JP2000262223A - 大豆蛋白質の新規製造方法とその製品 - Google Patents

大豆蛋白質の新規製造方法とその製品

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JP2000262223A
JP2000262223A JP11075380A JP7538099A JP2000262223A JP 2000262223 A JP2000262223 A JP 2000262223A JP 11075380 A JP11075380 A JP 11075380A JP 7538099 A JP7538099 A JP 7538099A JP 2000262223 A JP2000262223 A JP 2000262223A
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soybean protein
emulsifier
protein
fatty acid
water
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Hiroyuki Tanno
裕之 丹野
Kazuko Ito
和子 伊藤
Norihisa Nagao
憲尚 長尾
Haruo Tanaka
晴生 田中
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Beans For Foods Or Fodder (AREA)
  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】流動層乾燥機などの特別な乾燥設備を用いるこ
となく、水分散性および飛散性が改良・改善された、特
に粉末状の大豆蛋白質を、低コストで得られうる製造方
法を提供する。 【解決手段】大豆蛋白質に、乳化剤を直接、即ち実質的
に溶媒を何ら使用することなく接触させて付着すること
により、飛散防止された大豆蛋白質、特に粉末状の大豆
蛋白質を製造する方法を提供する。さらに、このように
して製造されうる飛散性に優れた大豆蛋白質または当該
大豆蛋白質を使用した食品も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば粉末状の大
豆蛋白質の新規製造方法、より詳しくは飛散性を改善し
た大豆蛋白質、およびこれにより得られうるような大豆
蛋白質ならびにそれを使用した食品等に関する。本発明
により、飛散性が改善され、優れた水分散性を有する大
豆蛋白質を、通常の乾燥法により簡便、低コストで提供
することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、水分散性が改良された粉末状の大
豆蛋白質を得るためには、水に溶解または分散させた乳
化剤を、乾燥させた大豆蛋白質に対して噴霧し、次いで
連続式または非連続式の流動槽等で乾燥させる方法によ
っていた(特開平9−313112号公報参照。)。し
かし、この方法の場合には、乳化剤を水等の溶媒中で使
用するために、2度乾燥工程を必要とし、溶解性の低下
があり、加えて流動層乾燥機といった特別な乾燥設備が
必要になる。また、使用する乳化剤の親水性・親油性バ
ランス(以下「HLB」という。)が低い場合は、水分
散性が悪いものとなってしまう。さらに、大豆蛋白質の
水溶性窒素指数(以下「NSI」という。)が高い場
合、同様に水分散性が悪いものとなってしまう。
【0003】水分散性等が良好な粉末状の大豆蛋白質を
得たとしても、上記の方法および特開平8−13108
3号公報記載の方法(乳化剤の構成脂肪酸が飽和酸)で
は飛散性の改善は十分ではない。
【0004】また、特開平6−113749号公報記載
の方法は、飛散性の改善された粉末状の大豆蛋白質を得
る方法ではあるが、流動層処理に際して、大豆蛋白質に
水を含む界面活性剤溶液を噴霧するために、乾燥工程を
2度必要とし、煩雑で、製造コストが高くなるという欠
点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、飛散性が改善
されかつ低コストで製造しうる簡便な大豆蛋白質の製造
方法の開発が求められている。本発明の目的は、流動層
乾燥機等の特別な乾燥設備を用いることなく、水分散性
および飛散性が改良・改善された、特に粉末状の大豆蛋
白質を、低コストで得られうる製造方法およびこれによ
り得られる大豆蛋白質等を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、大豆蛋白質に、乳
化剤を直接、即ち実質的に溶媒を何ら使用することなく
接触させて付着することにより、飛散防止された大豆蛋
白質、特に粉末状の大豆蛋白質を製造できることを見出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。即
ち本発明は、次のとおりである。なお本発明において粘
度は、B型回転粘度計により測定したときの数値であ
る。
【0007】1.大豆蛋白質に、実質的に溶媒を含まな
