JP2000256611A - 艶消し被覆材用組成物 - Google Patents

艶消し被覆材用組成物

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JP2000256611A
JP2000256611A JP11063832A JP6383299A JP2000256611A JP 2000256611 A JP2000256611 A JP 2000256611A JP 11063832 A JP11063832 A JP 11063832A JP 6383299 A JP6383299 A JP 6383299A JP 2000256611 A JP2000256611 A JP 2000256611A
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monomer
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emulsion
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English (en)
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Masafumi Achinami
政史 阿知波
Koichi Fukushima
浩一 福島
Mitsutaka Hasegawa
三高 長谷川
Takenao Yamamura
武尚 山村
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1工程で基材に塗装することが可能で、得られ
る塗膜が、艶消し表面を有し、耐汚染性及び耐白化性に
優れ、さらに基材に吸水防止性能をも付与することが可
能な水系の艶消し被覆材用組成物の提供。 【解決手段】アルコキシシリル基を有する共重合体、一
般式;RnSi(R’)4−n(但し、nは1又は2の整
数であり、Rは安定な疎水性基であり、R’は加水分解
性基である。)で表わされる化合物及び/又は当該化合
物のオリゴマーからなる加水分解性シラン化合物並びに
粉末状シリカ微粒子の水性分散体である艶消し被覆材用
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保存安定性に優
れ、一材で基材に対して浸透型吸水防止層と当該吸水防
止層の耐候性等を補完する塗膜層を形成することがで
き、当該塗膜が耐汚染性及び耐白化性にも優れる艶消し
被覆材用組成物に関するものであり、種々の技術分野で
適用可能なものであり、特に土木・建築の分野で賞用さ
れ得るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンクリート等の建築・土木材
料には、その表面保護を目的として、まずコンクリート
表面に撥水・吸水防止を目的として、撥水剤、吸水防止
剤等を塗布し、当該乾燥表面上に、意匠性、防水性及び
耐候性等を付与するために、表面被覆用塗料が塗布され
ている。
【0003】撥水剤及び吸水防止剤としては、アルコキ
シシランに代表される加水分解性シラン化合物が多く使
用されている。当該加水分解性シラン化合物は、石造物
やコンクリート等の多孔質材料に塗布されると、当該多
孔質材料の細孔に浸透し、その細孔中で基材と結合を形
成しつつ三次元化するため、耐久性に優れる防水層を形
成し、さらに外観が変わらないという特長を有するもの
である。
【0004】一般に、これら加水分解性シラン化合物
は、種々の有機溶剤で希釈されるか、又はエマルション
として使用されているが、近年、環境保護及び安全衛生
等の問題から、エマルションのものが好ましく使用され
てきている。エマルションとして使用される例として
は、例えば、HLBが4〜15の乳化剤を用いたシラン
系水性エマルション(特開昭62−197369)や非イ
オン性乳化剤とアニオン性乳化剤を組み合わせたシラン
系水性エマルション(特開平3−232527)等が報告
されている。
【0005】次に、表面被覆用塗料としては、種々の樹
脂からなる塗料が使用されているが、特に耐候性を要求
される屋外塗装の用途においては、フッ素系樹脂やアク
リルシリコン樹脂からなる溶剤系塗料や水性塗料が使用
されている。しかしながら、自動車排ガス、砂塵、鉄
粉、酸性雨及び太陽光線等により、塗膜表面に汚染物質
が堆積したり、雨筋状の汚れが堆積したりすることで美
観が損なわれるという問題が顕在化しており、耐汚染性
に優れる材料が要求されている。有機溶剤型のアクリル
シリコン樹脂塗料の上記問題の解決策として、アクリル
シリコン樹脂をベース樹脂とし、アルキルシリケート又
は部分加水分解物及び硬化触媒からなる塗料組成物が提
案されている(特開平6−248237号)。しかしなが
ら、これは塗膜に親水性と水中撥油性を付与し、塗膜が
雨水で濡れ次いで汚染物質が雨水と共に流れ落ちる、い
わゆるローリングアップ機構によって汚れを除去するも
のであるが、塗膜のリコート性が不充分だったり、塗料
の保存安定性が経時的に低下する等、これまでのところ
耐汚染性が充分に満足できる塗料は開発されていない。
【0006】一方、表面被覆用塗料においても、従来の
有機溶剤を使用した塗料に代わって水性塗料が注目され
ており、アクリルシリコン樹脂エマルションからなる組
成物が提案されている。しかしながら、アクリルシリコ
ン樹脂はその水性化が困難であったり、得られるエマル
ションの保存安定性に問題を有するものであった。さら
に、従来のアクリルシリコン樹脂エマルションは、その
塗膜が耐水性及び耐溶剤性を有するものの、耐汚染性の
点では不充分なものであった。
【0007】さらに又、アクリルシリコン樹脂エマルシ
ョンからなる組成物において、塗膜に艶消し表面が要求
される場合には、艶消し剤としてポリエチレンワックス
