JP2000258862A - ハロゲン化銀種粒子、該種粒子を用いて作製されたハロゲン化銀乳剤及びハロゲン化銀感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀種粒子、該種粒子を用いて作製されたハロゲン化銀乳剤及びハロゲン化銀感光材料

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JP2000258862A
JP2000258862A JP6503199A JP6503199A JP2000258862A JP 2000258862 A JP2000258862 A JP 2000258862A JP 6503199 A JP6503199 A JP 6503199A JP 6503199 A JP6503199 A JP 6503199A JP 2000258862 A JP2000258862 A JP 2000258862A
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seed grains
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Fumiyoshi Fukazawa
文栄 深沢
Hiroshi Takada
宏 高田
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一なハロゲン化銀種粒子、該種粒子を用い
て作製することにより、製造ロット間で安定した高性能
が得られるハロゲン化銀乳剤、該乳剤を用いることによ
り、長期保存時にも粒状性変動のないハロゲン化銀感光
材料を提供する。 【解決手段】 沃化銀を含むハロゲン化銀種粒子におい
て、該種粒子中の平均双晶面間距離が0.008μm以
上、該双晶面間距離の変動係数が20%未満、該種粒子
の平均厚さが0.08μm以下、該種粒子の厚さの変動
係数が20%未満であることを特徴とするハロゲン化銀
種粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀種粒
子、該種粒子を用いて作製されたハロゲン化銀乳剤及び
ハロゲン化銀感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハロゲン化銀感光材料のさらなる
向上のための手段として、ハロゲン化銀粒子の均一性を
高めることが試みられてきた。中でもハロゲン化銀粒子
サイズの均一性については、比較的多くの特許がある。
【0003】しかしながら、従来の特許に記載されてい
るようなハロゲン化銀粒子は、そのサイズが同じように
均一であっても、サイズ以外の製造ロット間のバラツキ
による差があり、必ずしも安定した(高)性能が得られ
なかった。
【0004】また、特開平6−324418号公報にお
いては、全投影面積の70%以上が平板状ハロゲン化銀
粒子であり、且つ、該平板状粒子の平均双晶面間距離が
0.008μm以上でその変動係数が35%以下である
ハロゲン化銀粒子が開示され、粒子の均一性についての
向上がはかられている。
【0005】しかしながら、上記公報には、その変動係
数が23%より小さいものは開示されておらず、また、
上記公報記載のハロゲン化銀粒子は、これまでの特許と
同様に、感光材料にそのまま組み込まれており、そもそ
もハロゲン化銀粒子の平均厚さが0.08μm以下のハ
ロゲン化銀粒子(以下、これを単に「核」ともいう)に
関する開示はない。
【0006】また、従来のサイズが均一であるハロゲン
化銀粒子を用いた感光材料においては、長期保存時に粒
状性の劣化が生じてしまっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、均一
なハロゲン化銀種粒子、該種粒子を用いて作製すること
により、製造ロット間で安定した高性能が得られるハロ
ゲン化銀乳剤、該乳剤を用いることにより、長期保存時
にも粒状性変動のないハロゲン化銀感光材料を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の項目1〜4によって達成された。
【0009】1.沃化銀を含むハロゲン化銀種粒子にお
いて、該種粒子中の平均双晶面間距離が0.008μm
以上、該双晶面間距離の変動係数が20%未満、該種粒
子の平均厚さが0.08μm以下、該種粒子の厚さの変
動係数が20%未満であることを特徴とするハロゲン化
銀種粒子。
【0010】2.ハロゲン化銀種粒子間の沃化銀含有量
の変動係数が20%未満であることを特徴とする前記1
に記載のハロゲン化銀種粒子。
【0011】3.前記1または2に記載のハロゲン化銀
種粒子を用いて作製されたことを特徴とするハロゲン化
銀乳剤。
【0012】4.支持体上に設けられた少なくとも1層
の感光性ハロゲン化銀乳剤層中に、前記3に記載のハロ
ゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀
感光材料。
【0013】以下に本発明について詳しく説明する。
【0014】ハロゲン化銀粒子は、通常、はじめに数十
nmの結晶(種粒子)を作り(以下、核形成ともい
う)、その後、それを熟成及びまたは成長させて作られ
る。我々は鋭意検討の結果、この種粒子形成(核形成)
をコントロールして、前記1に記載したようなハロゲン
化銀種粒子を作製し、その種粒子から成長させたハロゲ
ン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を用いることに
より、著しく性能的に安定したハロゲン化銀感光材料が
得られることを見いだした。
【0015】本発明のハロゲン化銀乳剤の作製に用いら
れるハロゲン化銀種粒子は沃化銀を含むものである。本
発明において沃化銀を含むとは、沃化銀粒子または沃化
銀と臭化銀、塩化銀との混晶であることを示すが、好ま
しく用いられるのは、沃臭化銀粒子である。
【0016】また、ハロゲン化銀種粒子中の沃化銀は、
X線回折などにより、検出することが出来る。本発明の
ハロゲン化銀種粒子が沃臭化銀粒子である場合は、その
沃化銀濃度が、5モル%以下が好ましい。また、ハロゲ
ン化銀種粒子間の沃化銀含有量の変動係数が20%未満
であることが好ましい。
【0017】本発明においては、前記沃化銀含有量の変
動係数は、個々のハロゲン化銀種粒子の沃化銀含有量を
任意に500個以上測定して得られた値を用いて算出す
る。
【0018】沃化銀含有量の変動係数(%)=(個々の
ハロゲン化銀種粒子の沃化銀含有量の標準偏差/個々の
ハロゲン化銀種粒子の沃化銀含有量の平均値)×100 個々の沃化銀含有量は、EPMA法(Electron
