JP2000259012A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP2000259012A
JP2000259012A JP11062868A JP6286899A JP2000259012A JP 2000259012 A JP2000259012 A JP 2000259012A JP 11062868 A JP11062868 A JP 11062868A JP 6286899 A JP6286899 A JP 6286899A JP 2000259012 A JP2000259012 A JP 2000259012A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 いわゆる分離チャージャ付近で発生する放電
生成物であるオゾン及びNOX の濃度低下を効率よく行
える画像形成装置を提供する。 【解決手段】 転写紙Pの裏面に電荷を付与してこの転
写紙Pを感光体から剥離しやすくする帯電装置14の放
電箇所近傍、例えば、放電ワイヤ22に対向する面上に
放電生成物を分解するための光触媒物質40を有するこ
とで、帯電装置14付近で発生する放電生成物であるオ
ゾン及びNOX を効率よく分解し、その濃度を低下させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置、詳
細には、電子写真方式の作像プロセスで発生する放電生
成物を効率的かつ確実に分解し得る画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式の作像プロセスを利用した
複写機、プリンタ及びファクシミリ装置等の画像形成装
置においては、コロナ放電を利用したものが多い。例え
ば感光体と呼ばれる第1の像担持体上のトナー画像を、
第2の像担持体、例えば転写紙上に転写した後、帯電し
た転写紙の裏面に転写時とは逆極性の電荷を付与して、
転写紙を除電し、感光体から剥離しやすくするための電
荷付与装置として利用される。これは、通常、分離チャ
ージャと称されている。
【0003】分離チャージャでは、コロナ放電を利用す
るため、放電生成物が生成される。例えば、オゾン、N
X が挙げられる。オゾンは、高濃度で画像形成装置内
に滞留すると、感光体表面を酸化し、感光体の光感度の
低下や帯電能力の劣化を生じさせ、形成画像が悪化す
る。また、感光体以外の部材の劣化が促進され、部品寿
命が低下する等の不具合も挙げられる。
【0004】高濃度のオゾンが画像形成装置外に排出さ
れると、オゾン臭気により周囲の人に不快感を与えた
り、人によってはアレルギー症状を受ける等、人体への
悪影響が懸念される。画像形成装置外に排出されるオゾ
ン濃度は規定されている。具体的には、ドイツの複写機
に対するブルーエンジェルマーク審査基準によると、機
外排出濃度は0.04ppm以下に規制されている。
【0005】従来、画像形成装置においては、ファンに
より感光体周辺のオゾンを吸引して、オゾンフィルタを
通して画像形成装置外に排出することが行われている。
【0006】ところが、このような従来のオゾン処理方
法にあっては、フィルタがオゾン吸着により徐々に劣化
し、長期間の使用によって適切にオゾンを除去すること
ができなくなるという問題があった。また、フィルタに
よるオゾン除去率を向上させるために、フィルタのメッ
シュを細かくしたり、フィルタの厚みを厚くして、フィ
ルタの表面積を増大させると、フィルタでの圧力損失が
増大して、容量の大きいファンを取り付ける必要があ
り、画像形成装置のコストが高くなるとともに消費電力
が増大したり、騒音が大きくなるという問題があった。
【0007】もう一つの主要な放電生成物であるNOX
の場合には、機外排出規制は現在のところなされていな
いが、やはり画像形成装置内部の部材に悪影響を与え
る。放電が発生すると、NOX が形成されることが知ら
れているが、空気中の水分と反応して硝酸が、また、金
属と反応して金属硝酸塩が生成される。これらの生成物
は低湿環境下では高抵抗であり、放電ワイヤ等に付着す
ることで、放電が不安定となり帯電むらが生じるといっ
た不具合が発生する。また、感光体表面に硝酸又は硝酸
塩による薄い膜が形成されると、高湿環境下では画像が
流れたような異常画像が発生する。これは硝酸・硝酸塩
が吸湿することで低抵抗となり、感光体表面の静電潜像
が壊れてしまうためである。
【0008】放電ワイヤ表面に付着した付着物は、ワイ
ヤクリーニング部材を設けることで除去可能である。ま
た、感光体表面の付着物は、クリーニング時に感光体を
