、実駆動力Dの変化勾配mが演算さ
れるとともに、それが今回値m(i) とされる。変化勾配
の今回値m(i) は、実駆動力Dの今回値D(i) と、RA
Mから読み出された前回値D(i-1) との差に基づき、か
つ、 m(i) =(D(i) −D(i-1) )/Δt なる式を用いて演算される。
【0060】なお、前回値D(i-1) は、後述のS56に
よりRAMに記憶されることになるが、そのS56の初
回の実行前においては、前記イニシャル処理によりRO
MからRAMに転送された初期値、すなわち、0が使用
される。このことは、前回値m(i-1) についても同様で
ある。
【0061】続いて、S55において、変化勾配mの今
回値m(i) の、RAMから読み出された前回値D(i-1)
からの変化量Δmの絶対値が基準値Δm0 より大きいか
否かが判定される。実駆動力Dの変化勾配mが大きく変
化したか否かが判定されるのである。今回は、変化量Δ
mの絶対値が基準値Δm0 より大きくはないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、S56において、今回値D(i)
が前回値D(i-1) としてRAMに記憶される。続いて、
S57において、今回値m(i) が前回値m(i-1 ) として
RAMに記憶される。その後、S52に戻る。
【0062】その後、S52ないしS57の実行が繰り
返されるうちに、変化量Δmの絶対値が基準値Δm0
り大きくなれば、S55の判定がYESとなり、S58
において、最新の参照値D0 が前回値D(i-1) に決定さ
れる。続いて、S59において、RAMに記憶されてい
る参照値D0 が、その最新の参照値D0 と等しくなるよ
うに更新される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了
する。
【0063】図12には、本実施形態の効果が3つのグ
ラフで示されている。それらグラフから明らかなよう
に、本実施形態によれば、一連のブレーキ操作の初期に
おいて、ブレーキクリアランスの消滅に起因した一時的
急変が実加圧力Fに発生せずに済み、その結果、制動ト
ルクTにもそのような一時的急変が発生せずに済む。そ
れにより、ブレーキ操作フィーリングがブレーキクリア
ランスの消滅に起因して悪化することが抑制される。
【0064】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ECU20が「コントローラ」を構成
し、ECU20のうち図5の制御ゲイン決定ルーチンを
実行する部分が「関係変化部」を構成し、ECU20の
うち図5のS34を実行する部分と、図6の参照値決定
ルーチンを実行する部分とが互いに共同して「時期変化
手段」を構成しているのである。また、ECU20のう
ち図5のS33ないしS37を実行する部分がモータ駆
動力センサ18と共同して「関係変化手段」を構成し、
ECU20のうち図5のS31およびS32を実行する
部分がブレーキ操作値センサ14と共同して「作動禁止
部」を構成し、同図のS37を実行する部分が「急ブレ
ーキ操作時制御部」を構成しているのである。
【0065】次に、本発明の第2実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、第1実施形態と、参照値決定ル
ーチンのみが異なり、他の要素については共通であるた
め、共通する要素については同一の符号を使用すること
によって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ
詳細に説明する。
【0066】第1実施形態においては、実駆動力Dの増
加中に参照値D0 が決定されるが、本実施形態において
は、実駆動力Dの減少中に参照値D0 が、第1実施形態
におけると同じ原理により、決定される。
【0067】ブレーキペダル12の操作が終了し、その
結果、ブレーキ操作値Aが0に減少すると、図8の(c)
のグラフを用いて説明すれば、ブレーキライニング21
6a,216bが時期t3 において、ドラム204に接
触する状態から接触しない状態に移行する。図8の(c)
のグラフには、時期t3 より手前の期間においては、ブ
レーキライニング216a,216bがドラム204に
接触している状態にあるため、実駆動力Dが大きな勾配
で減少するのに対して、時期t3 より後の期間において
は、ブレーキライニング216a,216bがドラム2
04に接触しない状態にあるため、実駆動力Dが小さい
勾配で減少する。そして、時期t3 が、ブレーキライニ
ング216a,216bがドラム204から離間し始め
た時期であり、ブレーキクアリンランスが発生し始めた
時期でもある。このように、時期t3 の前後では、時期
1 の前後におけると同様に、実駆動力Dの変化勾配m
が大きく異なっている。このような事実に着目すること
