JP3201511B2 - コンクリート用表面仕上げ材料 - Google Patents

コンクリート用表面仕上げ材料

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JP3201511B2 JP08378696A JP8378696A JP3201511B2 JP 3201511 B2 JP3201511 B2 JP 3201511B2 JP 08378696 A JP08378696 A JP 08378696A JP 8378696 A JP8378696 A JP 8378696A JP 3201511 B2 JP3201511 B2 JP 3201511B2
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    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/46Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with organic materials
    • C04B41/49Compounds having one or more carbon-to-metal or carbon-to-silicon linkages ; Organo-clay compounds; Organo-silicates, i.e. ortho- or polysilicic acid esters ; Organo-phosphorus compounds; Organo-inorganic complexes

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート用表
面仕上げ材料、詳しくはモルタルを含む硬化コンクリー
トの表面仕上げ材料であって、一材で浸透性吸水防止剤
(撥水剤)と当該撥水層の耐候性を補完する成膜剤(コ
ート剤)との機能とを併わせ持ったところのコンクリー
ト用表面仕上げ材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来使用されているモルタルを含む硬化
コンクリート用表面仕上げ材料としては、必要に応じて
下地処理されたコンクリート表面に、吸水防止層付与を
目的としたシラン系化合物からなる浸透性吸水防止剤の
所謂撥水剤を1ないし2回塗布し、次に濡れ色防止、耐
久性及び意匠性付与を目的とした成膜性を有する溶剤系
のアクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂あるい
はフッ素樹脂塗装材の所謂コート材を1〜3回重ねて
塗布し、仕上げるのが一般的である。つまり、機能の異
なる二材を別工程でもって塗重ねていって撥水層の上を
コート材層が覆う所謂複合仕上材層を仕上げるものとな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、同種材料の塗
重ね工程はおおむね1日以内であるが、異種材料塗重
る前記表面仕上げ方法では1〜2日が必要なため、施
工工程が天候に左右されやすく、工程も煩雑になり易
い。又、このような施工工程の多さから、工事費に占め
る施工費の割合が大きくなり、施工品質への影響も否め
ない。更に、使用材料によっては各工程内、工程間の処
理面と無処理面との判別が困難であることから、無駄塗
りしがちとなり使用量が多くなり易い。加えて、この種
の材料にあっては、有機溶剤を使用した材料がほとんど
であるため、人体への悪影響や環境汚染などが懸念され
いる。シラン系化合物がコンクリート等の建築・土木
材料の浸透性吸水防止材として有用であることは広く知
られており、表面のみに防水性を与える撥水剤に比べ
て、浸透性吸水防止材はコンクリート等の表層部に厚い
疎水層を設けるため吸水防止性能が長期にわたって持続
し、塩分や水分の浸透による種々の劣化現象を抑制でき
る。一般的には、これらシラン系化合物を種々の溶剤で
希釈したものを用いていたが、このような溶剤型の組成
物は用いる溶剤の毒性、揮発性および引火性等の性質に
よりその使用範囲に制限があった。例えば、比較的毒性
の少ないイソプロピルアルコールを溶剤に用いた場合、
蒸発が急速であるため基材への浸透が制限される等の問
題点があった。逆に揮発しにくい溶剤を用いた場合は塗
工面が湿潤状態になり乾燥し難く、また、一般的に溶剤
型は濡れたコンクリート表面には塗布できない等の問題
点があった。
【0004】そこで、近年これら材料の水性化が提案さ
れ、実用化されつつあるが、シラン系化合物からなる浸
透性吸水防止剤及び成膜機能を有するアクリルシリコン
樹脂共に、アルコキシシリル基を含有するとしているた
め、水性化による該基の加水分解性に由来する貯蔵安定
性の低下及び水性化の際に使用する乳化剤に起因する耐
水性等の低下等に問題がある。つまり、各材の水性化に
ついてのみでも未だこれらを満たす材料が実用化されて
いないのが現状である。
【0005】なお、複数塗り所謂リコート性の良否は、
品質確保上極めて重要であるが、従来のものにあって
は、先行塗布剤の表面形成膜によって浸透が阻害される
ため一般的にリコート性は良好ではない。本発明は、叙
上の実情に鑑みなされたもので、シラン系化合物からな
る浸透性吸水防止剤及び成膜機能を有するアクリルシリ
コン樹脂の水性化を達成すると共に、これ等機能の異な
る二材を混合して一材にして、1材の塗布でもって一気
に複合仕上材層を形成し得て、施工費並びに材料使用量
の大幅低減を奏することができると共にリコート性が良
好な画期的なコンクリート用表面仕上げ材の提供を目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のコンクリート用表面仕上げ材は、ミクロ懸濁
