JP2000246267A - 排水中のフッ素の固定化方法および排水の安定化処理方法 - Google Patents
排水中のフッ素の固定化方法および排水の安定化処理方法Info
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- JP2000246267A JP2000246267A JP11051094A JP5109499A JP2000246267A JP 2000246267 A JP2000246267 A JP 2000246267A JP 11051094 A JP11051094 A JP 11051094A JP 5109499 A JP5109499 A JP 5109499A JP 2000246267 A JP2000246267 A JP 2000246267A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 排水中に含まれるフッ素を効果的に除去する
ことができない。 【解決手段】 カルシウムを含む化合物およびアルミニ
ウムを含む化合物からなる固定剤、例えば、合成された
カルシウムアルミネート化合物およびその副生物、天然
に産するカルシウムアルミネート鉱物、およびフッ素を
実質的に含まずカルシウムアルミネートを含む二次精錬
スラグの1種または2種以上を用いて、最大粒径が5mm
以下のカルシウムアルミネートを含む粒子または粉末0.
05〜5重量部と、例えば製鋼工場の排ガスの冷却水、都
市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水、ステ
ンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液といった
フッ素を含む排水100 体積部とを反応させることによ
り、フッ素を含む排水を安定化処理する。
ことができない。 【解決手段】 カルシウムを含む化合物およびアルミニ
ウムを含む化合物からなる固定剤、例えば、合成された
カルシウムアルミネート化合物およびその副生物、天然
に産するカルシウムアルミネート鉱物、およびフッ素を
実質的に含まずカルシウムアルミネートを含む二次精錬
スラグの1種または2種以上を用いて、最大粒径が5mm
以下のカルシウムアルミネートを含む粒子または粉末0.
05〜5重量部と、例えば製鋼工場の排ガスの冷却水、都
市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水、ステ
ンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液といった
フッ素を含む排水100 体積部とを反応させることによ
り、フッ素を含む排水を安定化処理する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば製鋼工程や
ゴミ焼却工程等で不可避的に発生する排水中のフッ素の
固定化方法と、この排水の安定化処理方法とに関する。
ゴミ焼却工程等で不可避的に発生する排水中のフッ素の
固定化方法と、この排水の安定化処理方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる水質汚濁防止法の排水基準値に
よれば、排水中のフッ素許容量は15mg/Lであるが、近
年、環境保護の観点から、排水中のフッ素についても、
その適正かつ効率的な処理が強く求められている。
よれば、排水中のフッ素許容量は15mg/Lであるが、近
年、環境保護の観点から、排水中のフッ素についても、
その適正かつ効率的な処理が強く求められている。
【0003】例えば、我が国の製鉄所において大量に発
生する排ガスの冷却水、特に溶銑予備処理工程における
排ガスの冷却水中のフッ素濃度は50〜100mg/L にも達し
ている。この冷却水は循環して用いられるため、冷却水
中のフッ素濃度は徐々に上昇する。また、ステンレス鋼
板の表面をフッ酸で洗浄するため、その後の仕上げ洗浄
水中のフッ素濃度は30〜50mg/L程度になっている。
生する排ガスの冷却水、特に溶銑予備処理工程における
排ガスの冷却水中のフッ素濃度は50〜100mg/L にも達し
ている。この冷却水は循環して用いられるため、冷却水
中のフッ素濃度は徐々に上昇する。また、ステンレス鋼
板の表面をフッ酸で洗浄するため、その後の仕上げ洗浄
水中のフッ素濃度は30〜50mg/L程度になっている。
【0004】従来、排液中に高濃度に含まれるフッ素を
除去する方法として、大量の石灰をフッ素含有溶液に添
加することにより、安定なフッ化カルシウムを沈殿させ
る技術が知られている。また、活性アルミナ粒子にフッ
素イオンを吸着させる方法も行われている。
除去する方法として、大量の石灰をフッ素含有溶液に添
加することにより、安定なフッ化カルシウムを沈殿させ
る技術が知られている。また、活性アルミナ粒子にフッ
素イオンを吸着させる方法も行われている。
【0005】しかし、いずれの方法においても、溶液中
のフッ素濃度が低下するに伴って、溶液中でのフッ化カ
ルシウムの生成反応や活性アルミナへの吸着反応は進行
し難くなる。このため、これらの技術では、現行の水質
汚濁防止法の排水基準値を下回ることはできるものの、
工業的規模で排水中に含まれるフッ素濃度を、環境保護
の観点からも問題がないと判断できる程度に低下させる
ことは、現実には困難であり、簡便な方法として唯一、
水による希釈によって対応されている。
のフッ素濃度が低下するに伴って、溶液中でのフッ化カ
ルシウムの生成反応や活性アルミナへの吸着反応は進行
し難くなる。このため、これらの技術では、現行の水質
汚濁防止法の排水基準値を下回ることはできるものの、
工業的規模で排水中に含まれるフッ素濃度を、環境保護
の観点からも問題がないと判断できる程度に低下させる
ことは、現実には困難であり、簡便な方法として唯一、
水による希釈によって対応されている。
【0006】そこで、従来より、排水中のフッ素を効率
的に除去する発明が多数提案されている。
的に除去する発明が多数提案されている。
【0007】例えば、特公平8−11232 号公報には、フ
ッ素含有排水にアルミニウムイオンとナトリウムイオン
とを作用させて大部分のフッ素を固定化して除去した後
に、ゲル状水酸化アルミニウムに排水中に残存するフッ
素を吸着させて共沈除去する発明が提案されている。
ッ素含有排水にアルミニウムイオンとナトリウムイオン
とを作用させて大部分のフッ素を固定化して除去した後
に、ゲル状水酸化アルミニウムに排水中に残存するフッ
素を吸着させて共沈除去する発明が提案されている。
【0008】また、特公平3−71197 号公報には、水酸
化マグネシウムを吸収剤として使用する湿式排煙脱硫装
置から排出される排液に消石灰を添加しフッ素をフッ化
カルシウムとして固定化して除去した後に、さらに酸化
マグネシウムを含む固体を添加し、生成するMg(OH)2 に
フッ素を吸着させ固定化する発明が提案されている。
化マグネシウムを吸収剤として使用する湿式排煙脱硫装
置から排出される排液に消石灰を添加しフッ素をフッ化
カルシウムとして固定化して除去した後に、さらに酸化
マグネシウムを含む固体を添加し、生成するMg(OH)2 に
フッ素を吸着させ固定化する発明が提案されている。
【0009】また、特開平10−5769号公報には、フッ素
を含む排水中にカルシウム化合物を添加しフッ素をフッ
化カルシウムとして固定化して除去した後にアルミニウ
ム化合物を添加し、フッ素をアルミニウム水酸化物に吸
着・共沈させ固定化する発明が提案されている。
を含む排水中にカルシウム化合物を添加しフッ素をフッ
化カルシウムとして固定化して除去した後にアルミニウ
ム化合物を添加し、フッ素をアルミニウム水酸化物に吸
着・共沈させ固定化する発明が提案されている。
【0010】さらに、特開平10−314797号公報には、フ
ッ化物イオンを含有する排水にカルシウムイオンおよび
/またはアルミニウムイオンを存在させ、フッ化カルシ
ウムおよび/またはフッ化物を巻き込んだAl(OH)3 とし
てフッ素を分離除去した後に、排水を蒸発させて濃縮
し、多価金属イオンの存在下でpH調整することにより、
フッ化物を抱き込んだ多価金属イオンのそれぞれの水酸
化物を沈殿させ、この分離液をアニオン交換樹脂で処理
することにより、主にCOD成分を除去する発明が提案
されている。
ッ化物イオンを含有する排水にカルシウムイオンおよび
/またはアルミニウムイオンを存在させ、フッ化カルシ
ウムおよび/またはフッ化物を巻き込んだAl(OH)3 とし
てフッ素を分離除去した後に、排水を蒸発させて濃縮
し、多価金属イオンの存在下でpH調整することにより、
フッ化物を抱き込んだ多価金属イオンのそれぞれの水酸
化物を沈殿させ、この分離液をアニオン交換樹脂で処理
することにより、主にCOD成分を除去する発明が提案
されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公平8−11
232 号公報、同3−71197 号公報さらには特開平10−57
