JP2000251878A - ポリマーリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

ポリマーリチウム二次電池の製造方法

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JP2000251878A
JP2000251878A JP11046268A JP4626899A JP2000251878A JP 2000251878 A JP2000251878 A JP 2000251878A JP 11046268 A JP11046268 A JP 11046268A JP 4626899 A JP4626899 A JP 4626899A JP 2000251878 A JP2000251878 A JP 2000251878A
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negative electrode
active material
carbon black
positive electrode
secondary battery
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JP11046268A
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Keisuke Narumi
惠介 成海
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Original Assignee
Toshiba Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充放電サイクル寿命が向上されたポリマーリ
チウム二次電池の製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 リチウムイオンを吸蔵・放出する活物質
及びカーボンブラックをBET法による比表面積が2.
6〜3.3m2 /gになるようにドライミックスする工
程と、前記活物質及び前記カーボンブラックを含むペー
ストを調製する工程と、前記ペーストを集電体もしくは
製膜用シートに塗布する工程とを具備する方法により負
極を作製することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマーリチウム
二次電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の発達にともない、小型
で軽量、かつエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放
電が可能な非水電解液二次電池の開発が要望されてい
る。このような二次電池としては、リチウムまたはリチ
ウム合金を活物質とする負極と、モリブデン、バナジウ
ム、チタンあるいはニオブなどの酸化物、硫化物もしく
はセレン化物を活物質として含む正極と、非水電解液と
を具備したリチウム二次電池が知られている。
【0003】また、最近では負極に例えばコークス、黒
鉛、炭素繊維、樹脂焼成体、熱分解気相炭素のようなリ
チウムイオンを吸蔵放出する炭素質材料を含むものを用
い、正極としてリチウムコバルト酸化物やリチウムマン
ガン酸化物を含むものを用いるリチウムイオン二次電池
の開発、商品化が活発に行われている。
【0004】ところで、二次電池のさらなる軽量化及び
小型化を目的として、例えば米国特許公報第5,29
6,318号に開示されているように、ポリマーリチウ
ム二次電池が開発されている。ポリマーリチウム二次電
池は、活物質、非水電解液及びこの電解液を保持するポ
リマーを含む正極層が集電体に担持された構造の正極
と、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質材料のよう
な活物質、非水電解液、この電解液を保持するポリマー
及び導電剤としてカーボンブラックを含む負極層が集電
体に担持された構造の負極と、前記正負極の間に接着さ
れ、非水電解液及びこの電解液を保持するポリマーを含
む電解質層とを主体とする発電要素が例えば水分に対し
てバリア機能を有するフィルム材料からなる外装材に収
納された構造を有する。このポリマーリチウム二次電池
は、非水電解液がポリマーに保持されていることから実
質的に液体成分を含まず、かつ正負極及び電解質層が一
体化されているため、外装材にフィルム材料のような簡
易なものを用いることができる。このため、前記二次電
池は、薄形、軽量で、かつ安全性に優れるという特長を
有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリマ
ーリチウム二次電池は、充放電サイクルの進行に伴って
発電要素の膨張・収縮が繰り返されると、負極の微細構
造が緩んで炭素質材料とカーボンブラックの接触面積が
低下し、負極の導電性が低下するため、充放電サイクル
寿命が短くなるという問題点がある。
【0006】本発明は、充放電サイクル寿命が向上され
たポリマーリチウム二次電池の製造方法を提供しようと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るポリマーリ
チウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する活
物質及びカーボンブラックをBET法による比表面積が
2.6〜3.3m2 /gになるようにドライミックスす
る工程と、前記活物質及び前記カーボンブラックを含む
ペーストを調製する工程と、前記ペーストを集電体もし
くは製膜用シートに塗布する工程とを具備する方法によ
り負極を作製することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る方法で製造さ
れるポリマーリチウム二次電池の一例を図1を参照して
説明する。
【0009】すなわち、ポリマーリチウム二次電池は、
正極1と、負極2と、前記正極1及び前記負極2の間に
配置される電解質層3とが一体化されたものを主体とす
る発電要素を備える。前記正極1は、多孔質集電体4
と、前記集電体4の両面に接着された正極層5とからな
る。一方、前記負極2は、多孔質集電体6と、前記集電
体6の両面に接着された負極層7とからなる。帯状の正
極端子8は、前記各正極1の集電体4を帯状に延出した
ものである。一方、帯状の負極端子9は、前記負極2の
集電体6を帯状に延出したものである。例えば帯状アル
ミニウム板からなる正極リード10は、前記2つの正極
端子8と接続されている。例えば帯状銅板からなる負極
リード(図示しない)は、前記負極端子9と接続されて
いる。このような構成の発電要素は、水分に対してバリ
ア機能を有する外装材11内に前記正極リード10及び
前記負極リードが前記外装材11から延出した状態で密
封されている。
【0010】この二次電池は、以下に説明する方法によ
り製造される。
【0011】(第1工程)非水電解液未含浸の正極、負
極及び電解質層を作製する。
【0012】<非水電解液未含浸の正極>非水電解液未
含浸の正極は、例えば、以下に説明する方法で作製され
る。
【0013】すなわち、活物質、非水電解液を保持する
機能を有するポリマー、導電材料及び可塑剤をアセトン
などの有機溶媒中で混合してペーストを調製し、前記ペ
ーストを製膜し、得られた非水電解液未含浸の正極層を
多孔質集電体の両面に積層し、これらを加熱融着させる
ことにより前記正極を得ることができる。また、前記ペ
ーストを多孔質集電体に塗布し、乾燥させ、加熱加圧を
施すことにより前記正極を作製しても良い。
【0014】前記正極活物質としては、種々の酸化物
(例えばLiMn2 4 などのリチウムマンガン複合酸
化物、二酸化マンガン、例えばLiNiO2 などのリチ
ウム含有ニッケル酸化物、例えばLiCoO2 などのリ
チウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバ
ルト酸化物、リチウムを含む非晶質五酸化バナジウムな
ど)や、カルコゲン化合物(例えば、二硫化チタン、二
硫化モリブテンなど)等を挙げることができる。中で
も、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有コバル
ト酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物を用いるのが好
ましい。
【0015】前記ポリマーは、非水電解液を保持する機
能の他に結着機能を有していることが望ましい。かかる
ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド誘
導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、前記誘導体を
含むポリマー、ポリテトラフルオロプロピレン、ビニリ
デンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン
(HFP)との共重合体、ポリビニリデンフロライド
(PVdF)等を用いることができる。中でも、VdF
―HFP共重合体が好ましい。
【0016】前記可塑剤は、前記非水電解液を保持する
機能を有するポリマーとの相溶性に優れ、前記可塑剤を
含むシートの柔軟性及び熱融着性を高めることができ、
かつ容易に除去されるという4つの性質を有するものが
よい。例えば、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸
ジメチル(DMP)、エチルフタリルエチルグリコレー
ト(EPEG)等を挙げることができる。前記可塑剤に
は、前記種類のものから選ばれる1種または2種以上を
用いることができる。
【0017】前記導電性材料としては、例えば、人造黒
鉛、カーボンブラック(例えばアセチレンブラックな
ど)、ニッケル粉末等を挙げることができる。
【0018】<非水電解液未含浸の負極の作製>非水電
解液未含浸の負極は、以下に説明する方法で作製され
る。
【0019】(1)リチウムイオンを吸蔵・放出する活
物質及びカーボンブラックをBET法による比表面積が
2.6〜3.3m2 /gになるようにドライミックスす
る。
【0020】前記活物質としては、リチウムイオンを吸
蔵・放出する炭素質材料を挙げることができる。かかる
炭素質材料としては、例えば、有機高分子化合物(例え
ば、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、セルロー
ス等)を焼成することにより得られるもの、コークス
や、メソフェーズピッチを焼成することにより得られる
もの、人造グラファイト、天然グラファイト等に代表さ
れる炭素質材料を挙げることができる。特に、ピッチ系
炭素質材料が好ましい。中でも、アルゴンガスや窒素ガ
スのような不活性ガス雰囲気において、500℃〜30
00℃の温度で、常圧または減圧下にてメソフェーズピ
ッチを焼成して得られるピッチ系炭素質材料を用いるの
が好ましい。
【0021】前記炭素質材料は、球状、ほぼ球状、ある
いは繊維形状にすることができる。特に、繊維状の炭素
質材料が好ましい。
【0022】前記カーボンブラックとしては、例えば、
アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を挙げるこ
とができる。
【0023】活物質及びカーボンブラックからなる混合
物のドライミックス後のBET法による比表面積を前記
範囲に規定するのは次のような理由によるものである。
前記比表面積を2.6m2 /g未満にすると、活物質と
カーボンブラックの密着強度を高めることが困難になる
ため、充放電サイクル寿命を向上することができない。
一方、前記比表面積が3.3m2 /gを越えているもの
は、活物質及びカーボンブラックが過度に粉砕された状
態にあるため、充放電サイクル寿命を向上することがで
きない。前記比表面積のより好ましい範囲は、2.7〜
3.1m2 /gである。
【0024】前記活物質として繊維状の炭素質材料を用
いる場合、前記炭素質材料の平均繊維径は、1〜20μ
mの範囲にすることが好ましい。これは次のような理由
によるものである。平均繊維径が1μm未満であると、
活物質及びカーボンブラックの密着性を十分に高められ
ないため、長寿命を得られない恐れがある。一方、平均
繊維径が20μmを越えると、活物質及びカーボンブラ
ックが過度に粉砕された状態になりやすいため、長寿命
を得られない恐れがある。平均繊維径のより好ましい範
囲は、5〜15μmである。
【0025】また、繊維状の炭素質材料の平均繊維長
は、1〜100μmの範囲にすることが好ましい。これ
は次のような理由によるものである。平均繊維長が1μ
m未満であると、活物質及びカーボンブラックの密着性
を十分に高められないため、長寿命を得られない恐れが
ある。一方、平均繊維長が100μmを越えると、活物
質及びカーボンブラックが過度に粉砕された状態になり
やすいため、長寿命を得られない恐れがある。平均繊維
長のより好ましい範囲は、2〜40μmである。
【0026】前記カーボンブラックの嵩密度は、0.0
2〜0.25g/ccの範囲にすることが好ましい。こ
れは次のような理由によるものである。嵩密度を0.0
2g/cc未満にすると、活物質及びカーボンブラック
の密着性を十分に高められないため、長寿命を得られな
い恐れがある。一方、嵩密度が0.25g/ccを越え
ると、活物質及びカーボンブラックが過度に粉砕された
状態になりやすいため、長寿命を得られない恐れがあ
る。嵩密度のより好ましい範囲は、0.05〜0.18
g/ccである。
【0027】前記カーボンブラックの配合量は、前記活
物質100重量部に対して2〜8重量部の範囲にするこ
とが好ましい。
【0028】(2)前記活物質、前記カーボンブラッ
ク、非水電解液を保持する機能を有するポリマー及び可
塑剤をアセトンなどの有機溶媒中で混合し、ペーストを
調製し、製膜することにより非水電解液未含浸の負極層
を作製する。
【0029】前記ポリマーは、非水電解液を保持する機
能の他に結着機能を有していることが望ましい。かかる
ポリマーとしては、前述した正極で説明したものと同様
な種類のポリマーを用いることができ、中でもVdF―
HFP共重合体が好ましい。
【0030】前記可塑剤としては、前述した正極で説明