の水分散体等を配合した組成物が知られているが、当該
組成物は、降雨等により塗膜表面が白化してしまうとい
う問題を有しているものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】さらに、コンクリート
等の表面に、撥水剤等を塗布し、当該乾燥表面上に表面
被覆用塗料が塗布する方法は、撥水剤等の塗布工程及び
表面被覆用塗料の塗布工程と、施工が2工程になるた
め、作業が煩雑になったり施工に時間を要するという問
題があり、又撥水剤等の被膜が撥水性を有するため、そ
の上に水系の表面被覆用塗料を塗装することが困難であ
った。本発明者らは、安全性及び保存安定性に優れ、1
工程で基材に塗装することが可能で、得られる塗膜が、
艶消し表面を有し、耐汚染性及び耐白化性に優れ、さら
に又基材に吸水防止性能をも付与することが可能な水系
の艶消し被覆材用組成物を見出すため鋭意検討を行った
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の検
討の結果、前記課題を解決するためには、アルコキシシ
リル基を有する共重合体、加水分解性シラン化合物及び
粉末状シリカ微粒子を含有するエマルションからなる艶
消し被覆材用組成物が、保存安定性に優れ、得られる塗
膜が耐汚染性及び耐白化性に優れ、基材に吸水防止性能
をも付与することができることを見出し本発明を完成し
た。以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書にお
いては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル
を(メタ)アクリル酸エステルといい、アクリル酸又はメ
タクリル酸を(メタ)アクリル酸という。
【0010】
【発明の実施の形態】1.アルコキシシリル基を有する
共重合体 本発明におけるアルコキシシリル基を有する共重合体
〔以下(A)成分という〕としては、種々の共重合体が使
用可能であり、アルコキシシリル基を有するラジカル重
合性単量体及び当該単量体と共重合可能なラジカル重合
性単量体との共重合体等、種々の共重合体を使用するこ
とができる。以下単量体について説明する。
【0011】1-1.アルコキシシリル基を有するラジカル
重合性単量体 アルコキシシリル基を有するラジカル重合性単量体〔以
下単量体(a)という〕としては、種々の化合物が使用可
能である。単量体(a)におけるラジカル重合性基として
は、エチレン性不飽和基が好ましく、より好ましくはビ
ニル基及び(メタ)アクリロイル基である。アルコキシシ
リル基におけるアルコキシ単位としては、例えばメトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンタ
ノキシ基及びヘキサノキシ基等が挙げられる。これらの
中でも、炭素数4以下のアルコキシ基が、反応性に優れ
るため好ましく、メトキシ基より安定性に優れ、ブトキ
シ基より反応性に優れることから、エトキシ基又はプロ
ポキシ基がより好ましい。ケイ素原子と結合するアルコ
キシ基の数は1〜3の範囲であれば幾つでもよいが、硬
化性に優れるため、2個又は3個が好ましい。単量体
(a)の具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラ
ン、ビニルメチルジプロポキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリプロポキシシラン及びγ−メタクリロ
キシプロピルメチルジプロポキシシラン等を挙げること
ができる。
【0012】1-2.単量体(a)と共重合可能なラジカル重
合性単量体 上記単量体(a)と共重合可能なラジカル重合性単量体
〔以下単量体(b)という〕としては、(メタ)アクリル酸
エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン
及びα−メチルスチレン等が挙げられる。(メタ)アクリ
ル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸nブチル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル及び(メタ)
アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル及び(メタ)アク
リル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒ
ドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸パーフルオロアル
キル、(メタ)アクリル酸グリシジル、並びに(メタ)アク
リル酸N,N−ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0013】これら単量体(b)の中でも、共重合性及び
塗膜物性等に優れるため、(メタ)アクリル酸エステル及
びスチレンが好ましく、より好ましくは、炭素数が1〜
8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、炭
素数が2〜3のアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸
ヒドロキシアルキル及び(メタ)アクリル酸グリシジルで
ある。一方、アルコキシリル基との反応性又は加水分解
促進性を有する(メタ)アクリル酸のような酸性単量体は
使用しないことが望ましい。
【0014】1-3.製造方法 本発明における(A)成分は、界面活性剤の存在下に、単
量体を水性媒体中でラジカル重合して得ることができ
る。界面活性剤としては、通常の乳化重合において汎用
されるアニオン系、ノニオン系及びカチオン系等の各種
界面活性剤を用いることができる。本発明において、組
