JP2000247964A - チオール基を有するベンゾチアゾール類を配位子とする亜鉛錯体 - Google Patents

チオール基を有するベンゾチアゾール類を配位子とする亜鉛錯体

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JP2000247964A
JP2000247964A JP11050067A JP5006799A JP2000247964A JP 2000247964 A JP2000247964 A JP 2000247964A JP 11050067 A JP11050067 A JP 11050067A JP 5006799 A JP5006799 A JP 5006799A JP 2000247964 A JP2000247964 A JP 2000247964A
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Hideji Iwasaki
秀治 岩崎
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低電圧で駆動可能な有機電界発光素子用材料
を開発すること。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 で示されるチオール基を有するベンゾチアゾール類を配
位子とする亜鉛錯体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、次世代フラットパ
ネルディスプレイとして注目されている有機電界発光素
子(以下、これを有機EL素子と略称することがあ
る。)材料として期待される、チオール基を有するベン
ゾチアゾール類を配位子とする亜鉛錯体に関する。
【0002】
【従来の技術】チオール基を有するベンゾチアゾール類
を配位子とする有機金属錯体は、有機EL素子において
有望な電子輸送材料および/または発光材料となりうる
可能性を有するにもかかわらず、これまでそれらの可能
性について検討されたことがなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、薄膜型の電界発
光素子(以下、これをEL素子と略称することがあ
る。)としては、無機材料であるZnS、CaS、Sr
S等のII−VI族化合物半導体に、発光中心としてM
nや希土類元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープ
したものが一般的であったが、上記無機材料から作製し
たEL素子には、 1)交流駆動が必要(50〜1000Hz) 2)駆動電圧が高い(〜200V) 3)フルカラー化が困難(特に青色が問題) 4)周辺駆動回路のコストが高い という問題点がある。したがって、高い電圧と交流電源
が必要であることから使用できる場所が限定され、また
発光材料が限定されることから発光色が少なくディスプ
レイとしては使用範囲が限定される。また、電力を必要
とする割に発光効率が低く標示が暗いため用途が限定さ
れている。さらに、装置的にも駆動回路などが高価にな
り製品全体のコストが高かった。そこで、低電圧、高効
率で発光を得るEL素子用の材料として、亜鉛錯体、ア
ルミニウム錯体などの種々の金属錯体が提案されてき
た。近年、上記1)、2)、4)の問題点を意識した新
しい有機EL素子の開発が行われ、コダック社のTan
gらが開発した芳香族ジアミンからなる有機正孔輸送層
と8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体からなる
有機発光層を設けた有機EL素子(アプライド・フィジ
クス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、
51巻、913ページ、1987年)では、それ以前の
アントラセンなどの単結晶を用いたEL素子に比較し発
光効率の点で大幅に改善が認められている。しかしなが
ら、Tangらが開発した比較的高い輝度が得られてい
る有機EL素子にしても、安定に駆動させることの出来
る十分な発光色が得られたとはいえないし、また、駆動
電圧の点でも、この有機EL素子を安定に駆動させるた
めにはまだ高い駆動電圧が必要で、実用化可能なレベル
まで低下したとは言えない。したがって、本発明の目的
は上記の問題点をすべて解決した、低電圧で駆動可能な
有機EL素子用材料の開発にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、一般式
(I)
【0005】
【化2】
【0006】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
7およびR8はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換
基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アル
ケニル基、アリル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素
基もしくは芳香族複素環基を表すか、またはそれぞれ互
いに隣接するものが一緒になって脂環式化合物、芳香族
炭化水素化合物もしくは複素環式化合物の環構造の一部
を形成していてもよい。)で示されるチオール基を有す
るベンゾチアゾール類を配位子とする亜鉛錯体(以下、
これを亜鉛錯体(I)と称することがある。)を提供す
ることにより上記の目的を達成することができた。
【0007】
【発明の実施の形態】上記一般式中、 R1、R2、R3
4、R5、R6、R7およびR8が表すハロゲン原子とし
ては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が
挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル
基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル
基、シクロへキシル基などの炭素数1〜20のアルキル
基が挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有して
いてもよく、かかる置換基としては、例えばフッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原
子、メチル基、エチル基などのアルキル基;メトキシ
基、エトキシ基などのアルコキシル基;アセチル基、プ
ロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基などが挙げ
られる。
【0008】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およ
びR8が表すアラルキル基としては、例えばベンジル基
が挙げられ、アルケニル基としては、例えばビニル基、
プロペニル基、スチリル基などが挙げられ、アリル基と
しては、例えばアリル基、ジメチルアリル基などが挙げ
られ、アルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エ
トキシ基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては例えば
フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げら
れ、芳香族複素環基としては、例えばピリジル基が挙げ
られる。これらのアラルキル基、アルケニル基、アリル
基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基または芳香族複
素環基は置換基を有していてもよく、かかる置換基とし
ては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素
原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基などのア
ルキル基; メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ
ル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基など
のカルボニル基などが挙げられる。
【0009】本発明で配位子として使用される一般式
(II)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、 R1、R2、R3、R4、R5
6、R7およびR8は前記定義のとおりである。)で示
される2−チオフェニル−2’−ベンゾチアゾール類
(以下、これをベンゾチアゾール類(II)と称するこ
とがある。)は、一般式(III)
【0012】
【化4】
【0013】(式中、 R5、R6、R7およびR8は前記
定義のとおりである。)で示されるアミノチオフェノー
ル(以下、これをアミノチオフェノール(III)と称
することがある。)と一般式(IV)
【0014】
【化5】
【0015】(式中、R1、R2、R3 およびR4は前記
定義のとおりである。)で示されるチオサリチル酸誘導
体(以下、これをチオサリチル酸誘導体(IV)と称す
ることがある。)から容易に合成することができる。
【0016】亜鉛錯体(I)は、ベンゾチアゾール類
(II)と2価の亜鉛化合物を塩基性物質の存在下に反
応せしめることによって合成することが出来る。
【0017】2価の亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、硫
酸亜鉛、硝酸亜鉛の如き鉱酸塩、酢酸亜鉛、ぎ酸亜鉛の
如き有機酸塩を使用することができ、これらは無水物で
あっても、水和物であっても構わない。使用量として
は、ベンゾチアゾール類(II)に対して0.01〜1
0当量の範囲、経済性、錯体の選択性などを考慮する
と、0.1〜1当量の範囲で使用することが好ましい。
【0018】塩基性物質としては、水酸化リチウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如きアルカリ金属水
酸化物および、水酸化カルシウム、水酸化バリウムの如
きアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウムの如き炭酸塩、アンモニア、またトリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンの如き3級
アミンなどを使用することができる。使用量としては、
ベンゾチアゾール類(II)に対して0.01〜10当
量の範囲、経済性、錯体の選択性などを考慮すると、
0.1〜1当量の範囲で使用することが好ましい。
【0019】反応に使用できる溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノールの如きアルコール類;ジ
エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒド
ロフラン(以下、THFと称することがある。)、1,
4−ジオキサンの如きエーテル類;ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタンの如き炭化水素;トルエン、キシレン、メ
シチレンの如き芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロ
ホルム、四塩化炭素の如きハロゲン化炭化水素を使用す
ることが出来る。溶媒の使用量としては、ベンゾチアゾ
ール類(II)に対して0.1〜100重量倍、反応の
効率、選択性、経済性を考慮すると、1〜10重量倍の
使用が好ましい。
【0020】反応温度は、−100℃〜200℃の範囲
であるが。反応の操作性、安全性などを考慮すると−1
0℃〜160℃の範囲、より好ましくは20℃〜140
℃の範囲である。また反応時間は通常ベンゾチアゾール
類(II)と2価の亜鉛塩の溶液に塩基性物質を加えて
0.1〜10時間、好ましくは1〜5時間の範囲であ
る。
【0021】反応は、通常大気圧下で攪拌することによ
り実施される。空気中で実施しても良いが、窒素、アル
ゴンの如き不活性気体雰囲気下で実施することがより好
ましい。
【0022】得られた錯体は、ジメチルホルムアミド−
メタノール、ジメチルホルムアミド−水、ジメチルスル
ホキシド−メタノール、ジメチルスルホキシド−水、T
HF−メタノール、1,4−ジオキサン−メタノールな
どの極性溶媒の組み合わせを用いた溶媒から再結晶する
ことによって精製することが出来る。更にトレインサブ
リメーションなどの昇華精製を用いることによってよ
り、使用目的に合致した純度にまで精製することが出来
る。
【0023】以下に実施例および参考例を挙げて本発明
をより詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に限定
されるものではない。
【実施例】
【0024】実施例1 3口フラスコに2−アミノチオフェノール12.5g
(0.1mol)、チオサリチル酸16.9g (0.