い形態である乳化剤を接触させることにより付着するこ
とを特徴とする飛散防止された大豆蛋白質の製造方法。
【0008】2.当該接触が、当該乳化剤を直接、溶媒
を使用することなく噴霧することによりなされる上記の
製造方法。
【0009】3.出発物質の大豆蛋白質が、実質的に乾
燥した形態、簡便さの点で好ましくは噴霧乾燥法、熱風
搬送型乾燥法、材料静置乾燥法、材料搬送型乾燥法によ
り乾燥した大豆蛋白質の形態である上記の製造方法。
【0010】4.上記接触が、高価な設備を用いずに、
低コストで簡便に行うことができるという点で好ましく
は噴流型コーティング装置、高速噴射型コーティング装
置等の噴霧装置を用いた噴霧によりなされる上記の製造
方法。
【0011】5.上記乳化剤が、ソルビタン脂肪酸エス
テル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリ
ン脂肪酸エステルおよびしょ糖脂肪酸エステルからなる
群より選択される、1種あるいは2種以上の脂肪酸エス
テルであり、好ましくはこれらの不飽和脂肪酸エステ
ル、さらに好ましくはオレイン酸エステルである上記の
製造方法。
【0012】6.上記乳化剤のHLBが8未満、より好
ましくは3〜5である上記の製造方法。
【0013】7.上記乳化剤の粘度が、150℃におい
て3000cps以下、大豆蛋白質の熱による変性をさ
けるため100℃において3000cps以下、より好
ましくは30℃において3000cps以下、さらに好
ましくは30℃において650cps以下である上記の
製造方法。
【0014】8.上記乳化剤の粘度が、噴霧時における
乳化剤温度において3000cps以下、好ましくは1
500cps以下、さらに好ましくは1000cps以
下、特に好ましくは650cps以下である上記の製造
方法。
【0015】9.上記乳化剤が、製造装置を単純にし、
製造コストを低くするため好ましくは室温で、特に10
℃〜25℃で流動状である上記の製造方法。
【0016】10.出発物質の大豆蛋白質が、余分の工
程を加えることなく低コストで得ることができるという
点で好ましくは、NSIを調整していない大豆蛋白質で
ある上記の製造方法。
【0017】11.上記いずれかの製造方法で得られる
ことができ、飛散性が改善された大豆蛋白質または当該
大豆蛋白質を使用した食品、例えば、ハム、ソーセー
ジ、ハンバーグ等の畜産加工品、水産加工品、アイスク
リーム用ミックス等の安定剤、豆腐、ゆば、茶碗蒸様食
品およびプリン様食品等の蛋白凝固食品、かまぼこ様食
品、豆乳。
【0018】12.粉末状の形態にある上記大豆蛋白
質。出発物質に粉末状の大豆蛋白質を使用することによ
り製造することができる。
【0019】なお、本発明において「水分散性」とは、
水または温水に大豆蛋白質を添加した場合に、ママコや
ダマを生じないか、生じてもすぐに消去する性質をい
う。「飛散性」とは、いわゆる「粉立ち」を生じやすい
性質をいう。また、「飛散防止された」とは飛散性が改
善されたことを意味する。「粉末状」には、粗末、中
末、細末等の形態が含まれる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において大豆蛋白質とは、
大豆から得られる蛋白質であればよく、例えば濃縮大豆
蛋白質、分離大豆蛋白質、繊維状大豆蛋白、および抽出
大豆蛋白質等の、大豆を加工して得ることのできる蛋白
質をいう。その態様は、乳化剤を接触させた後に乾燥工
程を加える必要のない態様であればよく、例えば、大豆
蛋白質の溶液またはその分散液を、噴霧乾燥等の公知の
技術で粉末としたものが挙げられる。
【0021】また、本発明で、大豆蛋白質のNSIの範
囲に特に制限はなく、NSIが85を超えるものでもよ
い。本発明においては、乳化剤の付着の方法として、直
接噴霧する方法(噴流型コーティング装置、高速噴射型
コーティング装置等の噴霧装置を用いた噴霧法)等の公
知の方法を使用することができる。
【0022】本発明において、乳化剤は、食品に使用す
ることのできる限り、公知または今後開発される乳化性
を有する様々なものを使用することができる。乳化剤の
形態は、水、有機溶媒等の溶媒を実質的に含まない形
態、すなわち乳化剤の付着工程に続いて乾燥工程を行う
必要のない形態であれば良い。また、水、有機溶媒等の
溶媒を実質的に含まない形態の添加物を、乳化剤に混合
して、または乳化剤と同時に、付着させても良い。本発
明で流動状とは、噴霧しうる程度の流動状であることを
意味し、乳化剤の粘度が、噴霧時の乳化剤温度におい
て、概ね3000cps以下の状態をいう。乳化剤の粘
度は、十分な飛散性、水分散性の改善効果を得るために
噴霧時の乳化剤温度において3000cps以下が好ま
しく、特に好ましくは噴霧時の乳化剤温度において15
00cps以下、より好ましくは噴霧時の乳化剤温度に
おいて650cps以下、さらに好ましくは噴霧時の乳
化剤温度において150cps〜650cps程度であ
る。乳化剤を加温して、噴霧しうる程度に流動化させる
ことができる場合は、室温での性状を問わない。噴霧時
における乳化剤温度は、乳化剤の変色を防ぐため好まし