重合により得られたアルコキシシリル基を有するアクリ
ル系共重合体及び加水分解性の官能基を有するシラン化
合物の水性乳濁液からなるとしたものである。上記の水
性乳濁液は、ミクロ懸濁重合により得られたアルコキシ
シリル基を有するアクリル系共重合体の水性乳濁液及び
加水分解性の官能基を有するシラン化合物の水性乳濁液
を混合して得られたものとすると良い。
【0007】上記のアルコキシシリル基を有するアクリ
ル系共重合体の水性乳濁液は、水性媒体中で好ましくは
pH緩衝剤の存在下に、下記ラジカル重合性成分a〜d
をミクロ懸濁重合により共重合させてなるものである a:ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン b:上記成分aと共重合可能なビニル単量体 c:分子の片末端に上記成分aと共重合可能なラジカル
重合性基を有する平均縮合度が3以上のポリエステル又
はポリアルキレンオキシド d:一般式;Z−(AO)n −Y で表わされるラジカル重合性界面活性剤 式中、Zは上記成分aと共重合可能なラジカル重合性二
重結合を有する構造単位、AOはオキシアルキレン基、
nは2以上の整数、Yはイオン解離性基を示す。
【0008】上記のアルコキシシリル基を有するアクリ
ル系共重合体において、ラジカル重合性成分a〜dの共
重合割合が、それらの合計量を基準にして、aが1〜4
0重量%、bが50〜97重量%、cが1〜40重量%
及びdが0.2〜20重量%であると良い。上記のアル
コキシシリル基を有するアクリル系共重合体において、
ラジカル重合性成分bが、炭素数1〜8のアルキル基を
有する(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、炭素数
2〜3のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリ
ル酸とヒドロキシアルキル及びグリシジル(メタ)アク
リレートからなる群から選ばれた1種又は2種以上の単
量体であると良い。
【0009】上記の加水分解性を有するシラン系化合物
の水性乳濁液が下記成分e〜hを含有する水性乳濁液で
あるとしたものである。 e:加水分解性の官能基を有するシラン化合物 f:HLB約1.5〜20を有する乳化剤又は該乳化剤
の混合物 g:緩衝剤 h:水 上記の加水分解性の官能基を有するシラン化合物eはそ
の乳濁液の1〜60重量%、乳化剤fがeの0.5〜5
0重量%、緩衝剤gがe、f、g及びhの総重量の0.
01〜5重量%であると良い。
【0010】上記の加水分解性の官能基を有するシラン
化合物eは下記の構造式で示される化合物の単量体、二
量体、三量体、及び/又はそのオリゴマーであると良
い。 Rn −Si−(R1)4-n 式中、nは1、2あるいは3の整数である。Rは、アル
キル基、フェニル基等の炭化水素系置換基等の安定な疎
水性基である。R1 は、メトキシ基及びエトキシ基等の
アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アセト
キシ基、カルボキシル基、並びにイソシアネート基等の
加水分解性の置換基である。
【0011】本発明者らは、モルタルを含む硬化コンク
リートにおける適切な表面仕上げ材料を求めるべく種々
検討していたところ、上記構成の機能の異なる硬化性ア
クリルシリコンの水性乳濁液及び加水分解性の官能基を
有するシラン化合物の水性乳濁液の混合物が、従来の材
料に比較して、貯蔵安定性、耐水性、耐久性などに優れ
ているばかりではなく、1材塗布で複合仕上材層を一気
に形成し得て、施工工程の短縮材料使用量低減化、など
が可能であることを見出し、さらにはリコート性の具備
を発見し本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下説明す
る。本発明で使用するミクロ懸濁重合により得られた
ルコキシシリル基を有するアクリル系共重合体(以下ア
クリルシリコン共重合体という)は、下記a〜dの共重
合体が好ましい。 a:ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン 本発明における成分aは、前記のとおり、ラジカル重合
性基を有するアルコキシシラン(以下アルコキシシラン
単量体という)であり、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラ
ン、ビニルメチルジプロポキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリプロポキシシランおよびγ−メタクリ
ロキシプロピルメチルジプロポキシシラン等が挙げられ
る。
【0013】好ましい成分aは、アルコキシ基がメトキ
シ基またはエトキシ基であるアルコキシシラン単量体で
ある。 b:ビニル単量体 上記成分aと共重合させるビニル単量体bとしては、
(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチ
ル,(メタ)アクリル酸nブチル,(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸
ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル,(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸
2−ヒドロキシプロピル,(メタ)アクリル酸パーフル
オロアルキル,グリシジル(メタ)アクリレート,(メ
タ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等の(メ
タ)アクリル酸エステル類,酢酸ビニル,プロピオン酸
