JP2000256276A - トリアリールアミンダイマーの製造方法 - Google Patents

トリアリールアミンダイマーの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高価な薬品を使用せず、簡便で反応収率が高
く、工業的規模で行うのに有利なトリアリールアミンダ
イマーの製造方法を提供すること。 【解決手段】 式 【化1】 [式中、Xはハロゲン原子であり、R1及びR2は、それ
ぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又
はハロゲン原子であり、Arはフェニレン基またはナフ
チレン基である。]で示されるウルマン反応を用いてト
リアリールアミンダイマー(I)を製造する方法におい
て、該反応促進剤としてポリエチレングリコールまたは
ポリエチレングリコールのジ−又はモノ−アルキルエー
テルを用いることを特徴とする製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真材料、有
機エレクトロルミネッセンス(EL)材料等に有用なト
リフェニルアミンダイマー又はトリアリールアミンダイ
マーの製造方法に関する。詳しくは、ウルマン反応を利
用するトリフェニルアミンダイマー又はトリアリールア
ミンダイマーの工業的に有利な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、画像に対応したビー
ム光を照射された場合に、受けた表面部分に電荷でなる
潜像を形成する部材である。有機電子写真感光体は導電
性支持体上に有機光導電性材料を備える。有機光導電性
材料は光導電性化合物を有機樹脂で結着させて形成した
ものである。
【0003】一般に有機感光体は、光照射により電荷を
発生するフタロシアニン系等の電荷発生材料を含有する
電荷発生層と電荷を感光体表面部に移送する電荷輸送材
料を含有する電荷輸送層とを備える。
【0004】有機電子写真感光体に用いられる電荷輸送
材料としては、トリアリールアミン系化合物、オキサゾ
ール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導
体、ヒドラゾン誘導体、ヒドラジン誘導体、トリアジン
誘導体、キナゾリン誘導体、スチリル系化合物、スチリ
ルトリフェニルアミン系化合物、ブタジエン系化合物、
カルバゾール系化合物などが知られている。あるいは最
近報告されたベンゾフラン系化合物(特開平9−179
319号公報)などがある。
【0005】トリアリールアミンダイマーは、電子写真
材料や有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料等に
使用されている。とりわけ複写機やプリンター等の電子
写真用有機感光体の電荷輸送材料(CTM)、あるいは
EL素子中の正孔輸送材料(HTM)として広く適用さ
れている。
【0006】従来、トリアリールアミンダイマーのよう
な分子内に2つの芳香族三級アミンを有し、ビフェニレ
ン基を含む芳香族三級アミン化合物は、ベンジジンを出
発原料として製造されてきた。しかしながら、ベンジジ
ンは発癌性物質であり、この方法は現在行われていない
(米国特許第3,484,467号、及び特開平6−3
21872号)。
【0007】ベンジジンを出発原料としないトリアリー
ルアミンダイマーの製造方法の例は、特開平10−17
531号公報に記載されている。本公報実施例13以下
には、トリフェニルアミンのヨウ素化物とトリフェニル
アミンのヒドロキシホウ素化物とをパラジウム触媒の存
在下にカップリングさせてトリフェニルアミンダイマー
を製造する方法が記載されている。しかし、この方法に
は高価なパラジウム触媒の必要性と反応後の触媒の分離
回収に難点がある。
【0008】他方、一般的な芳香族三級アミン系化合物
の合成法としては、ウルマン反応を応用した方法が報告
されている。例えば、Synthesis、1987年、383〜384頁
には、以下のスキームの反応によるトリフェニルアミン
の製造方法が記載されている。
【0009】
【化2】
【0010】この反応では、触媒として金属銅、塩基と
して炭酸カリウム、反応促進剤としてクラウンエーテル
(18−クラウン−6−エーテル)、そして反応溶媒と
してo−ジクロロベンゼンを用いている。
【0011】EP0802173A1には、芳香族ハロ
ゲン化物と芳香族二級アミンとを、触媒としてパラジウ
tert−ホスフィン(例えば、P(o-tolyl)3Pd)、及び
強塩基としてtert−BuONaの存在下で反応させて芳
香族三級アミンを合成する方法が記載されている。
【0012】また、J. Org. Chem.、Vol. 54、No. 6、1
989年、1476〜1479頁には、芳香族ハロゲン化物と芳香
族二級アミンとを、触媒として金属銅、塩基としてアル
カリ金属水酸化物、反応促進剤及び反応溶媒としてポリ
エチレングリコール(PEG)やポリエチレングリコー
ルジアルキルエーテル(PEGDM)の存在下で反応さ
せて芳香族三級アミンを合成する方法が記載されてい
る。
【0013】これらのウルマン反応についての先行技術
文献では種々の芳香族三級アミン化合物が合成されてい
るが、トリアリールアミンダイマーを合成した例はいず
れにも記載されていない。
【0014】更に、反応促進剤としてクラウンエーテル