Probe Micro Analyzer法)を用
いて調べることができる。
【0019】本発明において、双晶面間距離とは、ハロ
ゲン化銀種粒子内の互いに平行な2つの双晶面間の距離
であり、互いに平行な3つ以上の双晶面を有する粒子に
おいては双晶面間の距離のうち、最も長い距離(すなわ
ち、最も離れた位置にある2つの双晶面の間の距離)を
いい、ハロゲン化銀種粒子の平均双晶面間距離とは、5
00個以上のハロゲン化銀種粒子の双晶面間距離の平均
値をいう。本発明のハロゲン化銀種粒子の双晶面間距離
は透過型電子顕微鏡を用いて、次の方法で測定すること
ができる。まず、ハロゲン化銀種粒子を基板上に塗布
し、試料を作製する。これをダイヤモンド・カッターを
用いて基板に対して垂直に連続的に切削し、厚さ0.1
μm程度の連続薄切片を得る。この切片を透過型電子顕
微鏡で観察することにより双晶面の存在及びその位置を
確認することができ、双晶面間距離を測定することがで
きる。本発明のハロゲン化銀種粒子は、全粒子数の80
%以上がハロゲン化銀種粒子内に互いに平行な2つの双
晶面を有することが好ましく、全粒子数の90%以上が
ハロゲン化銀種粒子内に互いに平行な2つの双晶面を有
することがより好ましい。また、本発明において平均双
晶面間距離は0.008μm〜0.025μmであるこ
とが好ましい。さらに本発明において全粒子数の80%
(個数)以上の双晶面間距離が0.008μm〜0.0
25μmであることが好ましい。
【0020】本発明のハロゲン化銀種粒子の双晶面間距
離の変動係数とは下式によって定義される値であり、前
述の切片試料を透過型電子顕微鏡で観察し、ハロゲン化
銀乳剤に含まれるハロゲン化銀種粒子の双晶面間隔を任
意に500個以上測定して得られた値を用いて算出す
る。
【0021】双晶面間距離の変動係数(%)=(双晶面
間距離の標準偏差/双晶面間距離の平均値)×100 本発明のハロゲン化銀種粒子の双晶面間距離の変動係数
は20%以下であり、好ましくは、18%以下であり、
更に好ましくは、15%以下である。
【0022】本発明のハロゲン化銀種粒子の厚さは上記
双晶面間距離と同様の方法で観察、測定される値で定義
する。具体的には、上記双晶面間距離を透過電子顕微鏡
で観察できるハロゲン化銀内部の双晶面と平行であり該
ハロゲン化銀種粒子の両表面にそれぞれ接する直線(平
行線)の間隔をいう。本発明のハロゲン化銀種粒子の平
均厚さとは、500個以上のハロゲン化銀種粒子の厚さ
の平均値をいう。本発明において平均粒子厚さは0.0
2μm〜0.08μmであることが好ましい。また本発
明においては、全粒子数の80%(個数)以上の粒子厚
さが0.02μm〜0.08μmであることが好まし
い。
【0023】本発明のハロゲン化銀種粒子の厚さの変動
係数とは下式によって定義される値であり、前述の切片
試料を透過型電子顕微鏡で観察し、任意に500個以上
測定して得られた値を用いて算出する。
【0024】粒子厚さの変動係数(%)=(粒子厚さの
標準偏差/粒子厚さの平均値)×100本発明のハロゲ
ン化銀種粒子の粒子厚さの変動係数は20%以下である
が、好ましくは18%以下であり、更に好ましくは、1
5%以下である。
【0025】本発明のハロゲン化銀種粒子の製造方法は
特に限定されるものではないが、銀塩水溶液導入手段、
ハロゲン化物水溶液導入手段を備えた静的混合装置を用
いて製造することが好ましい。ハロゲン化銀乳剤の製造
工程は、一般に以下の工程を含む。第一段階のハロゲン
化銀種粒子(核)生成工程において、その後のハロゲン
化銀種粒子成長の基盤となるハロゲン化銀微粒子を含む
分散物が生成される。続いて必要に応じて熟成工程が実
施される。その後、銀塩水溶液およびハロゲン化物水溶
液の添加を継続すると、第二段階のハロゲン化銀形成、
即ち成長工程段階へ移り、その工程で反応生成物として
生じた追加のハロゲン化銀が、最初に生成されたハロゲ
ン化銀種粒子(核)の上に沈積してこれら粒子のサイズ
を増大させる。
【0026】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法にお
いては、上記記載のハロゲン化銀種粒子(核)形成を、
銀塩水溶液導入手段、ハロゲン化物水溶液導入手段を備
えた静的混合装置(以下、簡便のためにこの装置を単に
「製造設備(A)」という)を用いて行うことが好まし
い。
【0027】また、第一段階のハロゲン化銀種粒子
(核)形成に引き続いて、行われる第二段階のハロゲン
化銀粒子の成長工程においては、下記のような「製造設
備(B)」が好ましく用いられる。
【0028】本発明において好ましく用いられる製造設
備(A)は、静的混合によりハロゲン化銀種粒子の核生
成工程の実施が可能な設備であり、少なくとも銀塩水溶
液導入手段とハロゲン化物水溶液の導入手段を有し、必
要に応じてハロゲン化銀の核生成に用いられるその他の
各種添加液の導入手段を有してもよい。また、必要に応
じてその他の機能を付与することも可能である。ここ
で、本発明において好ましく用いられる静的混合装置と
は、混合機内に銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液を混合
するための攪拌装置を有さない構造の混合装置である。
【0029】該混合装置はパイプ等で反応容器に接続さ
れ、混合装置で生成したハロゲン化銀微粒子を反応容器
内へ移送することが可能である。熟成工程は、生成した
ハロゲン化銀微粒子を反応容器内へ移送後に実施するこ
とが可能であり、或いは反応容器へ移送する前に熟成用
の設備を設けて行ってもよい。
【0030】製造設備(A)に適用できる静的混合装置
の一例を図1を用いて説明する。
【0031】静的混合装置A4は、少なくとも、銀塩水
溶液、好ましくは硝酸銀水溶液の導入ラインA1と、ハ
ロゲン化物水溶液、好ましくは臭素や沃素、塩素のアル
カリ金属塩水溶液、またはアンモニウム塩水溶液、或い
はそれらの混合物の導入ラインA2を有する。該ライン
には、銀塩水溶液及びハロゲン化物水溶液を静的混合装
置A4に導入するための送液手段A5を有することがで
きる。また、それ以外の添加液の導入ライン及び送液手
段を有することも可能である。
【0032】送液手段A5としては、各種添加液を加圧
して送液する形態でもよいし、一般的な可変流量型或い
は定流量型の送液ポンプを用いることもできる。より均
一なハロゲン化銀の種粒子(核)を生成するために、少
なくとも銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液をレイノルズ
数3,000以上、且つ線速度4.0m/sec以上の