成物中の(A)成分の割合は5〜70重量%が好ましく、
より好ましくは15〜60重量%である。(A)成分の割
合が5重量%に満たないと、1回塗布当たりの膜厚が薄
くなり施工回数が増すため経済的でなく、他方70重量
%を越えると、得られる塗膜の膜厚が厚くなったり、白
化等の問題を起こす場合がある。
【0015】1-3-1.ラジカル重合性界面活性剤 本発明においては、得られる組成物が安定なものとな
り、又塗膜の耐水性及び耐候性に優れるため、前記重合
で使用する界面活性剤としてラジカル重合性界面活性剤
を用いることが好ましい。ラジカル重合性界面活性剤
〔以下界面活性剤(c)という〕としては、下記一般式
(1)で表されるポリオキシアルキレン基とイオン性解離
基を含有するアニオン性又はカチオン性の界面活性剤が
好ましい。
【0016】
【化1】Z−(AO)n−Y・・・・・(1)
【0017】(式中、Zはラジカル重合性二重結合を有
する有機基、AOはオキシアルキレン基、nは2以上の
整数、Yはイオン解離性基を示す) 前記一般式(1)における好ましいZは、芳香族炭化水素
基、アルキル置換芳香族炭化水素基、高級アルキル基又
は脂環式炭化水素基等の疎水性基とラジカル重合性二重
結合とが組み合わされた有機基である。Zにおけるラジ
カル重合性二重結合としては、アリル基、メタリル基、
プロペニル基又はブテニル基等が好ましい。
【0018】本発明における界面活性剤(c)の好ましい
イオン性はアニオンであり、したがってYとしては、基
(AO)nとアニオン性の基で結合可能であり、当該アニ
オン性の基にカチオンがイオン結合した塩が好ましい。
好ましいYの具体例としては、−SO3Na、−SO3
4、−COONa、−COONH4、−PO3Na2及び
PO3(NH4)2等が挙げられ、さらに好ましくは−SO3
Na又は−SO3NH4である。基(AO)nにおけるnは
2以上の整数である。nが1の場合は単量体(a)中のア
ルコキシシリル基が不安定になり分解し易くなってしま
う。好ましいnとしては、300以下であり、さらに好
ましくは5〜50である。nが5未満であると、単量体
(a)中のアルコキシシリル基の安定性が不足し易くなる
場合があり、一方nが300を越えると得られる組成物
から形成される塗膜の物性が低下する傾向を示すことが
ある。又、基(AO)nにおける単位A、すなわちアルキ
レン基としては、エチレン基又はプロピレン基が好まし
い。
【0019】界面活性剤(c)の具体例としては、例えば
下記式(2)〜(4)で表される化合物等が挙げられる。式
(2)及び(3)において、R1及びR2は、炭素数6〜18
の直鎖状又は分岐状アルキル基である。(4)において、
3は水素原子又はメチル基であり、R4は、炭素数8〜
24のアルキル基である。又、式(2)〜(4)において、
1、A2及びA3は、アルキレン基を示し、又いずれの
化合物においてもnは2以上の整数である。又、式(2)
〜(4)において、Y1、Y2及びびY3はイオン解離性基
を示し、その具体例としては、前記Yと同様のものを挙
げることができる。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】これら界面活性剤(c)は市販されており、
例えば下記式(5)で表されるアクアロン〔第一工業製薬
(株)製〕及び式(6)で表されるアデカリアリープ〔旭電
化工業(株)製〕等がある。アクアロンHS05、同HS
10及び同HS20は、それぞれ式(5)において、ポリ
オキシエチレン基の縮合度であるnが5、10及び20
のものであり、アデカリアリープSE−10Nは、式
(6)において、nが10の化合物である。
【0024】
【化5】
【0025】式(5)の化合物は、式(2)において、R1
がノニル基、A1がエチレン基、Y1がSO3NH4の例で
ある。
【0026】
【化6】
【0027】式(6)の化合物は、式(3)において、R2
がノニル基、A2がエチレン基、Y2がSO3NH4の例で
ある。
【0028】ここで、各成分の使用割合としては、単量
体(a)、単量体(b)及び界面活性剤(c)の合計量〔以下
(a)、(b)、(c)合計量という〕を基準にして、単量体(a)
が0.5〜49.5重量%の範囲であることが好ましく、
より好ましくは3〜20重量%、単量体(b)が99〜5
0重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは
96〜75重量%、及び界面活性剤(c)が0.5〜20重
量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜
5重量%の範囲である。上記単量体(a)の共重合割合が
0.5重量%未満であると、得られる組成物の硬化性が
不充分となり、その塗膜に白化を生じる場合があり、一
方49.5重量%を越えると貯蔵安定性が低下し易くな
る場合がある。単量体(b)の割合が50重量%未満であ
ると、得られる組成物の造膜性及び塗膜の基材に対する
密着性等が劣ることがある。界面活性剤(c)の割合が、
0.5重量%未満であると重合安定性が低下し易く、一
方20重量%を越えると塗膜の耐水性が不足することが
ある。
【0029】1-3-2.ミクロ懸濁重合 単量体(a)、単量体(b)及び界面活性剤(c)をラジカル重
合する方法としては、種々の方法が採用され、油溶性重
合開始剤を使用して油溶性の前記単量体の微粒子中で重
合させるミクロ懸濁重合、乳化剤によるミセル中で水溶
性重合開始剤による単量体を重合させる乳化重合等が採
用できるが、単量体(a)の重合安定性に優れるため、ミ
クロ懸濁重合を採用することが好ましい。ミクロ懸濁重
合においては、単量体の分散粒子中に油溶性ラジカル重
合開始剤が含まれているため、重合は各単量体分散微細
粒子内で起こるもので、乳化剤が形成するミセル内で水
溶性開始剤により重合が起こる乳化重合法とは区別され
るものである。