ビニル,スチレンおよびα−メチルスチレン等が挙げら
れる。
【0014】好ましいビニル単量体bは、重合体に造膜
性を付与する単量体であり、具体的には、炭素数1〜8
のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル,ス
チレン,炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有する
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルおよびグリシジ
ル(メタ)アクリレートである。一方、アルコキシリル
基の加水分解を促進させる(メタ)アクリル酸のような
酸性単量体は使用しないことが望ましい。
【0015】c:ポリエステルまたはポリアルキレンオ
キシド 本発明における成分cは、分子の片末端に上記成分aと
共重合可能なラジカル重合性基を有する平均縮合度が3
以上のポリエステルまたはポリアルキレンオキシド(以
下これらをそれぞれポリエステル単量体およびポリアル
キレンオキシド単量体という)であり、ラジカル重合性
基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0016】ポリエステル単量体のポリエステル部分を
形成する好ましい単量体単位は、オキシカルボン酸およ
びラクトンであり、該ポリエステル部分の好ましい平均
縮合度は、3〜100であり、さらに好ましくは3〜8
である。また、ポリアルキレンオキシド単量体における
ポリアルキレンオキシドを形成する好ましい単量体単位
は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであ
り、該ポリアルキレンオキシドの好ましい平均縮合度
は、3〜200である。
【0017】ポリエステル単量体またはポリアルキレン
オキシド単量体を構成する各単量体単位の縮合度が、2
以下であると得られる硬化性エマルジョンからは、耐酸
性に優れる被膜が得られない。本発明において、特に好
ましくは、下記化1または化2で表される平均縮合度が
3〜8のポリカプロラクトンからなるポリエステル単量
体である。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】かかるポリエステル単量体としては、市販
品を使用してもよく、例えばダイセル化学工業(株)製
のプラクセルFM3(上記化1で表されn=3のも
の)、プラクセルFA3(上記化2で表されn=3のも
の)、プラクセルFM6(上記化1で表されn=6のも
の)、プラクセルFA6(上記化2で表されn=6のも
の)、プラクセルFM8(上記化1で表されn=8のも
の)およびプラクセルFA8(上記化2で表されn=8
のもの)等が挙げられる。
【0021】ポリアルキレンオキシド単量体の具体例と
しては、日本油脂(株)製のブレンマーPP−1000
(片末端にメタクリロイル基が結合した縮合度5〜6の
ポリプロピレンオキシド),PP−600(片末端にメ
タクリロイル基が縮合した縮合度9のポリプロピレンオ
キシド),PP−800(片末端にメタクリロイル基が
結合した縮合度12のポリプロピレンオキシド),PE
−200(片末端にメタクリロイル基が結合した縮合度
4〜5のポリエチレンオキシド)およびPE−350
(片末端にメタクリロイル基が結合した縮合度7〜9の
ポリエチレンオキシド)等が挙げられる。
【0022】d:ラジカル重合性界面活性剤 次に、本発明における成分dは、下記一般式(1)で表
されるポリオキシアルキレン基とイオン解離性基を含有
するラジカル重合性界面活性剤である。 Z−(AO)n −Y (1) 式中、Zは、上記成分aと共重合可能なラジカル重合性
二重結合を有する構造単位、AOはオキシアルキレン
基,nは2以上の整数、Yはイオン解離性基を示す。
【0023】前記一般式(1)における好ましいZは、
芳香族炭化水素基,アルキル置換芳香族炭化水素基,高
級アルキル基または脂環式炭化水素基等の疎水性基とラ
ジカル重合性二重結合とが組み合わされた構造単位であ
る。さらに、Zにおけるラジカル重合性二重結合として
は、(メタ)アリル基,プロペニル基またはブテニル基
等が好ましい。
【0024】成分dの好ましいイオン性はアニオンであ
り、したがってYとしては、基(AO)n側にアニオン
が共有結合し、これにカチオンがイオン結合した塩が好
ましい。好ましいYの具体例としては、−SO3 Na,
−SO3 NH4 ,−COONa,−COONH4 ,−P
4 Na2 および−PO3 (NH4 2 等が挙げられ、
さらに好ましくは−SO3 Naまたは−SO3 NH4
ある。
【0025】基(AO)nにおけるnとしては、300
以下が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。n
が5末端であると、前記単量体(a)中のアルコキシシ
リル基の安定性が不足し易く、一方nが50を越えると
得られる硬化性エマルジョンから形成される塗膜の物性
が低下する傾向を示す。また、基(AO)nにおける単
位A、すなわちアルキレン基としては、エチレン基また
はプロピレン基が好ましい。
【0026】上記ラジカル重合性界面活性剤の代表例と
しては、下記化3、化4または化5等で表される化合物
が挙げられる。各式中、Yはいずれもイオン解離性基で
あり、その好ましい具体例は既述のとおりである。
【0027】
【化3】
【0028】化3中のRとしては、炭素数6〜18の直
鎖状または分岐状アルキル基が好ましい。
【0029】
【化4】
【0030】化4中のRとしては、炭素数6〜18の直
鎖状または分岐状アルキル基が好ましい。
【0031】
【化5】
【0032】化5中のR1は、水素原子またはメチル基
