JP2000219689A - ジニトロアントリンイミン誘導体とそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ジニトロアントリンイミン誘導体とそれを用いた電子写真感光体

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JP2000219689A
JP2000219689A JP11022555A JP2255599A JP2000219689A JP 2000219689 A JP2000219689 A JP 2000219689A JP 11022555 A JP11022555 A JP 11022555A JP 2255599 A JP2255599 A JP 2255599A JP 2000219689 A JP2000219689 A JP 2000219689A
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Hisashi Ishigami
恒 石上
Hirobumi Kawaguchi
博文 川口
Akio Sugai
章雄 菅井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い電子及び正孔の輸送能を有するジニトロ
アントリンイミン誘導体と感光体にそれを用いることに
より、残留電位を低くし感度を向上させることができ、
特に単層型の感光体として好適に使用できるジニトロア
ントリンイミン誘導体を用いた電子写真感光体を提供す
る。 【解決手段】 ジニトロアントリンイミン誘導体を用い
た電子写真感光体は、導電性基体上に、下記一般式
(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘導体を含
有する感光層を形成したものであり、単層構造のものに
好適に用いられる。 【化1】 〔式中、R1〜R7は同一または異なって、水素原子、ア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シア
ノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を示す。〕 前記単層構造の感光層は、少なくとも電荷発生剤、前記
一般式(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘導
体及び結着樹脂が分散状態にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なジニトロア
ントリンイミン誘導体と、それを用いた、たとえば静電
式複写機、レーザープリンター、普通紙ファクシミリ装
置等の画像形成装置に使用される電子写真感光体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】カールソンプロセスを用いた複写機、フ
ァクシミリ、レーザープリンター、等の画像形成装置に
おいては種々の材料から成る電子写真感光体が使用され
ている。その一つはセレンの様な無機材料を感光層に用
いた無機感光体であり、他は、有機材料を感光層に用い
た有機感光体(OPC)である。
【0003】このうち、有機感光体は、無機感光体に比
べ安価でしかも生産性が高く、無公害である等の多くの
利点を有していることから、広範な研究が進められてい
る。有機感光体は、光照射によって電荷を発生する電荷
発生剤、発生した電荷を輸送する電荷輸送剤、およびこ
れらの物質が分散される層を構成する結着樹脂等から成
り、大別して、電荷発生剤と電荷輸送剤とを同一の層の
中に含有させた単層型の感光層を備えたものと、電荷発
生剤を含む電荷発生層と電荷輸送剤を含む電荷輸送層と
を積層した積層型の感光層を備えた感光体が一般的であ
る。
【0004】また上記積層型の感光層は、機械的強度の
面から、電荷発生層よりも膜厚の厚い電荷輸送層を、感
光体の最外層に配置するのが一般的である。この種の感
光体に使用される電荷輸送剤としては、正孔輸送性のも
のと電子輸送性のものとがあるが、現在知られている電
荷輸送剤のうち、感光体に実用的な感度を付与しうるキ
ャリア移動度の高いものは、その多くが正孔輸送性であ
る。このため、現在実用化されている有機感光体は、最
外層に電荷輸送層を設けた積層型の場合、負帯電型のも
のである。
【0005】上記負帯電型の積層構成の感光体は、オゾ
ンの発生量が多い負極性コロナ放電によって帯電する必
要があり、オゾンによる環境への影響や、あるいは感光
体自体の劣化が問題となる。そこでこのような問題を解
決するために、キャリア移動度の高い電子輸送剤の開
発、検討がなされており、たとえば特開平1−2063
49号公報には、下記の化学式(2)で表されるジフェ
ノキノン構造を有する化合物を電子輸送剤として使用す
ることが提案されている。
【化2】
【0006】しかしながらジフェノキノン類は、一般に
結着樹脂との相溶性に乏しく、均一に分散されないた
め、高いキャリア移動度を有しているにもかかわらず感
光体の残留電位が高く、光感度が不十分であった。
【0007】一方、単層型の感光体の場合、感光層の表
面から内部にかけて電荷が発生し、正負両極性の電荷
(電子及び正孔)を表面及び基板側へ輸送する必要があ
り、たとえば特開平9−87283号公報には、下記の
化学式(3)で表されるフェニレンジアミン構造を有す
る化合物を正孔輸送剤とし、化学式(4)で表されるジ
ニトロアントリンイミン構造を有する化合物を電子輸送
剤として使用することが提案されている。
【化3】
【化4】
【0008】しかしながら、十分な光感度を得るには、