条件で静的混合装置A4に送液し混合することが可能な
送液手段を用いることが好ましい。なお、均一な種粒子
(核)生成の観点から、レイノルズ数としては10,0
00以上であることが更に好ましく、特に好ましくは、
20,000以上である。同様の観点から、線速度とし
ては、更に好ましくは、5.0m/sec以上であり、
特に好ましくは、10m/sec以上である。
【0033】また、流量変動が小さな送液手段を用いる
ことは、種粒子(核)生成条件を一定に保ち均一なハロ
ゲン化銀種粒子(核)生成を行う上で有効である。種粒
子(核)生成工程実施時の流量変動幅としては±5%以
下が好ましく、流量変動が±2%以下がより好ましい。
また、送液手段としては、各種添加液に対する腐食耐性
を考慮することも大切である。
【0034】A3は、静的混合装置内の0点近傍で、少
なくとも銀塩水溶液及びハロゲン化物水溶液を静的に瞬
間混合し生成したハロゲン化銀の種粒子(核)を含む溶
液の排出ラインを表す。A3は、直接反応容器に接続さ
れていてもよいし、熟成工程を実施可能な熟成容器に接
続されていてもよい。
【0035】本発明の製造設備に用いられる静的混合装
置においては、銀塩水溶液及びハロゲン化物水溶液の添
加ラインA1及びA2を含む複数の供給管と1つの排出
管A3が結合し、且つ全ての管の中心軸が同一の点(例
えば、図中の0点)で集結した分岐管型の構造を有する
静的混合装置であることが好ましい。
【0036】種粒子(核)生成に用いられる銀塩水溶液
及びハロゲン化物水溶液のモル濃度としては、0.3モ
ル/リットル以下が好ましく、0.1モル/リットル以
下がより好ましく、0.06モル/リットル以下がさら
に好ましい。
【0037】本発明においては、特にハロゲン化銀種粒
子の形成(種粒子(核)形成ともいう)には平均分子量
が1万〜7万のゼラチンを用いることが好ましく、平均
分子量が1万〜5万のゼラチンを用いることがさらに好
ましい。ゼラチンの平均分子量を小さくするために、ゼ
ラチン分解酵素や過酸化水素等を用いてゼラチンを分解
処理できる。また、同様に種粒子(核)生成時にメチオ
ニン含有量が少ないゼラチンを用いることも好ましい。
分散媒単位重量(グラム)当たりのメチオニン含有量と
しては50μモル以下が好ましく、20μモル以下がよ
り好ましい。ゼラチン中のメチオニン含有量は、過酸化
水素等を用いてゼラチンを酸化処理することによって低
減せしめることができる。
【0038】親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチ
ン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマ
ー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシ
エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セル
ロース硫酸エステル類の如きセルロース誘導体、アルギ
ン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニル
アルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポ
リ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタ
クリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾー
ル、ポリビニルビラゾールのような単一あるいは共重合
体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることがで
きる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処
理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.
Japan.No.16.P30(1966)に記載さ
れたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼ
ラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができ
る。
【0039】種粒子(核)生成時に分散媒を存在せしめ
る方法としては、種粒子(核)生成に用いる銀塩水溶液
やハロゲン化物水溶液等の添加液のいずれか1種に分散
媒を含有させる方法、または複数の添加液に分散媒を含
有させる方法、或いは分散媒水溶液として独立に添加す
る方法等のいずれの方法も用いることができる。好まし
い方法としては、ハロゲン化物水溶液に含有させる方
法、銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液の両者に含有させ
る方法を挙げることができる。
【0040】本発明において好ましく用いられる製造設
備(B)は、ハロゲン化銀乳剤の調製が可能な設備であ
り、ハロゲン化銀粒子の成長工程を行なわしめる反応容
器と、少なくとも銀塩水溶液導入手段とハロゲン化物水
溶液の導入手段を有し、必要に応じてハロゲン化銀粒子
の成長に用いられるその他の各種添加液の導入手段を有
してもよく、反応容器内の分散媒やハロゲン化銀粒子を
含む溶液と、銀塩水溶液、ハロゲン化物水溶液、及び各
種添加液を混合するための攪拌機構を有し、また、ハロ
ゲン化銀形成過程において反応容器内の形成物に含まれ
る水または水溶性化合物の一部を除去する濃縮機構、例
えば限外ろ過装置を有するものである。
【0041】濃縮機構はパイプ等で反応容器に接続さ
れ、ポンプ等の循環機構により反応容器内の溶液を反応
容器と濃縮機構間で任意の流量で循環させ、任意に停止
させることが可能である。さらには、該濃縮機構によっ
て反応容器内の溶液から抜きとられる水または水溶性化
合物の容量を検出する装置を有し、かつその量を任意に
制御することが可能な機構を備える設備であることが好
ましい。また、必要に応じてその他の機能を付与するこ
とも可能である。
【0042】次に、本発明において好ましく用いられる
製造設備(B)に適用できるハロゲン化銀乳剤の製造設
備として、濃縮手段として限外濾過装置を有するハロゲ
ン化銀乳剤の製造設備の一例を図2を用いて説明する。
【0043】反応容器101は最初から、分散媒体10
3を含有していてもよい。この装置は反応容器101
に、少なくとも1種の銀塩水溶液、好ましくは硝酸銀水
溶液を導入するための銀添加ライン104と、少なくと
も1種のハロゲン化物水溶液、好ましくは臭素や沃素、