69号公報により提案された発明では、いずれもフッ化カ
ルシウム、フッ素が吸着した水酸化アルミニウムや、フ
ッ素が吸着した水酸化マグネシウムが生成することによ
って排水からフッ素が除去される。したがって、排液中
のフッ素濃度が低い場合には、工業的規模でこのフッ素
濃度を、環境保護の観点からも問題がないと判断できる
程度にまで低下させることは、現実には困難である。
232 号公報、同3−71197 号公報さらには特開平10−57
69号公報により提案された発明では、いずれもフッ化カ
ルシウム、フッ素が吸着した水酸化アルミニウムや、フ
ッ素が吸着した水酸化マグネシウムが生成することによ
って排水からフッ素が除去される。したがって、排液中
のフッ素濃度が低い場合には、工業的規模でこのフッ素
濃度を、環境保護の観点からも問題がないと判断できる
程度にまで低下させることは、現実には困難である。
【0012】また、特開平10−314797公報により提案さ
れた発明では、フッ化物イオンがカルシウムイオンと反
応してフッ化カルシウムとして沈殿し、また、アルミニ
ウムイオンが沈殿したAl(OH)3 にフッ化物イオンが巻き
込まれることによって除去され、さらに排水を蒸発させ
て濃縮させる過程でフッ化カルシウムが析出し、濃縮液
のpHを調整することにより Mg(OH)2、Al(OH)3 等を析出
させフッ化物イオンをこれに巻き込ませることによっ
て、排水中のフッ化物イオンが除去される。つまり、反
応機構としては特公平8−11232 号公報、同3−71197
号公報さらには特開平10−5769号公報と同じとみなすこ
とができるため、排液中のフッ素濃度が低い場合には同
様の問題がある。
れた発明では、フッ化物イオンがカルシウムイオンと反
応してフッ化カルシウムとして沈殿し、また、アルミニ
ウムイオンが沈殿したAl(OH)3 にフッ化物イオンが巻き
込まれることによって除去され、さらに排水を蒸発させ
て濃縮させる過程でフッ化カルシウムが析出し、濃縮液
のpHを調整することにより Mg(OH)2、Al(OH)3 等を析出
させフッ化物イオンをこれに巻き込ませることによっ
て、排水中のフッ化物イオンが除去される。つまり、反
応機構としては特公平8−11232 号公報、同3−71197
号公報さらには特開平10−5769号公報と同じとみなすこ
とができるため、排液中のフッ素濃度が低い場合には同
様の問題がある。
【0013】さらに、排水のpH調整に要するコスト、お
よび排水の蒸発工程に要する処理時間を考えれば、大量
の排水の処理は難しい。このため、大量に発生する排液
中のフッ素濃度を、同様に所望のレベルのフッ素濃度ま
で低減することは、現実には難しい。
よび排水の蒸発工程に要する処理時間を考えれば、大量
の排水の処理は難しい。このため、大量に発生する排液
中のフッ素濃度を、同様に所望のレベルのフッ素濃度ま
で低減することは、現実には難しい。
【0014】ここに、本発明の目的は、製鋼工程で不可
避的に発生する、例えば排ガスの冷却水やステンレス鋼
板の酸洗排液、あるいは都市ゴミ焼却炉や直接溶融炉の
排ガスの冷却水といった、フッ素を含む排水中のフッ素
濃度を確実に低減させることができるフッ素の固定化方
法と、フッ素を含む排水の安定化処理方法とを提供する
ことにある。
避的に発生する、例えば排ガスの冷却水やステンレス鋼
板の酸洗排液、あるいは都市ゴミ焼却炉や直接溶融炉の
排ガスの冷却水といった、フッ素を含む排水中のフッ素
濃度を確実に低減させることができるフッ素の固定化方
法と、フッ素を含む排水の安定化処理方法とを提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明の要旨と
するところは、最も広義には、カルシウムを含む化合物
およびアルミニウムを含む化合物を同時に用いて、排水
中のフッ素を捕捉することを特徴とするフッ素の除去方
法である。
するところは、最も広義には、カルシウムを含む化合物
およびアルミニウムを含む化合物を同時に用いて、排水
中のフッ素を捕捉することを特徴とするフッ素の除去方
法である。
【0016】具体的には、本発明は、カルシウムを含む
化合物およびアルミニウムを含む化合物の双方を含む粉
末または粒子を固定剤として用い、フッ素を含む排水の
安定化処理を行うことを特徴とする、フッ素を含む排水
の安定化処理方法である。
化合物およびアルミニウムを含む化合物の双方を含む粉
末または粒子を固定剤として用い、フッ素を含む排水の
安定化処理を行うことを特徴とする、フッ素を含む排水
の安定化処理方法である。
【0017】上記の本発明では、固定剤が、カルシウ
ムアルミネートを含む粉末または粒子であること、排
水が、製鋼工場の排ガスの冷却水、都市ゴミ焼却炉また
は直接溶融炉の排ガスの冷却水、またはステンレス鋼の
仕上洗浄液の排液等であることが、それぞれ例示され
る。
ムアルミネートを含む粉末または粒子であること、排
水が、製鋼工場の排ガスの冷却水、都市ゴミ焼却炉また
は直接溶融炉の排ガスの冷却水、またはステンレス鋼の
仕上洗浄液の排液等であることが、それぞれ例示され
る。
【0018】また、上記の本発明では、固定剤が、合成
されたカルシウムアルミネート化合物およびその副生
物、天然に産するカルシウムアルミネート鉱物、およ
び、フッ素を実質的に含まずカルシウムアルミネートを
含む二次精錬スラグの1種または2種以上に由来するこ
とが、例示される。本明細書において、「フッ素を実質
的に含まず」とは、溶出しない程度の量のフッ素を含ん
でもよいことを意味する。
されたカルシウムアルミネート化合物およびその副生
物、天然に産するカルシウムアルミネート鉱物、およ
び、フッ素を実質的に含まずカルシウムアルミネートを
含む二次精錬スラグの1種または2種以上に由来するこ
とが、例示される。本明細書において、「フッ素を実質
的に含まず」とは、溶出しない程度の量のフッ素を含ん
でもよいことを意味する。
【0019】また、上記の本発明では、固定剤の最大粒
径が5mm以下であることが、フッ素の安定化を確実に行
うためには、望ましい。また、これらの本発明では、排
水100 体積部に対して、固定剤を0.05〜5重量部添加す
ることが、フッ素の安定化を確実に行うとともに処理コ
ストの上昇を抑制するためには望ましい。
径が5mm以下であることが、フッ素の安定化を確実に行
うためには、望ましい。また、これらの本発明では、排
水100 体積部に対して、固定剤を0.05〜5重量部添加す
ることが、フッ素の安定化を確実に行うとともに処理コ
ストの上昇を抑制するためには望ましい。
【0020】さらに、上記の本発明にかかるフッ素を含
む排水の安定化処理方法では、二次精錬スラグが、溶
融状態でアルミナを添加した後、通常の冷却速度で凝固
させ、これを粉砕することにより得られること、または
Al2O3 濃度が高い二次精錬スラグ融体、または、Al2O
3 を添加することによりAl2O3 濃度を高くした二次精錬
スラグ融体を、炭素、アルミ灰等により還元し、鉄濃度
およびマンガン濃度を低下させた後、通常の冷却速度で
凝固させ、粉砕することにより改質されたものも、フッ
素除去効率向上のために用いられることが、例示され
る。
む排水の安定化処理方法では、二次精錬スラグが、溶
融状態でアルミナを添加した後、通常の冷却速度で凝固
させ、これを粉砕することにより得られること、または
Al2O3 濃度が高い二次精錬スラグ融体、または、Al2O
3 を添加することによりAl2O3 濃度を高くした二次精錬
スラグ融体を、炭素、アルミ灰等により還元し、鉄濃度
およびマンガン濃度を低下させた後、通常の冷却速度で
凝固させ、粉砕することにより改質されたものも、フッ
素除去効率向上のために用いられることが、例示され
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる排水中のフ
ッ素の固定化方法および排水の安定化処理方法の実施の
形態を、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
ッ素の固定化方法および排水の安定化処理方法の実施の
形態を、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0022】図1は、本実施形態の安定化処理方法によ
り、排水1に安定化処理を施す状況を模式的に示す説明
図である。同図に示す実施形態では、合成されたカルシ
ウムアルミネート化合物2a、天然に産するカルシウムア
ルミネート鉱物2b、および、カルシウムアルミネートを
含む二次精錬スラグ2cの1種または2種以上に由来す
る、カルシウムアルミネートを含む粉末または粒子2を
固定剤として用い、フッ素を含む排水1の安定化処理を
行っている。そこで、以降の説明では、排水1、固定剤
2、排水1の安定化処理について、順次説明する。
り、排水1に安定化処理を施す状況を模式的に示す説明
図である。同図に示す実施形態では、合成されたカルシ
ウムアルミネート化合物2a、天然に産するカルシウムア
ルミネート鉱物2b、および、カルシウムアルミネートを