により、本実施形態においては、実駆動力Dの減少中に
参照値D0 が決定される。
【0068】図13には、本実施形態である電動式ブレ
ーキ装置のECUのコンピュータにより実行される参照
値決定ルーチンがフローチャートで表されている。本ル
ーチンは、図6のルーチンと同様に、イグニションスイ
ッチがOFFからONに操作された後、繰返し実行され
る。各回の実行時には、まず、S81において、一連の
ブレーキ操作が終了したか否かが判定される。一連のブ
レーキ操作の終了は、ブレーキ操作値Aが0でない値か
ら0に減少したこととして検出したり、ブレーキ操作を
検出しないときにはOFF、検出したときにはONに変
化するブレーキスイッチの信号がOFFからONに変化
したこととして検出することができる。今回は、一連の
ブレーキ操作が終了してはいないと仮定すれば、判定が
NOとなり、直ちに本ルーチンの一回の実行が終了す
る。これに対して、今回は、一連のブレーキ操作が終了
したと仮定すれば、判定がYESとなり、S82以下が
実行される。なお、S82以下のステップは、図6にお
けるS53以下のステップと同様であるため、説明を省
略する。
【0069】本実施形態においては、各回の一連のブレ
ーキ操作の末期において参照値D0が決定される。した
がって、各回の一連のブレーキ操作において参照値D0
が決定されるのを待っていたのでは、同じ回の一連のブ
レーキ操作の初期において制御ゲインkを変化させるタ
イミングを決定することができない。一方、本実施形態
においては、制御ゲインkを変化させるタイミングは、
RAMから最新の参照値D0 を読み出してその値を利用
することによって決定される。したがって、本実施形態
においては、今回の一連のブレーキ操作の初期において
制御ゲインkが変化させられるタイミングが、前回の一
連のブレーキ操作の末期において決定された最新の参照
値D0 を用いて決定されることになる。
【0070】一連のブレーキ操作の初期であって、実駆
動力Dが0から増加させられる期間においては、その増
加勾配が、各回のブレーキ操作ごとに異なる傾向が強い
のに対して、一連のブレーキ操作が終了した後において
は、実駆動力Dの減少勾配が、各回のブレーキ操作ごと
に異なる傾向が弱い。一連のブレーキ操作の終了後に
は、ブレーキペダル12を非操作位置に付勢する図示し
ないリターンスプリングの弾性力によってブレーキペダ
ル12が非操作位置に復帰させられ、そのため、実駆動
力Dの減少勾配が依存するブレーキ操作値Aの減少勾配
が運転者に依存しないからである。したがって、ブレー
キクリアランスが回復し始める時期は、ブレーキクリア
ランスが消滅した時期より高い精度で検出可能であり、
よって、本実施形態によれば、参照値D0 を、第1実施
形態におけるより高い精度で決定可能である。
【0071】なお付言すれば、本実施形態においては、
一連のブレーキ操作の末期においてのみ参照値D0 が決
定され、また、第1実施形態においては、一連のブレー
キ操作の初期においてのみ参照値D0 が決定されるが、
同じ回の一連のブレーキ操作の初期と末期との双方にお
いて参照値D0 をそれぞれ暫定値として決定し、それら
2個の暫定値を総合的に考慮した値、例えば、それらの
平均値を最終値として決定することが可能である。
【0072】次に、本発明の第3実施形態を説明する。
【0073】図14には、第3実施形態である電動式ブ
レーキ装置の全体構成が示されている。この電動式ブレ
ーキ装置は、第1実施形態と同様に、左右前輪FL,F
Rと左右後輪RL,RRとを備えた4輪車両に設けられ
ている。左右前輪FL,FRにはDCモータを駆動源と
するとともに流体圧を使用しない電動式ディスクブレー
キが設けられている。一方、左右後輪RL,RRには、
DCモータを駆動源とするとともに流体圧を使用しない
電動式ドラムブレーキが設けられている。ただし、本実
施形態を通して本発明を理解するために説明することが
特に必要であるのは電動式ディスクブレーキであるた
め、同図には、左右前輪の一方に設けられた電動式ディ
スクブレーキ(以下、単に「ブレーキ」という)300
のみが代表的に示されている。
【0074】電動式ブレーキ装置は、第1実施形態と同
様に、ブレーキ300に加えて、ブレーキペダル12
と、図示しない反力付与機構と、ブレーキ操作値センサ
14とを備えている。さらに、電動式ブレーキ装置は、
モータ駆動力センサ304とモータ回転速度センサ30
6とを備えているが、それらについては後に詳述する。
【0075】電動式ブレーキ装置はさらに、電子制御ユ
ニット(以下、「ECU」と略称する)308と、電源
としてのバッテリ310とを備えている。ECU308
は、CPU,ROMおよびRAMを含むコンピュータを
主体として構成されている。ROMには、図17にフロ
ーチャートで表されているブレーキ制御ルーチンを始め
として各種ルーチンが記憶されており、それらルーチン
