JP4145780B2 - 電荷輸送材料 - Google Patents

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本発明は、電子写真感光体の電荷輸送材料や、有機エレクトロルミネッセンス素子等の正孔輸送材料として有用なトリアリールアミンダイマー、およびその製造方法に関するものである。
有機電子写真感光体は、光照射により電荷を発生するフタロシアニン系等の電荷発生材料を含有する電荷発生層と、電荷を感光体表面部に移送する電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とを積層させた積層型感光体が広く用いられている。積層型感光体における電荷輸送層はバインダーポリマー中に電荷輸送材料を溶解し、固溶体としたものが多く用いられる。
電荷輸送層は均一な状態で製膜される必要があり、製膜時に電荷輸送材料が析出するなど不均一な状態になると印刷時に白ヌケなどの原因となる。そのため、電荷輸送材料はバインダーポリマーに対する充分な溶解度を持っていることが求められる。
有機電子写真感光体に用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ヒドラジン誘導体、トリアジン誘導体、キナゾリン誘導体、スチリル系化合物、スチリルトリフェニルアミン系化合物、ブタジエン系化合物、カルバゾール系化合物及び、ベンゾフラン系化合物などがある。
トリアリールアミンダイマー誘導体は、高い電荷輸送性能を持ち、有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送剤や、複写機やプリンター等の電子写真用有機感光体の電荷輸送剤として広く適用されている。
一般的なトリアリールアミンダイマーとして、下記式Aに示すN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(α−NPD)、
Figure 0004145780
下記式Bに示すN,N’−ジフェニル−N,N’−ジトリル−4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)
Figure 0004145780
がある。
α−NPDは有機エレクトロルミネッセンス分野におけるホール輸送剤として広く用いられており、高い電荷輸送性能を持っていることが知られている。しかし、溶解度が非常に低く真空蒸着などの方法を用いなければ製膜することができないため、塗布膜作成が一般の実施形態である電子写真感光体分野における電荷輸送剤としては実用化されていない。
TPDは電子写真感光体の電荷輸送剤として知られている。しかし、しばしば溶解度が充分ではなかったり、感光体としてドラム上に製膜した際に結晶化したりするなどの問題が起こることがあった。
特許文献1には、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(β−NPD)に関し、電子写真感光体分野における電荷輸送剤用途について、溶解度を向上させるため、アルキル置換基、特にメチル基を導入した誘導体の実施例が挙げられている。
特開2003−21921号公報
電子写真感光体の電荷輸送層は均一な状態で製膜される必要があるが、トリアリールアミンダイマー誘導体は、有機溶媒への溶解度が充分でない、あるいはドラム上に製膜した際に結晶化や、不均一状態になる等の問題が起こることがあった。また、有機溶媒への溶解度を上げるために脂肪族置換基を導入した場合、アルキル鎖の長い脂肪族置換基はトリアリールアミンダイマー誘導体が持つ電荷輸送特性を低下させ、電子写真感光体等の電荷輸送層に用いた際に充分な特性が得られない等の問題があった。
本発明は、置換基の導入なしで、有機溶媒に対する高い溶解度を持つ、高感度でかつディッピング法やスピンコーティング法等の簡単な塗布方法で電荷輸送層を形成しても結晶化が起こらない電荷輸送材料、その電荷輸送材料を用いた電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。さらにはアモルファス相を有するβ−NPDの製造法を提供することを目的とする。
斯かる目的を達成するため、発明者は電子写真感光体へのトリアリールアミンダイマー誘導体を応用することを鋭意検討した。その結果、とりわけアモルファス相を有する結晶変態のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(β−NPD)が、他のトリアリールアミンダイマーと比較して非常に高い溶解度と溶液安定性を有し、感光体の電荷輸送材料として用いた際の製膜性も良く、暗減衰率などの感光特性が良好な電子写真感光体を提供することができることを見出した。
前記の目的を達成するため、このような知見の下でなされた特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、結晶相を有し得る下記式1
Figure 0004145780
で表される物質を、ジメチルホルムアミドに溶解後、貧溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールから選ばれるアルコール系溶媒を加えて再沈澱することを特徴とするN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルからなるアモルファス製造方法である。