であり、またR2としては、炭素数8〜24のアルキル
基が好ましい。 緩衝剤について 本発明においては、上記成分a〜dを水性媒体中で重合
させるに当たり、成分aにおけるアルコキシシリル基の
安定のため、pH緩衝剤を使用することが好しい。pH
緩衝剤としては、水性媒体のpHを6〜10に保持する
のに適した緩衝剤が好ましく、かかるpH緩衝剤として
は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム,りん酸−
ナトリウム,りん酸−カリウム,りん酸二ナトリウム,
りん酸三ナトリウム,酢酸ナトリウム,酢酸アンモニウ
ムおよび蟻酸ナトリウム等が挙げられる。これらの化合
物は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0033】さらに好ましいpH緩衝剤は、少量の添加
でpHが安定する炭酸水素ナトリウムである。pH緩衝
剤の好適な使用量は、水に対して0.01〜5重量%で
ある。上記重合性成分a〜dの好ましい共重合割合は、
それらの合計量を基準にして、aが1〜40重量%,b
が50〜97重量%,cが1〜40重量%およびdが
0.2〜20重量%であり、さらに好ましくは、aが3
〜20重量%,bが50〜93重量%,cが3〜30重
量%およびdが0.5〜5重量%である。
【0034】上記成分aの共重合割合が、1重量%未満
であると良好な硬化性が発現せず、一方40重量%を越
えると貯蔵安定性が低下し易い。成分bの割合が、50
重量%未満であると得られる硬化性エマルジョンの遣膜
性および被膜の基材に対する密着性等が劣る。成分cの
共重合割合が、1重量%未満であると得られる硬化性エ
マルジョンから形成される被膜の耐酸性が低く、一方4
0重量%を越えると被膜の耐候性が低下し易い。また、
成分dの割合が、0.2重量%未満であると重合安定性
が低下し易く、一方20重量%を越えると被膜の耐水性
が不足する。
【0035】重合方法について 本発明においては、単量体及び油溶解性重合開始剤から
なる微粒子が水性媒体中に分散した水性分散体を、加熱
された水性媒体中に供給し、単量体を重合させるミク
ロ懸濁重合により行う。
【0036】以下、ミクロ懸濁重合の概要について説明
する。ミクロ懸濁重合をするためには、まず単量体およ
び油溶性重合開始剤からなる微細粒子を、pH緩衝剤を
溶解した水性媒体中に分散させる。この単量体等の水性
媒体への分散操作において、界面活性剤の前記成分d
は、pH緩衝剤と同様に事前に水性媒体に溶解させてお
いても良い。水性媒体と分散させる単量体の割合は、単
量体100重量部当たり水性媒体20〜150重量部程
度が適当である。
【0037】上記微細粒子の水性媒体中への分散におい
ては、回転式ホモミキサー、高圧式乳化分散機(通常ホ
モジナイザーと称されている)またはタービン型ミキサ
ー等を用いる分散方法が採用できる。上記操作により、
1μm以下の粒径の微細粒子を得ることができる。さら
に好ましい粒径は0.2〜0.05μmである。単量体
の水性分散粒子が小さいほど、得られる重合体エマルジ
ョンにおける重合体分散粒子も小さくなり、それから形
成される被膜は耐溶剤性および耐水性に優れる。
【0038】上記操作によって得られる、単量体等から
なる微細粒子の水性分散体(以下単量体エマルジョンと
いう)を、重合開始剤の分解温度以上に加熱された水性
媒体中に供給して、成分a〜dを共重合させる。重合容
器に予め仕込んでおく水性媒体の好ましい量は、単量体
エマルジョン100重量部当たり10〜50重量部であ
る。重合温度は、通常40〜100℃程度であり、好ま
しくは70〜90℃である。
【0039】ミクロ懸濁重合に使用される油溶性ラジカ
ル重合開始剤としては、20℃の水に対する溶解度が1
0重量%以下のものが好ましく、例えば2,2′−アゾ
ビスイソプチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4
ジメチルバレロニトリル、1−アゾビス−1−シクロヘ
キサンカルボニトリルおよびジメチル−2,2′−アゾ
ビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、ラウロイルパー
オキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキ
シド、シクロヘキサノンパーオキシドジ−n−プロピル
パーオキシジカルボネートおよびt−ブチルパーオキシ
ビバレート等の有機過酸化物が代表例として挙げられ
る。その使用量は、成分a〜dの合計量に対して0.1
〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5
重量%である。
【0040】上記ミクロ懸濁重合により得られる本発明
の硬化性エマルジョンは、温度60℃で1ヶ月間放置し
ても安定なエマルジョン状態を維持し、しかも良好な硬
化性能を保持している。 触媒について アルコキシシリル基が加水分解することによって生じる
シラノール基の縮合反応を促進するために、使用前に触
媒を添加することが好ましく、かかる触媒としては、イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロ
ピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等
の有機チタネート化合物、またはジオクチル酸錫、ジブ
チル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート等の有機錫化
合物、またはパラトルエンスルォン酸等の有機酸が挙げ
られる。
【0041】アクリルシリコン共重合体の水性乳濁液に
おいて、アクリルシリコン共重合体の濃度としては0.
