JP2000263931A - マイクロカプセル及び該マイクロカプセルを用いた環境適合型ノーカーボン感圧複写紙 - Google Patents

マイクロカプセル及び該マイクロカプセルを用いた環境適合型ノーカーボン感圧複写紙

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JP2000263931A
JP2000263931A JP11075415A JP7541599A JP2000263931A JP 2000263931 A JP2000263931 A JP 2000263931A JP 11075415 A JP11075415 A JP 11075415A JP 7541599 A JP7541599 A JP 7541599A JP 2000263931 A JP2000263931 A JP 2000263931A
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microcapsule
aqueous solution
isma
neutralization
microcapsules
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Nobuhiro Kagota
信博 籠田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マイクロカプセル作製時に凝集発生が少なく、
膜緻密性に優れたマイクロカプセルを提供すること。ま
た、環境面において高い安全性を有するノーカーボン感
圧複写紙を提供すること。 【解決手段】電子供与性発色剤、脂肪族エステル溶剤及
び脂肪族多価イソシアネートを含む疎水性液体を、中和
度が0.3〜0.5のイソブチレン−無水マレイン酸共
重合体の水溶液中に乳化分散して界面重合法マイクロカ
プセルを得る。更には、予め中和度0.05〜0.2に
溶解した後に、中和度0.3〜0.5に調整することが
好ましい。このマイクロカプセルを含む塗工層を支持体
表面に設けることにより環境適合型ノーカーボン感圧複
写紙を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子供与性発色剤
を内包し、環境面において高い安全性を有するマイクロ
カプセルに関する。更には、そのマイクロカプセルを用
いたノーカーボン感圧複写紙に関する。
【0002】
【従来の技術】ノーカーボン感圧複写紙は、基本的に
は、電子供与性発色剤(以下、発色剤と称す)を高沸点
溶媒に溶解しマイクロカプセルに内包して、これを含有
する塗層を支持体の裏面に塗布した上用紙と、前記発色
剤と反応して発色する電子受容性顕色剤(以下、顕色剤
と称す)を含有する塗層を支持体の表面に塗布した下用
紙とを互いに重ね合わせ、加圧することによりマイクロ
カプセルが破壊し、マイクロカプセルから発色剤が流出
して下用紙に転移し、発色剤と顕色剤との反応により顕
色剤層が着色して加圧印字と同時に複写像が得られるも
のである。
【0003】多数枚の複写を望む場合には、支持体の表
面に前記顕色剤含有層を塗布し、裏面に発色剤内包マイ
クロカプセル含有層を塗布した中用紙を、上用紙と下用
紙の間に必要な枚数だけ挿入して使用される。また、発
色剤内包マイクロカプセル含有層と顕色剤含有層を積層
又は混合層として、支持体の同一表面上に形成した自己
発色型感圧複写紙や、発色剤内包マイクロカプセル、顕
色剤内包マイクロカプセル及びワックスを含む塗層を支
持体の裏面に設けた普通紙転写型感圧複写紙もノーカー
ボン感圧複写紙の一形態として知られている。
【0004】発色剤を内包するマイクロカプセルの製造
方法としては、ゼラチン−アラビヤゴムのポリイオンコ
ンプレックスを利用したコアセルベーション法、分散媒
となる親水性液体と内包すべき疎水性液体の界面におい
て不溶性合成樹脂皮膜を形成する界面重合法、メラミン
−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂
等の初期縮合物を分散媒となる親水性液体側から添加し
た後、樹脂化せしめて不溶性皮膜を形成するin si
tu重合法等が知られている。この中でも特にが、原材
料が安く安定して供給される、高濃度マイクロカプセル
分散液が得られる、マイクロカプセルの連続製造に適し
ている等の理由で界面重合法によるマイクロカプセルが
広く用いられている。
【0005】界面重合法マイクロカプセルの製造方法に
ついては、特開昭56−15836号、特開昭57−1
40638号、特開昭58−3898号、特開昭62−
105686号、特開平4−63128号、特開平4−
290538号、特開平5−57178号等の各公報に
開示されており、多価イソシアネートモノマーあるいは
多価イソシアネートプレポリマーを含む疎水性液体を多
価アミンもしくは多価アルコールなどの多価ヒドロキシ
化合物等の活性水素を有する化合物を含有する親水性液
