JP2000249466A - 部品の乾燥方法及び部品乾燥装置並びに乾燥に用いられるパレット - Google Patents

部品の乾燥方法及び部品乾燥装置並びに乾燥に用いられるパレット

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JP2000249466A
JP2000249466A JP11052482A JP5248299A JP2000249466A JP 2000249466 A JP2000249466 A JP 2000249466A JP 11052482 A JP11052482 A JP 11052482A JP 5248299 A JP5248299 A JP 5248299A JP 2000249466 A JP2000249466 A JP 2000249466A
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drying
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shaped
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JP11052482A
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Akira Inoue
晃 井上
Kunihiko Uzawa
邦彦 鵜澤
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 洗浄後の光学素子などの部品の乾燥に適し、
特に、微小径の光学素子や異種形状の光学素子等の部品
に対応でき、光学部品の光学性能を低下させることなく
優れた性能を維持して洗浄液を確実に除去する。 【解決手段】 パレット10に設けたすり鉢状貫通穴2
に部品を収納し、すり鉢状貫通穴2に対向して配置され
た開口を通じて気体流通手段からすり鉢状貫通穴2内へ
の気体の流通を行う。すり鉢状貫通穴2に流通する気体
によって洗浄液を乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学素子等の部品から
なる被洗浄物を保持して洗浄する際の部品の乾燥方法及
び乾燥装置並びに乾燥に用いられるパレットに関する。
【0002】
【従来の技術】光学素子等の光学部品の製造では、研磨
加工等の中間工程で光学素子表面に付着したワックス、
加工残渣などの汚れを除去するため洗浄が行われる。
【0003】洗浄は、洗浄槽の中に界面活性剤、有機溶
剤あるいは水等の洗浄液を入れ、加工後の光学部品を洗
浄液に浸漬して行われる。洗浄槽は1槽から複数槽で構
成されており、要求される洗浄レベル(要求品質)に応
じて、洗浄液の種類、洗浄槽数、超音波発振器の有無及
び光学部品の揺動の有無などを決定している。
【0004】洗浄液および乾燥液として使用されている
有機溶剤は、塩化メチレン、トリクロロエチレン、トリ
クロロエタン等の塩素化炭化水素系有機溶媒やフロン、
イソプロピルアルコールなどの低沸点の有機溶媒が選択
されている。これらの有機溶媒、特に塩素化炭化素水素
系有機溶媒およびフロンは、毒性や環境破壊の問題によ
り近年の規制が厳しくなり、使用困難となっている。ま
た、イソプロピルアルコールなどの低沸点溶媒は引火性
が高く、爆発、火災の危険性があり、取り扱い上での安
全性に問題がある。
【0005】近年、これらの問題を改善するため、洗浄
液として用いた水を遠心乾燥装置によって乾燥させるこ
とがなされているが、洗浄に際して被洗浄物を収納して
保持する洗浄治具と被洗浄物との接触部に付着した水が
乾燥しきれないなどの問題が発生している。特に、光学
素子の洗浄において、水が完全に除去できない場合に
は、シミが発生し、このシミが光学性能を低下させるた
め、光学素子として使用できない原因となっている。
【0006】これらの問題点を改善するため、特開平6
−208093号公報や特開平9−22505号公報が
提案されている。
【0007】特開平6−208093号公報では、複数
の光学素子を整列して保持する洗浄用パレットをそのま
ま遠心乾燥機のキャリアホルダに載置して乾燥してい
る。図8はこの公報に記載された乾燥装置を示し、乾燥
機200の内部には、乾燥を行う乾燥室210と、隔壁
