JP2000256060A - 透明導電材料、透明導電ガラス及び透明導電フィルム - Google Patents

透明導電材料、透明導電ガラス及び透明導電フィルム

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JP2000256060A JP11058384A JP5838499A JP2000256060A JP 2000256060 A JP2000256060 A JP 2000256060A JP 11058384 A JP11058384 A JP 11058384A JP 5838499 A JP5838499 A JP 5838499A JP 2000256060 A JP2000256060 A JP 2000256060A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で、透明性と導電性に優れるととも
に、仕事関数が有機化合物のイオン化ポテンシャルの値
と同等で有機エレクトロルミネッセンス素子の電極に用
いたとき、正孔注入効率が高く長期間安定した発光状態
を維持することのできる透明導電材料と、そのスパッタ
リング用ターゲット、透明導電膜を有する透明導電ガラ
ス、透明導電フィルムを提供すること。 【解決手段】酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛が
それらの原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
上の金属酸化物を全金属原子に対して0.5〜10原子
%含有させた組成物からなる透明導電材料、そのスパッ
タリング用ターゲット、透明導電膜を有する透明導電ガ
ラスおよび透明導電フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示装置に用いる
透明導電膜を製造するための透明導電材料と、そのスパ
ッタリング用ターゲット、該透明導電膜を有する透明導
電ガラスおよび透明導電フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、表示装置として、従来のCRTよ
りも低消費電力化され、かつ薄型で軽量化された液晶表
示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置、フィール
ドエミッションディスプレイなどが、事務機器や工場に
おける制御システム用に開発されている。
【0003】このような平面発光ディスプレイ、例えば
エレクトロルミネッセンス表示装置においては、有機化
合物を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子の開
発が著しく進展している。この有機エレクトロルミネッ
センス素子の構造としては、透明導電膜からなる陽極と
陰極の間に、有機化合物層からなる発光層を形成してな
る単層構造、あるいは陽極と陰極の間に、正孔輸送層と
発光層の2層を形成した2層構造、さらには陽極と陰極
の間に、正孔輸送層と発光層および電子輸送層を形成し
た3層構造などの素子構造を有するものが用いられてい
る。そして、このような有機エレクトロルミネッセンス
素子は、いずれの素子構造を有する場合においても、陽
極から注入された正孔と陰極から注入された電子が、正
孔輸送層あるいは電子輸送層を介して発光層に到達し、
この発光層においてこれら正孔と電子を再結合させて発
光させるようにしてある。
【0004】このように、有機エレクトロルミネッセン
ス素子の陽極から正孔輸送層を介して正孔が発光層に注
入される際には、この陽極と正孔輸送層の間にエネルギ
ー障壁ができるだけ少ないことが望ましい。このエネル
ギー障壁を少なくするためには、陽極材料の仕事関数
と、正孔輸送層に用いられている有機化合物の有するイ
オン化ポテンシャルの間の差を小さくすることが必要で
ある。この正孔輸送層の形成に用いることの可能な正孔
輸送物質としては、様々な有機化合物が提案されている
が、それらの中でも芳香族アミン系の化合物、とくにト
リフェニルアミン誘導体が優れた機能を有するものとし
て知られている。そして、このトリフェニルアミン誘導
体であるトリフェニルジアミンでは、そのイオン化ポテ
ンシャルが5.5〜5.6エレクトロンボルトである。
一方、透明導電膜としては、透明性がよくかつ電気抵抗
が低いものとして、酸化インジウム−酸化錫(以下、I
TOと略記する)がよく知られている。そして、このI
TOの仕事関数は4.6エレクトロンボルトである。し
たがって、このような一般的な材料からなる陽極と正孔
輸送層との間には、大きなエネルギー障壁が存在する。
【0005】このようなことから、例えば、特開平9−
63771号公報においては、陽極と陰極との間に、有
機化合物層を設けた有機薄膜発光素子における陽極とし
て、ITOよりも仕事関数の大きい金属酸化物からなる
薄膜を用いることを提案している。しかしながら、この
金属酸化物の薄膜からなる陽極は、その光線透過率がた
とえば酸化ルテニウムの場合には10%、酸化バナジウ
ムの場合には20%である。また、このような低い光線
透過率を改良するため、ITO膜の上に前記金属酸化物
の300オングストローム以下の超薄膜を積層して2層
構造とすることも提案されているが、この場合において
も、光線透過率は40〜60%程度であり、表示装置の
透明電極としては、透明性が十分であるとはいえないと
いう難点を有している。
【0006】また、この透明導電膜の素材として用いら
れてきたITOは、その主原料がインジウムであること
から、高価であるという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑み、安価で、透明性と導電性に優れるととも
に、有機エレクトロルミネッセンス素子などの表示装置
用の透明電極として使用したとき、長期間にわたり安定
した発光状態を維持することのできる透明導電材料と、
そのスパッタリング用ターゲット、該透明導電膜を有す
る透明導電ガラスおよび透明導電フィルムを提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決のため鋭意研究を重ねた結果、酸化錫、酸化インジ