【0030】ミクロ懸濁重合をするためには、先ず単量
体(a)、単量体(b)及び油溶性ラジカル重合開始剤からな
る混合物を、界面活性剤(c)により水性媒体中に、好ま
しくはpH緩衝剤を溶解させた水性媒体中に分散させ乳
化物とする。この単量体等の水性媒体中への分散操作に
おいて、界面活性剤(c)は、単量体等に配合しても、p
H緩衝剤と同様に事前に水性媒体中へ溶解させておいて
も良い。乳化物における水性媒体の割合は、単量体(a)
及び単量体(b)の合計量100重量部当り、20〜15
0重量部程度が適当である。
【0031】ミクロ懸濁重合に使用される油溶性ラジカ
ル重合開始剤は、20℃の水に対する溶解度が10重量
%以下のものが好ましく使用される。例えば、2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−
2,4ジメチルバレロニトリル、1ーアゾビス−1−シ
クロヘキサンカルボニトリル及びジメチル−2,2’−
アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、ラウロイル
パーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパー
オキシド、シクロヘキサノンパーオキシドジ−n−プロ
ピルパーオキシジカルボネート及びt−ブチルパーオキ
シピバレート等の有機過酸化物が好適に用いられる。こ
れら重合開始剤の量は、単量体の合計量に対して0.1
〜10重量%が適当であり、好ましくは0.5〜5重量
%の範囲に設定される。
【0032】この場合、単量体(a)におけるアルコキシ
シリル基の安定化のため、pH緩衝剤を配合することが
好ましい。pH緩衝剤は水性乳化分散体における水性媒
体のpHを中性乃至弱アルカリ性領域、具体的にはpH
6〜10に保持するために適した緩衝機能があるものが
好ましく使用される。この種のpH緩衝剤としては、有
機酸、無機酸、塩基及びこれらの塩等が挙げられる。無
機酸としては、炭酸、燐酸、硫酸及びヒドロ硫酸等が挙
げられる。有機酸としては、炭素数1〜6のオルガノ
−、モノ又はポリカルボン酸、有機酸の塩としては、炭
素数2〜30のアルキレンイミノポリカルボン酸のモノ
又はポリアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアミ
ン塩等が挙げられる。塩基としては、アンモニア、炭素
数1〜30の有機塩基等が挙げられる。本発明では、無
機酸の塩を使用することが好ましく、具体的には、炭酸
水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、
ホウ酸ナトリウム、燐酸1、2又は3ナトリウム、燐酸
1、2又は3カリウム、燐酸アンモニウムナトリウム、
硫酸1又は2ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、酢酸アンモニウム、酢酸カルシウム、ぎ酸ナトリウ
ム、硫化1又は2ナトリウム、アンモニア、モノ、ジ又
はトリエチルアミン、モノ、ジ又はトリエタノールアミ
ン、(エチレンジニトリロ)4酢酸ナトリウム塩(E.D.
T.A.ナトリウム)、ピリジン、アニリン及び珪酸ナト
リウム等が挙げられ、少量の添加でpHが安定する炭酸
水素ナトリウムを用いることが特に好ましい。pH緩衝
剤は2種以上組み合わせて使用することもでき、例えば
炭酸水素ナトリウムとリン酸一ナトリウムの併用によ
り、pHを7.5の近傍に維持できる。pH緩衝剤の好
適な使用量は、水に対して0.01〜5重量%の範囲で
ある。pH緩衝剤の使用により、水性乳化分散体におけ
る水性媒体のpHは6〜10の範囲に制御され、単量体
(a)又は該単量体を一成分とする共重合体におけるアル
コキシシリル基の加水分解が抑制される。
【0033】単量体等の乳化分散の方法としては、通常
の回転式ホモミキサーで十分に乳化分散させることがで
きる。単量体等からなる分散質の粒子径としては、より
小さいことが好ましく、具体的には1μm以下が好まし
く、より好ましくは0.2〜0.05μmである。この様
な粒子径のエマルションとすることにより、重合後に得
られる乳化分散体の粒子径を小さくすることができ、さ
らにこれから得られる塗膜が耐溶剤性及び耐水性に優れ
るものとなる。この様な粒子径にするためには、回転式
ホモミキサーによる処理後に、高圧式乳化分散機(ホモ
ジナイザー)、タービン型ミキサー等高度の剪断エネル
ギーを有する分散装置を用いて粒子径を微細化すること
が望ましい。
【0034】上記操作により得られる単量体等からなる
乳化物の重合操作は、乳化物を攪拌下に加熱されている
水性媒体中に連続的又は間欠的に供給する方法で行われ
る。乳化物の供給方法としては、滴下ロートから徐々に
滴下する手段を採ることが好ましい。この際、重合容器
に仕込む水性媒体の好ましい量は、乳化物100重量部
当たり10〜50重量部の範囲である。重合温度は、用
いる重合開始剤によって異なるが、通常40〜100℃
程度であり、好ましくは70〜90℃である。
【0035】当該重合方法により、平均粒径が0.1μm
程度の共重合体粒子が安定に乳化分散した水性分散液
が製造される。
【0036】2.加水分解性シラン化合物〔以下(B)成
分という〕 本発明で使用する加水分解性シラン化合物は(以下単に
シラン化合物ともいう)は、下記一般式(7)で表わさ
れる化合物及び/又は当該化合物のオリゴマーからなる
ものであり、基材に対して吸水性及び撥水性を付与する
成分である。オリゴマーは、下記一般式(7)で表わさ
れる化合物の2量体以上の縮合物であり、好ましいオリ
ゴマーは、2〜10量体である。10量体を超えるオリ
ゴマーを使用する場合は、得られる組成物の吸水防止性
能が低下することがある。
【0037】
【化7】RnSi(R’)4-n・・・・(7)
【0038】ここで、式(7)において、Rは加水分解を