220によって乾燥室210と仕切られた駆動室230
とが設けられている。
【0008】駆動室230内には、モータ240及びモ
ータ240の駆動によって回転するプーリ250が配置
されており、プーリ250から延びる回転軸260が隔
壁220を貫通して乾燥室210内に進入している。回
転軸260の上部には、一対のアーム270が取り付け
られており、各アーム270にキャリヤホルダ280が
取り付けられている。各キャリヤホルダ280は図9に
示す洗浄用パレット290を保持するものである。洗浄
パレット290は図9に示すように、矩形枠状に形成さ
れていると共に、レンズ300を起立した状態で保持す
る複数の保持爪291を有しており、レンズ300を2
列の並列状で保持する。
【0009】この乾燥機200では、洗浄後のレンズ3
00が並べられた洗浄パレット290を乾燥室210内
のキャリヤホルダ280に保持させる。このとき、一対
のキャリヤホルダ280のそれぞれに洗浄パレット29
0を保持させて回転バランスを保つようにする。そし
て、モータ240を駆動して回転軸260、アーム27
0を介してキャリヤホルダ280を高速回転させ、洗浄
パレット290内のレンズ300を高速回転により水切
りを行って乾燥する。
【0010】特開平9−22505号公報では、洗浄液
として水を用いずに有機溶媒を用いるものであり、光学
素子の洗浄として同様に用いることが可能である。図1
0はこの公報記載された洗浄乾燥装置を示し、洗浄槽3
30,スピン槽360及び乾燥槽370を有している。
【0011】洗浄槽330では洗浄パレットに被洗浄物
を収納した状態で洗浄を行うものであり、洗浄槽330
には炭化水素系有機溶媒320が充填されると共に、そ
の底面には超音波振動子340が設けられている。洗浄
槽330はヒータ351を備えた予備槽350とポンプ
352によって接続されており、常に一定温度の有機溶
媒320が供給されるようになっている。この洗浄槽3
30では、引火点が70℃以上の炭化水素系有機溶媒3
20を少なくとも50℃以上に加熱し、この状態の有機
溶媒320内に洗浄パレット310を浸漬して超音波洗
浄を行う。
【0012】スピン槽360内には洗浄パレット310
を傾斜状態で保持する受け台361が設けられ、この受
け台361がモータ362に連結されている。このスピ
ン槽360では、洗浄槽330から引き上げられた洗浄
パレット310を傾けた状態とし、この状態で回転モー
タ362が駆動することにより洗浄パレット310を5
00〜2000rpmの回転速度で回転させ、排気口3
63から有機溶媒を排気する。
【0013】乾燥槽370では、受け台371によって
洗浄パレット310を保持した状態で、ファン372及
びヒータ373が駆動することにより、50℃以上の温
風を吹き付けて乾燥し、この乾燥によって有機溶媒を除
去するようになっている。
【0014】なお、上記特開平6−208093号公報
では、キャリアホルダ280は回転軸260に接続され
た支持棒両端部のアーム270に固着されている。この
装置では、特に乾燥時の高速回転での安定性を保つた
め、また両端のキャリア重量のバランスをとるため、必
ず2つの洗浄用パレット290をキャリアホルダ280
に同重量になるように載置しなければならない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−208093号公報の乾燥装置は、装置が大型であ
り、装置自体の構造も複雑なため、重量物を回転させる
ときの安全性や設備コスト面で問題を有している。ま
た、回転乾燥時には、洗浄用パレット290の重量バラ
ンスを調整する必要があるため作業面での煩雑さがあ
る。
【0016】特開平9−22505号公報の装置では、
引火点が70℃以上の炭化水素系有機溶媒を少なくとも
50℃以上に加熱した状態で洗浄パレット310を浸漬
し超音波洗浄を行っている。この加熱温度は可燃性液体
の引火点以下であるものの、可燃性液体を用いることは
安全性の点で問題となる。また、加熱用のヒータ及び乾
燥槽が必要となるため、装置の構成が複雑でコストが高
くなる。特に、この公報の技術を光学素子の洗浄・乾燥
に用いる場合には、光学素子に対して温風を吹き付ける
乾燥を行うため、液残りおよび汚れなどの光学素子の表