塩素のアルカリ金属塩水溶液、またはアンモニウム塩水
溶液、或いはそれらの混合物を導入するためのハライド
添加ライン105を有する。また、ハロゲン化銀乳剤調
製過程で、分散媒やハロゲン化銀粒子を含む溶液を攪拌
するための攪拌機構102を有する。この攪拌機構はあ
らゆる通常の様式が可能である。銀塩水溶液は銀添加ラ
イン104から、銀添加バルブ120によって制御され
た流量で反応容器に添加される。ハロゲン化物水溶液は
ハライド添加ライン105から、ハライド添加バルブ1
21によって制御された流量で反応容器に添加される。
この銀添加ライン104およびハライド添加ライン10
5を通じての溶液の添加は、液面添加でもよいが、より
好ましくは攪拌機構102近傍の液中に添加する方がよ
い。攪拌機構102は、銀塩水溶液およびハロゲン塩水
溶液を分散媒体と混合させ、可溶性銀塩が可溶性ハロゲ
ン化物塩と反応してハロゲン化銀を形成することを可能
にする。
【0044】本発明では、反応容器への銀塩水溶液およ
びハロゲン化物水溶液の添加による粒子形成過程で、反
応容器内の溶液の一部が循環ポンプ113によって、液
取り出しライン108を通して限外濾過ユニット112
に送られ、液戻しライン109を通して反応容器に戻さ
れる。その際、液戻しライン109の途中に設けられた
圧力調整用バルブ118により限外濾過ユニット112
にかかる圧力を調節して、溶液に含まれる水または水溶
性化合物の一部を限外濾過ユニットにより分離し、透過
液排出ライン110を通して系外に排出する。このよう
な方法で、反応容器への銀塩水溶液およびハロゲン化物
水溶液の添加による粒子成長過程においても、反応容器
内の溶液を任意に濃縮できる。
【0045】本発明においてこの方法を適用するときに
は、限外濾過膜によって分離される水または水溶性化合
物の透過流量(限外濾過フラックス)を任意に制御する
ことが好ましい。例えばその場合には、透過液排出ライ
ン110の途中に設けられた流量調節用バルブ119を
用いて限外濾過フラックスを任意に制御できる。その
際、限外濾過ユニット112の圧力変動を最小限に抑え
るために、透過液戻りライン111の途中に設けられた
バルブ125を開放して透過液戻りライン111を使用
しても良い。あるいは、バルブ125を閉じて透過液戻
りライン111を使用しなくとも良く、それは操作条件
により任意に選択することが可能である。また限外濾過
フラックスの検出には透過液排出ライン110の途中に
設けられた流量計114を使用しても良いし、透過液受
け容器127と秤128を用いて重量変化により検出し
ても良い。
【0046】本発明において、熟成工程及び粒子成長工
程における限外濾過装置を用いた反応容器内溶液の濃縮
は、粒子形成過程を通じて連続して実施しても良いし、
断続的に実施しても良い。但し、熟成工程及び粒子成長
工程において限外濾過法を適用する場合には、反応容器
内溶液の限外濾過装置への循環を開始した以降は、少な
くとも粒子成長終了時まで溶液の循環を継続することが
好ましい。従って、濃縮を中断している時も限外濾過装
置への溶液の循環は継続していることが好ましい。これ
は、反応容器内のハロゲン化銀粒子と限外濾過装置内の
ハロゲン化銀粒子間における成長偏在を回避するためで
ある。
【0047】同様の理由から、限外濾過装置を含む循環
ライン内を通る循環流量は十分に高くすることが好まし
い。具体的には、液取り出しライン108、液戻しライ
ン109、限外濾過ユニット112及び循環ポンプ11
3等を含む限外濾過工程中の滞留時間は、30秒以内が
好ましく、15秒以内がより好ましく、さらには10秒
以内が特に好ましい。また、限外濾過工程の容積は、反
応容器の容積の30%以下であることが好ましく、20
%以下であることがより好ましく、10%以下であるこ
とが特に好ましい。
【0048】このように、例えば限外濾過工程を適用す
ることにより、反応容器内のハロゲン化銀粒子を含む溶
液を、粒子形成中任意に濃縮することができる。また、
添加ライン107等から水を加えることによって、反応
容器内の溶液の体積を任意に保つことも、増加させるこ
とも可能である。
【0049】本発明のハロゲン化銀種粒子はそのまま感
光材料に用いることもできるが、本発明の目的効果から
は、これを感光材料の作製に用いられるハロゲン化銀粒
子の種粒子(核)として用いることが好ましい。即ち、
本発明のハロゲン化銀種粒子を種粒子(核)として、さ
らに熟成または成長させたハロゲン化銀粒子を感光材料
に用いることが好ましい。
【0050】本発明のハロゲン化銀種粒子を用いて作ら
れるハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子の全投影面
積の50%以上が、アスペクト比3以上の平板状ハロゲ
ン化銀粒子であることが好ましく、アスペクト比5以上
の平板状ハロゲン化銀粒子であることがより好ましい。
ここでアスペクト比とは、粒径と粒子厚さの比(アスペ
クト比=直径/厚さ)をいう。ここで、粒径とは、主平
面に対して垂直にその粒子を投影した場合の面積に等し
い面積を有する円の直径を意味する。本発明において
は、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、ア
スペクト比3以上の平板状ハロゲン化銀粒子であること
が好ましく、アスペクト比5以上の平板粒子であること
がより好ましい。ハロゲン化銀粒子のアスペクト比はレ
プリカ法によって求めることができる。
【0051】本発明のハロゲン化銀種粒子を用いて作ら
れるハロゲン化銀粒子は、転位線を有することができ
る。
【0052】ハロゲン化銀粒子が有する転位線は、例え
ばJ.F.Hamilton、Photo.Sci.E
ng.11(1967)57や、T.Shiozaw
a,J.Soc.Phot.Sci.Japan35
(1972)213に記載の、低温での透過型電子顕微
鏡を用いた直接的な方法により観察できる。即ち、乳剤
から粒子に転位が発生するほどの圧力をかけないように
注意して取り出したハロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡用
のメッシュに乗せ、電子線による損傷(プリントアウト
など)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により
観察を行う。この時、粒子の厚みが厚いほど電子線が透
過しにくくなるので、高加速電圧型の電子顕微鏡を用い
た法がより鮮明に観察することができる。このような方
法によって得られた粒子写真から、個々の粒子における
転位線の位置及び数を求めることができる。