ウムおよび酸化亜鉛から選択される1種または2種以上
の金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデンおよ
び酸化ルテニウムから選択される1種または2種以上の
金属酸化物を含有させた組成物の焼結体からなるターゲ
ットを用いて形成した透明導電膜によれば、上記課題を
解決することができることを見出し、これら知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、下記のとおり
である。 (1)酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛が、それ
らの金属原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
上の金属酸化物を、全金属原子に対して0.5〜10原
子%含有させた組成物からなる透明導電材料。 (2)酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛の金属原
子比が、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.40 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.25 である前記(1)に記載の透明導電材料。 (3)酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛の金属原
子比が、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.40 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.20 である前記(1)に記載の透明導電材料。 (4)酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛の金属原
子比が、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.60〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.35 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.20 である前記(1)に記載の透明導電材料。 (5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物を
1200℃以上の温度において焼結してなる焼結体。 (6)前記(5)に記載の焼結体からなり、比抵抗が1
0mΩ・cm以下であるスパッタリング用ターゲット。 (7)ガラス基板表面に、酸化錫、酸化インジウムおよ
び酸化亜鉛が、それらの原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
上の金属酸化物を、全金属原子に対して、0.5〜10
原子%含有させた組成物からなる透明導電膜を形成して
なる透明導電ガラス。 (8)透明導電膜の光線透過率が70%以上であり、か
つ仕事関数が5.4エレクトロンボルト以上である前記
(7)に記載の透明導電ガラス。 (9)透明樹脂フィルム表面に、酸化錫、酸化インジウ
ムおよび酸化亜鉛が、それらの原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
上の金属酸化物を、全金属原子に対して、0.5〜10
原子%含有させた組成物からなる透明導電膜を形成して
なる透明導電フィルム。 (10)透明導電膜の光線透過率が70%以上であり、
かつ仕事関数が5.4エレクトロンボルト以上である前
記(9)に記載の透明導電フィルム。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の透明導電材料は、酸化
錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛が、それら原子比に
おいて、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
上の金属酸化物を、全金属原子に対して0.5〜10原
子%含有させた組成物からなる透明導電材料である。
【0011】そして、より好ましくは、酸化錫、酸化イ
ンジウムおよび酸化亜鉛が、それら原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.60〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.35 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.20 の割合である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリ
ブデンおよび酸化ルテニウムから選択される1種または
2種以上の金属酸化物を、全金属原子に対して0.5〜
10原子%含有させた組成物からなる透明導電材料であ
る。
【0012】さらに好ましい透明導電材料は、酸化錫、
酸化インジウム、酸化亜鉛がそれらの金属原子比におい
て、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.40 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.25 の割合である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリ
ブデンおよび酸化ルテニウムから選択される1種または
2種以上の金属酸化物を、全金属原子に対して0.5〜
10原子%含有させた組成物からなる透明導電材料であ
る。
【0013】そして、より好ましい透明導電材料として
は、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛がそれらの金属
原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.40 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.20 の割合である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリ
ブデンおよび酸化ルテニウムから選択される1種または
2種以上の金属酸化物を、全金属原子に対して0.5〜
10原子%含有させた組成物からなる透明導電材料であ
る。
【0014】そして、最も好ましい透明導電材料として
は、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛がそれらの金属
原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.60〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.35 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.20 の割合である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリ
ブデンおよび酸化ルテニウムから選択される1種または
2種以上の金属酸化物を、全金属原子に対して0.5〜
10原子%含有させた組成物からなる透明導電材料であ
る。
【0015】本発明の透明導電材料において、その基本
的な構成成分である酸化錫、酸化インジウム、酸化亜
鉛、またはこれら金属酸化物の混合物は、上記のとお
り、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛をそれぞれ単独
で用いてもよく、また酸化錫と酸化インジウムの混合
物、あるいは酸化錫と酸化亜鉛の混合物、さらには酸化
錫と酸化インジウムおよび酸化亜鉛の混合物を用いても
よい。
【0016】そして、この基本的な構成成分における各
成分の含有割合については、酸化錫は、透明導電膜とし
て安価でかつ耐湿熱性に優れたものを得るためには、少
なくともその含有割合が原子比で0.55であるものが
好ましい。また、酸化インジウムは、これを必要としな
い場合もあるが、透明導電膜として高い導電性を維持す
るために、その原子比が0.45以内であるものが好ま
しい。この酸化インジウムの含有割合がその原子比で
0.45を超えるものでは、透明導電膜の製造コストの
上昇を招くことになる。さらに、酸化亜鉛については、
これも必要としない場合もあるが、透明導電膜のエッチ
ング加工性を向上させるために、その原子比で0.05
以上としてあるものが好ましく、また、透明導電膜の耐
湿熱性を良好に維持するために、これが原子比で0.2
5以下含有するものが好ましい。なお、この透明導電膜
のエッチング加工性が充分でない場合には、透明導電膜
のスパッタリング成膜時に水や水素を少量添加すること
によっても、そのエッチング加工性の向上を図ることが
できる。
【0017】つぎに、上記の基本的な構成成分に含有さ
せる酸化バナジウム、酸化モリブデンまたは酸化ルテニ
ウムは、それぞれ単独であっても任意の混合割合での混
合物であってもよい。そして、これらの含有割合は、こ
れら金属酸化物を配合して得られる透明導電材料の全金
属原子に対して、0.5〜10原子%である。これを金
属原子比で示すと、 V/(In+Zn+Sn+V)=0.005〜0.10 Mo/(In+Zn+Sn+Mo)=0.005〜0.10 Ru/(In+Zn+Sn+Ru)=0.005〜0.10 であり、好ましくは、 V/(In+Zn+Sn+V)=0.01〜0.08 Mo/(In+Zn+Sn+Mo)=0.01〜0.08 Ru/(In+Zn+Sn+Ru)=0.01〜0.08 さらに好ましくは V/(In+Zn+Sn+V)=0.02〜0.05 Mo/(In+Zn+Sn+Mo)=0.02〜0.05 Ru/(In+Zn+Sn+Ru)=0.02〜0.05 てある。これら酸化バナジウム、酸化モリブデンまたは
酸化ルテニウムのいずれか、あるいはそれらの混合物の
含有率が0.5原子%未満であると、得られる透明導電
膜の仕事関数を充分に高めることができず、またこれら
の含有率が10原子%を超えると、透明性の低下を招く
ようになるからである。
【0018】そして、上記の基本的な構成成分に対し
て、これら酸化バナジウム、酸化モリブデンまたは酸化
ルテニウムを全金属原子に対して0.5〜10原子%含
有させて得られる金属酸化物の組成物は、これを焼結し
てスパッタリング用ターゲットとし、これを用いて成膜
された透明導電膜の光線透過率が70%以上で、かつそ
の仕事関数が5.4エレクトロンボルト以上の値を有す
るものとなる。この透明導電膜の仕事関数の値は、有機
エレクトロルミネッセンス素子における発光物質や正孔
輸送物質として用いる有機化合物のイオン化ポテンシャ
ルの平均的な値である5.5〜5.6エレクトロンボル
トとほぼ同じ水準である。したがって、この透明導電膜
を有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極として用い
た場合、この陽極から正孔輸送層あるいは発光層に正孔
を注入する際のエネルギー障壁が小さくなり、高い正孔
注入効率が得られ、これに伴って、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の駆動電圧の低電圧化が可能となるほ
か、エネルギー障壁の存在に由来する発熱が抑制され、
長期間の安定した発光が可能になるのである。
【0019】つぎに、本発明の透明導電材料を製造する
方法については、上記各金属酸化物の粉末を所定割合で
混合し、これを混合粉砕機、例えば湿式ボールミルやビ
ーズミル、超音波などにより、均一に混合・粉砕するこ
とによって得られる。ここでの原料粉末の混合粉砕は、
微細に粉砕するほどよいが、通常、平均粒径1μm以下
となるように混合粉砕処理をしたものが望ましい。
【0020】また、この透明導電材料を用いて焼結体を
得るには、これを造粒した後、プレス成形により所望の
形状に整形し、焼成により焼結すればよい。この場合の
焼成条件は、通常、1,200〜1,500℃、好まし
くは1,250〜1,480℃において、10〜72時