含む二次精錬スラグ2cの1種または2種以上に由来す
る、カルシウムアルミネートを含む粉末または粒子2を
固定剤として用い、フッ素を含む排水1の安定化処理を
行っている。そこで、以降の説明では、排水1、固定剤
2、排水1の安定化処理について、順次説明する。
【0023】[排水1]本実施形態において安定化処理が
行われる排水は、図1に示す製鋼工場の排ガスの冷却水
1a、都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水
1b、および、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄
液の排液1cである。
行われる排水は、図1に示す製鋼工場の排ガスの冷却水
1a、都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水
1b、および、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄
液の排液1cである。
【0024】本発明では、排水1が発生する過程の形態
に関しては、何ら限定を要さない。このような排水1と
して、例えば、溶銑予備処理、転炉操業または二次精
錬工程等において発生する排ガスの温度を低下させるた
めに用いられる冷却水1a、都市ゴミの焼却炉または都
市ゴミの直接溶融炉から発生する排ガスの温度を低下さ
せるために用いられる冷却水1b、ステンレス鋼板の表
面の酸化スケールを除去するために行われるフッ酸洗浄
後に、鋼板の表面からフッ酸を除去するために用いられ
る仕上げ洗浄液の排水1cが例示される。
に関しては、何ら限定を要さない。このような排水1と
して、例えば、溶銑予備処理、転炉操業または二次精
錬工程等において発生する排ガスの温度を低下させるた
めに用いられる冷却水1a、都市ゴミの焼却炉または都
市ゴミの直接溶融炉から発生する排ガスの温度を低下さ
せるために用いられる冷却水1b、ステンレス鋼板の表
面の酸化スケールを除去するために行われるフッ酸洗浄
後に、鋼板の表面からフッ酸を除去するために用いられ
る仕上げ洗浄液の排水1cが例示される。
【0025】排水1の組成は、当然のことながら、例え
ば操業方法や循環利用方法等の各種要因により変動す
る。しかし、製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都市ゴミ焼
却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス
鋼板のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cのいずれも
がフッ素を含んでいる。例えば、製鋼工場の排ガスの冷
却水1aでは50〜100mg/L のフッ素を、都市ゴミ焼却炉ま
たは直接溶融炉の排ガスの冷却水1bでは10〜20mg/Lのフ
ッ素を、さらに、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ
洗浄液の排液1cでは30〜50mg/Lのフッ素を、それぞれ含
有する場合がある。
ば操業方法や循環利用方法等の各種要因により変動す
る。しかし、製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都市ゴミ焼
却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス
鋼板のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cのいずれも
がフッ素を含んでいる。例えば、製鋼工場の排ガスの冷
却水1aでは50〜100mg/L のフッ素を、都市ゴミ焼却炉ま
たは直接溶融炉の排ガスの冷却水1bでは10〜20mg/Lのフ
ッ素を、さらに、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ
洗浄液の排液1cでは30〜50mg/Lのフッ素を、それぞれ含
有する場合がある。
【0026】[固定剤2]本実施形態では、カルシウムア
ルミネートを含む粉末または粒子2として、合成された
カルシウムアルミネート化合物2a、天然に産するカルシ
ウムアルミネート鉱物2b、および、カルシウムアルミネ
ートを含む二次精錬スラグ2cの1種または2種以上に由
来する粉末または粒子2を、固定剤として用いる。
ルミネートを含む粉末または粒子2として、合成された
カルシウムアルミネート化合物2a、天然に産するカルシ
ウムアルミネート鉱物2b、および、カルシウムアルミネ
ートを含む二次精錬スラグ2cの1種または2種以上に由
来する粉末または粒子2を、固定剤として用いる。
【0027】本発明では、「カルシウムアルミネート」
とは、例えばCaO ・Al2O3 、5CaO・3Al2O3、 12CaO・7A
l2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3 若しくは3CaO・Al2O
3 、若しくはこれらの混合物、またはこれらの水和物等
を意味する。
とは、例えばCaO ・Al2O3 、5CaO・3Al2O3、 12CaO・7A
l2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3 若しくは3CaO・Al2O
3 、若しくはこれらの混合物、またはこれらの水和物等
を意味する。
【0028】合成されたカルシウムアルミネート化合物
2aとしては、例えばCaO ・Al2O3 、5CaO・3Al2O3、 12C
aO・7Al2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3 、3CaO・Al2O
3 、2CaO・Al2O3・SiO2若しくは3CaO・2Al2O3・MgO 、7
CaO・5Al2O3・MgO 、25CaO・17Al2O3・8MgO、若しくは
これらの混合物等が例示される。これらは、いずれも、
いわゆる高温焼成法により合成される。これらを水と反
応させることにより生じる水和物としては、 CaO・Al2O
3・8.5H2O、 CaO・Al2O3・10H2O 、4CaO・3Al2O3・3H
2O、2CaO・Al2O3・6H2O、2CaO・Al2O3・8H2O、3CaO・Al
2O3・6H2O、3CaO・Al2O3・xH2O(x=8〜12) 、4CaO・Al2
O3・13H2O 、α−4CaO・Al2O3・19H2O 、3CaO・Al2O3・
Ca(OH)2・18H2O 、4CaO・Al2O3・xH2O、3CaO・Al2O3・3
Ca(OH)2・32H2O 等がある。
2aとしては、例えばCaO ・Al2O3 、5CaO・3Al2O3、 12C
aO・7Al2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3 、3CaO・Al2O
3 、2CaO・Al2O3・SiO2若しくは3CaO・2Al2O3・MgO 、7
CaO・5Al2O3・MgO 、25CaO・17Al2O3・8MgO、若しくは
これらの混合物等が例示される。これらは、いずれも、
いわゆる高温焼成法により合成される。これらを水と反
応させることにより生じる水和物としては、 CaO・Al2O
3・8.5H2O、 CaO・Al2O3・10H2O 、4CaO・3Al2O3・3H
2O、2CaO・Al2O3・6H2O、2CaO・Al2O3・8H2O、3CaO・Al
2O3・6H2O、3CaO・Al2O3・xH2O(x=8〜12) 、4CaO・Al2
O3・13H2O 、α−4CaO・Al2O3・19H2O 、3CaO・Al2O3・
Ca(OH)2・18H2O 、4CaO・Al2O3・xH2O、3CaO・Al2O3・3
Ca(OH)2・32H2O 等がある。
【0029】天然に産するカルシウムアルミネート鉱物
2bとしては、例えば、12CaO・7Al2O3組成の鉱物としてM
ayeniteが、 CaO・Al2O3・8.5H2O組成の鉱物としてTuni
siteが、3CaO・Al2O3・6H2O組成の鉱物としてKatoite
やHydrogrossular等がある。
2bとしては、例えば、12CaO・7Al2O3組成の鉱物としてM
ayeniteが、 CaO・Al2O3・8.5H2O組成の鉱物としてTuni
siteが、3CaO・Al2O3・6H2O組成の鉱物としてKatoite
やHydrogrossular等がある。
【0030】二次精錬スラグ2cとは、蛍石等のフッ素を
含む原料を添加せずに、真空精錬法、取鍋精錬法または
簡易取鍋精錬等の二次精錬 (炉外精錬) を行った際に生
成されたスラグを意味し、石灰(CaO) およびアルミナ(A
l2O3) を主成分として含み、フッ素を実質的に含まない
ものである。このような二次精錬スラグ2cについて、X
線回折法等の適宜方法により鉱物相を同定すると、二次
精錬スラグ2c中の石灰およびアルミナ濃度が高い場合に
は、CaO・Al2O3 相、 12CaO・7Al2O3相、3CaO・Al2O3