【0053】転位線の数やその形態は、適宜選択でき
る。例えば、数本の転位線を含む粒子、或いは多数の転
位を含む粒子を目的に応じて選ぶことができる。また粒
子の結晶方位の特定の方向に対して直線的に導入された
転位線、或いは曲った転位線を選ぶこともできるし、粒
子全体に渡って導入する、あるいは粒子の特定の部分に
のみ導入する、例えば粒子のフリンジ部に限定して転位
線を導入する、等から選ぶこともできる。
【0054】本発明のハロゲン化銀種粒子を用いて作ら
れるハロゲン化銀粒子は、還元増感を施すことができ
る。還元増感核をハロゲン化銀粒子に付与する形態とし
ては、ハロゲン化銀粒子表面に形成する方法、ハロゲン
化銀粒子の成長過程において形成する方法等が知られて
いる。
【0055】本発明のハロゲン化銀種粒子を用いて作ら
れるハロゲン化銀粒子は、その内部または表面にドーパ
ントを含有することができる。ドーパントとしては、写
真性能上有用であることが知られている通常のドーパン
トはいずれも用いることができる。
【0056】本発明のハロゲン化銀種粒子を用いて作ら
れるハロゲン化銀粒子に対して、米国特許第4,43
5,501号、同第4,471,050号、特開平8−
69069号、同9−211762号、同9−2117
63号等の各公報に記載されているエピタキシャル乳剤
の技術を適用することができる。
【0057】本発明のハロゲン化銀種粒子を成長させ
て、平板状ハロゲン化銀粒子を得る方法としては、当該
分野でよく知られている種々の方法を用いることができ
る。すなわち、シングル・ジェット法,コントロールド
・ダブルジェット法、コントロールド・トリプルジェッ
ト法等を任意に組み合わせて使用することができるが、
高度な単分散粒子を得るためには、ハロゲン化銀粒子の
生成される液相中のpAgをハロゲン化銀粒子の成長速
度に合わせてコントロールすることが重要である。pA
g値としては7.0〜11.5の領域を使用し、好まし
くは7.5〜11.0、更に好ましくは8.0〜10.
5の領域を使用することができる。
【0058】添加速度の決定にあたっては、特開昭54
−48521号、特開昭58−49938号に記載の技
術を参考にできる。
【0059】本発明に用いられる平板状ハロゲン化銀粒
子の製造時に、アンモニア、チオエーテル等の公知のハ
ロゲン化銀溶剤を存在させることもできるし、ハロゲン
化銀溶剤を使用しなくても良い。
【0060】前記平板状ハロゲン化銀粒子は、潜像が主
として表面に形成される粒子あるいは主として粒子内部
に形成される粒子いずれであっても良い。
【0061】本発明に用いられる平板状ハロゲン化銀粒
子は、分散媒の存在下に、分散媒を含む溶液中で製造さ
れる。ここで、分散媒を含む水溶液とは、ゼラチンその
他の親水性コロイドを構成し得る物質(バインダーとな
り得る物質など)により保護コロイドが水溶液中に形成
されているものをいい、好ましくはコロイド状の保護ゼ
ラチンを含有する水溶液である。
【0062】本発明を実施する際、上記保護コロイドと
してゼラチンを用いる場合は、ゼラチンは石灰処理され
たものでも、酸を使用して処理されたものでもどちらで
もよい。ゼラチンの製法の詳細はアーサー・グアイス
著、ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼ
ラチン(アカデミック・プレス、1964年発行)に記
載がある。
【0063】保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、
アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫
酸エステル類等フ如きセルロース誘導体、アルギン酸ソ
ーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−
ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多
種の合成親水性高分子物質がある。
【0064】ゼラチンの場合は、パギー法においてゼリ
ー強度200以上のものを用いることが好ましい。
【0065】本発明のハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化
銀粒子の成長終了後に、不要な可溶性塩類を除去したも
のであってもよいし、あるいは含有させたままのもので
も良い。
【0066】また、特開昭60−138538号記載の
方法のように、ハロゲン化銀成長の任意の点で脱塩を行
なう事も可能である。該塩類を除去する場合には、リサ
ーチ・ディスクロージャー(Research Dis
closure、以下RDと略す)17643号II項に
記載の方法に基づいて行なうことができる。さらに詳し
くは、沈澱形成後、あるいは物理熟成後の乳剤から可溶
性塩を除去するためには、ゼラチンをゲル化させて行な
うヌーデル水洗法を用いても良く、また無機塩類、アニ
オン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(たとえばポリ
スチレンスルホン酸)、あるいはゼラチン誘導体(たと
えばアシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチンなど)
を利用した沈澱法(フロキュレーション)を用いても良
い。
【0067】本発明における平板状ハロゲン化銀粒子
は、粒子間の沃化銀含有率がより均一になっていること
が好ましい。EPMA法により粒子間の沃化銀含有率の
分布を測定した時に、相対標準偏差すなわち個々の粒子
の沃化銀含有率を特性値とした場合の標準偏差/平均値
×100(%)が30%以下、更に20%以下であるこ
とが好ましい。
【0068】また、本発明の構成の一つとして、全ハロ
ゲン化銀粒子の投影面積の50%以上の粒子が、粒子中
心部から粒子端部に向けて沃化銀含有率が緩慢連続変化
する平板状ハロゲン化銀粒子であるという条件を必要と
するが、該条件に関しても、測定ビーム径を充分絞っ
た、EPMA法で測定することができる。
【0069】本発明のハロゲン化銀乳剤は、単独で乳剤
層に用いる以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、
他のハロゲン化銀乳剤と混合して用いることができる。
同一乳剤層内で、他のハロゲン化銀乳剤と混合して用い
る場合、平均粒径の異なる本発明の乳剤を複数混合して
用いることは、好ましい使用形態である。
【0070】本発明乳剤の感光材料中での、好ましい使
用形態の例を以下に記す。
【0071】・同一感色性で感度の異なる2つ以上の乳