1〜70重量%が好ましく、より好ましくは5〜50重
量%である。本発明の加水分解性の官能基を有するシラ
ン化合物の水性乳濁液は下記成分e〜hを含有するもの
である。
【0042】e:シラン化合物 本発明で用いられる加水分解性の官能基を有するシラン
化合物(以下単に「シラン化合物」と称する。)として
は、下記の構成式で示される化合物の単量体、二量体、
三量体、またはそのオリゴマーなどがある。 Rn −Si−(R1)4-n ここで、nは1,2あるいは3の整数である。Rは安定
な疎水性基であり、例えば、アルキル基、フェニル基及
びベンジルなどの炭化水素系の置換基であり、中でも、
飽和アルキル基が疎水性の点で好ましい。
【0043】R1 は加水分解性の置換基等であり、メト
キシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ヒドロキシル
基、ハロゲン原子、アセトキシ基、カルボキシル基、イ
ソシアネート基等が挙げられる。本発明においては、貯
蔵安定性、取扱いの容易さからアルコキシ基が好まし
い。なお、R及びR1 とも、複数個ある場合には、それ
ぞれ同一でも違っていてもよい。
【0044】本発明において有用であるシラン化合物の
具体例としては、次のものを挙げることができる。メチ
ルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,エ
チルトリメトキシシラン,エチルトリエトキシシラン,
ジメチルジメトキシシラン,ジメチルジトリエトキシシ
ラン,エチルトリ−n−プロポキシシラン,ブチルトリ
メトキシシラン,ブチルトリエトキシシラン,ブチルジ
メトキシシラン,イソブチルトリメトキシシラン,イソ
ブチルトリエトキシシラン,イソブチルトリメトキシシ
ラン,ヘキシルトリメトキシシラン,ヘキシルトリエト
キシシラン,シクロヘキシルトリメトキシシラン,ベン
ジルトリメトキシシラン,フェニルトリメトキシシラ
ン,オクチルトリメトキシシラン,オクチルトリイソプ
ロポキシシラン,2−エチルヘキシルトリメトキシシラ
ン,デシルトリメトキシシラン,ドデシルトリメトキシ
シラン,テトラデシルトリエトキシシラン等、あるいは
これらの二量体、三量体及びその他のオリゴマーの単体
及び混合物がある。
【0045】本発明において、これらの化合物の中で
は、アルキルアルコキシシランが好ましく、特に好まし
いものは、アルキルトリアルコキシシランである。シラ
ン化合物は、単独で使用しまたは2種以上を併用するこ
とが可能であり、水性乳濁液の他の構成成分である乳化
剤と水とともに混合されて水性乳濁液ないしはそれに近
い状態で使用することが好ましい。
【0046】シラン化合物の量は、水性乳濁液中に
60重量%存在するのが好ましく、〜40重量%であ
るのがより好ましい。水性乳濁液中のシラン化合物の平
均粒子径は、10μm以下に調整することが好ましく、
1μm以下がより好ましい。 f:乳化剤 本発明に用いられる乳化剤は、前記シラン化合物を水中
に乳化・分散させる目的で使用されるものであり、シラ
ン化合物を乳化分散できるものならば、ノニオン性、ア
ニオン性及びカチオン性の何れのタイプのものも使用で
きる。又、乳化剤は単独または2種以上を併用すること
もできる。
【0047】中でもノニオン性乳化剤を用いたシラン系
化合物の水性乳濁液は乳化安定性が優れており好まし
い。アニオン性乳化剤やカチオン性乳化剤を用いた場合
には、シラン化合物の加水分解縮合が比較的早く発生
し、効力が低下するため、調整後速やかに使用するのが
好ましい。本発明において、好適に使用されるノニオン
性乳化剤としては、HLB=1.5〜20のものが好ま
しく、この範囲から外れると乳濁液が分離し易くなる。
より好ましくは、HLB=4〜15である。
【0048】本発明において好適に使用されるノニオン
性乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル,ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ポ
リオキシエチレン誘導体,ソルビタンモノラウレート,
ソルビタンモノステアレート,ソルビタンモノステエレ
ート,ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート,
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等が挙
げられ、これらと他の乳化剤を混合して使用してもよ
い。
【0049】乳化剤は、シラン化合物に対して0.5
50重量%の範囲で使用するのが好ましく、より好まし
くは、1〜20重量%の範囲である。0.5重量%未満
では、乳濁液が分離し易く、50重量%を超えると得ら
れた組成物の性能が低下し易い。乳化剤の種類及び配合
物の濃度の選択は、使用するシラン化合物又はそれらの
混合物により変化するため、必要に応じて実験的に検
討、決定することが好ましい。
【0050】g:緩衝剤 シラン化合物と乳化剤から調整した水性乳濁液は、pH
によって加水分解反応を起こし、その性能を低下させる
恐れがある。このような加水分解性の成分を含有する乳
濁液を安定化させるために、乳濁液のpHを特定範囲内
に緩衝化し、シラン化合物の安定性を保持するための緩
衝剤を使用することが望ましい。
【0051】水性乳濁液のpHの範囲としては6〜8が
好ましく、そのpH範囲で水性乳濁液は加水分解反応に
対して安定化する。本発明で好ましい緩衝剤の例として
は、有機酸,無機酸,塩基及びそれらの塩類が挙げら
れ、具体的な化合物としては、炭酸水素ナトリウム,炭
酸ナトリウム,炭酸アンモニウム,ほう酸ナトリウム,
リン酸ナトリウム,硫酸ナトリウム,酢酸ナトリウム,
酢酸アンモニウム,モノ−,ジ−あるいはトリエタノー
ルアミン,アニリン,ケイ酸ナトリウムなどが挙げられ
る。中でも、安全性,低価格などの面から、炭酸水素ナ
トリウムが最も好ましい。
【0052】緩衝剤は単独または2種以上を併用するこ