相および、2CaO・Al2O3 ・SiO2相が主要鉱物相として認
められる。
含む原料を添加せずに、真空精錬法、取鍋精錬法または
簡易取鍋精錬等の二次精錬 (炉外精錬) を行った際に生
成されたスラグを意味し、石灰(CaO) およびアルミナ(A
l2O3) を主成分として含み、フッ素を実質的に含まない
ものである。このような二次精錬スラグ2cについて、X
線回折法等の適宜方法により鉱物相を同定すると、二次
精錬スラグ2c中の石灰およびアルミナ濃度が高い場合に
は、CaO・Al2O3 相、 12CaO・7Al2O3相、3CaO・Al2O3
相および、2CaO・Al2O3 ・SiO2相が主要鉱物相として認
められる。
【0031】また、溶融状態の二次精錬スラグにアルミ
ナを添加した後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉
砕することにより、排水へのAlイオンの供給が促進され
るため、この方法で改質した二次精錬スラグを用いるこ
とができる。
ナを添加した後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉
砕することにより、排水へのAlイオンの供給が促進され
るため、この方法で改質した二次精錬スラグを用いるこ
とができる。
【0032】さらに、Al2O3 濃度が高い二次精錬スラグ
融体、または、アルミナを添加することによりAl2O3 濃
度を高くした二次精錬スラグ融体を炭素、アルミ灰等に
より還元し、鉄およびマンガン濃度を低下させた後、通
常の冷却速度で凝固させ、粉砕することにより、改質し
た二次精錬スラグを用いることができる。この改質され
た二次精錬スラグでは、特に鉄濃度およびマンガン濃度
が低いため水に溶解し易くなり、排水へのCaイオンおよ
びAlイオンの供給が著しく促進されるため、排水からの
フッ素の除去効率は向上する。
融体、または、アルミナを添加することによりAl2O3 濃
度を高くした二次精錬スラグ融体を炭素、アルミ灰等に
より還元し、鉄およびマンガン濃度を低下させた後、通
常の冷却速度で凝固させ、粉砕することにより、改質し
た二次精錬スラグを用いることができる。この改質され
た二次精錬スラグでは、特に鉄濃度およびマンガン濃度
が低いため水に溶解し易くなり、排水へのCaイオンおよ
びAlイオンの供給が著しく促進されるため、排水からの
フッ素の除去効率は向上する。
【0033】本発明では、「カルシウムアルミネート」
である、例えばCaO ・Al2O3 、5CaO・3Al2O3、 12CaO・7
Al2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3 若しくは3CaO・Al2
O3、若しくはこれらの混合物、またはこれらの水和物の
いずれによっても、排水1に含まれるフッ素を、容易か
つ確実に固定することができる。
である、例えばCaO ・Al2O3 、5CaO・3Al2O3、 12CaO・7
Al2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3 若しくは3CaO・Al2
O3、若しくはこれらの混合物、またはこれらの水和物の
いずれによっても、排水1に含まれるフッ素を、容易か
つ確実に固定することができる。
【0034】本実施形態では、固定剤である粉末または
粒子2の最大粒径が5mmを超えると、排水1中におい
て、固定剤2とフッ素イオンとの反応界面積が減少して
固定剤2とフッ素との反応量が少なくなり、フッ素の固
定化が不十分になるおそれがある。また、排水1中にお
いて、固定剤2からのカルシウムおよびアルミニウムの
溶出量が少なくなり、フッ素イオンとの反応による固定
化が不十分になるおそれがある。そこで、固定剤2の平
均粒径は5mm以下であることが望ましい。同様の観点か
ら、固定剤2の最大粒径は1mm以下であることがより望
ましい。このような観点からは、固定剤2の平均粒径の
下限は限定を要さない。
粒子2の最大粒径が5mmを超えると、排水1中におい
て、固定剤2とフッ素イオンとの反応界面積が減少して
固定剤2とフッ素との反応量が少なくなり、フッ素の固
定化が不十分になるおそれがある。また、排水1中にお
いて、固定剤2からのカルシウムおよびアルミニウムの
溶出量が少なくなり、フッ素イオンとの反応による固定
化が不十分になるおそれがある。そこで、固定剤2の平
均粒径は5mm以下であることが望ましい。同様の観点か
ら、固定剤2の最大粒径は1mm以下であることがより望
ましい。このような観点からは、固定剤2の平均粒径の
下限は限定を要さない。
【0035】また、固定剤である粉末または粒子2の添
加量が少な過ぎると、排水1中において、固定剤2とフ
ッ素イオンとの反応界面積が十分でないために、固定剤
2とフッ素との反応量が少なくなり、フッ素の固定化が
不十分になるおそれがある。また、排水1中において、
粉末または粒子2からのカルシウムおよびアルミニウム
の溶出量が少なくなり、フッ素イオンとの反応による固
定化が不十分になるおそれがある。これらの傾向は、フ
ッ素濃度の高い排水1において、よりいっそう顕著にな
る。一方、固定剤2の添加量が多過ぎると、フッ素イオ
ンの安定化効果が飽和するとともに、コスト高となって
減容化を阻害する。
加量が少な過ぎると、排水1中において、固定剤2とフ
ッ素イオンとの反応界面積が十分でないために、固定剤
2とフッ素との反応量が少なくなり、フッ素の固定化が
不十分になるおそれがある。また、排水1中において、
粉末または粒子2からのカルシウムおよびアルミニウム
の溶出量が少なくなり、フッ素イオンとの反応による固
定化が不十分になるおそれがある。これらの傾向は、フ
ッ素濃度の高い排水1において、よりいっそう顕著にな
る。一方、固定剤2の添加量が多過ぎると、フッ素イオ
ンの安定化効果が飽和するとともに、コスト高となって
減容化を阻害する。
【0036】そこで、製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都
市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ス
テンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cの安
定化処理を行う際には、フッ素を含む排水100 体積部に
対して、固定剤2を0.05〜5重量部添加することが、望
ましい。
市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ス
テンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cの安
定化処理を行う際には、フッ素を含む排水100 体積部に
対して、固定剤2を0.05〜5重量部添加することが、望
ましい。
【0037】[排液1a〜1cの安定化処理]図1に示すよう
に、本実施形態では、上述した粉末または粒子2を用
い、製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都市ゴミ焼却炉また
は直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス鋼のフッ
酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cの安定化処理を行う。
に、本実施形態では、上述した粉末または粒子2を用
い、製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都市ゴミ焼却炉また
は直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス鋼のフッ
酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cの安定化処理を行う。
【0038】製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都市ゴミ焼
却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス
鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cの安定化処理
は、混合槽3においてこれらの排水1a〜1cに、粒子また
は粉末2を適量添加して機械的に攪拌した後、沈殿槽4
により排水と固定剤2および反応生成物とを分離するこ
とにより、固定剤2が排水中のフッ素を除去する。
却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス
鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cの安定化処理
は、混合槽3においてこれらの排水1a〜1cに、粒子また
は粉末2を適量添加して機械的に攪拌した後、沈殿槽4
により排水と固定剤2および反応生成物とを分離するこ
とにより、固定剤2が排水中のフッ素を除去する。
【0039】さらに、図2に示すように、粒子または粉