がCPUによりRAMを使用つつ実行されることによ
り、ブレーキ300が制御される。バッテリ310は、
車両のエンジンの回転により充電させられる。
【0076】図15には、ブレーキ300が拡大されて
示されている。
【0077】このブレーキ300は、DCモータ(以
下、単に「モータ」という)312を駆動源として備え
ている。モータ312は、ステータ314とロータ31
6とが同軸に相対回転可能に配置されて構成されてい
る。ステータ314は、ロータ316の周方向に並んだ
複数のコイル318がコア320に巻き付けられて構成
されている。これに対して、ロータ316は、周方向に
おいてN極とS極とに交互に着磁された永久磁石322
をステータ314に対向する位置に備えている。
【0078】このブレーキ300は、さらに、(a) 車輪
と共に回転するディスク(回転体)330と、(b) その
ディスク330の両側においてディスク330を挟むよ
うに配置された一対のブレーキパッド(摩擦材)332
a,332bと、(c) ディスク330を跨いでそれら一
対のブレーキパッド332a,332bを保持するキャ
リパ334とを備えている。キャリパ334は図示しな
い固定部材に、ディスク330に対してそれの軸線方向
に摺動可能に取り付けられる。このキャリパ334に
は、一方のブレーキパッド332aに背後から係合する
リアクション部336と、他方のブレーキパッド332
bに背後から係合する押圧ロッド340(加圧部材)
を、それの軸線方向に移動可能に支持する押圧部342
とが形成されている。その押圧部342にモータ312
が内蔵されている。
【0079】このブレーキ300においては、モータ3
12の回転力が、回転運動を直線運動に変換する運動変
換機構の一例であるローラねじ機構350を経て押圧ロ
ッド340に伝達される。ローラねじ機構350は、国
際公開明細書WO96/03301に開示されたローラ
ねじ機構や、特開平10−159931号公報に記載さ
れたローラねじ機構と類似するため、簡単に説明する。
【0080】ローラねじ機構350は、ロータ316と
一体的に回転するナット352と、そのナット352の
内側に同軸に配置されたねじシャフト354とを備えて
いる。本実施形態においては、ナット352がキー35
5によりロータ316と結合されている。また、ナット
352は押圧部342により、複数個のベアリング35
6,358を介して回転可能に支持されている。ローラ
ねじ機構350は、さらに、それらナット352とねじ
シャフト354との間においてそれらとかみ合わされる
複数本のねじローラ360を備えている。それら複数本
のねじローラ360は図示しないリテーナ(ケージ)に
保持され、それにより、それらねじローラ360はねじ
シャフト354に対して、それと平行な姿勢で、かつ、
周方向において互いに等間隔な位置において回転可能と
されている。ナット352のねじ面には、それと同軸に
延びる溝(図示しない)が形成されている。ナット35
2とねじシャフト354とが相対回転すれば、ねじロー
ラ360がナット352内を公転し、それに伴って、ね
じローラ360が軸線方向に移動する。ねじローラ36
0がナット352内を公転して上記溝に嵌入すれば、ね
じローラ360がナット352とねじシャフト354と
の双方から離脱する。離脱したねじローラ360は、ナ
ット352に固定の戻し部材(図示しない)によって元
の軸方向位置に戻され、再びナット352とねじシャフ
ト354との間に入り込んで公転を開始する。ねじシャ
フト354は押圧ロッド340と一体に形成されてい
る。その結果、ナット352の回転運動がねじシャフト
354および押圧ロッド340の直線運動に変換され
る。
【0081】前記モータ駆動力センサ304は、押圧ロ
ッド340の先端部に装着されている。モータ駆動力セ
ンサ304は、押圧ロッド340がブレーキパッド33
2bを押圧する力を実駆動力Dとして検出する。ブレー
キ300においては、第1実施形態におけるブレーキ1
0とは異なり、レバー230に相当する押圧ロッド34
0をディスク330から離間させる向きに常時付勢する
リターンスプリングが設けられてはいない。よって、モ
ータ駆動力センサ304により検出される実駆動力D
は、モータ312によりブレーキパッド332aがディ
スク330に加圧される実加圧力と実質的に一致する。
【0082】前記モータ回転速度センサ306は、ロー
タ316の回転位置を検出するセンサとして構成されて
いる。具体的には、モータ回転速度センサ306は、図
16に示すように、複数個の永久磁石386と、少なく
とも1個の磁気検出素子としての複数個のホール素子3
88とを備えている。本実施形態においては、複数個の
永久磁石386がロータ316にそれと同軸な一円周に
沿って等間隔で取り付けられ、一方、複数個のホール素
子388が、キャリパ334に、複数個の永久磁石38