少しずつ削りとることで除去するといった方法が取られ
ている。しかしながら、コスト上昇や経時による劣化問
題が起こり、本質的な解決策とはなっていない。
【0009】この点、本出願人は、光触媒による放電生
成物分解作用を利用して、画像形成装置内でオゾンを分
解する方法を種々提案している。例えば、少なくとも結
着樹脂と着色剤を含有するトナー中に又は外添剤として
金属を担持した半導体粒子を含有させることにより、コ
ロナ放電で発生する放電生成物を低減させる電子写真用
現像剤(特開平5−134445号公報参照)や、像担
持体の周辺部に設けたイレーサランプ、転写前除電ラン
プ又は除電ランプの光を受ける部分の少なくとも一つの
部分に、金属を担持した半導体微粒子を塗布する等の提
案がなされている。
【0010】これらの提案例によれば、何れも画像形成
装置内でオゾンを分解されやすくすることで、帯電器等
から外に流出したオゾン濃度を低減させ、オゾンフィル
タへの負荷を少なくすることができる。
【0011】この他の従来例を列挙すると、以下のよう
なものがある。例えば、特開平5−303244号公報
によれば、定着部の排熱を利用し、NOX が硝酸塩にな
るのを防ぐようにしている。特開平6−167857号
公報によれば、定着部の排熱を利用し、放電部材のオゾ
ンの分解を行うことで感光体の劣化を防ぐようにしてい
る。特開平6−317974号公報によれば、触媒を放
電が生じている付近に配置することで、オゾンの発生を
抑えるようにしている。特開平7−134473号公報
によれば、触媒、熱を利用することで、オゾンの発生を
抑えるようにしている。特開平9−114191号公報
によれば、帯電器の表面で、感光体の帯電用とは別に沿
面グロー放電を起こすことで、NOX を分解するように
している。特開平9−138619号公報によれば、オ
ゾン吸引用のダクト内でのオゾンを、光を照射すること
で分解し、分解効率をよくすることでオゾン分解フィル
タの長寿命化を図るようにしている。特開平10−90
974号公報によれば、触媒を鋸歯電極に設けること
で、オゾンを分解するようにしている。特開平10−3
01364号公報によれば、放電部分にオゾン非発生ガ
スを流すことで、オゾンの発生を防ぐようにしている。
さらに、特開平8−23715号公報によれば、触媒を
放電器の内側に被覆することで、NOX を中和し感光体
の劣化を防ぐようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の画像形成装置や放電生成物低減方法にあって
は、何れも帯電器等から外に流出した放電生成物濃度を
低減させて、フィルタへの負荷を少なくするようにして
いるに過ぎないものであり、なお改良の余地がある。
【0013】即ち、帯電器等から外に流出した放電生成
物濃度を低減させるようにしているため、帯電器等から
流出した放電生成物は、少なからず画像形成装置内に拡
散し、光触媒と反応する確率が低下するので、放電生成
物濃度の低減効率が低く、効率的な放電生成物濃度の低
減が要望されている。
【0014】そこで、本発明は、いわゆる分離チャージ
ャ付近で発生する放電生成物であるオゾン及びNOX
濃度低下を効率よく行える画像形成装置を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
電子写真プロセスに従い第1の像担持体上に形成された
画像を第2の像担持体に転写した後、帯電装置により前
記第2の像担持体裏面に電荷を付与してこの第2の像担
持体を前記第1の像担持体から剥離しやすくする画像形
成装置において、前記帯電装置の放電箇所近傍にその放
電生成物を分解するための光触媒物質を有する。
【0016】従って、いわゆる分離チャージャ付近で発
生する放電生成物であるオゾン及びNOX をその発生個
所に非常に近い所に具備させた光触媒物質により効率よ
く分解し、その濃度を低下させることができる。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の画
像形成装置において、前記帯電装置が放電ワイヤを有す
るコロナ帯電器であり、その帯電器のケーシング内部の
内、少なくとも前記放電ワイヤに対向する面上に前記光
触媒物質を有することを特徴とする。
【0018】従って、請求項1記載の発明と同様である
が、特に、帯電器のコロナ放電により発生する光により
放電ワイヤに対向するケーシング内部面上の光触媒物質
を活性化させて、コロナ放電により発生する放電生成物
であるオゾン及びNOX を帯電器のケーシングから流出
する前に効率的に分解することができ、オゾンやNO X