間、好ましくは24〜48時間焼成すればよい。また、
この場合の昇温速度は、1〜50℃/分間とすればよ
い。このような焼成条件の採用によって、その比抵抗が
10mΩ・cm以下の焼結体が得られる。
【0021】つぎに、このようにして得られた焼結体
を、スパッタリング装置に装着可能な形状に切削加工
し、さらに装着用治具の取付をすることにより、導電性
がよく、スパッタリングを安定して行うことのできるス
パッタリング用ターゲットを得ることができる。このよ
うにして得られるスパッタリング用ターゲットを用いて
成膜する際に用いる透明基材としては、従来から用いら
れているガラス基板や、高い透明性を有する合成樹脂製
のフィルム、シートが用いられる。この合成樹脂として
は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、
ポリアリレート樹脂などが好適である。
【0022】つぎに、上記ターゲットを用いて、透明導
電膜を透明基材上にスパッタリング法により成膜するに
あたっては、マグネトロンスパッタリング装置が好適に
用いられる。そして、この装置を用いてスパッタリング
により成膜する際の条件としては、ターゲットの表面積
や透明導電膜の膜厚によりプラズマの出力は変動する
が、通常、このプラズマ出力を、ターゲットの表面積1
cm2 あたり0.3〜4Wの範囲とし、成膜時間を5〜
120分間とすることにより、所望の膜厚を有する透明
導電膜が得られる。この透明導電膜の膜厚は、表示装置
の種類によって異なるが、通常、200〜6,000オ
ングストローム、好ましくは300〜2,000オング
ストロームである。
【0023】また、前記焼結体からなるターゲットは、
エレクトロンビーム装置やイオンプレーティング装置に
より成膜する場合にも使用することができる。これら装
置を用いて成膜する際にも、上記のスパッタリング装置
による場合と同様な成膜条件下において、透明導電膜の
成膜を行うことができる。このようにして得られる本発
明の透明導電ガラスや透明導電フィルムは、成膜に用い
た焼結体と同一組成からなる金属酸化物の組成物からな
る透明導電膜を有し、その透明導電膜の透明性について
は、波長500nmの光の光線透過率が70%を上回る
ものとなる。そして、上述のとおり、この透明導電膜の
仕事関数は、従来から用いられてきたITO膜よりも高
く、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層や正孔
輸送層を形成する有機化合物のイオン化ポテンシャルの
値とほぼ同一水準である、5.4エレクトロンボルト以
上の値を有している。
【0024】したがって、本発明の透明導電ガラスや透
明導電フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子
をはじめとする各種の表示装置の透明電極として好適に
用いることができる。
【0025】
〔実施例1〕
(1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化亜鉛および酸化バナジウムの
粉末を、これら金属の原子比が、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.80 In/(Sn+In+Zn)=0.00 Zn/(Sn+In+Zn)=0.20 であり、かつ、 V/(Sn+In+Zn+V)=0.04 となるように混合して、湿式ボールミルに供給し、72
時間にわたり混合粉砕することにより、透明導電材料の
原料粉末を得た。得られた透明導電材料の金属の原子比
を第1表に示す。
【0026】(2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を造粒し
た後、直径4インチ、厚さ5mmの寸法にプレス整形し
て、これを焼成炉に装入し、1400℃において、36
時間加圧焼成した。このようにして得られた焼結体は、
その密度が6.8g/cm3 であり、またバルク電気抵
抗は6.5mΩ・cmであった。得られた焼結体の物性
の測定結果を第1表に示す。
【0027】(3)透明導電ガラスの製造 上記(1)において得られた焼結体より、直径4イン
チ、厚さ5mmのスパッタリング用ターゲット〔A〕を
作製し、これをDCマグネトロンスパッタリング装置に
装着して、室温においてガラス基板上に製膜した。この
場合のスパッタ条件としては、雰囲気はアルゴンガスに
適量の酸素ガスを混入して用い、スパッタ圧力3×10
-1Pa、到達圧力5×10-4Pa、基板温度25℃、投
入電力100W、成膜時間14分間とした。
【0028】このようにして得られた透明導電ガラス上
の透明導電膜は、その厚みが1,200オングストロー
ムであり、非晶質であった。そして、この透明導電膜の
光線透過率を分光光度計により波長500nmの光線に
ついて測定した結果、80%であった。また、4探針法
により測定した透明導電膜の比抵抗は、1,000mΩ
・cmであった。さらに、仕事関数を紫外光電子分光法
により測定した結果、5.50エレクトロンボルトであ
った。これら透明導電膜の評価結果を第2表に示す。
【0029】〔実施例2〕 (1)透明導電ガラスの製造 実施例1と同一のスパッタリング用ターゲット〔A〕を
用い、スパッタ条件のうち、基板温度を215℃に変更
した他は、実施例1の(3)と同様にして、透明導電ガ
ラスを製造した。得られた透明導電ガラス上の透明導電
膜の評価結果を第2表に示す。
【0030】〔実施例3〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化亜鉛および酸化錫バナジウム
の粉末をこれら金属の原子比が、第1表に示すとおりの
組成となるように混合した他は、実施例1の(1)と同
様にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔B〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0031】〔実施例4〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化亜鉛および酸化錫バナジウム
の粉末をこれら金属の原子比が、第1表に示すとおりの