したものと同様なものが用いられる。
【0031】(3)前記非水電解液未含浸の負極層を多
孔質集電体の両面に積層し、これらを加熱融着させるこ
とにより非水電解液未含浸の負極を作製する。
【0032】前記多孔質集電体には、例えば、銅または
銅合金からなるメッシュ、エキスパンドメタル、パンチ
ドメタル等を用いることができる。
【0033】また、前記非水電解液未含浸の負極は、前
述した(1)〜(3)工程を具備する方法の他に、前述
した(2)工程で調製されたペーストを多孔質集電体の
両面に塗布し、乾燥させた後、加熱加圧を施す方法によ
り作製することができる。
【0034】<非水電解液未含浸の電解質層>非水電解
液未含浸の電解質層は、例えば、非水電解液を保持する
機能を有するポリマー及び可塑剤をアセトンなどの有機
溶媒中で混合し、ペーストを調製し、製膜することによ
り作製される。
【0035】前記ポリマーは、非水電解液を保持する機
能の他に結着機能を有していることが望ましい。かかる
ポリマーとしては、前述した正極で説明したものと同様
な種類のポリマーを用いることができ、中でもVdF―
HFP共重合体が好ましい。
【0036】前記可塑剤としては、前述した正極で説明
したものと同様なものが用いられる。
【0037】前記電解質層は、強度を更に向上させる観
点から、有機フィラー、あるいは酸化硅素粉末のような
無機フィラーを添加しても良い。
【0038】(第2工程)非水電解液未含浸の負極の両
面に非水電解液未含浸の電解質層を積層した後、前記各
電解質層に非水電解液未含浸の正極を積層し、積層物を
作製する。得られた積層物を加熱融着により一体化す
る。
【0039】(第3工程)前記積層物から前記可塑剤を
例えば溶媒抽出により除去した後、非水電解液を含浸さ
せ、外装材で密封することによりポリマーリチウム二次
電池が得られる。
【0040】前記非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶
解することにより調製される。
【0041】前記非水溶媒としては、エチレンカーボネ
ート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチ
レンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(D
MC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチ
ルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトン(γ−
BL)、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメト
キシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテ
トラヒドロフラン等を挙げることができる。前記非水溶
媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用しても
良い。
【0042】前記電解質としては、例えば、過塩素酸リ
チウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(L
iPF6 )、ホウ四フッ化リチウム(LiBF4 )、六
フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメ
タンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )等のリチ
ウム塩を挙げることができる。
【0043】前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量
は、0.2mol/l〜2mol/lとすることが望ま
しい。
【0044】前記外装材としては、例えば、水分に対し
てバリア機能を有するフィルム材料を用いることが好ま
しい。かかるフィルム材料としては、例えば、シール面
に熱融着性樹脂が配され、中間にアルミニウム(Al)
のような金属薄膜を介在させたラミネートフィルム等を
挙げることができる。具体的には、シール面側から外面
に向けて積層した酸変性ポリプロピレン(PP)/ポリ
エチレンテレフタレート(PET)/Al箔/PETの
ラミネートフィルム;酸変性PE/ナイロン/Al箔/
PETのラミネートフィルム;アイオノマー/Ni箔/
PE/PETのラミネートフィルム;エチレンビニルア
セテート(EVA)/PE/Al箔/PETのラミネー
トフィルム;アイオノマー/PET/Al箔/PETの
ラミネートフィルム等を用いることができる。ここで、
シール面側の酸変性PE、酸変性PP、アイオノマー、
EVA以外のフィルムは防湿性、耐通気性、耐薬品性を
担っている。