が及ぼす悪影響を防止でき、画像形成装置外に流出する
オゾン及びNOX 量を低減させることができる。
【0019】請求項3記載の発明は、請求項1記載の画
像形成装置において、前記帯電装置が放電ワイヤを有す
るコロナ帯電器であり、その帯電器のケーシング内部及
びグリッドの内、少なくとも前記放電ワイヤに対向する
面に前記光触媒物質を有する。
【0020】従って、請求項1記載の発明と同様である
が、特に、帯電器のコロナ放電により発生する光により
放電ワイヤに対向するケーシング内部やグリッドの面の
光触媒物質を活性化させて、コロナ放電により発生する
放電生成物であるオゾン及びNOX を帯電器のケーシン
グから流出する前に効率的に分解することができ、オゾ
ンやNOX が及ぼす悪影響を防止でき、画像形成装置外
に流出するオゾン及びNOX 量を低減させることができ
る。
【0021】請求項4記載の発明は、請求項1記載の画
像形成装置において、前記帯電装置が放電ワイヤを有す
るコロナ帯電器であり、前記放電ワイヤが前記光触媒物
質を有する。
【0022】従って、請求項1記載の発明と同様である
が、特に、帯電器のコロナ放電により発生する光により
放電ワイヤ自身が有する光触媒物質を活性化させて、コ
ロナ放電により発生する放電生成物であるオゾン及びN
X を帯電器のケーシングから流出する前に効率的に分
解することができ、オゾンやNOX が及ぼす悪影響を防
止でき、画像形成装置外に流出するオゾン及びNOX
を低減させることができる。特に、放電ワイヤ自身が光
触媒物質を有するので、効率がよく、放電ワイヤのクリ
ーニングも不要となり、放電むらの発生も抑制できる。
【0023】請求項5記載の発明は、請求項1ないし4
の何れか一に記載の画像形成装置において、前記光触媒
物質が半導体である。
【0024】従って、請求項1ないし4の何れか一に記
載の発明を容易に実現できる。
【0025】請求項6記載の発明は、請求項5記載の画
像形成装置において、前記半導体が酸化チタンである。
【0026】従って、請求項5記載の発明を極めて容易
に実現できる。
【0027】請求項7記載の発明は、請求項6記載の画
像形成装置において、前記酸化チタンの結晶構造がアナ
ターゼ型である。
【0028】従って、請求項6記載の発明を実現する上
で、反応効率、安全性及び利用できる波長域等の点で好
適となる。
【0029】請求項8記載の発明は、請求項1ないし7
の何れか一に記載の画像形成装置において、前記帯電装
置は、そのケーシング内部に紫外線を照射する発光体を
有する。
【0030】従って、請求項1ないし7の何れか一に記
載の発明を実現する上で、発光体を備えることで光触媒
物質による放電生成物の分解効率を一層向上させること
ができる。
【0031】請求項9記載の発明は、請求項8記載の画
像形成装置において、前記発光体はその発光表面に光触
媒物質を含む。
【0032】従って、請求項8記載の発明を実現する上
で、発光体に接触したオゾン等の方殿生成物を分解させ
ることもできる。
【0033】請求項10記載の発明は、請求項8又は9
記載の画像形成装置において、前記発光体が照射する紫
外線の波長が300nm〜400nmである。
【0034】従って、請求項8又は9記載の発明を実現
する上で、発光体による光触媒物質の励起効率を向上さ
せることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態を図面に基
づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本
発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい
種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の
説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限
り、これらの態様に限られるものではない。
【0036】図1ないし図4は、本発明の画像形成装置
の一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の画像
形成装置の一実施の形態を適用した画像形成装置1の要
部構成である。
【0037】図1において、画像形成装置1は、図示し
ない本体筐体内に、時計方向に回転駆動される第1の像
担持体としての感光体2が収納されている。この感光体
2の周囲には、電子写真プロセスに従い、帯電装置3、
光書込装置4、現像装置5、転写装置6、紙分離装置1
4、クリーニング装置7及び感光体除電装置8等が配設