とができる。緩衝剤の量は、前記目的を達成するために
広範囲に設定することができるが、一般的には乳濁液中
の濃度が0.01〜5重量%であるのが好ましい。 h:水 本発明の表面仕上げ材料は、前記アクリルシリコン共重
合体及びシラン化合物の水性乳濁液であり、分散媒であ
る水は、脱イオン水,水道水などが使用可能である。
【0053】本発明のアクリルシリコン共重合体及びシ
ラン化合物の水性乳濁液において、アクリルシリコン共
重合体の水性乳濁液中の濃度は5〜70重量%が好まし
く、より好ましくは15〜60重量%である。又、シラ
ン化合物の水性乳濁液中の濃度は5〜60重量%が好ま
しく、より好ましくは8〜45重量%である。アクリル
シリコン共重合体の濃度が5重量%より低いと1回塗布
当たりの膜厚がうすくなるため、施工回数が増加し、経
済的でないことがある。又、濃度が70重量%より高い
場合は、膜厚が厚くなり、白化などの障害をおこす可能
性がある。一方、シラン化合物の濃度が5重量%より低
いと下地内への浸透性が低下することがあり、濃度が6
0重量%より高い場合には、アクリルシリコン共重合体
の硬化及び塗膜の性能が低下する恐れがある。
【0054】本発明の表面仕上げ材料は、好ましくは前
記アクリルシリコン共重合体の水性乳濁液及びシラン化
合物の水性乳濁液を通常の方法により混合することで製
造することができ、工場あるいは施工現場ですることが
可能である。その際には、所定濃度に調製するために、
蒸留水、脱イオン水、水道水などで希釈して使用するこ
とも可能である。アクリルシリコン共重体の水性乳濁液
とシラン化合物の水性乳濁液の配合割合は、それぞれの
成分が前記好ましい割合となる様であれば、任意の割合
が可能である。
【0055】本発明の表面仕上げ材料には、上記成分の
他に目的に応じて各種の添加剤を添加することも可能で
ある。例えば、乳濁液中における黴の発生を防ぐ防黴
剤,殺生物剤,消泡剤,潤滑剤,付着剤,増粘剤,撥水
付与剤としてフッ素ポリマー及びシリコーンポリマー,
造膜肋剤およびカラークリアー顔料等の顔料等を併用で
き、さらに必要に応じて、垂れ防止剤,沈降防止剤,消
泡剤またはシランカップリング剤,光安定剤,紫外線吸
収剤,レベリング剤等の塗料添加剤も添加できる。
【0056】本発明の塗装方法は、モルタルを含む硬化
コンクリートに対する当該表面仕上げ材料の塗装方法と
しては、スプレー塗装,ローラー塗装,刷毛塗り塗装な
どが挙げられる。本発明の表面仕上げ材料は、水性であ
りながら2度塗り(リコート)が可能である。本発明の
表面仕上げ材料は、種々のコンクリートに適用でき、例
えば硬化したセメントコンクリート、セメントモルタル
等が挙げられ、特に打放しコンクリートに有効に適用さ
れるものである。
【0057】
【作用】本発明の表面仕上げ材料が前述の優れた効果を
有する理由は、次の通りであると推定される。本発明の
表面仕上げ材料は、アクリルシリコン共重合体及びシラ
ン化合物を含有する。該表面仕上げ材料をコンクリート
表面へ塗布すると、表面仕上げ材料中のアクリルシリコ
ン共重合体はそのアルコキシシリル基同士が加水分解及
び縮合により結合し、3次元網状構造を形成して、得ら
れる塗膜に耐水性、耐候性、耐酸性及び強靱性を付与す
る。これと同時にシラン化合物は、前記アクリルシリコ
ン共重合体に比べ分子量が小さいため、該シラン化合物
のみがコンクリート中に浸透し、この後加水分解及び縮
合によりコンクリート中のシラノール基と結合して、コ
ンクリートに疎水層を形成する。さらに、本発明の表面
仕上げ材料では、コンクリート表面付近のシラン化合物
のみならず、アクリルシリコン共重合体中に含まれるシ
ラン化合物もコンクリートの中に浸透することができる
のは、アクリル系共重合体の架橋時間とシラン化合物の
それとのバランスが良いこと(共にコンクリートのアル
カリ中では架橋時間が好適に遅滞する)と、例えアクリ
ルシリコン共重合体がある程度架橋した後であっても、
シラン化合物の分子量がアクリルシリコン共重合体より
小さいので、前記アクリルシリコン共重合体の間隙を縫
ってコンクリート中に浸透するためである。なお、硬化
コンクリートとの間の親和力はシラン化合物の方は大な
るためより深層に浸透し、他方、アクリルシリコン共重
合体の方は小なるためと分る量大なるために表層に止ま
る。
【0058】又、本発明の表面仕上げ材料は、水系の表
面仕上げ材料でありながら2度塗り(リコート)が可能
である。これは、前記の通りアクリルシリコン共重合体
の架橋の完了までにある程度の時間を要するため、表面
仕上げ材料をコンクリート表面に塗布した後にアクリル
シリコン共重合体が完全に架橋し、撥水性を発現してし
まう前であれば、該塗膜上にさらに表面仕上げ材料をリ
コートすることが可能なのであり、さらにリコートした
表面仕上げ材料中のシラン化合物も、下塗りした前記ア
クリル系共重合体の間隙を縫ってコンクリート中に浸透
することができる。
【0059】かかる1材塗布で一気に複合仕上材層の形
成の実現は、当然のことながら施工能率を高めると共に
表面コート層の視認の容易さから塗布の確認ができて無
駄な塗布が避けられて使用量の低減が図られ、施工費の
大幅低減を可能とし、さらに、リコートが可能なため品
質確保を容易に達成するものである。
【0060】
【実施例】次に、実施例及び比較例並びに接着性試験を
挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実
施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び
比較例における部はすべて重量部であり、実施例におけ
る試験方法は以下に示す通りである。
【0061】また、ラジカル重合性界面活性剤として使
用されたアクアロンHS20(第一工業製薬(株),商
品名)は、下記化6で表される化合物である。以下、実
施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、各例における配合量を表す「部」は、「重量
部」である。