【0045】なお、前述した図1においては、負極の集
電体として多孔質構造を有するものを用いたが、銅もし
くは銅合金からなる金属薄板を用いることができる。
【0046】また、前述した図1においては、正極、電
解質層、負極、電解質層及び正極がこの順番に積層され
た5層構造の発電要素を用いる例を説明したが、これに
限らず、例えば、正極、電解質層及び負極からなる3層
構造の発電要素を用いても良い。
【0047】以上詳述したように本発明に係わるポリマ
ーリチウム二次電池の製造方法によれば、リチウムイオ
ンを吸蔵・放出する活物質及びカーボンブラックをBE
T法による比表面積が2.6〜3.3m2 /gになるよ
うにドライミックスする工程と、前記活物質及び前記カ
ーボンブラックを含むペーストを調製する工程と、前記
ペーストを集電体もしくは製膜用シートに塗布する工程
とを具備する方法により負極を作製することによって、
充放電サイクル寿命を向上することができる。
【0048】すなわち、カーボンブラックは、ストラク
チャー構造を有する。その結果、前記カーボンブラック
及び前記活物質を前述した特定の比表面積になるように
ドライミックスすることによって、前記カーボンブラッ
クのストラクチャー構造に前記活物質が適度に絡み合う
ため、前記カーボンブラックと前記活物質の密着性を高
めることができる。従って、充放電サイクルの進行に伴
って発電要素が膨張・収縮を繰り返した際に前記活物質
と前記カーボンブラックの接触面積が減少するのを抑制
することができるため、長期間に亘って負極の導電性を
維持することができ、二次電池の充放電サイクル寿命を
向上することができる。
【0049】
【実施例】以下、本発明に係わる実施例を前述した図面
を参照して詳細に説明する。
【0050】(実施例1) <非水電解液未含浸の正極の作製>活物質として組成式
がLiMn2 4 で表されるリチウムマンガン複合酸化
物56重量%と、カーボンブラックを5重量%と、非水
電解液を保持する機能を有するポリマーとしてビニリデ
ンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(VdF−H
FP)の共重合体粉末を17重量%と、フタル酸ジブチ
ル(DBP)22重量%をアセトン中で混合し、ペース
トを調製した。得られたペーストをPETフィルム上に
塗布し、厚さが100μmの非水電解液未含浸の正極シ
ートを作製した。得られた正極シートをアルミニウム製
エキスパンドメタルからなる集電体の両面に熱ロールで
加熱融着後、裁断することにより非水電解液未含浸の正
極を作製した。
【0051】<非水電解液未含浸の負極の作製>活物質
として平均繊維径が8μmで、平均繊維長が40μmの
メソフェーズピッチ炭素繊維59重量%と、嵩密度が
0.07g/ccのアセチレンブラック2重量%とを1
分間ドライミックスした。なお、前記アセチレンブラッ
クの配合量を前記炭素繊維100重量部当たりの量に換
算すると3.5重量部である。得られた混合物のBET
法による比表面積を測定し、その結果を下記表1に示
す。
【0052】前記混合物と、VdF−HFP共重合体粉
末14重量%と、フタル酸ジブチル(DBP)25重量
%とをアセトン中で混合し、ペーストを調製した。得ら
れたペーストをPETフィルム上に塗布し、厚さが10
0μmの非水電解液未含浸の負極層を作製した。得られ
た負極層を銅製エキスパンドメタルからなる集電体の両
面に熱ロールで加熱融着後、裁断することにより非水電
解液未含浸の負極を作製した。
【0053】<非水電解液未含浸の電解質層の作製>酸
化硅素粉末を33.3重量部と、VdF−HFP共重合
体粉末を22.2重量部と、フタル酸ジブチル(DB
P)44.5重量部をアセトン中で混合し、ペースト状
にした。得られたペーストをPETフィルム上に塗布
し、シート化し、裁断することにより厚さが100μm
の非水電解液未含浸の電解質層を作製した。
【0054】<非水電解液の調製>エチレンカーボネー
ト(EC)とジメチルカーボネート(DMC)が体積比
で2:1の割合で混合された非水溶媒に電解質としての
LiPF6 をその濃度が1mol/lになるように溶解
させて非水電解液を調製した。
【0055】<電池組立>非水電解液未含浸の正極を2
枚、非水電解液未含浸の負極を1枚及び非水電解液未含
浸の電解質層を2枚用意し、これらを前記正極及び前記
負極の間に前記電解質層が介在されるように積層し、加
熱した剛性ロールで加熱融着させることにより、非水電
解液未含浸の発電要素を作製した。
【0056】このような発電要素をメタノール中に浸漬
し、マグネチックスターラーで攪拌しながら放置した。
この操作をガスクロマトグラフィーによるメタノール中
のDBPの濃度が20ppm以下になるまで繰り返し行
うことにより前記発電要素中の可塑剤を除去した。前記