面への焼き付きが生じ、光学素子としての性能を低下さ
せる問題が発生する。
【0017】本発明は、このような従来の問題点を解決
するためなされたもので、光学素子などの部品の乾燥に
適し、特に、微小径の光学素子や異種形状の光学素子等
の部品に対応でき、光学部品の光学性能を低下させるこ
となく優れた性能を維持できる乾燥方法及び乾燥装置を
提供することを目的とする。また、上記光学部品等の部
品を効率よく乾燥できるパレットを提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の部品乾燥方法は、表面に液体が付着した
部品の乾燥方法において、パレットに設けられたすり鉢
状貫通穴に前記部品を収納し、すり鉢状貫通穴に対向し
て配置された開口を通じてすり鉢状貫通穴内への気体の
流通を行うことを特徴とする。
【0019】この発明では、部品を収納したすり鉢状貫
通穴内に対し、開口を通じて気体を流通させることによ
り、部品に付着している液体を除去する。気体の流通前
においては、部品を収納したパレットを回転させ、回転
の遠心力によって液体を振り切って除去し、乾燥させる
ことも可能である。この回転による乾燥時において、部
品が微小径の光学素子の場合には、自重が小さいため、
すり鉢状貫通穴の斜面に貼り付き易く、部品とすり鉢状
貫通穴の斜面との隙間に薄膜状に液体が残留することが
ある。これに対し、すり鉢状貫通穴内に気体を流通させ
ることにより、隙間部分に残留している液体の蒸発を促
進するため、良好に乾燥することができる。従って、短
時間で確実に液体を除去でき、シミの発生のない乾燥を
行うことができる。
【0020】この発明における気体の流通は、開口を通
じてすり鉢状貫通穴内に気体を吹き出しあるいはすり鉢
状貫通穴から気体を吸引することにより行うことがで
き、簡単に気体を流通させることができる。気体の吹き
出しは圧縮空気、ブロアガス、あるいは窒素ガスなどの
不活性気体を用い、2〜4kg/cm2 程度の圧力で吹
き付けることにより可能である。気体の吸引は、例えば
排気ブロアを5〜20リットル/分排気させる吸引力に
よって行うことができる。
【0021】請求項2の発明の部品乾燥装置は、表面に
液体が付着した部品の乾燥を行う乾燥槽と、前記部品を
収納するすり鉢状貫通穴を有したパレットと、このパレ
ットを保持して回転する回転手段と、前記すり鉢状貫通
穴に対向するように前記パレットに面して設けられた開
口と、この開口を通じてすり鉢状貫通穴内への気体の流
通を行う気体流通手段とを具備したことを特徴とする。
【0022】この発明では、回転手段によるパレットの
回転によって遠心力が作用し、この遠心力によって部品
に付着している液体が振り切られるため、液体を除去す
ることができる。又、気体流通手段は開口を通じてすり
鉢状貫通穴内に気体を流通させるため、回転によっても
部品に残留している液体を確実に除去する。従って、微
小径の部品であっても、シミの発生なく確実に乾燥する
ことができる。
【0023】この乾燥を確実に行うため、気体を流通さ
せる開口は、必ず洗浄用パレットのすり鉢状貫通穴に対
向して配置される。又、この開口は、すり鉢状貫通穴に
おける小径側の開口部に比べて、0.5〜1mm大きく
することにより吹き付けもしくは吸引された気体を効率
良く部品に当てることができる。
【0024】請求項3の発明のパレットは、板状に形成
された本体と、この本体の上面から下面に向かって貫通
するように設けられ、部品が収納されるすり鉢状貫通穴
と、このすり鉢状貫通穴の大径側の開口部を被うように
設けられた通気性の蓋体とを具備したことを特徴とす
る。
【0025】この発明では、本体に設けたすり鉢状貫通
穴内に光学素子などの部品を収納して乾燥を行う。すり
鉢状となっているため、パレットと接触する部分は部品
の外周部であり、部品の外周面以外(例えば、研磨面)
がパレットに直接接触することがない。また、収納され
た部品は、すり鉢状貫通穴内で自由に動くことができる
ため、固定した場所に液溜まりがなく、乾燥後のシミの
発生がない。さらに、すり鉢状のため、洗浄完了後に洗
浄槽から引き上げた時の液切り性を向上させることがで
きる。
【0026】蓋体はすり鉢状貫通穴の大径側の開口部を
被うため、大径側の開口部から部品が脱落したり、落下
することがない。この蓋体は通気性を有しているため、