組成となるように混合した他は、実施例1の(1)と同
様にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔C〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0032】〔実施例5〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウムおよび酸化錫バナ
ジウムの粉末をこれら金属の原子比が、第1表に示すと
おりの組成となるように混合した他は、実施例1の
(1)と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔D〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0033】〔実施例6〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫および酸化錫バナジウムの粉末をこ
れら金属の原子比が、第1表に示すとおりの組成となる
ように混合した他は、実施例1の(1)と同様にして、
透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔E〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0034】〔実施例7〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および
酸化バナジウムの粉末をこれら金属の原子比が、第1表
に示すとおりの組成となるように混合した他は、実施例
1の(1)と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得
た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔F〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0035】〔実施例8〕 (1)透明導電フィルムの製造 透明基材として、ガラスに代えてポリカーボネートフィ
ルムを用い、実施例7で得られたスパッタリング用ター
ゲット〔F〕を用いて透明導電フィルムの製造をした。
得られた透明導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0036】〔実施例9〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および
酸化バナジウムの粉末をこれら金属の原子比が、第1表
に示すとおりの組成となるように混合した他は、実施例
1の(1)と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得
た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔G〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0037】〔比較例1〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化インジウムと酸化亜鉛の粉末を、これ
ら金属の原子比が、第1表に示すとおりの組成となるよ
うに混合した他は、実施例1の(1)と同様にして、透
明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔H〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0038】〔比較例2〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫と酸化インジウムの粉末を、これら
金属の原子比が、第1表に示すとおりの組成となるよう
に混合した他は、実施例1の(1)と同様にして、透明
導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔I〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0039】〔比較例3〕 (1)透明導電ガラスの製造 比較例1で作製したスパッタリング用ターゲット〔H〕
を用い、スパッタリング時のガラス基板の温度を215
℃とした他は、実施例1の(3)と同様にして透明導電
ガラスの製造をした。得られた透明導電膜の物性の評価
結果を第2表に示す。
【0040】〔比較例4〕 (1)透明導電ガラスの製造 比較例2で作製したスパッタリング用ターゲット〔I〕
を用い、スパッタリング時のガラス基板の温度を215
℃とした他は、実施例1の(3)と同様にして透明導電
ガラスの製造をした。
【0041】得られた透明導電膜の物性の評価結果を第
2表に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】〔実施例10〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化亜鉛および酸化モリブデンの
粉末をこれら金属の原子比が、第3表に示すとおりの組
成となるように混合した他は、実施例1の(1)と同様
にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第3表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔J〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第4表に示す。
【0045】〔実施例11〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化亜鉛および酸化モリブデンの
粉末をこれら金属の原子比が、第3表に示すとおりの組
成となるように混合した他は、実施例1の(1)と同様
にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第3表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔K〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第4表に示す。