【0062】
【化6】
【0063】(1)供試体の作製 セメントと砂の割合が重量比で1:2であるモルタルの
フローを170±5となるように水−セメント比を調整
したモルタルをJIS R 5201(セメントの物理
試験方法)に準じて練り混ぜ、ポリウレタン塗装した打
放しコンクリート用合板で10mm厚の型枠に成型し、
1日湿空(20℃,80%R.H.)、6日水中(20
℃)及び7日乾燥(20℃,60%R.H.)養生して
供試体を作製した。 (2)表面仕上げ材料の塗布 各例で得られた水性乳濁液をm2 当たり200g塗布
し、7日乾燥(20℃,60%R.H.)養生した。 (3)リコート性試験 スレート板に各種仕上材料をm2 当たり100g塗布
し、乾燥後,再び2回目を塗布し、液のはじき等を観察
した。 (4)耐水性試験 スレート板に各種仕上げ材料を塗布し、7日乾燥養生し
た後、7日間清水(20℃)に浸漬した後の白化の有
無,水中浸漬前後までの光沢変化を測定し、耐水性とし
て評価した。なお、光沢保持率の評価は下記の通りであ
る。
【0064】光沢保持率: 100〜80%;○、 8
0〜40%;△、 40〜0%;× (5)浸透深さ試験 モルタル板に各種仕上げ材を塗布し、14日乾燥養生し
た後、割裂し、断面に水を噴霧して、撥水した部分の深
さを測定して、浸透深さとした。 (6)吸水試験 モルタル板に各種仕上材を塗布し、7日乾燥養生した
後、塗布面を下にして滑水(20度)中に半没して、7
日後の吸水率を測定した。 (7)促進耐候性試験 モルタル板に各種仕上材を塗布し、7日乾燥養生した
後、サンシャインウエザーメーターに1000時間暴露
した後の光沢変化を測定し、耐候性として評価した。な
お、光沢保持率の評価は下記の通りである。
【0065】光沢保持率; 100〜80%;○、 8
0〜40%;△、 40〜0%;× (8)耐酸性試験 スレート板に各種仕上材を塗布し、7日乾燥養生した
後、5%硫酸を一滴滴下し、60℃で10分間保持し、
塗膜の状態を評価した。 ○;変化なし、 △;痕が付く、 ×;塗膜が浮く、
または剥がれる (9)裏面水浸透阻止試験 モルタル板に各種仕上げ材を塗布し、7日乾燥養生した
後、塗布面と反対側の裏面を水に半没させた。1か月経
過後、塗膜の外観を観察し、塗膜の接着性試験を行っ
た。接着性試験としては、塗膜に2mm間隔で25目の碁
盤目の切り込みを入れ、これに粘着テープを貼り付けた
のち剥がして、塗膜から剥がれた碁盤目の数を数えた
(碁盤目試験)。
【0066】実施例1 下記表1に記載の単量体、ラジカル重合性界面活性剤お
よび重合開始剤を、pH緩衝剤を溶解した水媒体に加
え、ホモミキサーで混合した後、さらにホモジナイザー
を使用し、単量体エマルジョンを調整した。
【0067】
【表1】
【0068】攪拌後、温度計および冷却器を備えたフラ
スコに脱イオン水40部を仕込み、液温を80℃に昇温
した後、水媒体を高速で攪拌しながら、上記の単量体エ
マルジョンを2時間かけて滴下した。滴下終了後、80
℃の温度に2時間保持して重合を完結させ、ついで室温
まで冷却し、主成分濃度が40%であるアクリルシリコ
ン共重合体の水性乳濁液を製造した。
【0069】シラン化合物として、ヘキシルトリエトキ
シシラン200gと、乳化剤としてHLB=15のポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエーテル8gとを用
い、それらの混合物に対し、脱イオン水292gおよび
緩衝剤として炭酸水素ナトリウムを0.1%となるよう
に添加し、シラン化合物の濃度が40%である水性乳濁
液を調整した。
【0070】製造したアクルリシリコン共重合体及びシ
ラン化合物の水性乳濁液を、それぞれの主成分の濃度が
30及び10%となるように混合し、表面仕上げ材料と
した。 この表面仕上げ材料の評価結果は表2に示す通
りである。
【0071】
【表2】
【0072】実施例2 表1に示す組成の硬化性アクリルシリコンの水性乳濁液
と実施例1のシラン化合物の水性乳濁液を、それぞれの
主成分の濃度が10%及び5%となるように蒸留水を用
いて調整し、表面仕上げ材料とした。評価結果は表2及
び表3に示す通りである。
【0073】実施例3 表1に示す組成の硬化性アクリルシリコンの水性乳濁液
と実施例1のシラン化合物の水性乳濁液を、それぞれの
主成分の濃度が30及び10%となるように混合し、表
面仕上げ材料とした。評価結果は表2及び表3に示す通
りである。
【0074】実施例4 表1に示す組成の硬化性アクリルシリコンの水性乳濁液
と実施例1のシラン化合物の水性乳濁液を、それぞれの
主成分の濃度が30及び10%となるように混合し、表
面仕上げ材料とした。評価結果は表2及び表3に示す通
りである。
【0075】比較例1 γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを抜
き、表1に示す組成の硬化性アクリルシリコンの水性乳
濁液と実施例1のシラン化合物の水性乳濁液を、それぞ
れの主成分の濃度が30及び10%となるように混合
し、表面仕上げ材料とした。
【0076】評価結果は表2及び表3に示す通りであ
る。 比較例2 実施例1におけるアクリルシリコン共重合体の水性乳濁
液のみを使用し、これを表面仕上げ材料とした。該表面
仕上げ材料についての評価結果を表2及び表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【発明の効果】上記の如き構成よりなる本発明のコンク
リート用表面仕上げ材料は、機能の異なる二材を一材に
して一工程で複合仕上材層の形成が可能となし、施工工
程の短縮使用量の低減などが可能であると共にリコート
性をもって高品質を確保することができる。
【0079】さらに、水性化のもとでも貯蔵安定性、耐
水性、耐久性などに優れているばかりではなく、一材に
二つの機能を両立させることは、いずれか一方の機能を
阻害することが多々あり困難であるものだが、本発明で
は、コート層の架橋時間の好都合さから浸透機能と成膜