末2を充填したカラム5を設置し、これに排水1を通過
させることによっても、粒子または粉末2の間隙を排水
1が通過する間にフッ素の固定化が進行するため、排液
1a〜1c中のフッ素を容易に固定化できる。充填カラム5
の長さを長くするほど、排水1と粒子または粉末2との
接触時間が長くなり、フッ素の固定化が進行するため、
単位排水量当たりの粒子または粉末2の量を低減するこ
とができる。
末2を充填したカラム5を設置し、これに排水1を通過
させることによっても、粒子または粉末2の間隙を排水
1が通過する間にフッ素の固定化が進行するため、排液
1a〜1c中のフッ素を容易に固定化できる。充填カラム5
の長さを長くするほど、排水1と粒子または粉末2との
接触時間が長くなり、フッ素の固定化が進行するため、
単位排水量当たりの粒子または粉末2の量を低減するこ
とができる。
【0040】[安定化処理の作用]このような安定化処理
により、図1に示す製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都市
ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステ
ンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cにそれ
ぞれ含まれるフッ素が固定化される機構を説明する。
により、図1に示す製鋼工場の排ガスの冷却水1a、都市
ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水1b、ステ
ンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液1cにそれ
ぞれ含まれるフッ素が固定化される機構を説明する。
【0041】本発明者らは、フッ化水素酸を蒸留水で希
釈した溶液を攪拌しながら、高温焼成によって合成した
CaO・Al2O3 、 12CaO・7Al2O3または3CaO・Al2O3 の小
塊を浸漬し、反応後の CaO・Al2O3 、12CaO・7Al2O3ま
たは3CaO・Al2O3 の小塊表面の鉱物相をX線マイクロア
ナライザにより同定した。また、フッ化水素酸を蒸留水
で希釈した溶液に、高温焼成によって合成した CaO・Al
2O3 、 12CaO・7Al2O3または3CaO・Al2O3 の粉末を添加
し、反応後の粉末について、その鉱物相をX線回折法に
より同定した。
釈した溶液を攪拌しながら、高温焼成によって合成した
CaO・Al2O3 、 12CaO・7Al2O3または3CaO・Al2O3 の小
塊を浸漬し、反応後の CaO・Al2O3 、12CaO・7Al2O3ま
たは3CaO・Al2O3 の小塊表面の鉱物相をX線マイクロア
ナライザにより同定した。また、フッ化水素酸を蒸留水
で希釈した溶液に、高温焼成によって合成した CaO・Al
2O3 、 12CaO・7Al2O3または3CaO・Al2O3 の粉末を添加
し、反応後の粉末について、その鉱物相をX線回折法に
より同定した。
【0042】その結果、 CaO・Al2O3 粉末の場合にはCa
Al2(OH)8-xFx 、Ca3Al2(OH)8-xFx・yH2O、Ca3Al2(OH)
12-xFx 、Ca2Al(OH)7-xFx・3H2Oが、また、 12CaO・7Al
2O3粉末および3CaO・Al2O3 粉末の場合には3CaO・Al2O3
・Ca(OH)2-xFx・18H2O 、CaAl(OH)5-xFx・H2O 、Ca3Al2
(OH)12-xFx 、Ca3Al2(OH)2F10・H2O がそれぞれ存在す
ることが認められた。
Al2(OH)8-xFx 、Ca3Al2(OH)8-xFx・yH2O、Ca3Al2(OH)
12-xFx 、Ca2Al(OH)7-xFx・3H2Oが、また、 12CaO・7Al
2O3粉末および3CaO・Al2O3 粉末の場合には3CaO・Al2O3
・Ca(OH)2-xFx・18H2O 、CaAl(OH)5-xFx・H2O 、Ca3Al2
(OH)12-xFx 、Ca3Al2(OH)2F10・H2O がそれぞれ存在す
ることが認められた。
【0043】このようにしてカルシウムアルミネートを
含む固定剤によりフッ素が安定化されることは、下記の
反応機構により説明される。例えば、 CaO・Al2O3 粉末
が排水中でフッ素イオンと反応してCaAl2(OH)8-xFx が
生成する場合、 pH に応じて、CaO ・Al2O3 粉末からカ
ルシウムおよびアルミニウムが溶出してイオンとなる反
応(式または' 式)と、カルシウムイオンおよびア
ルミニウムイオンがフッ素イオンと反応してCaAl2(OH)
8-xFx が生成する反応(式または' 式)とが進行す
る。
含む固定剤によりフッ素が安定化されることは、下記の
反応機構により説明される。例えば、 CaO・Al2O3 粉末
が排水中でフッ素イオンと反応してCaAl2(OH)8-xFx が
生成する場合、 pH に応じて、CaO ・Al2O3 粉末からカ
ルシウムおよびアルミニウムが溶出してイオンとなる反
応(式または' 式)と、カルシウムイオンおよびア
ルミニウムイオンがフッ素イオンと反応してCaAl2(OH)
8-xFx が生成する反応(式または' 式)とが進行す
る。
【0044】 (pHが5.1 超の場合) CaO・Al2O3 → Ca2++2AlO2 - ・・・・ Ca2++2AlO2 - → xF-+xH++(4-x)H2O → CaAl2(OH)8-xFx ・・・ (pHが5.1 以下の場合) CaO・Al2O3 +8H+ → Ca2++2Al3+ +4H2O ・・・・ ' Ca2++2Al3+ +xF- +(8−x)OH- → CaAl2(OH)8-xFx ・・・' 一方、12CaO・7Al2O3粉末が水共存下でフッ素イオンと
反応して3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-xFx・18H2O が生成する
場合、 12CaO・7Al2O3粉末からカルシウムおよびアルミ
ニウムが溶出してイオンとなる反応(式または'
式)と、カルシウムイオンおよびアルミニウムイオンが
フッ素イオンと反応して3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-xFx ・1
8H2O が生成する反応(式または' 式)とが進行す
る。
反応して3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-xFx・18H2O が生成する
場合、 12CaO・7Al2O3粉末からカルシウムおよびアルミ
ニウムが溶出してイオンとなる反応(式または'
式)と、カルシウムイオンおよびアルミニウムイオンが
フッ素イオンと反応して3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-xFx ・1
8H2O が生成する反応(式または' 式)とが進行す
る。
【0045】 (pHが5.1 超の場合) 12CaO・7Al2O3+5H2O → 12Ca2++14AlO2 -+10OH- ・・・ 4Ca2+ + 2AlO2 -+xF-+(6−x)OH-+16H2O → 3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-xFx・18H2O ・・・ (pHが5.1 以下の場合) 12CaO・7Al2O3+ 66H+ →12Ca2++14Al3++33H2O ・・・・' 4Ca2+ +2Al3+ +xF-+ (14−x)OH- +12H2O → 3CaO・Al2O3・Ca(OH)2-xFx・18H2O ・・・' また、3CaO・7Al2O3粉末が水共存下でフッ素イオンと反
応してCa3Al2(OH)12-XFx が生成する場合、3CaO・Al2O3
粉末からカルシウムおよびアルミニウムが溶出してイ
オンとなる反応(式または' 式)と、カルシウムイ
オンおよびアルミニウムイオンがフッ素イオンと反応し
てCaAl2(OH)12-xFx が生成する反応(式または'
式)とが進行する。
応してCa3Al2(OH)12-XFx が生成する場合、3CaO・Al2O3
粉末からカルシウムおよびアルミニウムが溶出してイ
オンとなる反応(式または' 式)と、カルシウムイ
オンおよびアルミニウムイオンがフッ素イオンと反応し
てCaAl2(OH)12-xFx が生成する反応(式または'
式)とが進行する。
【0046】 (pHが5.1 超の場合) 3CaO・Al2O3+2H2O → 3Ca2++2AlO2 -+4OH- ・・・ 3Ca2++2AlO2 -+xF-+(4−x)OH-+4H2O → Ca3Al2(OH)12-xFx ・・・ (pHが5.1 以下の場合) 3CaO・Al2O3+12H+ → 3Ca2++2Al3++6H2O ・・・' 3Ca2++2Al3++xF-+(12−x)OH- → Ca3Al2(OH)12-xFx ・・・' 本発明によれば、このようにして、カルシウムを含む化
合物およびアルミニウムを含む化合物を用いてフッ素が