【0046】〔実施例12〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウムおよび酸化モリブ
デンの粉末をこれら金属の原子比が、第3表に示すとお
りの組成となるように混合した他は、実施例1の(1)
と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第3表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔L〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第4表に示す。
【0047】〔実施例13〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および
酸化モリブデンの粉末をこれら金属の原子比が、第3表
に示すとおりの組成となるように混合した他は、実施例
1の(1)と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得
た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第3表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔M〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第4表に示す。
【0048】〔実施例14〕 (1)透明導電ガラスの製造 実施例13で作製したスパッタリング用ターゲット
〔M〕を用い、スパッタリング時のガラス基板の温度を
215℃とした他は、実施例1の(3)と同様にして透
明導電ガラスの製造をした。得られた透明導電膜の物性
の評価結果を第4表に示す。
【0049】〔実施例15〕 (1)透明導電フィルムの製造 透明基板として、ガラス基板に代えて、ポリカーボネー
トフィルムを用い、実施例13で作製したスパッタリン
グ用ターゲット〔M〕を用いた他は、実施例1の(3)
と同様にして透明導電フィルムの製造をした。得られた
透明導電膜の物性の評価結果を第4表に示す。
【0050】〔実施例16〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および
酸化モリブデンの粉末をこれら金属の原子比が、第3表
に示すとおりの組成となるように混合した他は、実施例
1の(1)と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得
た。
【0051】(2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第3表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔N〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第4表に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】〔実施例17〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化亜鉛および酸化ルテニウムの
粉末をこれら金属の原子比が、第5表に示すとおりの組
成となるように混合した他は、実施例1の(1)と同様
にして、透明導電材料の原料粉末を得た。
【0055】(2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第5表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔O〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第6表に示す。
【0056】〔実施例18〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化亜鉛および酸化ルテニウムの
粉末をこれら金属の原子比が、第5表に示すとおりの組
成となるように混合した他は、実施例1の(1)と同様
にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第5表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔P〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第6表に示す。
【0057】〔実施例19〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウムおよび酸化ルテニ
ウムの粉末をこれら金属の原子比が、第5表に示すとお
りの組成となるように混合した他は、実施例1の(1)
と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第5表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔Q〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第6表に示す。
【0058】〔実施例20〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および
酸化ルテニウムの粉末をこれら金属の原子比が、第5表
に示すとおりの組成となるように混合した他は、実施例
1の(1)と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得
た。 (2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第5表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔R〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第6表に示す。