結着樹脂中に正孔輸送性の電荷輸送剤と電子輸送性の電
荷輸送剤の両方を分散させるため、多量の低分子化合物
を分散させることとなり、これらの材料の結晶化や結晶
化しないまでも感光層のガラス転移点が著しく低下し、
その膜強度が実用に耐えない等の問題があった。また正
孔輸送剤と電子輸送剤が電荷移動錯体を形成し、正孔及
び電子の輸送能を低下させる等により高残留電位となり
光感度が不十分であった。本発明の目的は、上記の技術
的な課題を解決しうる両極性電荷輸送剤として好適な、
新規なジニトロアントリンイミン誘導体とそれを用い
た、従来に比べて高感度の電子写真感光体とを提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、第1の発明におけるジニトロアントリンイミン誘導
体は、正負両極性の電荷を輸送するものである。第2の
発明における電子写真感光体は、導電性基体上に、下記
一般式(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘導
体を含有する感光層を形成したものである。
【化5】 〔式中、R1〜R7は、同一または異なって、水素原子、
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シ
アノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を示す。〕
【0010】従って、第1の発明においては、前記一般
式(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘導体が
ニトロ基の作用に基づいて電子受容性に優れている。ま
た、分子中にトリフェニルアミン構造を有しており正孔
輸送性にも優れ、非対称構造であることから溶剤への溶
解性及び結着剤としての結着樹脂との相溶性が良好で、
感光層中に多量に均一分散される。加えて、前記ジニト
ロアントリンイミン誘導体は、LUMO〔基底空分子軌
道(Lowest Unoccpied Morecu
lar Orbital)、つまり電子を有していない
分子軌道の中で最もエネルギー準位が低い軌道をいい、
励起された電子は通常この軌道に移動する。〕の広がり
が大きい。このため電子のホッピング距離が短く、特に
低電界での電子輸送性に優れており、かつ電荷発生剤と
のマッチングが優れている。
【0011】さらに、ジニトロアントリンイミン誘導体
を含む感光層は、低電界での電荷輸送性に優れていると
ともに、層中で電子と正孔が再結合する割合が減少し、
見かけの電荷発生効率が実際の値に近づく結果、感光体
の感度が向上する。第3の発明に置いては、単層構造の
感光層は、少なくとも電荷発生剤、前記ジニトロアント
リンイミン誘導体よりなる両極性電荷輸送剤および結着
剤が分散状態にして形成される。
【0012】
【発明の実施形態】以下、この発明のジニトロアントリ
ンイミン誘導体の合成と電子写真感光体の実施形態につ
いて詳細に説明する。本発明の一般式(1)で示される
ジニトロアントリンイミン誘導体は新規物質であり、、
ニトロアニリンと無置換もしくは最終生成物の置換基を
導入するm置換ヨードベンゼンの反応により、無置換も
しくは各種のm置換ニトロトリフェニルアミンを合成す
る。触媒として、炭酸カリウム、銅紛を用いるとともに
溶媒としてはトルエンを用い、200℃以上の反応温度
が好適である。さらに、無置換もしくは各種のm置換ニ
トロトリフェニルアミンをPd−Cを触媒として水素雰
囲気下でフェニレンジアミン誘導体とした後、アントリ
ン誘導体との反応を酢酸溶媒下で行うことにより、最終
のジニトロアントリンイミン誘導体を得ることができ
る。電子写真感光体は、導電性基体上に、下記一般式
(1)で表されるジニトロトリプトアントリンイミン誘
導体を含有する感光層を形成したものである。
【化6】 〔式中、R1〜R7は、同一または異なって、水素原子、
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シ
アノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を示す。〕
【0013】上記導電性基体としては、導電性を有する
種々の材料が使用され、例えばアルミニウム、鉄、銅、
錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カド
ミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、
ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着又
はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニ
ウム、酸化錫又は酸化インジウム等で被覆されたガラス
等が挙げられる。この導電性基体はシート状、ドラム状
等のいずれの形態であってもよく、基体自体が導電性を
有するか、あるいは基体の表面が導電性を有しておれば
よい。また、導電性基体は、使用に際して、十分な機械
的強度を有するものが望ましい。次に、感光層に含有さ
れる前記一般式(1)のジニトロアントリンイミン誘導
体について説明する。
【0014】一般式(1)において、R1からR7中のR
のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−
ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど炭素数1
〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の低級アル