捕捉されて、フッ素が固定化される。すなわち、カルシ
ウムアルミネートを含む固定剤、すなわち、合成された
カルシウムアルミネート化合物2a、天然に産するカルシ
ウムアルミネート鉱物2b、および、カルシウムアルミネ
ートを含む二次精錬スラグ2cの1種または2種以上に由
来する、カルシウムアルミネートを含む粉末または粒子
2を、固定剤として用いることにより、製鋼工場の排ガ
スの冷却水1a、都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガ
スの冷却水1b、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗
浄液の排液1cの安定化処理が行われる。
合物およびアルミニウムを含む化合物を用いてフッ素が
捕捉されて、フッ素が固定化される。すなわち、カルシ
ウムアルミネートを含む固定剤、すなわち、合成された
カルシウムアルミネート化合物2a、天然に産するカルシ
ウムアルミネート鉱物2b、および、カルシウムアルミネ
ートを含む二次精錬スラグ2cの1種または2種以上に由
来する、カルシウムアルミネートを含む粉末または粒子
2を、固定剤として用いることにより、製鋼工場の排ガ
スの冷却水1a、都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガ
スの冷却水1b、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗
浄液の排液1cの安定化処理が行われる。
【0047】ここで、本発明における「Caを含む化合
物」とは、例えばCaO(酸化カルシウム) 、Ca(OH)2(水酸
化カルシウム) 、CaCO3(炭酸カルシウム) 、ソーダ石灰
等を意味し、また、「Alを含む化合物」とは、例えばAl
2O3(酸化アルミニウム) 、Al(OH)3(水酸化アルミニウ
ム) 、NaAlO2(アルミン酸ナトリウム) 、MgO・Al2O3 等
を意味する。
物」とは、例えばCaO(酸化カルシウム) 、Ca(OH)2(水酸
化カルシウム) 、CaCO3(炭酸カルシウム) 、ソーダ石灰
等を意味し、また、「Alを含む化合物」とは、例えばAl
2O3(酸化アルミニウム) 、Al(OH)3(水酸化アルミニウ
ム) 、NaAlO2(アルミン酸ナトリウム) 、MgO・Al2O3 等
を意味する。
【0048】このように、本実施形態によれば、製鋼工
場の排ガスの冷却水1a、都市ゴミ焼却炉または直接溶融
炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の
仕上げ洗浄液の排液1cといった、フッ素を含む排水を、
確実に安定化処理することができる。また、この処理に
際して、低コストのフッ素を含まない二次精錬スラグ2c
を用いることもできる。したがって、この場合には、処
理コストの顕著な低減が可能となる。
場の排ガスの冷却水1a、都市ゴミ焼却炉または直接溶融
炉の排ガスの冷却水1b、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の
仕上げ洗浄液の排液1cといった、フッ素を含む排水を、
確実に安定化処理することができる。また、この処理に
際して、低コストのフッ素を含まない二次精錬スラグ2c
を用いることもできる。したがって、この場合には、処
理コストの顕著な低減が可能となる。
【0049】また、安定化処理に用いるカルシウムアル
ミネートを含む粉末または粒子2は、排水1に含まれる
フッ素と効果的に反応するため、粉末または粒子2の使
用量の増加も可及的に抑制される。このため、この面か
らも、処理コストの低減が可能となる。
ミネートを含む粉末または粒子2は、排水1に含まれる
フッ素と効果的に反応するため、粉末または粒子2の使
用量の増加も可及的に抑制される。このため、この面か
らも、処理コストの低減が可能となる。
【0050】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細
に説明する。 (実施例1)製鋼工場の排ガスの冷却水、ステンレス鋼
のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液および直接溶融炉
の排ガスの冷却水中のフッ素濃度を表1に示す。
に説明する。 (実施例1)製鋼工場の排ガスの冷却水、ステンレス鋼
のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液および直接溶融炉
の排ガスの冷却水中のフッ素濃度を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】これらの排水は通常、他の排水によって希
釈され、最終的には規制値以下として工場外に排出され
る。表1から、これらの排水を希釈しないならば、排水
中のフッ素濃度が水質汚濁防止法の排水基準値を超える
ため、フッ素の固定化処理を行う必要があることが明ら
かであった。
釈され、最終的には規制値以下として工場外に排出され
る。表1から、これらの排水を希釈しないならば、排水
中のフッ素濃度が水質汚濁防止法の排水基準値を超える
ため、フッ素の固定化処理を行う必要があることが明ら
かであった。
【0053】これらの排水のうち、製鋼工場の排ガスの
冷却水100 体積部に対して、粒度が5〜10mm、1〜5m
m、または、0.1 〜1mmの3CaO・Al2O3 合成品の粒子を
0.5 重量部添加し、攪拌試験 (毎分100 回攪拌) を行っ
た。所定時間毎にホールピペットで採水し、開孔径0.2
μmのメンブランフィルタで濾過した後、濾液中のフッ
素濃度を定量した。冷却水中のフッ素濃度の経時変化に
及ぼす3CaO・Al2O3 合成品の粒度の影響を図3にグラフ
で示す。また、比較のため、0.1 〜1mmの消石灰粒子を
用いた結果を示す。
冷却水100 体積部に対して、粒度が5〜10mm、1〜5m
m、または、0.1 〜1mmの3CaO・Al2O3 合成品の粒子を
0.5 重量部添加し、攪拌試験 (毎分100 回攪拌) を行っ
た。所定時間毎にホールピペットで採水し、開孔径0.2
μmのメンブランフィルタで濾過した後、濾液中のフッ
素濃度を定量した。冷却水中のフッ素濃度の経時変化に
及ぼす3CaO・Al2O3 合成品の粒度の影響を図3にグラフ
で示す。また、比較のため、0.1 〜1mmの消石灰粒子を
用いた結果を示す。
【0054】図3に示すグラフから、スラグ粒度が5mm
以下であれば、実用上満足できるほどの短時間で、冷却
水中のフッ素濃度は水質汚濁防止法の排水基準値である
15mg/Lを下回ることがわかる。
以下であれば、実用上満足できるほどの短時間で、冷却
水中のフッ素濃度は水質汚濁防止法の排水基準値である
15mg/Lを下回ることがわかる。
【0055】(実施例2)本発明にしたがい、製鋼工場の
排ガスの冷却水100 体積部に対して、粒度が1〜5mmの
12CaO ・7Al2O3または3CaO・Al2O3 合成品の粒子を0.01
〜10重量部添加し、攪拌試験 (毎分100 回攪拌で10分
間) を行った。その後、開孔径0.2 μmのメランブラン
フィルタで濾過し、濾液中のフッ素濃度を定量した。12
CaO ・7Al2O3または3CaO・Al2O3 合成品の重量/冷却水
の体積量との比と、冷却水中のフッ素濃度との関係を図
4にグラフで示す。
排ガスの冷却水100 体積部に対して、粒度が1〜5mmの
12CaO ・7Al2O3または3CaO・Al2O3 合成品の粒子を0.01
〜10重量部添加し、攪拌試験 (毎分100 回攪拌で10分
間) を行った。その後、開孔径0.2 μmのメランブラン
フィルタで濾過し、濾液中のフッ素濃度を定量した。12
CaO ・7Al2O3または3CaO・Al2O3 合成品の重量/冷却水
の体積量との比と、冷却水中のフッ素濃度との関係を図
4にグラフで示す。
【0056】図4において、12CaO ・7Al2O3合成品の重
量/冷却水体積量の比が0.05以上であれば、冷却水中の
フッ素濃度は水質汚濁防止法の排水基準値である15mg/L
を下回っている。
量/冷却水体積量の比が0.05以上であれば、冷却水中の
フッ素濃度は水質汚濁防止法の排水基準値である15mg/L
を下回っている。
【0057】(実施例3)ステンレス鋼のフッ酸洗浄後
の仕上げ洗浄液の排液100 体積部に対して、Ca3Al2(OH)
12 合成品、または、フッ素を実質的に含まない二次精
錬スラグの粉末を0.2 重量部または1重量部添加した。
攪拌試験 (毎分100 回攪拌で10分間) を行った後、開孔
径0.2 μmのメランブランフィルタで濾過し、濾液中の
フッ素濃度を定量した。安定化後の排液中のフッ素濃度
を表2に示す。
の仕上げ洗浄液の排液100 体積部に対して、Ca3Al2(OH)
12 合成品、または、フッ素を実質的に含まない二次精
錬スラグの粉末を0.2 重量部または1重量部添加した。
攪拌試験 (毎分100 回攪拌で10分間) を行った後、開孔