体中に分散させて両液体の界面でポリウレアあるいはポ
リウレタンの樹脂膜を生成する方法がよく知られてお
り、工業的にも用いられている。
【0006】マイクロカプセルに内包される発色剤とし
ては、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラ
ン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタ
リド系化合物、インドリルアザフタリド系化合物、ロイ
コオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、
トリフェニルメタン系化合物、スピロピラン系化合物等
が知られている。
【0007】発色剤を溶解する疎水性溶剤としては、ア
ルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化
パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリールアルカ
ン、フタル酸エステル等が主溶剤として用いられている
が、これらの溶剤は、芳香族系化合物あるいはハロゲン
元素含有化合物であり、不快臭を有するものが多く、ま
た、環境に対し好ましくない化学構造も含まれており、
より安全で環境に適合した化合物を使用することが望ま
れている。
【0008】非芳香族系で、ハロゲン元素を含まない化
合物をマイクロカプセルの溶剤として用いる検討が行わ
れてきたが、発色剤が十分に溶解しない、従来通りの界
面重合法によりマイクロカプセル化を行うと凝集が発生
して不十分なマイクロカプセルしか得られないといった
問題点があった。
【0009】マイクロカプセルを製造する際には、発色
剤を溶解した疎水性液体を乳化剤水溶液中に乳化分散す
ることが必要であり、特開昭56−15836号公報に
は、界面重合法マイクロカプセル化において、乳化剤と
して無水マレイン酸共重合体が適しているとの開示があ
る。しかしながら、疎水性溶剤として芳香族系溶剤を用
いた場合には乳化剤として広範な無水マレイン酸共重合
体が使用可能であるが、疎水性溶剤として脂肪族系溶剤
を用いた場合には、乳化系が安定せずに系全体が凝集し
てマイクロカプセルが得られなかったり、膜緻密性の不
十分なマイクロカプセルしか得られないというのが現状
である。
【0010】以上のような理由から、脂肪族系溶剤を用
いて実用性のあるマイクロカプセルを得ること、および
それを用いて環境に適合したノーカーボン感圧複写紙を
得ることが望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、不快臭が無く、環境に対し適合性のある溶剤を用
い、膜緻密性に優れ凝集の発生の少ない界面重合法マイ
クロカプセルを作製し、これを用いて発色性能が優れ、
環境面において高い安全性を有するノーカーボン感圧複
写紙を提供することである。本発明者等は、発色剤、脂
肪族エステル溶剤、脂肪族多価イソシアネートを含む疎
水性液体を、脂肪族ビニル化合物と無水マレイン酸との
共重合体の水溶液中に乳化分散して界面重合法マイクロ
カプセルを得る方法について既に特許出願を行っている
が、工業化に際し、凝集の発生の少ないマイクロカプセ
ルを更に安定して製造できることが必要となった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記に鑑
み鋭意研究した結果、以下の特徴を備えたマイクロカプ
セルを製造し、それを用いることにより、上記問題点を
解決した環境適合型ノーカーボン感圧複写紙を得ること
ができた。
【0013】即ち、電子供与性発色剤、脂肪族エステル
溶剤及び脂肪族多価イソシアネートを含有する疎水性液
体を、水溶性高分子重合体の水溶液中に乳化分散し、疎
水性液体の液滴表面に合成高分子膜を生成して得られる
マイクロカプセルに於いて、水溶性高分子重合体として
中和度が0.3〜0.5のイソブチレン−無水マレイン
酸共重合体(以後、ISMAと略す)の部分中和物を用
いることにより、目的のマイクロカプセルを得ることが
できた。また、その界面重合法マイクロカプセルを用い
た塗工層を支持体上に設けることにより目的の環境適合
型ノーカーボン感圧複写紙を得た。
【0014】また、水溶性高分子化合物として中和度が
0.3〜0.5のISMA水溶液を得るに際し、第一段
中和として予め中和度0.05〜0.2の範囲で溶解し
た後、第二段中和により中和度0.3〜0.5に調整す
ることにより、最も安定してマイクロカプセルを製造す
ることができた。第一段の中和が中和度0.05未満で
はISMAの溶解が困難であり、中和度0.2を超える
場合には、中和を2段階とすることによるマイクロカプ
セル安定製造の効果が少なくなる。
【0015】この界面重合カプセル化に際し、脂肪族エ
ステル溶剤として、中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、