【0059】〔実施例21〕 (1)透明導電ガラスの製造 実施例20で作製したスパッタリング用ターゲット
〔R〕を用い、スパッタリング時のガラス基板の温度を
215℃とした他は、実施例1の(3)と同様にして透
明導電ガラスの製造をした。得られた透明導電膜の物性
の評価結果を第6表に示す。
【0060】〔実施例22〕 (1)透明導電フィルムの製造 透明基板として、ガラス基板に代えて、ポリカーボネー
トフィルムを用い、実施例20で作製したスパッタリン
グ用ターゲット〔R〕を用いた他は、実施例1の(3)
と同様にして透明導電フィルムの製造をした。得られた
透明導電膜の物性の評価結果を第6表に示す。
【0061】〔実施例23〕 (1)透明導電材料の原料粉末の製造 原料として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および
酸化ルテニウムの粉末をこれら金属の原子比が、第5表
に示すとおりの組成となるように混合した他は、実施例
1の(1)と同様にして、透明導電材料の原料粉末を得
た。
【0062】(2)焼結体の製造 上記(1)で得られた透明導電材料の原料粉末を用いた
他は、実施例1の(2)と同様にして焼結体を得た。得
られた焼結体の物性の測定結果を第5表に示す。 (3)透明導電ガラスの製造 上記(2)で得られた焼結体で作製したスパッタリング
用ターゲット〔S〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にして透明導電ガラスの製造をした。得られた透明
導電膜の物性の評価結果を第6表に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【発明の効果】本発明の透明導電材料を用いて作製した
スパッタリング用ターゲットにより製膜した透明導電膜
は、安価で、透明性や導電性に優れるとともに、有機エ
レクトロルミネッセンス素子などの表示装置の電極に使
用したとき、長期間にわたり安定して発光状態を維持す
ることができるという効果が得られる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛
    が、それらの金属原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
    および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
    上の金属酸化物を、全金属原子に対して0.5〜10原
    子%含有させた組成物からなる透明導電材料。
  2. 【請求項2】 酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛
    の金属原子比が、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.40 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.25 である請求項1に記載の透明導電材料。
  3. 【請求項3】 酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛
    の金属原子比が、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.40 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.20 である請求項1に記載の透明導電材料。
  4. 【請求項4】 酸化錫、酸化インジウムおよび酸化亜鉛
    の金属原子比が、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.60〜0.95 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.35 Zn/(Sn+In+Zn)=0.05〜0.20 である請求項1に記載の透明導電材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物
    を1200℃以上の温度において焼結してなる焼結体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の焼結体からなり、比抵
    抗が10mΩ・cm以下であるスパッタリング用ターゲ
    ット。
  7. 【請求項7】 ガラス基板表面に、酸化錫、酸化インジ
    ウムおよび酸化亜鉛が、それらの原子比において、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
    および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
    上の金属酸化物を、全金属原子に対して、0.5〜10
    原子%含有させた組成物からなる透明導電膜を形成して
    なる透明導電ガラス。
  8. 【請求項8】 透明導電膜の光線透過率が70%以上で
    あり、かつ仕事関数が5.4エレクトロンボルト以上で
    ある請求項7記載の透明導電ガラス。
  9. 【請求項9】 透明樹脂フィルム表面に、酸化錫、酸化
    インジウムおよび酸化亜鉛が、それらの原子比におい
    て、 Sn/(Sn+In+Zn)=0.55〜1.00 In/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.45 Zn/(Sn+In+Zn)=0.00〜0.25 である金属酸化物に、酸化バナジウム、酸化モリブデン
    および酸化ルテニウムから選択される1種または2種以
    上の金属酸化物を、全金属原子に対して、0.5〜10
    原子%含有させた組成物からなる透明導電膜を形成して
    なる透明導電フィルム。
  10. 【請求項10】透明導電膜の光線透過率が70%以上で
    あり、かつ仕事関数が5.4エレクトロンボルト以上で
    ある請求項9記載の透明導電フィルム。
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