を用いる方法では、クラウンエーテルは高価であり、こ
れを用いる方法は工業的規模で行うにはコストがかかり
すぎる。また、触媒としてパラジウムtert−ホスフィン
を用いる方法には、高価なパラジウム触媒の必要性と反
応後の触媒の分離回収に難点がある。そして、反応促進
剤及び反応溶媒としてPEGやPEGDMを用いる方法
では、生成物の収率が40%と、工業的規模で行うには
低すぎるという問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、高
価な薬品を使用せず、簡便で反応収率が高く、工業的規
模で行うのに有利なトリアリールアミンダイマー(I)
の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、式
【0017】
【化3】
【0018】[式中、Xはハロゲン原子であり、R1
びR2は、それぞれ独立して水素原子、メチル基、エチ
ル基、およびイソプロピル基のようなアルキル基、メト
キシ基、エトキシ基、およびイソプロポキシ基のような
アルコキシ基、又はハロゲン原子であり、Arはフェニ
レン基またはナフチレン基(好ましくはα−ナフチレン
基)である。]で示されるウルマン反応を用いてトリア
リールアミンダイマー(I)を製造する方法において、
上記反応促進剤としてポリエチレングリコールまたはポ
リエチレングリコールのジ−又はモノ−アルキルエーテ
ルを用いることを特徴とする製造方法を提供するもので
あり、そのことにより上記目的が達成される。
【0019】本発明の方法は、4,4’−ジハロビフェ
ニルとジアリールアミン類とを、塩基、銅触媒及び反応
促進剤としてポリエチレングリコールまたはポリエチレ
ングリコールのジ−又はモノ−アルキルエーテルの存在
下でN−アリール化反応させる工程を包含することが好
ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】ウルマン反応を応用した本発明の
トリアリールアミンダイマー(I)を製造する方法は、
反応促進剤(相間移動触媒)としてポリエチレングリコ
ール類(以下、本明細書においては、これらを総称して
PEGと略す。)、またはポリエチレングリコールのジ
−又はモノ−アルキルエーテル類(以下、本明細書にお
いては、これらを総称してPEGMと略す。)を用いる
ことを特徴としている。以下に詳細に説明する。
【0021】まず、下記式(3)で示される4,4’−
ジハロビフェニルを得る。
【0022】
【化4】
【0023】[式中、Xは上記と同意義である。]
【0024】好ましい4,4’−ジハロビフェニルは、
反応性の観点から4,4’−ジブロモビフェニル、4,
4’−ジヨードビフェニルである。4,4’−ジヨード
ビフェニルが特に好ましい。これらは合成してもよい
し、市販のもの用いてもよい。
【0025】次いで、ジアリールアミン類を得る。ジア
リールアミン類としては、下記式(1)
【0026】
【化5】
【0027】[式中、R1、R2、及びArは上記と同意
義である。]で表される芳香族二級アミンを用いること
ができる。好ましくは、下記式(2−1)、または(2
−2)で示される芳香族二級アミンである。
【0028】
【化6】
【0029】これらは合成してもよいし、市販のもの用
いてもよい。
【0030】次いで、4,4’−ジハロビフェニルとジ
アリールアミン類とを、塩基、銅触媒及び反応促進剤の
存在下でN−アリール化反応させる。
【0031】塩基としては、水酸化カリウムや水酸化ナ
トリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸カリウム及び
炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;トリエチルア
ミンやトリイソプロピルアミン等のトリアルキルアミ
ン;tert−BuONaやtert−BuOK等の金
属アルコキシド;等が例示できる。製造コスト(収率や
原料コスト)の観点から、炭酸カリウムが特に好まし
い。銅触媒としては、金属銅(Cu(0))を使用す
る。塩基及び銅触媒の量は、従来のウルマン反応と同様
としてよい。
【0032】反応促進剤もしくは相間移動触媒として
は、PEGまたはPEGMを使用する。好ましくは、下
記(i)〜(iii)の式で示される化合物からなる群から
選択されるPEGまたはPEGMを用いる。
【0033】HO(CH2CH2O)a−H (i) [式中、aは2以上の整数である。]で示されるPE
G。例えば、aが2〜4のジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられ
る。具体的には和光純薬社製のPEG−6000(商品
名)が使用できる。
【0034】R3O(CH2CH2O)b−R4 (ii) [式中、R3及びR4は同じであっても異なっていてもよ
い炭素数1〜4のアルキル基であり、bは、2以上の整
数である。]で示されるPEGM。例えば、bが2〜4
のジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライ
ム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリ
グライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテ
ル(テトラグライム)、ポリグライム及びそれらの混合
物、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールメチルエチルエーテル等が挙げられる。具
体的には東邦化学社製のPMP400(商品名)が使用
できる。
【0035】R3O(CH2CH2O)c−H (iii) [式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基であり、cは
2以上の整数である。]で示されるPEGM。例えば、
cが2〜4のジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ
メチルエーテル、及びポリエチレングリコールモノエー
テルの混合物等が挙げられる。
【0036】反応促進剤の使用量は、4,4’−ジハロ
ビフェニル1.0gに対して1/10〜10倍量、好ま
しくは1/10〜1/5倍量である。
【0037】N−アリール化反応は、反応促進剤である
PEGやPEGMを反応溶媒として用いて行っても良い
し、他に適当な反応溶媒を用いて行ってもよい。反応方
法は、一般には適当な容器に、反応溶媒、4,4’−ジ
ハロビフェニル、ジアリールアミン、塩基(好ましくは
炭酸カリウム)、銅触媒、及び反応促進剤を入れ、10
0〜250℃に保ったまま5〜40時間撹拌する。
【0038】反応溶媒としては、キシレン、o-ジクロロ
ベンゼン、キノリンα又はβ−クロロナフタレン、α−
メチルナフタレン、及びニトロベンゼン等の(高沸点)
芳香族溶剤;N−メチルホルムアミド、N,N’−ジメ
チルフォルムアミド(DMF)、N−メチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピペリド
ン等のアミド系溶剤;等使用できる。 o-ジクロロベン
ゼン、ニトロベンゼン等の高沸点芳香族溶剤が好まし
い。
【0039】反応の進行は、クロマトグラフィーのよう
な通常の方法で追跡することができる。反応終了後、溶
媒を留去し、生成物はクロマトグラフィー法のような通
常の方法で単離精製する。生成物の構造は、元素分析、
MS(FD−MS)分析、IR分析、1H−NMR及び
13C−NMRにより同定することができる。
【0040】次に、本発明の一実施態様を示す。
【0041】4,4’−ジハロビフェニル(例えば、
4,4’−ジヨードビフェニル1.0g)に反応溶媒
(例えば、o-ジクロロベンゼン20ml)を加え、さら
にジフェニルアミン類(例えば、m−メチルジフェニル
アミン1.08g)、塩基(例えば、炭酸カリウム2.
73g)、銅触媒(銅粉末0.635g)、及び反応促
進剤としてのPEG(例えば、PEG−6000(商品
名)0.104g)を加えて、反応が完了するまで(約
15〜24時間)、攪拌下還流する。反応終了後、熱時
濾過して、生成物をジクロロメタン等の溶剤を用いて洗
浄し、溶剤を減圧留去する。残留物をシリカクロマトグ
ラフィーにより精製することによりトリフェニルアミン
ダイマー(例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−
ジトリル−4,4’−ジアミノビフェニル[TPD])
を得る。
【0042】ジアリールアミン類(例えば、N−フェニ
ル−1−ナフチルアミン32.4g)に、4,4’−ジ
ハロビフェニル(例えば、4,4’−ジヨードビフェニ
ル25.1g)、反応促進剤としてのPEG(例えば、
PEG−6000(商品名)2.14g)、塩基(例え
ば、炭酸カリウム17.1g)、及び銅触媒(銅粉末1
5.7g)を加え、200℃に加熱する。この温度で反
応が完了するまで(約15〜24時間)攪拌する。反応
終了後、DMFと水を加えて分散し、濾過、水洗する。
得られた結晶をシリカクロマトグラフィーにより精製す
ることによりトリアリールアミンダイマー(例えば、
N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル
− 4,4’−ジアミノビフェニル[α−NPD])を
得る。
【0043】以上のような反応試薬(薬品、溶剤)を用
いて本発明の方法で反応することによりトリアリールア
ミンダイマー(例えば、TPDまたはα−NPD)を高
収率で得ることができる。
【0044】本発明の方法で製造されたTPDや芳香族
三級アミン誘導体は、有機電子写真感光体の電荷輸送材
料や有機エレクトロルミネッセンス(EL)現象を利用
する有機薄膜EL素子に用いる正孔輸送材料として有用
である。EL素子に応用した例としては、アブライド・
フィジックス・レター第57巻第6号531頁(199
0年)、特開平5−234681号公報(有機エレクト
ロルミネッセンス媒体を有するエレクトロルミネッセン
ス装置)、特開平10−218884号公報(フェナザ
シリン化合物及びそれを用いた有機薄膜EL素子)等が
ある。
【0045】特に、本発明の方法で製造されたトリアリ
ールアミンダイマー、例えば、TPDやα−NPDは純
度が高く、感光特性が安定している。従って、本発明の
方法で製造されたTPD又はα−NPDを含んでなる有
機電子写真感光体用電荷輸送材は有用である。また、こ
の電荷輸送材を含む有機電子写真感光体も有用である。
次に、本発明の方法で得られたトリアリールアミンダイ
マーの有機感光体への使用例について説明する。
【0046】TPD及びα−NPDのようなトリアリー