MCTと略す)を用いることにより、脂肪族系の溶剤で
ありながら発色剤の溶解性が良く、良好な発色特性を有
するマイクロカプセルが得られ、これを用いることによ
り良好な環境適合型ノーカーボン感圧複写紙を得ること
ができた。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のマイクロカプセル
及びそれを用いた環境適合型ノーカーボン感圧複写紙に
ついて、詳細に説明する。
【0017】本発明において、界面重合法によりマイク
ロカプセルを作製する方法としては、従来公知の方法を
用いることができる。例えば、発色剤、脂肪族エステル
溶剤及び脂肪族多価イソシアネートを含有する疎水性液
体をISMA水溶液中に乳化分散した後、多価アミン類
や多価アルコール類等の活性水素を有する化合物を添加
し、必要により加熱処理を行い、疎水性液体とISMA
水溶液との界面に皮膜を形成させることによって、マイ
クロカプセル分散液を得ることができる。
【0018】本発明において、疎水性液体を水中に乳化
する際の乳化安定剤的役割を果たす水溶性高分子重合体
としてISMA水溶液を用いるが、この水溶液を得るに
はISMAを水酸化ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム
水溶液、アンモニア水等のアルカリ水溶液で中和するこ
とによって得ることができる。
【0019】本発明でのISMA部分中和物の中和度と
は、完全中和した状態を中和度1とし、完全中和するの
に要したアルカリ量に対する部分中和に要したアルカリ
量の比によって表す。本発明における中和度は0.3〜
0.5であり、この範囲から外れる場合には、マイクロ
カプセルを作製する際に、発色剤を溶解した疎水性液体
をISMA水溶液に乳化する段階で乳化系が不安定とな
り、マイクロカプセルの凝集体が発生しやすくなる傾向
があった。
【0020】また、ISMAの中和度が0.3〜0.5
の部分中和物水溶液を作製する際に、ISMAを1回の
操作で中和度0.3〜0.5に中和した水溶液に比べ、
ISMAを一旦中和度0.05〜0.2の範囲で溶解し
た後に、中和度0.3〜0.5に調整した場合の方が、
膜緻密度の高いマイクロカプセルが得られた。何故、膜
性能の良いマイクロカプセルが得られるのかは不明であ
るが、分子中の無水マレイン酸の解離がより均一に行わ
れることによって、あるいは無水マレイン酸環構造が分
子中に適度に分散して残ることによって、乳化時の親水
性と疎水性のバランスが安定に保たれるためではないか
と推測される。
【0021】本発明で用いられるISMAの分子量は5
万から50万が好ましく、特には10万から30万が好
ましい。また、マイクロカプセル化におけるISMAの
添加量は、疎水性液体に対し1〜20重量%が好まし
く、特には3〜10重量%が好ましい。ISMAを水溶
液として用いる場合の液濃度は1〜10重量%の範囲が
好ましい。
【0022】本発明において用いられる脂肪族エステル
溶剤としては、低級アルコールと飽和あるいは不飽和の
高級脂肪酸とからなる合成脂肪酸エステル、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等
の多価アルコールと飽和あるいは不飽和の高級脂肪酸と
からなる合成脂肪酸エステル、大豆油、コーン油、綿実
油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の
天然動植物油等を適宜用いることができるが、発色剤の
溶解安定性、常温での流動性等の点で、以下に述べるM
CTが最も好ましい。
【0023】MCTとは、一般的には、ヤシ油などの天
然油脂を加水分解して得られる高純度の混合脂肪酸とグ
リセリンとのエステル化により得られる液状油である。
MCTは分子内に不飽和結合を含まない液状油であり、
良好な流動性、染料溶解性を有し、不快臭もなく、且
つ、食品、化粧品、医療品等の分野にも用いられる安全
性の高い素材である。特に、25℃における粘度が10
〜40センチポイズの液状で、不飽和結合を含まず、炭
素数が6〜10の脂肪酸とグリセリンとからなる組成の
化合物であることが好ましい。
【0024】一般的な動植物油の組成は長鎖脂肪酸トリ
グリセリドの混合物であり、主要脂肪酸は、パルミチン
酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)等の飽
和脂肪酸やオレイン酸(炭素数18)のような不飽和脂
肪酸である。本発明で最も好ましい化合物として使用さ
れるMCTとしては、炭素数が6〜10の中鎖脂肪酸で
あり、主としてカプリル酸(炭素数8)、カプリン酸
(炭素数10)からなり、これらを単独或いは混合して
なるものである。一部に炭素数4の低級脂肪酸、炭素数
12、14等の脂肪酸からなるトリグリセリドを含むこ
とも可能だが、溶剤の主体は炭素数6〜10の中鎖脂肪