されているとともに、クリーニング装置7の手前にトナ
ー除電装置9が配設されている。
【0038】画像形成装置1は、第2の像担持体である
複数枚の転写紙Pを収納する給紙カセット(図示せず)
を備えており、給紙カセット内の転写紙Pは、給紙ロー
ラ(図示せず)により1枚ずつレジストローラ対(図示
せず)でタイミング調整された後、転写装置6と感光体
2の間に送り出される。
【0039】画像形成装置1は、感光体2を図1中時計
方向に回転駆動して、感光体2を帯電装置3で一様に帯
電した後、光書込装置4により画像データで変調された
レーザを照射して感光体2に静電潜像を形成し、静電潜
像の形成された感光体2に現像装置5でトナーを付着さ
せて現像する。画像形成装置1は、現像装置5でトナー
を付着してトナー画像を形成した感光体2を、転写装置
6で感光体2と転写装置6との間に搬送されてきた転写
紙Pに転写させ、トナー画像の転写された転写紙Pを定
着装置10に搬送する。
【0040】定着装置10は、内蔵ヒータにより所定の
定着温度に加熱される定着ローラ11と、定着ローラ1
1に所定圧力で押圧される加圧ローラ12とを備え、転
写装置6から搬送されてきた転写紙Pを加熱・加圧し
て、転写紙P上のトナー画像を転写紙Pに定着させた
後、図示しない排紙トレイ上に排出する。
【0041】一方、画像形成装置1は、転写装置6でト
ナー画像を転写紙Pに転写した感光体2をさらに回転し
て、トナー除電装置9で感光体2上に残留している残留
トナーの電荷を除去し、クリーニング装置7で感光体2
表面に残留するトナーをブレード13により掻き落とし
て除去した後、感光体除電装置8で除電する。画像形成
装置1は、感光体除電装置8で除電した感光体2を帯電
装置3で一様に帯電させた後、上述の場合と同様に、次
の画像形成を行う。なお、クリーニング装置7は、ブレ
ード13で感光体2上の残留トナーを掻き落とすものに
限らず、例えば、ファーブラシで感光体2上の残留トナ
ーを掻き落とすものであってもよい。
【0042】これらの帯電装置3、転写装置6、紙分離
装置14及びトナー除電装置9は、何れもコロナ放電を
利用したコロナ帯電器であり、図2に示すようなコロト
ロン或いは図3に示すようなスコロトロンが用いられて
いる。
【0043】コロトロンは、図2に示すように、転写紙
P側が開口した矩形或いは円筒形状に形成されたケーシ
ング21内の略中央部に放電ワイヤ22が収納されてお
り、放電ワイヤ22に高圧電源23から所定の高電圧が
付与されることにより、コロナ放電する。このケーシン
グ21は、アルミニウム或いはステンレス等の金属で形
成されており、感光体2側以外の部分をシールドして放
電安定性を向上させている。また、放電ワイヤ22に
は、例えばタングステン等が用いられている。
【0044】また、スコロトロンは、図3に示すよう
に、転写紙P側が開口した矩形或いは円筒形状にアルミ
ニウム或いはステンレス等の金属で形成されたケーシン
グ31内の略中央部に、タングステン等で形成された放
電ワイヤ32が収納されており、感光体2側の開口部に
グリッド33が配設されている。放電ワイヤ32には、
高圧電源34から所定の高電圧が付与され、グリッド3
3には、バリスタ35から所定の電圧が印加される。ス
コロトロンは、高圧電源34から放電ワイヤ32に所定
の高電圧を印加するとともに、グリッド33にバリスタ
35から所定の電圧を印加して、放電ワイヤ32からの
コロナ放電のイオン流をグリッド33で制御して、放電
むらをなくすとともに、感光体2表面の電位を制御す
る。
【0045】本実施の形態では、特に、帯電装置である
紙分離装置(いわゆる分離チャージャ)14では、コロ
トロン或いはスコロトロンによりコロナ放電して、転写
紙P上に電荷を与え、転写装置6で転写紙Pに与えられ
た電荷を中和し、感光体2と転写紙Pとの間の静電付着
力を弱めることで、転写紙Pを感光体2から剥離しやす
くする。
【0046】ここで、多量のオゾン並びにNOX が発生
し、前述したような不具合が発生する。
【0047】そこで、本実施の形態では、紙分離装置1
4が、上述したコロトロンで形成されるときには、その
ケーシング21の内、少なくとも放電ワイヤ22に対向
する面に、光触媒物質40を有し、また、上述したスコ
ロトロンで形成されるときには、そのケーシング31及
びグリッド33の内、少なくとも放電ワイヤ32に対向
する面に、光触媒物質40を有している。また、放電ワ
イヤ22,32自体も光触媒物質40を有している。
【0048】このような光触媒物質40としては、例え
ば、酸化チタン等のn型半導体が用いられている。この
半導体は、光が照射された状態で、放電生成物、例え