剤層に、本発明の乳剤を用いる。その場合、各層に含ま
れる本発明の乳剤の平均粒径が異なっていることが好ま
しい。
【0072】・感色性が異なり、感度が近似の2つ以上
の乳剤層に、本発明の乳剤を用いる。その場合、各層に
含まれる本発明の乳剤の平均粒径が近似であることが好
ましく、各層に同一の本発明乳剤を用いることはより好
ましい。
【0073】・すべての乳剤層に本発明の乳剤を用い
る。
【0074】本発明のハロゲン化銀乳剤は、常法により
化学増感することができる。すなわち、硫黄増感、セレ
ン増感、金その他の貴金属化合物を用いる貴金属増感法
などを単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0075】本発明のハロゲン化銀乳剤は、写真業界に
おいて増感色素として知られている色素を用いて所望の
波長域に光学的に増感できる。増感色素は、単独で用い
てもよいが2種類以上を組み合わせて用いても良い。増
感色素と共にそれ自身分光増感作用をもたない色素、あ
るいは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、増
感色素の増感作用を強める強色増感剤を乳剤中に含有さ
せても良い。
【0076】本発明のハロゲン化銀乳剤には、カブリ防
止剤、安定剤などを加えることができる。バインダーと
しては、ゼラチンを用いるのが有利である。乳剤層、そ
の他の親水性コロイド層は、硬膜することができ、ま
た、可塑剤、水不溶性または可溶性合成ポリマーの分散
物(ラテックス)を含有させることができる。
【0077】本発明のハロゲン化銀写真乳剤は、写真感
光材料に用いる事ができ、一般用および映画用カラーフ
ィルム、カラーペーパー、カラーリバーサルフィルム、
カラーリバーサルペーパーなどのカラー写真感光材料に
好ましく用いることができる。
【0078】カラー写真感光材料の乳剤層にはカプラー
が用いられる。さらに色補正の効果を有している競合カ
プラーおよび現像主薬の酸化体とのカップリングによっ
て現像促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、調色剤、硬
膜剤、カブリ剤、カブリ防止剤、化学増感剤、分光増感
剤および減感剤のような写真的に有用なフラグメントを
放出する化合物を用いることができる。
【0079】感光材料には、フィルター層、ハレーショ
ン防止層、イラジュエーション防止層等の補助層を設け
ることができる。これらの層中および/または乳剤層中
には現像処理中に感光材料から流出するか、もしくは漂
白される染料が含有されても良い。
【0080】感光材料には、マット剤、滑剤、画像安定
剤、ホルマリンスカベンジャー、紫外線吸収剤、蛍光増
白剤、界面活性剤、現像促進剤や現像遅延剤を添加でき
る。
【0081】支持体としては、ポリエチレン等をラミネ
ートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バ
ライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
【0082】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0083】実施例1 《ハロゲン化銀種粒子Aの作製》反応容器内の(B−1
01)を30℃に保ち、特開昭62−160128号公
報記載の混合攪拌装置を用いて攪拌回転数400回転/
分で攪拌しながら、濃硫酸を1/10に希釈した溶液を
7.8mlを加えてpHを調整した。反応容器内のpB
rは2.2であった。その後、30℃に保温された(S
−101)と(X−101)を、ダブルジェット法を用
いて一定の流量で2分間で添加し核形成を行った。核形
成終了後に30℃に保温された(G−101)を加え
た。
【0084】 (B−101) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.24g 臭化カリウム 0.992g 純水 1293.8ml (S−101) 硝酸銀 5.043g 純水 22.59ml (X−101) 臭化カリウム 3.462g 沃化カリウム 0.099g 純水 22.47ml (G−101) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 13.92g 下記(化合物A)の10重量%メタノール溶液 0.464ml 純水 326.6ml (化合物A) HO(CH2CH2O)m〔CH(CH3)CH2O〕20(CH2CH2O)nH (m+n=10) 以上のようにして、ハロゲン化銀種粒子Aを得た。
【0085】《ハロゲン化銀種粒子Bの作製》ハロゲン
化銀種粒子Aの作製条件のうち、温度を39℃とし、添
加時間を6分にした以外は、ハロゲン化銀種粒子Aと同
様にして、ハロゲン化銀種粒子Bを作製した。
【0086】《ハロゲン化銀種粒子Cの作製》ハロゲン
化銀種粒子Aの作製条件のうち、添加時間を6分にした
以外は、ハロゲン化銀種粒子Aと同様にハロゲン化銀種
粒子Cを作製した。
【0087】以上のように作製したハロゲン化銀種粒子
A〜Cの各特性を前述の方法にて測定し結果を表1にま
とめた。
【0088】
【表1】
【0089】さらに、これらの種粒子(核)を以下の工
程に従って成長させた。
【0090】《熟成工程》上記種粒子(核)生成工程で
混合装置から連続的に排出される種粒子(核)を全て反
応容器に導入した後、回転数400回転/分で攪拌しな
がら40℃に保温された(G−102)を加えて30分
間で60℃に昇温した。続いてアンモニア水溶液を加え
てpHを9.3に調整してさらに6分間保持した後、1
Nの硝酸水溶液を用いてpHを5.8に調整した。昇温
開始から熟成工程終了までの間、溶液の銀電位(飽和銀
−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測
定)を1Nの臭化カリウム溶液を用いて6mVに制御し
た。
【0091】 (G−102) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 353.3g 臭化カリウム 25.2g (化合物A)の10重量%メタノール溶液 11.8ml 純水 8272.0ml (粒子成長工程−1) 熟成工程終了後、続いてダブルジェット法を用いて(S
−102)と(X−102)を流量を加速しながら(終
了時と開始時の添加流量の比が約1.4倍)10分間で
添加した。添加終了後に(G−103)を加え、攪拌回
転数を550回転/分に調整した後、引き続いて(S−
103)と(X−103)を流量を加速しながら(終了