酸からなるトリグリセリドである。これらの単独或いは
混合されたトリグリセリドは、一般の動植物油に比べ、
表面張力や粘度が小さく、また、溶解性、酸化安定性、
浸透性等の優れた特性を有することが、脂肪族化合物で
ありながらノーカーボン感圧複写紙用溶剤として、従来
の芳香族系溶剤に対抗し得る能力を発揮する理由と考え
られる。
【0025】発色剤を溶解するための疎水性溶剤として
は、従来からノーカーボン感圧複写紙用として用いられ
るものを、ノーカーボン感圧複写紙としての特性或いは
環境面での安全性等を損なわない範囲で使用することが
できる。
【0026】本発明で用いられる脂肪族多価イソシアネ
ートとしては、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイ
ソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、
エチリジンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,
2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジ
イソシアネート等や、エチレンジイソネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート等の三量体構造の化合物を挙げ
ることができる。三量体構造としては、ビューレット型
やイソシアヌレート型が知られている。
【0027】従来、界面重合法マイクロカプセルの製造
に用いられる多価イソシアネートとして芳香族多価イソ
シアネートの使用がよく知られており、代表的化合物と
してトリフェニルジメチレンイソシアネート、テトラフ
ェニルトリメチレンテトライソシアネート、フェニレン
ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソ
シアネート等が挙げられるが、これらを脂肪族系の疎水
性溶剤に溶解することはできず、疎水性溶剤中に分散し
て用いたとしても十分な膜緻密性のマイクロカプセルは
得られなかった。
【0028】ただし、脂肪族多価イソシアネートと共
に、マイクロカプセルの性能を阻害しない程度に芳香族
多価イソシアネートを併用することは可能である。
【0029】本発明の脂肪族多価イソシアネートと反応
して皮膜を形成する活性水素を有する化合物として、多
価アミン類では、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、オクタメチレンジアミン、トリエチレンテトラ
ミン、ジエチレントリアミンエポキシ樹脂のアミン付加
物等が挙げられる。
【0030】多価アルコール類としては、エチレングリ
コール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチ
レングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,1,
1−トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペ
ンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトール等が挙
げられる。
【0031】本発明で用いられる発色剤としては、従来
のノーカーボン感圧複写紙用として知られている化合物
を用いることができ、代表例としてトリフェニルメタン
フタリド系、フルオラン系、フェノチアジン系、インド
リルフタリド系、インドリルアザフタリド系、ロイコオ
ーラミン系、スピロピラン系、ローダミンラクタム系、
トリフェニルメタン系等を挙げることができ、青発色系
の発色剤としては、特にインドリルフタリド系、インド
リルアザフタリド系の化合物が脂肪族エステル溶剤への
溶解安定性という点で好ましい。
【0032】また、黒発色系発色剤としてはフルオラン
系化合物が好ましく、特に、3−ジメチルアミノ−7−
(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−
ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリ
ノ)フルオラン等のトリフルオロメチルアニリノ基を有
するフルオラン化合物が脂肪族エステル溶剤への溶解安
定性という点で好ましい。
【0033】発色剤を溶解した疎水性溶液をマイクロカ
プセル化する場合には、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸
化防止剤等を内相油中に溶解して用いる事も可能であ
り、一般のノーカーボン感圧複写紙に用いられる物質で
あれば特に制限されない。
【0034】発色剤内包マイクロカプセルの大きさ(体
積平均粒子径)は、1〜20μmの範囲が好ましく、特
には3〜10μmの範囲が好ましい。発色剤の塗工量と
しては、選択する発色剤の種類によって多少異なり、特