すり鉢状貫通穴内への気体の流通を妨げることがなく、
気体流通による部品の乾燥を行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施の形
態により具体的に説明する。なお、各実施の形態におい
て同一の要素は同一の符号を付して対応させてある。
【0028】(実施の形態1)図1〜図6は本発明の実
施の形態1であり、図1及び図2は、この実施の形態に
用いられるパレット10を示す。パレット10は本体1
と、本体1に設けられたすり鉢状貫通穴2と、本体1に
取り付けられる蓋体3とを備えている。
【0029】本体1はテフロン(商標名)などのフッ素
系樹脂によって円盤形状の板状に形成されている。この
本体1の側面の対向する少なくとも2箇所にはアーム係
止溝4が形成されており、このアーム係止溝4を介して
パレット10が回転モータ8の一対のアーム7に保持さ
れる(図5参照)。
【0030】すり鉢状貫通穴2は本体1の厚さ方向に貫
通するように複数が形成されている。複数のすり鉢状貫
通穴2は本体1の円周方向に対し等間隔で設けられてお
り、これによりパレット10がバランス良く安定して回
転することができる。なお、本体1の中央には、すり鉢
状貫通穴2ではない中心穴11が貫通している。本体1
の中央部分にすり鉢状貫通穴2を設けても、回転によっ
て部品5から液体を除去しにくいためであり、又、回転
時のパレット10のバランスを取り易くするためであ
る。
【0031】すり鉢状貫通穴2は本体1の上面1a側の
開口部2aが大径となっており、本体1の下面1b側の
開口部2bが小径となるように形成されている。上面側
1aにおける大径の開口部2aは部品5の外径よりも大
きく設定されており、この大径の開口部2aから部品5
がすり鉢状貫通穴2内に落とし込まれる。下面1b側の
小径の開口部2bは部品5の外径よりも小さく設定され
ており、これにより、部品5が落下することを防止して
いる。
【0032】蓋体3は本体1と同一径の薄い円盤状に形
成されている。この蓋体3は本体1と同様な樹脂によっ
て形成されるものである。又、蓋体3は網目状あるいは
格子状に成形されており、これにより通気性が付与され
ている。かかる蓋体3は本体1の上面1a側に被せら
れ、これによりすり鉢状貫通穴2内の部品5が大径の開
口部2aから抜け出ることを防止している。
【0033】このようなパレット10では、大径の開口
部2aからレンズなどの部品5がすり鉢状貫通穴2に落
とし込まれる。このとき、部品5は向きを特定すること
なく適当に落とし込まれ、図3(a)及び(b)で示す
ように、すり鉢状貫通穴2内では部品5の向きが任意と
なっている。
【0034】図4は部品の洗浄及び乾燥を行う処理装置
を示す。この装置は第1の洗浄槽21と、第2の洗浄槽
22と、乾燥槽23とを備えており、これらの槽21,
22,23を回転モータ8が順次、移動する。
【0035】回転モータ8はパレット10を回転させる
回転手段となっており、回転軸9が垂下している。図5
に示すように、回転軸9の下端には開閉自在の2股状の
アーム7が取り付けられており、このアーム7がパレッ
ト10の本体1に設けられているアーム係止溝4に係止
することによりパレット10が回転モータ8に連結され
る。
【0036】第1及び第2の洗浄槽21,22には、洗
浄液24が充填されており、パレット10を洗浄液24
に浸漬した状態で、50rpm以上の回転速度でパレッ
ト10を回転させながら洗浄を行う。乾燥槽23では、
500rpm以上の高速回転速度でパレット10を回転
させて液切り乾燥を行う。この乾燥槽23の底部には、
気体流通手段としての載置台20が設けられている。
【0037】図6は載置台20を示し、複数の開口21
が貫通するように形成されている。開口21はパレット
10のすり鉢状貫通穴2と対応するように形成されてい
る。又、載置台20の開口21は図示を省略した送風機
に接続されており、送風機からの清浄な乾燥空気をすり
鉢状貫通穴2に吹き出すことができる。
【0038】乾燥槽23では、まず、回転モータ8によ
ってパレット10を高速回転させて洗浄液の液切りを行
う。この回転乾燥による液切りの後、パレット10の回
転を止め、パレット10のすり鉢状貫通穴2と、載置台
20の開口21とを一致させるようにパレット10を載