キル基が更に望ましい。アルコキシ基としては、たとえ
ばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、
ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、
ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなど炭素数1〜6のア
ルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基が
さらに好ましい。また、アラルキル基としては、例えば
ベンジル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピ
ル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−
フェニルヘキシル、などのアルキル部分の炭素数が1〜
6のアルキル基であるアラルキル基が挙げられる。さら
に、Rの置換基を有しても良いアリール基としては、例
えばフェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、o−テ
ルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、
などが挙げられる。その置換基としては、アルキル基、
アラルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、ハロゲ
ン原子、アリール基又は、アルコキシカルボニル基など
が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、
臭素及びヨウ素が挙げられる。
【0015】一般式(1)で示されるジニトロアントリン
イミン誘導体の具体例としては、例えば下記の化学式
(5)及び(6)で表される化合物が挙げられる。
【化7】 この化学式(5)のジニトロアントリンイミン誘導体
は、前記一般式(1)において、R1、R2、R3、R5
6、R7はいずれも水素、R4はイソプロピル基であ
る。
【化8】 この化学式(6)のジニトロアントリンイミン誘導体
は、前記一般式(1)において、R1、R2、R3、R5
水素、R4はイソプロピル基、R6、R7はm置換メチル
基である。
【0016】電子写真感光体は、前述のように導電性基
体上に設けた感光層に前記一般式(1)で表されるジニ
トロアントリンイミン誘導体を含有する感光層を形成し
たものである。この電子写真感光体は、単層型と積層型
のいずれであっても良いが、単層型が両極性輸送剤の使
用による効果を顕著に示すことから望ましい。一方、積
層型電子写真感光体は、導電性基体上に少なくとも電荷
発生層及び電荷輸送層をこの順に設けたものであって、
前記電荷輸送層に両極性電荷輸送剤として一般式(1)
で表されるジニトロアントリンイミン誘導体を含有する
ものである。この積層型電子写真感光体は、従来の積層
型電子写真感光体に比べて残留電位が大きく低下してお
り、感度が向上している。また、電荷発生層から電荷輸
送層への電子の授受を円滑に行わせるために、電荷発生
層にもジニトロアントリンイミン誘導体を含有させるの
が好ましい。電子写真感光体に使用するジニトロアント
リンイミン誘導体は、前述のように、溶剤への溶解性、
結着樹脂との相溶性が良好であるとともに、電荷発生剤
とのマッチングが優れていることから、電子の注入が円
滑に行われ、とりわけ低電界での電子輸送性に優れてい
る。
【0017】従って例えば、正帯電の単層感光体では、
感光体への露光により光を吸収した電荷発生剤は、イオ
ン対〔正孔(+)と電子(−)〕を生成する。電荷発生
剤から放出された電子が前記一般式(1)で表されるジ
ニトロアントリンイミン誘導体にスムーズに注入され
る。次いでジニトロアントリンイミン誘導体間での電荷
の教受により、電子が感光層の表面に移動し、あらかじ
め感光層表面に帯電された正電荷(+)が打ち消され
る。一方、正孔(+)も同様にジニトロアントリンイミ
ン誘導体間を移動し導電性基体の表面に移動し、導電性
基体の表面の負電荷(−)を打ち消す。このようにして
正帯電の単層感光体の感度が向上するものと考えられ
る。負帯電の単層感光体は、上記と電荷移動の方向が逆
になるだけであって、同様に感度が向上する。前記電荷
発生剤より生成したイオン対がフリーキャリアとなり有
効に表面電荷を打ち消すためには、イオン対が再結合し
て消失してしまう割合が小さい方がよい。
【0018】次に、上述した電荷発生剤としては、例え
ば無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニ
ン、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピ
ロール顔料、アンサンスロン系顔料、キナクリドン系顔
料、ピリリウム塩、無金属ナフタロシアニン、金属ナフ
タロシアニン、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、イ
ンジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料などが挙
げられる。この電荷発生剤としては、上記例示の電荷発
生剤の他に、例えばセレン、セレン−テルル、セレン−
砒素、硫化カドミウム、アモルファスシリコン、等の無
機光導電材料の粉末や、ピリリウム塩、アンサンスロン
系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、ト
ルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔
料等の従来公知の電荷発生剤も用いられる。また、上記
例示の電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するよ
うに、単独で又は2種以上を混合して用いられる。さら
に、電荷発生剤の内、特に半導体レーザーなどの光源を
使用したレーザービームプリンターやファクシミリ等の
デジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の
波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例え
ば無金属フタロシアニンやオキソチタニルフタロシアニ
ン等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。な
お、上記フタロシアニン系顔料の結晶型については特に
限定されず、種々のものが使用される。
【0019】一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使
用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置
には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるた
め、例えばペリレン顔料やビスアゾ顔料等が好適に用い
られる。次に結着樹脂について説明する。上記した各成
分を分散させるための結着樹脂としては、従来より感光
層に使用されている種々の樹脂を使用することができ、
たとえばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−
アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポ
リエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、更にエポキシシアク
リレート樹脂、ウレタン−アクリレート共重合樹脂等の
光硬化性樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種
又は2種以上が混合して用いられる。これらの内、好適
な樹脂は、ステレン系共重合体、アクリル系重合体、ス
チレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、アルキド
樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等である。
【0020】次に電子写真感光体の製造方法について説
明する。単層の電子写真感光体は、所定のジニトロアン
トリンイミン誘導体を電荷発生剤、結着樹脂とともに適
当な樹脂に溶解又は分散した塗工液を、塗布等の手段に
よって導電性気体上に塗布し、乾燥させる事により製造
される。単層感光体においては、結着樹脂100重量部
に対して電荷発生剤は好ましくは0.1〜50重量部、
更に好ましくは0.1〜30重量部の割合で配合され、
ジニトロアントリンイミン誘導体は30〜80重量部の
割合で配合される。また、単層型の感光層の厚さは、好
ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜50μ
mである。又、積層型の電子写真感光体を得るには、ま
ず導電性基体上に、蒸着又は、塗布等の手段によって電
荷発生剤を含有する電荷発生層を形成する。
【0021】次いで、この電荷発生層上に、ジニトロア
ントリンイミン誘導体と結着樹脂とを含有する塗布液を
塗布等の手段によって塗布し、乾燥させることにより電
荷輸送層が形成される。この積層型感光体においては、
種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100
重量部に対して電荷発生剤を好ましくは5〜1000重
量部、さらに好ましくは30〜500重量部の割合で配
合するのが適当である。電荷輸送層を構成するジニトロ
アントリンイミン誘導体と結着樹脂とは、結晶化しない
範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射に
より電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよう
に、結着樹脂100重量部に対して30〜80重量部の
割合で配合するのが適当である。
【0022】また、積層型の感光層の厚さは、電荷発生
層が好ましくは0.01〜5μm程度、更にの望ましく
は0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が望ましくは
2〜100μm、更に望ましくは5〜50μm程度であ
る。単層感光体にあっては、導電性基体と感光層の間
に、また積層感光体にあっては、導電性基体と電荷発生
層との間、電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の
特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されても良い。
また、感光体の表面には、保護層が形成されても良い。
【0023】単層型、積層型の各感光層には電子写真特
性に影響を与えない範囲で、それ自体公知の種々の添加
剤、例えば酸化防止剤、ラジカル補足剤、一重項クエン
チャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑
剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワック
ス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。
又感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニ
ル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増
感剤を電荷発生剤と併用しても良い。
【0024】導電性基体上に形成される感光層は、前記
した各成分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解しない分散し
た塗布液を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。
すなわち、前記例示の電荷発生剤、両極正電荷輸送剤、
結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば
ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェイ
カーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して塗布
液を調整し、これを常法により塗布、乾燥すればよい。
【0025】塗布液を調整するための溶剤としては、種
々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコ
ール類、n-ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂
肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のケトン類、酢酸
エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド等が挙げられる。これらの溶剤は、1種又は2種以上
混合して用いられる。
【0026】更に、電荷輸送材料、電荷発生材料の分散
性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性剤、
レベリング剤等を使用しても良い。以上の実施形態の電
子写真感光体によれば、次のような効果を奏する。
【0027】・実施形態の電子写真感光体によれば、前
記一般式(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘
導体は、ニトロ基の作用に基づいて電子受容性に優れて
いる。 ・実施形態の電子写真感光体によれば、前記一般式
(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘導体は、
分子内のトリフェニルアミンの構造に基づいて優れた電
子供与性をも示す。 ・実施形態の電子写真感光体によれば、前記一般式
(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘導体は、
溶剤への溶解性、及び結着剤としての結着樹脂との相溶
性が良好で、感光層中に均一に分散される。 ・実施形態の電子写真感光体によれば、前記ジニトロア
ントリンイミン誘導体は、LUMOの広がりが大きい。
このため、電子のホッピング距離が短く、特に低電界で
の電子輸送性に優れており、かつ電荷発生剤とのマッチ
ングが優れている。 ・従って、実施形態の電子写真感光体によれば、かかる
ジニトロアントリンイミン誘導体を電子写真感光体にお
ける正孔および電子の両極性電荷輸送剤として使用する
ことにより、高感度な感光体を形成することができる。 ・実施形態の電子写真感光体によれば、特に前記ジニト
ロアントリンイミン誘導体は、前記各置換基の作用によ
って本来的に正孔及び電子輸送性に優れている。 ・実施形態の電子写真感光体によれば、感光体の残留電
位が低くなり、繰り返し露光を行った際の感光層の安定
性、及び耐久性を向上させることができる。 ・実施形態における前記ジニトロアントリンイミン誘導
体は、前述のように高い孔、電子の輸送能を有している
ことから、その機能を利用して、太陽電池、EL素子な
どの用途にも使用できる。
【0028】
【実施例】以下に本発明を、合成例、実施例、比較例に
基づいて説明する。 《ジニトロアントリンイミン誘導体》 合成例〔化学式(5)の合成〕 炭酸カリウム14.90g(1.08X10-1mol)
をフレームドライし、銅粉末320mg(5.04X1
-3mol)、p−ニトロアニリン6.95g(5.0
1X10-2mol)、ヨードベンゼン27.45g
(1.35X10-1mol)、トルエン50mlを系外
に水を除きながら加熱した。210℃で終液反応後、室
温まで冷却し、クロロホルムに懸濁した後、濾過した。
濾液を濃縮し、得られた固体をトルエンに溶解して活性
白土処理を行い、エタノールから再結晶し9.60gの
ニトロトリフェニルアミンを得た。(収率66%) ニトロトリフェニルアミン5.81g(2.00X10
-2mol)、Pd−C0.6g(10wt%)、THF
250mlを入れ、水素雰囲気下室温で2日間反応し
た。Pd−Cを濾別し、濾液を濃縮後、エタノールから
再結晶を行い3.96gのN,N−ビス(フェニル)フ
ェニレンジアミンを得た。ジニトロトリプトアントリン
952mg(2.50X10-3mol)、N,N−ビス
(フェニル)フェニレンジアミン611mg(2.35
X10-3mol)に酢酸70mlを加え室温で攪拌し
た。その後4hr加熱還流した後、室温まで冷却、水に
注ぎ反応を停止した。沈殿を濾別、水洗後のCH2Cl2