ば、オゾンが接触すると、そのオゾンを分解する作用を
有している。即ち、酸化チタン等の半導体は、バンドギ
ャップに相当する波長の光が照射されると、伝導帯に励
起され、価電子帯に正孔が生成される。この半導体の励
起された電子は、還元作用を及ぼし、金属を担持してい
る場合には、価電子帯から金属に電子が流れて、そこで
還元作用を及ぼす。このように、半導体に適当な波長の
光を照射することにより、励起された電子の還元作用に
より、放電生成物が還元分解される。
【0049】光触媒物質40としては、上述した酸化チ
タンの他に、WO3 、ZnO及びCdS等を用いること
ができる。特に、結晶構造がアナターゼ型の酸化チタン
は、反応効率、安全性及び利用できる波長域の点から好
適である。これらの光触媒物質40は、上述のものを2
種類以上混合してもよく、また、Pt、Pd、Rh及び
Nb等を混合すると、光触媒作用をさらに促進させるこ
とができる。
【0050】光触媒物質40は、化学的蒸着法、無機金
属塩の中和や加水分解、金属アルコキシドの加水分解及
び、ゾルゲル法等によりケーシング21,31やグリッ
ド33、放電ワイヤ22,32上の一部に直接形成する
ことにより、取付けることができる。また、別の基板に
形成した膜をケーシング21,31やグリッド33に接
着することで貼付けることも可能である。市販の光触媒
微粉末を、ケーシング21,31やグリッド33、放電
ワイヤ22,32上に接着することでも取付けることが
できる。さらには、ケーシング21,31、グリッド3
3、放電ワイヤ22,32を構成する材料自身に、光触
媒物質40を混合して、各部材を形成することによっ
て、各部材そのものに光触媒作用を持たせることも可能
である。
【0051】コロナ放電は、紫色に近い発光を伴い、紫
外線が放射されていることが知られており、この紫外線
によって光触媒物質40が励起され、励起された光触媒
物質40によって放電生成物を分解することができる。
【0052】次に、本実施の形態の作用について説明す
る。画像形成装置1は、紙分離装置14のコロナ放電を
行う部分のケーシング21,31やグリッド33の放電
ワイヤ22,32に面する部分、放電ワイヤ22,32
自体に光触媒物質40を具備させており、この光触媒物
質40により、ケーシング21,31内で放電生成物を
分解させるところにその特徴がある。
【0053】即ち、画像形成装置1は、図1中で時計方
向に回転駆動される感光体2を帯電装置3でコロナ放電
により一様に帯電した後、光書込装置4により画像デー
タで変調されたレーザを照射して感光体2に静電潜像を
形成し、静電潜像の形成された感光体2に現像装置5で
トナーを付着させて現像する。画像形成装置1は、現像
装置5でトナーを付着してトナー画像を形成した感光体
2を、転写装置6でコロナ放電により感光体2と転写装
置6の間に搬送されてきた転写紙Pに転写させる。転写
装置6で転写紙Pにはトナーと逆電荷が付与されるた
め、感光体2との間に静電引力が働き、転写後に紙分離
装置14で転写紙Pの裏面の電荷を除電する。即ち、紙
分離装置14ではコロナ放電により、転写紙Pの裏面電
荷を中和している。
【0054】トナー画像が転写された転写紙Pを定着装
置10に搬送し、定着装置10で転写紙P上のトナー画
像をこの転写紙Pに定着させた後、排紙トレイ(図示せ
ず)上に排出する。そして、画像形成装置1は、転写装
置6でトナー画像を転写紙Pに転写した感光体2を、さ
らに回転して、トナー除電装置9でコロナ放電により感
光体2上に残留している残留トナーの電荷を除去し、ク
リーニング装置7で感光体2表面に残留するトナーをブ
レード13により掻き落として除去した後、感光体除電
装置8で除電する。
【0055】このような電子写真方式の作像プロセスに
おいて、コロナ放電を利用する場合には、オゾン、NO
X 等の放電生成物が発生する。例えば、紙分離装置14
部分が該当する。
【0056】ここに、本実施の形態にあっては、画像形
成装置1の紙分離装置14としてコロトロンが用いられ
ているときには、ケーシング21の放電ワイヤ22に対
向する部分全面或いは一部、放電ワイヤ22の一部或い
は全面に光触媒物質40が具備されており、また、スコ
ロトロンが用いられているときには、ケーシング31及
びグリッド33の放電ワイヤ32に対向する部分全面或
いは一部、放電ワイヤ32の全面或いは一部に光触媒物
質40が具備されている。この光触媒物質40は、上述
のようにコロナ放電で発光される光が照射されると、活
性化して還元作用を発揮し、オゾンやNOX 等の放電生
成物を分解する。
【0057】従って、本実施の形態によれば、コロナ放