ルアミンダイマーは、電子写真技術を応用した複写機な
どに広く適用されている電子写真用有機感光体の電荷輸
送材料(CTM)として有用である。また、本発明のト
リアリールアミンダイマーは、チタニルフタロシアニン
やμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体また
はμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等のフタ
ロシアニン系電荷発生材料(CGM)と組合せて、有機
感光体の電荷輸送層に使用された場合に、帯電性が良好
で、中又は高感度、高耐久性(感度耐久性、電位耐久
性)の感光体を提供する。
【0047】フタロシアニンのような有機光導電性顔料
の少なくとも1種及び樹脂を備えてなる電子写真有機感
光体は、感光層が電荷発生層(CGL)と電荷輸送層
(CTL)とに分離した積層型のものであってもよく、
単層型のものであってもよい。しかし、フタロシアニン
系電荷発生剤の結晶変態の電気特性及び光感光特性を有
効に発揮させるためには、発生した電荷が捕獲される可
能性が小さく、各層がそれぞれの機能を阻害することな
く効率よく感光体表面に輸送される二層構造の機能分離
型感光体に適用することが好ましい。
【0048】このような機能分離型感光体は、例えば、
導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを薄膜状に
積層して形成される。導電性支持体の基材としては、ア
ルミニウム、ニッケル等の金属、金属蒸着フィルム等用
いることができ、ドラム状、シート状又はベルト状の形
態で作製される。
【0049】トリアリールアミンダイマーの電子写真用
有機感光体への適用は、まず光導電性フタロシアニン系
顔料を電荷発生材料(CG材)として含む電荷発生層を
導電性支持体上に薄膜状に形成する。この際の電荷発生
層は、フタロシアニン系顔料を導電性支持体上に蒸着さ
せ薄膜を形成することもできるが、一般には、結着樹脂
を溶媒に溶解した溶液に電荷発生材料を分散させた塗布
液を調製して、それを支持体上に塗布することによって
形成する。
【0050】フタロシアニン顔料(CGM)を分散させ
る方法としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシ
ェイカー等用いる通常の分散法を採用することができ
る。
【0051】電荷発生層の塗工手段としては、特に限定
されることはなく、例えば、バーコーター、ディップコ
ーター、スピンコーター、ローラーコーター等を適宜使
用することができる。乾燥は、30〜200℃の温度で5分
〜2時間、静止又は送風下で行うことができる。
【0052】塗布液用の溶媒としては、フタロシアニン
顔料を溶解することなく、均一に分散させ、必要に応じ
て用いられる結着樹脂を溶解するものであれば特に限定
されない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;トル
エン、キシレン、テトラリンのような芳香族溶媒;ジク
ロルメタン、クロロホルム、トリクロルエチレン、四塩
化炭素のようなハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロ
ピルのようなエステル系溶媒;エチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランのよ
うなエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド等が挙げられる。
【0053】結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択す
ることができる。好ましい樹脂としては、ポリカーボネ
ート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレート等の
縮合系樹脂;ポリスチレン、ポリアクリレート、スチレ
ン-アクリル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタ
クリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル-ブタジエ
ン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル
共重合体等の付加重合体;ポリ-N-ビニルカルバゾー
ル、ポリビニルアントラセン等の有機光導電性樹脂;ポ
リスルホン、ポリエーテルスルホン、シリコン樹脂、エ
ポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらは適
宜混合して用いることができる。
【0054】上記結着樹脂の使用量は、電荷発生材料に
対して、0.1〜3重量比であり、3重量比よりも大であ
ると、電荷発生層における電荷発生材料濃度が小さくな
り光感度が悪くなる。電荷発生層の膜厚は、0.05〜
5.0μmであり、一般に10μm以下である。
【0055】次に電荷発生層の上部に、電荷輸送材料を
含む電荷輸送層を薄膜状に形成する。この薄膜形成法と
しては、電荷発生層と同様な塗工法が用いられ、電荷輸
送材料を、必要に応じて結着樹脂と共に溶媒に溶解し、
電荷発生層の上部に均一に塗布し、その後乾燥させれば
よい。