くは150℃以下、大豆蛋白質の熱による変性を防ぐた
めにさらに好ましくは100℃以下とするのが良い。し
かし、製造装置を単純にし、製造コストを下げるために
は、噴霧時の乳化剤温度を30℃以下とすること、特に
室温(15℃〜25℃)とすることが好ましい。
【0023】乳化剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、プ
ロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸
エステルおよびしょ糖脂肪酸エステルからなる群より選
択される、1種あるいは2種以上の脂肪酸エステルが好
ましく、特に不飽和脂肪酸エステルが好ましく、さらに
はオレイン酸エステルが好ましい。乳化剤は必ずしも単
一物である必要はなく、2以上のソルビタン脂肪酸エス
テルを混合したもの、2以上のプロピレングリコール脂
肪酸エステルを混合したものや、2以上のグリセリン脂
肪酸エステルを混合したもの、さらにはこれらの混合物
等、複数混合物の形態で使用することができる。また、
混合したものである場合には、その組成比が明確でなく
ともよい。上記脂肪酸エステルのうち、特にソルビタン
モノオレートおよびプロピレングリコールモノオレート
のいずれかが好ましい。乳化剤として、ペンタグリセリ
ンペンタオレート、テトラグリセリンモノオレート、テ
トラグリセリンモノステアレート等のポリグリセリン脂
肪酸エステルも使用することができるが、十分な効果を
得るためにはこれらの不飽和脂肪酸エステルが好まし
い。本発明において、接触させる乳化剤の大豆蛋白質に
対する割合は、使用する大豆蛋白質の性質に応じて任意
に選択されるが、乾燥品に対して好ましくは重量%で表
して0.01%〜2%、より好ましくは0.05%〜1
%、特に好ましくは0.1%〜0.6%である。
【0024】本発明の製造方法で得られうる大豆蛋白質
は、様々な食品に使用することができる。使用しうる食
品として、例えば、豆腐、ゆば等のほか、ベーコン様食
品、そぼろ様食品、ソーセージ、ハム等の畜産加工品、
魚肉加工品、ドーナツ、パン等が挙げられる。食品に
は、その原料の大部分を大豆蛋白質とするものに限定さ
れず、原料の一部に大豆蛋白質を少量添加して製造され
る食品も含まれる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なおこれらの実施例は、本発明の範囲を限定するも
のではない。また、実施例の記載中、特記のない限り
「%」は「重量/重量%」を表す。また、粘度はB型回
転粘度計により測定したものである。温度条件について
は各々に示す。
【0026】(実施例1)乳化剤:ソルビタン脂肪酸エ
ステル IOM(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)産精選大豆を
脱脂後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂大豆を得た。
この脱脂大豆に10倍量の50℃に加温した水を加え、
蛋白画分を抽出した。
【0027】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の10%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し、製品タンクへの
移動中にソルビタンモノオレート(太陽化学(株)製、
「サンソフトNo81S」、HLB5、30℃における
粘度500cps)を粉末当たり0.3%、噴霧装置
(噴流型の装置)により噴霧し、分散性は、粉末状の大
豆蛋白質1gをスターラーで攪拌している100gの市
水中に投入し、その粉末のダマが消去されるまでの時間
を測定した。
【0028】飛散性は、粉末状の大豆蛋白質100gを
ホバートミキサー(HOBARTCORPORATIO
N社製、MODEL N−50G)中回転数レベルを3
として攪拌し、飛散した大豆蛋白質重量を測定した。攪
拌前の大豆蛋白質重量に対する飛散した大豆蛋白質重量
の割合を、重量%として示した。
【0029】
【表1】 *溶媒として水を使用し、乳化剤5%溶液として従来法
(特開平6-113749に記載の方法)に従って調整した。
【0030】(実施例2)乳化剤:プロピレングリコー
ル脂肪酸エステル IOM(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)産精選大豆を
脱脂後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂大豆を得た。
この脱脂大豆に10倍量の50℃に加温した水を加え、
蛋白画分を抽出した。
【0031】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の10%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し、製品タンクへの
移動中にプロピレングリコールモノオレート(太陽化学
(株)製、「サンソフトNo25−OD」、HLB3.