に限定されるものではないが、発色性能の面から、5〜
1000mg/m2、特に好ましくは20〜 200mg
/m2の範囲である。
【0035】マイクロカプセルを含有する塗層の塗布に
は、通常水性系塗液が用いられる。上記方法によって得
られた発色剤内包マイクロカプセル分散液に、必要に応
じてラテックス系のバインダー、水溶性バインダー、カ
プセル保護剤(スチルト)、白色顔料、界面活性剤、消
泡剤、増粘剤、防腐剤、着色剤等、当業界で公知の各種
助剤が添加され調製される。カプセル塗液中のカプセル
含有量は、通常塗液100重量部(固形部)に対して5
〜80重量部の範囲に調整される。
【0036】本発明で用いるラテックス系のバインダー
の具体例としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラ
テックス、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体ラ
テックス、酢酸ビニル系、アクリル系ラテックス等や、
それらのアルカリ増粘型ラテックス等が挙げられる。水
溶性バインダーとしては、例えばゼラチン、アルブミ
ン、カゼイン、澱粉、α化澱粉、酸化澱粉、エーテル化
澱粉、エステル化澱粉、アルギン酸ソーダ、アラビヤゴ
ム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアク
リルアミド、メチルセルロース等の天然或いは合成の高
分子化合物等が用いられる。これらを混合して使用する
事も出来る。通常、これらの使用量はマイクロカプセル
乾燥固形重量100部に対して、5〜100固形重量部
の範囲が好ましい。特に好ましくは、5〜50固形重量
部の範囲である。
【0037】カプセル保護剤(スチルト)としては、小
麦澱粉粒、とうもろこし澱粉粒、えんどう豆澱粉粒、各
種プラスチックピグメント、パルプパウダー等、公知の
ものが好ましく、その大きさ(平均直径)は、1〜10
0μmの範囲が好ましい。特に好ましくは、5〜30μ
mの範囲が好ましい。マイクロカプセル塗液中に白色顔
料を添加する場合には、例えば、炭酸カルシウム、水酸
化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、タ
ルク等が使用できる。
【0038】塗工方法としては、通常の塗工機(コータ
ー)を用いて塗布乾燥する。具体的な塗工機としては、
エアーナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコー
ター、バーコーター、ロールコーター、サイズプレスコ
ーター、カーテンコーター等を挙げることができる。
【0039】
【実施例】次に実施例及び比較例によって本発明の特徴
を詳細に示すが、もちろん本発明は実施例のみに限定さ
れる事はなく、従って使用される物質、製造条件等も実
施例中の記載に限定される事はない。実施例及び比較例
中、特に規定した場合を除き乾燥固形重量部で表示す
る。
【0040】実施例1 <ISMA水溶液の調製>ISMA(イソバン18:
(株)クラレ製)20部に対し、20.8部の水酸化ナト
リウムを溶解した水酸化ナトリウム水溶液を用いて、中
和度0.4のISMA5%水溶液を用意した。 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>3−(4−ジ
エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オ
クチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザ
フタリド3部を、カプリル酸、カプリン酸を原料とする
トリグリセリド(パナセート810、日本油脂(株)
製)72部に加熱溶解し、30℃に冷却した後、ヘキサ
メチレンジイソシアネート三量体(スミジュールN−3
200,住友バイエルウレタン(株)製)5部を加え疎
水性発色剤溶液を得た。予め用意したISMA5%水溶
液100部に疎水性発色剤溶液を強撹拌下添加し、コー
ルターカウンターでの50%体積平均直径が6μmにな
るまで攪拌を行い乳化液を得た。この乳化液にジエチレ
ントリアミンの5%水溶液40部を加えて、80℃で2
時間撹拌を行って発色剤内包マイクロカプセル液を得
た。
【0041】実施例2 <ISMA水溶液の調製>ISMA20部に対し、5.
2部の水酸化ナトリウムを溶解した水酸化ナトリウム水
溶液を用いてISMAを溶解した後(中和度0.1)、
水酸化ナトリウム15.3部を溶解した水酸化ナトリウ
ム水溶液を加えて中和度0.4のISMA5%水溶液を
用意した。 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>このISMA
5%水溶液100部を用いて、実施例1と同様にして発
色剤内包マイクロカプセル液を作製した。
【0042】実施例3 <ISMA水溶液の調製>ISMA20部に対し、2.