6に少ない隙間を隔てて対向する位置において取り付け
られている。
【0083】以上説明したブレーキ300のモータ31
2はECU308のコンピュータにより制御される。以
下、この制御を説明するが、まず、概略的に説明し、次
に、図17のフローチャートを参照しつつ具体的に説明
する。
【0084】ECU308は、第1実施形態と同様にし
て、ブレーキ操作値Aに応じて目標減速度G* を決定
し、さらに、その決定した目標減速度G* と制御ゲイン
kとの積として目標加圧力F* を決定する。ただし、第
1実施形態とは異なり、制御ゲインkは常に一定とされ
る。したがって、本実施形態においては、目標加圧力F
* がブレーキ操作値Aに相当する物理量であるというこ
とができる。
【0085】ECU308は、さらに、目標駆動力D*
を、 D* =F* /β なる式を用いて決定する。ここに「β」は定数である。
【0086】ブレーキ300は、第1実施形態における
ブレーキ10とは異なり、レバー230に相当する押圧
ロッド340をディスク330から離間する向きに常時
付勢するリターンスプリングを備えていない。そのた
め、何ら対策を講じないと、ブレーキ操作が解除された
後であってもブレーキパッド322a,322bがディ
スク330に接触し続ける現象、いわゆるブレーキの引
きずりが生じるおそれがある。そこで、本実施形態にお
いては、モータ312を制御するモードとしてモータ逆
転モードが設定されるとともに、ブレーキ操作が解除さ
れた場合には、モータ逆転モードに移行してモータ31
2が逆転させられ、それにより、押圧ロッド340が初
期位置に復帰させられてブレーキクリアランスが回復さ
せられる。
【0087】本実施形態においては、一連のブレーキ操
作中、制御ゲインkが変化させられない。そのため、何
ら対策を講じないと、一連のブレーキ操作の初期に、ブ
レーキパッド322a,322bがディスク330に強
く衝突し、その結果、ブレーキ操作値Aの時間的変化に
起因しない一時的急変がブレーキ300の制動トルクT
に生ずるおそれがある。ブレーキパッド322a,32
2bとディスク330との間のブレーキクリアランスの
消滅に起因した変化がブレーキ300の制動トルクTに
生じるおそれがあるのである。
【0088】そこで、本実施形態においては、ブレーキ
操作の解除前であっても、そのような一時的急変が生じ
る可能性がある期間においては、モータ逆転モードに移
行させられ、それにより、ブレーキパッド322a,3
22bがディスク330に衝突することを緩和する衝突
緩和制御が行われる。
【0089】本実施形態においては、ブレーキ操作値A
の時間的変化に起因しない変化が制動トルクTに生じる
可能性が、一連のブレーキ操作の開始時τ0 から発生す
るのではなく、実駆動力Dの増加勾配が一連のブレーキ
操作中に最初に、基準値を超えた時期τ1 から発生する
とともに、その時期τ1 から一定時間が経過した時期τ
2 に消滅すると考えられている。ここに、時期τ1 は、
ブレーキクリアランスが消滅した時期と一致する。
【0090】したがって、ブレーキ操作値Aの時間的変
化に起因しない制動トルクTの変化を防止するためのモ
ータ逆転モードへの移行は、一連のブレーキ操作が開始
されてから少しの時間が経過した後に行われ、よって、
その移行前には、モータ312が正転させられてブレー
キパッド322a,322bがディスク330に接近す
る過程にある。このような状態でモータ逆転モードへ移
行するため、モータ312が直ぐに逆転に転じてしまう
ことはないが、モータ逆転モードの実行時にモータ31
2に供給されるモータ制御電圧Eが高すぎる場合や、モ
ータ逆転モードの連続実行時間、すなわち、衝突緩和制
御時間Δτが長すぎる場合には、モータ312が逆転に
転じてしまう。モータ312が逆転に転じてしまうと、
ブレーキパッド322a,322bがディスク330に
接近することが阻害されてしまう。
【0091】そこで、本実施形態においては、モータ制
御電圧Eの高さと衝突緩和制御時間Δτとの少なくとも
一方が、目標加圧力F* とモータ回転速度Nとの少なく
とも一方に基づいて設定される。
【0092】図20には、モータ制御電圧Eと、モータ
回転速度Nと、衝突緩和制御時間Δτと、目標加圧力F
* との関係の一例がグラフで示され、一方、図21に
は、別の例がグラフで示されている。図20に示す関係
に従えば、モータ制御電圧Eの高さが、モータ回転速度
Nおよび目標加圧力F* とは無関係に一定とされる一
方、衝突緩和制御時間Δτが、モータ回転速度Nが増加
するにつれて増加するとともに、目標加圧力F* が増加
するにつれて増加するように決定される。一方、図21
に示す関係に従えば、衝撃緩和制御時間Δτの長さが、
モータ回転速度Nおよび目標加圧力F* とは無関係に一
定とされる一方、モータ制御電圧Eが、モータ回転速度
Nが増加するにつれて増加するとともに、目標加圧力F