同じく特許請求の範囲の請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の製造方法で製造されたN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルからなるアモルファスを有する電子写真感光体である。
電荷輸送材料は、単層型の電子写真有機感光体に用いてもよく、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とに分離した積層型の電子写真有機感光体に用いてもよい。
本発明のアモルファス相を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルは、構造異性体であるα−NPDや、一般的な電荷輸送材料であるTPDと比較しても、非常に高い有機溶媒への溶解度と溶液安定性を有しており、電子写真感光体等の電荷輸送層を形成する際に、ディッピング法やスピンコーティング法等の簡単な塗布方法で有機感光体を作成することができる。また、暗減衰率等の感光特性も良好な電子写真感光体を提供することができる。
本発明のアモルファス相を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを、電荷輸送層に使用した場合には、帯電性が良好で、感度耐久性および電位耐久性に優れた、中又は高感度の感光体が得られる。
発明を実施するための好ましい形態
本発明は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを急冷法、再沈澱法によりアモルファス化するものである。
得られたN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルがアモルファス相を有しているかどうかは、粉末X線結晶回折において、明確なピークを示さないことにより確認することができる。
結晶相とアモルファス相では化合物の化学構造そのものに変化はないことは赤外線吸収スペクトル、H−核磁気共鳴スペクトル,13C−核磁気共鳴スペクトル、元素分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により確認することができる。
アモルファス相を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルは、結晶相を有するものと比較した場合、有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン)への溶解度が極めて高く、電子写真感光体や有機エレクトロルミネッセンス素子の薄膜を形成するのに有利な溶解度を得ることができる。
本発明の方法において、出発原料となるN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルは、市販品であっても、いかなる公知の方法によって合成されてもよい。
本発明の電子写真有機感光体は、例えば、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを薄膜状に積層して形成される機能分離型感光体である。
電子写真有機感光体は、電荷発生剤の結晶変態の電気特性及び光感光特性を有効に発揮させるために、発生した電荷が捕獲される可能性が小さく、各層がそれぞれの機能を阻害することなく、効率よく感光体表面に輸送される二層構造の機能分離型感光体に適用することが好ましい。
電荷発生材料としては、チタニルフタロシアニンやμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体またはμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が用いられる。
導電性支持体の基材としては、アルミニウム、ニッケル等の金属、金属蒸着フィルム等を用いることができ、ドラム状、シート状又はベルト状の形態で作製される。
電子写真用有機感光体は、例えばまず電荷発生材料を導電性支持体上に薄膜状の電荷発生層を形成する。この際の電荷発生層は、電荷発生材料を導電性支持体上に蒸着させ薄膜を形成することもできるが、一般には、結着樹脂を溶媒に溶解した溶液に電荷発生材料を分散させた塗布液を調製して、それを支持体上に塗布することによって形成する。
電荷発生材料を分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー等を用いることができる。
電荷発生層の塗工手段としては、特に限定されることはなく、例えば、バーコーター、ディップコーター、スピンコーター、ローラーコーター等を適宜使用することができる。乾燥は、30〜200℃の温度で5分〜2時間、静止又は送風下で行うことができる。