起こし難く、安定な疎水基であり、炭素数1〜30のア
ルキル基、置換アルキル基又はアリール基である。アル
キル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オク
チル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキ
サデシル基、オクタデシル基及びエイコシル基等を挙げ
ることができる。置換アルキル基としては、ハロゲン化
アルキル基、芳香族置換アルキル基等が挙げられる。ハ
ロゲン化アルキル基としては、上記アルキル基のフッ素
化物、塩素化物及び臭素化物等があり、具体的には3−
クロロプロピル基、6−クロロヘキシル基及び6,6,
6−トリフルオロヘキシル基等を挙げることができる。
芳香族置換アルキル基としては、ベンジル基、4−クロ
ロベンジル基及び4−ブロモベンジル基等のハロゲン置
換ベンジル基等を挙げることができる。アリール基とし
ては、フェニル基、トリル基、メシチル基及びナフチル
基等が挙げられる。R’は、加水分解性基であり、炭素
数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒ
ドロシキル基及びカルボキシル基である。アルコキシ基
の例としては、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ
基等が挙げら、ハロゲン原子としては、塩素原子又は臭
素原子が好ましい。これらの中でも、組成物の基材に対
する吸水防止機能に優れる点で、アルコキシ基が好まし
い。シラン化合物が複数個のR又はR’を持つ場合は、
それぞれは同一であっても異なっていても良い。nは1
又は2である。nが0のものは、得られる組成物の塗膜
の撥水性及び防水性が十分でないという問題がある。
【0039】(B)成分の具体例としては、下記に示す化
合物又はこれらのオリゴマーが好適なものとして挙げる
ことができる。
【0040】○式(7)において、Rがアルキル基、ハロ
ゲン化アルキル基又は芳香族置換アルキル基で、R’が
アルコキシ基で、nが1のシラン化合物の例 Rがアルキル基の例としては、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチル−トリ−n−プ
ロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、エチル−トリ−n−プロポキシシラ
ン、プロピルトリエトキシシラン、プロピル−トリ−n
−プロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチ
ルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラ
ン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリ
メトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シ
クロヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキ
シシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリ
イソプロポキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキ
シシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメ
トキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキ
サデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキ
シシラン及びエイコシルトリメトキシシラン等が挙げら
れる。Rがハロゲン化アルキル基の例としては、6−ク
ロロヘキシルトリメトキシシラン及び6,6,6−トリ
フルオロヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Rが芳香族置換アルキル基の例としては、ベンジルトリ
メトキシシラン、4−クロロベンジルトリメトキシシラ
ン、4−クロロベンジルトリエトキシシラン及びロモベ
ンジルトリ−n−プロポキシシラン等が挙げられる。
【0041】○式(7)おいて、Rがアルキル基で、R’
がハロゲン原子で、nが1のシラン化合物の例 ドデシルトリクロロシラン、ドデシルトリブロモシラン
等が挙げられる。
【0042】○式(7)において、Rがアリール基で、
R’がアルコキシ基で、nが1のシラン化合物の例 フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシ
ラン等が挙げられる。
【0043】○式(7)において、Rがアルキル基で、
R’がアルコキシ基で、nが2のシラン化合物の例 ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジブチルジメトキシシラン及びジイソブチルジメト
キシシラン等が挙げられる。
【0044】本発明では、式(7)において、Rがアルキ
ル基、R’がアルコキシ基で、nが1のシラン化合物、
即ちアルキルトリアルコシキシランを使用することが、
保存安定性に優れ、粒子径の小さいエマルションが得ら
れるためより好ましい。
【0045】これらシラン化合物は、2種以上を併用す
ることもできる。
【0046】本発明で使用されるシラン化合物は、製造
時の不純物である加水分解物、縮合物(二量体、三量体
など)や残留触媒等を含んでいるものであっても良い。
【0047】本発明において、組成物中の(B)成分の割
合は5〜60重量%が好ましく、より好ましくは8〜4
5重量%である。(B)成分の割合が5重量%に満たない