【0056】電荷輸送材料(CTM)としては、本発明
の方法で得られたトリアリールアミンダイマー(例え
ば、TPD又はα−NPD)を使用する。
【0057】電荷輸送層を形成する結着樹脂及び溶媒と
しては、前記電荷発生層に使用されるものと同様なもの
が使用できる。
【0058】上記結着樹脂の使用量は、電荷輸送材料に
対して、0.1〜5重量比であり、5重量比よりも大であ
ると、電荷輸送層における電荷輸送材料濃度が小さくな
り光感度が悪くなる。電荷輸送層の膜厚は、5〜50μm
であり、一般に100μm以下である。
【0059】なお、上記電荷発生層、電荷輸送層、或い
は表面保護層には、従来公知の増感剤;アミン系、フェ
ノール系の酸化防止剤、ベンゾフェノン系等の紫外線吸
収剤などの劣化防止剤;等の種々の添加剤を含有させる
ことができる。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0061】実施例1 N,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリル−4,4’
−ジアミノビフェニルの合成 撹拌器、ダ(蛇)管冷却器などの必要器具を備えた10
0mlのガラス製4口フラスコに、4,4’−ジヨード
ビフェニル1.0g(2.46mmol)とo-ジクロロ
ベンゼン20mlを加え、さらにm−メチルジフェニル
アミン1.08g(5.90mmol)、反応促進剤と
してのポリエチレングリコール(和光純薬社製のPEG
−6000(商品名))0.104g、炭酸カリウム
2.73g(0.0198mol)、及び銅(粉末)
0.635g(9.87mmol)を加えて攪拌下、還
流した。高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡
し原料及び中間体のピークがなくなるまで攪拌下還流し
た(22時間)。熱時濾過後、生成物をジクロロメタン
で濾液の色が薄くなるまで洗浄し、溶剤(媒)を減圧留
去した。残留物をシリカクロマトグラフィーにより精製
することにより、式
【0062】
【化7】
【0063】で示されるN,N’−ジフェニル−N,
N’−ジトリル−4,4’−ジアミノビフェニル1.0
1g(収率78.7%)を得た。
【0064】元素分析結果を表1に、IR分析結果を図
1に、1H−NMRスペクトルを図2に、13C−NMR
スペクトルを図3に、FD−MSスペクトルを図4にそ
れぞれ示す。
【0065】
【表1】
【0066】なお、FD-MS(電界脱離イオン化法に
よる質量分析)の測定は、下記の条件で行った。
【0067】(1)測定法
【表2】
【0068】(2)測定結果:図4 図中、横軸はM/Z[質量/電荷]、縦軸はRelative Abu
ndance[存在比]を示す。M/Z=516(100)[M
+H]+に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリ
ル−4,4’−ジアミノビフェニル[C38322]のイ
オンピークが確認される。
【0069】実施例2 N,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリル−4,4’
−ジアミノビフェニルの合成 m−メチルジフェニルアミン10.8g(59.0mm
ol)、4,4’−ジヨードビフェニル10.0g(2
4.6mmol)に、ポリエチレングリコール(和光純
薬社製のPEG−6000(商品名))1.04g、炭
酸カリウム27.3g(0.198mol)、及び銅
(粉末)6.35g(98.7mmol)を加えて20
5℃に加熱した。高速液体クロマトグラフィーにより反
応を追跡し原料及び中間体のピークがなくなるまで加熱
した(9時間)。これに25%アンモニア水270ml
を加え、80〜90℃に15分間加熱した。熱時濾過
し、少量の25%アンモニア水、水道水で洗浄した。得
られた結晶をシリカクロマトグラフィーにより精製する
ことによりN,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリル
−4,4’−ジアミノビフェニル9.43g(収率7
3.6%)を得た。
【0070】元素分析結果、IR分析結果、1H−NM
Rスペクトル、13C−NMRスペクトル、及びFD−M
Sスペクトルは、実施例1と同じであった。
【0071】実施例3 N,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリル−4,4’
−ジアミノビフェニルの合成 4,4’−ジヨードビフェニル1.0g(2.46mm
ol)にo−ジクロロベンゼン20mlを加え、さらに
m−メチルジフェニルアミン1.08g(5.90mm
ol)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(東
邦化学社製のPMP−400(商品名))0.104
g、炭酸カリウム2.73g(0.0198mol)、
及び銅(粉末)0.635g(9.87mmol)を加
えて攪拌下、還流した。高速液体クロマトグラフィーに
より反応を追跡し原料及び中間体のピークがなくなるま
で攪拌下還流した(30時間)。熱時濾過後、生成物を
ジクロロメタンで濾液の色が薄くなるまで洗浄し、溶剤
(媒)を減圧留去した。残留物をシリカクロマトグラフ
ィーにより精製することによりN,N’−ジフェニル−