* が増加するにつれて増加するように決定される。
【0093】次に、ブレーキ制御ルーチンを図17のフ
ローチャートを参照しつつ具体的に説明する。ただし、
本ルーチンは図4のブレーキ制御ルーチンと共通するス
テップが多いため、共通するステップについては簡単に
説明し、異なるステップについてのみ詳細に説明する。
【0094】本ルーチンは、図4のルーチンと同様に、
イグニションスイッチがOFFからONに操作された
後、繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S1
01において、前記S1と同様に、イニシャル処理が行
われる。次に、S102において、前記S2と同様に、
所定時間が経過するのが待たれる。所定時間が経過した
ならば、S103において、入力処理が行われる。この
入力処理は、ブレーキ操作値センサ14からブレーキ操
作値Aを入力する処理と、モータ駆動力センサ304か
ら実駆動力Dを入力する処理と、モータ回転速度センサ
306からモータ回転速度Nを入力する処理とを含んで
いる。
【0095】その後、S104において、目標加圧力F
* が演算される。具体的には、まず、ブレーキ操作値A
に応じて目標減速度G* が、第1実施形態と同様にして
決定され、次に、目標加圧力F* が、その決定された目
標減速度G* と固定値である制御ゲインkの積として決
定される。続いて、S105において、モータ制御電圧
Eが演算される。
【0096】このS105の詳細がモータ制御電圧演算
ルーチンとして図18にフローチャートで表されてい
る。
【0097】本ルーチンにおいては、まず、S121に
おいて、衝突緩和制御の実行中であるか否かが判定され
る。具体的には、RAMに設けられたフラグであって、
OFFで衝突緩和制御中ではないことを示し、ONで衝
突緩和制御中であることを示す衝突緩和制御中フラグが
ONであるか否かが判定される。今回は、一連のブレー
キ操作の開始直後であると仮定すれば、衝突緩和制御が
実行されてはいないため、判定がNOとなり、S122
に移行する。
【0098】S122においては、実加圧力Fの今回値
(i) と前回値(i-1) との差が基準値より大きいか否か
を判定することにより、実加圧力Fの立ち上がりエッジ
が発生したか否かが判定される。実加圧力Fは、モータ
駆動力センサ304により検出された実駆動力Dで代用
される。このS122は、ブレーキパッド322a,3
22bがディスク330に接触した直後であるか否かを
判定するステップであると考えることができる。今回
は、一連のブレーキ操作の開始直後であるため、実加圧
力Fの立ち上がりエッジが発生してはいないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、S123に移行する。
【0099】このS123の詳細が基本制御ルーチンと
して図19にフローチャートで表されている。
【0100】本ルーチンにおいては、まず、S141に
おいて、ブレーキ操作が解除されたか否かが判定され
る。例えば、ブレーキペダル12が非操作位置にあれば
OFF、操作位置にあればONに信号が変化するストッ
プスイッチ(図示しない)からの信号がONからOFF
に変化した直後であるか否かが判定され、そうであれ
ば、ブレーキ操作が解除されたと判定される。今回は、
ブレーキ操作が解除されてはいないと仮定すれば、判定
がNOとなり、S142において、目標駆動力D*が、
目標加圧力F* に基づいて前述のようにして演算され
る。その後、S143において、その演算された目標駆
動力D* と、前記入力された実駆動力Dとの差に基づ
き、PID制御方式により、モータ制御電圧Eが演算さ
れる。このとき、モータ制御電圧Eは、目標駆動力D*
と実駆動力Dとの差と、モータ制御電圧Eとの間の関係
であって、ブレーキパッド322a,322bがディス
ク330に接触することに起因する変化が制動トルクT
に生じる可能性がない期間において利用されるものとし
て予め定められた関係に従って演算される。以上で本ル
ーチンの一回の実行が終了する。
【0101】これに対して、今回は、ブレーキ操作が解
除された直後であると仮定すれば、S141の判定がY
ESとなり、S144において、モータ制御モードとし
てモータ逆転モードが設定され、その後、S145にお
いて、モータ逆転モードのためのモータ制御電圧Eが設
定される。モータ制御電圧Eは、押圧ロッド340が適
当な速度で初期位置に復帰するのに適当な高さに設定さ
れる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0102】このS143の実行が終了すると、図18
のルーチンの一回の実行が終了する。その後、図17の
S106において、出力処理が行われる。この出力処理
は、モータ逆転モードが設定されていない場合には、モ