径0.2 μmのメランブランフィルタで濾過し、濾液中の
フッ素濃度を定量した。安定化後の排液中のフッ素濃度
を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】いずれの固定剤を用いた場合も、溶出液中
のフッ素濃度は、水質汚濁防止法の排水基準値である15
mg/Lを大きく下回ることがわかる。
のフッ素濃度は、水質汚濁防止法の排水基準値である15
mg/Lを大きく下回ることがわかる。
【0060】(実施例4)直径20cm、長さ100cm のカラ
ム、または、直径15cm、長さ180cm のカラムに、フッ素
を実質的に含まない二次精錬スラグの粉末 (粒度0.5 〜
5mm)60kg をそれぞれ充填し、製鋼工場の排ガスの冷却
水3000L を毎分5L で600 分間流した。カラム出口にお
いて所定時間毎に採取した排水を濾過して、濾液中に含
まれるフッ素濃度を定量した。これらの結果を表3に示
す。
ム、または、直径15cm、長さ180cm のカラムに、フッ素
を実質的に含まない二次精錬スラグの粉末 (粒度0.5 〜
5mm)60kg をそれぞれ充填し、製鋼工場の排ガスの冷却
水3000L を毎分5L で600 分間流した。カラム出口にお
いて所定時間毎に採取した排水を濾過して、濾液中に含
まれるフッ素濃度を定量した。これらの結果を表3に示
す。
【0061】
【表3】
【0062】いずれのカラムを用いた場合も、排水中の
フッ素濃度は、水質汚濁防止法の排水基準値である15mg
/Lを大きく下回ることがわかる。二次精錬スラグの充填
量が同じでも充填カラムの長さを長くするほど、排水と
二次精錬スラグとの接触時間が長くなり、フッ素の固定
化が進行するため、排水中のフッ素濃度は低下してい
る。このことから、充填カラムの長さを長くするほど、
単位排水量当たりの固定剤量は低減できることになる。
フッ素濃度は、水質汚濁防止法の排水基準値である15mg
/Lを大きく下回ることがわかる。二次精錬スラグの充填
量が同じでも充填カラムの長さを長くするほど、排水と
二次精錬スラグとの接触時間が長くなり、フッ素の固定
化が進行するため、排水中のフッ素濃度は低下してい
る。このことから、充填カラムの長さを長くするほど、
単位排水量当たりの固定剤量は低減できることになる。
【0063】(実施例5)溶融二次精錬スラグ90重量部に
アルミナれんが屑10重量部を添加した後、通常の冷却速
度で凝固させ、これを粉砕して粒度を1〜5mm、0.5 〜
1mm、0.05〜0.1 mm、または、0.01mm以下とした。ま
た、Al2O3 濃度が高い二次精錬スラグ融体を炭素または
アルミ灰により還元し、鉄およびマンガン濃度を低下さ
せた後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉砕して粒
度を1〜5mm、0.1 〜1mm、0.05〜0.1 mm、または、0.
01mm以下とした。これらの改質した二次精錬スラグ0.5
重量部を、製鋼工場の排ガスの冷却水100 体積部に添加
し、攪拌試験(毎分100 回攪拌で10分間)を行った。そ
の後、開孔径0.2 μmのメランブランフィルタで濾過
し、濾液中のフッ素濃度を定量した。冷却水中のフッ素
濃度と各二次精錬スラグの粒度との関係を図5にグラフ
で示す。
アルミナれんが屑10重量部を添加した後、通常の冷却速
度で凝固させ、これを粉砕して粒度を1〜5mm、0.5 〜
1mm、0.05〜0.1 mm、または、0.01mm以下とした。ま
た、Al2O3 濃度が高い二次精錬スラグ融体を炭素または
アルミ灰により還元し、鉄およびマンガン濃度を低下さ
せた後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉砕して粒
度を1〜5mm、0.1 〜1mm、0.05〜0.1 mm、または、0.
01mm以下とした。これらの改質した二次精錬スラグ0.5
重量部を、製鋼工場の排ガスの冷却水100 体積部に添加
し、攪拌試験(毎分100 回攪拌で10分間)を行った。そ
の後、開孔径0.2 μmのメランブランフィルタで濾過
し、濾液中のフッ素濃度を定量した。冷却水中のフッ素
濃度と各二次精錬スラグの粒度との関係を図5にグラフ
で示す。
【0064】なお、同図中に改質処理を行わない二次精
錬スラグ0.5 重量部を、製鋼工場の排ガスの冷却水100
体積部に添加し、攪拌試験(毎分100 回攪拌で10分間)
を行った結果を示す。
錬スラグ0.5 重量部を、製鋼工場の排ガスの冷却水100
体積部に添加し、攪拌試験(毎分100 回攪拌で10分間)
を行った結果を示す。
【0065】図5に示すグラフから、溶融状態でアルミ
ナを添加した後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉
砕することにより改質された二次精錬スラグが、改質処
理を行わない二次精錬スラグより、冷却水中のフッ素の
固定化に有効であることがわかる。
ナを添加した後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉
砕することにより改質された二次精錬スラグが、改質処
理を行わない二次精錬スラグより、冷却水中のフッ素の
固定化に有効であることがわかる。
【0066】また、Al2O3 濃度が高い二次精錬スラグ融
体、または、アルミナを添加することによりAl2O3 濃度
を高くした二次精錬スラグ融体を炭素、アルミ灰により
還元し、鉄およびマンガン濃度を低下させた後、通常の
冷却速度で凝固させ、粉砕することにより得られる二次
精錬スラグが、改質処理を行わない二次精錬スラグよ
り、排水中のフッ素の固定化に有効であることがわか
る。
体、または、アルミナを添加することによりAl2O3 濃度
を高くした二次精錬スラグ融体を炭素、アルミ灰により
還元し、鉄およびマンガン濃度を低下させた後、通常の
冷却速度で凝固させ、粉砕することにより得られる二次
精錬スラグが、改質処理を行わない二次精錬スラグよ
り、排水中のフッ素の固定化に有効であることがわか
る。
【0067】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1〜
請求項9の本発明によれば、製鋼工場の排ガスの冷却
水、都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却
水、および、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄
液の排液に含まれるフッ素を容易に固定化し、この排液
の安定化処理を確実にかつ低コストで行うことができ
る。
請求項9の本発明によれば、製鋼工場の排ガスの冷却
水、都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却
水、および、ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄
液の排液に含まれるフッ素を容易に固定化し、この排液
の安定化処理を確実にかつ低コストで行うことができ
る。
【0068】また、この処理に際して、低コストのフッ
素を含まない二次精錬スラグを用いることもできるた
め、処理コストの上昇を可及的に低減できる。このよう
に、請求項1〜請求項9の本発明によれば、近年大きな
社会問題とされている排水中のフッ素を確実に処理し、
環境汚染の防止を図ることができる。かかる効果を有す
る本発明の意義は、極めて著しい。
素を含まない二次精錬スラグを用いることもできるた
め、処理コストの上昇を可及的に低減できる。このよう
に、請求項1〜請求項9の本発明によれば、近年大きな
社会問題とされている排水中のフッ素を確実に処理し、
環境汚染の防止を図ることができる。かかる効果を有す
る本発明の意義は、極めて著しい。
【図1】実施形態において、排水に安定化処理を施す状
況を模式的に示す説明図である。
況を模式的に示す説明図である。
【図2】実施形態において、固定剤を充填したカラムを
用いて排水に安定化処理を施す状況を模式的に示す説明
図である。
用いて排水に安定化処理を施す状況を模式的に示す説明
図である。
【図3】実施例1において、各粒度の3CaO・Al2O3 合成
品または消石灰により製鋼工場の排ガスの冷却水を処理
した際の、冷却水中のフッ素濃度の経時変化を示すグラ
フである。
品または消石灰により製鋼工場の排ガスの冷却水を処理
した際の、冷却水中のフッ素濃度の経時変化を示すグラ
フである。
【図4】実施例2において、12CaO・7Al2O3または3CaO
・Al2O3 合成品(固定剤)の重量/製鋼工場の排ガスの
冷却水体積の比と、冷却水中のフッ素濃度との関係を示
すグラフである。
・Al2O3 合成品(固定剤)の重量/製鋼工場の排ガスの
冷却水体積の比と、冷却水中のフッ素濃度との関係を示
すグラフである。
【図5】実施例5において、溶融状態でアルミナを添加
した後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉砕するこ
とにより改質された二次精錬スラグ、または、Al2O3 濃