4、30℃における粘度400cps)を粉末当たり
0.3%噴霧し、粉末状の大豆蛋白質を得た。実施例1
と同様にして分散性および飛散性を評価した。
【0032】
【表2】
【0033】(実施例3)乳化剤:ポリグリセリン脂肪
酸エステル IOM(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)産精選大豆を
脱脂後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂大豆を得た。
この脱脂大豆に10倍量の50℃に加温した水を加え、
蛋白画分を抽出した。
【0034】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の10%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し、製品タンクへの
移動中にペンタグリセリンペンタオレート(阪本薬品工
業(株)製「SYグリスターPO−500」、HLB
4.9、30℃における粘度650cps)を粉末当た
り0.3%噴霧し、粉末状の大豆蛋白質を得た。
【0035】
【表3】
【0036】(実施例4)原料大豆蛋白質のNSIの相
違、特にNSI86以上の場合について実施した。IO
M(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)産精選大豆を脱脂
後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂大豆を得た。この
脱脂大豆に10倍量の50℃に加温した水を加え、蛋白
画分を抽出した。
【0037】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の10%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し(水溶性窒素指数
NSI=92)、製品タンクへの移動中にペンタグリセ
リンペンタオレート(阪本薬品工業(株)製「SYグリ
スターPO−500」、HLB4.9、30℃における
粘度650cps)を粉末当たり0.3%噴霧し、粉末
状の大豆蛋白質を得た。
【0038】
【表4】
【0039】(実施例5)原料大豆蛋白質のNSIの相
違、特にNSI85以下50以上について検討した。I
OM(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)産精選大豆を脱
脂後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂大豆を得た。こ
の脱脂大豆に10倍量の50℃に加温した水を加え、蛋
白画分を抽出した。
【0040】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の14%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し(水溶性窒素指数
NSI=80)、製品タンクへの移動中にペンタグリセ
リンペンタオレート(阪本薬品工業(株)製「SYグリ
スターPO−500」、HLB4.9、30℃における
粘度650cps)を粉末当たり0.3%噴霧し、粉末
状の大豆蛋白質を得た。
【0041】
【表5】
【0042】(実施例6)乳化剤のHLBの相違につい
て検討した。IOM(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)
産精選大豆を脱脂後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂
大豆を得た。この脱脂大豆に10倍量の50℃に加温し
た水を加え、蛋白画分を抽出した。
【0043】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の10%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し、製品タンクへの
移動中に50℃または80℃に加温したヘキサグリセリ
ンモノオレート(阪本薬品工業(株)製「SYグリスタ
ーMO−500」、HLB11、30℃における粘度1
14000cps、50℃における粘度11000cp
s、80℃における粘度1200cps)を粉末当たり
0.3%噴霧し、粉末状の大豆蛋白質を得た。
【0044】
【表6】
【0045】製造された粉末状の大豆蛋白質は、乳化剤
温度50℃では水分散性・飛散性改善の程度は実施例1
〜5と比較して小さい。80℃では、乳化剤の粘度が低
下したため飛散性・分散性の著しい改善効果があった。
【0046】(実施例7)粘度の相違について見当し
た。IOM(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)産精選大
豆を脱脂後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂大豆を得
た。この脱脂大豆に10倍量の50℃に加温した水を加
え、蛋白画分を抽出した。
【0047】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の10%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し、製品タンクへの
移動中にテトラグリセリンモノオレート(阪本薬品工業
(株)製「SYグリスターMO−310」、HLB8.