塗布液用の溶媒としては、電荷発生材料を溶解することなく、均一に分散させ、必要に応じて用いられる結着樹脂を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;トルエン、キシレン、テトラリンのような芳香族溶媒;ジクロルメタン、クロロホルム、トリクロルエチレン、四塩化炭素のようなハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ましい樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレート等の縮合系樹脂;ポリスチレン、ポリアクリレート、スチレン−アクリル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の付加重合体;ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等の有機光導電性樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらは適宜混合して用いることができる。
上記結着樹脂の使用量は、電荷発生材料に対して、0.1〜3重量比であり、3重量比よりも大であると、電荷発生層における電荷発生材料濃度が小さくなり光感度が悪くなる。電荷発生層の膜厚は、0.05〜5.0μmであり、一般に10μm以下である。
次に電荷発生層の上部に、電荷輸送材料であるN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを含む電荷輸送層を薄膜状に形成する。この薄膜形成法としては、電荷発生層と同様な塗工法が用いられ、電荷輸送材料を、必要に応じて結着樹脂と共に溶媒に溶解し、電荷発生層の上部に均一に塗布し、その後乾燥させればよい。
塗布液用の溶媒としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを効率良く溶解し、必要に応じて用いられる結着樹脂を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、トルエン、キシレン、テトラリンのような芳香族溶媒;ジクロルメタン、クロロホルム、トリクロルエチレン、四塩化炭素のようなハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる
電荷輸送層を形成する結着樹脂としては、前記電荷発生層に使用されるものと同様なものが使用できる。
上記結着樹脂の使用量は、電荷輸送材料に対して、0.1〜5重量比であり、5重量比よりも大であると、電荷輸送層における電荷輸送材料濃度が小さくなり光感度が悪くなる。電荷輸送層の膜厚は、5〜50μmであり、一般に100μm以下である。
また、電子写真用有機感光体には、さらに、表面保護層が塗工されていてもよい。
なお、上記電荷発生層、電荷輸送層、或いは表面保護層には、従来公知の増感剤;アミン系、フェノール系の酸化防止剤、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤などの劣化防止剤等の種々の添加剤を含有させることができる。
以下、合成例および実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(合成例1)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(β−NPD)を合成した。
撹拌機、冷却器などの必要器具を備えた300ml三つ口フラスコに、N−フェニル−2−ナフチルアミン32.4g(148mmol)、ο−ジクロロベンゼン40ml、4,4’−ジヨードビフェニル25.1g(61.5mmol)、ポリエチレングリコール(PEG−6000:和光純薬社製商品名)2.14g、炭酸カリウム17.1g(0.124mol)、及び銅(粉末)1.57g(24.7mmol)を加えて攪拌下、加熱還流した。高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し、原料及び中間体のピークが無くなるまで加熱した(12時間)。これにDMFと水を加え分散し、濾過、水洗を行った。得られた結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、β−NPDを26.2gの薄黄色結晶(収率72.4%)として得た。
(合成例2)
β−NPDを急冷却によりアモルファス化した。
合成例1で得られたβ−NPD結晶をマントルヒーターを備えたナス型フラスコへ入れ、減圧しながら175℃〜195℃で6時間加温して溶融、乾燥させた。加温後、急冷することでβ−NPD 30.39g(収率84.9%)を黄色ガラス状物質として得た。乳鉢で砕き粉末X線結晶解析(XRD)を行い、アモルファス状態であることを確認した。
合成例2で得られたアモルファス相を有するβ−NPDの元素分析結果を表1に、赤外線吸収スペクトルを図1に、H−核磁気共鳴スペクトルを図2に、13C−核磁気共鳴スペクトルを図3に、XRDスペクトルを図4にそれぞれ示す。
Figure 0004145780
(合成例3)
β−NPDを再沈澱によりアモルファス化した。
合成例1で得たβ−NPD結晶を有機溶媒に溶解し、そこに貧溶媒を加え再沈澱させることによってアモルファス相を有するβ−NPDを得た。具体的には、合成例1で得た固体10gをジメチルホルムアミド100mlに室温撹拌下溶解し、メタノール500mlを加え、沈澱した固体を濾別、乾燥後、アモルファス相を有するβ−NPDを9.52g得た。XRDや他のデータは、合成例2で得られたものと同一であることを確認した。
(比較合成例1)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−トリル)−4,4’−ジアミノビフェニル(3,3−TPD)を合成した。