N,N’−ジトリル−4,4’−ジアミノビフェニル
0.865g(収率67.8%)を得た。
【0072】元素分析結果、IR分析結果、1H−NM
Rスペクトル、13C−NMRスペクトル、及びFD−M
Sスペクトルは、実施例1と同じであった。
【0073】実施例4 N,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリル−4,4’
−ジアミノビフェニルの合成 4,4’−ジヨードビフェニル1.0g(2.46mm
ol)にo−ジクロロベンゼン20mlを加え、さらに
m−メチルジフェニルアミン1.08g(5.90mm
ol)、ポリエチレングリコール(和光純薬社製のPE
G−6000(商品名))0.104g、水酸化カリウ
ム1.11g(0.0198mol)、及び銅(粉末)
0.635g(9.87mmol)を加えて攪拌下、還
流した。高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡
し原料及び中間体のピークがなくなるまで攪拌下還流し
た(66時間)。熱時濾過後、生成物をジクロロメタン
で濾液の色が薄くなるまで洗浄し、溶剤(媒)を減圧留
去した。残留物をシリカクロマトグラフィーにより精製
することによりN,N’−ジフェニル−N,N’−ジト
リル−4,4’−ジアミノビフェニル0.416g(収
率32.5%)を得た。
【0074】元素分析結果、IR分析結果、1H−NM
Rスペクトル、13C−NMRスペクトル、及びFD−M
Sスペクトルは、実施例1と同じであった。
【0075】実施例5 N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル
− 4,4’−ジアミノビフェニル(α−NPD)の合
成 N−フェニル−1−ナフチルアミン32.4g(148
mmol)に、4,4’−ジヨードビフェニル25.1
g(61.5mmol)、PEG−6000(2.14
g)、炭酸カリウム17.1g(0.124mol)、
及び銅(粉末)15.7g(247mmol)を加えて
200℃に加熱した。高速液体クロマトグラフィーによ
り反応を追跡し、原料及び中間体のピークが無くなるま
で加熱した(12時間)。これにDMFと水を加え分散
し、濾過、水洗を行った。得られた結晶をシリカクロマ
トグラフィーにより精製することにより、式
【化8】 で示されるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−
ジフェニル− 4,4’−ジアミノビフェニル20.2
g(収率55.9%)を得た。
【0076】IR分析結果を図5に、1H−NMRスペ
クトルを図6に、13C−NMRスペクトルを図7に、F
D−MSスペクトルを図8にそれぞれ示す。
【0077】比較例1 4,4’−ジヨードビフェニル1.01g(2.47m
mol)にo-ジクロロベンゼン20mlを加え、さらに
m−メチルジフェニルアミン0.95g(5.20mm
ol)、18−クラウン−6−エーテル0.141g
(0.493mmol)、炭酸カリウム2.73g
(0.0197mol)、及び銅(粉末)0.625g
(9.85mmol)を加えて攪拌下、還流した。高速
液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し原料及び中
間体のピークがなくなるまで攪拌下還流した(19時
間)。熱時濾過後、生成物を10mlのクロロホルムで
洗浄し、溶剤(媒)を減圧留去した。残留物をシリカク
ロマトグラフィーにより精製することによりN,N’−
ジフェニル−N,N’−ジトリル−4,4’−ジアミノ
ビフェニル0.871g(収率32.8%)を得た。
【0078】比較例2 4,4’−ジヨードビフェニル1.00g(2.46m
mol)をキシレン44.0mlに溶解し、さらにm−
メチルジフェニルアミン0.947g(5.17mmo
l)、ジベンジリデンアセトン二パラジウム22.5m
g(0.0246mmol)、トリ−o-トリルホスフィ
ン30.0mg(0.098mmol)、及びナトリウ
tert-ブトキシド1.32g(0.0314mol)
を加えて攪拌下、還流した。高速液体クロマトグラフィ
ーにより反応を追跡し原料及び中間体のピークがなくな
るまで攪拌下還流した(10時間)。セライトを用いて
濾過し、生成物を10mlのジクロロメタンで濾液の色
が薄くなるまで洗浄後、溶剤(媒)を減圧留去した。残
留物をシリカクロマトグラフィーにより精製することに
よりN,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリル−4,
4’−ジアミノビフェニル0.622g(収率48.9
%)を得た。
【0079】実施例6 特公平3−35064号公報に提案されているY型チタ
ニルフタロシアニン0.20gとポリビニルブチラール
樹脂[積水化学社製のエレックスBH-3]0.20
g、及びシクロヘキサノン59.6gを、3mmφガラ
スビーズ50gと共にマヨネーズ瓶(140ml)に入
れ、ペイントシェーカーで1時間撹拌後、これをアセト
ンでよく洗浄したアルミニウム板上にバーコーターを用
いて膜厚が0.5μmになるよう電荷発生層(CGL)
を形成した。次にこの上に、実施例1で合成したトリフ
ェニルアミンダイマー(TPD)4.5g、ポリカーボ
ネート樹脂[帝人社製のパンライトL−1250]4.