11mol)を取り、ポリリン酸80gを加えた。14
0℃に昇温し、そのまま6時間加熱攪拌した。反応終了
後、室温まで冷却し、氷冷水200gに加え、ポリリン
酸を分解し、氷例しながら、さらに50%苛性ソーダ水
溶液で反応処理液を中和した。析出した結晶を濾取し、
熱エタノール100gより再結晶し、2−チオフェニル
−2’−ベンゾチアゾール12.2g(0.05mo
l、収率50%)を得た。得られた2−チオフェニル−
2’−ベンゾチアゾール7.29g(0.03mol)
をTHF20mlに溶解し、40℃に加温した。そこに
塩化亜鉛2.0g(0.015mol)を加えた。混合
液を加熱還流しながら25%アンモニア水溶液2mlを
加え、更に2時間加熱攪拌した。反応液を室温に冷却し
た後、THFを留去し、残さにジメチルホルムアミドを
10ml加えてよく攪拌した。不溶物を除去した後、水
5mlを加え、0.5時間放置したのち、析出した結晶
を集め、減圧乾燥することによって目的のジ−(2−チ
オフェニル−2’−ベンゾチアゾール)亜鉛錯体3.7
0g(収率45%)を得た。1 H−NMR(DMSO) δ 8.12(d,1H,J=0.4Hz) 7.60−7.70(m,3H) 7.20−7.33(m,3H) 6.99(d,1H J=1.2Hz) UV(nm) 207,235,307,445 MASS 549(M+) m.p. 215℃
【0025】参考例 このようにして得られたジ−(2−チオフェニル−2’
−ベンゾチアゾール)亜鉛錯体を用いて図1で示される
有機EL素子を作成し、その性能を評価した。
【0026】参考例1 透明ガラス板11の上に形成された酸化インジウム合金
からなる透明電極(以下、これをITO透明電極と称
す。)12上にテトラフェニレンジアミン誘導体からな
る正孔輸送層13、実施例1で得たジ−(2−チオフェ
ニル−2’−ベンゾチアゾール)亜鉛錯体からなる発光
層14、及びマグネシウム等の金属からなる上部電極1
5の各々を順次形成し、図1に示す有機EL素子を製造
した。これらの正孔輸送層13、発光層14、及び上部
金属電極15は、真空蒸着法によって形成した。なお、
正孔輸送層13と発光層14とは10-6Torr程度の高真
空下で真空状態を破ることなく、連続蒸着によって形成
した。真空蒸着によって、正孔輸送層、発光層、上部金
属電極をそれぞれ50nm、50nm、200nm蒸着
した。図1に示す有機EL素子のITO透明電極12を
陽極とし、かつ、上部電極15を陰極として、電源から
直流またはパルス電圧4Vを印加したところ615nm
の発光を観測した。
【0027】
【発明の効果】一般式(I)で示されるチオール基を有
するベンゾチアゾール類を配位子とする亜鉛錯体を提供
することにより低電圧で駆動可能な有機EL素子用材料
を開発することができた。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の構成および有機EL素子のIT
O透明電極12を陽極とし、上部電極15を陰極とする
接続を示す。
【符号の説明】
11 透明ガラス板 12 ITO透明電極 13 正孔輸送層 14 本発明の亜鉛錯体からなる発光層 15 上部電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8
    はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してい
    てもよいアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、ア
    リル基、アルコキシル基、芳香族炭化水素基もしくは芳
    香族複素環基を表すか、またはそれぞれ互いに隣接する
    ものが一緒になって脂環式化合物、芳香族炭化水素化合
    物もしくは複素環式化合物の環構造の一部を形成してい
    てもよい。)で示される2−チオフェニル−2’−ベン
    ゾチアゾール類を配位子とする亜鉛錯体。
  2. 【請求項2】ジ−(2−チオフェニル−2’−ベンゾチ
    アゾール)亜鉛錯体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008546762A (ja) * 2005-06-23 2008-12-25 グレイセル ディスプレイ インク. 電気発光材料用有機金属錯体の前駆体化合物
JP2009102307A (ja) * 2007-09-07 2009-05-14 Gracel Display Inc エレクトロルミネッセンス用有機金属化合物およびこれを使用した有機エレクトロルミネッセント装置
JP2015111717A (ja) * 2007-12-31 2015-06-18 グレイセル・ディスプレイ・インコーポレーテッドGracel Display Inc. エレクトロルミネセント化合物を用いたエレクトロルミネセント素子

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JP2009102307A (ja) * 2007-09-07 2009-05-14 Gracel Display Inc エレクトロルミネッセンス用有機金属化合物およびこれを使用した有機エレクトロルミネッセント装置
JP2015111717A (ja) * 2007-12-31 2015-06-18 グレイセル・ディスプレイ・インコーポレーテッドGracel Display Inc. エレクトロルミネセント化合物を用いたエレクトロルミネセント素子

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