場合は、基材への浸透性が低下し、他方60重量%を越
えると共重合体の硬化性が低下したり及び塗膜が形成さ
れ難くなる場合がある。
【0048】2-1.シラン化合物の水性分散液 本発明の組成物の製造において、(B)成分は、好ましく
はシラン化合物の水性分散液として使用される。シラン
化合物の水性分散液は、種々の方法により製造されたも
のが使用できる。
【0049】シラン化合物の水性分散液においては、シ
ラン化合物を水性エマルションないしはそれに近い状態
にする目的で、乳化剤を配合する。当該乳化剤として
は、ノニオン性、アニオン性及びカチオン性の何れのタ
イプのものも使用可能である。これらの中でもノニオン
性乳化剤を使用したシラン化合物の水性分散液は乳化安
定性が優れており好ましい。ノニオン性及びアニオン性
乳化剤を使用する場合には、加水分解縮合反応が比較的
早く発生し効力が低下してしまうので、調製後速やかに
使用することが好ましい。ノニオン性乳化剤としては、
HLB=4〜22のタイプのもの、又はそれらの混合物
が好適に使用される。具体例としては、ポリオキシエチ
レンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノラ
ウレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレート及びポリオキシエチレ
ンソルビタンモノステアレート等が挙げられる。その他
の乳化剤のHLBとしては1.5〜22のものが好まし
く、より好ましくは4〜15である。乳化剤はシラン化
合物に対して0.1〜50重量%に範囲で使用すること
が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。乳
化剤の種類及び濃度は、使用する加水分解性シラン化合
物により変化するため、乳化剤を使用するに当たって
は、実験的に検討し決定することが好ましい。これら乳
化剤は2種以上を併用することもできる。
【0050】シラン化合物の水性分散液において、シラ
ン化合物の割合は、1〜65重量%であることが好まし
く、より好ましくは5〜50重量%であり、分散媒の水
は、35〜99重量%が好ましく、より好ましくは50
〜95重量%である。シラン化合物の割合が1重量%に
満たない場合は、得られる組成物が基材に対して吸水防
止性等の所望の性能を発現し難くなることがあり、他方
65重量%を越える場合には、シラン化合物の乳化が困
難になったり、得られる水性分散液や組成物が不安定で
分離し易くなることがある。
【0051】シラン化合物の水性分散液の製造方法とし
ては、例えば、特開平1−292089号公報や特開昭
62−197369号公報に記載されているような、乳
化剤を必要に応じて水に分散させ、これにシラン化合物
を加え、高速撹拌して乳化する方法等が挙げられる。当
該分散液の分散粒子の粒子径としては、1μm以下が好
ましく、より好ましくは0.5μm以下である。粒子径
が1μmを越えるものは、得られる水性分散液が分離し
易い不安定なものとなる場合がある。
【0052】シラン化合物の水性分散液は、必要に応じ
て、他の乳化剤、保護コロイド剤等を通常の割合含有し
ても良い。又、水性分散液中の加水分解性シラン化合物
の加水分解反応を抑制する目的で、pH緩衝剤を配合す
ることが好ましい。pH緩衝剤としては、前記共重合体
の製造方法の項で挙げたものと同様のものが使用可能で
あり、無機酸の塩を使用することが好ましく、少量の添
加でpHが安定する炭酸水素ナトリウムを用いることが
特に好ましい。緩衝剤の配合割合は、通常のシラン系水
性エマルションに添加されている割合でよく、具体的に
は水性分散液中に0.01〜5重量%が好ましい。この
他にも、防黴剤、殺菌剤、フレグランス、着色剤、シッ
クナー、発泡剤、消泡剤、カップリング剤、殺生物剤、
潤滑剤、付着剤、増粘剤、撥水剤等を吸水防止剤の性能
を損わない程度添加することもできる。
【0053】又、これらシラン化合物の水性分散液は、
市販のシリコーン系及びシラン系の撥水剤及び吸水防止
剤が使用可能であり、具体的にはタイトシラン〔東洋イ
ンキ(株)〕やアクアプルーフ〔東亞合成(株)〕等が挙げ
られる。
【0054】3.粉末状シリカ微粉末〔以下(C)成分と
いう〕 粉末状シリカ微粉末は、本発明の(A)成分の共重合体及
び(B)成分のシラン化合物とからなる組成物の塗膜に、
艶消し効果を付与すると同時に、さらに耐水性、耐白化
性及び耐汚染性を付与する成分である。他方、コロイド
状のシリカを使用した場合には、艶消し性が不十分とな
ってしまう。本発明における粉末状シリカ微粉末は、5
〜30nmの一次粒子が凝集した二次粒子として平均粒
子径10μm以下のものが好ましく、より好ましくは5
μm以下のものである。粉末状シリカ微粉末の二次平均
粒子径が10μmを超えるものは、艶消し効果が低下す
ると共に、透明性のある塗膜が得られにくくなる場合が
ある。粉末状シリカ微粒子は、微粉ケイ酸とも呼ばれる
ものである。粉末状シリカ微粒子において、合成シリカ
としては、湿式法により得られる含水ケイ酸と乾式法に
より得られる無水ケイ酸があるが、中でも含水ケイ酸で
中和沈殿法により得られる沈降製タイプのシリカ及びゾ
ル−ゲル法によって選られるゲルタイプのシリカが好ま
しい。更に粉末状シリカ微粒子としては、適切な艶消し
効果が得られ、エマルションに悪影響を与えないもので
あり、組成物中で凝集したり、沈降したりしないものを
選定することが好ましい。市販されている粉末状シリカ
微粒子としては、サイリシア〔富士シリシア化学(株)
製〕、ミズカシル〔水澤化学工業(株)製〕及びアエロジ
ル〔日本アエロジル(株)製〕等がある。
【0055】組成物中の(C)成分の配合割合としては、
(A)成分100重量部に対し、1〜50重量部が好まし
く、より好ましくは3〜10重量部である。この割合が
1重量部未満であると艶消し効果が得られないことがあ