100mlのガラス製四つ口フラスコに、4,4’−ジヨードビフェニル1.0g(2.46mmol)とo−ジクロロベンゼン20mlを加え、さらにm−メチルジフェニルアミン1.08g(5.90mmol)、反応促進剤としてのポリエチレングリコール(PEG−6000:和光純薬社製商品名)0.104g、炭酸カリウム2.73g(0.0198mol)、及び銅(粉末)0.635g(9.87mmol)を加えて攪拌下、加熱還流した。高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し、原料及び中間体のピークがなくなるまで攪拌下還流した(22時間)。熱時濾過後、生成物をジクロロメタンで濾液の色が薄くなるまで洗浄し、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、3,3−TPDを得た。
(比較合成例2)
3,3−TPDを急冷却によりアモルファス化した。
比較合成例1で得た3,3−TPDをマントルヒーターを備えたナス型フラスコに入れ、減圧しながら220℃で1時間加温して溶融させた。加温後、急冷することで淡黄色ガラス状物質を得た。乳鉢で砕き、粉末X線結晶解析(XRD)を行い、アモルファス相を有する3,3−TPDであることを確認した。
(比較合成例3)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(α−NPD)を合成した。
撹拌機、冷却器などの必要器具を備えた300ml三つ口フラスコに、N−フェニル−1−ナフチルアミン32.4g(148mmol)、4,4’−ジヨードビフェニル25.1g(61.5mmol)、ポリエチレングリコール(PEG−6000:和光純薬社製商品名)2.14g、炭酸カリウム17.1g(0.124mol)、及び銅(粉末)1.57g(24.7mmol)を加えて250℃に加熱した。高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し、原料及び中間体のピークが無くなるまで加熱した(12時間)。これにDMFと水を加え分散し、濾過、水洗を行った。得られた結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、α−NPD20.2g(収率55.9%)を得た。
(比較合成例4)
α−NPDを急冷却によりアモルファス化した。
比較合成例3で得たα−NPDをガラスチューブオーブンへ入れ、減圧しながら300℃で2時間加温して溶融させた。加温後、急冷することで淡黄色ガラス状物質を得た。乳鉢で砕き、粉末X線結晶解析(XRD)を行い、アモルファス相を有するα−NPDであることを確認した。
(溶解度測定)
20mlスクリュー管ビンに溶媒(THF、DMF、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン)5mlをそれぞれ測り取り、マグネティックスターラーで撹拌しながら合成例2、比較合成例1〜4で合成した化合物を徐々に加えた。飽和するまでに加えた化合物量から、各溶媒での溶解度(g/ml)を求めた。表2に溶解度測定結果を示す。
Figure 0004145780
表2に示すように、結晶相を有するものよりもアモルファス相を有するものの方が高い溶解度を示した。また、アモルファス相を有する化合物中でも、合成例2(アモルファス相を有するβ−NPD)は、比較合成例2(アモルファス相を有する3,3−TPD),比較合成例4(アモルファス相を有するα−NPD)と比較して非常に高い溶解度を示し、異性体であるα−NPDと比較した場合、十倍から数百倍以上の溶解度を持っていることがわかる。
合成例1〜3、比較合成例1〜4で得られた化合物を用いて、積層型感光体片を作成した例を、実施例1〜2、および比較例1〜5に示す。
(実施例1)
アモルファス相を有するβ−NPDを用いた積層型感光体片を作成した。
100mlのマヨネーズ瓶にY型チタニルフタロシアニン(特開平3−35064号公報記載の追試品)0.2g、ポリビニルブチラール樹脂(エレックスBH−3:積水化学社製商品名)0.2g、シクロヘキサノン59.6g、3mmφのガラスビーズ50gを加え、ペイントシェーカーで1時間振とうした。これをアセトンでよく洗浄したアルミニウム板上にバーコーターを用いて膜厚が0.5ミクロンになるように製膜し、電荷発生層を形成させた。さらに合成例2で合成したアモルファス相を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(β−NPD)1.0gとポリカーボネート(パンライトL−1250:帝人社製商品名)1.0gをジクロロメタン11.3gに溶解した液を、電荷発生層の上にバーコーターを用いて膜圧が20ミクロンになるように製膜し、電荷輸送層を形成させ、積層型感光体片を作成した。
(実施例2)
アモルファス相を有するβ−NPDを用いた積層型感光体片を作成した。
合成例2で合成したアモルファス相を有するβ−NPDの替わりに合成例3で合成したアモルファス相を有するβ−NPDを用いること以外は実施例1と同様にして積層型感光体片を作成した。
(比較例1)
結晶相を有するβ−NPDを用いた積層型感光体片を作成した。