置台20上に載置させる(図6参照)。この状態で送風
機からの清浄な空気を開口21から各すり鉢状貫通穴2
に吹き付ける。この吹き付けによって、すり鉢状貫通穴
2内の部品5の表面に付着している残留洗浄液を除去
し、完全に乾燥を行う。
【0039】この実施の形態では、洗浄される部品5と
して、研磨された直径(φ)3mmの凸レンズを用い
た。この凸レンズをパレット10のすり鉢状貫通穴2に
入れ、パレット10を回転モータ8の回転軸9に固定し
て、回転洗浄を行った。洗浄液としては、IPA(イソ
プロピルアルコール)、非水系シリコーン系洗浄液(商
品名「EE−3110」、オリンパス光学工業(株)
製)及び純水の3種類を用いた。
【0040】回転洗浄の後、パレット10を乾燥槽23
に移動させ、回転速度を500rpm、1000rp
m、2000rpmのそれぞれに変えて回転乾燥した。
この回転乾燥は、回転速度500rpm及び1000r
pmで2分間、2000rpmで1分間の回転時間とし
て行った。この回転乾燥の終了後、乾燥槽23内での乾
燥空気の吹き付けにより、回転乾燥のみでは完全乾燥で
きないIPA、EE−3110、純水を10秒程度で容
易に除去した。結果を表1に示す。
【0041】比較例として、上述した各回転速度で3分
間の回転時間とし、乾燥空気の吹き付けを行わない、す
なわち回転乾燥による乾燥のみにおける乾燥性を評価
し、結果を表2に示す。これらの表において、「○」は
レンズ、パレット共に液残りがないものを、「×」は液
残りがあるものを示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】乾燥性の良いIPAとEE−3110は、
1000rpm以上での回転時間3分の条件で乾燥する
ことができたが、純水は2000rpmの回転速度でも
レンズとパレット10の隙間に液残りが確認された。そ
こで回転時間を5分に延長したが、レンズとパレット1
0の隙間に存在する純水は、レンズが貼りついた状態に
なっているため、完全には乾燥できなかった。
【0045】(実施の形態2)図7は実施の形態2を示
す。この実施の形態では、図7で示す載置台25を乾燥
槽23内に設置するものである。載置台25はこの実施
の形態の気体流通手段を構成するものであり、すり鉢状
貫通穴2に対応した開口26が形成されている。この載
置台25は排気モータ(図示省略)に接続されており、
排気モータの駆動によって矢印で示すように、開口26
から各すり鉢状貫通穴2を通じて空気が吸引され、この
吸引される空気によって部品を乾燥する。
【0046】この実施の形態では、実施の形態1と同様
に、研磨されたφ3mmの凸レンズを洗浄される部品と
して用いた。レンズはパレット10のすり鉢状貫通穴2
に入れて洗浄及び乾燥に供した。洗浄液は実施の形態1
と同様に、IPA(イソプロピルアルコール)、非水系
シリコーン系洗浄液(商品名「EE−3110」オリン
パス光学工業(株)製)及び純水の3種とした。
【0047】洗浄後には、乾燥槽内で回転乾燥を行っ
た。回転乾燥は、500,1000,2000rpmの
3種の回転速度で行った。回転時間を500rpmおよ
び1000rpmは2分間、2000rpmは1分間と
した。この回転乾燥後、吸引乾燥したときの乾燥性の評
価結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】吸引乾燥により、回転乾燥のみでは完全乾
燥できない純水及び回転速度500rpmでの回転乾燥
では完全乾燥できないIPA、EE−3110において
も、20秒程度で容易に液残りを除去することができ
た。
【0050】以上の説明から明らかなように、本発明は
次の発明を包含するものである。
【0051】(1)表面に液体が付着した光学部品の乾
燥方法において、パレットに設けられたすり鉢状貫通穴
に前記光学部品を収納し、すり鉢状貫通穴に対向して配
置された開口を通じてすり鉢状貫通穴内への気体の流通
を行うことを特徴とする光学部品乾燥方法。
【0052】この発明では、光学部品に付着している洗
浄液などの液体をすり鉢状貫通穴への気体の流通によっ
て除去することができ、良好な乾燥を行うことができ
る。
【0053】(2)表面に液体が付着した光学部品の乾
燥を行う乾燥槽と、前記光学部品を収納するすり鉢状貫
通穴を有したパレットと、このパレットを保持して回転