電により紙分離装置14のケーシング21,31内で発
生した放電生成物は、ケーシング21,31から外部に
流出する前に、ケーシング21,31内で光触媒物質4
0により効率よく分解される。その結果、例えば、オゾ
ンが感光体2表面を酸化し、画像を悪化させることを防
止することができ、また、画像形成装置1の外部にオゾ
ンが流出して、環境を悪化させることも防止できる。ま
た、NOX による硝酸、硝酸塩が感光体2表面に付着す
ることも防止でき、高湿環境での画像流れを防止でき
る。この結果、感光体クリーニングブレードによる感光
体2表面の削り取りが不要となり、その押し当て圧低減
によるブレードの長寿命化、劣化防止を図れ、かつ、押
し当て圧が強いことによるトナーの感光体2への固着を
防止し得ることにもなる。さらには、経時での硝酸や硝
酸塩による放電ワイヤ付着が発生しにくくなり、低湿環
境での放電ムラを防止することも可能となる。
【0058】なお、本実施の形態では、放電ワイヤ2
2,32の放電により発生する光を利用して光触媒物質
40を活性化させ、放電生成物を分解しているが、光触
媒物質40による放電生成物の分解効率を向上させるた
めに、図4にスコロトロンの場合について示すように、
ケーシング31内に光触媒物質40を励起させる波長を
含む光を照射する発光体としてのランプ50を設けても
よい。
【0059】このランプ50としては、例えば、光触媒
物質40としてのn型半導体が酸化チタンである場合に
は、400nm以下の波長が含まれていればよい。従っ
て、通常の蛍光灯やハロゲンランプ等を用いることがで
き、特に、紫外線ランプを用いればさらに効果的とな
る。なお、図4では、スコロトロンにランプ50を配設
させた場合の例を示しているが、図2に示したようなコ
ロトロンの場合にも同様に適用できる。
【0060】また、ランプ50の表面にn型半導体の光
触媒物質40をコーティングすると、このランプ50に
コーティングされた光触媒物質40が励起され、ランプ
50に接触したオゾンを分解させることもできる。
【0061】このようなランプ50をケーシング31内
に設けることにより、放電による発光がない場合にも、
ランプ50の光でケーシング31やグリッド33に具備
させた光触媒物質40を活性化して、オゾンを分解させ
ることができ、オゾンの分解効率を向上させることがで
きる。
【0062】なお、本実施の形態のように、紙分離装置
14のケーシング21,31内にランプ50を設けた場
合には、画像形成処理を行っている際にもランプ50を
点灯させ、光照射を行ってもよい。
【0063】また、上述した構成では、ランプ50はケ
ーシング21,31の内部に配置されているが、必ずし
もケーシング21,31の内部である必要はなく、光触
媒物質40に十分な光が照射されるならば、ケーシング
21,31の外に配置しても構わない。ケーシング2
1,31の外部に配置することで、ランプ50によって
ケーシング21,31の内部の電界分布が乱されること
がなくなり、放電ワイヤ22,32からの放電が安定化
する。また、ランプサイズの制限がなくなり、コスト低
減にもつながる。
【0064】ここに、上述したような光触媒物質40の
効果を検証するため、電子写真方式のプリンタを用いて
比較実験を行った。まず、本実施の形態による光触媒物
質40を用いていないコロナ帯電器(紙分離装置14)
単体でのオゾン濃度を測定したところ10ppmであっ
た。この帯電器のケーシング31及びグリッド33の放
電ワイヤ32に面する部分、さらに放電ワイヤ32に、
半導体の光触媒物質40を塗付するとともに、酸化チタ
ンの薄膜を表面コーティングした紫外線ランプ50を取
り付けた。そして、放電中のオゾン濃度を測定したとこ
ろ、約1/25に低下した。
【0065】また、本実施の形態による光触媒物質40
を用いていないコロナ帯電器(紙分離装置14)単体で
の、NO2 濃度を測定したところ0.12ppmであっ
た。この帯電器のケーシング31及びグリッド33の放
電ワイヤ32に面する部分、さらに放電ワイヤ32に、
半導体の光触媒物質40を塗付するとともに、酸化チタ
ンの薄膜を表面コーティングした紫外線ランプ50を取
り付けた。そして、放電中のNO2 濃度を測定したとこ
ろ、約1/10に低下した。
【0066】このように、本実施の形態によれば、いわ
ゆる分離チャージャである紙分離装置14付近で発生す
る放電生成物であるオゾン及びNOX をその発生個所に
非常に近い所に具備させた光触媒物質40により効率よ
く分解してその濃度を低下させることができる。特に、
放電ワイヤ22,32自身に光触媒物質40を具備させ