5g及びジクロロメタン51.0gを混合し、超音波分
散により均一の溶液とした後、バーコーターを用いて電
荷発生層の上に、膜厚が60μmになるように電荷輸送
層(CTL)を形成し、これを一晩乾燥して、試験用感
光体(片)を作製した。
【0080】実施例7 実施例6で使用したY型チタニルフタロシアニンを、特
開平9−217020号公報に提案されているII型μ−
オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー(μ−オ
キソ−AlPcダイマー)に代えた以外は、全く実施例
6と同じ処方により試験用感光体(片)を作製した。
【0081】実施例8 実施例6で使用したY型チタニルフタロシアニンを、特
開平10−88023号公報に提案されているG型μ−
オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー(μ−オキソ
−GaPcダイマー)に代えた以外は、全く実施例6と
同じ処方により試験用感光体(片)を作製した。
【0082】実施例9 特公平3−35064号公報に提案されているY型チタ
ニルフタロシアニン0.20gと、ポリビニルブチラー
ル樹脂[積水化学社製のエレックスBH−3]0.20
g、及びシクロヘキサノン59.6gを、3mmφガラ
スビーズ50gと共にマヨネーズ瓶(140ml)に入
れ、ペイントシェーカーで1時間攪拌後、これをアセト
ンでよく洗浄したアルミニウム板上にバーコーターを用
いて膜厚が0.5μmになるよう電荷発生層(CGL)
を形成した。次にこの上に、実施例5で合成したトリア
リールアミンダイマー(α−NPD)4.5g、ポリカ
ーボネート樹脂[帝人社製のパンライトL−1250]
4.5g及びクロロホルム51.0gを混合し、超音波
分散により均一の溶液とした後、バーコーターを用いて
電荷発生層の上に、膜厚が60μmになるように電荷輸
送層(CTL)を形成し、これを一晩乾燥して、試験用
感光体(片)を作製した。
【0083】実施例10 実施例9で使用したY型チタニルフタロシアニンを、特
開平10−88023号公報に提案されているG型μ−
オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー(μ−オキソ
−GaPcダイマー)に代えた以外は、全く実施例9と
同じ処方により試験用感光体(片)を作製した。
【0084】比較例3 実施例6で使用したトリフェニルアミンダイマー(実施
例1合成品)を、式
【0085】
【化9】
【0086】で示される高砂香料社製のブタジエン系電
荷輸送剤(化学名:1,1−ビス(p-エチルアミノフェ
ニル)−1,3−ブタジエン、商品名:T405)に代
えた以外は、全く実施例6と同じ処方により試験用感光
体(片)を作製した。
【0087】感光体特性評価 上記実施例6〜10及び比較例3において作成した試験
用感光体片につき、一次感光特性(OPC特性)の測定
を行った。測定は、静電気帯電試験装置ペーパーアナラ
イザーEPA−8200[川口電気社製]を用い、ま
ず、−8.0kVでSTAT3モードで帯電し、2.0秒
間暗所放置後、5.0lx.の白色光を10.0秒間照射
して、帯電電位(Vmax)、暗減衰率(%)、残留電位
(Vre)、半減露光量(感度)(E1/2)について測定
し評価した。以上の測定結果を表3にまとめた。
【0088】
【表3】
【0089】暗減衰率の測定は、帯電直後の表面電位
(V0=Vmax)及び2.0秒間放置後の表面電位
(V2)を測定し、次の式より暗減衰率(%)を求め
た。
【0090】 暗減衰率(%)=100×(V0−V2)/V0
【0091】分光感度の測定に関しては、バンドパス干
渉フィルターを用いて450〜900nmの間において
50nm(及び25nm)間隔で照射光の波長を変化さ
せること以外は上述の感光体特性評価と同様にして、電
子写真感光体片を帯電させた。露光エネルギーは1.0
0μWとした。それぞれの波長における初期帯電量(V
max[V])及び半減露光感度(E1/2[μJ/c
2])を測定した。結果は良好であった。
【0092】また、耐久性試験については、静電気帯電
試験装置EPA−8200を耐久性測定モードとし、感
光体特性評価と同様の条件で、電子写真感光体片を帯電
させた。耐久性測定モードでは、帯電する操作を約10
0回繰り返した。そして、それに伴う帯電電位(Vma
x)、半減露光量感度(E1/2)の変化を測定した。結果
は良好であった。
【0093】実施例11 この実施例では、実施例1で得られたTPDを正孔輸送
材料(HTM)として使用した有機薄膜EL素子の例に
ついて説明する。
【0094】洗浄したITO電極付きガラス板上に、ト
リス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体(発
光材料)、実施例1で得られたTPD、ポリカーボネー
ト樹脂[帝人社製のパンライトL−1250]を3:
2:5の比率でクロロホルムに溶解分散させ、スピンコ
ーティング法により膜厚100nmの発光層を得た。そ
の上にマグネシウムと銀を10:1で混合した合金で、
膜厚150nmの電極を形成して有機EL素子を得た。
この素子に直流電源を接続したところ、5V以上の直流
電圧により緑色に発光した。
【0095】本発明のTPDを積層型EL素子(例え
ば、陽極/正孔注入層/発光層/陰極)に適用した場合
にもついても、発光輝度(cd/m2)及び発光効率
(lm/w)は良好であった。
【0096】実施例12 この実施例では、実施例5で得られたα−NPDを正孔
輸送材料(HTM)として使用した有機薄膜EL素子の
例について説明する。
【0097】洗浄したITO電極付きガラス板上に、ト
リス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体(発
光材料)、実施例5で得られたα−NPD、ポリカーボ
ネート樹脂[帝人社製のパンライトL−1250]を
3:2:5の比率でクロロホルムに溶解分散させ、スピ
ンコーティング法により膜厚100nmの発光層を得
た。その上にマグネシウムと銀を10:1で混合した合
金で、膜厚150nmの電極を形成して有機EL素子を
得た。この素子に直流電源を接続したところ、5V以上
の直流電圧により緑色に発光した。
【0098】本発明のα−NPDを積層型EL素子(例
えば、陽極/正孔注入層/発光層/陰極)に適用した場
合についても、発光輝度(cd/m2)及び発光効率