り、他方50重量部を越えると塗膜が脆くなることがあ
る。
【0056】4.艶消し被覆材用組成物の製造方法 本発明の組成物の製造方法としては、共重合体の水性分
散液、シラン化合物の水性分散液及び粉末状シリカ微粒
子を混合する方法が、製造が容易であるという理由で好
ましい。
【0057】本発明では、組成物に造膜助剤を配合する
ことが好ましい。造膜助剤は通常水性塗料で用いられて
いるものが使用でき、例えば、炭素数5〜10の直鎖
状、分岐状又は環状の脂肪族アルコール類、芳香族基を
含有するアルコール類;一般式HO−(CH2CHXO)n
−R5(R5:炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキ
ル基、X:水素又はメチル基、n≦5の整数)で示され
るエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコ
ールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエーテ
ル及びポリプロピレングリコールモノエーテル等のグリ
コールモノエーテル類;一般式R6COO−(CH2CH
XO)n−R7(R6、R7:炭素数1〜10の直鎖又は分岐
状のアルキル基、X:水素又はメチル基、n≦5の整
数)で示されるエチレングリコールエーテルエステル、
プロピレングリコールエーテルエステル、ポリエチレン
グリコールエーテルエステル及びポリプロピレングリコ
ールエステル等のエーテルエステル類;トルエン及びキ
シレン等の芳香族系有機溶剤、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオールのモノ又はジイソブチレー
ト、3−メトキシブタノール、3−メチキシブタノール
アセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール及び
3−メチル−3−メトキシブタノールアセテート等が挙
げられる。
【0058】本発明の組成物は、共重合体中のアルコキ
シシリルシリル基の加水分解によって生じるシラノール
基が主体となって起こる縮合反応により硬化するが、必
要に応じて硬化触媒を配合することもできる。硬化触媒
として、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタ
ネート及びイソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェ
ート)チタネート等の有機チタネート化合物、ジオクチ
ル酸錫、ジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫マレー
ト等の有機錫化合物並びにパラトルエンスルフォン酸等
の有機酸触媒を挙げることができる。又、前記硬化触媒
とともに、本発明組成物の使用に際し、適当量の無機酸
を加え、組成物のpHを3〜5程度の酸性域に調整すれ
ば、一層架橋性が改善された被膜を作製することが可能
となる。又、これらの触媒や酸の添加は、組成物を構成
するシラン化合物の基材との反応を促進させる。
【0059】本発明の組成物には、必要に応じてカラー
クリア又はエナメル化するための顔料、殺生物剤、沈降
防止剤、シランカップリング剤、エチルシリケート等の
オルガノシリケート又はその縮合物、消泡剤、増粘剤、
防黴剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レ
ベリング剤、スリップ剤、たれ防止剤、色別れ防止剤、
酸化防止剤、熱安定剤等の通常水性塗料で使用される添
加剤を配合しても良い。又、塗膜の艶消し性に悪影響を
与えない程度の量で、コロイド状シリカをさらに配合す
ることもできる。
【0060】本発明の組成物は艶消し被覆材として使用
するものであり、適用できる基材としては、石材、セメ
ントコンクリート、セメントモルタル、ガラス、スレー
ト、金属、木材、煉瓦、ブロック、瓦、プラスチック等
が挙げられ、特に、石材、セメントコンクリート及びセ
メントモルタル等の多孔質無機材料に好ましく適用でき
る。又、その用途としては、建材用のエナメル、カラー
クリアあるいはクリア塗料、耐酸性雨用塗料及び防汚性
塗料等が挙げられ、特に建築用塗料として好ましく使用
することができる。
【0061】本発明の組成物の塗装は、水性塗料で通常
行われている方法に従えば良く、例えばスプレー塗装、
はけ塗り、ローラー等によって塗装することができる。
この場合、塗料の膜厚としては、目的に応じて選択すれ
ば良いが、下地保護性、乾燥性のバランスの点から10
〜200μmであることが好ましい。
【0062】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。尚、各例において、部は重量部
を意味し、%は重量%を意味する。 ○製造例1(共重合体の水性分散液の製造) ・単量体の乳化物の製造 単量体(a)、単量体(b)、界面活性剤(c)、油溶性ラジカ
ル重合開始剤及び水性媒体を表1に示す配合量で混合
し、ホモミキサーで混合したのち、さらにホモジナイザ
ー〔ゴーリン社製〕で乳化分散処理を施し、pH8.5
の単量体の乳化物を調製した。
【0063】
【表1】
【0064】・重合反応 攪拌機、温度計及び冷却器を備えたフラスコに水性媒体
として脱イオン水40部を仕込み、液温を85℃に昇温
した後、水性媒体を高速で攪拌しながら上記の単量体の
乳化物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃の
温度に2時間保持して共重合させ、次いで室温まで冷却
した。重合中、フラスコ内壁に凝集物が僅かに付着した
が、液分離及びブロッキングは起こらず、重合は安定に
行われた。この重合操作により、樹脂固形分が40重量
%、重合体粒子の平均粒径が0.11μmで、pHが8.