ることで、オゾン、NOX 生成個所に非常に近い所で分
解が起こるため、非常に効率がよい。また、紫外線が発
生するのも放電ワイヤ22,32からであり、効率がよ
い。
【0067】このようにNOX 濃度が低下することによ
り、まず、放電生成物の一つである硝酸、硝酸塩による
放電ワイヤ22,32の汚れが抑制され、これにより帯
電むらを抑制できる。また、放電ワイヤ22,32のク
リーニング装置が不要となり、大幅なコスト削減並びに
メンテナンス低減を図れ、部品点数が減る。さらには、
コロナ帯電器は長時間使用していると、放電にむらが生
じ帯電が不均一になる。これは、放電ワイヤ22,32
上にSiなどの化合物が積層し、放電の強度が不均一に
なるためである。しかし、上述のように、光触媒物質4
0を具備することで、放電ワイヤ22,32上に形成さ
れるSi化合物の生成を抑制でき、放電ワイヤ22,3
2の長寿命化を図ることもできる。
【0068】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、第2の像
担持体裏面に電荷を付与してこの第2の像担持体を第1
の像担持体から剥離しやすくする帯電装置の放電箇所近
傍にその放電生成物を分解するための光触媒物質を有す
るので、いわゆる分離チャージャ付近で発生する放電生
成物であるオゾン及びNOX をその発生個所に非常に近
い所に具備させた光触媒物質により効率よく分解し、そ
の濃度を低下させることができる。
【0069】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明と同様な効果が得られるが、特に、帯電器のコ
ロナ放電により発生する光により放電ワイヤに対向する
ケーシング内部面上の光触媒物質を活性化させて、コロ
ナ放電により発生する放電生成物であるオゾン及びNO
X を帯電器のケーシングから流出する前に効率的に分解
することができ、オゾンやNOX が及ぼす悪影響を防止
でき、画像形成装置外に流出するオゾン及びNOX 量を
低減させることができる。
【0070】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の発明と同様な効果が択られるが、特に、帯電器のコ
ロナ放電により発生する光により放電ワイヤに対向する
ケーシング内部やグリッドの面の光触媒物質を活性化さ
せて、コロナ放電により発生する放電生成物であるオゾ
ン及びNOX を帯電器のケーシングから流出する前に効
率的に分解することができ、オゾンやNOX が及ぼす悪
影響を防止でき、画像形成装置外に流出するオゾン及び
NOX 量を低減させることができる。
【0071】請求項4記載の発明によれば、請求項1記
載の発明と同様な効果が得られるが、特に、帯電器のコ
ロナ放電により発生する光により放電ワイヤ自身が有す
る光触媒物質を活性化させて、コロナ放電により発生す
る放電生成物であるオゾン及びNOX を帯電器のケーシ
ングから流出する前に効率的に分解することができ、オ
ゾンやNOX が及ぼす悪影響を防止でき、画像形成装置
外に流出するオゾン及びNOX 量を低減させることがで
き、特に、放電ワイヤ自身が光触媒物質を有するので、
効率がよく、放電ワイヤのクリーニングも不要となり、
放電むらの発生も抑制できる。
【0072】請求項5記載の発明によれば、請求項1な
いし4の何れか一に記載の画像形成装置において、光触
媒物質が半導体であるので、請求項1ないし4の何れか
一に記載の発明を容易に実現できる。
【0073】請求項6記載の発明によれば、請求項5記
載の画像形成装置において、半導体が酸化チタンである
ので、請求項5記載の発明を極めて容易に実現できる。
【0074】請求項7記載の発明によれば、請求項6記
載の画像形成装置において、酸化チタンの結晶構造がア
ナターゼ型であるので、請求項6記載の発明を実現する
上で、反応効率、安全性及び利用できる波長域等の点で
好適となる。
【0075】請求項8記載の発明によれば、請求項1な
いし7の何れか一に記載の画像形成装置において、帯電
装置は、そのケーシング内部に紫外線を照射する発光体
を有するので、請求項1ないし7の何れか一に記載の発
明を実現する上で、光触媒物質による放電生成物の分解
効率を一層向上させることができる。
【0076】請求項9記載の発明によれば、請求項8記
載の画像形成装置において、発光体はその発光表面に光
触媒物質を含むので、請求項8記載の発明を実現する上
で、発光体に接触したオゾン等の放電生成物を分解させ
ることもできる。
【0077】請求項10記載の発明によれば、請求項8
又は9記載の画像形成装置において、発光体が照射する