(1m/w)は良好であった。
【0099】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高価な薬品を使
用せず、簡便で反応収率が高く、工業的規模で行うのに
有利なトリアリールアミンダイマー(例えば、TPD又
はα−NPD)の製造方法が提供される。本発明の方法
で得られたTPD又はα−NPDは、有機感光体の電荷
輸送材料として使用した場合には、フタロシアニン系等
の電荷発生材料と組合せて使用することによりOPC特
性が良好な電子写真用有機感光体が提供できる。また、
有機EL素子の正孔輸送材料として使用した場合には、
発光輝度及び発光効率が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたトリフェニルアミンダイ
マー(TPD)のIRスペクトルである。
【図2】 実施例1で得られたトリフェニルアミンダイ
マー(TPD)の1H−NMRスペクトルである。
【図3】 実施例1で得られたトリフェニルアミンダイ
マー(TPD)の13C−NMRスペクトルである。
【図4】 実施例1で得られたトリフェニルアミンダイ
マー(TPD)のFD−MSスペクトルである。
【図5】 実施例5で得られたトリアリールアミンダイ
マー(α−NPD)のIRスペクトルである。
【図6】 実施例5で得られたトリアリールアミンダイ
マー(α−NPD)の1H−NMRスペクトルである。
【図7】 実施例5で得られたトリアリールアミンダイ
マー(α−NPD)の13C−NMRスペクトルである。
【図8】 実施例5で得られたトリアリールアミンダイ
マー(α−NPD)のFD−MSスペクトルである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/06 371 G03G 5/06 371 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 H05B 33/22 H05B 33/22 D

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 [式中、Xはハロゲン原子であり、R1及びR2は、それ
    ぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又
    はハロゲン原子であり、Arはフェニレン基またはナフ
    チレン基である。]で示されるウルマン反応を用いてト
    リアリールアミンダイマー(I)を製造する方法におい
    て、該反応促進剤としてポリエチレングリコールまたは
    ポリエチレングリコールのジ−又はモノ−アルキルエー
    テルを用いることを特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】 前記Xがヨウ素原子である請求項1記載
    のトリアリールアミンダイマー(I)の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記R1がメチル基であり、R2が水素原
    子であり、Arがフェニレン基である請求項1記載のト
    リアリールアミンダイマー(I)の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記R1およびR2が水素原子であり、A
    rがα−ナフチレン基である請求項1記載のトリアリー
    ルアミンダイマー(I)の製造方法。
  5. 【請求項5】 4,4’−ジハロビフェニルとジアリー
    ルアミン類とを、塩基、銅触媒及び反応促進剤としてポ
    リエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの
    ジ−又はモノ−アルキルエーテルの存在下でN−アリー
    ル化反応させる工程を包含する、トリアリールアミンダ
    イマー(I)の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記反応促進剤が、下記(i)〜(iii)
    の式で示される化合物からなる群から選択される請求項
    1または5記載のトリアリールアミンダイマー(I)の
    製造方法: HO(CH2CH2O)a−H (i) [式中、aは2以上の整数である。]で示されるポリエ
    チレングリコール; R3O(CH2CH2O)b−R4 (ii) [式中、R3及びR4は同じであっても異なっていてもよ
    い炭素数1〜4のアルキル基であり、bは、2以上の整
    数である。]で示されるポリエチレングリコールジアル
    キルエーテル; R3O(CH2CH2O)c−H (iii) [式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基であり、cは
    2以上の整数である。]で示されるポリエチレングリコ
    ールモノアルキルエーテル。
  7. 【請求項7】 電荷発生材としてμ−オキソ−アルミニ
    ウムフタロシアニンダイマーを含み、電荷輸送材として
    トリアリールアミンダイマーを含む有機電子写真感光
    体。
  8. 【請求項8】 電荷発生材としてμ−オキソ−ガリウム
    フタロシアニンダイマーを含み、電荷輸送材としてトリ
    アリールアミンダイマーを含む有機電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 請求項1または5記載の方法で製造され
    たトリアリールアミンダイマーを含んでなる有機電子写
    真感光体用電荷輸送材。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の電荷輸送材を含む有機
    電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 電荷発生材としてμ−オキソ−アルミ
    ニウムフタロシアニンダイマーを含み、請求項9記載の
    電荷輸送材を含む有機電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 電荷発生材としてμ−オキソ−ガリウ
    ムフタロシアニンダイマーを含み、請求項9記載の電荷
    輸送材を含む有機電子写真感光体。
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