8、30℃における粘度10600cps、80℃にお
ける粘度900cps)を室温で、または80℃に加温
して、粉末当たり0.3%噴霧し、粉末状の大豆蛋白質
を得た。
【0048】
【表7】
【0049】室温で乳化剤を加えた場合は、噴霧が不可
能であったが、乳化剤を80℃に加温した場合は乳化剤
の粘度が低下したため十分な飛散性・分散性の改善効果
があった。
【0050】(実施例8)乳化剤:飽和酸 IOM(イリノイ・オハイオ・ミネソタ)産精選大豆を
脱脂後、破砕・抽出・脱溶剤し未変性脱脂大豆を得た。
この脱脂大豆に10倍量の50℃に加温した水を加え、
蛋白画分を抽出した。
【0051】次に、この抽出液を遠心分離しオカラを除
去した後、硫酸を加えpH4.5として酸沈殿蛋白カー
ドを得た。このカードに水および水酸化ナトリウムを加
え、pH7.0の10%溶液とした。この溶液を直接蒸
気吹き込み装置により120℃、120秒で加熱殺菌を
行った後、フラッシングチャンバーにより冷却し、ホモ
ミキサーにより均質化後、噴霧乾燥し、製品タンクへの
移動中にテトラグリセリンモノステアレート(阪本薬品
工業(株)製「SYグリスターMS−310」、HLB
8.4、フレーク状)を粉末当たり0.3%添加し、粉
末状の大豆蛋白質を得た。
【0052】
【表8】
【0053】製造された粉末状の大豆蛋白質の分散性・
飛散性の改善の程度は実施例1〜5と比較して小さい。
上記実施例1〜8の表に示された結果から、本発明に関
わる特定の乳化剤を大豆蛋白質に直接噴霧することによ
り、飛散性・分散性が改良された粉末状の大豆蛋白質を
得ることができること、乳化剤としては不飽和脂肪酸エ
ステル、噴霧時の乳化剤温度における乳化剤の粘度が3
000cps以下または乳化剤のHLBが8未満である
ことが特に好ましいことがわかった。これに対して、従
来法によれば分散性や飛散性が必ずしも十分でなく、さ
らに乳化剤を水に溶解、分散させ噴霧させるので、2次
乾燥が必要となり、極めて煩雑であることが確かめられ
た。
【0054】
【発明の効果】本発明の乳化剤の直接接触により飛散性
と水分散性の改善された性質を兼ね備えた、特に粉末状
の大豆蛋白質を簡便かつ安価に製造することが可能とな
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長尾 憲尚 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品総合研究所内 (72)発明者 田中 晴生 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大豆蛋白質に、実質的に溶媒を含まない形
    態である乳化剤を接触させることにより付着することを
    特徴とする飛散防止された大豆蛋白質の製造方法。
  2. 【請求項2】当該接触が、当該乳化剤を直接噴霧するこ
    とによりなされる請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】出発物質の大豆蛋白質が、実質的に乾燥し
    た形態である請求項1〜2いずれか記載の製造方法。
  4. 【請求項4】当該乳化剤が、ソルビタン脂肪酸エステ
    ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン
    脂肪酸エステルおよびしょ糖脂肪酸エステルの少なくと
    も1種である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. 【請求項5】当該乳化剤のHLBが8未満である請求項
    1〜4いずれか記載の製造方法。
  6. 【請求項6】当該乳化剤の150℃における粘度が、B
    型回転粘度計により測定したときに3000cps以下
    である請求項1〜5いずれか記載の製造方法。
  7. 【請求項7】当該乳化剤が、室温で流動状である請求項
    1〜6いずれか記載の製造方法。
  8. 【請求項8】製造後の大豆蛋白質が、粉末状である請求
    項1〜7いずれか記載の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜8いずれか記載の製造方法で得
    られうることを特徴とする大豆蛋白質または当該大豆蛋
    白質を使用した食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011096303A1 (ja) * 2010-02-03 2011-08-11 不二製油株式会社 粉末状大豆蛋白素材

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WO2011096303A1 (ja) * 2010-02-03 2011-08-11 不二製油株式会社 粉末状大豆蛋白素材

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