紫外線の波長が300nm〜400nmであるので、請
求項8又は9記載の発明を実現する上で、発光体による
光触媒物質の励起効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の概
略構成図である。
【図2】紙分離装置のコロナ帯電器としてコロトロンを
用いた場合を示す構成図である。
【図3】紙分離装置のコロナ帯電器としてスコロトロン
を用いた場合を示す構成図である。
【図4】紙分離装置のコロナ帯電器としてスコロトロン
を用いた場合の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
2 第1の像担持体 14 帯電装置 21,31 ケーシング 22,32 放電ワイヤ 33 グリッド 40 光触媒物質 P 第2の像担持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小夫 真 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 杉浦 健治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H003 AA18 BB11 BB14 BB16 CC01 DD03 EE03 EE08 2H027 ED03 ED15 ED24 ED26 EF01 JA02 JA19 JC03 JC13 2H032 AA02 BA02 BA05 BA15 BA28 BA30 DA03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真プロセスに従い第1の像担持体
    上に形成された画像を第2の像担持体に転写した後、帯
    電装置により前記第2の像担持体裏面に電荷を付与して
    この第2の像担持体を前記第1の像担持体から剥離しや
    すくする画像形成装置において、前記帯電装置の放電箇
    所近傍にその放電生成物を分解するための光触媒物質を
    有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記帯電装置が放電ワイヤを有するコロ
    ナ帯電器であり、その帯電器のケーシング内部の内、少
    なくとも前記放電ワイヤに対向する面上に前記光触媒物
    質を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装
    置。
  3. 【請求項3】 前記帯電装置が放電ワイヤを有するコロ
    ナ帯電器であり、その帯電器のケーシング内部及びグリ
    ッドの内、少なくとも前記放電ワイヤに対向する面に前
    記光触媒物質を有することを特徴とする請求項1記載の
    画像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記帯電装置が放電ワイヤを有するコロ
    ナ帯電器であり、前記放電ワイヤが前記光触媒物質を有
    することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記光触媒物質が半導体であることを特
    徴とする請求項1ないし4の何れか一に記載の画像形成
    装置。
  6. 【請求項6】 前記半導体が酸化チタンであることを特
    徴とする請求項5記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記酸化チタンの結晶構造がアナターゼ
    型であることを特徴とする請求項6記載の画像形成装
    置。
  8. 【請求項8】 前記帯電装置は、そのケーシング内部に
    紫外線を照射する発光体を有することを特徴とする請求
    項1ないし7の何れか一に記載の画像形成装置。
  9. 【請求項9】 前記発光体はその発光表面に光触媒物質
    を含むことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  10. 【請求項10】 前記発光体が照射する紫外線の波長が
    300nm〜400nmであることを特徴とする請求項
    8又は9記載の画像形成装置。
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JP2011059647A (ja) * 2009-08-10 2011-03-24 Ricoh Co Ltd コロナ帯電器および画像形成装置
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