発電要素を乾燥させた後、前記発電要素に前記組成の非
水電解液を注液し、最外層からポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルム、アルミニウム箔及び熱融着性
樹脂フィルムの順番に積層されたラミネートフィルムか
らなる外装材で密封することにより、前述した図1に示
す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマーリチ
ウム二次電池を製造した。
【0057】(実施例2)ドライミックス時間を3分間
に変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして
ポリマーリチウム二次電池を製造した。
【0058】(実施例3)ドライミックス時間を5分間
に変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして
ポリマーリチウム二次電池を製造した。
【0059】(実施例4)ドライミックス時間を7分間
に変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして
ポリマーリチウム二次電池を製造した。
【0060】(比較例1) <非水電解液未含浸の負極の作製>活物質として実施例
1で説明したのと同様な種類のメソフェーズピッチ炭素
繊維59重量%と、実施例1で説明したのと同様な種類
のアセチレンブラック2重量%と、VdF−HFP共重
合体粉末14重量%と、フタル酸ジブチル(DBP)2
5重量%とをアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。得られたペーストをPETフィルム上に塗布し、厚
さが100μmの非水電解液未含浸の負極層を作製し
た。得られた負極層を銅製エキスパンドメタルからなる
集電体の両面に熱ロールで加熱融着後、裁断することに
より非水電解液未含浸の負極を作製した。
【0061】このような負極を用いること以外は、前述
した実施例1と同様にしてポリマーリチウム二次電池を
製造した。
【0062】(比較例2)ドライミックス時間を15秒
間に変更すること以外は、前述した実施例1と同様にし
てポリマーリチウム二次電池を製造した。
【0063】(比較例3)ドライミックス時間を10分
間に変更すること以外は、前述した実施例1と同様にし
てポリマーリチウム二次電池を製造した。
【0064】得られた実施例1〜4及び比較例1〜3の
二次電池について、40mAhの定電流で4.2Vまで
10時間充電した後、40mAhの定電流で2.7Vま
で放電する充放電サイクルを施した。この時の1サイク
ル目及び100サイクル目の放電容量を測定し、その結
果を下記表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1から明らかなように、活物質及びカー
ボンブラックをBET法による比表面積が2.6〜3.
3m2/gになるようにドライミックスする工程を具備
する方法により得られる実施例1〜4の二次電池は、ド
ライミックスを行わない方法により得られる比較例1の
二次電池及びドライミックス時の比表面積が前記範囲を
外れる方法により得られる比較例2〜3の二次電池に比
べて充放電サイクル寿命が長いことがわかる。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、充
放電サイクル寿命が向上されたポリマーリチウム二次電
池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る方法で製造されるポリマーリチウ
ム二次電池を示す断面図。
【符号の説明】
1…正極、 2…負極、 3…電解質層、 4…正極集電体、 5…正極層、 6…負極集電体、 7…負極層、 11…外装材。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムイオンを吸蔵・放出する活物質
    及びカーボンブラックをBET法による比表面積が2.
    6〜3.3m2 /gになるようにドライミックスする工
    程と、 前記活物質及び前記カーボンブラックを含むペーストを
    調製する工程と、 前記ペーストを集電体もしくは製膜用シートに塗布する
    工程とを具備する方法により負極を作製することを特徴
    とするポリマーリチウム二次電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017069181A (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池

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