5の共重合体の水性分散液を得た。
【0065】○製造例2(シラン化合物の水性分散液の
製造) ヘキシルトリエトキシシラン200gと乳化剤であるH
LB=15のポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル8gとを混合し、当該混合物を、pH緩衝剤の炭酸
水素ナトリウム(水性分散液における含有量が0.1%
となる量)を含む脱イオン水292gに添加し、高速攪
拌した。得られたシラン化合物の水性分散液は、シラン
化合物の濃度が40%で、平均粒径は0.3μmであっ
た。
【0066】○実施例1 製造例で得られた共重合体の水性分散液50部とシラン
化合物の水性分散液50部を(混合後の水性分散液中の
共重合体及びシラン化合物の濃度はいずれも20%)混
合した(以下エマルション混合液という)。上記混合液1
00部に対して、二次平均粒子径が2μmの粉末状シリ
カ微粒子を5部の割合で添加し、撹拌混合してエマルシ
ョンである組成物を得た。得られた組成物を、下記に従
い評価した。それらの結果を表2に示す。
【0067】○評価 組成物の安定性 得られた組成物を密封容器に入れて1ケ月間60℃の温
度に保持した後、目視により分離状況を確認した。
【0068】耐白化性試験 スレート板に、得られた組成物を1m2当り300g塗
布し、1日乾燥(20℃、60%R.H.)養生して試験体
Aを作製した。試験体Aを1時間清水(20℃)に浸漬
した後、白化の有無を確認した。
【0069】浸透深さ モルタル板に得られた組成物を1m2当り300g塗布
し、7日間乾燥(20℃、60%R.H.)養生した後、割
裂し、断面に水を噴霧して、撥水部分の深さを測定し
て、浸透深さとした。
【0070】耐酸性 耐水性試験と同様の試験体Aの塗膜に対して、5%硫酸
を1滴滴下し、60℃で10分間保持し塗膜の状態を観
察し、次の三段階で評価した。 ○;変化無し、△;痕が着く、×;塗膜が浮く又は剥が
れる
【0071】吸水防止性 モルタル板に得られた組成物を1m2当り300g塗布
し、7日間乾燥(20℃、60%R.H.)養生して、エポ
キシ樹脂塗料にて塗布面以外の5面をシールし、重量を
測定した。当該試験体の塗布面を下にして清水(20℃)
中半没し、7日後に取り出して重量測定し、浸漬前後の
重量増加を浸漬前の重量で除し100を乗じて吸水率と
して測定した。
【0072】鏡面光沢度の測定(艶消し性) モルタル板に得られた組成物を1m2当り300g塗布
し、7日間乾燥(20℃、60%R.H.)養生した後、入
射角と受光角とが60°の時の反射率を測定し、鏡面光
沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率数を
鏡面光沢度とした。
【0073】耐汚染性 耐汚染性の評価は、JIS A 5307(コンクリート境界ブロ
ック)の片面歩車道境界ブロックに得られた組成物を塗
布した後、7日間乾燥(20℃、60%R.H.)養生し、
次いで名古屋市南部工業地帯において、6ケ月間屋外暴
露試験を行い、曝露後の外観を室内で保存したものと目
視による比較を行った。 ○;汚れ付着殆どなし(室内保存品と同じ)、△;若干
汚れ付着、×;汚れ付着
【0074】○実施例2 実施例1のエマルション混合液100部に対して、二次
平均粒子径が5μmの粉末状シリカ微粒子を10部添加
し、撹拌混合してエマルションである組成物を得た。得
られた組成物について、実施例1と同様に評価を行った
結果を表2に示す。
【0075】○比較例1 実施例1におけるエマルション混合液のみを使用し、実
施例1と同様に評価を行った結果を表2に示す。
【0076】○比較例2 実施例1におけるエマルション混合液100部に、コロ
イド状シリカ〔スノーテックス40、日産化学(株)製、
固形分SiO2換算で40重量%〕を3部添加し、攪拌
混合してエマルションである組成物を得た。得られた組
成物について、実施例1と同様に評価を行った結果を表
2に示す。
【0077】○比較例3 実施例1におけるエマルション混合液100部に、ポリ
エチレンワックスの40%水分散体を25部添加し、攪
拌混合してエマルションである組成物を得た。得られた
組成物について、実施例1と同様に評価を行った結果を
表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
【発明の効果】本発明の艶消し被覆材用組成物は、水系
であるため、安全性に優れ、環境への問題がなく、又保
存安定性に優れるものである。又、本発明の組成物は、
形成される塗膜が、耐汚染性及び耐白化性に優れる高品
質の塗膜物性を有し、同時に基材に吸水防止性能を付与
することが可能であり、特に屋外用塗料等として有用な
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山村 武尚 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成株式会社名古屋総合研究所内 Fターム(参考) 4J038 CL001 DL031 HA446 JC32 KA09 KA20 MA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルコキシシリル基を有する共重合体、一
    般式;RnSi(R’)4 -n(但し、nは1又は2の整数で
    あり、Rは安定な疎水性基であり、R’は加水分解性基
    である。)で表わされる化合物及び/又は当該化合物の
    オリゴマーからなる加水分解性シラン化合物並びに粉末
    状シリカ微粒子の水性分散体であることを特徴とする艶
    消し被覆材用組成物。
  2. 【請求項2】アルコキシシリル基を有する共重合体が、
    下記一般式で示されるラジカル重合性界面活性剤に由来
    する構成単量体単位を有することを特徴とする請求項1
    記載の艶消し被覆材用組成物。 一般式;Z−(AO)n−Y (式中、Zはラジカル重合性二重結合を有する有機基、
    AOはオキシアルキレン基、nは2以上の整数、Yはイ
    オン解離性基を示す。)
  3. 【請求項3】アルコキシシリル基を有する共重合体が、
    油溶性ラジカル重合開始剤とラジカル重合性界面活性剤
    を含む単量体の乳化物を、加熱された水性媒体中に滴下
    することにより前記単量体を重合させて得られたもので
    あることを特徴とする請求項2記載の艶消し被覆材用組
    成物。
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