機能がうまくバランスし得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 三高 名古屋市港区船見町一番地の一 東亞合 成株式会社 名古屋総合研究所内 (72)発明者 服部 武尚 名古屋市港区船見町一番地の一 東亞合 成株式会社 名古屋総合研究所内 (72)発明者 村上 信直 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式 会社竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 岡本 肇 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式 会社竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 五島 只禄 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式 会社竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 平野 竜行 大阪市中央区本町四丁目1番13号 株式 会社竹中工務店 大阪本店内 (56)参考文献 特開 昭61−9463(JP,A) 特開 平6−256072(JP,A) 特開 平3−28182(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 41/63 - 41/64 C09D 143/04

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミクロ懸濁重合により得られたアルコキ
    シシリル基を有するアクリル系共重合体及び加水分解性
    の官能基を有するシラン化合物の水性乳濁液からなるこ
    とを特徴とするコンクリート用表面仕上げ材料。
  2. 【請求項2】 60℃で1ヶ月間放置しても安定なエマ
    ルジョン状態を維持する請求項1記載のコンクリート用
    表面仕上げ材料。
  3. 【請求項3】 ミクロ懸濁重合により得られたアルコキ
    シシリル基を有するアクリル系共重合体の水性乳濁液及
    び加水分解性の官能基を有するシラン化合物の水性乳濁
    液を混合して得られた水性乳濁液からなることを特徴と
    する請求項1、2記載のコンクリート用表面仕上げ材
    料。
  4. 【請求項4】 アルコキシシリル基を有するアクリル系
    共重合体の水性乳濁液が、下記ラジカル重合性成分a〜
    dの共重合体の水性乳濁液であることを特徴とする請求
    項3記載のコンクリート用表面仕上げ材料。 a:ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン b:上記成分aと共重合可能なビニル単量体 c:分子の片末端に上記成分aと共重合可能なラジカル
    重合性基を有する平均縮合度が3以上のポリエステル又
    はポリアルキレンオキシド d:一般式;Z−(AO)n−Y で表わされるラジカル重合性界面活性剤 式中、Zは上記成分aと共重合可能なラジカル重合性二
    重結合を有する構造単位、AOはオキシアルキレン基、
    nは2以上の整数、Yはイオン解離性基を示す
  5. 【請求項5】 アルコキシシリル基を有するアクリル系
    共重合体において、ラジカル重合性成分a〜dの共重合
    割合が、それらの合計量を基準にして、aが1〜40重
    量%、bが50〜97重量%、cが1〜40重量%及び
    dが0.2〜20重量%である請求項4記載のコンクリ
    ート用表面仕上げ材料。
  6. 【請求項6】 アルコキシシリル基を有するアクリル系
    共重合体において、ラジカル重合性成分bが、炭素数1
    〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキ
    ル、スチレン、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を
    有する(メタ )アクリル酸ヒドロキシアルキル及びグリ
    シジル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた1
    種又は2種以上の単量体である請求項4又は同5記載の
    コンクリート用表面仕上げ材料。
  7. 【請求項7】 加水分解性の官能基を有するシラン化合
    の水性乳濁液が下記成分e〜fを含有する水性乳濁液
    であることを特徴とする請求項3〜同6記載のコンクリ
    ート用表面仕上げ材料。 e:加水分解性の官能基を有するシラン化合物。 f:HLB約1.5〜20を有する乳化剤又は該乳化剤
    の混合物 g:緩衝剤 h:水
  8. 【請求項8】 加水分解性の官能基を有するシラン化合
    物eがその乳濁液の1〜60重量%、乳化剤fがeの
    0.5〜50重量%、緩衝剤がe、f、g及びhの総重
    量の0.01〜5重量%である請求項7記載のコンクリ
    ート用表面仕上げ材料。
  9. 【請求項9】 加水分解性の官能基を有するシラン化合
    物eが下記の構造式で示される化合物の単量体、二量
    体、三量体、及び/又はそのオリゴマーである請求項6
    〜同8記載のコンクリート用表面仕上げ材料。 Rn−Si−(R 4−n 式中、nは1、2あるいは3の整数である。Rは、アル
    キル基、フェニル基等の炭化水素系置換基等の安定な疎
    水性基である。R は、メトキシ基及びエトキシ基等の
    アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アセト
    キシ基、カルボキシル基、並びにイソシアネート基等の
    加水分解性の置換基である。
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