6部の水酸化ナトリウムを溶解した水酸化ナトリウム水
溶液を用いてISMAを溶解した後(中和度0.0
5)、水酸化ナトリウム13.0部を溶解した水酸化ナ
トリウム水溶液を加えて中和度0.3のISMA5%水
溶液を用意した。 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>このISMA
5%水溶液100部を用いて、実施例1と同様にして発
色剤内包マイクロカプセル液を作製した。
【0043】実施例4 <ISMA水溶液の調製>ISMA20部に対し、1
0.4部の水酸化ナトリウムを溶解した水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いてISMAを溶解した後(中和度0.
2)、水酸化ナトリウム15.6部を溶解した水酸化ナ
トリウム水溶液を加えて中和度0.5のISMA5%水
溶液を用意した。 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>このISMA
5%水溶液100部を用いて、実施例1と同様にして発
色剤内包マイクロカプセル液を作製した。
【0044】実施例5 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>カプリル酸、
カプリン酸を原料とするトリグリセリドの36部をミリ
スチン酸イソプロピル36部に替える以外は実施例2と
同様にして、発色剤内包マイクロカプセル液を得た。
【0045】比較例1 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>ISMA5%
水溶液100部を、α−メチルスチレン−無水マレイン
酸共重合体(DS−40K、住友化学工業(株)製)の
5%水溶液100部に替える以外は実施例1と同様にし
て、発色剤内包マイクロカプセル液を得ようとしたが、
乳化系全体が凝集し、マイクロカプセル化はできなかっ
た。
【0046】比較例2 <ISMA水溶液の調製>ISMA(イソバン18:
(株)クラレ製)20部に対し、10.4部の水酸化ナト
リウムを溶解した水酸化ナトリウム水溶液を用いて、中
和度0.2のISMA5%水溶液を用意した。 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>このISMA
5%水溶液100部を用いて、実施例1と同様にして発
色剤内包マイクロカプセル液を作製した。マイクロカプ
セル液はかなり増粘傾向が大きかった。
【0047】比較例3 <ISMA水溶液の調製>ISMA(イソバン18:
(株)クラレ製)20部に対し、31.1部の水酸化ナト
リウムを溶解した水酸化ナトリウム水溶液を用いて、中
和度0.6のISMA5%水溶液を用意した。 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>このISMA
5%水溶液100部を用いて、実施例1と同様にして発
色剤内包マイクロカプセル液を作製した。マイクロカプ
セル液はかなり増粘傾向が大きかった。
【0048】比較例4 <ISMA水溶液の調製>ISMA20部に対し、5.
2部の水酸化ナトリウムを溶解した水酸化ナトリウム水
溶液を用いてISMAを溶解した後(中和度0.1)、
水酸化ナトリウム23.3部を溶解した水酸化ナトリウ
ム水溶液を加えて中和度0.55のISMA5%水溶液
を用意した。 <発色剤内包マイクロカプセル液の作製>このISMA
5%水溶液100部を用いて、実施例1と同様にして発
色剤内包マイクロカプセル液を作製した。
【0049】<発色剤塗液及び上用紙の作製方法>実施
例1〜5及び比較例2〜4で得られた発色剤内包マイク
ロカプセル液100部に小麦澱粉70部、スチレン−ブ
タジエン共重合体ラテックス(日本合成ゴム社製)35
部を添加し、発色剤塗液を作製し、坪量が50g/m2
の上質紙に塗工量が5g/m2となるように塗工して、
実施例1〜5及び比較例2〜4のノーカーボン感圧複写
紙上用紙を得た。
【0050】実施例、比較例で作製したマイクロカプセ
ル液の粒度分布をコールターカウンターで測定し、乳化
時の粒度分布との差から、凝集粒子の発生程度を判断
し、その結果を表1に示した。評価は5段階で行い、評
点が大きい程凝集の発生が少なく、マイクロカプセル液
として良好な状態であることを表す。また、マイクロカ
プセルの作製において、発色剤を疎水性溶剤で加熱溶解
した発色剤溶液の冷却後の発色剤の溶解安定性について