度が高い二次精錬スラグ融体を炭素、アルミ灰により還
元し、鉄およびマンガン濃度を低下させた後、通常の冷
却速度で凝固させ、粉砕することにより改質された二次
精錬スラグの粒度と、製鋼工場の排ガスの冷却水中のフ
ッ素濃度との関係を示すグラフである。
した後、通常の冷却速度で凝固させ、これを粉砕するこ
とにより改質された二次精錬スラグ、または、Al2O3 濃
度が高い二次精錬スラグ融体を炭素、アルミ灰により還
元し、鉄およびマンガン濃度を低下させた後、通常の冷
却速度で凝固させ、粉砕することにより改質された二次
精錬スラグの粒度と、製鋼工場の排ガスの冷却水中のフ
ッ素濃度との関係を示すグラフである。
1:排水 1a:製鋼工場の排ガスの冷却水 1b:都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却水 1c:ステンレス鋼のフッ酸洗浄後の仕上げ洗浄液の排液 2:固定剤 2a:カルシウムアルミネート合成品またはその水和物 2b:天然鉱石 2c:フッ素を実質的に含まない二次精錬スラグ 3:混合装置 4:沈殿槽 5:固定剤充填カラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遊佐 一巳 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 甲田 憲司 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 水渡 英昭 宮城県仙台市太白区八木山本町1丁目25番 1号 (72)発明者 井上 亮 宮城県仙台市泉区南中山4丁目29番4号 Fターム(参考) 4D038 AA08 AB41 AB42 BB17 4G076 AA02 AA10 AA18 CA02 DA28
Claims (9)
- 【請求項1】 カルシウムを含む化合物およびアルミニ
ウムを含む化合物を用いて、排水中のフッ素を捕捉する
ことを特徴とするフッ素の固定化方法。 - 【請求項2】 カルシウムを含む化合物およびアルミニ
ウムを含む化合物を固定剤として用い、フッ素を含む排
水の安定化処理を行うことを特徴とする、フッ素を含む
排水の安定化処理方法。 - 【請求項3】 前記固定剤は、カルシウムアルミネート
を含む粉末または粒子である請求項2記載のフッ素を含
む排水の安定化処理方法。 - 【請求項4】 前記排水は、製鋼工場の排ガスの冷却
水、都市ゴミ焼却炉または直接溶融炉の排ガスの冷却
水、またはステンレス鋼の仕上げ洗浄液の排液等である
請求項2または請求項3記載のフッ素を含む排水の安定
化処理方法。 - 【請求項5】 前記固定剤は、合成されたカルシウムア
ルミネート化合物およびその副生物、天然に産するカル
シウムアルミネート鉱物、および、フッ素を実質的に含
まずカルシウムアルミネートを含む二次精錬スラグの1
種または2種以上に由来する請求項2から請求項4まで
のいずれか1項に記載のフッ素を含む排水の安定化処理
方法。 - 【請求項6】 前記固定剤の最大粒径は5mm以下である
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のフッ
素を含む排水の安定化処理方法。 - 【請求項7】 前記排水100 体積部に対して、前記固定
剤を0.05〜5重量部添加する、請求項2から請求項6ま
でのいずれか1項に記載のフッ素を含む排水の安定化処
理方法。 - 【請求項8】 前記二次精錬スラグは、溶融状態でアル
ミナを添加した後、通常の冷却速度で凝固させ、これを
粉砕することにより得られる請求項5から請求項7まで
のいずれか1項に記載のフッ素を含む排水の安定化処理
方法。 - 【請求項9】 前記二次精錬スラグは、Al2O3 濃度が高
い二次精錬スラグ融体、または、Al2O3 を添加すること
によりAl2O3 濃度を高くした二次精錬スラグ融体を、炭
素、アルミ灰等により還元し、鉄濃度およびマンガン濃
度を低下させた後、通常の冷却速度で凝固させ、粉砕す
ることにより得られる請求項5から請求項7までのいず
れか1項に記載のフッ素を含む排水の安定化処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11051094A JP2000246267A (ja) | 1999-02-26 | 1999-02-26 | 排水中のフッ素の固定化方法および排水の安定化処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11051094A JP2000246267A (ja) | 1999-02-26 | 1999-02-26 | 排水中のフッ素の固定化方法および排水の安定化処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000246267A true JP2000246267A (ja) | 2000-09-12 |
Family
ID=12877241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11051094A Pending JP2000246267A (ja) | 1999-02-26 | 1999-02-26 | 排水中のフッ素の固定化方法および排水の安定化処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000246267A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003062582A (ja) * | 2001-08-28 | 2003-03-04 | Kokan Kogyo Kk | フッ素を含有する排水の処理方法 |
JP2003080270A (ja) * | 2001-09-12 | 2003-03-18 | Okutama Kogyo Co Ltd | フッ素含有排水の処理方法 |
JP2006055728A (ja) * | 2004-08-19 | 2006-03-02 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | フッ素含有排水の処理方法及び処理装置 |
JP2007091590A (ja) * | 2006-10-23 | 2007-04-12 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 鉄鋼スラグから溶出するフッ素の安定化処理方法および改質スラグとその製造方法 |
JP2008126217A (ja) * | 2006-11-24 | 2008-06-05 | Denki Kagaku Kogyo Kk | フッ素捕集材及びそれを用いてなる水質浄化方法 |
KR101185311B1 (ko) * | 2009-02-25 | 2012-09-21 | 현대제철 주식회사 | 전기로 슬래그 처리장 침출수를 이용한 폐수의 처리방법 |
CN113651347A (zh) * | 2021-09-09 | 2021-11-16 | 山西中城天朗环保工程有限公司 | 一种铝灰回收装置及其回收工艺 |
CN115321991A (zh) * | 2021-05-11 | 2022-11-11 | 中国科学院过程工程研究所 | 一种利用铝灰制备自润滑材料的方法 |
-
1999
- 1999-02-26 JP JP11051094A patent/JP2000246267A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP4661132B2 (ja) * | 2004-08-19 | 2011-03-30 | パナソニック株式会社 | フッ素含有排水の処理方法及び処理装置 |
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JP2008126217A (ja) * | 2006-11-24 | 2008-06-05 | Denki Kagaku Kogyo Kk | フッ素捕集材及びそれを用いてなる水質浄化方法 |
JP4718420B2 (ja) * | 2006-11-24 | 2011-07-06 | 電気化学工業株式会社 | フッ素捕集材及びそれを用いてなる水質浄化方法 |
KR101185311B1 (ko) * | 2009-02-25 | 2012-09-21 | 현대제철 주식회사 | 전기로 슬래그 처리장 침출수를 이용한 폐수의 처리방법 |
CN115321991A (zh) * | 2021-05-11 | 2022-11-11 | 中国科学院过程工程研究所 | 一种利用铝灰制备自润滑材料的方法 |
CN113651347A (zh) * | 2021-09-09 | 2021-11-16 | 山西中城天朗环保工程有限公司 | 一种铝灰回收装置及其回收工艺 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20030415 |