ータ312に第1モータ電圧信号が、前記演算されたモ
ータ制御電圧Eの下、複数のコイル318がロータ31
6の正回転方向または逆回転方向に順に励磁されるよう
に出力される。実駆動力Dを増加させることが必要であ
る場合には、複数のコイル318をロータ316の正回
転方向に順に励磁するための第1モータ電圧信号がモー
タ312に出力され、これに対して、実駆動力Dを減少
させることが必要である場合には、複数のコイル318
をロータ316の逆回転方向に順に励磁するための第1
モータ電圧信号がモータ312に出力される。
【0103】これに対して、モータ逆転モードが設定さ
れている場合には、モータ312に第2モータ電圧信号
が、前記演算されたモータ制御電圧Eの下、複数のコイ
ル318がロータ316の逆回転方向に順に励磁される
ように出力される。以上でこのブレーキ制御ルーチンの
一回の実行が終了する。
【0104】本実施形態においては、第1モータ電圧信
号が、複数のコイル318をロータ316の正回転方向
に順に励磁するための信号と、複数のコイル318をロ
ータ316の逆回転方向に順に励磁するための信号とか
ら構成されているが、先の信号のみが「第1励磁信号」
に相当する。
【0105】また、本実施形態においては、第2モータ
電圧信号が、ブレーキ操作の解除を原因として出力され
る場合と、ブレーキクリアランスの消滅に起因した変化
が制動トルクTに生じる可能性があることを原因として
出力される場合とがある。前者の場合には、モータ31
2が逆転させられて押圧ロッド340がディスク330
に対して後退させられるのに対して、後者の場合には、
モータ312が正転状態のまま減速させられる。よっ
て、後者の場合に出力される第2モータ電圧信号のみ
が、「第2励磁信号」に相当する。
【0106】その後、このブレーキ制御ルーチンが何回
か実行され、その結果、図18のS121ないしS12
3の実行が何回か繰り返され、そのうちに、実加圧力F
の立ち上がりエッジが発生したと仮定すると、S122
の判定がYESとなり、S124以下に移行する。
【0107】S124においては、衝突緩和制御中フラ
グがONにされ、その後、S125において、モータ制
御モードとしてモータ逆転モードが設定される。続い
て、S126において、モータ制御電圧Eが設定され、
S127において、衝突緩和制御時間Δτが設定され
る。それらモータ制御電圧Eおよび衝突緩和制御時間Δ
τは、図20または図21に示す関係に従い、前記演算
された目標加圧力F* と、前記入力されたモータ回転速
度Nとに基づいて設定される。以上で本ルーチンの一回
の実行が終了する。
【0108】その後、図17のS106において、出力
処理が実行されれば、今回はモータ逆転モードが設定さ
れているため、モータ312に第2モータ電圧信号(こ
れが「第2励磁信号」の一例である)が、前記演算され
たモータ制御電圧Eの下、複数のコイル318がロータ
316の逆回転方向に順に励磁されるように出力され
る。今回の場合には、その第2モータ電圧信号の出力に
先立ち、ロータ316が正転させられている。したがっ
て、ロータ316はその慣性により、正転し続けようと
する。よって、ロータ316は、ブレーキ操作の解除時
とは異なり、正転から逆転に転じることはなく、正転の
回転速度が減少するのみであり、その結果、ブレーキパ
ッド322a,322bがディスク330に適当に小さ
な速度で衝突することとなる。したがって、本実施形態
によれば、ブレーキクリアランスの消滅に起因した変化
が制動トルクTに生ずることが抑制され、一連のブレー
キ操作の初期においてブレーキ操作フィーリングが悪化
することが抑制される。
【0109】その後、再度、ブレーキ制御ルーチンが実
行され、それのS105において、図18のモータ制御
電圧演算ルーチンが実行されると、S121において、
衝突緩和制御の実行中であるか否かが判定される。今回
は、衝突緩和制御中フラグがONにされているため、判
定がYESとなり、S128において、前記設定された
衝突緩和制御時間Δτが経過したか否かが判定される。
今回は経過してはいないと仮定すれば、判定がNOとな
り、直ちに本ルーチンの一回の実行が終了するが、今回
は経過したと仮定すれば、判定がYESとなり、S12
9において、衝突緩和制御中フラグがOFFにされる。
【0110】したがって、その後、図17のS106が
実行されれば、今回は、衝突緩和制御中フラグがOFF
にされており、このことは、モータ逆転モードの設定が
解除されたことを意味するため、モータ312への第2
モータ電圧信号の出力が停止させられる。
【0111】その後、図18のモータ制御電圧演算ルー
チンが実行されれば、S121の判定はNO、S122
の判定もNOとなり、S123において、図19の基本
制御ルーチンが実行される。モータ312が、一連のブ
レーキ操作の開始直後と同じ状態で制御されることにな
るのである。