する回転手段と、前記すり鉢状貫通穴に対向するように
前記パレットに面して設けられた開口と、この開口を通
じてすり鉢状貫通穴内への気体の流通を行う気体流通手
段とを具備したことを特徴とする部品乾燥装置。
【0054】この発明では、回転手段によるパレットの
回転によって遠心力が作用し、この遠心力によって光学
部品に付着している液体が振り切られるため、液体を除
去することができると共に、気体流通手段は開口を通じ
てすり鉢状貫通穴内に気体を流通させるため、部品に残
留している液体を確実に除去し、このため、微小径の光
学部品であっても、シミの発生なく確実に乾燥すること
ができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、部品を収納したすり鉢状貫通穴内に対して開口
を通じて気体を流通させるため、部品に付着している液
体を確実に除去することができる。従って、直径が10
mm以下の光学部品などの部品を短時間で良好に乾燥す
ることができる。また、純水を用いた洗浄が可能である
ため、環境対策や安全性に優れている。
【0056】請求項2の発明によれば、回転手段による
パレットの回転によって遠心力が作用し、この遠心力に
よって部品に付着している液体が振り切られると共に、
気体流通手段が開口を通じてすり鉢状貫通穴内に気体を
流通させるため、部品に残留している液体を確実に除去
することができる。
【0057】請求項3の発明によれば、すり鉢状貫通穴
に部品を収納するため、部品の外周面以外がパレットに
直接接触することがなく、部品がすり鉢状貫通穴内で自
由に動くことができるため、固定した場所に液溜まりが
なく、乾燥後のシミの発生がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のパレットの本体の平面
図である。
【図2】図1におけるパレットの本体に蓋体を備えたと
きのA−A線断面図である。
【図3】(a)及び(b)はすり鉢状貫通穴内での部品
の挙動を示す斜視図である。
【図4】洗浄及び乾燥を行う処理装置の断面図である。
【図5】回転モータの正面図である。
【図6】実施の形態1におけるパレットと開口との関係
を示す相関図である。
【図7】実施の形態2におけるパレットと開口との関係
を示す相関図である。
【図8】従来の乾燥装置の部分破断斜視図である。
【図9】図8の乾燥装置に用いられる洗浄パレットの斜
視図である。
【図10】洗浄及び乾燥を行う従来の処理装置の断面図
である。
【符号の説明】
1 パレット 2 すり鉢状貫通穴 3 蓋体 5 部品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B201 AA03 AB38 AB44 BB02 BB82 BB83 BB93 BB94 BB95 CA01 CA03 CB15 CC12 CC13 3L113 AA04 AB02 AB08 AC28 AC74 BA01 DA10 DA21 DA24 DA26

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に液体が付着した部品の乾燥方法に
    おいて、パレットに設けられたすり鉢状貫通穴に前記部
    品を収納し、すり鉢状貫通穴に対向して配置された開口
    を通じてすり鉢状貫通穴内への気体の流通を行うことを
    特徴とする部品乾燥方法。
  2. 【請求項2】 表面に液体が付着した部品の乾燥を行う
    乾燥槽と、前記部品を収納するすり鉢状貫通穴を有した
    パレットと、このパレットを保持して回転する回転手段
    と、前記すり鉢状貫通穴に対向するように前記パレット
    に面して設けられた開口と、この開口を通じてすり鉢状
    貫通穴内への気体の流通を行う気体流通手段とを具備し
    たことを特徴とする部品乾燥装置。
  3. 【請求項3】 板状に形成された本体と、この本体の上
    面から下面に向かって貫通するように設けられ、部品が
    収納されるすり鉢状貫通穴と、このすり鉢状貫通穴の大
    径側の開口部を被うように設けられた通気性の蓋体とを
    具備したことを特徴とする乾燥に用いられるパレット。
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