合成例2で合成したアモルファス相を有するβ−NPDの替わりに合成例1で合成した結晶相を有するβ−NPDを用いること以外は実施例1と同様にして積層型感光体片を作成した。
(比較例2)
結晶相を有する3,3−TPDを用いた積層型感光体片を作成した。
合成例2で合成したアモルファス相を有するβ−NPDの替わりに比較合成例1で合成した結晶相を有する3,3−TPDを用いること以外は実施例1と同様にして積層型感光体片を作成した。
(比較例3)
アモルファス相を有する3,3−TPDを用いた積層型感光体片を作成した。
合成例2で合成したアモルファス相を有するβ−NPDの替わりに比較合成例2で合成したアモルファス相を有する3,3−TPDを用いること以外は実施例1と同様にして積層型感光体片を作成した。
(比較例4)
結晶相を有するα−NPDを用いた積層型感光体片を作成した。
合成例2で合成したアモルファス相を有するβ−NPDの替わりに比較合成例3で合成した結晶相を有するα−NPDを用いること以外は実施例1と同様にして積層型感光体片を作成した。
(比較例5)
アモルファス相を有するα−NPDを用いた積層型感光体片を作成した。
合成例2で合成したアモルファス相を有するβ−NPDの替わりに比較合成例4で合成したアモルファス相を有するα−NPDを用いること以外は実施例1と同様にして積層型感光体片を作成した。
(感光体特性評価)
上記実施例1,2及び比較例1〜5において作成した試験用感光体片につき、一次感光特性(OPC特性)の測定を行った。測定は、静電気帯電試験装置ペーパーアナライザーEPA−8200(川口電気社製)を用い、まず、−8.0kVでSTAT3モードで帯電し、2.0秒間暗所放置後、5.0lx.の白色光を10.0秒間照射して、帯電電位(Vmax)、暗減衰率(%)、残留電位(Vre)、半減露光量(感度)(E1/2)について測定し評価した。以上の測定結果を表3にまとめた。
Figure 0004145780
暗減衰率の測定は、帯電直後の表面電位(V0=Vmax)及び2.0秒間放置後の表面電位(V2)を測定し、次の式より暗減衰率(%)を求めた。
暗減衰率(%)=100×(V0−V2)/V0
一次感光特性については、表の結果から帯電電位(Vmax)や半減露光量(感度)(E1/2)について電荷輸送材料の違いによる差は見られなかったが、暗減衰率では、実施例2(アモルファス相を有するβ−NPD)が最も低い値を示し良好な結果となった。これは電荷輸送層の均一性が優れているためであると考えられる。また、試験用感光体片塗膜の経時変化を顕微鏡観測すると、実施例1(アモルファス相を有するβ−NPD)では、数日後でも結晶の析出が観測されないのに対し、比較例3(アモルファス相を有する3,3−TPD)では、乾燥後、塗膜上に結晶の析出が観測された。このことからもアモルファス相を有するβ−NPDが電荷輸送層としての均一性及び安定性に優れていることが示唆される。
尚、比較例1(結晶相を有するβ−NPD),比較例4(結晶相を有するα−NPD),比較例5(アモルファス相を有するα−NPD)については溶解度が低いため、充分な濃度の電荷輸送材料塗液が得られず、試験用感光体片の作成ができなかった。
本発明のアモルファス相を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルは、非常に高い有機溶媒への溶解度と溶液安定性を有しており、電子写真感光体等の電荷輸送層を形成する際に、ディッピングやスピンコーティング法等の簡単な塗布方法で有機感光体を作成することができる。
また、本発明のアモルファス相を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルは、電荷輸送層としての均一性及び安定性に優れており、安定性の高い有機感光体を作成することができる。
更に、本発明のアモルファス相を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを用いて作成された有機感光体は、帯電電位(Vmax)や半減露光量(感度)(E1/2)の感光特性が良好で、特に暗減衰率について高い特性を持っている。
合成例2で得たβ-NPDの赤外線吸収スペクトルである。
合成例2で得たβ-NPDのH−核磁気共鳴スペクトルである。
合成例2で得たβ-NPDの13C−核磁気共鳴スペクトルである。
合成例2で得たβ-NPDのXRDスペクトルである。

Claims (2)

  1. 結晶相を有し得る下記式1
    Figure 0004145780
    で表される物質を、ジメチルホルムアミドに溶解後、貧溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールから選ばれるアルコール系溶媒を加えて再沈澱することを特徴とするN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルからなるアモルファス製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法で製造されたN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルからなるアモルファスを有する電子写真感光体
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