時と開始時の添加流量の比が約1.9倍)16分間で添
加した。
【0092】この間溶液の銀電位を1Nの臭化カリウム
溶液を用いて6mVに制御した。
【0093】 (S−102) 硝酸銀 215.6g 純水 965.5ml (X−102) 臭化カリウム 151.0g 純水 960.6ml (G−103) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 27.1g (化合物A)の10重量%メタノール溶液 0.83ml 純水 248.5ml (S−103) 硝酸銀 544.0g 純水 789.9ml (X−103) 臭化カリウム 373.5g 沃化カリウム 10.6g 純水 776.0ml (粒子成長工程−2) 上記添加終了後に、下記(D−101)溶液及び(D−
102)溶液を添加し、水酸化カリウム水溶液でpHを
9.3に調整してその状態で5分間保持した。続いて、
硝酸水溶液でpHを5.0に調整した後、(S−10
4)と(X−104)を流量を加速しながら(終了時と
開始時の添加流量の比が約1.2倍)26分間で添加し
た。(S−104)と(X−104)の添加の間、溶液
の銀電位は6mVに制御した。その後、3.5Nの臭化
カリウム水溶液で溶液の銀電位を−40mVまで下げ、
引き続き0.34モル相当の臭化銀微粒子ハロゲン化銀
乳剤(平均粒径0.05μm)を加えて20分間熟成を
施した。
【0094】 (D−101) 純水 552.4ml (D−102) 純水 552.4ml (S−104) 硝酸銀 380.4g 純水 552.4ml (X−104) 臭化カリウム 239.9g 沃化カリウム 37.2g 純水 540.9ml 上記成長終了後に常法に従い脱塩・水洗処理を施し、ゼ
ラチンを加えて良く分散し、40℃にてpHを5.8、
pAgを8.1に調整した。
【0095】このようにしてハロゲン化銀種粒子Aを成
長させたハロゲン化銀をハロゲン化銀乳剤Aとし、種粒
子(核)Bを成長させたものをハロゲン化銀乳剤B、種
粒子(核)Cを成長させたものをハロゲン化銀乳剤Cと
する。
【0096】これらのハロゲン化銀乳剤A、B、Cを用
いて以下の方法で塗布した。
【0097】《感光材料試料Aの作製》前記ハロゲン化
銀乳剤Aを52℃に保持しながら、下記増感色素SSD
−1、SSD−2、SSD−3を加えた。20分後、チ
オ硫酸ナトリウム、塩化金酸とチオシアン酸カリウムを
添加し、更に熟成を行った後、1−フェニル−5−メル
カプトテトラゾールと4−ヒドロキシ−6−メチル−
1,3,3a,7−テトラザインデンを加えて安定化し
た。増感色素、増感剤、安定剤の添加量と熟成時間は、
1/200秒露光時の感度−カブリ関係が最適になるよ
うに設定した。
【0098】増感処理を施した後、下記に記載のカプラ
ーMCP−1を酢酸エチル、トリクレジルフォスフェー
トに溶解しゼラチンを含む水溶液中に乳化分散した分散
物、延展剤、及び硬膜剤等の一般的な写真添加剤を加え
て塗布液を調製し、下塗りを施した三酢酸セルロースフ
ィルム支持体上に常法に従い塗布し乾燥してカラー感光
材料試料No.Aを作製した。また、同様にして前記ハ
ロゲン化銀乳剤B、Cを用いて、各々、感光材料試料
B、Cを作製した。
【0099】
【化1】
【0100】上記記載のようにハロゲン化銀乳剤A、
B、Cを用いて塗布したものを各々、感光材料試料A、
B、Cとし、これらの試料を用いて、下記のようにし
て、各々のハロゲン化銀乳剤A、B、Cの性能を評価し
た。
【0101】上記記載の感光材料試料を各々、2部に分
け、1部は23℃、55%RHの雰囲気に保存し、他方
は50℃、55RH%の雰囲気に5日間保存した。この
2部の試料を、色温度5400Kの光源を用い東芝ガラ
スフィルター(Y−48)を通してウェッジ露光を行
い、下期の処理工程に従って現像処理を行った。得られ
た各試料の粒状性はRMSで評価した。
【0102】 (処理工程) 処理工程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 3分15秒 38±0.3℃ 780ml 漂 白 45秒 38±2.0℃ 150ml 定 着 1分30秒 38±2.0℃ 830ml 安 定 1分 38±5.0℃ 830ml 乾 燥 1分 55±5.0℃ − *補充量は感光材料1m2当たりの値である。
【0103】発色現像液、漂白液、定着液、安定液及び
その補充液は、以下のものを使用した。
【0104】 発色現像液及び発色現像補充液 現像液 補充液 水 800ml 800ml 炭酸カリウム 30g 35g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 3.0g 亜硫酸カリウム 3.0g 5.0g 臭化ナトリウム 1.3g 0.4g 沃化カリウム 1.2mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 3.1g 塩化ナトリウム 0.6g − 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N− (β−ヒドロキシルエチル)アニリン硫酸塩 4.5g 6.3g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 2.0g 水を加えて1lとし、水酸化カリウムまたは20%硫酸
を用いて発色現像液はpH10.06に、補充液はpH
10.18に調整する。
【0105】 漂白液及び漂白補充液 漂白液 補充液 水 700ml 700ml 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g 175g エチレンジアミン四酢酸 2g 2g 硝酸ナトリウム 40g 50g 臭化アンモニウム 150g 200g 氷酢酸 40g 56g 水を加えて1lとし、アンモニア水または氷酢酸を用い
て漂白液はpH4.4に、補充液はpH4.0に調整す
る。
【0106】 定着液及び定着補充液 定着液 補充液 水 800ml 800ml チオシアン酸アンモニウム 120g 150g チオ硫酸アンモニウム 150g 180g 亜硫酸ナトリウム 15g 20g エチレンジアミン四酢酸 2g 2g アンモニア水または氷酢酸を用いて定着液はpH6.2
に、補充液はpH6.5に調整後、水を加えて1lとす
る。
【0107】 安定液及び安定補充液 水 900ml p−オクチルフェノールのエチレンオキシド10モル付加物 2.0g ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製L−77) 0.1g アンモニア水 0.5ml 水を加えて1lとした後、アンモニア水または50%硫