も観察を行い、それらの結果を表1に示した。
【0051】実施例、比較例で得られた上用紙のマイク
ロカプセル塗工面にt−ブチルサリチル酸のメチルエチ
ルケトン1%溶液を滴下し、乾燥後の着色状態を観察し
てマイクロカプセルの膜緻密性を判断した。また、得ら
れた上用紙と市販のノーカーボン感圧複写紙下用紙(N
CR下用紙N40:三菱製紙(株)製)とを組合わせて
発色させ、その発色濃度を目視判定した。それらの結果
を表1に示した。評価は5段階評価で評点が大きい程、
優れていることを表す。
【0052】
【表1】
【0053】実施例及び比較例から以下のことが分か
る。すなわち、脂肪族エステル溶剤、脂肪族多価イソシ
アネートを用いて界面重合マイクロカプセルを作製する
際に、乳化剤として中和度が0.3〜0.5のISMA
部分中和物を用いることにより、乳化時に凝集が少なく
良好なマイクロカプセルを得ることができる。更に、第
一段中和で中和度0.05〜0.2の範囲に溶解した
後、第二段中和で中和度0.3〜0.5に調整して用い
ることにより、より一層良好なマイクロカプセルを得る
ことができる。一方、芳香族ビニル化合物であるα−メ
チルスチレンと無水マレイン酸との共重合体や、中和度
が0.3〜0.5より外れたISMA水溶液を乳化剤と
して用いた時にはマイクロカプセルが全く得られない
か、不十分なマイクロカプセルしか得られない等の不都
合が生じる。
【0054】また、脂肪族エステル溶剤としてMCTを
用いることにより、発色剤の溶解安定性が良好で、発色
性の良好なノーカーボン感圧複写紙を得ることができ
る。
【0055】
【発明の効果】発色剤、脂肪酸エステル溶剤及び脂肪族
多価イソシアネートを含有する疎水性液体を、ISMA
部分中和物水溶液に乳化分散し、疎水性液体の液滴表面
に合成高分子膜を生成しマイクロカプセルを作製する際
に、ISMAの中和度を0.3〜0.5として用いるこ
とにより、更には予め中和度0.05〜0.2に溶解し
た後に中和度0.3〜0.5に調整して用いることによ
り、マイクロカプセルとして凝集が少なく、膜緻密性に
優れたマイクロカプセルを安定して製造することができ
た。また、この際に疎水性溶剤として脂肪族エステル溶
剤を用いることにより、特にはMCTを用いることによ
り、発色性が良好で、環境に対し安全性の高いノーカー
ボン感圧複写紙を得ることができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子供与性発色剤、脂肪族エステル溶剤
    及び脂肪族多価イソシアネートを含有する疎水性液体
    を、水溶性高分子重合体の水溶液中に乳化分散し、疎水
    性液体の液滴表面に合成高分子膜を生成して得られるマ
    イクロカプセルに於いて、水溶性高分子重合体が中和度
    0.3〜0.5のイソブチレン−無水マレイン酸共重合
    体の部分中和物であることを特徴とするマイクロカプセ
    ル。
  2. 【請求項2】 水溶性高分子重合体の水溶液が、イソブ
    チレン−無水マレイン酸共重合体を中和度0.05〜
    0.2の範囲で溶解後、中和度0.3〜0.5に調整し
    て得られたものである請求項1記載のマイクロカプセ
    ル。
  3. 【請求項3】 脂肪族エステル溶剤が、中鎖脂肪酸トリ
    グリセリドである請求項1又は請求項2記載のマイクロ
    カプセル。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項記載のマ
    イクロカプセルを含有する塗層を、支持体上に設けるこ
    とを特徴とする環境適合型ノーカーボン感圧複写紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114316351A (zh) * 2021-12-30 2022-04-12 厦门安踏体育用品有限公司 一种温控变色防水膜的制备方法、面料

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114316351A (zh) * 2021-12-30 2022-04-12 厦门安踏体育用品有限公司 一种温控变色防水膜的制备方法、面料
CN114316351B (zh) * 2021-12-30 2023-09-22 厦门安踏体育用品有限公司 一种温控变色防水膜的制备方法、面料

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