溶液にして無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。シリカゲ
ルクロマト精製(100%CHCl3)を行い716m
gの黒色粉末を得た。(収率49%) この生成物の赤外吸収スペクトルを図1に示す。
【0029】〔単層型電子写真感光体の作製〕表1に示
す電荷発生剤(無金属X型フタロシアニン)、ジニトロ
アントリンイミン誘導体、正孔輸送剤、電子輸送剤およ
び結着樹脂を溶媒とともに以下に示す割合で配合し、ボ
ールミルで50時間分散混合して単層感光層塗布液を調
整した。 (成分) (重量部) 電荷発生剤(無金属X型フタロシアニン) 1 ジニトロアントリンイミン誘導体 45 正孔輸送剤 50 電子輸送剤 40 結着樹脂(ポリカーボネート) 100 溶剤(テトラヒドロフラン) 500 次いで上記塗工液を、導電性基材であるアルミニウム板
の上にワイヤーバーにて塗布し、100℃、60分間熱
風乾燥させて膜厚20μmの感光層を形成し、感光体を
作製した。
【0030】〔積層型電子写真感光体の作製〕表1に示
す電荷発生剤(無金属X型フタロシアニン)1重量部、
結着樹脂(ポリビニルブチラール)1重量部、及び溶媒
(塩化メチレン)120重量部を、ジルコニアビーズを
用いたペイントシェーカーにて2時間分散させた。得ら
れた塗布液をアルミニウム板上にワイヤーバーを用いて
塗布し、100℃、1時間熱風乾燥し、0.5μmの電
荷発生層を得た。この電荷発生層上にジニトロアントリ
ンイミン誘導体もしくは電子輸送剤75重量部、結着樹
脂(ポリカーボネート)100重量部を所定量の溶媒
(トルエン)に溶解した溶液をワイヤーバーにて塗布
し、100℃で1時間熱風乾燥し、22μmの電荷輸送
層を形成し、感光体を得た。
【0031】〔感光体特性の評価〕川口電気社製Ele
ctrophotographic paper an
arizer(EPA8100型)を用い、上記実施
例、比較例の感光体を帯電した後、1秒間の暗減衰の
後、約700Vになるよう帯電させ、波長650nm、
光強度10μW/cm2の光を照射し、半減露光量(E
1/2)及び、5秒後の残留電位(Vr)を測定した。上
記測定結果を表1に示す。
【表1】 表1に示したように、実施例の単層型又は積層型の感光
体は、前記化学式で表されるジニトロアントリンイミン
誘導体を含んでいる。従って、従来の電子輸送剤を用い
た感光体、正孔輸送剤を用いた感光体あるいはその両方
を用いた感光体に比べて、露光後の電位が低下してお
り、高い感度を発揮できることが分かる。
【0032】
【発明の効果】この発明における第1の発明のジニトロ
アントリンイミンイミン誘導体は、高い電子及び正孔の
移動度を有し、有機感光体、太陽電池及びEL素子等の
用途に使用できる。第2の発明の電子写真感光体によれ
ば、感光層に含有されるジニトロアントリンイミン誘導
体は、高い電子及び正孔の輸送能を有することから、残
留電位が効果的に低下し、高感度を発揮することがで
き、特に単層型の感光体として好適に使用することがで
きる。さらに、第3の発明の電子写真感光体によれば、
感光層の構成が簡単で、被膜欠陥の発生を抑制でき、し
かも光学的特性を向上させることができる。従って、こ
の発明の電子写真感光体を使用することにより、複写
機、プリンター等の高速化を図ることが可能である。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成例の生成物の赤外線吸収スペクト
ルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H068 AA19 AA20 AA31 BA16 BA38 FA13 FA19 4C050 AA01 AA07 BB04 CC08 EE02 FF05 GG03 GG04 HH01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で表される事を特徴とするジニ
    トロアントリンイミン誘導体。 【化1】 〔式中、R1〜R7は、同一または異なって、水素原子、
    アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シ
    アノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を示す。〕
  2. 【請求項2】導電性基板上に一般式(1)で表されるジニ
    トロアントリンイミン誘導体を含む感光層を設けたこと
    を特徴とする電子写真感光体。
  3. 【請求項3】前記感光層は、少なくとも電荷発生剤、前
    記一般式(1)で表されるジニトロアントリンイミン誘
    導体が分散状態にある単層構造のものである請求項2記
    載の電子写真感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108440533A (zh) * 2018-04-03 2018-08-24 西北大学 具有驱铜作用的色胺酮衍生物及其合成方法和应用
CN112745322A (zh) * 2020-12-28 2021-05-04 北京燕化集联光电技术有限公司 一种有机材料及其在有机电致发光器件中的应用
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CN112778312A (zh) * 2020-12-28 2021-05-11 北京燕化集联光电技术有限公司 一种含吲哚并喹唑啉二酮杂环结构的有机材料及其应用

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