【0112】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ECU300が「コントローラ」を構成
し、ECU300のうち図18のS123を実行する部
分がモータ駆動力センサ304と共同して「第1励磁信
号供給部」を構成し、同図のS121,S122,S1
24ないしS129を実行する部分がモータ回転速度セ
ンサ306と共同して「第2励磁信号供給部」を構成し
ているのである。
【0113】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本
発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決
手段および発明の効果〕の項に記載された態様を始めと
して、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を加え
た形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である電動式ブレーキ装
置の全体構成を示す系統図である。
【図2】図1における電動式ドラムブレーキを示す正面
図である。
【図3】図2におけるシュー拡張アクチュエータを拡大
して示す正面図である。
【図4】図1のECUのコンピュータにより実行される
ブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】上記コンピュータにより実行される制御ゲイン
決定ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】上記コンピュータにより実行される参照値決定
ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】一連のブレーキ操作の初期において制御ゲイン
を変化させない場合にブレーキ操作フィーリングが悪化
する様子の一例を示すグラフである。
【図8】図5の制御ゲイン決定ルーチンにより、一連の
ブレーキ操作の初期において制御ゲインkが時間と共に
変化させられる様子を示すグラフである。
【図9】図2の電動式ドラムブレーキにおける実駆動力
Dと実加圧力Fとの関係を説明するためのグラフであ
る。
【図10】図4のS4の詳細を目標加圧力演算ルーチン
として示すフローチャートである。
【図11】図4のS5の詳細をモータ制御電圧演算ルー
チンとして示すフローチャートである。
【図12】上記第1実施形態の効果を説明するためのグ
ラフである。
【図13】本発明の第2実施形態である電動式ブレーキ
装置のECUのコンピュータにより実行される参照値決
定ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態である電動式ブレーキ
装置の全体構成を示す系統図である。
【図15】図14における電動式ディスクブレーキを示
す部分断面正面図である。
【図16】図14におけるモータ回転速度センサを拡大
して示す正面図である。
【図17】図14のECUのコンピュータにより実行さ
れるブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図18】図17のS105の詳細をモータ制御電圧演
算ルーチンとして示すフローチャートである。
【図19】図18のS123の詳細を基本制御ルーチン
として示すフローチャートである。
【図20】図18のモータ制御電圧演算ルーチンが使用
するモータ回転速度と目標加圧力とモータ制御電圧と衝
突緩和制御時間との関係の一例を示すグラフである。
【図21】図18のモータ制御電圧演算ルーチンが使用
するモータ回転速度と目標加圧力とモータ制御電圧と衝
突緩和制御時間との関係の別の例を示すグラフである。
【符号の説明】
10 電動式ドラムブレーキ 12 ブレーキペダル 14 ブレーキ操作値センサ 18,304 モータ駆動力センサ 20,308 電子制御ユニットECU 204 ドラム 216a,216b ブレーキライニング 251,312 DCモータ 300 電動式ディスクブレーキ 306 モータ回転速度センサ 314 ステータ 316 ロータ 318 コイル 330 ディスク 332a,332b ブレーキパッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相澤 博昭 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 3D046 CC06 EE01 HH02 HH52 JJ00 LL14 5H115 PA01 PI16 QE10 QI07 QN03 QN12 QN22 QN23 QN24 SJ13 TO12 TO23 TO30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転者により操作されるブレーキ操作部材