酸を用いてpH8.5に調整する。
【0108】《粒状性の評価》各現像済み試料の最小濃
度+0.1の濃度のRMSを測定した。RMS値は、各
試料の測定位置をイーストマンコダック社製ラッテン9
9フィルターを装着したマイクロデンシトメータ(スリ
ット幅10μm、スリット長180μm)で走査し、濃
度測定サンプリング数1000以上の濃度値の標準偏差
として求めた。
【0109】各試料においてRMS値を求め、23℃、
55%RHに保存した試料AのRMS値を100とする
相対値で示した。RMS値は値が小さいほど粒状性に優
れていることを意味する。得られた結果を表2にまとめ
た。
【0110】
【表2】
【0111】表2より、本発明のハロゲン化銀種粒子C
を熟成−成長させて得られた本発明の乳剤Cを用いて作
製した本発明の試料Cは粒状性が優れ、強制劣化条件下
においても劣化幅が少ないことが明かである。
【0112】実施例2 《ハロゲン化銀種粒子Dの作製》図1のような静的混合
装置に、39℃に保たれた下記の銀塩水溶液(S−20
1)とハロゲン化物水溶液(X−201)を等しい流量
で10分間で添加した。銀塩水溶液とハロゲン化物水溶
液の静的混合装置への送液条件は、Re数13700、
線速度11.0m/secであった。また、混合時のp
Hが3.0になるように(S−201)液に硫酸を加え
た。
【0113】 (S−201) 硝酸銀 7.8g 純水 1026.2ml (X−201) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万、メチオニン含有量約55μ モル/g) 12.5g 臭化カリウム 10.9g 沃化カリウム 0.31g 純水 1026.7ml 核生成工程で連続法核生成設備から連続的に排出される
核乳剤を全て、特開昭62−160128号公報記載の
混合攪拌装置に導入した後、攪拌回転数400回転/分
で攪拌しながら、30℃に保温した。
【0114】上記記載のようにして、ハロゲン化銀種粒
子Dを得た。
【0115】《ハロゲン化銀種粒子Eの作製》ハロゲン
化銀種粒子Dの作製条件のうち、温度を30℃とし、添
加時間を10分にした以外は、ハロゲン化銀種粒子Dと
同様にして、ハロゲン化銀種粒子Eを作製した。
【0116】《ハロゲン化銀種粒子Fの作製》ハロゲン
化銀種粒子Dの作製条件のうち、温度を30℃とし、添
加時間を6分にした以外は、ハロゲン化銀種粒子Dと同
様にして、ハロゲン化銀種粒子Fを作製した。
【0117】《ハロゲン化銀種粒子Gの作製》ハロゲン
化銀種粒子Fの作製条件のうち、(X−201)に換え
て(X−301)を用いた以外は、ハロゲン化銀種粒子
Fと同様にして、ハロゲン化銀種粒子Gを作製した。
【0118】 (X−301) アルカリ処理不活性ゼラチン (平均分子量4万、メチオニン含有量<1μモル/g) 81.9g 臭化カリウム 132.3g 純水 6827.0ml 以上のように作製したハロゲン化銀種粒子D〜Gの各特
性を前述の方法にて測定し結果を表3にまとめた。
【0119】
【表3】
【0120】更に、実施例1と同様の熟成−成長工程を
経て、ハロゲン化銀種粒子D〜Gを成長させた。
【0121】このようにして成長させたハロゲン化銀を
ハロゲン化銀乳剤D、E、F、Gとする。
【0122】これらのハロゲン化銀乳剤D、E、F、G
を用いて実施例1と同様に試料を作製し、同様にして、
評価した。
【0123】得られた結果を表4に示す。
【0124】
【表4】
【0125】表4より、本発明のハロゲン化銀種粒子を
熟成−成長させて得られた本発明の乳剤F、Gは粒状性
が優れ、強制劣化条件下においても劣化幅が少ないこと
が明らかである。
【0126】
【発明の効果】本発明により、均一なハロゲン化銀種粒
子、該種粒子を用いて作製することにより、製造ロット
間で安定した高性能が得られるハロゲン化銀乳剤、該乳
剤を用いることにより、長期保存時にも粒状性変動のな
いハロゲン化銀感光材料を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる、静的混合によりハロゲン
化銀粒子の核生成工程の実施が可能な設備である製造設
備(A)の一例を示す概略図である。
【図2】本発明のハロゲン化銀乳剤の調製が可能な(す
なわち、核生成工程は本発明の製造設備(A)で実施
し、熟成工程以降或いは粒子成長工程からを実施するこ
とが可能な)設備である製造設備(B)の一例を示す概
略図である。
【符号の説明】
A1 銀塩水溶液導入ライン A2 ハロゲン化物水溶液導入ライン A3 溶液排出ライン A4 静的混合装置 A5 送液手段 101 反応容器 102 攪拌機構 103 分散媒体 104 銀添加ライン 105 ハライド添加ライン 106 分散媒体添加ライン 107 添加ライン 108 液取り出しライン 109 液戻しライン 110 透過液排出ライン 111 透過液戻りライン 112 限外濾過ユニット 113 循環ポンプ 114 流量計 115、116、117 圧力計 118 圧力調整用バルブ 119 流量調節用バルブ 120 銀添加バルブ 121 ハライド添加バルブ 122 液抜き取りバルブ 123、124、125 バルブ 126 限外濾過透過液 127 透過液受け容器 128 秤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沃化銀を含むハロゲン化銀種粒子におい
    て、該種粒子中の平均双晶面間距離が0.008μm以
    上、該双晶面間距離の変動係数が20%未満、該種粒子
    の平均厚さが0.08μm以下、該種粒子の厚さの変動
    係数が20%未満であることを特徴とするハロゲン化銀
    種粒子。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銀種粒子間の沃化銀含有量の
    変動係数が20%未満であることを特徴とする請求項1
    に記載のハロゲン化銀種粒子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のハロゲン化銀
    種粒子を用いて作製されたことを特徴とするハロゲン化
    銀乳剤。
  4. 【請求項4】 支持体上に設けられた少なくとも1層の
    感光性ハロゲン化銀乳剤層中に、請求項3に記載のハロ
    ゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀
    感光材料。
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