    と、 そのブレーキ操作部材の操作値を検出するブレーキ操作
    値センサと、 電力により駆動されるモータの駆動力により摩擦材を、
    車輪と共に回転する回転体に押し付け、それにより、そ
    の回転体に制動トルクを発生させ、その発生させられた
    制動トルクにより車輪を制動するブレーキであって、一
    連のブレーキ操作の開始前には前記摩擦材が前記回転体
    に接触しない不接触状態にあり、その開始後に回転体に
    接触する接触状態に移行するものと、 前記ブレーキ操作部材の操作値と前記モータに供給され
    る信号との間に予め定められた関係に従い、かつ、前記
    ブレーキ操作値センサにより検出されたブレーキ操作値
    に基づき、モータを制御するコントローラとを含む電動
    式ブレーキ装置において、 前記コントローラに、前記摩擦材の不接触状態から接触
    状態への移行に起因する前記制動トルクの変化が生じる
    可能性がある期間からその可能性がない期間に移行する
    のに応じて、同じブレーキ操作値に対応する前記モータ
    の駆動力と作動速度との少なくとも一方が増加するよう
    に前記ブレーキ操作値と前記モータに供給される信号と
    の関係を変化させる関係変化部を設けたことを特徴とす
    る電動式ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記関係変化部が、同じブレーキ操作値に
    対応する前記モータの駆動力と作動速度との少なくとも
    一方が増加するように前記ブレーキ操作値と前記モータ
    に供給される信号との関係を変化させる時期を、前記摩
    擦材の摩耗量に追従して変化させる時期変化手段を含む
    請求項1に記載の電動式ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】前記関係変化部が、前記モータの駆動力で
    あるかまたはそれに関連する量であるモータ駆動力関連
    量と、そのモータ駆動力関連量の時間的変化勾配との少
    なくとも一方に基づいて前記ブレーキ操作値と前記モー
    タに供給される信号との関係を変化させる関係変化手段
    を含む請求項1または2に記載の電動式ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】前記モータが、相対回転可能なロータおよ
    びステータと、そのロータの回転軸線まわりに並んだ複
    数のコイルとを有するとともに、それら複数のコイルが
    正回転方向に順に励磁されれば、モータが前記摩擦材を
    前記回転体に接近させる向きの力が増加する一方、それ
    ら複数のコイルが逆回転方向に順に励磁されれば、モー
    タが摩擦材を回転体から離間させる向きの力が増加する
    ものであり、 前記コントローラが、ブレーキ操作値の増加中であっ
    て、前記可能性がない期間のうち前記可能性がある期間
    に先行する部分において、前記可能性がない期間におい
    て利用されるものとして予め定められた前記関係に従
    い、かつ、前記ブレーキ操作値センサにより検出された
    ブレーキ操作値に基づき、前記モータにそれの複数のコ
    イルを正回転方向に順に励磁するための第1励磁信号を
    供給する第1励磁信号供給部を含み、 前記関係変化部が、前記可能性がある期間において、予
    め定められた時間の間、モータにそれの複数のコイルを
    逆回転方向に順に、予め定められた電力で励磁するため
    の第2励磁信号を供給する第2励磁信号供給部を含む請
    求項1に記載の電動式ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】前記第2励磁信号供給部が、前記時間と前
    記電力との少なくとも一方を、前記ブレーキ操作値また
    はそれに関連する量と、前記モータの回転速度またはそ
    れに関連する量との少なくとも一方に基づいて設定する
    設定手段を含む請求項4に記載の電動式ブレーキ装置。
  6. 【請求項6】前記コントローラが、さらに、 (a) 前記ブレーキ操作部材の操作速度が基準値以上であ
    る急ブレーキ操作時に前記関係変化部が作動することを
    禁止する作動禁止部と、 (b) 急ブレーキ操作時に、その急ブレーキ操作時に利用
    されるものとして予め定められた前記関係に従い、か
    つ、前記ブレーキ操作値センサにより検出されたブレー
    キ操作値に基づき、前記モータを制御する急ブレーキ操
    作時制御部とを含む請求項1ないし5のいずれかに記載
    の電動式ブレーキ装置。
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